説明

球体搬送装置

【課題】 球体を搬送する際に、一部で故障が生じても、搬送全体が停止することが無く、高さ寸法が小さい搬送装置を提供する。
【解決手段】 多数のパチンコ玉36を水平な搬送方向に搬送する球体搬送装置10が、搬送樋11を有し、搬送樋11の底壁12に載置されたパチンコ玉36が、転動して、実質的に水平方向に移動可能である。底壁12の上方に羽根車20a乃至20hが設けられている。羽根車20a乃至20は、パチンコ玉36の搬送方向を横切る軸回りに回転可能な複数の回転体を有し、その周囲にパチンコ玉36に接触可能に羽根部材が付設されている。各回転体を同一方向にモータが回転させる。羽根車20a乃至20hの回転によって羽根部材が、パチンコ玉36に衝突することにより、パチンコ玉36が搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ玉のような球体を搬送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ玉の搬送装置としては、例えば特許文献1、2に示されているようなものがある。特許文献1の技術では、パチンコ島に一列に配置された複数のパチンコ機から下部に排出されたパチンコ玉を、パチンコ島の下部において揚送研磨装置側を向いて下方に傾斜させた回収樋で回収する。パチンコ玉は、揚送研磨装置によって研磨されながら、パチンコ島の上部に揚送され、揚送研磨装置から各パチンコ機に沿って斜め下方に傾斜した搬送樋によって各パチンコ機に循環補給される。特許文献2の技術では、パチンコ島の上部に揚送されたパチンコ玉をパチンコ島の全長にわたって水平に配置したベルトコンベヤによって搬送しながら、各パチンコ機にパチンコ玉を補給する。
【0003】
【特許文献1】特開平5−237255号公報
【特許文献2】特許第2518490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、パチンコ玉を搬送するために、回収樋及び搬送樋をそれぞれ傾斜させる必要がある。そのため、パチンコ島が高くなり、パチンコ島の大型化、遊技店内の視界悪化による防犯性の低下、美観の低下、照明や換気などの店内環境が悪化する。特許文献2によれば、特許文献1の課題は解決できるが、搬送手段として、パチンコ島の全長に渡って1台のベルトコンベヤを配置しているので、ベルト切断や駆動装置の故障などにより、ベルトコンベヤでパチンコ玉の搬送が行えなくなると、パチンコ島全体のパチンコ玉の補給機能が停止する。特に、パチンコ島では、賞球や貸し玉の払い出しのため、常にパチンコ玉を補給する必要があり、パチンコ島全体でパチンコ玉の補給機能が停止すると、そのパチンコ島の全てのパチンコ機を停止させなければならず、大きな損失となる。更に、パチンコ島の全長に渡るベルトコンベヤを使用しているので、パチンコ島の長さの変更や、湾曲した島への対応が困難となる。なお、パチンコ玉に限らず、他の球体、例えばボールベアリングのボールを工場などで搬送する場合にも、ベルトコンベヤの停止によって、ベルトコンベヤに沿って配置してある機器を停止させなければならない問題やラインの変更が容易でない問題が生じる。
【0005】
本発明は、球体を搬送する際に、一部で故障が生じても、搬送全体が停止することが無い球体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による球体搬送装置は、多数の球体を水平方向に搬送するもので、搬送樋を有している。搬送樋は、それに載置された各球体、例えばパチンコ玉やボールが、転動して、実質的に水平方向に移動可能に構成されている。搬送樋は、底壁と、その底壁にその長さ方向に沿って形成した側壁を有することが望ましい。前記搬送樋の上方に複数の回転体が設けられている。これら回転体は、その回転体の搬送方向を横切る軸回りに回転可能である。この軸は、ほぼ水平に配置されることが望ましい。これら回転体は、前記搬送路の搬送方向に間隔をおいて配置されることが望ましい。各回転体の周面には、前記球体と接触可能に羽根部材が付設されている。1つの回転体に対し、羽根部材は少なくとも1つ設けられ、角度をおいて複数の羽根部材を設けることもできる。複数の回転体は、駆動手段によって回転させられる。なお、回転体は同一の搬送方向に球体を搬送することができる方向に、駆動手段によって駆動されることができる。また、各回転体は、搬送方向に沿って、両側に設けることもできるし、片側だけに設けることもできる。前記回転体とともに回転する前記羽根部材が、前記搬送樋上の球体に衝突することにより、球体を搬送する。
