説明

生体計測学的分析を利用したペット用経口製品の設計法

【課題】ある種のイヌに対して安全かつ機能的に有効なイヌ用経口製品の設計法を提供する。
【解決手段】イヌ用経口製品は、ある種のイヌの能力についての生体計測学的分析に基づいて配合および/または成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般的に、本発明は、ペット用経口製品の設計に関するものであり、より特定すると、安全性および機能的有効性を改良するために、異なる種類間のペットの能力を生体計測学的に分析した結果に基づく、多様なペット用経口製品の調製およびマーケティングに関する。
【背景技術】
【0002】
チュー(chews)およびキブル(kibbles)を含む従来から市販されているペット用経口製品は、原則的にペットの体重に基づいて設計されている。イヌを例にとってみると、大多数のイヌ用経口製品は、小型、中型、および大型のイヌの大きさに適応させることを目的として、それぞれ小、中および大のサイズが設けられている。確かに、多数の一般的なイヌ用経口製品のパッケージには、消費者の所有するペットに適切に与える方法を記したラベルが貼付されている。1つの例は、アイムス(登録商標)タータートリーツ(TARTAR TREATS(商標))である。これらの可食性歯科用チューには、「小型犬用(8kg(20ポンド)以下)」、「中型犬用(8〜25kg(21〜50ポンド))」、「大型犬用(25kg(51ポンド)以上)」という製品適用が指示されている。これらの製品の範囲は、通常、小型犬用に設計された小さいサイズ、大型犬用に設計された大きいサイズというように、製品自体の大きさのみが異なっている。しかしながら、製品サイズが異なっていても、形状、寸法比およびテクスチャーは一定のままである。
【0003】
体重のみに基づいてペット用経口製品を調製およびマーケティングすることにおける重大な欠点は、動物についてのより基本的な解剖学的および特に形態学的考察を説明できないことである。1つの例ではあるが、解剖学的に多様な種であるイヌは、一般的には、はっきり区別できる3種類の頭蓋骨形状のうちのひとつを有しており、それらすべてにおいて、口の形状および機能が非常に異なっている。従って、イヌの体の大きさのみを区別している市販製品について安全性および機能的効果を調べたところ、イヌは怪我の危険性にさらされており、不注意による死を招く危険性が高められていた。
【0004】
解剖学的な更なる考察が把握されないことから、危険な、またはより一般的には不適切な経口製品によるペットの怪我および死亡件数が増加している。ペット、特にイヌおよびネコが、チューなどの与えられた製品を噛み砕くことができない場合には、窒息することが多いが、これは、チューのテクスチャーが、その種類のペットには堅すぎて噛めないからである。結果として、イヌは、完全に噛めないチューを、そのままもしくは大きな砕片のまま飲み込み、それらが喉または腸内に詰まる。
【0005】
あるいは、イヌは、チューが堅すぎる、または形状不適切な場合には、歯を折る可能性がある。イヌ用チューの溝もしくは輪郭が不適切に設計されている、あるいは、ある種の頭蓋種を持つイヌにとってはチューが堅すぎる場合には、そのような怪我は頻繁に起こる。頭蓋種は、顎内の歯の方向および各歯の位置における咬合強度を決める因子である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
経口製品による窒息もしくはその他の事故に基づくペットの怪我が繰り返し再発することから、動物の体型に合わせることを目的として、ペット用経口製品のサイズのみを小さくすることでは、このように継続して発生している危険に対する効果的な対処法になっていないことをはっきりと示している。従って、咬合力および開口の大きさなどの能力についての生体計測的分析を適用し、かつ、単なる体型および体重に加え、頭蓋種、年齢、血統および/または性別などによって定義される種を含む多様なペット種の分布を決定するようなペット用経口製品の設計法および適切なマーケティング法が希求されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生体計測学的分析を利用し、優れたペット用経口製品を設計する方法を提供することにより、上述の要求を満たすものである。
【0008】
本発明の1つの実施形態に従えば、1つの種のイヌに対して、安全かつ機能的に有効であるイヌ用経口製品の設計法が提供され、該方法には、当該種のイヌの能力の生体計測学的分析に基づいた製品を調製し、および/または成形する工程を含む。
【0009】
本発明の1つの実施形態に従えば、1つの種のイヌに対して、安全かつ機能的に有効であるイヌ用経口製品のマーケティング法が提供され、本方法には、その種のイヌの能力の生体計測学的分析に基づいた製品を調製し、および/または成形する工程を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態に従えば、複数の種のイヌに対して、安全かつ機能的に有効であるイヌ用経口製品の設計法が提供され、該方法には、少なくとも2種のイヌの能力の生体計測学的分析に基づき、少なくとも2つの異なる種用の製品ライン内の、少なくとも2種類の製品を調製する工程を含む。少なくとも2種類の製品は、生体計測学的分析に基づいた異なるテクスチャーおよび/または形状になるように調製されている。
【0011】
本発明に従うさらに別の実施形態に従えば、複数の種のイヌに対して、安全かつ機能的に有効であるイヌ用経口製品のマーケティング法が提供され、該方法には、少なくとも2種のイヌの能力の生体計測学的分析に基づき、少なくとも2つの異なる種用の製品ライン内の、少なくとも2種類の製品を調製する工程を含む。少なくとも2種類の製品は、生体計測学的分析に基づいた異なるテクスチャーおよび/または形状になるように調製されている。
【0012】
本発明に従うまた別の実施形態に従えば、特定の種のイヌに対して、安全かつ機能的に有効であるイヌ用経口製品の設計法が提供され、該方法には、頭蓋種もしくはイヌの型を選択する、イヌの大きさを選択する、および、イヌの口内での所望する咀嚼位置を選択する工程を含む。次に、以上の工程の選択肢に基づき、咬合力を決定する。最終的に、イヌ用のチューは、特定の種のイヌの咬合力に適合するように調製する。
【0013】
従って、本発明の1つの目的は、形状、テクスチャー、ならびにその他の観点および特徴に関して、ペット、特にイヌに最適であるような経口製品の調製を促進することであり、これらは、咬合力などを含む生体計測学的変数に基づき、また、頭蓋種、年齢および/または血統に従ったイヌの多様な種を考慮したものである。
【0014】
本発明の長所は、通常の技術を要する当業者であれば、頭蓋種、年齢および/または咀嚼型などを含む動物の基本的なさらなる属性を考慮に入れてペット用経口製品を設計およびマーケティングできることである。
【0015】
本発明の別の長所は、イヌならびにネコ用の優れた経口製品の調製に応用できることである。
【0016】
さらに別の本発明の長所は、本明細書に概説している方法に従って製造した製品は、異なる多数の種のイヌに対し、より安全かつより機能的に有効であり、従って、窒息の危険、GI遮断、歯の損傷および従来型のイヌ用経口製品が原因であるその他の弊害によって引き起こされる怪我および死亡の発生が減少することである。
【0017】
