説明

現金処理装置

【課題】開閉カバー3を開くときの解除力により固定ネジ14やボス部16に応力が集中することがなく、固定ネジ14やボス部16が破損しないようにする。
【解決手段】開閉カバー3にラッチ部9を備え、装置本体側に前記ラッチ部9と嵌合して開閉カバー3を固定するラッチ受部12を備え当該開閉カバー3を開閉可能とした現金処理装置1において、前記ラッチ部9を固定するラッチ部固定板11と、前記ラッチ部固定板11の前記開閉カバー3を閉じる方向を固定する第1の固定手段と、前記開閉カバーの開閉方向と略垂直方向に前記ラッチ部固定板11を固定し、前記閉じる方向に前記ラッチ部固定板11と所定の隙間16aをもって固定する第2の固定手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨等の現金を取り扱う現金処理装置における開閉カバーの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉カバーの固定構造としては、開閉カバーを装置筐体にネジで固定する構造が一般的であり、このネジ止めによる構造では、開閉カバーを開けるときにはネジを外し、開閉カバーを閉じるときはネジを取り付ける作業が発生し、ドライバー等の治具が必要であり、作業も面倒であった。
【0003】
この問題を解決するために、図5(a)に示したように硬貨払出装置105において、底面カバー108の一端にラッチ部109を配設して底面カバー108と装置本体105aと係合して閉じ、ラッチを解除して矢印Zのように開くようにした技術はあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
或いは、図5(b)のように、ラッチ部109を固定ネジ109aおよび109bにて開閉カバー3に固定し、図示しないラッチ受部を装置本体に備え、開閉カバー3を閉めるときに前記ラッチ部109を前記ラッチ受部に嵌合して固定する方法が採られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−272068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来の構成では、開閉カバーに、直接、ラッチ部が取り付けられているために、開閉カバーを開くときの解除力によりネジやネジ受け、若しくはラッチ部に応力が集中し、最悪の場合、これらが破損するなどの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、開閉カバーにラッチ部を備え、装置本体側に前記ラッチ部と嵌合して開閉カバーを固定するラッチ受部を備え当該開閉カバーを開閉可能とした現金処理装置において、前記ラッチ部を固定するラッチ部固定板と、前記ラッチ部固定板の前記開閉カバーを閉じる方向を固定する第1の固定手段と、前記開閉カバーの開閉方向と略垂直方向に前記ラッチ部固定板を固定し、前記閉じる方向に前記ラッチ部固定板と所定の隙間をもって固定する第2の固定手段と、を備えた
【発明の効果】
【0008】
本発明の現金処理装置によれば、以上のように構成したので、開閉カバーを開くときの解除力により固定ネジやネジ受けに応力が集中することがなく、これらの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の現金処理装置の外観斜視図である。
【図2】実施例1の現金処理装置の外観斜視図である。
【図3】実施例1の現金処理装置の固定部の構成図である。
【図4】実施例2の現金処理装置の固定部の構成図である。
【図5】従来の現金処理装置の開閉カバーの固定構造である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、硬貨等の現金を取り扱う現金処理金装置を例として説明するが、開閉カバーを開閉して保守等を行う装置であれば本発明を適用することができる。
【実施例1】
【0011】
(構成)
実施例1の現金処理装置の構成を図1および図2の外観斜視図、図3の開閉カバー3の固定部の構成図を用いて以下詳細に説明する。なお、図1は詳細後述の開閉カバー3を閉じた状態を示し、図2は開閉カバー3を開いた状態を示しており、図3(a)は開閉カバー3の固定部周辺を下側から見た斜視図であり、図3(b)は図3(a)のX−X断面図である。
【0012】
図1に示したように、実施例1の現金処理装置1は、硬貨を投入するための硬貨投入口21と、紙幣を投入するための紙幣投入口2と、装置内部の保守等を行うときに開閉する開閉カバー3と、開閉カバー3に実装されオペレータや保守員、警送員等(以下、「オペレータ等」という)が操作する操作部4と、オペレータ等がそれぞれ所持する磁気カードの磁気データを読取るカード読取部5と、回収した硬貨紙幣を格納する金庫部6と、開閉カバー3を開くときに持つ取っ手7を備える。