【0007】
このように構成された球体搬送装置では、回転している回転体の羽根部材に球体が接触し、球体が羽根部材に弾かれて転動し、搬送される。この球体搬送装置は、複数の回転体によって球体を搬送させているので、一部の回転体が何らかの理由で停止したとしても、球体の搬送が完全に停止されることが無い。また、搬送樋は、ほぼ水平に配置されているので、この球体搬送装置の高さが高くなることはない。
【0008】
前記搬送樋の側方に、前記各球体の排出口を搬送樋上の球体が進入可能に設けることができる。排出口は、前記搬送樋の側壁に設けることも可能である。また、搬送樋の長さ方向に間隔をおいて複数の排出口を配置することも可能である。排出口は、球体を利用する機器と連通していることが望ましい。
【0009】
このように構成すると、搬送樋上を回転体が転動されている間に、排出口に到達した回転体が排出口から排出され、球体を利用する機器に供給される。
【0010】
前記搬送樋の底面の少なくとも一部を、前記排出口に向かって下り傾斜となる斜面とすることができる。例えば搬送樋の側方に向かって斜め下方に傾斜するように搬送樋の底壁を形成することができる。排出口が搬送樋の搬送方向の両側に配置される場合、搬送樋の中央部が最も高く、両方の列に向かってそれぞれ斜め下方に向かって底壁を傾斜させることができる。
【0011】
このように構成すると、底壁上にある球体は、各排出口に寄って行き、効率的に球体の分離排出が行われる。
【0012】
前記回転体は、ワンウェイクラッチを介して前記駆動手段に連結することができる。ワンウェイクラッチは、球体の搬送方向に回転可能で、搬送方向と反対方向に回転不能である。
【0013】
このように構成することによって、なんらかの原因で駆動手段が停止して、回転体の駆動ができない場合でも、回転体は球体の搬送方向には回転可能であるので、駆動されない回転体の羽根部材に球体が接触することによって、この駆動されない回転体も回転する。従って、駆動されない回転体が球体が転動するのを阻止することはない。
【0014】
前記羽根部材は、前記回転体に対し揺動可能に付設することが望ましい。揺動は少なくとも球体の搬送方向に行われることもできる。
【0015】
このように構成することによって、なんらかの原因で駆動手段が停止して、回転体の駆動ができない場合でも、羽根部材は球体の搬送方向には揺動可能であるので、球体が羽根部材に接触したとき、羽根部材が揺動して、球体の転動を阻止することはない。
【0016】
前記駆動手段を複数設けることができる。この場合、これら各駆動手段は1または複数の回転体を駆動する。
【0017】
このように構成することによって、たとえ1台の駆動手段が故障して、或る回転体が停止したとしても、他の回転体は回転を継続し、球体の搬送を継続することができ、搬送樋での球体の搬送が完全に停止することは無い。
【0018】
搬送樋は、複数の搬送樋ユニットを連結して構成することもできる。この場合、各搬送樋ユニットには、少なくとも1つの回転体が設けられている。このように搬送樋ユニットを使用すると、搬送樋ユニットの連結の仕方を調整することによって、搬送経路の長さの変更や曲がった搬送経路も容易に構成することができる。
【0019】
