説明

球技用ゴール

【課題】ボルト締め付けの初期から連結部材の片寄りが生じにくい球技用ゴールを提供する。
【解決手段】各棒状部材10,22は内周面に軸方向に延在する被係合部13を有し、各棒状部材10,22の内空部に挿入される連結部材30は外周面に軸方向に延在し且つ被係合部13を挟み込むように設けられた一対の係合部33a,33bを有する。連結部材30の内空部に配設される棒ナット38の一端面は連結部材30の内周面に固定され、他端面は各棒状部材10,22の内周面に隙間を空けて対向する。一対の係合部33a,33bを被係合部13に接触させた状態で、棒ナット38の他端側にボルトB2を締め込んで隙間を小さくすると、連結部材30が棒ナット38の軸方向に縮みつつ軸方向に略直交する方向に伸びて、連結部材30と棒状部材10,22とが接触して押圧されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球技用ゴールに関する。
【背景技術】
【0002】
サッカーやハンドボール等の球技で使用される従来の球技用ゴールとして、ゴール入口を形成するクロスバーと一対のゴールポストとがクロスバー継材を介して連結されたものがある(特許文献1参照。)。
【0003】
図14は、従来の球技用ゴールの要部分解斜視図であり、図15は、棒状部材であるクロスバーの内空部内に、連結部材であるクロスバー継材を挿入した状態の断面図である。 なお、クロスバー連結軸は、クロスバーと同一の断面形状に形成されており、クロスバー継材がクロスバー連結軸の内空部内に挿入された状態は、クロスバー継材がクロスバーの内空部内に挿入された状態と同様の構成となる。
図14に示すように、ゴールポスト300は、その上端部から内側側方に延出するクロスバー連結軸310を備えている。
図14及び図15に示すように、クロスバー200及びクロスバー連結軸310は、中空筒状に形成されており、その内周面には一対の第一凸部210a,220a及び一対の第二凸部210b,220bが全長にわたって形成されている。クロスバー200及びクロスバー連結軸310の外周面にはレール溝230が全長にわたって形成されており、レール溝230の底壁には複数のボルト挿入孔240,240・・・が形成されている。
また、クロスバー継材400の外周面には、各内空部内に挿入された状態において、第一凸部210a,220aの間に位置する第一凸部410と、第二凸部210b,220bの間に位置する第二凸部420とがそれぞれ全長にわたって形成されている。クロスバー継材400の外周面には、上下に離間して配置された第三凸部430,430が全長にわたって形成されており、この第三凸部430,430の間にレール溝230が位置している。また、第三凸部430,430の間の後壁には複数の棒ナット挿通孔440,440・・・が形成され、クロスバー継材400の内空部内には雌ネジ穴460を有する棒ナット450が配設されている。
【0004】
そして、クロスバー200とクロスバー連結軸310とは、クロスバー継材400をクロスバー200及びクロスバー連結軸310の内空部内に挿入し、ボルト挿入孔240、棒ナット挿通孔440を介して、棒ナット450の雌ネジ穴460にボルトBを螺入して、締め込むことにより連結される。
【0005】
また、このような構成により、クロスバー継材がクロスバー及びクロスバー連結軸の内空部内で軸回りに回転することを防止している。従って、クロスバー継材をクロスバー及びクロスバー連結軸の内空部内に挿入したときに、クロスバー継材の周方向の位置決めを行う必要がないため、組み立て時の作業効率が向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4084698号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の球技用ゴールでは、クロスバー継材の外周面とクロスバー及びクロスバー連結軸の内周面との間に隙間(クリアランス)があるため、ボルト締め付けの初期に僅かではあるが上又は下にクロスバー継材が片寄る場合がある。
【0008】
尚、このような問題は、球技用ゴールを構成するゴールポスト等の他の棒状部材間を連結する連結部材にも共通してあてはまる問題である。
【0009】
本発明は、かかる問題を解決するために創案されたものであり、ボルト締め付けの初期から連結部材の片寄りが生じにくい球技用ゴールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、中空筒状を呈する複数の棒状部材と、隣り合う前記各棒状部材の端部間を連結する中空筒状の連結部材と、を備え、前記各棒状部材が組み合わされて構成される球技用ゴールであって、前記各棒状部材の内空部に前記連結部材が挿入されており、前記連結部材の内空部に棒ナットが配設されており、前記棒ナットの一端面は、前記連結部材の内周面に固定されており、前記棒ナットの他端面は、前記各棒状部材の内周面に臨んで隙間を空けて対向しており、前記各棒状部材は、その内周面において軸方向に延在する被係合部を有し、前記連結部材は、その外周面において軸方向に延在し且つ前記被係合部を挟み込むように設けられた一対の係合部を有し、一対の前記係合部を前記被係合部に接触させた状態で、前記棒ナットの他端側にボルトを締め込んで前記隙間を小さくすると、前記連結部材が前記棒ナットの軸方向に縮みつつ前記軸方向に略直交する方向に伸びて、前記連結部材の外周面と前記棒状部材の内周面とが接触して押圧される、ことを特徴とする。
【0011】
尚、一対の係合部と被係合部とは、互いの傾斜面を介して面接触していることが望ましい。
【0012】
本発明によれば、棒状部材に形成された被係合部に対して、連結部材に形成された一対の係合部を挟み込むように接触させているため、ボルトを締め込む前から棒状部材に対する連結部材の動きが規制される。したがって、ボルト締め付けの初期から連結部材の片寄りが生じにくい。
【0013】
また、一対の係合部が被係合部を挟み込むように接触しているため、棒状部材間の連結強度が高まる。さらに、複数の棒状部材が組み合わされて球技用ゴールが構成されることによって、運搬時には複数の棒状部材を運ぶだけで済むため、運搬しやすくなり、運搬コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る球技用ゴールによれば、ボルト締め付けの初期から連結部材の片寄りが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る球技用ゴールの構成を示す全体斜視図である。
【図2】本実施形態に係る球技用ゴールの骨組の分解斜視図である。
【図3】本実施形態に係る球技用ゴールの要部分解斜視図である。
【図4】(a)はクロスバーの断面図、(b)はクロスバー継材の断面図である。
【図5】(a)は棒ナットの斜視図であり、(b)はネットフックの斜視図である。
【図6】クロスバーの内空部内にクロスバー継材を挿入した状態の断面図である。
【図7】後方からボルトを螺入して締め込んだ状態の断面図である。
【図8】クロスバーとクロスバー連結軸とを連結する最初の工程を表す斜視図である。
【図9】図8に続く工程を表す斜視図である。
【図10】図9に続く工程を表す斜視図である。
【図11】図10に続く工程を表す斜視図である。
【図12】図11に続く工程を表す斜視図である。
【図13】(a)及び(b)は、実施形態の変形例に係る係合部及び被係合部の構成を示す断面図である。
【図14】従来の球技用ゴールの要部分解斜視図である。
【図15】従来の球技用ゴールに係るクロスバーの内空部内にクロスバー継材を挿入した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
本実施形態に係る球技用ゴール1は、図1及び図2に示すように、クロスバー10と、ゴールポスト20と、クロスバー継材30と、上部サイドフレーム40と、下部サイドフレーム50と、後部フレーム60と、後部フレーム継材70と、後部コーナー継手80と、ネットNと、を備えて構成されている。
クロスバー10とゴールポスト20とは、図3に示すように、クロスバー継材30を介して連結されている。
【0018】
クロスバー10は、図2に示すように、第一クロスバー10aと、第二クロスバー10bとに2分割されている。第一クロスバー10aと第二クロスバー10bとは、クロスバー継材30を介して連結されている。なお、第一クロスバー10a及び第二クロスバー10bが特許請求の範囲でいう「棒状部材」に相当する。また、以下の説明においては、第一クロスバー10a、第二クロスバー10bの各クロスバーを単にクロスバー10ともいう。
【0019】
クロスバー10は、図4(a)に示すように、中空筒状を呈しており、上下対称の断面形状となっている。クロスバー10は、アルミニウムやアルミニウム合金の押出形材で構成されている。各クロスバー10の長さ、外径及び肉厚は、例えば、2700mm、120mm、3mmにそれぞれ設定されている。クロスバー10の内周面の前側上部には、一対の第一凸条11a,12aが上下方向に離間して形成されている。第一凸条11a,12aは、クロスバー10の全長に亘って軸方向に延在している。また、クロスバー10の内周面の前側下部には、一対の第二凸条11b,12bが上下方向に離間して形成されている。第二凸条11b,12bは、クロスバー10の全長に亘って軸方向に延在している。
【0020】
また、クロスバー10の後壁には、ネットフック90(図5(b)参照)が取り付けられるレール溝13が、軸方向の全長に亘って形成されている。被係合部としてのレール溝13は、クロスバー10の後壁の一部を径方向内側に窪ませて形成されている。
レール溝13は、後方に開口して形成された開口部13aと、開口部13aの開口縁近傍の内周面から径方向内側に向かって延出する上壁13bと、開口部13aの開口縁近傍の内周面から径方向内側に向かって延出し且つ上壁13bに離間して対向する下壁13cと、上壁13bと下壁13cの前端同士を連結する底壁13dと、から主に構成されている。なお、上壁13b、下壁13c及び底壁13dは、一体的に連続して形成されている。
【0021】
上壁13bと下壁13cとは、上下対称の断面形状となっている。上壁13bの上面13eの略中央から前端にかけては、径方向内側に向かうにつれて下側へ傾斜する傾斜面となっている。また、下壁13cの下面13fの略中央から前端にかけては、径方向内側に向かうにつれて上側へ傾斜する傾斜面となっている。なお、上面13eの外側寄りの部分は、下方に向かって切り欠かれている。また、下面13fの外側寄りの部分は、上方に向かって切り欠かれている。
底壁13dには、軸方向に所定の間隔を空けて、複数のボルト挿入孔13g,13g・・・が穿設されている(図11及び図12参照)。さらに、クロスバー10の上部及び下部は、軸方向の全長に亘ってそれぞれ他の部分よりも肉厚の肉厚部14a,14bとして形成されている。肉厚部14a,14bの内周面は、水平面に形成されている。
【0022】
ゴールポスト20は、図3に示すように、鉛直方向に沿って延在するゴールポスト本体21と、ゴールポスト本体21の上端部から内側側方に(クロスバー10に向かって)延出するクロスバー連結軸22と、ゴールポスト本体21の上端部から後方に(上部サイドフレーム40に向かって)延出する上部サイドフレーム連結軸23と、ゴールポスト本体21の下端部から後方に(下部サイドフレーム50に向かって)延出する下部サイドフレーム連結軸24(図2参照)と、から構成されている。
【0023】
ゴールポスト本体21は、図3に示すように、クロスバー10の断面形状と同一の断面形状に形成されており、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材で構成されている。ゴールポスト本体21の長さは、例えば、2500mmに設定されている。ゴールポスト本体21は、図3に示すように、レール溝13が後側に向くように配置されるとともに、肉厚部14a,14bが左右に向くように配置されている。ゴールポスト本体21のレール溝13の上端部には、ネットフック90を挿入するための切欠部27が切り欠いて形成されている。
【0024】
クロスバー連結軸22は、図3に示すように、クロスバー10及びゴールポスト本体21の断面形状と同一の断面形状に形成されており、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材で構成されている。クロスバー連結軸22の長さは、例えば、1020mmに設定されている。このように、クロスバー連結軸22が比較的長くなっているのは、クロスバー10を短くすることにより、クロスバー10を運搬しやすくするとともに、組立状態でクロスバー10が下方に撓みにくくなるようにするためである。クロスバー連結軸22は、ゴールポスト本体21の上端部に溶接等により固定されている。なお、クロスバー連結軸22が特許請求の範囲でいう「棒状部材」に相当する。
【0025】
上部サイドフレーム連結軸23及び下部サイドフレーム連結軸24は、中空筒状を呈しており、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材で構成されている。上部サイドフレーム連結軸23及び下部サイドフレーム連結軸24の長さと外径は、例えば、300mm、61mmにそれぞれ設定されている。上部サイドフレーム連結軸23は、図3に示すように、ゴールポスト本体21の上端部に溶接等により固定されている。そして、クロスバー連結軸22と上部サイドフレーム連結軸23とが交差するコーナー部には、補強リブ25が溶接等により固定されている。また、下部サイドフレーム連結軸24は、図2に示すように、ゴールポスト本体21の下端部に溶接等により固定されている。そして、ゴールポスト本体21と下部サイドフレーム連結軸24とが交差するコーナー部には、補強リブ26が溶接等により固定されている。
【0026】
クロスバー継材30は、第一クロスバー10aと第二クロスバー10bとを連結するとともに、クロスバー10とクロスバー連結軸22とを連結する役割を果たしている。なお、以下の説明においては、クロスバー10とクロスバー連結軸22との連結について説明するが、第一クロスバー10aと第二クロスバー10bとの連結も同様である。また、以下の説明においては、クロスバー継材30がクロスバー10の内空部内に挿入された状態について説明するが、クロスバー継材30がクロスバー連結軸22の内空部内に挿入された状態も同様の構成となる。さらに、クロスバー継材30が特許請求の範囲でいう「連結部材」に相当する。
【0027】
クロスバー継材30は、図4(b)に示すように、中空筒状を呈しており、上下対称の断面形状となっている。クロスバー継材30は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材で構成されている。クロスバー継材30の長さは、例えば、360mmに設定されている。また、クロスバー継材30の断面外形の上下高さと前後長さは、例えば、107mm、93mmにそれぞれ設定されている。すなわち、クロスバー継材30は、クロスバー10及びクロスバー連結軸22よりもやや小さめに設定されており、クロスバー10及びクロスバー連結軸22の内空部内に比較的容易に挿入できるように形成されている。
【0028】
クロスバー継材30の外周前面には、第一凸条31と、第二凸条32とが上下方向に離間して形成されている。第一凸条31,第二凸条32は、クロスバー継材30の全長に亘って軸方向に延在している。
図6に示すように、クロスバー継材30がクロスバー10の内空部内に挿入された状態で、クロスバー継材30の第一凸条31は、クロスバー10の第一凸条11a,12a間に位置し、クロスバー継材30の第二凸条32は、クロスバー10の第二凸条11b,12b間に位置している。つまり、クロスバー継材30の第一凸条31と、クロスバー10の第一凸条11a,12aとが、クロスバー10の内空部内におけるクロスバー継材30の軸回りの回転を規制する第一の回転規制部として機能する。また、クロスバー継材30の第二凸条32と、クロスバー10の第二凸条11b,12bとが、クロスバー10の内空部内におけるクロスバー継材30の軸回りの回転を規制する第二の回転規制部として機能する。
【0029】
また、図4(b)に示すように、クロスバー継材30の外周後面には、係合部としての一対の第三凸条33a,33bが上下方向に離間して形成されている。第三凸条33a,33bは、クロスバー継材30の全長に亘って軸方向に延在している。第三凸条33a,33bは、図4(b)に示すように、上下方向に直交する面に対して所定の角度で傾斜するように形成されている。第三凸条33aの係合面(下面)33cは、第三凸条33aの基端から先端に向かうにつれて上側へ傾斜する傾斜面となっている。また、第三凸条33bの係合面(上面)33dは、第三凸条33bの基端から先端に向かうにつれて下側へ傾斜する傾斜面となっている。すなわち、係合面33c,33dの間隔は、径方向外側に向かうにつれて広がっている。
【0030】
図6に示すように、クロスバー継材30がクロスバー10の内空部内に挿入されると、クロスバー継材30の第三凸条33a,33bは、クロスバー10のレール溝13に対して、上下から挟み込むように係合する。換言すると、第三凸条33aの係合面33cが、レール溝13の上面13eに面接触(当接)するとともに、第三凸条33bの係合面33dが、レール溝13の下面13fに面接触(当接)する。そして、本実施形態のクロスバー継材30の第三凸条33a,33bと、クロスバー10のレール溝13とは、クロスバー10の内空部内におけるクロスバー継材30の上下の移動を規制する機能を有するとともに、クロスバー継材30の軸回りの回転を規制する第三の回転規制部としても機能する。
第三凸条33a,33bの間の後壁には、後記する棒ナット38を挿通させるための複数の棒ナット挿通孔34,34・・・が穿設されている(図8参照)。
【0031】
クロスバー継材30の内周前面には、図4(b)に示すように、一対の第四凸条35a,35bが上下方向に離間して形成されている。第四凸条35a,35bは、クロスバー継材30の全長に亘って軸方向に延在している。第四凸条35a,35bは、棒ナット38の軸回りの回転を規制する役割を果たすものである(図6及び図7参照)。第四凸条35a,35bの間の前壁には、棒ナット挿通孔34,34・・・と対向する位置において、複数のボルト挿入孔36,36・・・が穿設されている。さらに、クロスバー継材30の上部及び下部は、それぞれ他の部分よりも肉厚の肉厚部37a,37bとして形成されている。肉厚部37a,37bの外周面は、水平面に形成されている。
【0032】
棒ナット38は、図5(a)に示すように、略円柱形状を呈している。棒ナット38には、雌ネジ穴38a,38bが形成されている。また、棒ナット38の前端面の上下部には、所定の高さ及び奥行で水平に切削された切欠部38c,38dがそれぞれ形成されている。棒ナット38は、図6に示すように、その軸方向を前後に向けてクロスバー継材30の内空部内に配置されている。棒ナット38は、その切欠部38c,38dにクロスバー継材30の第四凸条35a,35bが係合することによって、軸回りに回転しないようになっている。また、棒ナット38がクロスバー継材30の内空部内に配置された状態で、棒ナット38の前端面は、クロスバー継材30の内周前面に当接し、棒ナット38の後端面は、2mm程度の隙間(クリアランス)を空けてレール溝13の底壁13dの内周面と対向している。
【0033】
ネットフック90は、ネットNの周囲のロープを係止し、クロスバー10及びゴールポスト20のレール溝13に取り付けられる合成樹脂製の部材である(図12参照)。ネットフック90は、図5(b)に示すように、ネットフック本体91と、ネットフック本体91の前面側に形成された断面視略コ字形のスライド部92と、ネットフック本体91の後面側に形成された下向きフック93及び上向きフック94と、から構成されている。
【0034】
上部サイドフレーム40、下部サイドフレーム50、後部フレーム60及び後部フレーム継材70は、図2に示すように、中空筒状を呈しており、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材で構成されている。なお、上部サイドフレーム40は、曲げ加工が施された曲線部材であり、下部サイドフレーム50及び後部フレーム60は、長尺の直線部材であり、後部フレーム継材70は、短尺の直線部材である。また、後部コーナー継手80は、アルミニウム又はアルミニウム合金の鋳物である。これらは、例えば、ボルトやナット等の手段で互いに連結されている。
【0035】
続いて、球技用ゴール1の骨組のうち、特にクロスバー10とゴールポスト20とを組み立てる手順について、図8乃至図12を参照して説明する。
【0036】
まず、図8に示すように、棒ナット挿通孔34からクロスバー継材30の内空部内に棒ナット38を挿入する。このとき、棒ナット38の切欠部38c,38dにそれぞれクロスバー継材30の第四凸条35a,35bが係合する(図6参照)。また、棒ナット38の前端面は、クロスバー継材30の内周前面に当接し、棒ナット38の雌ネジ穴38aとクロスバー継材30のボルト挿入孔36とが連通する(図6参照)。さらに、棒ナット38の後端面は、クロスバー継材30の棒ナット挿通孔34内で前方側にやや引っ込んでいる。
そして、クロスバー継材30の前方からボルト挿入孔36を介して、棒ナット38の雌ネジ穴38aにボルトB1を螺入し、締め込んで固定する。
【0037】
次に、図9に示すように、クロスバー継材30を軸方向にスライドさせて、その長さの半分をクロスバー連結軸22の内空部内に挿入する。このとき、第三凸条33aの係合面33cが、レール溝13の上面13eに摺動するとともに、第三凸条33bの係合面33dが、レール溝13の下面13fに摺動しながら、クロスバー継材30がクロスバー連結軸22の内空部内に挿入されていく。そして、クロスバー継材30がクロスバー連結軸22の内空部内に挿入された状態において、第三凸条33aの係合面33cが、レール溝13の上面13eに面接触するとともに、第三凸条33bの係合面33dが、レール溝13の下面13fに面接触する。また、このクロスバー継材30の第三凸条33a,33bとクロスバー連結軸22のレール溝13とから構成される第三の回転規制部と、第一の回転規制部(クロスバー継材30の第一凸条31とクロスバー連結軸22の第一凸条11a,12a)及び第二の回転規制部(クロスバー継材30の第二凸条32とクロスバー連結軸22の第二凸条11b,12b)によって、クロスバー連結軸22の内空部内におけるクロスバー継材30の軸回りの回転が規制される。
したがって、クロスバー連結軸22の内空部内へのクロスバー継材30の挿入長さを調節するだけで、クロスバー連結軸22のボルト挿入孔13gと、棒ナット38の雌ネジ穴38bとの位置合わせを行うことができる。
そして、クロスバー連結軸22のレール溝13にネットフック90のスライド部92をスライドさせて挿入する。
【0038】
次に、図10に示すように、後方からクロスバー連結軸22のボルト挿入孔13gを介して、棒ナット38の雌ネジ穴38bにボルトB2を螺入する。そして、ボルトB2を締め込んでいくと、図7に示すように、棒ナット38の後端面とレール溝13の底壁13dの内周面との間の隙間が小さくなっていくとともに、クロスバー継材30の前後長さが小さくなっていき(棒ナット38の軸方向に縮みつつ)、上下長さが大きくなっていく(棒ナット38の軸方向に直交する方向に伸びる)。
【0039】
そして、最終的に、クロスバー継材30の肉厚部37a,37bがそれぞれクロスバー連結軸22の肉厚部14a,14bに押圧されるとともに、クロスバー継材30の第一凸条31,第二凸条32がそれぞれクロスバー連結軸22の第一凸条11a,第二凸条11bに押圧される。したがって、クロスバー継材30がクロスバー連結軸22の内空部内でがたつかなくなる。なお、本実施形態では、クロスバー連結軸22の肉厚部14a,14bの内周面と、クロスバー継材30の肉厚部37a,37bの外周面とが水平面となっているので、両者が確実に面接触し、がたつき防止の効果がより一層高まる。
【0040】
次に、図11に示すように、クロスバー10を軸方向にスライドさせて、クロスバー10の内空部内にクロスバー継材30の長さの残り半分(クロスバー連結軸22の内空部内に挿入されていない部分)を挿入する。このとき、第三凸条33aの係合面33cが、レール溝13の上面13eに摺動するとともに、第三凸条33bの係合面33dが、レール溝13の下面13fに摺動しながら、クロスバー継材30がクロスバー10の内空部内に挿入されていく。そして、クロスバー継材30がクロスバー10の内空部内に挿入された状態において、第三凸条33aの係合面33cが、レール溝13の上面13eに面接触するとともに、第三凸条33bの係合面33dが、レール溝13の下面13fに面接触する。また、このクロスバー継材30の第三凸条33a,33bとクロスバー10のレール溝13とから構成される第三の回転規制部と、第一の回転規制部(クロスバー継材30の第一凸条31とクロスバー10の第一凸条11a,12a)及び第二の回転規制部(クロスバー継材30の第二凸条32とクロスバー10の第二凸条11b,12b)によって、クロスバー10の内空部内におけるクロスバー継材30の軸回りの回転が規制される。
したがって、クロスバー10の内空部内へのクロスバー継材30の挿入長さを調節するだけで、つまり、クロスバー10の端面がクロスバー連結軸22の端面に当接するまでクロスバー10の内空部内にクロスバー継材30を挿入するだけで、クロスバー10のボルト挿入孔13gと、棒ナット38の雌ネジ穴38bとの位置合わせを行うことができる。
そして、クロスバー10のレール溝13にネットフック90のスライド部92をスライド挿入する。
【0041】
最後に、図12に示すように、後方からクロスバー10のボルト挿入孔13gを介して、棒ナット38の雌ネジ穴38bにボルトB2を螺入する。そして、ボルトB2を締め込んでいくと、図7に示すように、棒ナット38の後端面とレール溝13の底壁13dの内周面との間の隙間が小さくなっていくとともに、クロスバー継材30の前後長さが小さくなっていき、上下長さが大きくなっていく。
【0042】
そして、最終的に、クロスバー継材30の肉厚部37a,37bがそれぞれクロスバー10の肉厚部14a,14bに押圧されるとともに、クロスバー継材30の第一凸条31,第二凸条32がそれぞれクロスバー10の第一凸条11a,第二凸条11bに押圧される。したがって、クロスバー継材30がクロスバー10の内空部内でがたつかなくなる。なお、本実施形態では、クロスバー10の肉厚部14a,14bの内周面と、クロスバー継材30の肉厚部37a,37bの外周面とが水平面となっているので、両者が確実に面接触し、がたつき防止の効果がより一層高まる。
【0043】
なお、クロスバー継材30をクロスバー連結軸22に連結して、その後にクロスバー10に連結したが、この手順を逆にしてもよいし、クロスバー継材30をクロスバー連結軸22及びクロスバー10に対して、ボルトB2でそれぞれ仮止めした後に、しっかりと締め付けてもよい。また、第一クロスバー10aと第二クロスバー10bとを組み立てる手順も、クロスバー10とゴールポスト20とを組み立てる手順と同様の手順で行う。さらに、クロスバー10、ゴールポスト20、クロスバー継材30以外の部材(上部サイドフレーム40、下部サイドフレーム50、後部フレーム60、後部フレーム継材70、後部コーナー継手80)の組み立て手順は任意に定めうる。ゴールポスト本体21のレール溝13にネットフック90を挿入するタイミングも任意に定めうる。
【0044】
以上説明した本実施形態に係る球技用ゴール1によれば、クロスバー10及びクロスバー連結軸22に形成されたレール溝13の上面13e及び下面13fに対して、クロスバー継材30に形成された第三凸条33a,33bの係合面33c及び係合面33dを、上下から挟み込むように面接触させていることによって、ボルトB2を締め付ける前から、クロスバー10及びクロスバー連結軸22に対するクロスバー継材30の上下の動きが規制される。したがって、ボルトB2の締め付けの初期からクロスバー継材30の片寄りが生じにくい。
【0045】
また、第三凸条33aの係合面33cが、レール溝13の上面13eに面接触するとともに、第三凸条33bの係合面33dが、レール溝13の下面13fに面接触することによって、クロスバー10とクロスバー連結軸22との連結強度が高まる。
さらに、クロスバー10が第一クロスバー10aと第二クロスバー10bとに2分割されていることによって、運搬しやすくなるため、運搬コストを低減することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。本実施形態では、回転規制部として第一〜第三の回転規制部が形成されているが、これに限定されることなく、第一の回転規制部又は第二の回転規制部のうちどちらか一方を省略してもよいし、第一の回転規制部及び第二の回転規制部の両方を省略しても構わない。
【0047】
本実施形態では、レール溝13の上面13e及び下面13fの外側寄りの部分に切り欠きを形成したが、例えば、図13(a)に示すように、切り欠きを省略して、上面13e及び下面13fの全面に対して、第三凸条33aの係合面33c及び第三凸条33bの係合面33dをそれぞれ面接触させてもよい。
このようにすれば、第三凸条33a及び第三凸条33bとレール溝13との接触面積が大きくなるため、クロスバー10とクロスバー連結軸22との連結強度がより一層高まる。
【0048】
また、図13(b)に示すように、第三凸条33a,33bとレール溝13の傾斜方向を逆にしてもよい。すなわち、変形例に係る第三凸条33aの係合面33cは、第三凸条33aの基端から先端に向かうにつれて下側へ傾斜する傾斜面となっている。第三凸条33bの係合面33dは、第三凸条33bの基端から先端に向かうにつれて上側へ傾斜する傾斜面となっている。また、上壁13bの上面13eの略中央から前端は、径方向内側に向かうにつれて上側へ傾斜する傾斜面となっている。下壁13cの下面13fの略中央から前端は、径方向内側に向かうにつれて下側へ傾斜する傾斜面となっている。
このようにしても、本実施形態と同一の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 球技用ゴール
10 クロスバー
10a 第一クロスバー(棒状部材)
10b 第二クロスバー(棒状部材)
13 レール溝(被係合部)
13e 上面(傾斜面)
13f 下面(傾斜面)
20 ゴールポスト
22 クロスバー連結軸(棒状部材)
30 クロスバー継材(連結部材)
33a,33b 第三凸条(係合部)
33c 係合面(傾斜面)
33d 係合面(傾斜面)
38 棒ナット
38a,38b 雌ネジ穴
B1 ボルト
B2 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状を呈する複数の棒状部材と、隣り合う前記各棒状部材の端部間を連結する中空筒状の連結部材と、を備え、前記各棒状部材が組み合わされて構成される球技用ゴールであって、
前記各棒状部材の内空部に前記連結部材が挿入されており、
前記連結部材の内空部に棒ナットが配設されており、
前記棒ナットの一端面は、前記連結部材の内周面に固定されており、前記棒ナットの他端面は、前記各棒状部材の内周面に臨んで隙間を空けて対向しており、
前記各棒状部材は、その内周面において軸方向に延在する被係合部を有し、
前記連結部材は、その外周面において軸方向に延在し且つ前記被係合部を挟み込むように設けられた一対の係合部を有し、
一対の前記係合部を前記被係合部に接触させた状態で、前記棒ナットの他端側にボルトを締め込んで前記隙間を小さくすると、前記連結部材が前記棒ナットの軸方向に縮みつつ前記軸方向に略直交する方向に伸びて、前記連結部材の外周面と前記棒状部材の内周面とが接触して押圧される、ことを特徴とする球技用ゴール。
【請求項2】
一対の前記係合部と前記被係合部とは、互いの傾斜面を介して面接触していることを特徴とする請求項1に記載の球技用ゴール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−227192(P2010−227192A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76205(P2009−76205)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(502444733)日軽金アクト株式会社 (107)