説明

生体磁場計測装置

【課題】被験者に負担や不安を強いることなく、検査技師の取扱性が良好な小型の生体磁場検査装置を提供する。
【解決手段】被験者を乗せるための寝台部を有するベッド部と、横姿勢で保持される筒状の磁気シールド体と、磁気シールド体の上部中央に計測部を位置させるガントリ部とを備え、磁気シールド体は、筒状の周面の一部に寝台部を出し入れする寝台出入口を備えた第1筐体と、寝台投入口を開閉する第2筐体とを備え、第2筐体は、筒状の周方向に沿って第1筐体に移動可能に保持され、ベッド部は、寝台部を保持する天板と、天板を筒状の磁気シールド体の両端で保持する脚部と、寝台部を寝台出入口を介して磁気シールド体外に出入りさせる引出機構部と、寝台部を磁気シールド体内Y方向に移動させるY方向移動機構部と、中心軸と直交するX方向に移動させるX方向移動機構部と、寝台部を上下方向に移動させるZ方向移動機構部とを備えた生体磁場検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定対象から発生する磁場、例えば、生体の心臓や脳等から発生する微弱な磁場を、高感度な超電導量子干渉素子(SQUID Superconducting QUantum Interference Device)用いる磁束計を用いて行なう小型の磁場計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、SQUIDを用いた磁場計測装置は生体の脳や心臓等から発生する磁場(以下、生体磁気と呼ぶ)の計測に用いられてきた。生体磁気のような微弱な磁場の計測では、磁場計測装置に混入してくる外来磁場を80dB−100dB(デシベル)以上に減衰させる必要がある。外来磁場は、送電線、走行する電車、自動車等に由来する磁気雑音が、商用電源を通して磁場計測装置に混入してくる。
【0003】
従来の生体磁気計測装置は、パーマロイ等の強磁性体を用いる磁気シールド室の内部に置かれ、外来磁場が遮断された環境で計測を行っている。パーマロイ等の強磁性体を用いる磁気シールド室は、高価で大きく重いため、設置できる医療機関が限られている。狭い場所にも設置が容易なように、より軽量、小型の簡易な磁気シールドを使用する生体磁気計測が望まれている。
【0004】
このような要望に対して、パーマロイ等の強磁性体を筒状に形成し、この筒状の開口部内に複数の計測用磁束計(以下センサという)を配置し、この筒状の内部で横たわる被検者を前記センサで検出するものが提案されている。この提案では、筒状の強磁性体の中心軸方向から被検者を挿入したり、筒状の強磁性体の周側面を開放可能とし、この開放部分から被検者が筒内に出入りすることが開示されている。そして、この提案によれば、複数のセンサで構成される検出面に垂直な方向を筒状の中心軸(x軸)と直交する方向に配置することができるので、外来磁場の影響をなくして計測を可能にすることができる。しかしながら、この提案では、筒状に形成した磁気シールド体による原理は提案されているものの、実用的な提案はなされていない。
【0005】
【特許文献1】特開2000−175874号公報
【0006】
【特許文献2】特開2002−136492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記提案によれば、大がかりなシールドルームを設けることなく、微弱な磁場を計測できるので生体磁場計測装置の小型化に大きく貢献することができる。しかしながら、この提案では、ベッドに寝かせた被験者を、どのようにして前記筒状の磁気シ−ルド体に入れ、あるいは出すのか具体的に開示されていない。このような装置においては、多様な状況にも被験者に負担や不安を抱かせることなく、しかも検査技師が容易に作業をできることが求められるために実用化にあたって大きな課題である。
そこで、本発明の目的は、被験者に負担や不安を強いることなく、検査技師の取扱性が良好な小型の生体磁場検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生体磁場計測装置は、前記目的を達成するために、その上面に被験者を乗せるための寝台部を有するベッド部と、その中心軸を水平位置と成る姿勢で保持される筒状の磁気シールド体とを備え、前記磁気シールド体は、筒状の周面の一部に前記寝台部を出し入れする寝台出入口を備えた第1筐体と、前記寝台投入口を開閉する第2筐体とを備え、前記第1筐体は、その上部中央に複数のセンサを内蔵する計測部を備え、前記第2筐体は、筒状の周方向に沿って前記第1筐体に移動可能に保持され、前記ベッド部は、前記寝台部を保持する天板と、前記天板を前記筒状の磁気シールド体内に保持する脚部と、前記寝台部を前記寝台出入口を介して前記磁気シールド体外に出入りさせる引出機構部と、前記寝台部を前記磁気シールド体内の前記中心軸方向に移動させるY方向移動機構部と、前記寝台部を前記磁気シールド体内の前記中心軸方向と直交する方向に移動させるX方向移動機構部と、前記寝台部を前記磁気シールド体内の上下方向に移動させるZ方向移動機構部とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被験者に負担や不安を強いることなく、検査技師の取扱性が良好な小型の生体磁場検査装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1から図40を参照して、この発明に係る生体磁場計測装置を詳細に説明する。また、以下の説明では検査対象を生体とし、心臓から発する磁場を計測する心臓磁気計測装置を例に説明する。しかし、本発明はこの例に限定されない。例えば、一般の検査対象に含まれる磁性体の有無やその量、磁性体の分布等、磁気を検出する検査装置にも適用できる。以下の開示は、本発明の一実施の形態にすぎず、本発明の技術範囲を何ら限定するものではない。更に、同一の部位や機能等は同一符号を持って示し、重複した説明を省略する。
【0011】
(実施例1)
図1から図31は、第1の実施の形態に係る心臓磁気計測装置を示している。図1は装置外観図、図2は装置構成図、図3は計測原理図、図4から図20は各装置の詳細構造図、図21から図26は使用状態図、図27から図30は被検者の位置決め装置の説明図、図31は他の組合せ図である。
先ず、図1と図2を参照して、この実施の形態に係る心臓磁気計測装置の概略構造を説明する。図1は心臓磁気計測装置の外観図である。図2は心臓磁気計測装置の装置構成図である。
【0012】
図1、図2において、この心臓磁気計測装置は、SQUID(超電導量子干渉素子)を用いた計測用磁束計(以下センサという)を備えた計測部100を保持するガントリー部200と、計測時に前記計測部100を内在させて外来磁場を排除する磁気シールド体300と、被験者を乗せるための寝台部404を有するベッド部400と、前記計測部100から入手する磁場データの調整や計測条件の設定などの各種の解析等を行うデータ収集解析装置500と、前記センサから収集される磁場データを解析する磁場計測駆動装置550とを含んで構成される。
【0013】
前記ガントリー部200と磁気シールド体300とベッド部400とは、それぞれ脚部201、301、402を備えて互いに分離可能に構成され、設置時は、前記各脚部を介して床面に直接または、床面に設置される基台部600に取り付けられる。
前記ガントリー部200は、その前面下部に前記磁気シールド体300を収納する収納空間202を備え、その上面には、前記計測部100を保持する検査保持部203が設けられている。この実施の形態に係るガントリー部200は、垂直な支柱204に対して前記脚部201が前方に張り出してこのガントリー部200を安定支持し、更に、前記計測部100を保持する前記検査保持部203を前記支柱204の上方から前方に張り出すように配置している。これにより、前記脚部201の上方の位置で前記計測部100を保持することとなるので、前記計測部100を取り付けた状態のガントリー部200の重心バランスを良好にして、前記計測部100を安定支持することができる。また、前記ガントリー部200は、前記脚部201と検査保持部203を前方に張り出して形成しているので、この脚部201と検査保持部203との間に広い前記収納空間202を形成することができる。しかも、このガントリー部200の構造によれば、前記磁気シールド体300の上方位置に前記計測部100を位置させることができる。
【0014】
前記磁気シールド体300は、前記ガントリー部200の脚部201の上方位置となる前記収納空間202に設置される。これにより、前記ガントリー部200の設置空間と、この磁気シールド体300の設置空間を共有することができるので、設置効率を向上することができる。
【0015】
前記磁気シールド体300は、シールド本体302とこれを支持する前記脚部301とから構成される。このシールド本体302は、比透磁率が1万から10万程度の高い比透磁率を持つパーマロイやアモルファス合金や電気伝導度の高いアルミニウム等の強磁性体で形成される筒状の外観形状を備え、中心軸Pが水平位置となるように、前記脚部301で支持される。そして、この実施の形態では、このシールド本体302を、前記脚部301で支持される主筐体303と、この主筐体303にスライド可能に取り付けられる開閉筐体304とから構成している。
【0016】
前記主筐体303は、正面上部側、即ち、前記ガントリー部200の支柱204と対向する側の上部(筒状の外周の約1/4)を開放して被検者出入口305を設けている。前記開閉筐体304は、筒状の一部を成す弧状の外観を備え、開閉駆動機構部306を介して、前記被検者出入口305を開閉するように筒状の円周方向に沿ってスライド可能に前記主筐体303に取り付けられる。この構造により、前記開閉筐体304は、閉鎖状態で前記主筐体303とともに筒状の磁気シールド空間307を構成し、開放状態では、前記主筐体303の周囲に沿って収納されて前記被検者出入口305を開放するので、前記磁気シールド空間307内に横方向から被検者を楽に出入りさせることができる。
【0017】
また、前記主筐体303は、上部に前記計測部100を磁気シールド空間307に挿入するための開口部308を備えている。この開口部308には、前部が切り欠かれた突出する取付部309が形成され、この取付部309と前記計測部100との隙間を塞いで外来磁場を遮断する一対のカバー310a、310bが設けられている。この構造により、前記ガントリー部200で保持された計測部100のセンサを磁気シールド空間307内に外来磁場を排除しつつ位置させて、この計測部100を安定支持することができる。
【0018】
前記ベッド部200は、床面に固定される脚部402と、この脚部402の上面に配置される天板401とから構成される。前記天板401は、その長手方向が前記磁気シールド体300の中心軸P上の磁気シールド空間307内に位置するように、前記脚部402によって支持される。この実施の形態では、前記天板401を前記磁気シールド体300の長手方向の長さより長く形成することで、天板401の両端部を磁気シールド体300の外に張り出させ、この両端部を前記脚部402で支持している。これにより、このベッド部400の設置空間と、ガントリー部200の設置空間と、磁気シールド体300の設置空間を共有することができるので、設置効率を向上することができる。
【0019】
また、前記天板401は、前記脚部400に支持される天板ベース部403と、寝台移動機構部700を介して前記天板ベース部403に移動可能に取り付けられる寝台部404とを備えている。前記寝台移動機構部700は、前記筒状の磁気シールド体300の中心軸PとなるY方向に移動させるY方向寝台移動機構部701と、前記Y方向と直交するX方向に前記寝台部404を移動させるX方向寝台移動機構部702と、寝台部404をX方向に移動させて磁気シールド空間307から寝台部404を引き出すたり戻したりするための引出機構部703を備えている。
【0020】
前記引出機構部703は、前記開閉筐体304を開放した開放状態で、前記寝台部404を引出機構部703を介して前記磁気シールド体300から引き出すことができる。これにより、被検者は開放された空間で前記寝台部404に乗り降りできる。そして、被検者が寝台部404に寝た状態で、前記磁気シールド空間307内に前記寝台部404を移動させることができるので、被検者にとって楽であり、また、医師(検査者、介護者)などにとっても楽な操作で磁気シールド空間307内に被検者を出入りさせることができる。
【0021】
また、前記脚部402は前記引き出された寝台部404を下方で支持する前部連結部405を備えている。これにより、寝台部404を引出した状態の強度を向上させるとともに、前記引出機構部703を小型にすることができる。
更に、寝台移動機構部700は、前記天板401を上下させるZ方向寝台移動機構部704を前記脚部402に備えている。
【0022】
このように、この実施の形態によれば、前記Y方向寝台移動機構部701とX方向寝台移動機構部702及びZ方向寝台移動機構部704を駆動させることで、磁気シールド空間307内の寝台部404をXYZ方向に移動させることができるので、前記寝台部404に寝た状態の被検者の計測部位を計測部100の良好な位置まで移動させることができる。
【0023】
また、この実施の形態では、前記データ収集解析装置400を前記磁気シールド体300に隣接して設けることで、検査技師の操作性を向上している。
そして、この実施の形態に係る心臓磁気計測装置の特徴の1つは、ガントリー部200と磁気シールド体300とベッド部400とを互いに分離可能な構造とすることで設置性を向上させた点にある。一般に、心臓磁気計測装置のような大型の装置は、工場から設置場所まで部品レベルで搬送しないと、設置時に設置する建物の壁などを壊して設置しなければならない。一方、部品レベルで分解して搬送した場合、分解する単位を工夫しないと組み立ての際に面倒である。特に、この心磁計測装置の場合は、精度を要するセンサや、外来磁場を遮蔽するシールド性や、パーマロイなどの重量のある部材のバランス、移動機構部の精度などを考慮する必要がある。また、他の使用実態を考慮する必要がある。
【0024】
この実施の形態では、前記課題を解決するために、計測に関する装置を前記3つの装置(ガントリー部200、磁気シールド体300、ベッド部400)に分解している。即ち、この実施の形態では、前記筒型の磁気シールド体300を備えているので、建物内に大型の磁気シルドルームを設置することなく計測を行うことができる。しかし、大型の磁気シルドルームで使用したいとの要望もある。この場合、前記筒型の磁気シールド体300に計測部100を取り付けた場合、この計測部100を大型の磁気シールドルームで使用可能とすると大きな設計変更が必要である。
【0025】
この実施の形態では、この課題を解決するために、前記計測部100を前記磁気シールド体300と分離して、前記ガントリー部200で支持する構造としている。この構造によれば、前記ガントリー部200で支持された前記計測部100をこの筒型の磁気シールド体300と分離して大型の磁気シールドルーム内で使用することができる。一方、前記筒型の磁気シールド体300との組み合わせで使用する場合は、前記ガントリー部200の収納空間202に筒型の磁気シールド体300を設置した後に、計測部100をガントリー部200に取り付けることで、計測部100のセンサを筒型の磁気シールド空間307内の所定の位置に取り付けることができる。しかも、筒型の磁気シールド体300と計測部100の結合は前記取付部309と一対のカバー309a、309bなどにより、外来磁場を排除できる。
【0026】
また、筒型の磁気シールド体300は、外来磁場を排除するシールド性が重要である。そこで、この実施の形態では、この筒型の磁気シールド体300を独立させ、磁気シールド空間307内に設置する必要のあるベード部400を独立して設置する構造としている。これにより、計測部100を備えたガントリー部200と、筒状の磁気シールド体300と、ベッド部400とを組み合わせて使用することもできるし、大型の磁気シールドルーム内で計測部100を備えたガントリー部200と、ベッド部400とを組み合わせて使用することもできる。
【0027】
また、この実施の形態の他の特徴の一つは、筒状の磁気シールド体300の被検者出入口305を筒状の円周面に設けたことである。この種の心臓磁気計測装置においては、被検者がベッド部400に乗り降りする乗降位置から実際の検査を受ける検査位置との移動距離を短くした方が有効である。この実施の形態では、筒状の磁気シールド体300の中心軸P上にベッド部400の長手方向を一致する状態が検査位置となる。したがって、筒状の円周面に被検者出入口305を設けることにより、この検査位置から最短距離で寝台部404を引き出したり元に戻したりすことができる。この実施の形態では、乗降位置を、検査位置と平行で、かつ前記筒状の磁気シールド体300の外に設定しているので、被検者は開放された前記寝台部404に違和感なく横たわることができ、しかも、この乗降位置であれば検査技師の介護も容易に行うことができる。そして、寝台部404を、前記乗降位置から寝台移動機構部700を介して検査位置へ移送させ、前記寝台部404に横たわる被検者の心臓に前記計測部100を位置合わせを行うことができる。
【0028】
以下、図3から図32を参照して、この実施の形態に係る心臓磁気計測装置を更に詳細に説明する。
先ず、図3を参照して、筒状の磁気シールド体300を使用した計測原理を説明する。図3は計測原理を説明する縦断面図である。
図3において、この実施の形態では、前記磁気シールド空間307の所定の位置に前記計測部100が固定されて配置される。このため、被検者の心臓を前記計測部100に位置合わせを行うのは、前記寝台移動機構部700で行う。図3は、前記磁気シールド体300の内部に、頭部を枕で保持した被検者が横たわって検査姿勢をとっている状態を示している。
【0029】
前記計測部100は冷却容器となっており、その内部の底部に複数の計測センサ101と第1参照用センサ102が配置され、これらは計測部100内に満たされる液体冷媒により冷却されている。この実施の形態では、液体窒素の温度で動作可能な高温超電導体からなるセンサ(磁束計)101、102を使用し、計測部100内には液体窒素を入れて前記計測センサ101と第1参照用センサ102を冷却している。前記計測部100は前記ガントリー部200に保持されている。
【0030】
前記天板101や前記計測部100等の前記磁気シールド体300の内部に配置されるユニットはFRP(強化プラスチック)やアルミニウム等の非磁性材料で構成される。複数の計測センサ(計測用磁束計)101の検出コイルは、Z方向に垂直なXY面に平行な同一の計測面Qに配置され、検出コイルの面はZ方向に垂直である。ここで、Y方向とは前記筒状の磁気シールド体300の中心軸Pの軸線方向であり、X方向とは、前記中心軸Pと直交する前後方向(図面の奥行方向)であり、Z方向とは前記中心軸Pと直交する上下方向である。前記計測センサ101はZ方向の磁場成分を検出する。前記第1参照用センサ102は外来磁場のY方向成分を検出するために設けられ、磁場の検出方向がY方向となるように、前記計測センサ101の付近に配置される。
【0031】
複数の前記計測センサ101及び第1参照用センサ102の駆動動作は、図示しない信号線を介して接続される前記磁場計測駆動装置550により制御されており、この磁場計測駆動装置550では、各センサ101、102で検出された磁場の大きさに応じたアナログ信号がアンプやバンドパスフィルター、ノッチフィルターを含むアナログ信号処理回路で信号処理される。
【0032】
前記信号線は、複数のケーブルで構成され、前記計測センサ101及び第1参照用センサ102から前記磁場計測駆動装置550に検出した信号を伝達するケーブルの束と、前記磁場計測駆動装置550から前記計測センサ101及び第1参照用センサ102にバイアス電流、フィードバック電流、ヒータ用電流を流すためのケーブルの束から構成される。
前記磁場計測駆動装置550の出力はデジタル信号に変換され、前記データ収集解析装置400に取り込まれる。このデータ収集解析装置400では、取り込まれた信号に対して各種の信号処理を実行する。
【0033】
外来磁場はX,Y,Z方向の3成分を含む。筒状の前記磁気シールド体300のシールド性能は、図3に示すY方向に垂直なZ方向とX方向で優れているので、外来磁場のZ方向とX方向の成分は筒状の前記磁気シールド体300の内部では大きく減衰している。
一方、外来磁場のX、Y方向の成分は、前記計測センサ(SQUID磁束計)101の磁場検出方向に直交しており、その大部分はこの計測センサ101に検出されない。従って、この磁気シールド体300で遮蔽され、かつ、前記計測センサ(SQUID磁束計)101の感度が低いX方向の外来磁場は実用上無視できる。
【0034】
外来磁場のZ方向の成分は、隣接する計測センサ101の出力信号の差分を算出することで大部分はキャンセルできる。差分はデータ収集解析装置400でデータを取り込んだ後に算出できる。
前記データ収集解析装置400は、隣接する前記計測センサ101の出力信号の差分から、前記第1参照用センサ102による計測信号に第1の所定の係数を乗算した値を差し引くことで、外来磁場のY方向成分を補正し、外来磁場の影響が低減された第1の計測信号を求める演算を行なう。
【0035】
このように、この実施の形態では、前記構造を備えることにより、従来磁気シールドされた部屋内で測定した計測を、大がかりな磁気シールド施設を持たない場所でも計測を行うことができるので、施設コストを大幅に削減できるとともに、装置の設置スペースを小さくすることができる。しかも、この実施の形態では、被検者は貫通した筒状の磁気シールド体300内で計測されるので、閉鎖感や不安感が軽減される。更には、この小型の筒状の前記磁気シールド体300に隣接して検査技師がいるので被験者の不安感が軽減される。
【0036】
次に、図4、図5を参照して、ガントリー部200の構造を詳細に説明する。図4はガントリー部の部品展開図である。図5はガントリー部の外観図で、(a)図は正面図、(b)図は右側面図、(c)図は背面図、(e)図は底面図である。なお、左側面図は右側面図と対称である。
先ず、図4、図5において、この実施の形態に係るガントリー部200は、このガントリー部200の骨格を成すガントリー基台部205と、円柱形状の前記計測部100と、前記検査保持部203の前部を覆うガントリー前カバー206と、ガントリー部200の上部を覆うガントリー上カバー207と、前記計測部100内の冷媒を制御する冷媒廃棄制御部208とを含んで構成される。
【0037】
前記ガントリー基台部205は、両側に配置される一対の側板を主体に構成されるものであり、垂直に起立する前記支柱204と、この支柱204の下部に、前方に張り出して形成される一対の側板脚部から成る脚部201と、前記支柱204の上部に張り出して形成される前記検査保持部203とを備えている。前記支柱204は、前記側板の間に前記冷媒廃棄制御部208を内蔵させている。一方、前記検査保持部203は、その先端部が半円弧状に形成されており、円柱形状の計測部100を支持することができる。
【0038】
前記計測部100は、上端部が開閉蓋で覆われた上下に長い円柱形状の容器であり、その中心軸を垂直とする姿勢で前記検査保持部203に取り付けられる。ここで、前記計測部100は、円柱形状の上部に、外側に張り出したツバ部103を備えており、このツバ部103を介して、この計測部100が前記検査保持部203に保持される。
【0039】
前記ガントリー上カバー207は、アルミニュームなどの外来磁場を排除する部材で形成される。つまり、この実施の形態では、図3に示すように、前記計測部100の下部となる前記ツバ部103の下方を前記磁気シルド体300内に収め、前記ツバ部103の上方を前記ガントリー上カバー207で覆うことで、計測部100への外来磁場の影響を軽減している。なお、前記開口部308の周辺は、上方に張り出した前記取付部309とカバー310(310a、310b)で覆うことで外来磁場の影響を軽減している。
【0040】
図4に戻り、前記ガントリー前カバー206は、前記ガントリー上カバー207と前記開口部308の前面を覆うものである。これにより、計測部100のツバ部103と、このツバ部103の上下を覆うガントリー上カバー207とカバー310の結合部を隠蔽することができるので意匠性を向上させることができる。また、この実施の形態では、前記結合部の周辺を広い平面を持ったガントリー前カバー206で覆うことができるので、この広い平面部を操作表示部配置面210とすることができる。この実施の形態では、この操作表示部配置面210にタッチパネル付きの薄型表示部211を配置している。
【0041】
この薄型表示部211が配置される前記ガントリー前カバー206の前面部は、前記磁気シールド体300の中央に位置し、しかも、筒型の前端部に位置している。加えて、その高さH2は、1600mmと成っており、検査技師が操作し、かつ表示内容を確認しやすい位置と成っている。この実施の形態では、前記薄型表示部211にこの心臓磁気検査装置の各種の操作を行う操作キーやモニター画像を表示することができる。なお、この実施の形態では、前記データ収集解析装置500でも同様な操作や検査画像のモニターを行うことができる。また、この実施の形態では、前記薄型表示部211の取付部にチルト機構を備えて表示画面を任意の角度に調整することができる。
図5において、この実施の形態に係るガントリー部200は、全高さH1が2200mm、横幅W1が760mm、奥行D1が1150mmに設定されている。
【0042】
次に、図6と図7を参照して、計測部100を詳細に説明する。図6は計測部の外観図であり、(a)図が平面図、(b)図が底面図、(c)図が正面図、(d)図が右側面図、(e)図が背面図である。なお、左側面図は右側面図と対称につき省略している。図7は計測部の底面図に設けたマークの応用例の展開図である。
【0043】
図6において、前記計測部100は円筒を基調とした外観形状を備えている。この計測部100の下部は4方向の内3方向を直線状にカットした三面カット形状としている。即ち、この計測部100は、前面と両側面が円周の一部をカットした直線状に形成している。この前面側のカット105により、前記磁気シールド空間307への出入りの際に、あるいは介護する検査技師が計測部100の先端に当たるのを軽減することができる。また、両側のカット106により、被検者が左側または右側に頭部を位置させても、前記寝台移動機構部700を動作させた際に被検者の頭部(顎など)が計測部100の先端に当たるのを軽減することができる。
【0044】
ここで、前記計測部100の先端の内部には前記計測面Qに合わせて碁盤状に配列される64個(8×8)のセンサが配置されている。したがって、このセンサの配列からすれば前記計測部100の先端形状を四面カット形状としてもよい。しかし、この実施の形態では、被検者や検査技師などの動作に影響しない背面側を円弧形状とすることで、液体窒素などの液体冷媒の容器内での循環を良好にしている。
このように、前記計測部100は、被検者や検査技師がこの計測部100の先端に当たるのを軽減しつつセンサの冷却効率を良好にした点に特長を備えている。
【0045】
また、前記計測面Qには、前記碁盤状に配列されるセンサの位置を示すマーカ104が形成されている。図6の(b)図に示す例では全てのセンサを示している。これにより、検査技師は、このマーク104を見ながら被検者の心臓を所定の位置に合わせることができる。
更に、図6に示すマーカ104は、両側から2列目、前後方向から3列目に位置する4箇所に突起マーカ104aを設けている。この突起マーカ104aは、平均的な被検者の心臓を前記計測面Qの中心位置に設定した場合、被検者の剣状突起が位置する部分である。この実施の形態の心臓磁気計測装置では、仰向けとうつ伏せの測定が可能であり、また、被検者の頭部を左側でも右側でも測定が可能であるため、前記突起マーカ104aを左右及び前後対称な4箇所に設定している。これにより、検査技師は患部の位置あわせが容易となる。
【0046】
更に、前記突起マーカ104aは前面から目視で確認できる凸形状(3mm〜8mm凸形状)に形成しているので、前記患部の位置あわせの際には、検査技師が計測面Qを覗き込むことなく行うことができる。
図7は、前記マーカ104の多様な応用例を示したものである。これらの実施の形態は、少なくとも突起マーカ104aの位置を示すようにすれば位置あわせの作業に支障を来たすことはない。例えば、(a)図は、4個の前記突起マーカ104aのみを示したものであり、(b)図は(a)図の前記突起マーカ104aに十字マークを施してより位置あわせを向上させたものであり、(c)図は(b)の十字マークを他のマーカ104との組み合わせで構成したものであり、(d)図は突起マーカ104aを通る縦横の列と行を井形状に形成したものであり、(e)図は、突起マーカ104aとセンサーの外周を表すマーカと組み合わせたものである。
【0047】
次に、図8から図14を参照して、ベッド部の詳細構造を説明する。図8はベッド部の部品展開図である。図9は寝台移動機構部の動作原理図である。図10は寝台ロック機構部の断面図である。図11はハンドルの断面図であり、(a)図がロック時の断面図、(b)図がロック解除時の断面図である。図12は引出ロック機構部の断面図であり、(a)図がロック時の断面図、(b)図がロック解除時の断面図である。図13は、寝台移動機構部を自動化した場合の動作装置のブロック図である。図14はベッド部の外観図で(a)が斜面図、(b)図が平面図、(c)図が正面図、(d)図が右側面図である。
【0048】
図8において、前記したように、前記ベッド部400は、前記脚部402と天板401とから構成される。前記脚部402は、前記天板401の長手方向の両端を支持する一対の支持支柱部406と、この支持支柱部406の前部を連結する前部連結部405とで構成される。前記支持支柱部406は、その内部に図示しない油圧シリンダを備えた前記Z方向寝台移動機構部704が設けられている。
【0049】
前記天板401は、前記脚部402に取り付けた状態で、前記前部連結部405と天板401の前側の側端部との間にスリット状の隙間407が形成されるように、前記支持支柱部406に取り付けられる。この実施の形態によれば、前記天板401と前記支持支柱部406と前部連結部405とで囲まれた収納空間に前記磁気シールド体300の下部を収納し、前記隙間407から前記開閉筐体304を出没させることができる。
【0050】
図2に示すように、この実施の形態に係る筒状の磁気シールド体300は、その上部に突出する前記計測部100が取り付けられるので、前記開閉筐体304を筒状の磁気シールド体300の上部の円周方向に収納することができない。しかし、筒状の磁気シールド体300の下方から背面側の円周面は、突出するものが何も配置されないので、前記開閉筐体304を収納することができる。したがって、この実施の形態によれば、前記開閉筐体304を磁気シールド体300の下方に収納し、これを前記隙間407を介して出没させることにより、被検者出入口305を大きく開放することができるとともに、この大きく開放した被検者出入口305を封鎖して磁気シールド空間307を形成することができる。
【0051】
図8に戻り、この天板401は、前記脚部402に取り付けられる天板ベース部403と、被検者が乗る寝台部404と、天板ベース部403上に取り付けられる第1駆動板408と、この第1駆動板408上に移動可能に設置されるとともに前記寝台部404をX方向に移動させる第2駆動板409とを備えている。そして、前記天板ベース部403は、その上面に、第1駆動板408と第2駆動板409とを収納する凹部410を備えている。
【0052】
この実施の形態では、前記複数の部材間に移動機構を備えることにより、前記寝台部404の多様な動きを可能にしている。この機構を図9で更に説明する。
図9において、先ず、前記凹部410の奥行D20は、第1駆動板408の奥行D21よい長く、前記凹部410の横幅W20は、第2駆動板409の横幅W22より長くなっている。この2つの長さの差が寝台部404の移動範囲となっている。また、前記凹部410の深さH20は、前記第1駆動板408の高さH21と、第2駆動板409の高さH22を合わせた長さを備えていることで、前記第2駆動板409の上面と天板ベース部403の上面とを略一致させている。
【0053】
前記凹部410は、その上部に天板401の長手方向と直交するX方向に、この第1駆動板408を移動させる一対の第1レール411が設けられている。一方、前記第1駆動板408の底面には前記一対の第1レール411に対応する第1ローラ群412が取り付けられている。この第1ローラ群412と前記第1レール411とで前記X方向寝台移動機構部702を構成し、このX方向寝台移動機構部702を介して寝台部404をX方向に移動させて、被検者の計測部位である心臓を計測部100の下部に位置合わせすることができる。
【0054】
前記第1駆動板408は、その上部に天板401の長手方向に平行な一対の第2レール413が設けられている。一方、前記第2駆動板409の底面には前記一対の第2レール413に対応する第2ローラ群414が取り付けられている。この第2ローラ群414と前記第2レール413とで前記Y方向寝台移動機構部701を構成し、このY方向寝台移動機構部701を介して寝台部404をY方向に移動させて、被検者の計測部位である心臓を計測部100の下部に位置合わせたり、あるいは、寝台部404を磁気シールド空間307から引き出すための所定の位置(ホームポジション)に移動させることができる。
【0055】
このように、この実施の形態では、前記2つの移動機構部(Y方向寝台移動機構部701、X方向寝台移動機構部702)とZ方向寝台移動機構部704により、被検者が横になっている寝台部404をX方向、Y方向、Z方向に移動させて、被検者の患部を計測部100の下部に位置合わせすることができる。
【0056】
更に、この実施の形態では、前記寝台部404を磁気シールド空間307から出し入れする引出機構部703を備えている。即ち、前記第2駆動板409の上面には、天板401の長手方向と直交する一対の第3レール415が設けられている。一方、前記寝台部404の底面には前記一対の第3レール415に対応する第3ローラ群416が取り付けられている。この第3ローラ群416と前記第3レール415とで前記X方向移動機構部を構成し、このX方向移動機構部を介して寝台をX方向に移動させることができる。
【0057】
また、前記天板ベース部403の上面には、前記第3レール415と所定の位置(ホームポジション)で連続する第4レール417が設けられている。ここで、この実施の形態では、前記天板ベース部403の上面と、前記第2駆動板409の上面との高さを一致させていうので、前記第2レール413上を移動する前記第2駆動板409が、Y方向の所定の位置(ホームポジション)の時に第3レール415と第4レール417を連続させることができる。この所定の位置(ホームポジション)は、前記寝台部404を磁気シールド空間307から出し入れする位置である。逆に言えば、前記所定の位置(ホームポジション)以外で前記寝台部404を出し入れする操作ができない。
【0058】
また、この実施の形態では、前記所定の位置(ホームポジション)で前記寝台部404が一時的に保持される寝台ロック機構部418を備えている。この寝台ロック機構部418は、例えば、図10に示すように、寝台部404と天板401との間に、嵌合凹部419と、この嵌合凹部419に嵌合する嵌合突起部420とを分けて設けたものを採用することができる。
【0059】
この構造によれば、前記嵌合凹部419と、バネなどで常に嵌合状態を維持しようとする前記嵌合突起部420とを前記所定の位置(ホームポジション)で嵌合させることができる。この嵌合状態は、前記第3レール415と第4レール417の連結状態を少なくとも一時的に維持する程度の強さであればよい。これにより、検査技師が前記所定の位置(ホームポジション)であることを認識することができるので、この所定の位置(ホームポジション)で寝台部404の出し入れの操作が可能となる。
ここで、嵌合凹部420と嵌合突起部419の取り付け位置は、前記寝台部404と天板401との間に限定されるものではない。例えば、第2駆動板409と第1駆動板408の接触面、あるいは、寝台部404と第1駆動板408との間に設けるようにしてもよい。
【0060】
また、図8に戻り、この実施の形態では、前記寝台部404の長手方向の両辺中央に手すり421とハンドル422を設けることで、被検者が寝台部404から落ちるのを軽減するとともに、寝台部404が引き出された状態では寝台部404へ乗り降りする被検者の手助けとなる。また、この実施の形態では、寝台部404の手前に配置されるハンドル422を検査技師や介護者が保持して、この寝台部404を磁気シールド空間307に手動で出し入れすることができる。更に、寝台部404を引き出した状態では、このハンドル422を下方の回転軸423を中心に回転させて倒すことができる。これにより、寝台部404への被検者の乗り降りや検査技師の被検者への介護を楽にしている。この構造の一例を図に図11に示す。
【0061】
図11において、(a)図はロック状態、(b)図はロック解除状態の断面図を示している。この実施の形態では、前記ハンドル422を逆U字状に形成し、その両端部に設けた前記回転軸423を介して前記ハンドル422と寝台部404が回転可能に連結される。このハンドル422の内部には貫通穴424が形成され、この貫通穴424に逆U字状のロック棒425が収納される。前記ハンドル422の中央の握り部の下部には前記ロック棒425に連結するレバー426が取り付けられる。また、このロック棒425の両端は前記貫通穴424の両端から出没可能に構成され、張り出している時は寝台部404に形成した嵌合穴427に嵌合し、引きあげられると前記嵌合が解除される。この構造によれば、前記レバー426はバネなどにより通常の状態では引き下げられた状態を維持するので、前記嵌合状態が維持される。つまり、前記ハンドル422は垂直な状態が維持されるので、この垂直な姿勢のハンドル422により、被検者においては寝台部404からの落下などを軽減できるし、検査技師においては、このハンドル422を利用して寝台部404の移動操作を行うことができる。
【0062】
一方、前記レバー426を引きあげることにより、前記ロック棒425が引きあげられるので、前記ロック棒425の両端と嵌合穴427の嵌合が解除される。これにより、前記ハンドル422を倒すことができる。
また、この実施例では、前記引き出された寝台部404が固定された状態を維持する引出ロック機構部428を備えている。この引出ロック機構部428は、寝台部404が引き出された状態を維持するように寝台部404と天板401または脚部402とを固定するものであれば足りる。この実施の形態では、前記ハンドル422の倒す動作を利用して、この引出ロック機構部428を動作させる。これを図12で説明する。
【0063】
図12において、(a)図はロック解除状態、(b)図はロック解除の断面図を示している。(a)図において、この実施の形態では、前記ハンドル422は、ロック棒425と嵌合穴427の嵌合により、立てた状態を維持している。この状態は、前記ハンドル422が寝台部404に固定されるので、このハンドル422を利用して検査技師が寝台部404を磁気シールド体300から引き出すことができる。そして、寝台部404を引き出した状態では、レバー426の操作で前記ロック状態を解除し、前記ハンドル422を回転軸423を中心に回転させて倒すことができる。この倒す操作に伴って、前記回転軸423近傍に形成した突起部429が寝台部404に設けたクランク機構430に働きかける。クランク機構430は、中心軸431に対して連結棒432がシーソ構造で揺動する構造と成っている。そして、連結棒432の一方に前記突起部429が作用してハンドル422の倒す動作を連結棒432の一方を引きあげる動作に変換する。
【0064】
一方、連結棒432の他方には、ロック棒433が連結されており、連結棒432の一方が引きあげられることにより、連結棒432の他方が引き下げられて、前記ロック棒433を下方に突き出す動作に変換される。この実施の形態では、前記前部連結部405の上面に前記ロック棒433と嵌合する嵌合穴434を設けている。したがって、前記寝台部404を磁気シールド体300から引し出た状態で、前記ハンドル422を倒す操作を行うと、前記ロック棒433と前記嵌合穴434が嵌合するので、寝台部404を引き出した所定の位置で固定させることができる。これにより、寝台部404は引き出された状態で固定されるので、被検者は安全にこの寝台部404に乗り降りすることができる。
【0065】
図8に戻り、前記脚部402の前面には、Z方向寝台移動機構部704の駆動を手動で行う回転ハンドル435が設けられている。この実施の形態では、寝台移動機構部700を駆動部を備えることで、寝台部404の移動の自動化を図っている。しかし、前記駆動部が何らかの原因で駆動しないことも想定される。そこで、この実施の形態では、Z方向寝台移動機構部704で採用する油圧シリンダの圧力を増減させる前記回転ハンドル435を備えている。
【0066】
図13において、この実施の形態では、寝台移動機構部700の自動化を図るために、駆動制御部436をベッド部400の内部に備えている。更に、寝台移動機構部700と開閉駆動機構部306の各所に複数の検知センサ437を備えている。そして、Y方向寝台移動機構部701にY方向駆動部701a、X方向寝台移動機構部702にX方向駆動部702a、引出機構部703に引出駆動部703a、Z方向寝台移動機構部704にZ方向駆動部704aを備えている。前記駆動制御部436は前記検知センサ437からの各動作機構の位置情報を入手して、薄型表示部211からの操作信号に沿った動作を前記寝台移動機構部700に行なわさせる。また、前記駆動制御部436は、前記開閉駆動機構部306の開閉駆動部311の制御も行う。これにより、前記寝台移動機構部700と開閉駆動機構部306との連携動作を行うことができる。なお、前記駆動制御部436の配置はベッド部400に限定されるものではない。
【0067】
この実施の形態では、前記Z方向駆動部704aに油圧シリンダを採用していると説明したが、他の駆動部にも同様な油圧シリンダを採用しても良いし、あるいは、磁気シールドされた駆動モータを採用してもよい。
図14において、前記脚部402は、前部連結部405と、その両側の後方に延びる前記支持支柱部406とで、上面から見てU字状に形成される。そして、この一対の支持支柱部406を跨ぐように天板ベース部403が設けられる。天板ベース部403の横幅W2は2700mm、奥行D2は600mm、高さH3(ホームポジション)は450mmである。
【0068】
また、前部連結部405の両側の後方には、前記磁気シールド体300の脚部301を露出する空間438を備えている。この空間438は、前記脚部301の先端に設けた開放レバー332を露出させるものである。この開放レバー332は、非常時に開閉駆動機構部306を開放して前記開閉筐体304を手動で開放可能とするものである。また、この空間438は、上面から見て、大きな丸みを持った形状であるため、この両側の角部に検査技師がつまずくなどの課題を軽減できるとともに、装置の小型化の印象を得ることもできる。しかも、その高さは、前記磁気シールド体300の脚部301と略一致させているため、前記脚部301に設けられる前記開放レバー332を検査技師が足で操作することができる。
更に、前部連結部405の中央下部には隙間439が形成してあり、被検者を介護する検査技師の下肢空間を確保している。
【0069】
次に、図15から図17を参照して、磁気シールドル体の部品展開と外観構造を説明する。図15は磁気シールドルームの部品展開図である。図16は開閉駆動機構部の断面図である。図17はローラー組体の配置図である。
この実施の形態では、シールド本体302を構成する主筐体303と開閉筐体304を薄い強磁性体の板材の二重構造で形成することで、軽量化を図るとともに、外来磁場のシールド効率を高めている。つまり、パーマロイなどの強磁性体のシールド性能は、単純に強磁性体の厚さを厚くすれば良いというものではない。むしろ、適度な大きさの中空構造にした方がシールド性能が向上する。
【0070】
この実施の形態では、前記主筐体303の主外装体312を、パーマロイで形成される外側外装体313と内側外装体314および両外装体313,314との間に設けられる骨組体315(図16参照)とから構成される。この骨組体315は、2つの外装体313,314の間に適宜配置され、主外装体312の内部に中空部を形成しつつ、この主外装体の強度と磁気シールド性を向上している。
【0071】
一方、前記開閉筐体304の蓋外装体316は、前記主外装体312の内側に配置される内側蓋外装体317と、前記主外装体312の外側に配置される外側蓋外装体318とがこの蓋外装体316の両端に取り付けられる外装リング部319によって連結される。この内側蓋外装体317と外側蓋外装体318は、前記主外装体312と同様に、図13に示すように、パーマロイで形成される内外一対の外装体と、この一対の外装体とを連結する骨組体320とから構成される。この構造は後に図16で詳細に説明する。
【0072】
主筐体303は、前記主外装体312と、この主外装体312のY方向の両側に取り付けられるリング状軌道部321と、前記カバー310とから構成される。前記主外装体312は、円周の約1/4を示す前面上部が開放した被検者出入口305となっている。この被検者出入口305は大きく開口すれば、出入り口を大きくすることができるが、逆に、開閉筐体304が大きくなるため、開閉駆動機構部306の大型化を招くこととなる。そこで、この実施の形態では、最良の被検者出入口305の位置を選定することで、前記課題を解決している。この内容を図20で説明する。
【0073】
図20において、側面からみて、この被検者出入口305の下部は、筒状の磁気シールド体300の中心軸Pを通る水平線P2より下方の位置S1まで開放し、逆に被検者出入口305の上部は前記中心軸Pを通る垂線P3より前方S2までしか開放してていない。この構造によれば、前記引出機構部703の軌道を低い位置で行うことができるから、筒状の磁気シールド体300から寝台部404を引き出した状態では楽に乗り降りできる。更に、筒状の磁気シールド体300の上部は天井面322を残すように形成されるので、被検者にとって違和感がない。更に、この筒状の磁気シールド体300の上部には、計測部100が配置されるので、この計測部100を前記天井面322で強固に保持できるとともに、この計測部100を保持するガントリー部200を筒状の内部(被検者の目線)から隠蔽できる。
【0074】
図15に戻り、前記リング状軌道部321は、主外装体312の両端部に設けられる前記骨組体315に取り付けられる。このリング状軌道部321は、前記外装リング部319とともに前記開閉駆動機構部306を構成するものであり、外側に向くリング面321aに複数のローラー組体323を備えている。これを図17で説明する。
【0075】
図17において、前記ローラ組体323は、略矩形状の4隅にそれぞれ車輪を備えた構造を備え、前記リング面321に等間隔で配置される。この実施の形態では、12個のローラー組体323を備えている。この構造によれば、ローラー組体323の外側で前記外側蓋外装体318を支持し、内側の車輪で内側蓋外装体317を支持することができる。なお、この実施の形態では、4個のローラで説明したが、個数に限定されるものではない。内側蓋外装体317と外側蓋外装体318との間で開閉筐体304を支持することで装置全体の小型化を図ることができる。
【0076】
図15に戻り、前記リング状軌道部321は、その下部に前記脚部301が取り付けられる。したがって、この磁気シールド体300は、シールド本体302の両側に取り付けられるリング状軌道部321の下部に設けられる一対の前記脚部301で支持される。
【0077】
前記主筐体303は、上部中央に、前記計測部200を取り付ける前記開口部308が形成される。この開口部308は前記計測部100を上部から挿入して取り付ける構造であれば、計測部100の断面形状、例えば、この実施の形態では円形の開口部308であればよい。しかし、ガントりー部200に取り付けられる計測部100をこの円形の開口部308に取り付ける場合は、上下に長い計測部100を一旦上方に持ちあげてからこの開口部308に挿入しなければならない。このため、天井の高い部屋でないと設置できない課題がある。
【0078】
そこで、この実施の形態では、前記開口部308の前部を切り欠いた形状としている。このため、計測部100の取り付けに当たっては前記切欠部324を介して前方から計測部100を挿入できるので、天井高の低い部屋でも設置可能ある。また、この実施の形態では、設置にあたって、前記計測部100を一旦ガントリー部200から取り外して、前記収納空間202に磁気シールド体300を設置して前記計測部100を再びガントリー部200に取り付ける必要がある。この実施の形態ではこの計測部100の取り付け用の図示しない取付装置を別途用意しているが、この取付装置の大型化を防ぐことができる。
【0079】
また、この実施の形態では、筒状の磁気シールド体300の上部に前記開口部308を備えているので、この開口部308周辺の外来磁場の排除が大きな課題となる。特に、磁気シールド体300の内部に挿入される計測部100の下部のシールド性は保てるものの、上部の露出する部分のシールド性を保つ課題がある。この実施の形態では、前記ガントーリ部200の前記ガントリー上カバー207で上部を覆うことで前記課題を解決している。この場合、この実施の形態の磁気シールド体300は上面が弧状であるため、前記ガントリー上カバー207の下部を弧状に合わせた形状とするか、磁気シールド体300の上面をガントリー上カバー207の下部形状に合わせて水平面とする必要がある。これにより、磁気シールド体300とガントリー上カバー207の接触面からの外来磁場の進入を軽減することができる。しかし、上記の構造では、磁気シールド体300とガントリー上カバー207の接触面の成形が難しい面を備えている。
【0080】
そこで、この実施の形態では、前記開口部308の周囲に上方に突出した筒状の張出部325を備え、この張出部325に前記計測部100を取り付けるようにする。そして、この計測部100と張出部325の取付部全体を前記ガントリー上カバー207で覆う構造としている。つまり、この実施の形態では、パーマロイ間の結合部を互いにラップさせる構造とすることで、シールド性をいっそう向上している。
【0081】
ここで、この実施の形態では、開口部308を前方に抜けた形状としているので、この切欠部324を前記カバー310で覆い、全体として、開口部308の周囲に上方に張り出した筒状の張出部325を形成している。これにより、前方から計測部100を挿入する構造でもシールド性を向上させることができる。もちろん、このカバー310も2重構造としている。
【0082】
前記開閉筐体304は、前記1対の内側蓋外装体317と外側蓋外装体318で構成される蓋外装体316と、この蓋外装体316の両側に取り付けられる前記外装リング部319とから構成される。前記蓋外装体316は、前記したように、主外装体312を内外で挟むように前記主外装体312に取り付けられる。この構造によれば、磁気シールド空間307を確保して全体を小型化することができる。
【0083】
例えば、他の実施の形態として、主外装体312の内側のみに同様な2重構造を備える開閉筐体304を設けることでもよい。しかし、この場合、磁気シールド空間307内に位置する被検者からみると、厚い開閉筐体304が移動することとなるため、被検者に不安感を抱かせる懸念がある。そこで、開閉筐体304を薄くすると外来磁場のシールド性に課題が残る。そこで、この実施の形態では、前記蓋外装体316を主外装体312を内外で挟む構造としている。この構造によれば、磁気シールド空間307内で移動する開閉筐体304の部分(内側蓋外装体317)を薄くすることができるとともに、この開閉筐体304を中空部を備えた強磁性体の4重構造とすることでシールド性も維持することができる。
【0084】
しかし、前記構造を取ると、前記脚部301で固定された主筐体303の外側に位置する外側蓋外装体318と、内側に位置する内側蓋外装体317とを同時に支持し、かつ、前記脚部301を逃げながらこの2つの外装体からなる開閉筐体304を主筐体303に回転可能に取り付けなければならない。
【0085】
そこで、この実施の形態では、前記蓋外装体316の両端部の中央部分326を残して、その両側に形成される接続部327を介して前記蓋外装体316(内側蓋外装体317と外側蓋外装体318)と外装リング部319とを取り付ける構造としている。この構造によれば、前記中央部分326に形成される溝326aを円周に沿って設けることができるので、この溝326aに脚部301の支柱を通すことにより、この脚部301を逃げながら前記開閉筐体304を円周方向に回転させることができる。つまり、この実施の形態では、この溝326aの長さがこの開閉筐体304の回転可能な範囲となる。なお、前記溝326aは筒状の磁気シールド体300の両側の円形開口部の近傍に位置しているので、この溝326aから侵入する外来磁場は無視することができる。
【0086】
また、この実施の形態では、筒状の磁気シールド体300の円周方向を被検者出入口305としているので、主外装体312と、この蓋外装体316との間の隙間からの外来磁場をシールドする必要がある。そこで、この実施の形態では、前記蓋外装体316の円周面の面積を被検者出入口305の開口面積を大きくすることで、開閉筐体304を閉じた時の円周方向の主外装体312と蓋外装体316のラップする面積を大きく取ることで、外来磁場のシールド性を向上させている。しかも、この実施の形態では、一対の前記蓋外装体316の間に主外装体312を挟みこむ構造とすることで、よりシールド性を向上することができる。
【0087】
しかし、このような構造を取ると、前記磁気シールド体300の上部中央に設けた計測部100が前記開閉筐体304の移動範囲を妨げることとなる。そこで、この実施の形態では、前記開閉筐体304の前記被検者出入口305側の両端部に前記計測部100を逃げる切欠部327a、327bを形成することにより、前記課題を解決している。これにより、外来磁場を排除しながら大きな被検者出入口305を得ることができる。
【0088】
前記外装リング部319は、前記リング状軌道部321とともに開閉機構駆動部306を構成するものであり、その内面には前記ローラー組体323を内側と外側から保持する凹状溝328が形成され、外面には手動時にこの開閉筐体304を開閉するためのリング状ハンドル329が設けられている。
【0089】
次に、図16を参照して開閉駆動機構部306を更に詳細に説明する。図16は、筒状の磁気シールド体300の中央断面図であり、右側を拡大して図示し、中央部分は省略している。
前記内側蓋外装体317と外側蓋外装体318は、各々外板330と内板331及び骨組体320とで構成されている。この前記内側蓋外装体317と外側蓋外装体318の間に同様な構造を備えた前記主外装体312が位置している。前記骨組体315、320は、外装体の両側の端部に設けられ、この前記骨組体315、320にリング状軌道部321と外装リング部319が取り付けられる。
【0090】
ここで、前記内側蓋外装体317と外側蓋外装体318は、接続部(図面右上に図示)327で前記外装リング部319に接続されるが、前記中央部分(図面右下に図示)326では前記内側蓋外装体317と外側蓋外装体318は連結していない。このため、この連結しない部分に前記脚部301の支柱を貫通させることができる。
【0091】
一方、前記骨組体315には、リング面321aに複数のローラー組体323が取り付けられるリング状軌道部321が取り付けられる。前記ローラー組体323は、前記凹状溝328に挿入されることで、この凹状溝328の外周と内周に前記ローラー組体323のローラが接触して、前記開閉筐体304を円周方向に回転可能に支持する。
ここで、前記開閉筐体304の円周方向の回転では、前記脚部301が前記中央部分326を貫通していることで邪魔しない。
【0092】
次に、図18を参照して、この心臓磁気計測装置の設置方法を更に詳細に説明する。図18は装置組立図である。前記したように、この実施の形態では、機能ごとに独立した各装置を設置場所で組み立てることで心臓磁気計測装置を構成する。特に、計測部100、ガントリ部200、磁気シールド体300、ベッド部400、を独立する装置として製造現場で製造し、これら各装置を設置場所で組み立てる構造を取っている。
【0093】
設置に当たっては、前記基台部600に基本となる装置、例えば、前記磁気シールド体300を取付ける。そして、前記磁気シールド体300の前記開口部308に前記検査保持部203を位置あわせするように、後方より、ガントリ部200を挿入して基台部600に取付ける。この際、ガントリー基台部205のみ後方より取り付け、図示しない取付装置を利用して前方より計測部100を検査保持部203に取り付ける。前記計測部100は、先端を磁気シールド空間307に位置させ、中央部分を張出部325に接触させ、前記ツバ部103を検査保持部203に取り付ける。
【0094】
この後、一対の前記カバー310(310a、310b)を前記切欠部324と張出部325とを覆うように取付け、更に、ガントリー上カバー207、そしてガントリー前カバー206を前記ガントリー基台部205に順次取付ける。
前記ベッド部400は、前記天板401を取り外した前記脚部402を前記磁気シールド体300の前方より挿入して基台部600に取り付け、この後に前記天板401を前記脚部402に取り付け、それぞれの各装置を配線して設置を完了する。
【0095】
次に、図19と図20を参照して、各装置を組み合わせた状態の心臓磁気計測装置の構造を更に詳細に説明する。図19は、心臓磁気計測装置の外観図であり、(a)図が平面図、(b)図が底面図、(c)図が正面図、(d)図が右側面図である。図20は心臓磁気計測装置の中央縦断面図である。なお、図19の各図は、説明を分かりやすくするために、前記開閉筐体304を中間位置まで閉じた状態で図示している。
【0096】
図19において、この実施の形態に係る心臓磁気計測装置は、横姿勢の筒状の磁気シールド体300と、縦に長いガントリ部200とを前記磁気シールド体300の中央位置で組み合わせることで、正面から見て、前記磁気シールド体300の上部中央が上方に張り出した左右対称の基本構造にしている。また、この磁気シールド体300とガントリ部200とは、側面からみて、円形の磁気シールド体300を高さのあるガントリー部200が噛み付いた造形としている。前記ベッド部400は前記磁気シールド体300に組み込まれて、この磁気シールド体300と一体化された構成と成っている。
【0097】
前記磁気シールド体300の内径H5は900mmに設定され、横幅W4は2300mmに設定されている。即ち、この実施の形態では、前記磁気シールド体300の横幅W4を内径H5の2倍以上の長さに設定し、前記計測部100を前記横幅W4の略中央位置に設定している。これにより、磁気シールド性を向上させている。なお、前記天板401の長さW3(2700mm)を前記磁気シールド体300の横幅W4より大きくすることで、前記磁気シールド空間307の外で前記天板401を保持して、この磁気シールド空間307内でZ方向に昇降させることができる。
【0098】
また、この実施の形態では、中央のガントリー部200の上部のみが高さH1の高さを有し、その両側の磁気シールド体300の高さH4を1350mmに設定しているので、装置全体の大きさを感じさせない形状としている。特に、磁気シールド体300は筒状としているので、上面が円弧形状に形成されるので高さH4の高さをいっそう感じさせない。
そして、この心臓磁気計測装置は、3つの装置(ガントリ部200と磁気シールド体300とベッド部400)の設置スペースを共有しているので、その設置スペースの大きさを横幅W3、奥行D3(1450mm)とするコンパクトな構造としている。
【0099】
次に、図20において、この実施の形態では、前記Z方向寝台移動機構部704の移動範囲H7をホームポジションから上方に200mmに設定している。そして、前記計測部100の下端部には前記位置センサ437が設けられており、この位置センサ437は予め設定された所定の距離に障害物(被検者)があると信号を発して前記Z方向寝台移動機構部704の移動を停止させることができる。これにより、検査技師が被検者体格にあわせて、その患部と計測面Qとを適切な距離に合わせることができるとともに、安全性を高めている。
一方、前記引出機構部703の移動範囲D4は、前記ホームポジションから前方へ500mmに設定されている。これにより、前記寝台部404を前方へ大きく引き出すことができるので、被検者の寝台部404への乗り降りを容易にしている。
【0100】
次に、図21から図26及び図13を参照して、前記寝台移動機構部700と開閉駆動機構部306の動作及び操作方法を説明する。図21は寝台部404を引き出した状態の斜視図、図22は寝台部404を前記磁気シールド空間307内のホームポジションに位置させた状態の斜視図、図23はY方向寝台移動機構部とX方向寝台移動機構部702を動作させてXY方向の位置あわせを行った状態の斜視図、図24はZ方向寝台移動機構部を動作させてZ方向の位置あわせを行った状態の斜視図、図25は開閉駆動機構部を動作させて開閉筐体を閉める過程の斜視図、図26は開閉筐体を閉めた状態の斜視図である。
【0101】
先ず、この心臓磁気計測装置では、寝台部404の長手方向を磁気シールド体300の中心軸Pに略一致させ、かつ前記引出機構部703を介してこの寝台部404を前方に引き出せる図22に示すホームポジションの状態、または、図21に示す寝台部404を引き出した状態を電源OFFの初期設定位置とすることができる。
検査技師が図示しない電源スイッチを動作させると、前記駆動制御部436は、前記薄型表示部211に図示しないメニュー画面を表示させる。なお、この説明では計測センサ101の温度維持についての説明は省略する。検査技師は前記メニュー画面から図示しない操作ガイダンスや操作スイッチの操作画面を選択することができる。
【0102】
この実施の形態では、前記寝台移動機構部700と開閉駆動機構部306の動作を手動で行うマニュアル操作と、駆動機構を介して行う自動操作とを選択することができる。これらの選択は、前記メニュー画面からの選択操作で行うことができる。また、設置時に予め駆動機構を取り外して手動で行うことを前提に設定することができる。以下の説明では、手動動作と駆動機構を使った自動動作をそれぞれ説明する。
先ず、マニュアル操作について説明する。この手動動作では、前記寝台移動機構部700と開閉駆動機構部306の駆動を検査技師が行うものである。
【0103】
図22のホームポジションの状態が初期設定位置として設定されている場合、検査技師は前記ハンドル422を用いて寝台部404を手前に引き出すことができる。前記ホームポジションの状態では、前記寝台ロック機構部418を介して寝台部404が一時的にロック状態となっているので、第3レール415と第4レール417が連結された状態である。したがって、寝台部404を手前に引き出す操作で前記寝台ロック機構部418のロック状態が簡単に解除され、第3ローラ群416が前記連結された第3レール415と第4レール417上を移動して図21に示す寝台部404を引き出した状態とすることができる。
【0104】
検査技師は、前記ハンドル422のレバー426を操作して嵌合穴427とロック棒425の嵌合を外して前記ハンドル422を手前に倒すことができる。このハンドル422を倒す操作により前記引出ロック機構部428をロック状態とすることができるので、図21に示す寝台部404が固定された状態と成る。
前記図21に示す状態では、寝台部404が固定された状態と成り、また、前記ハンドル422が倒れた状態と成っているので、被検者は前記寝台部404に楽な姿勢で乗り、横になることができる。
【0105】
被検者が寝台部404に横になった図21に示す状態から図22に示すホームポジションの状態への操作移動は、先の説明と逆の操作を行う。つまり、検査技師は、前記ハンドル422を引き上げて立てた状態をロックさせ、その動作に連動して前記引出ロック機構部428のロック状態を解除することで寝台部404の移動を可能とし、前記ハンドル422を介して寝台部404を元のホームポジションの位置に押し込むことができる。検査技師は、寝台ロック機構部418により寝台部404が一時的にロックされるので、寝台部404がホームポジションに移動したことを知ることができる。
【0106】
図22のホームポジションでは、Y方向寝台移動機構部701とX方向寝台移動機構部702及びZ方向寝台移動機構部704を操作して寝台部404を所定の検査位置に移動させることができる。
基本的な操作は、図23に示すようにY方向とX方向の位置を設定する。この寝台部404の移動では前記ハンドル422を介して行うことができる。検査技師は前記計測面Qに設けられるマーカ104を介して被検者の患部の大まかな位置あわせを行うことができる。この際、前記Y方向寝台移動機構部701とX方向寝台移動機構部702に所定間隔で位置が仮固定される図示しない機構を備えることにより位置あわせ(微調整含む)が可能である。この図示しない機構により、位置あわせした位置が変化することを軽減することができる。
【0107】
次に、図24に示すようにZ方向の位置を設定する。Z方向の位置は前記回転ハンドル435を操作することで、Z方向寝台移動機構部704を動作させて寝台部404を昇降することができる。Z方向の移動では、計測面Qに設けた検知センサ437で計測面Qと被検者の距離を検知することができる。ここで、駆動制御部436は、検知センサ437を介して2段階で、その距離を図示しないブザーなどで知らせるように制御させる。これにより、検査技師は、第1の検知で大まかな距離を知り、それ以降は微調整で行うことができる。そして安全は第2の検知で維持される。
図24に示す状態では、前記マーカ、特に突起マーカ104aを介して、XYZ方向の最終の位置あわせを行うことができる。前記突起マーカ104aは下方に張り出しているので、計測面Qを覗き込むことなく、位置あわせが容易である。
【0108】
次に、計測面Qに対して患部の最終の位置あわせが完了すると、図25、図26に示すように、前記リング状ハンドル329を介して、前記開閉筐体304を閉めることができる。前記開閉筐体304は下方から上方に引き上げられるように閉まるので、仮に被検者の手が前記開閉筐体304の先端にあっても、開閉動作で手が挟まれるような事故を軽減することができる。
【0109】
そして、前記開閉駆動機構部306は図26に示す前記開閉筐体304が閉まった状態で図示しないロック機構で固定される。このロック機構は、前記開放レバー332の操作で解除することができる。
検査技師は、図26に示す状態で、前記薄型表示部211に表示される操作スイッチを操作して計測を開始することができる。なお、この薄型表示部211に計測画面を表示させることもできる。
さて、計測が終了すると、検査技師は、前記した逆の操作を行って、もとの図21の状態にすることができる。
【0110】
次に、駆動機構を使った自動操作を説明する。この自動操作では、前記寝台移動機構部700と開閉駆動機構部306の駆動を駆動機構部436が行うものである。なお、マニュアル操作と説明が重複する点は説明を省略する。また、センサ437は各所に設けられ、前記駆動制御部436はこれらのセンサ437からの信号を検知して動作制御する。
【0111】
図22のホームポジションの状態が初期設定位置として設定されている場合、検査技師が前記操作スイッチを操作した後に前記ハンドル422を引き倒すと、前記駆動制御部436は、寝台部404がホームポジションであるか否かを検知して、ホームポジションであれば引出駆動部703aを駆動させて図21に示す位置まで寝台部404を移動させ、前記引出ロック機構部428をロック状態とする。ここで、寝台部404がホームポジションであるか否か検知は、例えば寝台ロック機構部418にセンサ437を設けることで検知することができる。また、寝台部404がホームポジションでない場合は、前記薄型表示部211に警告表示とホームポジション復帰の操作スイッチを表示する。
【0112】
被検者が寝台部404に横になった図21に示す状態から図22に示すホームポジションの状態への操作移動は、先の説明と逆の操作を行う。つまり、検査技師は、前記ハンドル422を引き上げる操作を行うと、前記駆動制御部436は引出駆動部703aを動作させて図22に示すホームポジションの状態まで寝台部404を移動させる。
【0113】
このように、この実施の形態では、この寝台移動機構部700の操作をガントリ部200の薄型表示部211で行うので、寝台部404が引き出されると、前記薄型表示部211での操作が困難となる。そこで、薄型表示部211における操作スイッチの操作の後に前記ハンドル422を操作することで寝台部404を出し入れすることができる。
なお、前記ハンドル422に図示しない駆動部を設けて、前記操作スイッチを介して寝台部404の引き出し操作がなされると、前記駆動制御部436が、寝台部404がホームポジションであるか否かを検知して、ホームポジションであれば前記図示しない駆動部を動作させて前記ハンドル422を倒し、寝台部404を引き出すように制御しても良い。なお、この場合、前記前部連結部405に赤外線センサを設けて障害物検知や寝台部404移動時のブザー音などを鳴らすことにより安全性が高められる。
【0114】
次に、図22において、駆動制御部436は寝台部404がホームポジションであることを検知すると、前記薄型表示部211に表示される寝台移動機構部700の操作スイッチを操作可能な表示とする。検査技師は、前記操作スイッチを操作することですることで、Y方向寝台移動機構部701とX方向寝台移動機構部702及びZ方向寝台移動機構部704を操作して寝台部404を所定の検査位置に移動させることができる。
【0115】
基本的な操作は、先ず図23に示すようにY方向とX方向の位置を設定する。この操作では、前記薄型表示部211が計測部100の先端に形成される計測面Qに近接配置されるので、検査技師は、前記計測面Qと被検者の患部を目視しながら前記薄型表示部211を操作することができる。同様に、図24に示すようにZ方向の移動も前記薄型表示部211を操作することで可能である。そして、突起マーカ104aを利用した微調整も楽な姿勢で操作できる。
【0116】
更に、図25,26において、前記開閉駆動部311の操作も前記薄型表示部211を操作することで可能である。この場合、検査技師は被検者に近い位置で被検者に話しながら操作することができ、また、被検者は開閉筐体304が閉まる動作に当たって検査技師が近くにいるので不安が軽減される。
そして、前記駆動制御部436は、図26に示す前記開閉筐体304が閉まった状態で図示しないロック機構を駆動して前記開閉筐体304をロック状態とする。このロック状態は、前記開放レバー332の操作で解除することができる。
検査技師は、図26に示す状態で、前記薄型表示部211に表示される操作スイッチを操作して計測を開始することができる。
【0117】
さて、計測が終了すると、検査技師は、次の操作を段階的に行うことで、駆動制御部436が各駆動部を動作させて元の図21の状態にすることができる。先ず、引出機構部703を介して図26に示す状態から図25を経て図24に示す開閉筐体304が開いた状態に動作させる。次に、Z方向寝台移動機構部704を介して、図24に示す状態から寝台部404のZ方向の高さを元のホームポジションの高さまで移動させた図23に示す状態とする。次に、Y方向寝台移動機構部701とX方向寝台移動機構部702を介して、図23に示す状態から寝台部404のXY方向を元のホームポジションの位置まで移動させた図22に示す状態とする。次に、前記ハンドル422の倒す操作に基づいて、図22に示す状態から寝台部404を前方に引き出した位置まで移動させた図21の状態とする。これらの段階的な操作は、図26から図22までの操作を連続的に動作させても良い。
【0118】
次に図27から図30を参照して、図7で説明したマーカ104、特に突起マーカ104aの位置あわせに最適なレーザマーカ機構部710を説明する。図27はレーザマーカ機構の位置決定原理図である。図28はレーザマーカ機構をベッド部と計測部に取付けた概略構成図である。図29はベッド部にレーザマーカ機構を取付けた他の応用例の外観図であり、(a)図が斜視図、(b)図が背面図、(c)図が右側面図である。図30はレーザマーカ機構の詳細図である。
【0119】
先ず、図27を参照して、レーザマーカ機構部710の原理構造を説明する。このレーザマーカ機構部710は、被検者の患部の所定位置を計測面Qの所定位置に精度よく合わせるためにレーザを採用したものである。このレーザマーカ機構部710はY方向の位置を合わせるためのY方向レーザ部711と、X方向の位置を合わせるためのX方向レーザ部712と、前記2つの機構部にレーザ光を供給する図示しないレーザ供給機から構成され、必要により、前記計測部100の計測面Qに設けた突起マーカ104aの位置に合わせて前記計測部の先端部周側面に設けた目印713とから構成される。
【0120】
前記Y方向レーザ部711は、レーザ部711aと、このレーザ部711aを前記寝台部404の長手方向のY方向に移動可能に支持するY方向移動保持部711bとから構成される。また、前記X方向レーザ部712は、レーザ部712aと、このレーザ部712aをY方向と直交するX方向に移動可能に支持するX方向移動保持部712bとから構成される。
前記レーザマーカ機構部710は、前記Y方向レーザ部711と前記X方向レーザ部712を介して被検者の特定位置(例えば、剣状突起)に位置をあわせ、この位置あわせを利用して、前記突起マーカ104aのX方向とY方向の位置に該当する前記計測部100の周側面に形成した目印713を合わせるようにする。
【0121】
図27は、前記Y方向レーザ部711を突起マーカ104aのY方向の目印713Yにあわせ、前記X方向レーザ部712を突起マーカ104aのX方向の目印713Xにあわせた状態を示している。ここで、このレーザマーカ機構部710で使用するレーザ光は、図30に示すように、特定の角度で上下方向に照射されるものを採用している。このレーザ光によれば、垂直面の光がX方向、またはY方向に照射されるので、上下関係にある前記目印713と、被検者の特定位置とに前記垂直面の光が当たるので、その位置あわせが容易である。
【0122】
次に、図28を参照して、前記Y方向レーザ部711を計測部100の先端部に取り付け、前記X方向レーザ部712を寝台部404に取付けた実施の形態を説明する。
この実施の形態では、例えば、図21の寝台部404を引き出した状態などで、前記X方向レーザ部712の位置あわせを行う。即ち、X方向移動保持部712bを介してレーザ部712aをX方向に移動させて、寝台部404に寝ている被検者の剣状突起にレーザ部712aの位置をあわせる。そして、図24に示す患部を最終位置に合わせる状態において、X方向のレーザ光が前記目印713Xに当たるようにX方向寝台移動機構部702を介して寝台部404をX方向に移動させる。
【0123】
一方、Y方向レーザ部711は、レーザ部711aが特定の突起マーカ104a(目印713Y)にあうようにY方向移動保持部711bを介してレーザ部711aを移動させて予めレーザ光を固定させる。そして、図24に示す患部を最終位置に合わせる状態において、前記寝台部404の寝ている被検者の剣状突起に前記レーザ部711aのレイザ光が合うように前記Y方向寝台移動機構部701を介して寝台部404をY方向に移動させる。ここで、前記計測部の先端は、図6で説明したように、三面カット形状としているので、この3面カットの直線部分を利用してY方向移動保持部711bを取付けるようにする。これにより位置ずれを防ぐことができる。
【0124】
このように、この実施の形態では、常に、Y方向レーザ部711を計測部100に固定させているので、X方向レーザ部712の位置だけ合わせれば、患部の最終位置あわせでは、Y方向寝台移動機構部701とX方向寝台移動機構部702の位置あわせで行うことができるから簡便である。
【0125】
次に、図29を参照して、Y方向レーザ部711とX方向レーザ部712を寝台部404に取付けた他の実施の形態を説明する。前記図28に示す実施の形態では、Y方向レーザ部711が計測部100の先端部に固定されているので、被検者が寝台部404に特定された方向で寝た姿勢をとり、しかも上向きの姿勢で寝た状態の姿勢であれば手間がかからず簡便である。しかし、検査によっては被検者がうつぶせの姿勢で計測することがある。この場合、Y方向レーザ部711の位置調整をしなければならないが、磁気シールド空間307内の天井面での位置あわせとなり、調整がしづらい課題がある。
【0126】
そこで、図29の実施の形態では、寝台部404にY方向レーザ部711とX方向レーザ部712を取付けることで、図21に示す寝台部404を引き出した状態で、寝ている被検者に合わせてそれぞれのレーザ部711a、712aの位置あわせを可能とするものである。
前記Y方向移動保持部711bは、寝台部404の長手方向に沿ったレールを備え、このレール上を前記レーザ部711aを移動させることができる。一方、前記X方向移動保持部712bは寝台部404の短手方向に沿ったレールを備え、このレール上を前記レーザ部712aを移動させることができる。なお、前記X方向レーザ部712の構造は、前記図28の実施の形態と同じ構造を備えている。
【0127】
また、図30の吹き出し内に示すように、前記レーザ部711a,712aは、レーザ発射部714がベース715に対して上下方向に揺動可能に取り付けられている。検査技師は、このレーザ発射部714の角度を調整して、被検者の所定の位置にレーザ光を合わせることができる。
図29の実施の形態によれば、図24に示す患部を最終位置に合わせる状態において、位置決めされたレーザ光を目印713に合うように、Y方向寝台移動機構部701とX方向寝台移動機構部702を介して寝台部404を移動させることで、被検者の患部を所定の位置に精度よく合わせることができる。
【0128】
特に、この実施の形態では、Y方向レーザ部711の位置あわせが頻繁に起こる場合有効である。また、この実施に形態では、寝台部404に対してXY方向の位置を特定するので、前記Y方向移動保持部711bとX方向移動保持部712bにレーザ部711a、712aの位置を検知する図示しないセンサを備えることで、患部の位置あわせを自動化することができる。
【0129】
つまり、2つのレーザ部711a、712aの位置は、図示しないセンサによって特定されるので、寝台部404に対する2つのレーザ光が交わる交点を特定することができる。前記駆動制御部436は、前記交点を図示しないメモリにホームポジションとして格納し、このホームポジションが、図24の決められた位置に至る前記寝台移動機構部700の移動距離を前記メモリに格納することができる。したがって、図21の寝台部404を引き出した状態において、検査技師が前記レーザマーカ機構部710を調整して前記交点を変更すると、前記駆動制御部436は、メモリに格納された交点のホームポジションと実際に位置あわされた交点の違いを計算して特定することができる。これにより、前記駆動制御部436は位置あわせの操作を受け付けると、メモリに格納された図24の決められた位置に前記計算された位置の違いを加算して前記寝台移動機構部700を動作させ、被検者の患部を計測面Qの所定の位置に自動的に移動させることができる。
【0130】
なお、図29において、439は、Z方向寝台移動機構部704を昇降させるためのフトレバであって、この昇降レバー439を下方に押し下げる動作を繰り返すことで、天板401を上昇させることができる。また、この昇降レバー439を上方に引き上げれば、天板401を下降させることができる。また、440は非常停止ボタンであり、この非常停止ボタン240を操作することで、寝台移動機構部700をフリー状態にすることができる。また、この非常停止ボタン240は、緊急時には操作がしやすく、通常時では誤操作が防げる位置に配置する必要がある。この実施の形態では、前記前部連結部405の片側の上面に設けて、前記非常ボタンとしての作用効果を達成している。
【0131】
次に、図31を参照して、この心臓磁気計測装置の他の設置対応を説明する。図31は大型の磁気シールドルーム610内に、前記ガントリ部200と前記ベッド部400と組み合わせた心臓磁気計測装置を配置したものである。図31は、前記ガントリ部と前記ベッド部を組み合わせた他の設置状態の透視図である。心臓磁気計測装置では微弱な磁場の計測を用いるため、大きな設置スペースがある場合は、大型の磁気シールドルーム610を採用することも1つの選択肢である。しかし、大型の磁気シールドルーム610を採用する場合は筒状の前記磁気シールド体300が不要となる。そこで、この実施の形態では、前記磁気シールド体300に代えて大型の磁気シールドルーム610を採用し、この大型の磁気シールド体610内に前記ガントリ部と前記ベッド部とを組み合わせ使用することができる。この場合、データ収集解析装置500や磁場計測駆動装置550は大型の磁気シールドルーム610の外に設置し、寝台移動機構部700の各駆動部は磁場が発生しないものを採用するか、あるいは手動で使用するとよい。また、心臓磁気計測装置の操作はデータ収集解析装置500で行うようにする。
【0132】
(第2の実施の形態)
次に、図32から図34を参照して、磁気シールド体300内の内装について説明する。図32は磁気シールド体の内装の説明図であり、(a)図が概略断面図、(b)から(e)図は内装壁面の図柄図である。図33は開閉筐体304を開いた状態の説明図であり、(a)図が概略断面図、(b)図は外から見た内壁面の図柄図である。図34は開閉筐体304を閉じた状態の説明図であり、(a)(b)図が概略断面図、(c)図が磁気シールド空間内から見た内壁面の図柄図である。
【0133】
先ず、図32を参照して、この実施の形態の概略構造を説明する。図32において、この実施の形態は、基本的な構造は前記第1の実施の形態と同等な構造を備えている。この実施の形態の大きな特徴は、開閉状態で大きく変化する磁気シールド体300の構造を利用して、被検者に安心感を抱かせるインテリアを備えた心臓磁気計測装置を提供する点にある。
この種の密閉された空間に被検者が入って検査を受ける計測装置の場合、被検者に安心感を抱かせる工夫もまた重要である。特に、この実施の形態のように、開閉筐体304を開いた状態と、開閉筐体304を閉じた状態が大きく変化する計測装置においては特に重要である。
【0134】
この実施の形態では、この磁気シールド体300が、開閉筐体304を開いた状態ではシールド本体302の内壁面と開閉筐体304の内壁面が重なって収納され、開閉筐体304を閉じた状態では前記重なって隠蔽されていた内壁面が露出する点に着目し、この内壁面にそれぞれ図柄を施すことにより、被検者から見える磁気シールド体300の内壁面を開閉筐体304の開閉で大きく変貌させることで被検者に安心感を抱かせ点に特徴がある。
【0135】
図32(a)図は開閉筐体304を開いた状態の概略断面図を示している。この実施の形態では、主外装体312の内側外装体314の内壁面S1と内壁面S2にそれぞれ異なった図柄を施すようにしている。前記内壁面S1は、開閉筐体304を開いた状態で露出している部分であり、例えば、図(b)に示すように空の図柄を施している。一方、内壁面S2は、前記蓋外装体316の内側蓋外装体317の内壁面S3によって開閉筐体304を開いた状態では隠蔽され、開閉筐体304を閉じた状態では露出する部分である。この内壁面S2には、例えば木の根元からみた拡大図(右側)を施している。
【0136】
一方、内側蓋外装体317の内壁面は、開閉筐体304を開いた状態で露出する前記内壁面S3と、前記天板401によって隠蔽されている内壁面S4とに分けて図柄を施している。例えば、内壁面S3には大きな木の風景図を施し、内壁面S4には木の根元からみた拡大図(左側)を施している。
【0137】
この実施の形態の特徴は、開閉筐体304を開いた状態で連続した面として露出する内壁面S1とS3に関連した図柄を施し、開閉筐体304を閉じた状態で内壁面同士が連続した面を構成する内壁面S2、S4に関連した図柄を施している点である。このような構造を備えた磁気シールド体300によれば、開閉筐体304の開閉により被検者に大きな驚きや興味を与えて不安感を軽減させることができる。
【0138】
図33は、開閉筐体304を開いた状態の内壁面を説明している。開閉筐体304を開いた状態では、被検者は、外側から磁気シールド空間307を覗くこととなる。この状態で、前記内壁面S1とS3に連続する図柄、例えば(b)図に示すように、大きな木と、その上に広がる青空が描かれた写真を被検者が見ることと成る。この状態から、被検者が前記寝台部404に横になって磁気シールド空間307内で、開閉筐体304が閉まった状態の天井面に見える図柄は図34の(b)図に示すように、今までの風景画とは一変し、木の内側から上方空を見た図柄に変貌する。これにより、被検者は、この変化する図柄に興味を持ち、不安感を軽減させることができる。
【0139】
前記図柄は、説明した図柄に限定されるものではない。要は、内壁面S1とS3、内壁面S2とS4をそれぞれ連続する図柄を施すことにより、開閉筐体304の開閉により、それらの図柄が変化することにある。
また、前記説明では、被検者の目線からみた図柄の変化を説明したが、逆に、検査技師ないどの外側から見る人を対象にした図柄の変化を工夫しても良い。例えば、図34(b)図に示すように、開閉筐体304を開いた状態では隠蔽され、開閉筐体304を閉めた状態で大きく露出して被検者出入口305を塞ぐ外装面S5に装飾的な図柄を施しても良い。また同様に、開閉筐体304を開いた状態では隠蔽され、開閉筐体304を閉めた状態で背面に大きく露出する外装面S6に同様な装飾図柄を施しても良い。
【0140】
(第3の実施の形態)
次に、図35から図37を参照して第3の実施の形態に係る心臓磁気計測装置を説明する。図35は他の実施の形態に係る心臓磁気計測装置の外観斜視図であり、(a)図が開閉筐体304を開いた状態の斜視図、(b)図が開閉筐体304の開閉を示す斜視図である。図36は心臓磁気計測装置の外観図であり、(a)図が平面図、(b)図は底面図、(c)図が正面図、(d)図が右側面図、(e)図が背面図、(f)図が左側面図である。図37は心臓磁気計測装置の概略断面図である。
【0141】
この実施の形態の大きな特徴の1つは、筒状の磁気シールド体300の片側に円筒形の保持筐体350を設けて、片持ち(片側支持)構造とすることで、対向する片側を開放した構造とした点にある。また、他の特徴の1つは、開閉筐体304を主筐体303内に出没可能とした点にある。以下、図を参照して、更に詳細に説明する。なお、この実施の形態は、ガントリ部200とベッド部400は前記実施の形態と同様のため説明を省略する。
【0142】
図35から図37において、前記磁気シールド体300は、脚部301とシールド本体302とから構成される。シールド本体302は主筐体303と開閉筐体304と保持筐体350とから構成される。前記主筐体303と保持筐体350はパーマロイなどの材料で形成される内装体351と外装体352とから構成され、前記保持筐体350は円筒形の形状を備え、前記主筐体303は図37に示すように、断面形状がC字状と成る形状を備えている。前記保持筐体350は、横姿勢の円筒形の片側に幅が狭く形成され、前記主筐体303は他の片側に幅広く形成される。そして、前記開閉筐体304は、パーマロイなどの材料で形成され、図37に示すように、断面形状がC字状と成る形状を備えている。そして、この開閉筐体304は、図37に示すように、内装体351と外装体352との間に形成される空間357内に収められ、複数のローラ353を介して、円周方向に移動可能に形成される。
【0143】
前記内装体351と外装体352は、前記主筐体303と前記保持筐体350とを連続するように形成され、円筒形の両端をリング状または一部が切り欠かれたC字状の外周面で連結される。前記脚部301は前記外装体352の両側を支持している。
前記主筐体303は、前方の一部が切り欠かれた被検者出入口305が形成される。この被検者出入口305は、前記開閉筐体304を円周に沿って回転させることにより被検者出入口305の下方から出没して、この被検者出入口305を塞ぐことができる。前記開閉筐体304の片側にレバー354が取付けられ、このレバー354は前記保持筐体350の外周面に形成した円弧状の溝355から露出している。このレバー354を円周に沿って移動させることにより、前記開閉筐体304を開閉することができる。
【0144】
また、前記開閉筐体304は、図37に示すように、背面側に取付けられるバランスウエイト356と直結され、前記レバー354の操作でも簡単に開閉することができる。このようなバランスウエイト356は、前記第1の実施の形態でも同様な構造を採用することができる。
なお、図36において、基台部600は設置構造を示しために点線で示したが不透明な板として描くことができる。
【0145】
次に、図38から図40を参照して、第4の実施の形態に係る心臓磁気計測装置を説明する。図38は他の実施の形態に係る心臓磁気計測装置の外観斜視図であり、(a)図が開閉筐体304を開いた状態の斜視図、(b)図が開閉筐体304の開閉を示す斜視図である。図39は心臓磁気計測装置の外観図であり、(a)図が平面図、(b)図が正面図、(c)図が右側面図、(d)図が背面図、(e)図が左側面図である。図40は心臓磁気計測装置の概略断面図である。
【0146】
この実施の形態の大きな特徴の1つは、筒状の磁気シールド体300の断面形状をC字状に形成し、被検者出入口305を左右に通るように開放した点にある。また、他の特徴の1つは、開閉筐体304を主筐体303内に出没可能とした点にある。以下、図を参照して、更に詳細に説明する。なお、この実施の形態は、ガントリ部200とベッド部400は前記実施の形態と同様のため説明を省略する。
【0147】
図38から図40において、前記磁気シールド体300は、脚部301とシールド本体302とから構成される。シールド本体302は主筐体303と開閉筐体304とから構成される。前記主筐体303は、パーマロイなどの材料で形成される内装体351と外装体352とから構成され、前記主筐体303は図40に示すように、断面形状がC字状と成る形状を備えている。そして、前記開閉筐体304は、パーマロイなどの材料で形成され、図40に示すように、断面形状がC字状と成る形状を備えている。そして、この開閉筐体304は、図40に示すように、内装体351と外装体352との間に形成される空間357内に収められ、複数のローラ353を介して、円周方向に移動可能に形成される。
【0148】
前記内装体351と外装体352は、一部が切り欠かれたC字状の外周面で連結される。前記脚部301は前記外装体352の両側を支持している。前記主筐体303には、前方の一部が切り欠かれた被検者出入口305が形成される。この被検者出入口305は、前記開閉筐体304を円周に沿って回転させることにより被検者出入口305の下方から出没して、この被検者出入口305を塞ぐことができる。
【0149】
図40に示すように、前記開閉筐体304に前記主筐体303に取付けた駆動ローラ358が取付けられ、この駆動ローラ358に開閉駆動部311が連結される。この構造により、前記開閉筐体304を円周に沿って移動させて、前記被検者出入口305を開閉することができる。
なお、図39において、背面図は図36(b)図と同様につき省略する。また、基台部600は設置構造を示しために点線で示したが不透明な板として描くことができる。
【0150】
(その他の実施の形態)
このように、この実施の形態に係る生体磁場計測装置は、その上面に被験者を乗せるための寝台部404を有するベッド部400と、その中心軸Pを水平位置と成る姿勢で保持される筒状の磁気シールド体300とを備え、前記磁気シールド体300は、筒状の周面の一部に前記寝台部404を出し入れする寝台出入口(被検者出入口305)を備えた第1筐体(主筐体303)と、前記寝台投入口(被検者出入口305)を開閉する第2筐体(開閉筐体304)とを備え、前記第1筐体303は、その上部中央に複数のセンサを内蔵する計測部100を備え、前記第2筐体304は、筒状の周方向に沿って前記第1筐体303に移動可能に保持され、前記ベッド部400は、前記寝台部404を保持する天板401と、この天板401を前記筒状の磁気シールド体300内に保持する脚部402と、前記寝台部404を前記寝台出入口305を介して前記磁気シールド体300外に出入りさせる引出機構部703と、前記寝台部404を前記磁気シールド体300内の前記中心軸P方向に移動させるY方向移動機構部(Y方向寝台移動機構部701)と、前記寝台部404を前記磁気シールド体300内の前記中心軸P方向と直交する方向に移動させるX方向移動機構部(X方向寝台移動機構部702)と、前記寝台部404を前記磁気シールド体300内の上下方向に移動させるZ方向移動機構部(Z方向寝台移動機構部704)とを備えている。
【0151】
また、この実施の形態に係る他の生体磁場計測装置は、その上面に被験者を乗せるための寝台部404を有するベッド部400と、その中心軸Pを水平位置と成る姿勢で保持される筒状の磁気シールド体300と、前記磁気シールド体300の上部中央に複数のセンサを内蔵する計測部100を位置させるガントリ部200とを備え、前記磁気シールド体300は、筒状の周面の一部に前記寝台部404を出し入れする寝台出入口(被検者出入口305)を備えた第1筐体(主筐体303)と、前記寝台投入口305を開閉する第2筐体(開閉筐体304)とを備え、前記第2筐体304は、筒状の周方向に沿って前記第1筐体303に移動可能に保持され、前記ガントリ部200は、複数のセンサが配置される前記計測部100の先端部を前記磁気シールド体300内に位置するように計測部100を保持し、前記ベッド部400は、前記寝台部404を保持する天板401と、前記天板401を前記筒状の磁気シールド体300の両端で保持する脚部402と、前記寝台部404を前記寝台出入口305を介して前記磁気シールド体300外に出入りさせる引出機構部703と、前記寝台部404を前記磁気シールド体300内の前記中心軸P方向に移動させるY方向移動機構部(Y方向寝台移動機構部701)と、前記寝台部404を前記磁気シールド体300内の前記中心軸P方向と直交する方向に移動させるX方向移動機構部(X方向寝台移動機構部702)と、前記寝台部404を前記磁気シールド体300内の上下方向に移動させるZ方向移動機構部(Z方向寝台移動機構部704)とを備えている。
【0152】
これらの生体磁場計測装置では、前記第1筐体303は前記寝台投入口305を開いた状態では前記第1筐体303の下部の周側面に前記第2筐体304を収納し、前記第2筐体304は前記寝台投入口305を閉じた状態では周方向に前記第1筐体と重複する大きさを備えている。
また、これらの生体磁場計測装置では、前記ベッド部400は前記寝台出入口305の前部に引き出された前記寝台部404を下方より支持する支持手段(前部連結部405)を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】第1実施例の心臓磁気計測装置の外観図である。
【図2】第1実施例の心臓磁気計測装置の装置構成図である。
【図3】第1実施例の計測原理を説明する縦断面図である。
【図4】第1実施例のガントリー部の部品展開図である。
【図5】第1実施例のガントリー部の外観図である。
【図6】第1実施例の計測部の外観図である。
【図7】第1実施例の計測部の底面図に設けたマークの応用例の展開図である。
【図8】第1実施例のベッド部の部品展開図である。
【図9】第1実施例の寝台移動機構部の動作原理図である。
【図10】第1実施例の寝台ロック機構部の断面図である。
【図11】第1実施例のハンドルの断面図である。
【図12】第1実施例の引出ロック機構部の断面図である。
【図13】第1実施例の寝台移動機構部の自動化した場合の動作装置のブロック図である。
【図14】第1実施例のベッド部の外観図である。
【図15】第1実施例の磁気シールドルームの部品展開図である。
【図16】第1実施例の開閉駆動機構部の断面図である。
【図17】第1実施例のローラー組体の配置図である。
【図18】第1実施例の心臓磁気計測装置の装置組立図である。
【図19】第1実施例の心臓磁気計測装置の外観図である。
【図20】第1実施例の心臓磁気計測装置の中央縦断面図である。
【図21】寝台部を引き出した状態の斜視図である。
【図22】第1実施例の寝台部をホームポジションに位置させた状態の斜視図である。
【図23】第1実施例のXY方向の位置あわせを行った状態の斜視図である。
【図24】第1実施例のZ方向の位置あわせを行った状態の斜視図である。
【図25】第1実施例の開閉筐体を閉める過程の斜視図である。
【図26】第1実施例の開閉筐体を閉めた状態の斜視図である。
【図27】第1実施例のレーザマーカ機構の位置決定原理図である。
【図28】第1実施例のレーザマーカ機構の概略構成図である。
【図29】第1実施例のレーザマーカ機構の他の概略構成図である。
【図30】第1実施例のレーザマーカ機構の詳細図である。
【図31】第1実施例の心臓磁気計測装置の他の設置例の斜視図である。
【図32】第2実施例の磁気シールドルーム内の内装の説明図である。
【図33】第2実施例の開閉筐体304を開いた状態の説明図である。
【図34】第2実施例の開閉筐体304を閉じた状態の説明図である。
【図35】第3実施例の心臓磁気計測装置の外観斜視図である。
【図36】第3実施例の心臓磁気計測装置の外観図である。
【図37】第3実施例の心臓磁気計測装置の概略断面図である。
【図38】第4実施例の心臓磁気計測装置の外観図である。
【図39】第4実施例の心臓磁気計測装置の外観図である。
【図40】第4実施例の心臓磁気計測装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0154】
100…計測部、101…計測センサ、102…第1参照用センサ、103…ツバ部、104…マーカ、104a…突起マーカ、105…前面側のカット、106…両側のカット、200…ガントリ部、201…脚部、202…収納空間、203…検査保持部、204…支柱、205…ガントリー基台部、206…ガントリー前カバー、207…ガントリー上カバー、208…冷媒廃棄制御部、210…操作表示部配置面、211…薄型表示部、300…磁気シールドルーム、301…脚部、302…シールド本体、303…主筐体、304…開閉筐体、305…被検者出入口、306…開閉駆動機構部、307…磁気シールド空間、308…開口部、309…取付部、310、310a、310b…カバー、311…開閉駆動部、312…主外装体、313…外側外装体、314…内側外装体、315…骨組体、316…蓋外装体、317…内側蓋外装体、318…外側蓋外装体、319…外装リング部、320…骨組体、321…リング状軌道部、321a…リング面、322…天井面、323…ローラー組体、324…切欠部、325…張出部、326…中央部分、327…接続部、327a、327b…切欠部、328…凹状溝、329…リング状ハンドル、330…外板、331…内板、332…開放レバー、350…保持筐体、351…内装体、352…外装体、353…ローラ、354…レバー、355…円弧状の溝、356…バランスウエイト、357…空間、358…駆動ローラ、400…ベッド部、401…天板、402…脚部、403…天板ベース部、404…寝台部、405…前部連結部、406…支持支柱部、407…隙間、408…第1駆動板、409…第2駆動板、410…凹部、411…第1レール、412…第1ローラ群、413…第2レール、414…第2ローラ群、415…第3レール、416…第3ローラ群、417…第4レール、418…寝台ロック機構部、419…嵌合凹部、420…嵌合突起部、421…手すり、422…ハンドル、423…回転軸、424…貫通穴、425…ロック棒、426…レバー、427…嵌合穴、428…引出ロック機構部、429…突起部、430…クランク機構、431…中心軸、432…連結棒、433…ロック棒、434…嵌合穴、435…回転ハンドル、436…駆動制御部、437…検知センサ、438…空間、439…昇降レバー、440…非常停止ボタン、500…データ収集解析装置、550…磁場計測駆動装置、600…基台部、610…大型の磁気シールドルーム、700…寝台移動機構部、701…Y方向寝台移動機構部、702…X方向寝台移動機構部、703…引出機構部、704…Z方向寝台移動機構部、710…レーザマーカ機構部、711…Y方向レーザ部、711a…レーザ部、711b…Y方向移動保持部、712…X方向レーザ部、712a…レーザ部、712b…X方向移動保持部、713…目印、714…レーザ発射部、715…ベース、P…中心軸、P2…中心軸Pを通る水平線、P3…中心軸Pを通る垂線、Q…計測面、S1…中心軸Pを通る水平線より下方の位置、S2…中心軸Pを通る垂線より前方。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上面に被験者を乗せるための寝台部を有するベッド部と、その中心軸を水平位置と成る姿勢で保持される筒状の磁気シールド体とを備え、
前記磁気シールド体は、筒状の周面の一部に前記寝台部を出し入れする寝台出入口を備えた第1筐体と、前記寝台投入口を開閉する第2筐体とを備え、
前記第1筐体は、その上部中央に複数のセンサを内蔵する計測部を備え、
前記第2筐体は、筒状の周方向に沿って前記第1筐体に移動可能に保持され、
前記ベッド部は、前記寝台部を保持する天板と、前記天板を前記筒状の磁気シールド体内に保持する脚部と、前記寝台部を前記寝台出入口を介して前記磁気シールド体外に出入りさせる引出機構部と、前記寝台部を前記磁気シールド体内の前記中心軸方向に移動させるY方向移動機構部と、前記寝台部を前記磁気シールド体内の前記中心軸方向と直交する方向に移動させるX方向移動機構部と、前記寝台部を前記磁気シールド体内の上下方向に移動させるZ方向移動機構部とを備えている
ことを特徴とする生体磁場計測装置。
【請求項2】
その上面に被験者を乗せるための寝台部を有するベッド部と、その中心軸を水平位置と成る姿勢で保持される筒状の磁気シールド体と、前記磁気シールド体の上部中央に複数のセンサを内蔵する計測部を配置させるガントリ部とを備え、
前記磁気シールド体は、筒状の周面の一部に前記寝台部を出し入れする寝台出入口を備えた第1筐体と、前記寝台投入口を開閉する第2筐体とを備え、
前記第2筐体は、筒状の周方向に沿って前記第1筐体に移動可能に保持され、
前記ガントリ部は、複数のセンサが配置される前記計測部の先端部を前記磁気シールド体内に位置するように計測部を保持し、
前記ベッド部は、前記寝台部を保持する天板と、前記天板を前記筒状の磁気シールド体の両端で保持する脚部と、前記寝台部を前記寝台出入口を介して前記磁気シールド体外に出入りさせる引出機構部と、前記寝台部を前記磁気シールド体内の前記中心軸方向に移動させるY方向移動機構部と、前記寝台部を前記磁気シールド体内の前記中心軸方向と直交する方向に移動させるX方向移動機構部と、前記寝台部を前記磁気シールド体内の上下方向に移動させるZ方向移動機構部とを備えている
ことを特徴とする生体磁場計測装置。
【請求項3】
前記請求項1または2記載の生体磁場計測装置において、
前記第1筐体は前記寝台投入口を開いた状態では前記第1筐体の下部の周側面に前記第2筐体を収納し、
前記第2筐体は前記寝台投入口を閉じた状態では周方向に前記第1筐体と重複する大きさを備えている
ことを特徴とする生体磁場計測装置。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれかの生体磁場計測装置において、
前記ベッド部は前記寝台出入口の前部に引き出された前記寝台部を下方より支持する支持手段を備えている
ことを特徴とする生体磁場計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2006−75378(P2006−75378A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263276(P2004−263276)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】