本発明の更なる長所は、多様な種のイヌに対して注意深く適合させた製品設計に関して、大きさ、形状およびテクスチャーを含むイヌ用経口製品の多様な特徴を利用していることである。
【0018】
本発明のさらなる長所は、記載されている方法により、特定の機能的目的、例えば、口腔ケアおよび衛生、ならびにペットの咀嚼楽しみなどのより単純な要件を備えた製品の開発が促進されることである。
【0019】
本発明の更なる特徴および長所、ならびにそれらによって産生される実施形態の構成については、添付の図を参照しながら、以下に詳細に記載している。
【0020】
本発明の特徴および長所については、以下の図面と併せて上述の詳細な記載を読むことにより、より明らかになるはずである。図面中の類似の参照番号は、同一または機能的に類似した要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の1つの実施形態に従い、ある種のイヌの能力に関する生体計測学的分析に基づいた製品を調製および/または成形する方法の概要を示すフローチャート。
【図2】本発明の1つの実施形態に従い、頭蓋種研究において行った多様な測定結果を示す図。
【図3】本発明の1つの実施形態に従い、頭蓋種のコレクションについて採取した測定結果のまとめ。
【図4】本発明の1つの実施形態に従い、開口の大きさを計算するために行った測定を示す図。
【図5】本発明の1つの実施形態に従い、犬歯において計算した多様な咬合力の概略。
【図6】本発明の1つの実施形態に従い、後臼歯M2において計算した多様な咬合力の概略。
【発明を実施するための形態】
【0022】
I.概要
本発明は、実施例の項により詳細に記載している。これは理解を容易にするためのものであり、本発明の用途を制限するためのものではない。
【0023】
一般的に、飼い犬(イヌ:ケイネス・ファミリアリス(Canis familiaris))の頭部は、大きさおよび形状にかなり多様性がある。そのような多様性については、例えば、キングチャールススパニエルの小さくまとまった顔からグレイハウンドの大きく長い顔まであるように、広く明かである。驚くべきことに、多様な種に対して適切なイヌ用経口製品を調製するためには、頭蓋種が他の因子のどれにも増して最も重要であることがわかった。
【0024】
改良型イヌ用経口製品を調製することを目的として、咬合力および開口の大きさを含む多数の要素に関して生体計測学的分析を行う方法が開発されている。動物学研究から、頭蓋および歯の形状の差異により、餌の選択、咬合力および摂食パターンの差異がもたらされることが示唆されている。乾燥頭蓋から咬合力を求める方法については、Thomason(「数種のほ乳類における推定咬合力に関連する頭蓋強度(Cranial Strength in relation to estimated biting forces in some mammals)」Can.J.Zool,69:2326-2333(1991))およびKiltie(「同所性新熱帯区のネコ間の大きさの比(Size ratios among sympatric neotropical cats)」Oecologica(Berlin),61:411-416(1994))によって開発されており(これらの研究を本明細書に全体として援用する)、咀嚼に関与している主要筋肉群である側頭筋および咬筋の大きさ、および顎に沿って顎関節から咬合点までの距離を概算することによって決定する。
【0025】
さらに、EmersonおよびRadinsky(「剣歯を有する頭蓋の形状に関する機能的分析(Functional analysis of sabertooth cranial morphology)」Paleobiology,6(3):295-312(1980);この文献を本明細書中に参照として援用する)によれば、最大開口は、餌の選択および現代のイヌにおいては最適な経口製品の大きさに影響を及ぼすもう1つの因子である。また、Van Valkenburghによって述べられている相対的なすり合わせ面積(「肉食獣の歯の適合と食事:ギルド内の栄養的多様性に関する研究(Carnivore dental adaptations and diet:a study of trophic diversity within guilds)」Carnivore Behavior,Ecology and Evolution, J.L.Gittleman編、コーネル大学出版会(Cornell University Press):Ithaca,410-436(1989):この文献を本明細書中に参照として援用する)は、臼歯が噛み砕き、またはすり潰しに適応している度合いを示す指標である。Jaslow(「食餌に関連したアカギツネ(Vulpes vulpes)およびハイイロギツネ(Urocyon cinereoargenteus)の形態学および消化効率(Molphology and digestive efficiency of red foxes(Vulpes vulpes) and grey foxes(Urocyon cinereoargenteus) in relation to diet)」Can.J.Zool.,65:72-79(1987):この文献を本明細書中に参照として援用する)によれば、野生の肉食獣は比較的すり合わせ面積が少なく、一方、より雑食性の動物では面積値が大きくなっている。この比率を現代の飼い犬にあてはめることが、異なる頭蓋種および大きさを有するイヌが経口製品をどのように扱うかを理解する縁となると考えられる。
【0026】
上述の生体計測学的指標を利用することにより、本発明の方法に従い、複数の種の中から選抜したイヌに対し、より適切な経口製品を設計することができる。
【0027】
本明細書において使用している「ペット用経口製品」、「イヌ用経口製品」、「イヌ科用経口製品」および「経口製品」とは、消化可能か否かにかかわらず、ペットの口に入れるために設計した任意のものをさす。重要なことは、本発明は、イヌ用経口製品について記載しているが、本発明はそのことに限定されるわけではない。もちろん、本明細書に概説している方法は、ネコ用経口製品の設計にも適用できる。ペット用経口製品としては、チュー、おもちゃ類、キブルおよびロープなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0028】
「種」とは、形態学的および/または生物学的変数に従ったイヌの特定のグループ分けである。種は、イヌの頭蓋種、年齢、血統および性別、ならびに体の大きさ、体重および身体の均整に従って定められる。上述の種は単なる例示であり、本発明を制限するためのものではないことは明かである。
【0029】
一般的に、「頭蓋種」とは、イヌの頭蓋の形状および大きさの分類をさす語として用いられる。本明細書においては、頭蓋種は、3つの区分に従って分類される:短頭型、中頭型および長頭型。
【0030】
「短頭型」頭蓋種は、幅広の頭蓋底および短い鼻によって特徴づけられる。一般的には、そのようなイヌとしては、例えば、ボクサー、ブルドッグ、ボストンテリアおよびペキニーズなどが挙げられる。
【0031】
「中頭型」頭蓋種は、頭蓋底の幅に対する鼻の長さの比が中位であるような中程度の頭の形状によって特徴づけられる。一般的には、そのようなイヌとしては、例えば、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパードおよびシベリアンハスキーなどが挙げられる。
【0032】