前記複数の回転体を、前記搬送樋の側方からの距離が異なる複数の位置に設置することもできる。このように構成すると、いずれかの回転体が何らかの原因で球体の搬送を行えなくなり、その回転体の設置位置の搬送方向の流れは停止しても、搬送樋の側方からの距離が異なる他の回転体により、停止した回転体に影響されない搬送流が維持されるので、球体の搬送が完全に停止されることはない。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、球体の搬送装置の高さを低くすることができ、特に球体としてパチンコ玉を用い、この搬送装置をパチンコ玉の回収装置や補給装置やパチンコ島間の搬送装置として使用する場合、パチンコ島の高さの低減に大きく貢献する。また、搬送装置の一部に故障などの不具合が発生しても、搬送装置全体の機能が停止することが無く、球体の搬送を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態の搬送装置は、図1に示すようなパチンコ島1に実施されている。パチンコ島1には、複数のパチンコ機2が並設されている。各パチンコ機2において遊技に使用されたパチンコ玉は、パチンコ機2から排出され、パチンコ島1の下部に設けられた回収装置3により揚送装置4の下部へ搬送される。回収装置3は、図1の左側の島端から右側の島端まで斜め下方に傾斜して設けられた樋である。揚送装置4は、図1におけるパチンコ島の右端に設けられており、パチンコ玉の研磨機能を併設したリフトである。揚送装置4は、パチンコ玉を研磨しながら、パチンコ島1の上部に揚送する。揚送されたパチンコ玉は、補給シュート6を介して補給装置5に供給される。なお、図1では、パチンコ島1の片側しか示していないが、反対側にも同様にパチンコ機2が並設されている。
【0022】
補給装置5は、ほぼ水平に配置され、パチンコ玉を上流側、例えば図1の右側の島端から、下流側、例えば左側の島端まで搬送する途中に、パチンコ島1の両側にある各パチンコ機2にパチンコ玉を補給する。補給装置5の左の島端まで到達したパチンコ玉は、オーバーフロー部7によって、回収装置3に戻される。
【0023】
なお、揚送装置4の上部排出口を補給装置5よりも若干高い位置に設け、補給シュート6を補給装置5側を向いて下方に傾斜させ、補給装置5に供給される各パチンコ玉に若干の推進力を付与しておくことが、補給装置5上で円滑にパチンコ玉を搬送する上で望ましい。
【0024】
補給装置5の搬送装置として、本発明の1実施形態の搬送装置10が設けられている。この搬送装置10は、図2に示すように、搬送樋、例えば樋状の搬送装置本体11を有している。この本体11は、底壁12と側壁13とを有している。底壁12は、パチンコ島1の長さ方向に沿ってほぼ水平に配置され、その両長手縁に沿って側壁13、13が形成されている。底壁12は、図4(a)に示すように、幅方向の中央を頂点として、側壁13、13方向に向かって下方に傾斜している。即ち、逆V字型である。
【0025】
搬送装置10の両側には、側壁13を外方に膨出させて、球体排出口、例えばパチンコ玉分離排出口14が適当な間隔をおいて形成されている。パチンコ玉分離排出口14は、シュート状に形成され、その下端には、図3及び図4(a)に示すように、蛇腹管15が結合されている。各パチンコ玉分離排出口14に入ったパチンコ玉は、各パチンコ玉分離排出口14に対応するパチンコ機2に蛇腹管15を介して補給される。
【0026】
搬送装置10の終端である左端側には、終端まで搬送されたパチンコ玉を、オーバーフロー部7に通じるオーバーフロー口16が形成されている。オーバーフロー口16もシュート状に形成され、これの下端に結合された蛇腹管をオーバーフロー部7としている。
【0027】
底壁12の長さ方向に適宜の間隔をおいて、複数の羽根車20a乃至20hが配置されている。すなわち、一方の側壁13に沿って羽根車20a乃至20dが配置され、他方の側壁13に沿って羽根車20e乃至20hが配置されている。羽根車20aと20hとが対応する位置にあり、羽根車20bと20gとが対応する位置にあり、羽根車20cと20fとが対応する位置にあり、羽根車20dと20eとが対応する位置にある。なお、これ以外にも多数の羽根車が設けられているが、図示省略してある。各羽根車20a乃至20hのうち、羽根車20aと20bとの間、羽根車20cと20dとの間、羽根車20eと20fとの間、羽根車20gと20hとの間に、分離排出口14が位置している。
【0028】
