説明

生ごみ処理機

【課題】 この発明は、開閉蓋の開放方向に作用する付勢力を利用することで、開閉蓋の開閉操作について利便性の良い生ゴミ処理機を提供する。
【解決手段】 ユーザが操作手段であるフットペダル5を踏むと、その動きは連結部材6を介して上方へ伝達されてロック部材7を回動させて係止部8との係合を解除するので、開閉蓋4は付勢手段の付勢力によって自動的に開放される。開放された開閉蓋4を通して、生ゴミを処理機本体内に備わる処理槽に投入することができる。連結部材6の連結経路中に遊びがあるので、開閉蓋4の誤作動がなくなり、処理中の生ゴミの臭いの漏れを防止することができる。また、フットペダル5に過大な入力をしたときには、連結ばね6cがオーバーストロークを吸収して開閉蓋4の開閉機構への損傷を防止することができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭で使用されるバイオ方式の生ゴミ処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ方式の生ゴミ処理機では、投入した生ゴミを内部で処理するため、外観を良好に保つとともに臭気の漏れを防止するなどのため、処理槽の入り口を蓋で閉塞するのが一般的である。生ゴミ投入時はユーザの手が塞がっていることが多く、足で操作可能なペダルのような操作手段により蓋を開閉する機構を有するものがある。
【0003】
しかしながら、ユーザが足で操作を行うペダルのような場合には、操作手段の細やかなコントロールは難しく、操作手段と開閉蓋とが直接に連結されていると、操作手段の遊びがないために操作手段の僅かな動きによって開閉蓋が誤作動し、生ゴミの悪臭が漂うという問題がある。また、足による操作では操作力が大きくなり易く、操作手段の連結部には大きな力がかかり、設置条件等により操作手段のオーバーストロークが生じた際には、連結部材に大きな負荷がかかるという問題がある。
【0004】
また、発酵槽の蓋体を着脱自在な開閉構造とし、蓋体の開閉枢支ヒンジと逆側に開閉把手を設け、この開閉把手にロック機構を付設し、開閉把手によりロック機構を解除した場合にのみ蓋体の開閉を可能とし、開放した蓋体について一定以上の開放を阻止するストッパを発酵槽に一体的に設けた生ごみ処理機が提案されている(特許文献1参照)。片手にて開閉把手を握ることによりロック機構をワンタッチで開放し、そのまま蓋体を開放することができる。また、蓋体の開放については、ストッパによって過剰開放しない状態で保持することができる。
【特許文献1】実開平4−110183号公報(明細書段落[0004]〜[0005],図1、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、生ゴミ処理機において、操作手段を操作するときに簡単な機構でロック手段を解除して、ばねの付勢力の利用で開閉蓋を自動的に開放することを可能にする点で解決すべき課題がある。また、操作手段の操作経路中に遊びを設けることによって開閉蓋の誤作動をなくすとともに、操作手段のオーバーストロークを吸収可能にする点で解決すべき課題がある。
【0006】
この発明の目的は、開閉蓋の開放方向に作用する付勢力を利用することで開閉蓋の開閉操作について利便性の良い生ゴミ処理機を提供することであり、更には、操作手段による開閉蓋の誤作動をなくして、処理中の生ゴミの臭いが外部に漏れるのを防止し、操作手段に過大な入力をしたときのオーバーストロークを吸収して開閉蓋の開閉機構への損傷を防止することができる生ゴミ処理機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明による生ゴミ処理機は、内部に生ゴミを処理する処理槽を有する処理機本体と、前記処理機本体に開閉可能に取り付けられているとともに付勢手段によって開き方向に付勢されている開閉蓋と、前記開閉蓋を前記処理機本体に開放不可能にロックするロック手段と、ユーザによって操作される操作手段と、前記操作手段の動きを伝える連結部材と、前記連結部材の動きにより前記ロック手段を解除して前記開閉蓋を前記付勢手段の付勢力によって開放させる蓋体開放手段とを備えている。
【0008】
この生ゴミ処理機によれば、ユーザが操作手段を操作するときの操作手段の動きは、連結部材によって伝達されて、蓋体開放手段がロック手段を解除するので、開閉蓋は付勢手段の付勢力によって開放される。開放された開閉蓋を通して、生ゴミを処理機本体内に備わる処理槽に投入することができる。開閉蓋を閉じるときは、手動で付勢手段の付勢力に抗して開閉蓋を閉じることで、ロック手段がロックされ、連結部材と操作手段も元の位置に戻る。
【0009】
この生ゴミ処理機において、連結部材に、操作手段の動きに遊びを作るためのクリアランスを設けることができる。連結部材にクリアランスを設けることで、操作手段の動きに遊びを設けることができ、その遊び内での操作手段の操作では開閉蓋は開閉されず、開閉蓋の意図されない開放で生ゴミの処理に伴う悪臭が処理機の外部に出ることを防止することができる。
【0010】
また、この生ゴミ処理機において、連結部材の連結経路中に、操作手段のオーバーストロークを吸収可能な連結ばねを介在させることができる。過大なストロークが蓋体開放手段に伝達されるとロック手段等に損傷が生じる虞があるが、連結部材の連結経路中に連結ばねを設けることで、操作手段のオーバーストロークは連結ばねに吸収されて蓋体開放手段に伝達されないので、ロック手段等を破損等から保護することができる。
【0011】
また、この生ゴミ処理機において、処理機本体に、ロック手段を直接に解除作動させる手動式のロック解除用操作部を設けることができる。ロック解除用操作部を手動で操作することによって、ロック手段を直接に解除作動させることができるので、連結部材とロック手段とから成る連結機構に不具合が生じた際も、生ごみ処理機を続けて使用することが可能となる。
【0012】
更に、この生ゴミ処理機において、操作手段をユーザが足で操作するフットペダルとすることができる。操作手段をフットペダルとすることで、手で生ゴミを生ゴミ処理機に投入しようとするときに、自由になる足でフットペダルを操作するだけで、開閉蓋を開放することが可能になり、生ゴミ処理機の操作について利便性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
この生ゴミ処理機は、以上のように構成されているので、操作手段を操作するときに簡単な機構でロック手段を解除して、開閉蓋の開放方向に作用するばねなどの付勢力を利用することで、開閉蓋を自動的に開放するなど開閉蓋の開閉操作について利便性の良い生ゴミ処理機を得ることができる。また、操作手段の操作経路中に遊びを設けることによって開閉蓋の誤作動がなくなり、処理中の生ゴミの臭いが外部に漏れるのを防止する生ゴミ処理機を得ることができる。更に、操作手段に過大な入力をしたときのオーバーストロークを吸収して開閉蓋の開閉機構への損傷を防止することができる生ゴミ処理機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による生ゴミ処理機の実施の形態を図面に従って説明する。図1は本発明に係る生ごみ処理機の斜視図、図2は図1に示す生ごみ処理機の分解斜視図、図3は図1に示す生ごみ処理機が、蓋を開けた状態にあるときを示す斜視図と、生ごみ処理機の蓋を付勢する部分の拡大図、図4は図1に示す生ごみ処理機の縦断面図、図5は図4に示す生ごみ処理機の蓋開閉機構の拡大概略図、図6は図5に示す蓋開閉機構における連結部材の詳細図である。
【0015】
図1に示すように、生ゴミ処理機は、処理機本体1とその上部を覆って開閉可能な開閉蓋4とを備えており、全体として縦長の箱形を呈している。処理機本体1の内部には生ごみが内容されているため、開閉蓋4によって閉鎖可能である。処理機本体1の底部からは、開閉蓋4を足で開閉操作するためのフットペダル5が突出して設けられている。
【0016】
図2に示す分解斜視図おいて、処理機本体1の内部には生ごみを処理する処理槽2が設けられており、処理槽2の上部には生ごみを投入する投入口3が設けられている。処理機本体1の上部を覆う開閉蓋4は、処理機本体1の上部に嵌合させるなどして取り付けられる蓋取付け部1aに対して開閉可能に取り付けられており、閉じている状態では投入口3を覆い隠すことができる。投入口3の周りは処理機本体1の内部に嵌合する板材3aで囲まれているので、開閉蓋4を開いた状態では、投入口3からのみ処理槽2内にアクセス可能である。フットペダル5を操作したときに開閉蓋4を開閉動作させるため、フットペダル5と開閉蓋4のためのロック部材7(後述する)とは連結部材6によって連結されている。
【0017】
図3(a)及び(b)に示すように、開閉蓋4は処理機本体1の蓋取付け部1aに対して蓋支持部材9によって軸支されている。即ち、蓋取付け部1aから開閉蓋4を支持する側に延びる二つの係止部分1b,1bには軸状の蓋支持部材9が掛け渡されており、蓋支持部材9の両端部9a,9a(一方のみ示す)に開閉蓋4の両側縁部4a,4aが取り付けられている。開閉蓋4の両側縁部4a,4aと蓋支持部材9の両端部9a,9aとの間には、蓋付勢ばね10が設けられており、開閉蓋4は蓋付勢ばね10によって開方向に付勢されている。この例では、蓋付勢ばね10はコイルばねであり、コイルばねの両端部10a,10bがそれぞれ蓋取付け部1aと開閉蓋4とに係止されることにより、開閉蓋4を開方向に付勢している。
【0018】
図4に示すように、フットペダル5とロック部材7とを連結する連結部材6は、処理機本体1の側壁に沿って縦に延びている。連結部材6は処理槽2の外側に配置されているので、処理槽2と干渉することも、処理槽2のスペースに影響を与えることもない。
【0019】
図5に示すように、開閉蓋4は、普段はロック部材7と開閉蓋4に取り付けられた係止部8とが係止されていることによって閉じられている。フットペダル5は、奥方の端部5aにおいて軸部5bによって処理機本体1に枢着されており、中間部5cにおいて連結部材6に係合されている。フットペダル5の前方端部は、足踏み部5dとなっている。ロック部材7は、処理機本体1に軸部7aの回りに回動可能に設けられており、軸部7aの径方向に延びる二本のアーム部7b,7cを備えている。一方のアーム部7bは、概略横方向に延びていて、後述する連結部材6の上側連結棒6bと係合している。他方のアーム部7cは、概略上方に延びていて、開閉蓋4に取り付けられた係止部8に対して係脱可能である。
【0020】
開閉蓋4の動作の概略は、次のとおりである。即ち、ユーザによってフットペダル5が操作されたとき、フットペダル5が軸部5bの回りに回動することで連結部材6が下に引き下げられる。連結部材6の動きによってロック部材7が回転し、ロック部材7が係止部8から外れることで、開閉蓋4が蓋付勢ばね10の付勢力によって自動的に開く。
【0021】
図6に示すように、連結部材6は、フットペダル5にまで延びる下側連結棒6a、下部分が下側連結棒6aと平行であり且つ上部分が下部分から屈曲して横方向に延びる上側連結棒6b、及び下側連結棒6aと上側連結棒6bとの間に作動的に連結する連結ばね6cを備えている。下側連結棒6aの下端部は、フットペダル5の中間部5cに回動或いは揺動可能に係合されている。上側連結棒6bの横方向に延びる部分は、ロック部材7のアーム部7bに形成されている係合孔に対して回動或いは揺動可能に嵌入している。連結ばね6cは、上側連結棒6bの下端に取り付けられている下側係止板6eによって支えられた状態で上側連結棒6bに嵌装されている。上側連結棒6bと下側連結棒6aは、下側連結棒6aに取り付けられた上側係止板6dによって、一定のクリアランスを持って連結されている。即ち、上側連結棒6bは、上側係止板6dに形成されている嵌合孔6fを移動可能に貫通しており、そのことによって下側連結棒6aとの横方向位置が規制されているが、縦方向には相対的に変位可能である。
【0022】
図7を参照して、連結部材6の動きを説明する。図7は、この発明による生ごみ処理機に用いられる連結部材の作動説明図である。フットペダル5が操作されずに、開閉蓋4が閉じている状態が図7(a)に示されている。この状態では、下側連結棒6aは上方位置を占めているので、上側係止板6dは連結ばね6cから離れた位置にあり、連結ばね6cは自由状態にある。上側連結棒6bは、係止部8に係止しているロック部材7のアーム7bと嵌合しているので、図に示されている位置が保持される。
【0023】
ここで下側連結棒6aが引き下げられると、下側連結棒6aは、上側係止板6dが連結ばね6cに接触するまでの間、抵抗なく動くことができる。したがって、その間、フットペダル5を操作しても開閉蓋4の動作に対しては無効となり、フットペダル5の操作に遊びDが生じさせることができる(図7b)。
【0024】
更に下側連結棒6aが引き下げられると、上側係止板6dによって連結ばね6cが縮められ、その力で上側連結棒6bが下方に移動する(図7c)。この動作により、上側連結棒6bと連係しているロック部材7が図5に示すように軸部7aの回りに回転し、開閉蓋4を開くことができる。このとき、連結ばね6cが縮む距離に余裕を持たせておくと、ロック部材7の回動に妨げがあったときに下側連結棒6aのオーバーストロークを連結ばね6cが吸収することになり、本体の故障を防ぐことができる。このとき手動式のロック解除装置をつけておくと、連結部材6とロック部材7とから成る連結機構に不具合が生じた際も、生ごみ処理機を続けて使用することができる。
【0025】
フットペダルの構造については、図5に示したように足で踏むものとは別に、図8のように前方に押す構造も考えられる。図8は、生ごみ処理機に用いられるフットペダルの別形態を示す概略図である。図8に示すフットペダル15は、奥方端部15aにおいて処理機本体1の底部に対して軸部15bの回りに回動可能であり、全体としてL字状の形状を呈している。フットペダル15の前方の部分はユーザのつま先で押すことができる当て板部15cとなっており、その裏側に形成された係合部分15dに、連結部材6の下端部分が係合されている。当て板部15cをつま先で押すことにより、フットペダル15は軸部15bの回りに回動し、係合部分15dは破線で示すように概略下方に移動して、連結部材6を引き下げで、ロック部材7(図5)を作動させることができる。フットペダル15を採用することによって、フットペダル15が処理機本体1の下部に隠れることになり、外部に飛び出ることがない。
【0026】
この生ゴミ処理機において、開閉蓋4を閉じる場合には、逆の動作、即ち、開閉蓋4を付勢手段である蓋付勢ばね10の付勢力に抗して手動で閉じる操作をすれば良い。操作手段であるフットペダル5から足が離れているので、連結ばね6cの戻り力でロック部材7が元のロック位置に戻っている。その状態で、開閉蓋4を蓋付勢ばね10の付勢力に抗して閉じると、係止部8が、既に元の位置に戻っているロック部材7を僅かに押し戻して超えて後、ロック部材7と再びロック係合し、開閉蓋4は再び閉じた状態で維持される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る生ごみ処理機の斜視図である。
【図2】図1に示す生ごみ処理機の分解斜視図である。
【図3】図1に示す生ごみ処理機が、蓋を開けた状態にあるときの斜視図、及びその蓋を付勢する部分の拡大図である。
【図4】図1に示す生ごみ処理機の縦断面図である。
【図5】図4に示す生ごみ処理機の蓋開閉機構の拡大概略図である。
【図6】図5に示す蓋開閉機構における連結部材の詳細図である。
【図7】本発明による生ごみ処理機に用いられる連結部材の作動説明図である。
【図8】本発明による生ごみ処理機に用いられるフットペダルの別形態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0028】
1 生ごみ処理機
1a 蓋取付け部 1b 係止部分
2 処理槽
3 投入口部 3a 板材
4 開閉蓋 4a 側縁部
5 フットペダル
5a 端部 5b 軸部
5c 中間部 5d 足踏み部
6 連結部材
6a 下側連結棒 6b 上側連結棒
6c 連結ばね 6d 上側係止板
6e 下側係止板 6f 嵌合孔
7 ロック部材(ロック手段)
7a 軸部 7b,7c アーム部
8 係止部
9 蓋支持部材 9a 端部
10 蓋付勢ばね 10a 端部
15 フットペダル 15a 奥方端部
15b 軸部 15c 当て板部
15d 係合部分 D 遊び

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に生ゴミを処理する処理槽を有する処理機本体と、前記処理機本体に開閉可能に取り付けられているとともに付勢手段によって開き方向に付勢されている開閉蓋と、前記開閉蓋を前記処理機本体に開放不可能にロックするロック手段と、ユーザによって操作される操作手段と、前記操作手段の動きを伝える連結部材と、前記連結部材の動きにより前記ロック手段を解除して前記開閉蓋を前記付勢手段の付勢力によって開放させる蓋体開放手段とを備えていることを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項2】
前記連結部材に、前記操作手段の動きに遊びを作るためのクリアランスを設けることを特徴とする請求項1に記載の生ゴミ処理機。
【請求項3】
前記連結部材の連結経路中に、前記操作手段のオーバーストロークを吸収可能な連結ばねを介在させることを特徴とする請求項1又は2に記載の生ゴミ処理機。
【請求項4】
前記処理機本体に、前記ロック手段を直接に解除作動させる手動式のロック解除用操作部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生ゴミ処理機。
【請求項5】
前記操作手段は、ユーザが足で操作するフットペダルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生ゴミ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−255645(P2006−255645A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79232(P2005−79232)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】