【0013】
開閉カバー3には、回転軸8が図2の矢印Aのように開くように左右に設けられており、ラッチ部固定板11に搭載されたラッチ部9は、図3(a)、(b)に示したようにラッチ部固定ネジ9a、9bにより固定されている。
【0014】
装置本体側には、図2の矢印Bのように開閉カバー3を閉じたときに、ラッチ部9と嵌合して開閉カバー3を固定するラッチ受部12が備えられている。
【0015】
そして、ラッチ部固定板11には、第1の固定手段として、開閉カバー3に設けられた固定板差込孔13と、固定板リブ保持部18により形成された固定板リブ差込孔17とにそれぞれ嵌合させて、開閉カバー3を閉じる方向(矢印B方向)に固定する固定板突起11aと固定板リブ11bが備えられている。
【0016】
また、図3(b)のように、ラッチ部固定板11の固定板突起11aが外れないように開閉カバー3の開閉方向と略垂直方向の矢印C方向を固定する第2の固定手段として、ラッチ部固定板11の開閉カバー3を開く方向(矢印A方向)を固定しネジ受けとなるボス部16に段差を設け、ラッチ部固定板11と開閉カバー3を閉じる方向(矢印B方向)に隙間16aが設けられて固定ネジ14にて開閉カバー3に固定されるようになっている。
【0017】
なお、開閉カバー3には、開閉カバー3の位置決めを行うための位置決め用差込部19が備えられており、装置本体側には図示していないが開閉カバー3を閉じたときに嵌合して位置決めする凹形状が備えられている。
【0018】
(動作)
以上の構成により実施例1の現金処理装置1は、以下のように動作する。この動作を前出図1ないし図3を用いて以下詳細に説明する。
【0019】
まず、オペレータ等がそれぞれ所持する磁気カードをカード読取部5に通すと、記録された磁気データをカード読取部5にて読み取り、操作者がオペレータ、保守員、警送員のいずれであるかを判定し、当該判定結果に応じて操作モードを切り替え、紙幣や硬貨の入金操作や、金庫部6から現金の回収操作、メンテナンス操作などを行う。
【0020】
そして、保守員や警送員が、金庫部6からの現金の回収操作、メンテナンス操作などを行うときに、取っ手7を持って図2の矢印Aのように開閉カバー3を開ける。
【0021】
このとき、ラッチ部9には矢印B方向のラッチ解除力がかかる。そして、ラッチ部9にかかったラッチ解除力がラッチ部固定板11にかかり、開閉カバー3に設けられた固定板差込孔13および固定板リブ差込孔17がラッチ解除力を間接的に受ける。
【0022】
そして、固定ネジ14には、ボス部16の段差16bによりラッチ部固定板11と隙間16aが設けられているので、前記ラッチ解除力は固定ネジ14にはかからず、固定板差込孔13および固定板リブ差込孔17にかかり、固定板差込孔13は複数個配置されているので、前記ラッチ解除力が分散されて荷重される。
【0023】
なお、以上の実施例の説明では、固定板差込孔13に固定板突起11aを挿入し固定板リブ差込孔17に固定板リブ11bを挿入して開閉カバー3を閉じる方向にラッチ部固定板11を固定するように説明したが、固定板差込孔13と固定板突起11aのみで開閉カバー3を閉じる方向にラッチ部固定板11を固定する構成としてもよいし、固定板リブ差込孔17とラッチ部固定板リブ11bのみで開閉カバー3を閉じる方向にラッチ部固定板11を固定する構成としてもよい。
【0024】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の現金処理装置によれば、開閉カバーにラッチ部を備え、装置本体側に前記ラッチ部と嵌合して開閉カバーを固定するラッチ受部を備え当該開閉カバーを開閉可能とした現金処理装置において、前記ラッチ部を固定するラッチ部固定板と、前記ラッチ部固定板の前記開閉カバーを閉じる方向を固定する第1の固定手段と、前記開閉カバーの開閉方向と略垂直方向に前記ラッチ部固定板を固定し、前記閉じる方向に前記ラッチ部固定板と所定の隙間をもって固定する第2の固定手段と、を備えたので、開閉カバーを開くときの解除力により固定ネジやボス部に応力が集中することがなく、これらの破損を防止することができる。
【実施例2】
【0025】
(構成)
図4(a)、(b)は、実施例2の現金処理装置1の開閉カバー3の固定部の構成を示した図である。なお、図4(a)は、開閉カバー3の固定部周辺を下側から見た斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のX−X断面図である。
【0026】
同図に示したように、実施例2の現金処理装置1では、ラッチ部固定板11の固定板突起11aが外れないように開閉カバー3の開閉方向と略垂直方向の矢印C方向を固定する第2の固定手段として、開閉カバー3を閉じる方向(矢印B方向)にラッチ部固定板11と隙間20aを設けた爪部20をボス部16に備えている。その他の構成は実施例1の現金処理装置と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0027】
(動作)
以上の構成により、実施例2の現金処理装置は、以下のように動作する。この動作を前出図4を用いて以下詳細に説明する。
【0028】
すなわち、実施例2の現金処理装置では、実施例1の現金処理装置1と同様、ラッチ部固定板11の固定板突起11aを開閉カバー3の固定板差込孔13に差し込み、固定板リブ11bを固定板リブ差込孔17に差し込む。そして、爪部20にラッチ部固定板11を押し付けてロックし、固定する。
【0029】
その結果、開閉カバー3を閉じる方向である矢印B方向は固定板突起11aおよび固定板リブ11bにてラッチ部固定板11が固定され、開閉カバー3を開く方向である矢印A方向はボス部16にて固定され、開閉カバー3の開閉方向と略垂直方向の矢印C方向は、爪部20により移動することがないため、固定板突起11aは外れない。
【0030】
なお、爪部20は、開閉カバー3を閉じる方向(矢印B方向)にラッチ部固定板11と隙間20aが設けられているので、実施例1と同様、ラッチ解除力が爪部20にはかからず、固定板差込孔13および固定板リブ差込孔17にかかり、固定板差込孔13は複数個配置されているので、前記ラッチ解除力が分散されて荷重される。
【0031】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2の現金処理装置によれば、開閉カバーの開閉方向と略垂直方向を固定する第2の固定手段は、ラッチ部固定板と開閉カバーを閉じる方向に所定の隙間を設けて前記開閉カバーに固定する爪部を備えたので、実施例1の現金処理装置の効果に加え、容易にラッチ部固定板を固定することができ、部品数も少なくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上述べたように、本発明は、開閉カバーに備えたラッチ部と装置本体側に当該ラッチ部と嵌合して開閉カバーを固定するラッチ受部とを備えて当該開閉カバーを開閉する現金処理装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 現金処理装置
3 開閉カバー
7 取っ手
8 回転部
9 ラッチ部
9a、9b ラッチ部固定ネジ
11 ラッチ部固定板
11a 固定板突起
11b 固定板リブ
12 ラッチ受部
13 固定板差込孔
14 固定ネジ
16 ボス部
16a、20a 隙間
16b 段差
17 固定板リブ差込孔
18 固定板リブ保持部
19 位置決め用差込部
20 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉カバーにラッチ部を備え、装置本体側に前記ラッチ部と嵌合して開閉カバーを固定するラッチ受部を備え当該開閉カバーを開閉可能とした現金処理装置において、
前記ラッチ部を固定するラッチ部固定板と、
前記ラッチ部固定板の前記開閉カバーを閉じる方向を固定する第1の固定手段と、
前記開閉カバーの開閉方向と略垂直方向に前記ラッチ部固定板を固定し、前記閉じる方向に前記ラッチ部固定板と所定の隙間をもって固定する第2の固定手段と、を備えたことを特徴とする現金処理装置。
【請求項2】
前記第1の固定手段は、前記ラッチ部固定板に固定板突起若しくは固定板リブまたは両方を備え、前記開閉カバーに前記固定板突起を差込む固定板差込孔若しくは前記固定板リブを差込む固定板リブ差込孔または両方を備え、それぞれ嵌合して固定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の現金処理装置。
【請求項3】
前記第2の固定手段は、固定ネジと、段差を備えたボス部とからなり、前記開閉カバーを閉じる方向に前記ラッチ部固定板と所定の隙間を設けて前記開閉カバーに固定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の現金処理装置。
【請求項4】
前記第2の固定手段は、爪部を備えたボス部からなり、前記開閉カバーを閉じる方向にラッチ部固定板と所定の隙間を設けて前記開閉カバーに固定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の現金処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−93929(P2012−93929A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240294(P2010−240294)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】