各羽根車20a乃至20hは、モータ等の駆動手段により回転駆動される。図3に示すように、例えば1つのモータ23aと、プーリ24a、24b、タイミングベルト25により1つの羽根車20hを回転駆動している。羽根車20aも同様に1つのモータ23aによって回転されている。また、プーリ26a、26b、26cやタイミングベルト27a、27bを利用して、1つのモータ23bによって複数の、例えば接近して配置されている羽根車20f、20gが回転駆動されている。羽根車20b、20cも同様である。羽根車20e、20dも図示していない隣接している羽根車と1つのモータ23bによって回転駆動されている。なお、各羽根車20a乃至20hに1個ずつモータを設けることもできるし、全ての羽根車20a乃至20hを複数の組に分け、組ごとに1台のモータを設けて複数の羽根車を1台のモータで駆動することもできる。いずれにしても、モータの最大台数は、羽根車の台数である。各モータ23a、23bは、いずれも底壁13の下方に配置され、これらのために余分な設置スペースを必要としない。
【0029】
このように1つのモータと、1つまたは少数の羽根車とを羽根車ユニットとしてユニット化し、搬送装置10に複数のユニットを設けるようにすることで、或る羽根車ユニットに故障が生じても、他のユニットに故障が波及することを防止できる。
【0030】
なお、底壁12の一方の側にある各羽根車20a乃至20dは、それらに接触したパチンコ球が上流側から下流側、例えば図2における右側から左側に転動するように駆動力を与えるように、モータ23a、23bによって回転させられている。
【0031】
各羽根車20a乃至20hは、図5に示すように柱状、例えば円柱状の回転体30を有している。これら回転体30は、図2に示すように、その一端部が側壁13付近に位置し、他端部が底壁12の中央部付近に位置している。この回転体30の外周囲に、複数枚、例えば4枚の羽根部材31が、所定角度、例えば90度ごとに取り付けられている。これら羽根部材31は、図4(a)に示すように、傾斜している底壁12上に配置されたときに、底壁12との間にパチンコ玉の直径よりも小さい隙間を形成して位置するように台形状に形成されている。即ち、台形状である羽根部材31の斜辺において、側壁13付近での回転体30の表面から斜辺までの距離は、底壁12の中央付近での回転体30の表面から斜辺までの距離よりも長い。このため、羽根部材31の斜辺の速度は、底壁12の中央付近よりも側壁13に近い位置の方が大きくなる。この羽根部材31の形態は、底壁12が中央から側壁13に向けて下り傾斜され、その結果、側壁13の付近にパチンコ玉が集まりやすいので、側壁13に近い位置ほど高い搬送能力が必要な本実施形態にとっては好都合である。
【0032】
回転体30の中心には、図6に示すように、回転軸32がワンウェイクラッチ33、34、35を介して取り付けられている。この回転軸32は、側壁13に挿通されて、側壁13に対してほぼ垂直である。回転軸32の側壁13から突出している端部に、ワンウェイクラッチ35を介して上述したプーリ24b、26bまたは26cが取り付けられている。ワンウェイクラッチ33、34、35は、回転体30をパチンコ玉の搬送方向に空転させ、反対方向には回転を阻止するトルクを発生する。これによって、モータ23a、23bの故障によって、回転部材30が回転不能となっても、羽根部材31にパチンコ玉が衝突すると、回転部材30が回転し、パチンコ玉の転動を阻止することはない。なお、ワンウェイクラッチ33、34と35とのうちいずれか一方のみを設けることもできる。
【0033】
このように構成された搬送装置10では、シュート6を介してパチンコ玉36が底壁12上に供給され、各羽根車20a乃至20hの上流側で羽根部材31に接触すると、各羽根車20a乃至20hの回転に従ってパチンコ玉36は、羽根部材31間の空間を通って下流側に押し出され、羽根部材31から離れるときに下流側に向かう駆動力が与えられ、下流側に転動する。底壁12は側壁13側に下り傾斜であるので、駆動力が与えられたパチンコ玉36は、側壁13側にも転動し、各羽根車の間に配置されている分離排出口14から一部が排出され、終端側にあるオーバーフロー部7に向かう。上述したように羽根部材31が台形状に形成され、その斜辺部分の側壁13に近い位置ほど回転速度が速いので、側壁13付近に大量にパチンコ玉36が集まっても、これを容易に搬送することができる。なお、オーバーフロー部7は必ずしも必要ではなく、補給装置5内のパチンコ玉36は、各分離排出口14から排出されることによってのみ、外部へ排出可能としてもよく、この場合、終端側に設けた羽根車20a、20hは不要である。
