説明

生ゴミ処理装置

【課題】 発酵槽そのものを回転させることにより、駆動負荷が小さくて故障が発生せず、しかも、発酵槽内の生ゴミを均一且つ良好に撹拌することができる極めて実用性に秀れた生ゴミ処理装置を提供するものである。
【解決手段】 生ゴミ2aを導入する生ゴミ導入部3と該生ゴミを処理した処理済品2cを排出する排出部4とを有する本体1内に生ゴミ2を発酵させる発酵槽5を設けた生ゴミ処理装置であって、本体1は適宜な回転手段6によって回転される構造であり、該本体1の回転によって発酵槽5内の生ゴミ2が撹拌されるように構成されているものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生ゴミを堆肥化する生ゴミ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】給食センター,ホテル,レストラン,病院,食品工場等で発生した生ゴミを減容,堆肥化してリサイクルするため各種の生ゴミ処理装置が提案されている。
【0003】ところで、これらの生ゴミ処理装置として特開昭63−288986号のように発酵槽内に軸を設け、この軸に撹拌羽を設け、該軸の回転によって撹拌羽を回して生ゴミを撹拌させるタイプの生ゴミ処理装置(以下、従来例という)があるが、この従来例には下記の問題点がある。
【0004】■ 撹拌羽の回転の際、生ゴミの抵抗が撹拌羽に大きく作用するために駆動軸への負荷が大きくなり、軸や軸の動力装置部分に故障が発生し易い。
【0005】■ 生ゴミの撹拌作用は撹拌羽により行われる為、均一な撹拌のためには撹拌羽の枚数,間隔,面積を適宜設定しなければならず、厄介である。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するもので、発酵槽そのものを回転させることにより、駆動負荷が小さくて故障が発生せず、しかも、発酵槽内の生ゴミを均一且つ良好に撹拌することができる極めて実用性に秀れた生ゴミ処理装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】生ゴミ2aを導入する生ゴミ導入部3と該生ゴミを処理した処理済品2cを排出する排出部4とを有する本体1内に生ゴミ2を発酵させる発酵槽5を設けた生ゴミ処理装置であって、本体1は適宜な回転手段6によって回転される構造であり、該本体1の回転によって発酵槽5内の生ゴミ2が撹拌されるように構成されていることを特徴とする生ゴミ処理装置に係るものである。
【0009】また、請求項1記載の生ゴミ処理装置において、発酵槽5は隔壁7によって前後複数に区画された構成であり、この隔壁7には処理過程の生ゴミ2bがこぼれ出ることによって前側の発酵槽5aから後側の発酵槽5bに移動できるこぼれ出部8が設けられていることを特徴とする生ゴミ処理装置に係るものである。
【0010】また、請求項1,2いずれか1項に記載の生ゴミ処理装置において、生ゴミ排出部4には発酵槽5での処理によって堆肥化された処理済品2cと堆肥化されないビニール袋やプラスチック容器などの未処理物2dとを分別するための篩部9が設けられていることを特徴とする生ゴミ処理装置に係るものである。
【0011】また、請求項3記載の生ゴミ処理装置において、篩部9は本体1と一体に回転されるように構成されていることを特徴とする生ゴミ処理装置に係るものである。
【0012】また、請求項1〜4いずれか1項に記載の生ゴミ処理装置において、本体1の下部には、本体1を支持すると共に該本体1の回転を安定させるローラー部10が設けられていることを特徴とする生ゴミ処理装置に係るものである。
【0013】また、請求項1〜5いずれか1項に記載の生ゴミ処理装置において、発酵槽5の壁部には該発酵槽5内の生ゴミ2を撹拌する撹拌部11が突出状態に設けられていることを特徴とする生ゴミ処理装置に係るものである。
【0014】
【発明の作用及び効果】本体1の回転によって撹拌槽5が回転し、この撹拌槽5の回転によって該撹拌槽5内の生ゴミ2が撹拌されるため、撹拌の駆動負荷が小さくて故障が発生せず、回転トルクが比較的低くても撹拌槽5内の生ゴミ2の撹拌を良好に行えることになる。
【0015】また、撹拌槽5の回転により撹拌槽5内の全ての生ゴミ2が撹拌されることになり、生ゴミ2が均一且つ良好に撹拌され、必然的に発酵も良好に行われることになる。
【0016】また、例えば、この本体1に篩部9を設け、この篩部9を本体1と一体に回転するように構成することによって目詰まりしにくい篩部9を構成できることになり、生ゴミ2を堆肥化した際に問題となるビニール袋やプラスチック容器などの未処理物2dを連続的に良好に分離できることになり、発酵槽5への生ゴミ2の投入から発酵によって堆肥化した処理済品2cの分別収集までを連続動作で行うこともできる。
【0017】本発明は上述のように構成したから、駆動負荷が小さくて故障が発生せず、しかも、発酵槽内の生ゴミを均一且つ良好に撹拌することができる極めて実用性に秀れた生ゴミ処理装置となる。
【0018】
【発明の実施の形態】図面は本発明の一実施例を図示したものであり、以下に説明する。
【0019】本実施例は、生ゴミ2aを導入する生ゴミ導入部3と堆肥化された処理済品2cを排出する排出部4とを有する本体1内に生ゴミ2を発酵させる発酵槽5を設けた生ゴミ処理装置であって、本体1はモーター6からチェーン13を介して伝達される回転力によって回転される構造であり、該本体1の回転によって発酵槽5内の生ゴミ2が撹拌されるように構成されているものである。
【0020】発酵槽5は隔壁7によって前後2つに区画された構成であり、この隔壁7には処理過程の生ゴミ2bがこぼれ出ることによって前側の発酵槽5aから後側の発酵槽5bに移動できるこぼれ出部8が設けられている。尚、発酵槽5の区画数は、該発酵槽5における生ゴミ2の処理能力(処理スピードや処理量)によって適宜設定される。
【0021】また、前側(生ゴミ導入部3側)の発酵槽5aの壁部には、該前側の発酵槽5a内の生ゴミ2の撹拌を促進するための複数の撹拌羽11が突出状態に設けられている。
【0022】また、前側の発酵槽5aには、水分調節と土壌菌の住処を目的にしたおがくずなどの発酵促進材が予め投入されている。
【0023】また、後側(排出部4側)の発酵槽5bの壁部には撹拌羽11を設けていないが、これは、後述するように前側の発酵槽5aでの発酵状態と後側の発酵槽5bでの発酵状態とが異なるからである。
【0024】発酵槽5には、温風給気口14と排気口15とが設けられている。この温風給気口14からは80〜110℃程度の温風が発酵槽5(前側の発酵槽5a及び後側の発酵槽5b)に供給され、また、排気口15からは発酵槽5での生ゴミ2の発酵によって発生したガス及び水蒸気が排気される。
【0025】本体1の生ゴミ導入部3には、ホテルなどで発生した生ゴミ2(処理前の生ゴミ2a)を一時溜める生ゴミ溜部16が設けられ、この生ゴミ溜部16に溜められた処理前の生ゴミ2aは、該生ゴミ溜部16の下部に設けられた生ゴミ搬送部17からスクリュー18によって生ゴミ導入部3に移送せしめられる。尚、図中符号19は生ゴミ溜部16に設けられた蓋部、符号20はスクリュー18を回転させるモーター部である。
【0026】本体1の排出部4には発酵槽5での処理によって堆肥化された処理済品2cと堆肥化されないビニール袋やプラスチック容器などの未処理物2dとを分別するための篩部9が設けられ、この篩部9は本体1に連設されて該本体1と一体に回転されるように設けられている。
【0027】篩部9は周壁にスクリーン部25が設けられた構成となっており、発酵分解されて堆肥化された処理済品2cが該スクリーン部25を通過して落下し、該篩部9の下方に設けられた第一回収容器22に収納できるように設定される。
【0028】また、スクリーン部25を通過できなかった未処理物2dは、篩部9の後方(図1中右側,本体1方向と逆方向)に設けられた未処理品排出部23を通過して落下し、該未処理生品排出部23の下方に設けられた第二回収容器24に収納できるように設定されている。
【0029】また、本体1の下部には、本体1を支持すると共に該本体1の回転を安定させるローラー部10が前後2箇所設けられている。
【0030】また、本体1を含む装置の主要部(篩部9,未処理品排出部23,第一回収容器22,第二回収容器24など)はカバー12によって隠蔽され、生ゴミ2の発酵によって発生する臭気が周囲に拡散してしまうことが防止されている。
【0031】以下、本実施例における発酵工程について詳述する。
【0032】生ゴミ溜部16に投入された処理前の生ゴミ2aは、生ゴミ搬送部17,生ゴミ導入部3を経由して前側の発酵槽5aに導入される。
【0033】この前側の発酵槽5aにおいて、生ゴミ2は、本体1の回転と撹拌羽11とによって前記発酵促進剤と撹拌され、単体では水分量80〜90%の生ゴミ2が、微生物による発酵に適した水分量である50〜60%に調整される。また、温風給気口14から送り込まれる温風によって生ゴミ2(処理過程の生ゴミ2b)と発酵促進剤とは高温,好気的雰囲気に制御され、微生物の活動が活発化し、糖分解菌,蛋白質分解菌によって糖類,蛋白質類が分解される一次発酵が行われる。この一次発酵を8〜48時間程度行うことで、生ゴミ2の容積は1/5〜1/10にまで減容されることになる。
【0034】一方、後側の発酵槽5bには、前側の発酵槽5aに処理前の生ゴミ2aが投入された際に該前側の発酵槽5a内で一時発酵された処理過程の生ゴミ2bがこぼれ出て蓄積される。
【0035】この後側の発酵槽5bにおいて、処理過程の生ゴミ2bは、温風給気口14から送り込まれる温風及び発酵熱によってセルロース分解菌の活動が活発化し、該セルロース分解菌によってセルロース分解が行われる二次発酵が行われる。また、発酵熱や温風や撹拌によって水分量が更に低下し、20〜35%程度となる。
【0036】二次発酵によって発酵分解,感想された生ゴミ2(堆肥化された処理済品2c及び未処理生物2d)は、排出部4よりこぼれ出て篩部9に導入され、処理済品2cはスクリーン部25から落下して第一回収容器22に回収され、また、ビニール袋やプラスチック容器などの未処理物2dは、未処理物排出部23から落下して第二回収容器24に回収される。
【0037】本実施例は上述のように構成したから、本体1の回転によって撹拌槽5が回転し、この撹拌槽5の回転によって該撹拌槽5内の生ゴミ2が撹拌されるため、撹拌の駆動負荷が小さくて故障が発生せず、回転トルクが比較的低くても撹拌槽5内の生ゴミ2の撹拌を良好に行えることになる実用性に秀れた生ゴミ処理装置となる。
【0038】また、撹拌槽5の回転により撹拌槽5内の全ての生ゴミ2が撹拌されることになり、生ゴミ2が均一且つ良好に撹拌され、必然的に発酵も良好に行われることになる実用性に秀れた生ゴミ処理装置となる。
【0039】また、撹拌槽5が隔壁7によって2つに区画された構成であるから、各発酵槽5a・5bにおいて処理条件を変えることによって発酵処理を適正条件で行うことができ、本体1がコンパクトであっても所望の発酵滞留時間を達成することが可能で生ゴミ2の発酵を極めて良好に行えることになるより一層実用性に秀れた生ゴミ処理装置となる。
【0040】また、排出部4に篩部9が設けられているから、発酵槽5への生ゴミ2の投入から発酵によって堆肥化した処理済品2cの分別収集までを連続動作で行えることになるより一層実用性に秀れた生ゴミ処理装置となる。
【0041】また、篩部9は本体1と共に回転するから、振動式や揺動式の篩と異なりスクリーン部25が目詰まりしにくく、処理済品2cと未処理物2dとを良好に連続的に分別できることになる極めて実用性に秀れた生ゴミ処理装置となる。
【0042】また、前側の発酵槽5aには撹拌羽11が設けられているから、前側の発酵槽5a内の処理過程の生ゴミ2bをより一層良好に撹拌できることになり一次発酵を良好に行えることになるより一層実用性に秀れた生ゴミ処理装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の説明正面断面図である。
【図2】本実施例のA−A線の説明側断面図である。
【図3】本実施例のB−B線の説明側断面図である。
【符号の説明】
1 本体
2 生ゴミ
2a 処理前の生ゴミ
2b 処理過程の生ゴミ
2c 処理済品
2d 未処理物
3 生ゴミ導入部
4 排出部
5 発酵槽
5a 前側の発酵槽
5b 後側の発酵槽
6 回転手段
7 隔壁
8 こぼれ出部
9 篩部
10 ローラー部
11 撹拌部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 生ゴミを導入する生ゴミ導入部と該生ゴミを処理した処理済品を排出する排出部とを有する本体内に生ゴミを発酵させる発酵槽を設けた生ゴミ処理装置であって、本体は適宜な回転手段によって回転される構造であり、該本体の回転によって発酵槽内の生ゴミが撹拌されるように構成されていることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項2】 請求項1記載の生ゴミ処理装置において、発酵槽は隔壁によって前後複数に区画された構成であり、この隔壁には処理過程の生ゴミがこぼれ出ることによって前側の発酵槽から後側の発酵槽に移動できるこぼれ出部が設けられていることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項3】 請求項1,2いずれか1項に記載の生ゴミ処理装置において、生ゴミ排出部には発酵槽での処理によって堆肥化された処理済品と堆肥化されないビニール袋やプラスチック容器などの未処理物とを分別するための篩部が設けられていることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項4】 請求項3記載の生ゴミ処理装置において、篩部は本体と一体に回転されるように構成されていることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項5】 請求項1〜4いずれか1項に記載の生ゴミ処理装置において、本体の下部には、本体を支持すると共に該本体の回転を安定させるローラー部が設けられていることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項6】 請求項1〜5いずれか1項に記載の生ゴミ処理装置において、発酵槽の壁部には該発酵槽内の生ゴミを撹拌する撹拌部が突出状態に設けられていることを特徴とする生ゴミ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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