「長頭型」頭蓋種は、狭い頭蓋底および長く伸びた鼻によって特徴づけられる。代表的な血統としては、グレイハウンド、アイリッシュテリア、コリーおよびサルーキなどが挙げられる。
【0033】
「能力」または「生体計測学的能力」とは、多様な因子の中のいくつかの相互作用に基づき、イヌの生物学的所見および/または事象を数量化したものである。咬合力および最大開口は、生体計測学的能力の例であり、少なくとも1つの一般的性質から形態が導かれる。所見または特徴は、特定の経口製品を調製するという目的に転換される。同様に、「生体計測学的分析」とは、測定もしくは観察された変数についての任意の数量化または計算であり、ある条件下におけるイヌの能力について何らかの価値のある指標を導くように操作したものである。
【0034】
さらに、「咀嚼型」とは、特定の種のイヌがしっかり咀嚼するかまたは柔らかく咀嚼するかによって規定される。このことは、特に、特定の集団/種のイヌの中での咬合力の差を全体的に取り上げ、例えば、咬合力の高い個体半分を1つの群にし、低い方を別の群に分けることによって表される。それぞれの群に対する製品を調製することにより、咀嚼が柔らかい集団には柔らかいチューを、咀嚼がしっかりしている集団に対してはより堅いチューを作ることができる。
【0035】
同様の表現で「咀嚼表面」とは、経口製品が最初にかつ最も直接的に接触する歯冠における歯の表面積をさす。歯のこの領域は、その歯に対する最大咬合力が発揮され、咀嚼動作の大部分に関与する。
【0036】
また、「歯の形態」には、イヌの口腔内の個々の歯の形状、構造および位置を含む。
【0037】
さらに、「口腔ケア」には、イヌの口腔衛生に関する清浄化および一般的なメンテナンスを含み、例えば、歯垢、歯石(tartar)、結石(calculus)の蓄積を除去する、定期的なブラッシング、健康な歯肉および鋭利な歯の維持などが挙げられる。口腔ケアの例としては、歯垢を落とし、歯を尖らせることを目的としてチューをかじることなどが挙げられる。
【0038】
同様に、「咀嚼の楽しみ」および「咀嚼による満足感」という言葉が本明細書において使用されており、これらは、イヌが行う任意のかじる動作を意味する。一般的に、イヌは、ある程度の咀嚼を楽しむ習性がある。特に、イヌは、楽しみとして、退屈さを紛らわせるため、または、飼い主の関心を引くために咀嚼をする。イヌによっては、「咀嚼によってものを破壊する」(例えば、咀嚼するためのものではない靴もしくはその他の品物を咀嚼する)などを防ぐことを目的とした咀嚼用の物品を与えることが必要である。また、飼い主の多くは、咀嚼することによってイヌが落ち着くと思っている。野生のイヌは獲物を捕獲し、食べるために口および顎を一日中使用するが、飼い犬は食べるためにそれほど口を使用する必要がないことから、欲求を満たすために何か別の咀嚼する対象を探すと考えられる。
【0039】
本明細書においては、「占有時間」とは、持続時間の測定単位またはイヌが何かに夢中になり忙しくしているための手段として定義されている。通常、チューはこの目的のために使用され、正しく調製されればより効果的にこの目的に寄与できる。
【0040】
II.方法
図1は、本発明の1つの実施形態に従い、イヌ用の改良された経口製品を調製するための方法の概要を示したフローチャートである。該方法は、1つの種のイヌに対する特定の生体計測学的要件に基づいた製品をつくる決定を下すことから始まる。そのような初期計画には、どのようなタイプの経口製品(すなわち、チュー、キブルなど)を調製するのかについての選択、ならびに、該製品に付随させようとする機能的目的(例えば、口腔ケア手段など)の選択などが含まれる。
【0041】
いくつかの初期目的および要件が確定すると、特定のイヌの種を選択する。イヌの種は、年齢、体重、血統および性別などを含む多数の要件によって規定される。しかしながら、重要なことは、そのような種内では、如何なる目的を持ったイヌ用経口製品であっても、生体計測学的な多様な要件に関しては、頭蓋種が重要な役割を担っていることがわかっている。本発明に従う方法は、イヌの単一の種を選択することに限定されるわけではなく、同時に複数の種を考慮して適用することができる。故に、経口製品調製のために少なくとも1つの種を選択する。
【0042】
生体計測学的分析を実施することを目的として、選択した種の中の代表的な個体を観察および測定することによって一連の変数を集めた。この変数の集計には、頭蓋測定、直線距離、面積および目視観察などが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0043】
次に、特定の種の個体群から得られた変数群を操作し、生体計測学的分析用の一連の計算式に入れた。例えば、頭蓋の長さおよび幅に関して測定した特定の値を数学式に入れることにより、該当種のイヌの咬合力を計算できる。咬合力は生体計測学的変数の1つの例であり、本発明を限定するものではないことは明かである。同様に、イヌの最大開口は、測定によって得られた値に基づいて計算できる。
【0044】
次に、特定の種のイヌに対する特別仕様品をつくることを目的として、生体計測学的計算に基づいた多様な指針および原理を確立する。例えば、咬合力の例に戻ると、この値は、異なる種類の歯(犬歯、前臼歯、後臼歯)が生えている口腔内の多様な領域に対して計算できる。また、最適な調製を行うために、咬合力を個々の歯に対して計算する。採取し、および/または計算できるその他の生体計測学的能力としては、最大開口角度、相対的なすり合わせ面積および顎長の頭蓋長に対する比、ならびに、顔の回転、咀嚼型に関する所見などが挙げられる。
【0045】
さらに、図1に示すように、上述の生体計測学的分析および所見を製品設計に適用する。すなわち、特定の生体計測学的要件により、与えられた製品についてのテクスチャー、形状および大きさ、ならびに、最適口腔ケア効率、抵抗性および使用期間中の製品の有効期間などを含むその他の考慮事項に関し、数値化可能な値についての情報が得られる。例えば、短頭型のイヌは、中頭型および長頭型のイヌよりも咬合力が小さいことが研究によって示された。その結果、短頭型のイヌは、他の2つの型のイヌが容易に扱うチュー製品をかみ砕くことができず、そのまま飲み込んでしまうことになる。本発明に従う生体計測学的分析から得られたそのような知識を利用し、短頭型のイヌに最も適したテクスチャーを選択でき、それによってより安全な製品を調製できる。例えば、適切なテクスチャーを有する経口製品を製造することを目的とし、特定の原料を選択して上記の目的を遂行できる。
【0046】
同様に、上述したような生体計測学的分析を利用し、特定の種のイヌについての生体計測学的変数に適合させるために形状を改良したイヌ用経口製品を調製することもできる。2006年6月21日に受理された米国仮特許出願第60/815,713号明細書(該出願の全体を本明細書に参照として援用する)に詳細に説明されているように、柄とエンド、ならびに溝および輪郭を含む多様な特徴を有するイヌ用経口製品の特定のデザインについて、本発明に従い、特定の種のイヌに対してよりふさわしくあつらえることができる。例えば、イヌのチューは、特定の種のイヌの咬合特性に合わせた形状にし、咀嚼位置およびその位置に生えている歯の種類により適合させることができる。同様に、開口についての生体計測学的分析から、特定の種のイヌが咀嚼にかける時間を最大限にするための最適形状に関する洞察が得られる。故に、本発明は、経口製品についての一連の目的に関して機能的有効性をもたらす。
【0047】
得られた生体計測学的情報により、より適した製品試験を行ってから市場に出すことができる。すなわち、イヌがその製品を実際に使用する状態(咬合力、咀嚼型など)をシミュレートするように設計されたハードウェアおよびソフトウェアに、特定の種のイヌに関する特定の変数を入力できる。
【0048】
上述の方法は、イヌ用経口製品のマーケティングに使用することもできる。現在、大多数のイヌ用経口製品は、単に体の大きさに従って消費者に供給されている。対照的に、本明細書に概説している方法は、飼い主が各自のイヌをよりよく世話できるようにより多くの情報を消費者に呈示している。異なる種における多様な能力についての生体計測学的分析に基づけば、消費者にとっては、彼らが所有する特別なイヌに最も適した製品についての選択の幅が大いに広がる。
【0049】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェアもしくはそれらの組み合わせを用いて実行でき、また、ひとつもしくはそれ以上のコンピューターシステムまたはその他の処理システム内で実行できることを特記しておく。
【0050】
以下に、本発明に従う特定の方法論について記載する。
【0051】
A.方法論
本発明に従う生体計測学的分析の1つの例を以下に示す。本明細書に記載している方法論は本発明に従う1つの実施形態を示しているに過ぎない。
【0052】
異なる2つの頭蓋コレクション群を用い、現代のイヌにおける咬合力およびその他の関連する生体測定学的変数を決定した。OVC(オンタリオ獣医学校(Ontario Veterinary College)、カナダ国オンタリオ州グエルフ)のイヌ頭蓋コレクションには、多様な血統、大きさおよび頭蓋種の26個の標本が含まれている。これらの標本のうちの3個を除く全てがデータ採取が可能な下顎骨を有しており、3個の標本では下顎骨が頭蓋に取り付けられていた。下顎骨がない、または頭蓋に取り付けられていることで、採取できたはずの測定の数が制限された。第二の頭蓋コレクションはSWISS(アルバート・ハイム財団(Albert Heim Foundation)、スイス国所在)コレクションであり、多様な血統、大きさおよび頭蓋種に由来する下顎骨を有する81個のサンプルが含まれている。性別および年齢に関する情報は、SWISS頭蓋コレクションに対してのみ得られた。SWISSコレクションは、38個の雄および43個の雌、7個の幼若個体および74個の成体から構成されており、体の大きさ/頭蓋形状分類が均質である。データの欠損(例えば、歯の消失など)により、全ての頭蓋を全ての計算に利用できたわけではなく、必要に応じて除外した。
【0053】
標本は、小型犬(S)(<10kg)、中型犬(M)(11〜20kg)、大型犬(L)(>20kg)に分類した。頭蓋は、短頭型(B)(短く幅が広い)、中頭型(M)(中程度の比率)、または長頭型(D)(長く細い)に分類した。
【0054】
頭蓋を3つの分類に分ける作業は、頭蓋底骨長の頭蓋総長(SL)に対する比に基づいて行った。この比は、脳頭蓋からの頭蓋の伸長度合いについての指標を与える。頭蓋底の長さはいくつかの頭蓋写真からは計算できなかったことから、頭蓋底骨長の頭蓋長に対する比の「推定値」は、口吻長(M3歯の後ろ)の頭蓋長に対する比として計算した。回帰分析により、頭蓋底SL/SLと推定された頭蓋底SL/SLとの間の相関関係は有意であることが示され(P<0.0001)、従って、推定頭蓋底SL/SLを用いて形状分類に頭蓋をあてはめた。中頭型の分類は、推定頭蓋底SL/SL比の平均値が(0.583)±0.375*標準偏差(0.0125)で表される。比の値が平均−0.375*標準偏差より小さい場合には短頭型に分類し、平均+0.375*標準偏差より大きい場合には長頭型に分類した。この分け方を行った結果、3つの形状分類への計算による区分(上述)と視覚的区分との間に良好な一致が得られた。次に、視覚検査を行って正しい分類がなされていることを検証した。
【0055】
頭蓋は、側方、腹側、背尾側および背側からデジタル写真を撮影し、下顎は、側方および背側からデジタル写真を撮影した。図2に示すように、頭蓋の正確な位置決定ができるように、写真撮影は砂箱内で行ったが、その手順は以下の通りである:
a.側方図−上顎は、頭蓋の中心点(高さの半分および長さの半分)に焦点をあわせたカメラの線に垂直になるように置いた(図2D)。スケールは、頬弓の外縁と頭蓋の腹側正中線との間の平面中間に置いた。
【0056】
b.腹側図−頭蓋は、上顎に垂直になるように置き、頭蓋の中心点(高さの半分および長さの半分)に焦点を当てた(図2C)。スケールは上顎の平面に置いた。
【0057】
c.背尾側図−カメラの焦点線が、中心線の右側の傍矢状平面内にあり、かつ前頭骨の眼窩後突起および乳様突起の先端が交わる線に垂直になり、この線の中心点に焦点が来るように頭蓋を置いた(図2B)。スケールはこの線の平面内に置いた。
【0058】
d.背面図−頭蓋は、下顎に垂直に置き、頭蓋の中心点(高さの半分および長さの半分)に焦点を当てた(図2A)。スケールは上顎の平面に置いた。
【0059】
e.側方下顎−顎は歯列に平行に置き、中心点(高さの半分および長さの半分)に焦点を当てた(図2F)。スケールは歯列の平面に置いた。
【0060】
f.背面下顎−顎は歯列に垂直に置き、中心点(高さの半分および長さの半分)に焦点を当てた(図2E)。スケールは歯列の平面に置いた。
【0061】
デジタル写真は、Optimas Version6.5 (1999)で分析した。その後、各図に対し、選択した軸の線(上記)(例えば、上顎に対して垂直など)が直線であるように画像を調整した。頭蓋の位置決めの間に、いずれの方向においてもこの線に若干のゆがみが生じることは珍しくなく、Optimasを使用して適切な補正を行った。頭蓋について同様な適応を確実に行うことにより、画像から採取した測定値が同等に比較できる。写真のスケールを利用することにより、画像から採取した測定値が実際の大きさを表すように画像を較正した。
【0062】
頭蓋から採取した測定値を図3にまとめている。咬合力(BF)は、Thomasonによる次の式(1991)から計算した:
Thomason BF=2(M*m+T*t)/o
Thomasonの式では、Mは、咀嚼筋/内側翼状筋*30Mpaに比例した面積を表し、Tは、側頭筋*30Mpaに比例した面積であり、mはMに対する応力中心距離であり、oは顎の長さであり、tはTに対する応力中心距離である。
【0063】
相対的なすり合わせ面積および相対的な歯の長さは、Van Valkenburgh (1989)に従って計算した。最大開口および相対最大開口は、EmersonおよびRadinsky (1980)およびKiltie (1984)に従ってそれぞれ計算した。犬歯の最大強度は、Van Valkenburgh (1987)に従って計算した。顔の回転は、EmersonおよびRadinsky (1980)に従って計算した。
【0064】
Thomasonの式によって計算した咬合力は、Thomasonらによって開発された式(「イヌの咬合力の推定:インビボデータを用いた較正(Estimating forces of biting for dogs:calibration with in vivo data)」J.Anim.Sci.,処理中(2005):参照として援用する)を用いて「実際の」値に較正したが、このとき、実際の咬合力値(N)は予測値に近づいた。計算式は次の通りである:
犬歯のBF(N)=1.440(±0.292)×(Thomasonの式によって計算された犬歯のBF、N)+98.082(±102.329)
M2のBF(N)=2.776(±0.299)×(Thomasonの式によって計算されたM2のBF、N)-320.867(±263.554)
その他の歯における咬合力は、犬歯からM3へのBFの直線的増加を仮定することによって計算した。
【0065】
「実際の」咬合についての推定値を得ることが望ましいが、これは、そのような生体測定学的データが、異なる最大開口に対して異なる最適製品サイズが示唆されるようなイヌ用製品の開発に役立つと考えられるからである。上に参照した式からは「相対開口」の推定値が得られるが、これは、動物間の比較に有用ではあるが、実際の開口を示唆するものではない。相対開口は、EmersonおよびRadinsky (1980)に従い、HerringおよびHerringのモデル(「ほ乳類の表面咬筋および開口(The superficial masseter and gape in mammals)」The American Naturalist,108:561-576(1974))に修正を加えたモデルの側頭筋の伸長度に基づいて計算した。HerringおよびHerringのモデルは、表面咬筋の分析から得られたものであり、理論的に、長い筋肉線維は伸長量がより大きく、故に、最大開口が大きくなる可能性があることを示唆している。支点から筋肉起点に至る線の距離に対する支点から筋肉付着点に至る線の距離(=起点/付着点の比)が増すにつれ、または、これらの線間の角度が大きくなるにつれ、最大開口も大きくなる。起点/付着点の比およびこれらの線間の角度は、理論的には筋肉繊維がとり得る長さを示すものであり、他の全ての因子が一定である場合には、筋肉繊維が長いほど、伸長量は大きくなる(EmersonおよびRadinsky(1980))。
【0066】
EmersonおよびRadinsky (1980)は、HerringおよびHerringのモデルを利用して側頭筋の評価を行ったが、これは、初期の分析では、彼らの研究対象であったネコ科動物では、咬筋もしくは内側翼突筋よりも側頭筋の方が開口の制限に対して規制をかけていることが示されたからである。彼らのモデルにおいては、理論的筋肉繊維について、側頭筋窩の背面輪郭の中心点である起点および筋突起の頂端である付着点と比較していた。この側頭筋モデルを用い、本明細書に示しているイヌの頭蓋コレクションに関する理論的相対開口を推定した(起点/付着点の比、角度)。
【0067】
実際の最大開口は、関節で頭蓋に繋がっている顎から関節離断点までだと考えられる。EmersonおよびRadinskyによれば、顎の関節離断は約65〜70°で生じた。EmersonおよびRadinskyは、種間比較を行うことに関心を抱いており、現代の、および絶滅した多様なネコ科動物に対し、顎を頭蓋に対して65°で接合させた。次に、顎を閉じた、および顎を開いた場合のモデル側頭筋の長さを測定した(起点/付着点の比または角度を利用)。次に、モデル伸長比(MSR)を計算したところ、顎を閉じた状態のモデル繊維/顎を65°に開けた状態のモデル繊維から、異なるネコ科動物についての筋繊維伸長の推定値が得られたのと同様に、異なるネコ科に対しては、頭の変化により、同じ開口角度でも異なるMSRが得られると考えられた。
【0068】
この研究においては、上述の関係を用いて実際の開口の推定値を導こうとする試みがなされていた。EmersonおよびRadinsky (1980)の業績から、種間においては、与えられたMSR値からは同一の最大開口が求められないと考えられる。この研究に対して、起点/付着点の比、および/または角度から実際の開口の推定値を導くことを目的として、種内では、MSR/開口の関係は一定であると仮定した。以下の計算により、実際の開口の推定値は、本明細書において調査したイヌの頭蓋コレクションについて、起点/付着点の比および角度を測定することによって得た。図4は、実際の開口を求めるために行った測定を図示している。
【0069】
EmersonおよびRadinsky (1980)によって報告されたデータを用い、MSRと起点/付着点の比(O/I)との関係を表した:
MSR=0.5089*(O/I)+2.8862(R2=0.882)(1)
シグマプロット(2001)による分散分析(ANOVA)から、この関係は顕著に有意であることが示された(P<0.0001)。この式において、OおよびIは既知の変数である。あるいは、次のようにも認識されている:
MSR=顎が開いた状態のモデル筋肉線維(X’)/顎が閉じた状態のモデル筋肉線維(X)(2)
Xは、余弦法則を用いて決定することができ、(1)式が(2)式と等しい場合には、X’は、O、I、Xの長さ、およびO線とI線との間の角度を用いて計算できる。YがX’の長さとXの長さとの差である場合には、その値はモデル側頭筋線維の伸長量とほぼ等しい。このことから、Xの線とX’の線は同一の傾斜を有し、平行であることが予測される。Yの線を底辺とする三角形が描ける場合には、顎の接合点を起点とする角度Yは顎の開き具合と比例し、正弦および余弦法則を用いて求められる。角度Yが顎の開いた角度だと仮定され、頭蓋および顎上の顎の接合点から犬歯までの距離が既知の場合には、最大開口における頭蓋の上の犬歯と下の犬歯との距離が求められる。
【0070】
咬合力の推定値を用いた場合と同様に、最大開口についての計算を検証することが望ましい。Thomasonら(2005)によって明らかにされた切歯における実際の開口と予想された開口との関係は、上記の方法に従って計算され、次のような式で表される:
実際の開口(cm)=-3.4654(±1.994)×(予測された開口、cm)+0.802(±0.096)
B.結果
最大咬合力(N)は、Thomasonらの調整式(2005)を併用してThomasonの式を用いて計算し、短頭型、中頭型および長頭型の頭蓋形状を有する小型犬(<10kg)、中型犬(10〜20kg)ならびに大型犬(>20kg)についての値を決定した。結果を表1〜3に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

【0071】
一般的には、これらの結果から、咬合力は大きさに従って非直線的に増加し、顔の長さに逆比例し、犬歯よりも後臼歯(M1〜M3)において高いことが示された。犬歯においては、長頭型小型犬での平均咬合力が最も低く(228.6N、標準誤差19.89N)、短頭型大型犬での平均咬合力が最も高かった(854.33N、標準誤差43.75N)。表1〜3に示しているように、このパターンは他の歯においても当てはまった。
【0072】
既に記しているように、頭蓋形状間および体の大きさ間における最大咬合力の差異ついての情報は、特定の種のイヌに対して調節された経口製品の硬度の最適化に有用である。図5および6は、大きさおよび頭蓋形状の異なるイヌが発揮することのできる、犬歯およびM2後臼歯の最大咬合力の範囲をそれぞれグラフに表したものであり、±のエラーバーは、95%信頼区間を含んでいる。詳細には、各表は、95%信頼区間バーを用いて、中頭型(M)、短頭型(B)または長頭型(D)の頭蓋形状を有する小型犬(<10kg)、中型犬(10〜20kg)ならびに大型犬(>20kg)についての最大咬合力(N)を示しており、ここでは咬合力は調整Thomason(2005)の式を用いて計算した。硬度が既知である製品に対しては、破砕に「X」Nの力が必要であり、例えば、これらのグラフを用いることにより、頭蓋種に従ったどの種のイヌが破砕できるのかを判断できる。具体例を示すと、第二後臼歯で噛んだ場合に破砕に2000Nを要する製品は、中頭型(M)および短頭型(B)頭蓋種の大型犬にのみ適しており、長頭型(D)の大型犬には硬すぎる。逆に、第二後臼歯で噛んだ場合に破砕に1000Nを要する製品は、中頭型の中型および大型、ならびに小型犬でも破砕できる。