【0034】
上記の実施の形態では、同じ側壁13側にある羽根車、例えば20f、20gを1台のモータ23bで回転させるように構成したが、例えば図4(b)に示すように構成して、両側壁13、13における対応する位置にある羽根車、例えば羽根車20bと20gとを1台のモータ23bによって回転させることもできる。即ち、羽根車20b、20gに共通に回転軸32を設け、この回転軸32の両端部を側壁13、13にそれぞれ挿通し、その一方の端部と、モータ23bとの間をプーリ26a、26b、タイミングベルト27aで結合すればよい。この場合も、ワンウェイクラッチ33、34、35を使用することができる。
【0035】
上記の実施の形態では、ワンウェイクラッチ33、34、35を用いて、羽根車20a乃至20hが下流側にのみ回転するように構成したが、図7に示すような逃げ機構を採用して羽根部材のみを下流側にのみ回転するように構成することもできる。即ち、各羽根車20a乃至20hの回転体30aは、柱状体30bの周面に所定角度ごとに複数、例えば4つの突出部30cを外方に突出するように設け、突出部30cの側面に羽根部材31がばね付き蝶番37を介して設けられている。この回転部材30aが図7に矢印Aで示す方向に回転すると仮定すると、羽根部材31は、ばね付き蝶番37によって矢印Bで示すように回転部材30aの回転方向とは反対方向に、即ち突出部30cに押し付けられるように付勢されているが、矢印Cで示すように回転部材30aの回転方向と同じ方向の力が加わると、その方向にばね付き蝶番37によって揺動し、突出部30cから離れる方向に回転する。バネ付き蝶番37の付勢力は、搬送されるパチンコ玉36が羽根部材31を押す力よりも小さく設定されている。
【0036】
このように構成しているので、なんらかの原因で回転体30aが、矢印Aの方向に回転不能となって、回転体30a自身がパチンコ玉36を搬送することができなくなっても、パチンコ玉36が羽根部材31に接触すると、羽根部材31が矢印C方向に回転し、パチンコ玉36が移動する。従って、パチンコ玉36の滞留が生じない。
【0037】
上記の実施の形態では、搬送装置10は、1つの本体部11を有するものを示したが、例えば図8に示すように、適当な長さの搬送装置ユニット40を複数連結して本体部を構成とすることもできる。図8では、パチンコ機2の横幅よりも若干長い長さの搬送路部材41の両側壁に1対の分離排出口14が形成してある。搬送路部材41の底壁は、上記の本体部11と同様に、その幅方向の中央を頂点として、両側を向いて下方に傾斜している。搬送路部材41は、底壁の他に両側壁を有し、両側壁それぞれにその長さ方向に間隔をおいて2個ずつ羽根車20が設けられている。これら羽根車は、上述した実施形態の羽根車20a乃至20hと同一のものである。同じ側壁側の1対の羽根車20は、1つの駆動装置(図示せず)により駆動される。これら搬送ユニット40を組み合わせて、1つの搬送装置10が形成される。なお、搬送ユニット40は、全て同一種類のものとしたが、例えば羽根車20も分離排出口14も設けていない搬送路部材41のみのものや、羽根車20を1つだけ設け、分離排出口14を設けていないものや、羽根車20を設けないで、分離排出口14を1つだけ設けたもの等の複数種類のものを予め用意し、これら複数種類のものを、要求される搬送装置10の形態に応じて適宜組み合わせて、1つの搬送装置10を形成することもできる。
【0038】
このように構成することによって、1本の長い搬送装置とする場合に比べ、搬送装置10の長さを適宜調整することが可能となり、運搬や組付けが容易になる。
【0039】
さらに、近年、パチンコホールでは、その独自性を演出するため、湾曲したパチンコ島を構築する要求も多いが、図6に示すように複数の搬送装置ユニット40を、平面視三角形状のスペーサ42を介して連結することにより、搬送装置10全体を湾曲させたり、蛇行形状にしたりすることもでき、上記の要求に容易に応えることができる。
【0040】
上記の実施形態では、1つまたは2つの回転部材に対してモータを設けたり、回転部材をワンウェイクラッチによって支持したりすることによって、回転部材やモータに不具合が発生しても、パチンコ玉36の搬送機能全体を停止させることがないようにしてある。しかし、各羽根車20a乃至20hは、図2に示すように底壁12の幅方向のほぼ半分を示す長さであるので、万一、モータ23aまたは23bが故障し、かつ、そのモータが駆動する羽根車のワンウェイクラッチも故障した場合、その故障したモータ23aまたは23bが駆動する羽根車の付近でパチンコ玉が滞留し、その故障したモータ23aまたは23bが駆動する羽根車が位置する側壁側では、パチンコ玉の搬送が停止する可能性がある。
【0041】
この事態を回避するために、図9に示すように、各羽根車20の回転部材30の長さを比較的短くし、底壁12の幅方向に沿って複数の回転部材30を配置してある。即ち各回転部材30が、側壁13からそれぞれ異なる距離の位置に、側壁13の長さ方向に沿って配置されている。そして、各回転部材30を、別々のモータによって駆動したり、比較的少数の複数の回転部材を1つのモータで駆動したりするように構成してある。各回転部材30は上記の実施形態と同様にワンウェイクラッチによってその回転軸に結合されたり、回転軸とモータとがワンウェイクラッチを介して結合されていたり、羽根部材31が図7に示したような逃げ機構を介して回転部材に取り付けられていたりする。
【0042】
このように構成することによって、いずれかの羽根車20が回転を停止し、かつその羽根車に関連するワンウェイクラッチが故障しても、図7に示した羽根部材の逃げ機構が故障しても、搬送装置10全体でのパチンコ玉の搬送が停止されることはない。
【0043】
上記の実施形態では、回転部材30の回転軸32を水平に設けたが、図10に示すように、回転部材30の回転軸32を、底壁12の傾斜とほぼ平行になるように傾斜させて設けることもできる。この場合、回転部材30の羽根部材31は、長方形状にする。これによって、底壁12の中央付近と側壁13付近での羽根部材31の回転速度が等しくなる。
【0044】
上記の実施の形態では、本体部11は、シュート6側からオーバーフロー部7まで水平に配置したが、パチンコ玉36の搬送効率を上げるため、シュート6側が高く、オーバーシュート7側が低くなるように、即ち上流側から下流側に向けて本体部11を若干傾斜させて配置することもできる。この場合でも、特許文献1に示したような回収樋や搬送樋のようにパチンコ玉の位置エネルギーを利用して搬送させるものほどに傾斜させる必要は無く、実質水平とみなせる程度の傾斜をつければよく、パチンコ島1の高さを低くすることはできる。
【0045】
上記の実施の形態では、搬送装置10は、補給装置に実施したが、パチンコ島1の回収樋や、パチンコ島間のパチンコ玉の搬送装置としても使用することができる。回収樋や島間搬送装置として使用する場合には、分離排出口14を除去することができる。
【0046】
上記の実施の形態では、両島のパチンコ島の補給装置として、本発明の搬送装置を使用したので、搬送装置10の搬送方向の両側に羽根車や分離排出口を設けたが、一方の側にのみパチンコ機2を備えた片島の場合には、一方の側にのみ羽根車や分離排出口を設ければよい。その場合、底壁12は、その両長手縁のうち羽根車や分離排出口が設けられていない側から設けられている側を向いて下方に傾斜させればよい。
【0047】
上記の実施の形態では、底壁12は、その縦断面形状を逆V字型としたが、これに限らず、底壁12の幅方向の中央付近から両側に向かって円弧状に湾曲した斜面を持つ縦断面形状が湾曲型のものや、底壁12の幅方向の中央付近から両側に向かう途中で傾斜角度が変化する縦断面形状が多角形型など、搬送されるパチンコ玉を排出口14側に誘導することができる斜面を持つ形状であれば、種々のものを使用することができる。
【0048】
上記の実施形態では、回転体30は円柱状に形成したが、他の柱状、例えば角柱状に形成することもできる。また、分離排出口14は、側壁13を膨出させて構成したが、側壁13とは別個に分離排出口を形成することもできる。また、各回転体の回転軸31を側壁13に対してほぼ垂直に設けたが、側壁13に対して傾斜させて設けてもよい。
【0049】
上記の実施の形態では、パチンコ玉の搬送に本発明を実施したが、これに限ったものではなく、他の球体、例えばボールベアリングのボール等の搬送にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の1実施形態の搬送装置を使用するパチンコ島の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明の1実施形態の搬送装置の部分省略平面図である。
【図3】図2の搬送装置の側面図である。
【図4】図3のA−A断面拡大図及びこ図2の搬送装置の変形例のA−A断面拡大図に対応する図である。
【図5】図2の搬送装置で使用する羽根車を示す斜視図である。
【図6】図5の羽根車の取り付け状態を示す拡大断面図である。
【図7】図5に示す羽根車の変形例の正面図である。
【図8】図2の搬送装置の変形例の一例を示す平面図である。
【図9】図2の搬送装置の変形例の他の例を示す平面図である。
【図10】図2の搬送装置における羽根車の取り付けの変形例の図3のA−A線に沿う断面図に対応する図である。
【符号の説明】
【0051】
10 搬送装置
11 本体部(搬送樋)
12 底壁
13 側壁
14 分離排出口(排出口)
20 20a乃至20h 羽根車
22a 22b モータ(駆動手段)
30 回転体
31 羽根部材
40 搬送装置ユニット
41 搬送路部材(搬送樋)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の球体を水平な搬送方向に搬送する球体搬送装置であって、
載置された前記各球体が、転動して、実質的に水平方向に移動可能な搬送樋と、
前記搬送樋の上方に設けられ、前記球体の搬送方向を横切る軸回りに回転可能な複数の回転体と、
前記回転体の周囲に前記球体に接触可能に付設されている羽根部材と、
前記回転体を回転させる駆動手段とを有し、
前記回転体とともに回転する前記羽根部材が、前記搬送樋上の球体に衝突することにより、球体を搬送する球体搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の球体搬送装置において、前記搬送樋の側方に、前記搬送樋上の前記球体が進入可能に前記各球体の排出口を設けた球体搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の球体搬送装置において、前記搬送樋の底面の少なくとも一部が、前記排出口に向かって下り傾斜となる斜面とされている球体搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか記載の球体搬送装置において、前記回転体は、前記回転体を前記球体の搬送方向に回転可能で反対方向に回転不能とするワンウェイクラッチを介して前記駆動手段に連結されている球体搬送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか記載の球体搬送装置において、前記羽根部材は、前記回転体に対し揺動可能に付設されている球体搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか記載の球体搬送装置において、
前記駆動手段が複数設けられ、これら各駆動手段は1または複数の回転体を駆動する球体搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか記載の球体搬送装置において、前記搬送樋は、複数の搬送樋ユニットを連結してなる球体搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか記載の球体搬送装置において、前記複数の回転体は、前記搬送樋の側方からの距離が異なる複数の位置に設置可能である球体搬送装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate