説明

現金自動取引方法

【目的】 顧客の勘違いによるトラブルの発生しない、信頼性に優れた現金自動取引装置を提供する。
【構成】 顧客による入金予定金額の入力が行なわれた後に(S2)、紙幣の投入を指示して(S4)、投入紙幣を計数し(S5)、入金予定金額と計数金額とが一致した場合には取引処理を行い(S9)、一方、入金予定金額と計数金額とが一致しない場合には、顧客の投入した紙幣を取り込んだままの状態で、現金自動取引装置を取扱い中止とする(S12)。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金融機関等に設置される現金自動取引装置において、顧客自身の操作により預貯金等の入金、支払い等の出金に関する処理を自動的に行う現金自動取引方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金融機関等に設置される現金自動取引装置において、顧客が入金取引を行う際には、現金自動取引装置に設けられた操作画面で入金を選択し、通帳、あるいはキャッシュカ−ドを現金自動取引装置内に挿入する。すると、紙幣入出金口が開くので、顧客は紙幣入出金口から紙幣を現金自動取引装置内に投入する。現金自動取引装置は投入された紙幣を計数し、操作画面から顧客に計数した金額を表示して、顧客に入金するか否かの判断を指示する。顧客が入金を指定したならば、取引処理を行った後、通帳に取引内容を印字して顧客に返却し、取引内容を印字した明細票を発行して取引を終了する。
【0003】一方、顧客が紙幣投入後、取引の中止を指定したならば、投入された紙幣と通帳を顧客に返却し、取引を終了する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の現金自動取引装置においては、入金取引の際、実際、顧客が現金自動取引装置内に投入した金額が、顧客が現金自動取引装置に投入しようとした金額よりも少ない場合、現金自動取引装置の操作画面に表示された金額は、顧客が投入したいとした金額よりも少なくなる。
【0005】顧客の勘違いであっても、顧客が現金自動取引装置内に投入したいとした金額と、現金自動取引装置の操作画面に表示された金額とが一致しないと、顧客は現金自動取引装置が、紙幣の計数を間違えたと思い、現金自動取引装置に取引の中止を指定し、現金自動取引装置内に投入した紙幣を受け取った後、窓口に申告に来る場合があった。顧客が窓口に申告に来ている間にも、現金自動取引装置は次の顧客との取引を行っており、従って、顧客と現金自動取引装置とのトラブル発生時の証拠がないので、行員が顧客を説得するのに苦慮するという問題点があった。
【0006】本発明は、顧客の勘違いによるトラブルの発生しない、信頼性に優れた現金自動取引装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明で設けた第1の解決手段は、入金予定金額の入力が行なわれた後に、紙幣の投入指示を操作画面に表示し、投入された紙幣を計数し、入金予定金額と計数金額とが一致した場合には取引処理を行い、入金予定金額と計数金額とが一致しない場合には、装置を取扱い中止とすることを特徴とするものである。
【0008】また、上記目的を達成するために本発明で設けた第2の解決手段は、入金予定金額の入力が行われた後に、紙幣の投入指示を操作画面に表示し、投入された紙幣を計数し、入金予定金額と計数金額とを操作画面に表示し、入金処理が指定された場合には取引処理を行い、取引中止が指定された場合、入金予定金額と計数金額とが一致していると紙幣を返却し、入金予定金額と計数金額とが一致していないと装置を取扱い中止とするものである。
【0009】
【作用】第1の解決手段によると、顧客による入金予定金額の入力が行なわれた後に、紙幣の投入を指示する。紙幣が投入されると、その紙幣を計数する。そして入金予定金額と計数金額とが一致した場合には取引処理を行う。一方、入金予定金額と計数金額とが一致しない場合には、顧客の投入した紙幣を取り込んだままの状態で、現金自動取引装置を取扱い中止とする。
【0010】第2の解決手段によると、顧客による入金予定金額の入力が行なわれた後に、紙幣の投入を指示する。紙幣が投入されると、その紙幣を計数し、そして入金予定金額と計数金額とを操作画面に表示する。操作画面を見た顧客により、入金処理が指定された場合には取引処理を行う。また、取引中止が指定され、入金予定金額と計数金額とが一致した場合には紙幣を返却し、入金予定金額と計数金額とが一致しない場合には、顧客の投入した紙幣を取り込んだままの状態で、現金自動取引装置を取扱い中止とする。
【0011】従って、第1の解決手段あるいは第2の解決手段により、もし、顧客の勘違いにより、顧客が実際に投入した紙幣の金額と、顧客が投入しようとした金額とが一致しなくても、現金自動取引装置は、顧客の投入した紙幣を取り込んだままの状態で取扱い中止となっているので、現場の保存ができており、顧客を説得するのが容易となる。それ故、顧客の勘違いによるトラブルの発生を防ぐことができる。
【0012】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、各図面に共通な要素には同一の符号を付す。
第1実施例図2は第1、第2各実施例に係る現金自動取引装置の制御系を示すブロック図である。図2において、現金自動取引装置1には、顧客に操作を指示する案内文言を表示したり、入金するか否か等を顧客が入力する操作画面16を設けた顧客操作部2と、顧客により挿入された通帳に取引内容等を印字して、顧客に排出する等の通帳処理作業を行う通帳記帳機3と、明細票に取引内容等を印字して、顧客に発行する明細票印字装置4と、入金紙幣及び出金紙幣の処理作業を行う紙幣入出金装置5と、主制御部6とが設けられている。
【0013】顧客操作部2と、通帳記帳機3と、明細票印字装置4と、紙幣入出金装置5とは、主制御部6に接続されて制御される。
【0014】紙幣入出金装置5には、紙幣入出金口に設けられたシャッタ11と、入金紙幣を一枚づつに分離する一枚分離機構12と、入金紙幣の真偽判別、金種判別、紙幣計数等を行う紙幣鑑別部13と、紙幣を一時貯留する一時貯留部14と、金種別にそれぞれ設けられ、収納、給送手段が備えられた金庫15とが設けられている。
【0015】次に第1実施例の入金処理手順を図1のフロ−チャ−トに従い、図2、図3、図4を参照して説明する。なお、図1は本発明に係る第1実施例の入金取引手順を示すフロ−チャ−ト、図3、図4は操作画面の表示例を示す説明図である。顧客はまず、図3(A)に示す操作画面16により“お預け入れ”を指定する。ステップS1で主制御部6は、図3(B)に示す操作画面16により、通帳を現金自動取引装置内に挿入することを顧客に指示し、挿入された通帳を現金自動取引装置内に取り込む。ステップS2で主制御部6は、図3(C)に示す操作画面16により、顧客に入金予定金額の入力と確認を指示する。ステップS3で主制御部6は、顧客が“確認”を指定したならば、ステップS4に進み、“訂正”を指定したならば、ステップS2に戻る。
【0016】ステップS4で主制御部6は、シャッタ11を開き、図3(D)に示す操作画面16により、顧客に紙幣を紙幣入出金装置5に投入することを指示する。ステップS5で主制御部6は、投入された紙幣を一枚分離機構12で一枚づつに分離し、紙幣鑑別部13で真偽及び金種判別、紙幣計数を行い、顧客には、図3(E)に示す操作画面16を表示しておく。ステップS6で主制御部6は、紙幣を一時貯留部14に貯留しておき、入金予定金額と計数した金額とが一致しているか判断し、入金予定金額と計数した金額とが一致しているならば、ステップS7に進み、入金予定金額と計数した金額とが一致していないならば、ステップS12に進む。
【0017】ステップS7で主制御部6は、入金予定金額及び計数金額を図3(F)に示す操作画面16に表示し、“確認”の判断を指示する。ステップS8で主制御部6は、顧客が“確認”を指定したならば、ステップS9に進み、顧客が“取消”を指定したならば、ステップS13に進む。
【0018】ステップS9で主制御部6は、収納手段により、紙幣を一時貯留部14から金種別に金庫15に収納する等の取引処理を行う。ステップS10で主制御部6は、通帳に取引内容等を印字し、図4(G)に示す操作画面16により顧客に通帳を受け取ることを指示して、顧客に返却する。ステップS11で主制御部6は、明細票に取引内容等を印字し、図4(H)に示す操作画面16により顧客に明細票を受け取ることを指示して、顧客に発行し、図4(J)に示す操作画面16に、顧客に取引が終了したことを表示し、取引は終了となる。
【0019】ステップS6からステップS12に進んだ場合は、主制御部6は、顧客が投入した紙幣を一時貯留部14に貯留した状態で、図4(K)に示す操作画面16に“取扱中止”を表示し、現金自動取引装置1を取扱い中止とし、行員にアラ−ムランプの点滅等により、現金自動取引装置1が取扱い中止となったことを知らせる。
【0020】ステップS8からステップS13に進んだ場合は、主制御部6は、図4(L)に示す操作画面16に、顧客に紙幣を返却することを表示し、一時貯留部14に貯留されている紙幣を顧客に返却する。ステップS14で主制御部6は、図4(G)に示す操作画面16により顧客に通帳を受け取ることを指示して、通帳を顧客に返却し、図4(J)に示す操作画面16に、顧客に取引が終了したことを表示し、取引は終了となる。
【0021】次に本発明の第2実施例の入金取引手順を図5のフロ−チャ−トに従い、図2、図3、図4を参照して説明する。なお、上記第1実施例と同様な部分には同一符号を付してその説明は省略する。図5は第2実施例の入金取引手順を示すフロ−チャ−トである。この第2実施例において、上記第1実施例と異なる点は、入金予定金額と計数金額とが一致しなくても、操作画面に入金予定金額と計数金額とを表示し、顧客が取引を実行したい場合は、入金処理を行う点である。
【0022】顧客はまず、図3(A)に示す操作画面16により“お預け入れ”を指定する。ステップS31で主制御部6は、図3(B)に示す操作画面16により、通帳を現金自動取引装置内に挿入することを顧客に指示し、挿入された通帳を現金自動取引装置内に取り込む。ステップS32で主制御部6は、図3(C)に示す操作画面16により、顧客に入金予定金額の入力と確認を指示する。ステップS33で主制御部6は、顧客が“確認”を指定したならば、ステップS34に進み、“訂正”を指定したならば、ステップS32に戻る。
【0023】ステップS34で主制御部6は、シャッタ11を開き、図3(D)に示す操作画面16により、顧客に紙幣を紙幣入出金装置5に投入することを指示する。ステップS35で主制御部6は、投入された紙幣を一枚分離機構12で一枚づつに分離し、紙幣鑑別部13で真偽及び金種判別、紙幣計数を行い、顧客には、図3(E)に示す操作画面16を表示しておく。ステップS36で主制御部6は、紙幣を一時貯留部14に貯留しておき、入金予定金額及び計数金額とを図3(F)に示す操作画面16に表示し、“確認”の判断を指示する。ステップS37で主制御部6は、顧客が“確認”を指定したならば、ステップS38に進み、顧客が“取消”を指定したならば、ステップS41に進む。
【0024】ステップS38で主制御部6は、収納手段により、紙幣を一時貯留部14から金種別に金庫15に収納する等の取引処理を行う。ステップS39で主制御部6は、通帳に取引内容等を印字し、図4(G)に示す操作画面16により顧客に通帳を受け取ることを指示して、顧客に返却する。ステップS40で主制御部6は、明細票に取引内容等を印字し、図4(H)に示す操作画面16により顧客に明細票を受け取ることを指示して、顧客に発行し、図4(J)に示す操作画面16に、顧客に取引が終了したことを表示し、取引は終了となる。
【0025】ステップS37からステップS41に進んだ場合は、紙幣を一時貯留部14に貯留しておき、入金予定金額と計数した金額とが一致しているか判断し、入金予定金額と計数した金額とが一致しているならば、ステップS42に進み、入金予定金額と計数した金額とが一致していないならば、ステップS44に進む。ステップS42で主制御部6は、図4(L)に示す操作画面16に、顧客に紙幣を返却することを表示し、一時貯留部14に貯留されている紙幣を顧客に返却する。ステップS43で主制御部6は、図4(G)に示す操作画面16により顧客に通帳を受け取ることを指示して、通帳を顧客に返却し、図4(J)に示す操作画面16に、顧客に取引が終了したことを表示し、取引は終了となる。
【0026】ステップS41からステップS44に進んだ場合は、主制御部6は、顧客が投入した紙幣を一時貯留部14に貯留した状態で、図4(K)に示す操作画面16に“取扱中止”を表示し、現金自動取引装置1を取扱い中止とし、行員にアラ−ムランプの点滅等により、現金自動取引装置1が取扱い中止となったことを知らせる。
【0027】また、図3(F)に示す状態に表示画面16があるときで、入金予定金額と計数金額とが一致していない場合、入金予定金額と計数金額とで、数字の異なっている箇所を点滅させたり、あるいは色を付けて表示すると、顧客はどうして現金自動取引装置が取扱い中止となったのかを、すぐ分かることになる。
【0028】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので以下に記載される効果を奏する。顧客による入金予定金額の入力が行なわれた後に、紙幣の投入を指示して、投入紙幣を計数し、入金予定金額と計数金額とが一致しない場合には、顧客の投入した紙幣を取り込んだままの状態で、装置を取扱い中止とする。あるいは、顧客による入金予定金額の入力が行なわれた後に、紙幣の投入を指示して、投入紙幣を計数し、そして入金予定金額と計数金額とを操作画面に表示し、顧客により取引中止が指定され、入金予定金額と計数金額とが一致しない場合には、顧客の投入した紙幣を取り込んだままの状態で、現金自動取引装置を取扱い中止とする。
【0029】その結果、もし、入金取引の際、顧客の勘違いにより、顧客が実際に投入した紙幣の金額と、顧客が投入しようとした金額とが一致せず、顧客が窓口に申告に来ても、現金自動取引装置は、顧客の投入した紙幣を取り込んだままの状態で取扱い中止となっているので、現場の保存ができており、顧客を説得するのが容易となる。それ故、顧客の勘違いによるトラブルの発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の入金取引手順を示すフロ−チャ−トである。
【図2】第1、第2各実施例に係る現金自動取引装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】操作画面の表示例を示す説明図である。
【図4】操作画面の表示例を示す説明図である。
【図5】第2実施例の入金取引手順を示すフロ−チャ−トである。
【符号の説明】
1 現金自動取引装置
5 紙幣入出金装置
6 主制御部
16 操作画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入金予定金額の入力が行なわれた後に、紙幣の投入指示を操作画面に表示し、投入された紙幣を計数し、入金予定金額と計数金額とが一致した場合には取引処理を行い、入金予定金額と計数金額とが一致しない場合には、装置を取扱い中止とすることを特徴とする現金自動取引方法。
【請求項2】 入金予定金額の入力が行われた後に、紙幣の投入指示を操作画面に表示し、投入された紙幣を計数し、入金予定金額と計数金額とを操作画面に表示し、入金処理が指定された場合には取引処理を行い、取引中止が指定された場合、入金予定金額と計数金額とが一致していると紙幣を返却し、入金予定金額と計数金額とが一致していないと装置を取扱い中止とすることを特徴とする現金自動取引方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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