【0073】
最大開口は、犬歯およびM1におけるEmersonおよびRadinsky(1980)の相対最大開口の式を変形した式に従って計算し、中頭型(M)、短頭型(B)または長頭型(D)の頭蓋形状を有する小型犬(<10kg)、中型犬(10〜20kg)ならびに大型犬(>20kg)に関するThomasonの式によって実際の開口に対する補正を行った。Thomasonは、切歯における最大開口の予測値と観察値との間で開発されたものであるが、本明細書においては、この式は、切歯およびM1の最大開口の推定値に適用した。結果を表1〜3に示す。
【0074】
最大開口に関する情報は、経口製品の最適な大きさの決定に利用できる。頭蓋の大きさごとに平均を求めると、M1における開口の平均は、小型犬での1.3cmから、中型犬では3.2cm、大型犬では5.5cmまで増加した。切歯においては、小型犬での3.7cmから、中型犬では6.3cm、大型犬では10.2cmまで増加した。イヌの大きさおよび製品を咀嚼する歯に応じ、大きさが異なる製品が大きさの異なるイヌにとってより快適または不快になる。
【0075】
犬歯の最大強度、顔の回転、相対的なすり合わせ面積および相対的な歯の長さについても、9つの大きさ−形状分類のそれぞれの中で計算した(表1〜3)。
【0076】
相対的なすり合わせ面積(RGA)は、全ての頭蓋種で測定した。RGAは、短頭型頭蓋ではいずれの大きさでも平均値が最も高く(1.44)、長頭型頭蓋ではいずれの大きさでも平均値が最も低かった(1.24)。相対的なすり合わせ面積は、噛み砕きを担っている臼歯の面積と比較したすり合わせを担っている臼歯の面積である。結果から、短頭型頭蓋は、より優れたすり合わせ能力を有するが、長頭型頭蓋はより優れた噛み砕き能力を有することが示唆された。
【0077】
生体計測学的分析を完成させるにあたり、あるペット種に関する全ての変数を満たすように、得られた情報に従って経口製品、例えば、ペット用チューなどを調製した。上述の生体計測学的分析に基づいて調製された経口製品の製品性能は、次のような多数の項目について測定したが、これらに限定されるわけではない:硬度、密度、弾性、砕けやすさ、吸水能および溶解速度を含む組織上の特質、ならびに、歯垢および歯石の剥離、息の清浄化、持続時間、および、対にして嗜好を比較することによって測定した好みなどの機能的分野など。
【0078】
硬度
テクスチャーの測定は、250〜500kgのロードセルを備えたTA.HDiテクスチャー分析器(テクスチャー・テクノロジーズ(Texture Technologies)社(米国ニューヨーク州スカースデイル所在)製)を用いて行った。一軸圧縮または破壊試験に対しては、直径5mmの円筒状プローブを用い、25℃の室温で行った。データは、テクスチャー・テクノロジーズ社から入手したテクスチャー・エキスパート・ソフトウェア(バージョン2.12)を用いて収集した。2種類の一軸圧縮または破壊試験を行った。これらの試験は、イヌが試験サンプルを噛み、咀嚼する動作に最も近似していることを理由に選択した。
【0079】
圧縮分析変数は次の通りである。仕事(W)は、仕事の推定値として定義され、したがって、製品の強靭性を示す。堅牢な製品は、堅牢性の劣る製品に比べて、高い仕事値を有するであろう。面積は、製品を破壊するのに加えられなければならない「力」または荷重を示す。曲線の下の面積は強靭性を表す。表された「面積」単位は、N*mmとしてx軸に対するy軸の乗算から得られる。「面積」を仕事−W−(F/d)に転換するには、0.1020408m2/mm/秒2を掛ける。
【0080】
最大力(N)は製品の硬さに打ち勝つために必要とされる力の最大量として定義される。通常、硬い製品は、縦の座標(y軸)の値が高いことと関係するであろう。表される「力」単位は、kgで表された質量との直接の関連性に由来する。「力」を「最大力」−N−に変えるには、9.81m/秒2(重力加速度)を掛ける。
【0081】
行程(mm)は、ピーク力に達する地点(距離)として表される。よって、行程は、弾力性に加えて、プローブが最大力に達するのにどのくらいの距離を進行するかについての測定に起因する、強靭性と硬さの組合せとしての製品の抵抗を模倣する。より大きい行程の数値は、より弾力性のある製品であることを示す。破壊に対する抵抗は、進行距離と直接比例している。
【0082】
直線距離(mm)は、全ての軌跡点を連結させて引いた仮想線の長さを測定することによって算出される。この尺度は、凝集性に対する砕けやすさの製品特性を表す。これは、もろさについての直接的評価であり、もろい製品では、より鋭いピークを生じ、直線距離がより大きくなる。
【0083】
硬さ、強靭性および弾性の値は、製品サンプル全体を用いて決定した。テクスチャー・テクノロジーズ社提供のTA.HDiで観察された基本環境(base platform)を、力/距離の測定に使用した。
【0084】
サンプルを、ナイフが一度に、サンプルの骨長(bone length)に沿った1箇所と接触するように台の中心に置いた。選択される位置には、ペット用チューのブラシ頭部、柄がブラシ頭部と結合する点、および柄の終端の指関節部分が含まれる。サンプルを平らな台の表面上に横向きに置き、各位置をナイフと90°の角度で接触させる。これを、骨長に沿った3箇所の選択位置で繰り返す。それぞれ、以下の条件に従って、評価される変数あたり最低5つの骨を測定した。
【0085】
次の変数を用いて2セットの試験を行った:
A.プローブまたはナイフは、(1)試験前速度5mm/秒(プローブがサンプルに接触する前の速度);(2)試験速度2mm/秒(プローブがサンプル内を進行する速度);(3)試験後速度5mm/秒(プローブがサンプルから引き抜かれるときの速度);50%圧縮距離(プローブが引き抜かれるまでにサンプル内を進行する距離)で進行させた。
【0086】
B.プローブまたはナイフは、(1)試験前速度5mm/秒(プローブがサンプルに接触する前の速度);(2)試験速度10mm/秒(プローブがサンプル内を進行する速度);(3)試験後速度5mm/秒(プローブがサンプルから引き抜かれるときの速度);50%圧縮距離(プローブが引き抜かれるまでにサンプル内を進行する距離)で動かした。
【0087】
距離mm(x軸)に対し、力をkg(y軸)でプロットし、ここで始動時の力0をグラフ上に点1として設定し、最大力をグラフ上に点2として設定して差し支えない。以下の変数について測定した:硬さの測定である、曲線の最大荷重値である最大力2;すべての軌道点を連結させて引いた仮想線の長さを測定することにより算出される、直線距離(mm)。これは、もろさについての直接評価であり、もろい製品では、より鋭いピークが得られ、直線距離が大きくなる。これらの各変数について、試験製品の少なくとも5サンプルについて値の平均値を決定した。
【0088】
硬さは、Nで表された最大力として測定された。一軸圧縮または破壊試験での測定のように、本発明製品の硬さまたは最大力値は、ある実施形態では、プローブ速度を2.0mm/秒として上述のように測定して、新規なペット用チューが、体重が11.4kg(25ポンド)以下のイヌに対して設計された場合には、約100〜約700ニュートンであり、好ましくは約150〜約600ニュートンであり、より好ましくは約200〜約500ニュートンであり、最も好ましくは約250〜約400ニュートンであり、あるいは、体重11.4kg(25ポンド)以上のイヌに対して設計されたペット用チューでは、約200〜800Nである。好ましい実施形態においては、体重11.4kg(25ポンド)以上のイヌに対して設計されたペット用チューは、プローブ速度を2.0mm/秒として測定した場合、約250〜約650ニュートンの硬度測定値を示し、好ましくは約275〜約600ニュートンであり、さらに好ましくは約300〜約450ニュートンである。
【0089】
本発明の製品のニュートン×mm(Nmm)として測定される強靭性は、約500〜約12,000Nmmの範囲であり、約700〜約10,000Nmmが好ましく、約800〜約5,000Nmmがさらに好ましい。
【0090】
本発明に従う製品のもろさまたは直線距離を測定した。本発明に従う製品のもろさの値の範囲は、約100〜約1500mmであり、好ましい範囲は約150〜約1300mmであり、最も好ましくは約200〜約1000mmである。
【0091】
溶解性
ペット用チューの溶解性/消化吸収性についてのインビトロ測定を利用し、ペット、特にイヌの胃腸管内で溶解または消化されるペット用チューの量を表してもよい。実施した試験は、ペット用チュー製品の一部または全体に基づいて行なわれる。例えば、ペット用チューの32g分の部分など特定のサイズ部分または小片を用いて、異なる配合について正確に比較することができる。結果は、インビトロにおける消失率(IVD)%として表される。溶解度の測定は、ペットの胃腸の環境を模した多くの溶液に製品の一定量を供することによって行われる。一般的に、胃環境は比較的酸性であり、腸環境は、胃と比較すると、アルカリ性寄りである。製品をこれらの環境に供した後、残りの製品をろ過し、乾燥させる。この製品残渣の重量を量り、製品の初期重量と比較した。IVD%は、溶解した製品の重量を製品の初期重量と比較した重量百分率である。溶解度試験については以下にさらに記載する。
【0092】
使用した溶液:
リン酸緩衝液(0.1M、pH6.0の溶液):2.1gの無水リン酸水素二ナトリウムおよび11.76gのリン酸二水素ナトリウム一水和物を1Lのメスフラスコに入れて溶解し、蒸留/脱イオン(dd)水を加えて1Lにした。
【0093】
HCl溶液:500mlのdd水を入れた1Lのメスフラスコに17.0mlの濃HClを加え、dd水を加えて1Lにした。100mlのHCl:ペプシンを250mlのリン酸緩衝液に加えると、pHは約2に近くなるはずである。これを達成する方法の1つは、850mlの0.1NのHCl+150mlの1NのHClを用い、1000mlのHCl原液を調製することである。100mlのHCl:ペプシンを250mlのリン酸緩衝液に加えると、pHは約1.9〜2.0である。
【0094】
HCl:ペプシン溶液:適量のペプシン(シグマ(Sigma)P−7000、ペプシン量は、被験サンプルの大きさによって異なる。サンプル1gあたり0.01gのペプシンが、本方法の工程6の最終混合物中にもたらされるべきである。例えば、30gのサンプルには0.3gのペプシンが用いられるであろう)を、1Lのメスフラスコに入れ、上記に従って調製したHCl溶液を加えて1Lにした。
【0095】
クロラムフェニコール溶液:100mlのメスフラスコ中に入れた0.5gのクロラムフェニコール(シグマ(Sigma)C−0378)に95%のエタノールを加えて100mlにした。
【0096】
水酸化ナトリウム溶液(0.5N):1Lのメスフラスコに20gの水酸化ナトリウムを入れ、dd水を加えて1Lにした。
【0097】
リン酸緩衝液(0.2M、pH6.8):16.5gの無水リン酸水素二ナトリウムおよび11.56gのリン酸二水素ナトリウム一水和物を1Lのメスフラスコに入れて溶解し、蒸留水を加えて1Lにした。
【0098】
パンクレアチン:リン酸緩衝液溶液:適量のブタパンクレアチン(シグマ(Sigma)P−1750、酵素量は、被験サンプルの大きさによって異なる。サンプル1gあたり0.05gのブタのパンクレアチンが、工程8の最終混合物中にもたらされなくてはならない。例えば、30gのサンプルに1.5gのパンクレアチンを使用するであろう)を500mlのメスフラスコに入れ、上記調製した0.2M、pH6.8のリン酸緩衝液を加えて500mlにした。
【0099】
方法例:
1.番号を付したダクロン布の小片を57℃のオーブン内に一晩置き、翌日重量を測定した。
【0100】
2.重量測定をしたサンプルを三角フラスコに入れた(%IVDの算出の間の水分の損失を説明するため、対照として、残渣と共に追加の試料の重量を計測し、乾燥させた)。
【0101】
3.各フラスコに0.1M、pH6.8のリン酸緩衝液250mlを加えた。
【0102】
4.各フラスコにHCl:ペプシン溶液100mlを加えた。混合液のpHが約2であることを確認した。必要があれば、HClでpHを調整した。
【0103】
5.各フラスコに5mlのクロラムフェニコール溶液を加えた。
【0104】
6.フラスコに栓をし、穏やかに混合した。39℃で6時間インキュベートした。製品全体が溶液中に浸るように維持しつつ、サンプルがフラスコ内を常時動いているような速さに設定された振とう水浴を使用して、常にかき混ぜた。
【0105】
7.インキュベーション後、0.5Nの水酸化ナトリウム溶液の十分量を各フラスコに加え、混合物の最終pHが6.8に達するようにした。
【0106】
8.各フラスコにパンクレアチン:リン酸緩衝液溶液100mlを加えた。ゆっくり撹拌した。
【0107】
9.フラスコに栓をした。39℃で18時間インキュベートした。製品全体が溶液中に浸るように維持しつつ、フラスコ内のサンプルが常時動いているような速度に設定された振とう水浴を用いて、常にかき混ぜた。
【0108】
10.工程1で得られたダクロン布の小片を通してサンプルをろ過した。dd水で3回すすいだ。一定重量に達するまで57℃で維持した。
【0109】
11.以下の段階におけるpHを記録した
a.工程4の時点
b.消化6時間後
c.工程7でNaOH溶液添加後
d.パンクレアチン:リン酸緩衝液溶液添加後
e.24時間後
計算:
残存重量=(ろ過+インキュベーション後のサンプル重量)−乾燥ろ過重量
【数1】

【実施例】
【0110】
III.実施例
本発明に従う生体計測学的分析に沿ってイヌ用経口製品の試作品を開発した。
【0111】
本発明の実施例では、製品は、全ての頭蓋種のイヌを含む、体重10kg未満の全ての小型犬を対象とする。イヌの口腔内での望ましい咀嚼位置は、第二前臼歯から後臼歯にかけてである。
【0112】
上記の目的とする種にふさわしい製品を調製するためには、下記のように、全ての頭蓋種から、この種のイヌの最大咬合力を調べるべきである。特に、表4は、体重10kg未満のイヌの平均咬合力を示している。この表には、各頭蓋種のこの種のイヌにおける平均咬合力、ならびにこの群のイヌで推定される咬合力の最低値を示している。この推定値は、集団の中の低値を表すように、平均咬合力の70%の値をとることによって計算した。
【表4】

【0113】
この生体計測による情報、ならびに本実施例での望ましい咀嚼位置を利用することにより、硬度が202Nである製品は、この種の全てのイヌの全ての頭蓋種の第二前臼歯から後臼歯にかけての全ての歯で咀嚼できると判断できる。さらに、該製品は、厚さが<4.5mmの部分を含んでいなければならないが、これは、後臼歯の間で製品を咀嚼できるようにするためである。
【0114】
上述のテクスチャーを達成することを目的として、以下の調製物を開発した。本調製物(全内容を参照として本明細書に援用する、2006年6月21日に受理された米国仮特許出願第60/815,682号明細書に詳細に記載されている。)は、本発明の実施形態に従って調製された1つの製品を具体的に示すためのものであり、如何なる意味でも本発明を制限するものではない。もちろん、多様な種類のペット用経口製品(同製品ラインに変化を加えたものを含む)を本明細書に記載の方法に従って調製できる。
【0115】
製品の配合:
材料 重量%
コムギタンパク質単離物 17%
大豆タンパク質単離物 14%
カゼインナトリウム 8%
グリセリン 17%
水素化デンプン加水分解物 9%
ゼラチン(100ブルーム) 17%
水 7%
植物油 3%
香味料/栄養素/保存料/着色料 8%
当然ながら、多様な生体計測学的分析を用いて本明細書に概説した方法および実施例は、1つの機能、動物種または能力に関して用途を制限するものではなく、本発明の精神に従って取り扱われて差し支えないことは、注目に値する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌ用経口製品により生じる歯の破損の発生を減少する方法であって、
生体計測学的分析を使用してある種のイヌの能力から少なくとも2つの変数を分析することによりイヌ用経口製品を設計する工程、および
前記ある種のイヌの能力の少なくとも2つの変数についての生体計測学的分析に基づき、該種のイヌについて所望の形状、サイズおよびテクスチャーを有するように前記イヌ用経口製品を作製および/または成形する工程、
を有してなり、
前記ある種のイヌについて歯の破損の発生が、イヌの体重のみを使用して設計されたイヌ用経口製品と比較して減少したことを特徴とする方法。
【請求項2】
イヌ用経口製品により生じる窒息の発生を減少する方法であって、
生体計測学的分析を使用してある種のイヌの能力から少なくとも2つの変数を分析することによりイヌ用経口製品を設計する工程、および
前記ある種のイヌの能力の少なくとも2つの変数についての生体計測学的分析に基づき、該種のイヌについて所望の形状、サイズおよびテクスチャーを有するように前記イヌ用経口製品を作製および/または成形する工程、
を有してなり、
前記ある種のイヌについて窒息の発生が、イヌの体重のみを使用して設計されたイヌ用経口製品と比較して減少したことを特徴とする方法。
【請求項3】
イヌ用経口製品により生じる胃腸の閉塞の発生を減少する方法であって、
生体計測学的分析を使用してある種のイヌの能力から少なくとも2つの変数を分析することによりイヌ用経口製品を設計する工程、および
前記ある種のイヌの能力の少なくとも2つの変数についての生体計測学的分析に基づき、該種のイヌについて所望の形状、サイズおよびテクスチャーを有するように前記イヌ用経口製品を作製および/または成形する工程、
を有してなり、
前記ある種のイヌについて胃腸の閉塞の発生が、イヌの体重のみを使用して設計されたイヌ用経口製品と比較して減少したことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記イヌの種が、頭蓋種に従って定義されることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項5】
前記イヌの種が、血統に従って定義されることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項6】
前記イヌの種が、年齢に従って定義されることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項7】
前記イヌの種が、体重に従って定義されることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項8】
前記イヌの種が、咀嚼型に従って定義されることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項9】
前記分析されるイヌの能力が、咬合力であることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項10】
a.一連の変数を測定し、
b.以下の式に従い、前記変数を用いて咬合力BFを計算し、
BF=2(M*m+T*t)/o
c.前記BFをテクスチャーおよび/または形状のうちの少なくとも1つの特徴に転換し、
d.前記少なくとも1つの特徴を満たすように材料を選択し、および
e.前記材料を用いてイヌ用経口製品を形成する、工程を含み、
Mは、咀嚼筋/内側翼状筋*30Mpaに比例する面積であり、Tは、側頭筋*30Mpaに比例する面積であり、mはMに対する応力中心距離であり、oは顎の長さであり、また、tはTに対する応力中心距離であることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記分析する能力が、開口の大きさであることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項12】
前記分析する能力が、咀嚼表面積であることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項13】
前記分析する能力が、歯の形態であることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項14】
前記製品が、可食性チュー、非可食性チュー、可食性スナックまたはおやつ、おもちゃ、ならびにキブルを含むことを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項15】
前記製品の機能が、口腔ケア、咀嚼の楽しみまたは占有時間であることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項16】
前記生体計測学的分析が、コンピューター処理装置を用いて行われることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法。
【請求項17】
前記咬合力が、実験により評価または特定されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項18】
前記歯の形態が、歯の形状、歯の構造、および動物の口における個々の歯の位置からなる群より選択される特性の分析を含むことを特徴とする請求項13記載の方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−90638(P2013−90638A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−28886(P2013−28886)
【出願日】平成25年2月18日(2013.2.18)
【分割の表示】特願2009−516721(P2009−516721)の分割
【原出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(390037914)マース インコーポレーテッド (80)
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED