説明

生ゴミ処理装置

【課題】 処理対象生ゴミに対して適正量の液分調整材を添加できる生ゴミ処理装置を提供する。
【解決手段】 処理槽21内に投入される処理対象生ゴミFWに含まれる少なくとも粘性物の重量割合値と肉,魚及び油物の重量割合値に基づいて処理対象生ゴミFWに添加すべき液分調整材の量を重量値として演算して演算結果を第4表示器16gに表示できるので、第4表示器16gに表示された液分調整材の重量値に基づいて処理対象生ゴミFWに対して適正量の液分調整材を添加できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミを肥料または飼料にリサイクルするための生ゴミ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の製造・加工・販売に携わる機関、例えば食品加工工場や給食センターやスーパーマーケット等では、随時発生する生ゴミを肥料または飼料にリサイクルするために乾燥方式の生ゴミ処理装置が用いられている。
【0003】
この乾燥方式の生ゴミ処理装置は処理槽内に投入された処理対象生ゴミを加熱しながら撹拌して紛状化乾燥物(処理完了物)を得る装置であって、微生物分解方式の生ゴミ処理装置やハイブリット方式(乾燥方式と微生物分解方式の長所を生かした方式)の生ゴミ処理装置に比べて、(1)処理時間が短い、(2)一度に多量の生ゴミを処理できる、等の利点を有する。
【特許文献1】特開2005−7263号公報
【特許文献2】特開平7−136628号公報
【特許文献3】特開2000−210638号公報
【特許文献4】特開2004−321994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、食品の製造・加工・販売に携わる機関で発生する生ゴミは、栄養素及び物性の観点からして、糖質(炭水化物)を主成分とする「粘性物」と、タンパク質及び脂質を主成分とする「肉,魚及び油物」と、食物繊維を主成分とする「野菜」とに類別できる。
【0005】
これらのうちの「粘性物」は加熱しながら撹拌するとその粘性が増加するため、処理中の撹拌負荷が増加して過負荷による強制停止や故障に至る恐れがあり、また、「肉,魚及び油物」は加熱しながら撹拌しても油膜によって水分の蒸発が阻害されるために処理完了物に所期の乾燥度を得難く、処理完了物を処理槽から外に排出することが難しくなる。
【0006】
前記不具合を解消するには「粘性物」の粘性増加を抑制し、且つ、「肉,魚及び油物」の油分吸着を促進する必要があり、従前では、これら作用を得るために米糠やふすま等から成る液分調整材を処理対象生ゴミに添加している。
【0007】
しかし、添加される液分調整材量は作業者の経験則に基づいて決定されているため、添加した液分調整材量で前記不具合が解消できているか否かを判断するには、処理途中で処理動作を一時的に停止して処理途中物の状態を確認する面倒がある。また、状態確認の結果、不足気味のときには適当量の液分調整材を追加する作業を行う必要がある。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたものであり、その目的とするところは、処理対象生ゴミに対して適正量の液分調整材を添加できる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の生ゴミ処理装置は、処理槽内の生ゴミを加熱するための加熱機と、処理槽内の生ゴミを撹拌するための撹拌機とを具備した生ゴミ処理装置であって、処理対象生ゴミに含まれる少なくとも粘性物の量と肉,魚及び油物の量とに基づいて処理対象生ゴミに添加すべき液分調整材の重量値を演算する演算手段と、演算された液分調整材の重量値を表示する表示手段とを備える、ことをその特徴とする。
【0010】
この生ゴミ処理装置によれば、処理対象生ゴミに含まれる少なくとも粘性物の量と肉,魚及び油物の量とに基づいて処理対象生ゴミに添加すべき液分調整材の重量値を演算して演算結果を表示できるので、表示された液分調整材の重量値に基づいて処理対象生ゴミに対して適正量の液分調整材を添加できる。依って、従前のように処理途中で処理動作を停止して処理途中物の状態を確認する必要がなく、しかも、確認状態に応じた追加作業を行う必要もなくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、処理対象生ゴミに対して適正量の液分調整材を添加できる生ゴミ処理装置を提供できる。
【0012】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
図1〜図8は本発明の第1実施形態に係り、図1は生ゴミ処理装置の正面図、図2は図1の背面図、図3は図1のa−a線断面図、図4は操作パネルの拡大図、図5はコントロールシステムのブロック図、図6は処理モードのフローチャート、図7は図6に示した液分調整材量の演算のステップの詳細を示すフローチャート、図8は排出モードのフローチャートである。
【0014】
まず、図1〜図4を参照して生ゴミ処理装置のメカニズムについて説明する。
【0015】
装置本体11は正面上部に傾斜部11aを有し、正面下部の右側(図1参照)に第1開閉扉12を有し、正面下部の左側(図1参照)に第2開閉扉13を有している。各開閉扉12,13は、取手12a,13aを上部に有し、端縁に設けられたヒンジ12b,13bを中心として左右方向に開閉することができる。また、装置本体11は傾斜部11aの右側(図1参照)に矩形状の蓋枠14を有し、該蓋枠14上に投入用の第1開閉蓋15を有している。第1開閉蓋15は、取手15aを下部に有し、上縁に設けられたヒンジ(符号無し)を中心として上下方向に回転できる。さらに、装置本体11は傾斜部11aの左側(図1参照)に操作パネル16を有し、底面に4個以上のキャスター17を有している。
【0016】
操作パネル16は、図4に示すように、処理対象生ゴミの重量値(kg)を表示するための第1表示器16aと、処理対象生ゴミの重量値(kg)を入力するための第1入力器16bと、処理対象生ゴミに含まれる粘性物の重量割合値(%)を表示するための第2表示器16cと、粘性物の重量割合値(%)を入力するための第2入力器16dと、処理対象生ゴミに含まれる肉,魚及び油物の重量割合値(%)を表示するための第3表示器16eと、肉,魚及び油物の重量割合値(%)を入力するための第3入力器16fとを有する。各表示器16a,16c,16eはLEDパネルやLCD等から成り、数字を表示する。各入力器16b,16d,16fは1対の押しボタンスイッチから成り、各表示器16a,16c,16eに表示される数字を押圧操作によって適宜増減できる。
【0017】
また、操作パネル16は、図4に示すように、液分調整材の重量値(kg)を表示するための第4表示器16gと、処理時間(hour)を表示するための第5表示器16hとを有する。各表示器16g,16hはLEDパネルやLCD等から成り、数字を表示する。
【0018】
因みに、前記の「粘性物」は糖質(炭水化物)を主成分とする生ゴミを指し、「肉,魚及び油物」はタンパク質及び脂質を主成分とする生ゴミを指す。また、「液分調整材」は後述の処理モードの生ゴミ処理のステップSP3において「粘性物」の粘性増加を抑制し、且つ、「肉,魚及び油物」の油分吸着を促進するための添加剤であり、好ましくは米糠やふすま等が用いられる。
【0019】
さらに、操作パネル16は、図4に示すように、運転と停止を切り替えるための第1切替スイッチ16iと、運転モードを処理モードと排出モードの何れか一方に切り替えるための第2切替スイッチ16jとを有する。第1切替スイッチ16iはセンターがリターン位置となる2接点の回転タイプで、センター位置から反時計回り方向に所定角度回転させることで運転を開始でき、センター位置から時計回り方向に所定角度回転させることで運転を停止できる。第2切替スイッチ16jは2接点の回転タイプで、反時計回り方向の回転によって処理モードを設定でき、時計回り方向の回転によって排出モードを設定できる。
【0020】
さらに、操作パネル16は、図4に示すように、運転状態と停止状態を点灯によって示す第1,第2発光器L1,L2を第1切替スイッチ16iの上側に有し、処理モードと排出モードを点灯によって示す第3,第4発光器L3,L4を第2切替スイッチ16jの上側に有する。また、各切替スイッチ16i,16jの右側に、故障や異常等を報知するための第5発光器L5と安全確認を促すための第6発光器L6を有する。各発光器L1〜L6はLED,電球等の発光素子を含む。
【0021】
装置本体11内には、処理槽21が設けられている。図3に示すように、この処理槽21は正面上部に傾斜部(符号無し)を有し、且つ、下部に縦断面半円形の湾曲部(符号無し)を有する。この処理槽21は、投入口21aを正面上部に有し、排出口21bを正面下部に有し、排気口21cを背面上部に有する。投入口21aは蓋枠14の内孔と連通していて、第1開閉蓋15により開閉される。排出口21bには排出用の第2開閉蓋22が設けられている。第2開閉蓋22は、取手22aを下部に有し、上縁に設けられたヒンジ(符号無し)を中心として上下方向に回転できる。また、排出口21bの周囲には、ガイド板23が該排出口21bを囲むように設けられており、該ガイド板23は排出口21bから排出された処理完了物を正面に導くための傾斜シュート23aを備えている。
【0022】
処理槽21内には、撹拌機24が設けられている。図3に示すように、この撹拌機24は、シャフト24aと、シャフト24aに取り付けられた複数(図中は3個)のロッド24bと、各ロッド24bに取り付けられた羽根24cとを有する。シャフト24aは処理槽21の左右側面に設けられた軸受(図示省略)に回転自在に支持されており、該シャフト24aの左端は処理槽21から外部に突出している。各羽根24cの外周縁は弧状になっていて、ロッド24bとの境界部分に掻き上げ板24c1を有する。各羽根24cの弧状縁の曲率半径は処理槽21の湾曲部内面の曲率半径とほぼ一致しており、各羽根24cの弧状縁とシャフト24aの中心との間の長さは互いに一致し、且つ、該長さは処理槽21の湾曲部内面の曲率半径とほぼ一致している。この撹拌機24の各羽根24cは後述の処理モードの生ゴミ処理のステップSP3においてシャフト24aを中心として反時計回り方向に回転し(実線矢印参照)、後述の排出モードの処理完了物排出のステップSP12においてシャフト24aを中心として時計回り方向に回転する(破線矢印参照)するが、何れの方向に回転にあっても各羽根24cの弧状縁は処理槽21の湾曲部内面に沿って移動する。また、各羽根24cが反時計回り方向に回転するときには処理槽21内に収容されている処理対象生ゴミFW等を掻き上げ板24c1によって撹拌でき、また、各羽根24cが反時計回り方向に回転するときには処理完了物を各羽根24によって排出口21bに向かって移動できる。
【0023】
処理槽21の下部外面には、加熱機25が設けられている。図3に示すように、この加熱器25は、処理槽21の下部外面を液密に覆うケース25aと、ケース25aと処理槽21の下部外面との間に形成される密閉空間に充填された耐熱性油等から成る熱媒体HMと、密閉空間に配置された熱媒体加熱用のヒータ25bとを有する。ヒータ25bは後述の処理モードの生ゴミ処理のステップSP3において熱媒体HMを所定温度に維持するように制御され、該熱媒体HMの熱は処理槽21を通じて該処理槽21内に収容された処理対象生ゴミFW等に伝達される。また、この加熱機25の外面及び処理槽21の上部外面は、外部への熱漏出を防止するために断熱材26によって覆われている。
【0024】
また、装置本体11内には、撹拌機24のシャフト24aに動力を伝達するための駆動機構(符号無し)が設けられている。図1及び図2に示すように、この駆動機構は、回転軸24aの突出部分に取り付けられた従動歯車27と、減速機付きモータ28と、モータ28の回転軸28aに取り付けられた駆動歯車29と、従動歯車27と駆動歯車29とに巻き付けられたチェーン30とを有する。この駆動機構は、モータ28を正逆回転させることにより撹拌機24のシャフト24aに動力を伝達して、該撹拌機24の各羽根24cを所定方向に回転できる。
【0025】
さらに、装置本体11内には、排気機構31が設けられている。図2及び図3に示すように、この排気機構31は、送風機32と、熱交換器33と、脱臭機34と、排気口35とを有する。送風機32は、モータ32a(図5参照)と該モータ32aの回転軸(図示省略)に取り付けられたファンを有し、その入口を処理槽21の排気口21cに接続され、且つ、出口を管P1を介して熱交換器33の第1通路の入口に接続されている。熱交換器33は、相互の熱交換を可能とした第1,第2通路(図示省略)を有し、第1通路の出口を管P2を介して脱臭機34の入口に接続されている。脱臭機34は、ヒータ34a(図5参照)と通気性触媒(図示省略)とを有し、その出口を管P3を介して熱交換器33の第2通路の入口に接続されている。排気口35は装置本体11の上面に設けられ、管P4を介して熱交換器33の第2通路の出口に接続されている。この排気機構31は、送風機32の動作によって処理槽21内の空気を熱交換器33の第1通路を介して脱臭機34に取り込み、該空気をヒータ34aで所定温度に加熱してからその臭気を通気性触媒により取り除き、臭気を取り除いた後の空気を熱交換器33の第2通路を介して排気口35に導出できる。熱交換器33は、臭気を取り除いた後の空気の熱を臭気を取り除く前の空気に伝える役目、換言すれば、脱臭機34のヒータ34aの消費電力を低減させる役目を果たす。
【0026】
次に、図5を参照して生ゴミ処理装置のコントロールシステムについて説明する。
【0027】
制御部41はマイクロコンピュータから成り、処理モードに係るプログラム,排出モードに係るプログラム,警報及び安全確認に係るプログラム及び脱臭処理に係るプログラム等の各種プログラムの他、各プログラムの実行に必要な各種データを記憶している。この制御部41の入力ポートには、先に述べた第1入力器16b,第2入力器16d,第3入力器16f,第1切替スイッチ16i及び第2切替スイッチ16jが接続され、また、第1開閉蓋15の閉塞を検知するためのセンサS1と第2開閉蓋22の閉塞を検知するためのセンサS2が接続され、さらに、加熱機25の熱媒体HMの温度を検知するための温度センサTS1と脱臭機34の出口を通過する空気の温度を検出するための温度センサTS2が接続されている。
【0028】
表示駆動部42は制御部41の出力ポートに接続されており、制御部41からの信号に基づいて、先に述べた第1表示器16a,第2表示器16c,第3表示器16e,第4表示器16g及び第5表示器16hのそれぞれに表示に必要な信号を送出する。
【0029】
発光駆動部43は制御部41の出力ポートに接続されており、制御部41からの信号に基づいて、先に述べた第1発光器L1,第2発光器L2,第3発光器L3,第4発光器L4,第5発光器L5及び第6発光器L6のそれぞれに発光に必要な信号を送出する。
【0030】
モータ駆動部44は制御部41の出力ポートに接続されており、制御部41からの信号に基づいて、先に述べた駆動機構のモータ28及び送風機32のモータ32aのそれぞれに回転制御に必要な信号を送出する。
【0031】
ヒータ駆動部45は制御部41の出力ポートに接続されており、制御部41からの信号に基づいて、先に述べた加熱機25のヒータ25b及び脱臭機34のヒータ34aのそれぞれに発熱制御に必要な信号を送出する。
【0032】
次に、図6及び図7を参照して第1実施形態の生ゴミ処理装置で実行される処理モードについて説明する。
【0033】
この処理モードには、生ゴミ処理装置の電源スイッチ(図示省略)がオンされていて、且つ、第2切替スイッチ16jが処理の位置にあるときに移行する。
【0034】
モード移行後は、第1切替スイッチ16iが運転に切り替えられるまで液分調整材量の演算を行う(図6のステップSP1,SP2)。
【0035】
以下に、第1実施形態の生ゴミ処理装置で実行される液分調整材量の演算について図7を参照して説明する。
【0036】
最初に、処理対象生ゴミの重量値(kg)と粘性物の重量割合値(%)と肉,魚及び油物の重量割合値(%)と液分調整材の重量値(kg)と処理時間(hour)のデフォルト値が読み出され、該デフォルト値が第1〜第5表示器16a,16c,16e,16g,16hにそれぞれ表示される(図7のステップSP2-1)。
【0037】
この状態において、作業者は、処理槽21内に投入しようとする処理対象生ゴミの重量値(kg)を別途用意された秤等で測定すると共に、該処理対象生ゴミに含まれる粘性物の重量割合値(%)と肉,魚及び油物の重量割合値(%)を目視等により確認する。確認後、作業者は第1入力器16bを押圧操作して処理対象生ゴミの重量値(kg)を入力し、第2入力器16dを押圧操作して粘性物の重量割合値(%)を入力し、第3入力器16fを押圧操作して肉,魚及び油物の重量割合値(%)を入力する。
【0038】
第1入力器16b,第2入力器16d及び第3入力器16fによる数値入力によってデフォルト値が変動した時には、該入力値に基づいて液分調整材の重量値(kg)が演算され、且つ、処理時間(hour)が設定され、液分調整材の重量値(kg)と処理時間(hour)が第4,第5表示器16g,16hにそれぞれ表示される(図7のステップSP2-2〜SP2-7)。
【0039】
ここで、ステップSP2-5における液分調整材の重量値(kg)の演算手法を具体的に説明する。
【0040】
[液分調整材の重量値の第1の演算手法]
液分調整材の重量値(kg)を演算するときには、最初に、β=(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)+(A4×α1×α2)の式1を用いて、処理対象生ゴミの重量値(kg)に対する液分調整材の比率β(0<β<1)を求める。
【0041】
式1中のα1は処理対象生ゴミに含まれる粘性物の比率で、〔粘性物の重量割合値(%)/100〕で求めた数値(0≦α1≦1)である。α2は処理対象生ゴミに含まれる肉,魚及び油物の比率で、〔肉,魚及び油物の重量割合値(%)/100〕で求めた数値(0≦α2≦1)である。α3は処理対象生ゴミに含まれる野菜の比率で、〔α3=1−(α1+α2)〕で求めた数値(0≦α3≦1)である。ここでの比率計算は、食品の製造・加工・販売に携わる機関で発生する処理対象生ゴミは、栄養素及び物性の観点からして、糖質(炭水化物)を主成分とする「粘性物」と、タンパク質及び脂質を主成分とする「肉,魚及び油物」と、食物繊維を主成分とする「野菜」とに類別されることをその前提としている。
【0042】
また、式1中のA1〜A4は実際の処理実験のデータから求めた定数であり、そのうちのA1,A2,A3は比率α1,α2,α3に重み付けを行うためのものである。式1中の(A4×α1×α2)は比率βを比率α1,α2に基づいて補正するための項であり、A4はその重み付けを行うためのものである。
【0043】
例えば、粘性物の重量割合値(%)が30%で、肉,魚及び油物の重量割合値(%)が50%の場合には、β=(A1×0.3)+(A2×0.5)+(A3×0.2)+(A4×0.3×0.5)により処理対象生ゴミの重量値(kg)に対する液分調整材の比率βが求められる。そして、この比率βを処理対象生ゴミの重量値(kg)に乗じて液分調整材の重量値(kg)が求められる。
【0044】
[液分調整材の重量値の第2の演算手法]
第1の演算手法では液分調整材の重量値(kg)を演算するときにβ=(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)+(A4×α1×α2)の式1を用いたが、該式1の代わりにβ=(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)の式2を用いて処理対象生ゴミの重量値(kg)に対する液分調整材の比率β(0<β<1)を求める。同式2は、式1のような補正項(A4×α1×α2)を含まないが、粘性物の比率α1に係る項と肉,魚及び油物の比率α2に係る項と野菜の比率α3に係る項に基づいて式1で求めた比率に近い値を比率βとして得ることができる。液分調整材の重量値(kg)は、式2で求められた比率βを処理対象生ゴミの重量値(kg)に乗じることによって求められる。
【0045】
[液分調整材の重量値の第3の演算手法]
第1の演算手法では液分調整材の重量値(kg)を演算するときにβ=(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)+(A4×α1×α2)の式1を用いたが、該式1の代わりにβ=(A1×α1)+(A2×α2)の式3を用いて処理対象生ゴミの重量値(kg)に対する液分調整材の比率β(0<β<1)を求める。同式3は、式1のような補正項(A4×α1×α2)と野菜の比率α3に係わる項を含まないが、粘性物α1の比率に係る項と肉,魚及び油物の比率α2に係る項に基づいて比率βとして許容範囲内の値を求めることができる。液分調整材の重量値(kg)は、式3で求められた比率βを処理対象生ゴミの重量値(kg)に乗じることによって求められる。
【0046】
ここで、ステップSP2-6における処理時間(hour)の設定手法を具体的に説明する。
【0047】
処理時間は処理対象生ゴミの重量値(kg)と液分調整材の重量値(kg)との和にほぼ比例するものであるので、和重量(kg)と処理時間(hour)との関係を予め定めたデータテーブルで和重量(kg)に該当する時間(hour)を選定して定める。勿論、処理時間は処理対象生ゴミの重量値(kg)にほぼ比例するとも言えるので、処理対象生ゴミの重量値量(kg)と処理時間(hour)との関係を予め定めたデータテーブルで処理対象生ゴミの重量値(kg)に該当する時間(hour)を選定して定めてもよい。
【0048】
作業者は、処理対象生ゴミの重量値(kg)の入力と、粘性物の重量割合値(%)の入力と、肉,魚及び油物の重量割合値(%)の入力が完了した後、或いは、入力の前に、第1開閉蓋15を開け投入口21aを通じて処理槽21内に処理対象生ゴミFWを投入すると共に、第4表示器16gに表示されている液分調整材の重量値(kg)に相当する液分調整材を別途用意された秤等で測定した上で投入口21aを通じて処理槽21内に投入し、第1開閉蓋15を閉じる。処理対象生ゴミFWと液分調整材の投入を完了した後、作業者は第1切替スイッチ16iを運転に切り替える。勿論、処理槽21内に投入する前の処理対象生ゴミFWに液分調整材を添加してからこれを処理槽21内に投入してもよい。
【0049】
第1切替スイッチ16iが運転に切り替えられたときには、処理対象生ゴミの処理を行う(図6のステップSP3)。尚、第1開閉蓋15が開いている状態、または、第2開閉蓋22が開いている状態では、第1開閉蓋15が開いていること、または、第2開閉蓋22が開いていることが第6発光器L6の点灯または点滅によって作業者に報知される。この第6発光器L6の点灯または点滅は、第1開閉蓋15が閉じられたことがセンサS1で検知され、且つ、第2開閉蓋22が閉じられたことがセンサS2で検知されたときに消灯に切り替わる。
【0050】
この処理対象生ゴミの処理は、処理槽21内に投入された処理対象生ゴミFWと液分調整材を加熱機25によって所定温度に加熱しながら駆動機構により撹拌機24の各羽根24cをシャフト24aを中心として反時計回り方向(図3の実線矢印参照)に回転させる動作と、処理槽21の空気を排気機構31の脱臭機34で脱臭した後に外部に排出する動作を、先に定めた処理時間継続させることによって行う。加熱機25の熱媒体HMの温度は温度センサTS1の検知信号に基づいてヒータ25bの通電を制御することによって所定温度に維持される。また、排気機構31の脱臭機34内に取り込まれた空気の温度は温度センサTS2の検知信号に基づいてヒータ34aの通電を制御することによって所定温度に維持される。さらに、第5表示器16hに表示されている時間値は時間経過ととも減っていく。
【0051】
つまり、処理槽21内の処理対象生ゴミFWと液分調整材は、加熱機25のヒータ25bによって所定温度に加熱されると共に、撹拌機24の各羽根24cの反時計回り方向の回転によって撹拌される。これにより、処理対象生ゴミFWに含まれる水分及び油分が液分調整材に吸収されて「粘性物」の粘性増加を抑制されると共に「肉,魚及び油物」の油分吸着が促進され、処理対象生ゴミFWが充分に乾燥されると共に該乾燥された処理対象生ゴミFWが撹拌によって粉状化される。
【0052】
また、処理槽21内の空気が送風機32の動作によって熱交換器33の第1通路を介して脱臭機34に取り込まれ、該空気がヒータ34aで所定温度に加熱されてからその臭気を通気性触媒により取り除かれ、臭気が取り除かれた後の空気が熱交換器33の第2通路及び排気口35を介して外部に排出される。
【0053】
処理対象生ゴミの処理が開始されてから先に定めた時間が経過すると、処理対象生ゴミの処理が停止され、且つ、処理モードも終了する(図6のステップSP4,SP5)。また、処理対象生ゴミの処理途中で第1切替スイッチ16iが停止に切り替えられたときも、処理対象生ゴミの処理は停止され、且つ、処理モードも終了する(図6のステップSP6,SP7)。
【0054】
次に、図8を参照して第1実施形態の生ゴミ処理装置で実行される排出モードについて説明する。
【0055】
この排出モードは、生ゴミ処理装置の電源スイッチ(図示省略)がオンされていて、且つ、第2切替スイッチ16jが排出の位置にあるときに移行する。
【0056】
モード移行後は、第1切替スイッチ16iが運転に切り替えられたか否かが監視され、第1切替スイッチ16iが運転に切り替えられたときには処理完了物の排出を行う(図8のステップSP11,SP12)。尚、第1開閉蓋15が開いている状態、または、第2開閉蓋22が閉じている状態では、第1開閉蓋15が開いていること、または、第2開閉蓋22が閉じていることが第6発光器L6の点灯または点滅によって作業者に報知される。この第6発光器L6の点灯または点滅は、第1開閉蓋15が閉じられたことがセンサS1で検知され、且つ、第2開閉蓋15が開けられたことがセンサS2で検知されときに消灯に切り替わる。
【0057】
この処理完了物の排出は、第2開閉蓋22が開けられている状態で駆動機構により撹拌機24の各羽根24cをシャフト24aを中心として時計回り方向(図3の破線矢印参照)に回転させる動作を、第1切替スイッチ16iが停止に切り替えられるまで継続させることによって行う。
【0058】
つまり、処理槽21内の処理完了物は、撹拌機24の各羽根24cの時計回り方向の回転によって排出口21bに向かって移動して該排出口21bから傾斜シュート23a上に排出され、該傾斜シュート23aを通じてその前端下側に配した容器(図示省略)に回収される。
【0059】
処理完了物の排出完了に伴って第1切替スイッチ16iが停止に切り替えられると、処理完了物の排出は停止され、且つ、排出モードも終了する(図8のステップSP13,SP14)。
【0060】
第1実施形態の生ゴミ処理装置によれば、処理槽21内に投入される処理対象生ゴミFWに含まれる少なくとも粘性物の重量割合値と肉,魚及び油物の重量割合値に基づいて処理対象生ゴミFWに添加すべき液分調整材の重量値を演算して演算結果を第4表示器16gに表示できるので、第4表示器16gに表示された液分調整材の重量値に基づいて処理対象生ゴミFWに対して適正量の液分調整材を添加できる。依って、従前のように処理途中で処理動作を停止して処理途中物の状態を確認する必要がなく、しかも、確認状態に応じた追加作業を行う必要もなくなるので、経験の浅い作業者であっても所期の生ゴミ処理を確実、且つ、効率的に行えると共に液分調整材が無駄に消費されることを回避してコスト低減を図れる。
【0061】
また、入力された粘性物の重量割合値と肉,魚及び油物の重量割合値に基づいて処理対象生ゴミFWに含まれる野菜の重量割合値(比率α3)を求めているので、液分調整材の重量値の演算に必要な入力作業を簡略化して該入力作業の負担を極力軽減できる。
【0062】
さらに、入力された粘性物の重量割合値と肉,魚及び油物の重量割合値は第2,第3表示器16c,16eにそれぞれ表示されるので、各表示器16c,16eを視認することによって各入力値の確認及び訂正を簡単に行える。
【0063】
[第2実施形態]
図9〜図11は本発明の第2実施形態に係り、図9は生ゴミ処理装置の操作パネルの拡大図、図10はコントロールシステムのブロック図、図11は液分調整材量の演算に係るフローチャートである。
【0064】
第2実施形態の生ゴミ処理装置が、第1実施形態の生ゴミ処理装置と異なるところは、入力系が相違する操作パネル16’を用いた点と、操作パネル16’の入力系に依存してコントロールシステムを変更した点と、操作パネル16’の入力系に依存して処理モードにおける液分調整材量の演算の内容を変更した点にある。以下にこれら相違点について説明するが、前記以外の構成及び機能は第1実施形態と同じであるのでその説明を省略する。
【0065】
操作パネル16’は、図9に示すように、処理対象生ゴミに含まれる粘性物の重量値(kg)を表示するための第1表示器16kと、粘性物の重量値(kg)を入力するための第1入力器16lと、処理対象生ゴミに含まれる肉,魚及び油物の重量値(kg)を表示するための第2表示器16mと、肉,魚及び油物の重量値(kg)を入力するための第2入力器16nと、処理対象生ゴミに含まれる野菜の重量値(kg)を表示するための第3表示器16oと、野菜の重量値(kg)を入力するための第3入力器16pとを有する。
各表示器16k,16m,16oはLEDパネルやLCD等から成り、数字を表示する。各入力器16l,16n,16pは1対の押しボタンスイッチから成り、各表示器16k,16m,16oに表示される数字を押圧操作によって適宜増減できる。
【0066】
また、操作パネル16’は、図9に示すように、液分調整材の重量値(kg)を表示するための第4表示器16gと、処理時間(hour)を表示するための第5表示器16hとを有する。各表示器16g,16hはLEDパネルやLCD等から成り、数字を表示する。
【0067】
因みに、前記の「粘性物」は糖質(炭水化物)を主成分とする生ゴミを指し、「肉,魚及び油物」はタンパク質及び脂質を主成分とする生ゴミを指し、「野菜」は食物繊維を主成分とする生ゴミを指す。また、「液分調整材」は図6に示した生ゴミ処理のステップSP3において「粘性物」の粘性増加を抑制し、且つ、「肉,魚及び油物」の油分吸着を促進するための添加剤であり、好ましくは米糠やふすま等が用いられる。
【0068】
さらに、操作パネル16’は、図9に示すように、第1実施形態の操作パネル16と同様の第1切替スイッチ16iと第2切替スイッチ16jと第1〜第6発光器L1〜L6とを有する。
【0069】
コントロールシステムは、図10に示すように、第1実施形態と同様の制御部41と表示駆動部42と発光駆動部43とモータ駆動部44とヒータ駆動部45とを有する。
【0070】
制御部41の入力ポートには、先に述べた第1入力器16l,第2入力器16n,第3入力器16p,第1切替スイッチ16i及び第2切替スイッチ16jが接続され、また、第1開閉蓋15の閉塞を検知するためのセンサS1と第2開閉蓋22の閉塞を検知するためのセンサS2が接続され、さらに、加熱機25の熱媒体HMの温度を検知するための温度センサTS1と脱臭機34の出口を通過する空気の温度を検出するための温度センサTS2が接続されている。
【0071】
表示駆動部42は制御部41の出力ポートに接続されており、制御部41からの信号に基づいて、先に述べた第1表示器16k,第2表示器16m,第3表示器16o,第4表示器16g及び第5表示器16hのそれぞれに表示に必要な信号を送出する。
【0072】
発光駆動部43とモータ駆動部44とヒータ駆動部45の機能及び信号送出先は第1実施形態のコントロールシステムと同じである。
【0073】
第2実施形態の生ゴミ処理装置で実行される処理モードの基本的な流れは第1実施形態の生ゴミ処理装置で実行される処理モード(図6参照)と同じであるが、液分調整材量の演算(図6のステップSP2)の内容が操作パネル16’の入力系に依存して変更されている。
【0074】
以下に、第2実施形態の生ゴミ処理装置で実行される液分調整材量の演算について図11を参照して説明する。
【0075】
最初に、粘性物の重量値(kg)と肉,魚及び油物の重量値(kg)と野菜の重量値(kg)と液分調整材の重量値(kg)と処理時間(hour)のデフォルト値が読み出され、該デフォルト値が第1〜第5表示器16k,16m,16o,16g,16hにそれぞれ表示される(図11のステップSP2-1)。
【0076】
この状態において、作業者は、処理槽21内に投入しようとする処理対象生ゴミの重量値(kg)を別途用意された秤等で測定すると共に、該処理対象生ゴミに含まれる粘性物の重量値(kg)と肉,魚及び油物の重量値(kg)と野菜の重量値(kg)を目視等により確認する。確認後、作業者は第1入力器16lを押圧操作して粘性物の重量値(kg)を入力し、第2入力器16nを押圧操作して肉,魚及び油物の重量値(kg)を入力し、第3入力器16pを押圧操作して野菜の重量値(kg)を入力する。
【0077】
第1入力器16l,第2入力器16n及び第3入力器16pによる数値入力によってデフォルト値が変動した時には、該入力値に基づいて液分調整材の重量値(kg)が演算され、且つ、処理時間(hour)が設定され、液分調整材の重量値(kg)と処理時間(hour)が第4,第5表示器16g,16hにそれぞれ表示される(図11のステップSP2-2’,SP2-3’,SP2-4’,SP2-5’,SP2-6,SP2-7)。
【0078】
ここで、ステップSP2-5’における液分調整材の重量値(kg)の演算手法を具体的に説明する。
【0079】
[液分調整材の重量値の第1の演算手法]
液分調整材の重量値(kg)を演算するときには、最初に、β=(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)+(A4×α1×α2)の式1を用いて、処理対象生ゴミの重量値(kg)に対する液分調整材の比率β(0<β<1)を求める。
【0080】
式1中のα1は処理対象生ゴミに含まれる粘性物の比率で、〔粘性物の重量値(kg)/(粘性物の重量値(kg)+肉,魚及び油物の重量値(kg)+野菜の重量値(kg))〕で求めた数値(0≦α1≦1)である。α2は処理対象生ゴミに含まれる肉,魚及び油物の比率で、〔肉,魚及び油物の重量値(kg)/(粘性物の重量値(kg)+肉,魚及び油物の重量値(kg)+野菜の重量値(kg))〕で求めた数値である。α3は処理対象生ゴミに含まれる野菜の比率で、〔野菜の重量値(kg)/(粘性物の重量値(kg)+肉,魚及び油物の重量値(kg)+野菜の重量値(kg))〕で求めた数値である。ここでの比率計算は、食品の製造・加工・販売に携わる機関で発生する処理対象生ゴミは、栄養素及び物性の観点からして、糖質(炭水化物)を主成分とする「粘性物」と、タンパク質及び脂質を主成分とする「肉,魚及び油物」と、食物繊維を主成分とする「野菜」とに類別されることをその前提としている。
【0081】
また、式1中のA1〜A4は実際の処理実験のデータから求めた定数であり、そのうちのA1,A2,A3は比率α1,α2,α3に重み付けを行うためのものである。式1中の(A4×α1×α2)は比率βを比率α1,α2に基づいて補正するための項であり、A4はその重み付けを行うためのものである。
【0082】
例えば、粘性物の重量値(kg)が30kgで、肉,魚及び油物の重量値(kg)が50kgで、野菜の重量値(kg)が20kgの場合には、β=(A1×0.3)+(A2×0.5)+(A3×0.2)+(A4×0.3×0.5)により処理対象生ゴミの重量値(kg)に対する液分調整材の比率βが求められる。そして、この比率βを(粘性物の重量値(kg)+肉,魚及び油物の重量値(kg)+野菜の重量値(kg))で求めた処理対象生ゴミの重量値(kg)に乗じて液分調整材の重量値(kg)が求められる。
【0083】
[液分調整材の重量値の第2の演算手法]
第1の演算手法では液分調整材の重量値(kg)を演算するときにβ=(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)+(A4×α1×α2)の式1を用いたが、該式1の代わりにβ=(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)の式2を用いて処理対象生ゴミの重量値(kg)に対する液分調整材の比率β(0<β<1)を求める。同式2は、式1のような補正項(A4×α1×α2)を含まないが、粘性物の比率α1に係る項と肉,魚及び油物の比率α2に係る項と野菜の比率α3に係る項に基づいて式1で求めた比率に近い値を比率βとして得ることができる。液分調整材の重量値(kg)は、式2で求められた比率βを処理対象生ゴミの重量値(kg)に乗じることによって求められる。
【0084】
[液分調整材の重量値の第3の演算手法]
第1の演算手法では液分調整材の重量値(kg)を演算するときにβ=(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)+(A4×α1×α2)の式1を用いたが、該式1の代わりにβ=(A1×α1)+(A2×α2)の式3を用いて処理対象生ゴミの重量値(kg)に対する液分調整材の比率β(0<β<1)を求める。同式3は、式1のような補正項(A4×α1×α2)と野菜の比率α3に係わる項を含まないが、粘性物α1の比率に係る項と肉,魚及び油物の比率α2に係る項に基づいて比率βとして許容範囲内の値を求めることができる。液分調整材の重量値(kg)は、式3で求められた比率βを処理対象生ゴミの重量値(kg)に乗じることによって求められる。
【0085】
第2実施形態の生ゴミ処理装置によれば、処理槽21内に投入される処理対象生ゴミFWに含まれる少なくとも粘性物の重量値と肉,魚及び油物の重量値に基づいて処理対象生ゴミFWに添加すべき液分調整材の重量値を演算して演算結果を第4表示器16gに表示できるので、第4表示器16gに表示された液分調整材の重量値に基づいて処理対象生ゴミFWに対して適正量の液分調整材を添加できる。依って、従前のように処理途中で処理動作を停止して処理途中物の状態を確認する必要がなく、しかも、確認状態に応じた追加作業を行う必要もなくなるので、経験の浅い作業者であっても所期の生ゴミ処理を確実、且つ、効率的に行えると共に液分調整材が無駄に消費されることを回避してコスト低減を図れる。
【0086】
また、入力された粘性物の重量値と肉,魚及び油物の重量値と野菜の重量値に基づいて処理対象生ゴミFWの重量値を求めているので、液分調整材の重量値の演算に必要な入力作業を簡略化して該入力作業の負担を極力軽減できる。
【0087】
さらに、入力された粘性物の重量値と肉,魚及び油物の重量値と野菜の重量値は第1〜第3表示器16k,16m,16oに表示されるので、各表示器16k,16m,16oを視認することによって各入力値の確認及び訂正を簡単に行える。
【0088】
[第3実施形態]
図12〜図14は本発明の第3実施形態に係り、図12は生ゴミ処理装置の縦断面図、図13はコントロールシステムのブロック図、図14は処理モードのフローチャートである。
【0089】
第3実施形態の生ゴミ処理装置が、第1実施形態の生ゴミ処理装置と異なるところは、演算された重量値の液分調整材を処理槽内に自動投入可能なメカニズムを設けた点と、同メカニズムに依存してコントロールシステムを変更した点と、同メカニズムに依存して処理モードの内容を変更した点にある。以下にこれら相違点について説明するが、前記以外の構成及び機能は第1実施形態と同じであるのでその説明を省略する。
【0090】
装置本体11は上面に液分調整材NAを収容した容器51を有する。この容器51は補充用の開閉蓋51aを上面に有し、処理槽21内に至る投入管51bを下部に有する。また、投入管51bには、容器51内の液分調整材NAを処理槽21内に自動投入するための投入機52が設けられている。この投入機52は、投入管51bを開閉可能な電磁式の開閉弁52a(図13参照)を有しており、該開閉弁52aを開放させることにより容器51内の液分調整材NAを処理槽21内に自重によって自動投入できる。他のメカニズムは第1実施形態の生ゴミ処理装置と同じである。
【0091】
コントロールシステムは、図13に示すように、第1実施形態と同様の制御部41と表示駆動部42と発光駆動部43とモータ駆動部44とヒータ駆動部45とを有する他、制御部41からの信号に基づいて投入機52の開閉弁52aに開閉制御に必要な信号を送出する開閉弁駆動部46を有する。
【0092】
制御部41に接続された入力機器と、表示駆動部42と発光駆動部43とモータ駆動部44とヒータ駆動部45の機能及び信号送出先は、第1実施形態のコントロールシステムと同じである。
【0093】
以下に、第3実施形態の生ゴミ処理装置で実行される処理モードについて図14を参照して説明する。
【0094】
この処理モードには、生ゴミ処理装置の電源スイッチ(図示省略)がオンされていて、且つ、第2切替スイッチ16jが処理の位置にあるときに移行する。
【0095】
モード移行後は、第1切替スイッチ16iが運転に切り替えられるまで液分調整材量の演算を行う(図14のステップSP1,SP2)。このステップSP2における液分調整材量の演算は第1実施形態で説明した内容と同じである。
【0096】
第1切替スイッチ16iが運転に切り替えられたときには、演算された重量値の液分調整材NAが容器51から処理槽21内に投入される(図14のステップSP7)。具体的には、電磁弁52aが開放している状態で容器51から処理槽21内に投入される液分調整材NAの単位時間当たりの投入量は予め把握できるので、ここでは演算された重量値の液分調整材NAが処理槽21内に投入されるだけの時間だけ電磁弁52aを開放して、演算された重量値の液分調整材NAを処理槽21内に投入する。
【0097】
液分調整材の自動投入を行った後は、続けて、処理対象生ゴミの処理を行う(図6のステップSP3)。このステップSP3における処理対象生ゴミの処理は第1実施形態で説明した内容と同じである。
【0098】
処理対象生ゴミの処理が開始されてから先に定めた時間が経過すると、処理対象生ゴミの処理が停止され、且つ、処理モードも終了する(図14のステップSP4,SP5)。また、処理対象生ゴミの処理途中で第1切替スイッチ16iが停止に切り替えられたときも、処理対象生ゴミの処理は停止され、且つ、処理モードも終了する(図6のステップSP6,SP7)。
【0099】
第3実施形態の生ゴミ処理装置によれば、演算された重量値の液分調整材NAを処理槽21内に自動投入できるので、液分調整材を別途用意された秤等で測定する作業、並びに、秤量した液分調整材を処理槽21内に投入する面倒や処理対象生ゴミFWに添加する作業を不要にして、作業負担を軽減できる。他の作用効果は第1実施形態の生ゴミ処理装置で得られる作用効果と同じである。
【0100】
尚、第3実施形態の生ゴミ処理装置の操作パネル16及び液分調整材量の演算手法等を、第2実施形態の生ゴミ処理装置の操作パネル16’及び液分調整材量の演算手法等に置換しても前記同様の作用効果が得られる。
【0101】
また、容器51内の液分調整材NAを処理槽21内に自動投入する手段として電磁式の開閉弁52aを示したが、開閉弁とは異なる手段を用いて容器51内の液分調整材NAを処理槽21内に自動供給してもよい。例えば、出入口を有するシリンダと該シリンダ内に回転自在に配置された螺旋棒と該螺旋棒を回転駆動するモータとから成る供給機構を開閉弁52aの代わりに用い、シリンダの入口を容器51に連通させ、且つ、出口を処理槽21内に連通させた状態で螺旋棒の回転時間を制御すれば、所定重量値の液分調整材NAを処理槽21内に投入できる。
【0102】
さらに、容器51内に収容された液分調整材NAが湿気を帯びるような環境にあっては、該容器51内を冷却可能な冷凍機を設けて、該冷凍機の作動によって液分調整材NAの乾燥状態を維持するようにしてもよい。
【0103】
[第1〜第3実施形態共通の変形例]
第1,第2実施形態では、β=(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)+(A4×α1×α2)の基本式を用いて処理対象生ゴミの重量値に対する液分調整材の比率βを求めて、該比率βを処理対象生ゴミの重量値に乗じて液分調整材の重量値を求める手法を示したが、これ以外の手法によって液分調整材の重量値を求めるようにしてもよい。
【0104】
例えば、処理対象生ゴミの重量値をWfwとし、液分調整材の重量値をWnaとした、
Wna=Wfw×〔(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)+(A4×α1×α2)〕
Wna=Wfw×〔(A1×α1)+(A2×α2)+(A3×α3)〕
Wna=Wfw×〔(A1×α1)+(A2×α2)〕
の何れかの式を用いれば、液分調整材の重量値Wnaを直接求めることができる。
【0105】
また、処理対象生ゴミの重量値をWfwとし、液分調整材の重量値をWnaとし、粘性物の重量値と肉,魚及び油物の重量値と野菜の重量値をそれぞれγ1,γ2,γ3とし、重量値γ1,γ2,γ3の重み付けを行うための定数をそれぞれB1,B2,B3,B4とした、
Wna=(B1×γ1)+(B2×γ2)+(B3×γ3)+(B4×γ1×γ2/Wfw)
Wna=(B1×γ1)+(B2×γ2)+(B3×γ3)
Wna=(B1×γ1)+(B2×γ2)
の何れかの式を用いれば、粘性物の重量値と肉,魚及び油物の重量値と野菜の重量値から液分調整材の重量値Wnaを求めることができる。
【0106】
さらに、第1〜第3実施形態では、生ゴミ処理の開始前に液分調整材量等を演算する手順を説明したが、生ゴミ処理の途中で生ゴミを追加投入する場合も考慮し、処理途中であっても追加投入される生ゴミを対象として液分調整材量等の演算を実行できるようにしてもよい。ここでの演算手法には前記同様の演算手法を用いることができ、第1,第2実施形態にあっては生ゴミ及び液分調整材を追加するときには生ゴミ処理を一時的に中断できるようにすればよく、また、追加投入される生ゴミに基づいて求められた処理時間を先に求めた処理時間に加算すれば所期の生ゴミ処理を的確に行うことができる。勿論、液分調整材量等の演算を行う演算モードを運転モードと並行させ、演算モードの処理結果を必要に応じて運転モードの生ゴミ処理等に反映させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1実施形態に係る生ゴミ処理装置の正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】図1のa−a線断面図である。
【図4】操作パネルの拡大図である。
【図5】コントロールシステムのブロック図である。
【図6】処理モードのフローチャートである。
【図7】図6に示した液分調整材量の演算のステップの詳細を示すフローチャートである。
【図8】排出モードのフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る生ゴミ処理装置の操作パネルの拡大図である。
【図10】コントロールシステムのブロック図である。
【図11】液分調整材量の演算のステップの詳細を示すフローチャートである。
【図12】第3実施形態に係る生ゴミ処理装置の縦断面図である。
【図13】コントロールシステムのブロック図である。
【図14】処理モードのフローチャートである。
【符号の説明】
【0108】
21…処理槽、FW…生ゴミ、16…操作パネル、16a…第1表示器、16b…第1入力器、16c…第2表示器、16d…第2入力器、16e…第3表示器、16f…第3入力器、16g…第4表示器、16h…第5表示器、16’…操作パネル、16k…第1表示器、16l…第1入力器、16m…第2表示器、16n…第2入力器、16o…第3表示器、16p…第3入力器、24…撹拌機、25…加熱機、41…制御部、51…容器、NA…液分調整材、52…投入機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽と、処理槽内の生ゴミを加熱するための加熱機と、処理槽内の生ゴミを撹拌するための撹拌機とを具備した生ゴミ処理装置であって、
処理対象生ゴミに含まれる少なくとも粘性物の量と肉,魚及び油物の量とに基づいて処理対象生ゴミに添加すべき液分調整材の重量値を演算する演算手段と、
演算された液分調整材の重量値を表示する表示手段とを備える、
ことを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項2】
粘性物の量と肉,魚及び油物の量はそれぞれ重量割合値である、
ことを特徴とする請求項1に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項3】
演算手段は、粘性物の重量割合値と肉,魚及び油物の重量割合値と野菜の重量割合値と処理対象生ゴミの重量値とに基づいて液分調整材の重量値を演算する、
ことを特徴とする請求項2に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項4】
粘性物の重量割合値と肉,魚及び油物の重量割合値と処理対象生ゴミの重量値とを入力可能な入力手段を備え、
演算手段は、粘性物の重量割合値と肉,魚及び油物の重量割合値とから野菜の重量割合値を求める、
ことを特徴とする請求項3に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項5】
粘性物の量と肉,魚及び油物の量はそれぞれ重量値である、
ことを特徴とする請求項1に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項6】
演算手段は、粘性物の重量値と肉,魚及び油物の重量値と野菜の重量値と処理対象生ゴミの重量値とに基づいて液分調整材の重量値を演算する、
ことを特徴とする請求項5に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項7】
粘性物の重量割合値と肉,魚及び油物の重量割合値と野菜の重量値とを入力可能な入力手段を備え、
演算手段は、粘性物の重量値と肉,魚及び油物の重量値と野菜の重量値とから処理対象生ゴミの重量値を求める、
ことを特徴とする請求項6に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項8】
液分調整材を収納する容器と、
該容器内の液分調整材を処理槽内に自動投入するための投入機と、
演算手段により演算された重量値の液分調整材が容器から処理槽内に投入されるように投入機の動作を制御する制御手段とをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項9】
投入機は、容器と処理槽とに連通した通路に設けられた電磁式の開閉弁を含み、
制御手段は、開閉弁の開放時間を制御することによって容器から処理槽内に演算された重量値の液分調整材を投入する、
ことを特徴とする請求項8に記載の生ゴミ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−726(P2007−726A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181673(P2005−181673)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】