説明

生検実施のための方法及びシステム

【課題】
生検実施のための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】
生検実施のための方法及びシステムであって、
目標領域(200)の診断イメージを得るためのイメージングシステム(190)と、
トラッキングシステム(100)と、
生検処理を実行するための、配置可能な生検針を有するプローブ(75)で、前記トラッキングシステムが、前記プローブ及び前記 生検針の少なくとも1つのトラッキング情報を生成する、プローブ(75)と、
前記目標領域の超音波イメージを得るための、超音波イメージングシステム(50)と及び,
前記トラッキングシステム、前記イメージングシステム及び前記超音波イメージングシステムと交信するためのコンピュータ(150)とを含み得る。
前記コンピュータは、前記イメージングシステムについて前記トラッキングシステムを登録する。前記コンピュータは、前記生検処理に基づく生検位置のマーキング(500)を、前記トラッキングシステム情報と、前記トラッキングシステム情報と前記診断イメージングについての前記トラッキングシステムの登録に基づいて、前記超音波イメージングから前記診断イメージへと移す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生検実施のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、アメリカ合衆国公衆衛生サービスとの共同研究開発協約(Cooperative Research and Development Agreement with the United Stales Public Health Service (CRADA No, NCI- NlHCC-01 864)によりなされたものであり、アメリカ合衆国は,本発明の権利を有する。
【0003】
本出願は、医学処理、特に生検に関し、特にそれを参照して説明される。しかし、この代表的実施態様は、他の医学処理、他の医学装置等に関連する応用を、また見出すことは理解されるであろう。
【0004】
前立腺癌は、健康に対する主要な挑戦である。アメリカ合衆国において、すべての6人の男性のうち1人が人生でこの疾病に悩んでいる。前立腺癌は、肺癌についで2番目に主要な、男性の癌による死因である。
【0005】
現在、最も普通の前立腺癌のスクリーニング方法は、血清前立腺特定の抗原によるスクリーニングを行い、6箇所以上の生検を、リアルタイム2Dの経直腸的超音波の案内の下で行う。この処理の一部として、前立腺は、一般的に等容量の6つの領域に分けられる。それぞれ6つの領域から、1以上の生検を、システマチックであるが、本質的に方向を考慮しないで取得する。この方法は、6分割生検と呼ばれる。
【0006】
6分割生検は、広く用いられており、それは、前立腺癌検出の他の方法に比べて低コスト及び容易だからである。しかし、6分割生検は、偽陰性率が高く、生検の実際の位置に関して不正確の可能性がある。6分割生検の結果は、普通、生検が病理学者により手で注釈を付けられ、前立腺の粗標準マップを用いて記録される。このマップは、本質的に不正確である。というのは、実際の生検の位置はその病理学者にはわからないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、生検実施のための方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のまとめ(Summary)は、37 C.F.R. $ 1.73の本発明を簡単に示すようにとの要求に基づき、提供される。これが、特許請求の範囲の技術的範囲を解釈するため、又は制限するために用いられるべきでないことは理解されるべきでないという理解のもとに提供される。
【0009】
本発明の代表例の一つの側面によると、本発明は、
配置可能な生検針を有するプローブを準備し、
診断イメージにつきトラッキングシステムを登録し、
イメージングシステムを用いて、患者の目標領域のイメージを得、
前記目標領域の生検を実施し、
前記生検処理の間、前立腺目標領域の超音波イメージングを得、
前記生検処理の間、前記生検針及び前記プローブの少なくとも1つの位置についてのトラッキング情報を得、
前記生検処理の生検位置を、前記超音波イメージングにマークし、及び
前記生検位置を、前記トラッキング情報と、前記診断イメージと共に前記トラッキングシステムの登録に基づいて超音波イメージングから、診断イメージへ移す、
ことを含む。
【0010】
本発明の代表例の一つの側面によると、本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記記憶媒体に記憶された、コンピュータ実行可能なコードを有することができる。ここで前記コンピュータ実行なコードは、コンピュータ装置が、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をロードし、次のスッテプを実行するように、構成されている。すなわち、
診断イメージと共にトラッキングシステムを登録するステップと、
ここで前記トラッキングシステムはプローブ、前記プローブから配置可能な生検針、及び操作可能に前記プローブに結合されている針ガイドの少なくとも1つをトラック可能であり、
目標領域の超音波イメージングを得、及び、前記プローブ、前記生検針、及び前記針ガイドの少なくとも1つの位置のトラッキング情報を得るステップ及び
前記生検処理に伴う生検位置のマーキングを、前記トラッキング情報と、前記診断イメージと共に前記トラッキングシステムの登録とに基づいて、前記超音波イメージングから診断イメージへ移すステップ、
とである。
【0011】
本発明の代表例の他の側面によると、 本発明の生検システムは、
目標領域の診断イメージを得るためのイメージングシステムと、
トラッキングシステムと、
生検処理を実施するための、配置可能な生検針を有するプローブと、
ここで、前記トラッキングシステムが、前記プローブ及び前記生検針の少なくとも1つのトラッキング情報を生成する、
前記目標領域の超音波イメージングを得るための、超音波イメージングシステム、及び
前記トラッキングシステム、前記イメージングシステム及び前記超音波イメージングシステムと交信する、コンピュータとを含むことができる。前記コンピュータは、前記診断イメージと共に前記トラッキングシステムに登録することが可能であり、前記コンピュータは,前記生検処理に伴う生検位置のマーキングを、前記トラッキング情報と、前記診断イメージと共に前記トラッキングシステムの登録とに基づいて、前記超音波イメージングから診断イメージへ移すことが可能である。
【0012】
本発明の代表例の他の側面によると、MRIイメージと、リアルタイム経直腸的超音波検査(TRUS)イメージとを、目標とする前立腺生検の間、融合させることができ、これによりMRIの感度の利点と、超音波のリアルタイム可能性を結合する。前に取得したMRIイメージとリアルタイムTRUSイメージの融合は、電磁気トラッキングを用いて可能である。これにより、前記超音波プローブの位置及び方向をヒト身体内で決めることが可能とある(すなわち、インビボグローバル位置決めシステムである)。前立腺が、超音波でスキャンされると、システムは、MRIの対応する多面再構成にしたがって、その上の超音波イメージを重ねる。イメージングに基づく記録が、リアルタイムで行われ、前立腺の動きを補償する。
【0013】
ここに記載される代表実施態様例は、従来のシステム及び処理方法よりも多くの点で優れている。生検位置の正確なマッピングがそのひとつである。
【0014】
上で説明された又は他の技術的特長、及び本開示の利点は、この技術分野の熟練者により、以下の詳細な説明、図面及び添付特許請求の範囲において、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、生検で使用されるシステムの代表例を模式的に示す。
【図2】図2は、生検の実施の前立腺領域を模式的に示す。
【図3】図3は、図1のシステムで使用する、生検プローブを模式的に示す。
【図4】図4は、生検の実施において、図1のシステムで使用可能な方法を示す。
【図5】図5は、図1のシステムで生成される、生検位置マーク付の超音波イメージングを示す。
【図6】図6は、図1のシステムにより生成されたイメージで、磁気共鳴イメージング(MRI)と超音波イメージとを融合したイメージを示す。
【図7】図7は、生検位置がマークされた、図1のシステムで生成した横断面のMRIイメージを示す。
【図8】図8は、生検位置がマークされた、図1のシステムで生成した矢状断面のMRIイメージを示す。
【図9】図9は、超音波イメージングとMRIイメージングの記録を表示する、図1のシステムのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を示す。
【図10】図10は、超音波イメージングとMRIイメージングの重ね合わせを表示する、図1のシステムのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を示す。
【図11】図11は、MRIイメージングの移した 生検位置局所マッピングを表示する、図1のシステムのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を示す。
【図12】図12は、図1のシステムを用いた10人の患者について6分割生検処理の結果を表す。
【図13】図13は、図1によるイメージを表し、3DTRUSで記録された生検を示す。
【図14】図14は、図1によるイメージを表し、MRIで記録された生検を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図、特に図1及び2を参照して、検出システム10は、超音波イメージングシステム50と、トラッキングシステム100及びイメージングシステム190を有することができ、これらは、患者20の、目標領域の生検位置又はサイトのマッピングを得るために利用され得る。ここで、代表態様例は、図2において示されるように、前立腺200で実施された生検により説明される。しかし、この技術分野の熟練者により、この代表態様例及びここに説明される方法は、ヒト又は他の、種々の部分、例えば、器官、組織等にも適用可能であることが理解されるであろう。
【0017】
これらのシステム50、100、190は、表示装置175(すなわちモニタ)を結合したコンピュータ150で交信可能である。前記コンピュータ150は、種々のタイプが可能であり、種々の部品を含むことが可能であり、ワークステーションを介するパラレルプロセシングのためのマルチプルプロセッサが含まれる。しかし、それぞれのシステム50、100及び190が結合された代表態様例が記載されてはいるが、この技術分野の熟練者には、システム10に関して記載された技術は、独立に他の技術でも可能であるということは理解されるであろう。例えば、イメージングシステム190は、生検処理の前又は後で、患者20の目標領域のイメージを取得する、独立したシステムであり得る。その場合、イメージングシステム50と、トラッキングシステム100は、生検位置をマッピングするためのシステム10により利用されるさらなる技術のために供されることとなる。
【0018】
図3をさらに参照して、超音波イメージングシステム50は、コンピュータ150と交信可能であり、超音波コントローラ60及び超音波プローブ75を含むことができる。特定のタイプの超音波コントローラ60、プローブ75及びシステム10で利用される他の超音波部品もまた、種々変更可能である。例えば、針ガイド及び生検TRUSプローブから生検針を配置するための針ガイドを有するTRUSプローブであってよい。針ガイドと配置可能な生検針を含むTRUSプローブ75の特定のタイプ及び構成は、また、種々変更可能である。本発明の開示は又、他のタイプの生検装置による他のタイプの超音波プローブの使用も考慮する。すなわち、後に再度説明するように、生検装置の超音波イメージが、装置をトラッキングする間に、得られるものである。
【0019】
ひとつの実施態様において、コントローラ60は、受けたエコーシグナルを処理するためのビームフォーマと、ドップラー関連情報を処理するドップラープロセッサ、及び2D及び/又は3Dイメージを形成するためのイメージプロセッサとを含むことができる。コントローラ60はまた、CINELOOP(R)メモリのような記憶装置と、ビデオプロセッサとを含むことができる。他の実施態様では、コントローラ60は、プローブ75の超音波を曲げたり電気的に収束させる部品を含むこと及び/又は技術を利用することができる。他の部品及び/又は技術はまた、コントローラ60と共に使用することができる。例えば自動境界検出プロセッサであり、表示されているイメージに関連して解剖学上の境界を定義し、グラフ的に重ね合わせることができる。本開示はまた、上で説明したコントローラ60の部品に加えて、又は代えて、他の部品及び/又は技術の使用を考慮に入れる。この技術分野の熟練者にとって次のことは理解されるべきである。すなわち、コントローラ60又は1以上のその部品は、例えばデータプロセッシング及びプレゼンテーション技術のために、コンピュータ150に組み込む、又は共有することができることである。
【0020】
トラッキングシステム100は、コンピュータ150と交信可能であり、ベッド25、又は患者20のための他の支持の上に位置する、フィールドジェネレータ120を含むことができる。しかしながら、前記フィールドジェネレータ120の特定の位置は、いくつかのファクタにより変わり得る。例えば、フィールドジェネレータのタイプ、又は、システム10の他の部品の構造である(例えばC型アームのX線装置)。例えば、前記フィールドジェネレータ120は、ベッド25の下に固定して設けることができる。前記フィールドジェネレータ120は、TRUSプローブ75と結合されるか又は組み込まれている1以上のセンサ80と交信可能である。そのセンサは、トラッキングシステム100により、前記プローブをトラッキングすることを可能とする。センサ80は、いくつかのファクタにより種々のタイプが可能であり、利用されるトラッキング技術にタイプを含む。
【0021】
ひとつの実施態様において、トラッキングシステム100は、電磁気的トラッキングシステムであり得る、それは電磁場ジェネレータ120とTRUSブローブに結合して、又は組み込んだ1以上の電磁気センサ80を有する。他の部品、例えば基準マーカは、システム100により利用され得る。ひとつの実施態様として、トラッキングシステム100は、例えば、Traxtal Inc. 又は Northern Digital Inc.から供給可能な種々のトラッキング部品を使用できる。他の例として、トラッキングシステム100は、例えばNorthern Digital Optotrak Certus Motion Capture Systemから供給可能な、光学的トラッキング技術及び部品を利用できる。他の技術及び部品は、位置センサ又はトランスミッタ及び位置モニターとして、又はTRUSプローブ75の位置をトラッキングするためのレシーバとして、用いることができ、それには超音波記録技術及び部品が含まれる。他の実施態様において、トラッキングセンサ80は、TRUSプローブ75及び/又は生検針に、結合されるか、又は組み込まれることができる。
【0022】
イメージングシステム190は、イメージングの種々の様式を利用可能である。ひとつの態様においては、イメージングシステム190は、磁気共鳴イメージング(MRI)を利用できる。本開示は、他のイメージング様式、又はイメージングシステム190によるイメージング様式の組み合わせを考慮する。これにはコンピュータトモグラフィ(CT)、コントラスト超音波、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)、シングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)等が含まれる。
【0023】
さらに図4〜14を参照する。システム10による生検実施に使用され得る方法が示され、一般的に参照番号400で表されている。以下のことが、この技術分野の熟練者により理解されるべきである。すなわち、方法400に関して記載されたステップは、システム10の使用の代表例としての意図であり、これよりも多い又は少ないスッテプであって、破線で示されるステップを含む。さらに、システム10に関して特に記載されていない他の部品又は装置はまた、方法400を実施することに供され得る。
【0024】
方法400は、ステップ402を含むことができる。ここで、前立腺領域又の目標生検領域の診断イメージが、イメージングシステム190を用いて得られる。ステップ404で、トラッキングシステム100は、前記診断イメージと共に記録され得る。記録技術は、この技術分野では知られているように、トラッキングシステム部品を動かない位置で維持しながら、位置データを取得するようにして行う、1以上のキャリブレーションステップを含むことができる。例えば、記録技術は、イメージングシステム190により得られるイメージデータ中のそれぞれのポイントに対応する、トラッキングシステム100により得られたポイントを含むことができる。
【0025】
ステップ406では、6分割前立腺生検のような生検処理が、TRUSプローブ75を用いて実施され得るが、その一方で、前記プローブ(又は生検針又は針ガイド)のトラッキング情報と協働して、リアルタイム超音波イメージを取得し保存する。前記生検針が、TRUSプローブ75の針ガイドを通じて配置されるところで、超音波イメージ平面と共に生検針のアラインメントが維持されることができる。超音波イメージングは、そのイメージの中での生検針の同定を可能とする。
【0026】
ステップ408において、生検サイト又は位置はマークされることができる。例えば、図5において、生検針が認識され、マーク500と帰属されることができる。前記マーキングは、リアルタイムで、及び/又は遡及的に記録された超音波イメージを用いて実施することができる。ひとつの実施態様において、イメージングプロセスアルゴリズム(例えば、針認識技術)は、医者の介入を必要とせず、針の位置を決定し、及び生検サイトをマークするために利用することが可能である。生検サイトのマーキングは、システム10により、リアルタイム及び/又は遡及的に実施することができる。他の実施態様では、システム10は、生検サンプルの形状(例えば円柱形)と共にマークし、生検サイトを帰属することができる。例えば、 生検マーク形状は、 知られた生検針に基づくことができる。
【0027】
図6で示されるように、ステップ410においては、システム10は、超音波イメージングをMRIイメージングと、融合、重ね合わせ、又は合併することができる。これは、トラッキングシステム100からの記録されたトラッキング情報と、MRIイメージと生検処理の際に得られたトラッキングシステム間の記録とに基づく。マークされた生検サイトは、その後、診断MRIイメージへ移されることができる(例えば、MRIイメージの対応する位置へ移される)。このことは図7及び8において横断面及び矢状断面として表わされている。ステップ412のひとつの実施態様において、イメージ修正技術が、得られたデータに適用して、より正確な融合イメージ又は合併イメージを提供することができる。例えば、イメージベースのモーション/デホメーション修正アルゴリズムが、コンピュータ150により得られたデータに適用され、前立腺の動きによるイメージの誤配置に対処することができる。システム10は、方法400で得られたイメージと情報を表示するための種々のグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を提供することができる。例えば図9のGUI900は、医者が、プローブ75を、イメージングシステム190に、手動で登録することを可能とする。GUI1000は、医者が、MRIイメージングを超音波イメージングと融合させ又は重ねることを可能とする。GUI1100は、医者が、生検位置をマッピングすることを可能とする。
【0028】
ステップ414で、マークされた生検サイトは、正確に位置決めされ、生検処理の位置を記録するために保存される。図13、14に示されるように、生検サイトは、MRIイメージ及び/又は再構成された3DTRUSイメージにも記録される。生検サイトの記録は、いくつかの方法で利用可能である。これには、これらの位置でのイメージングに基づく癌検出のためのグランドツルースを提供するために、病理学的検査の結果と、対応するMRIイメージによる位置の関連性についての検証技術を含む。ステップ416のひとつの実施態様では、記録された生検サイトは、将来の目標とされる再生検を計画するための参照として利用され得る。例えば、ある患者の生検結果が陰性であってもなお患者のPSAレベルが高いというような場合である。
【0029】
ステップ418の他の実施態様では、記録された生検サイトは、統計的な癌分布マップを作るために利用され得る。それは、他の患者の生検処理の改良の助けとなる。例えば、前立腺癌の位置の分布マップは、共通の座標系での幾人かの患者の研究による生検サイトの登録により生成され得る。ひとつの実施態様では、生検サイトは、冠状面に基づくことができる、というのは、それぞれの生検は、一般的には前方向から後方向に取得された、組織サンプルの直線コア(例えば約15mm長)だからである。患者の前立腺表面のそれぞれを、手動で、MRIイメージ中で切断し、冠状面に投影される。それぞれの投影された前立腺の2次元(2D)境界は、冠状面内の2Dモデルに合うよう形を変形されることができる。それぞれの患者研究と、モデルとの間のイメージ登録がこのようにして確立される。それから、それぞれの患者研究の生検サイトは2Dモデルに移され、6分割 生検の結果に基づいて癌分布マップが構成される。他の実施態様では、3D分布が、それぞれの患者研究のイメージと3Dモデルとの間の変形可能なイメージ登録を用いて、生成することができる。
【実施例】
【0030】
出願人は、10人の患者から6から12コアの 生検に基づくデータを取り出した。生検処理は、代表実施態様について記載された方法とシステムを用いて行われた。図12に、10人の患者の生検結果を示す。円形は、病理学的検査で確認された陽性生検の位置を示す。病理学的検査で確認された陰性生検は、基底、中間、及び尖頂により、それぞれ「.」、「+」及び「x」で示す。前立腺癌の確立マップは、分布のヒストグラムを計算して構成することができる。
【0031】
システム10と方法500は、診断イメージと腫瘍組織学の間の関連を確立することで利用されることができる。十分な精度で、この関係は、医者及び/又はコンピュータ補助診断アルゴリズムに対して、イメージに基づく癌検出の評価のためのグラウンドツルースを提供することができる。統計的癌分布マップは、生検結果に基づき生成され、事前確率に基づく従来の生検処理を最適化することを助ける。700000以上の前立腺生検がアメリカ合衆国(US)のみでも実施されており、従って、方法500は、前立腺癌確立マップを構成するために数多くの患者サンプルが供されることが可能であり、それによって、より正確な前立腺癌の検出へと導くことができる。他の実施態様では、診断イメージと病理学的検査との関連性は、前立腺癌検出において、例えば、生検処理の際の生検針の正しい位置決めのような、医者の訓練のために、及び/又はイメージングプロセスアルゴリズムのために利用されることができる。
【0032】
ひとつの実施態様において、コンピュータ150は、事後処理データを病院情報システム施設にあるデータベースに提供することができる(例えば、DICOM−RTフォーマットデータ)。病院情報システムは、そのデータをプロセッサに送り、そのデータを同じ患者へ2番目の医学的処理の案内として使用することができる。他の実施態様では、病院情報システムは、そのデータを集めて、複数の患者に亘り統計分析をすることができる。病院情報システムは、その統計分析をプロセッサに移し、そこで統計分析は医学処理の案内として使用され得る。他の実施態様では、病院情報は、統計分析と患者の医学的イメージとを結合して、患者特定の目標マップを生成し、その目標マップはプロセッサと交信して、その目標マップが医学的処理の案内として使用され得る。
【0033】
本発明の開示は、リアルタイムの、目標前立腺生検及び治療のために使用され得る方法及びシステムである。本発明の開示は、生検処理の位置を記録するために使用でき、及び、生検標本病理学的分析と診断イメージ情報(例えばMRI)との関連付けにより、イメージングに基づく癌検出につき、後から評価するために使用できる。
【0034】
ひとつの実施態様において、システム10により取り出した組織サンプルの分布は、現に使用される超音波トランスデューサに本質的に伴う信頼性及びサンプリングエラーを査定するために使用できる。分布マップは、トランスデューサから、患者をトラッキングしているイメージへの、サンプリング手法の正確性を反映することができる。例えば、図12の組織マップは、診断のより高い率及びより平均して分布された生検を示し、現に使用されている特定の超音波トランスデューサについて反映され得る。他の実施態様において、システム10から取り出された組織サンプル分布は、特定の患者の位置(例えば左側臥位)に本質的に伴う信頼性及びサンプリングエラーを査定するために使用できる。例えば、右側目標は、オペレータにとって、より直感的で自然又は具合がよい(例えば右側上は、手と目の連携がより容易であり人間工学的である)。これに対して、左側下では、トランスデューサは返され、生検ガンが反対の及び回転された方向で挿入される。前立腺は、また重力により異なった位置にくる可能性がある。ひとつの実施態様では、患者20の特定の位置は、収集データを最適化するために調整されことができる。例えばMRIは、左側臥位で行い重力及び位置による効果を最小化する。このように、分布マップを含むシステム10の方法及び装置は、例えばランダムな6分割生検のような場合に、ある位置とトランスデューサの組み合わせにつき、診断成果、及び目標容積を効果的にカバーすることができるかを、評価又は効果確認のために使用され得る。効果的なカバーは、より高い感度でのよりよい診断成果をもたらすことができる。
【0035】
上で説明した方法論のステップを含む、本発明は、ハードウエア、ソフトウエア又はハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにおいて実現可能である。本発明は、1つのコンピュータシステムに集中させる形、又は、異なる要素がいくつかの相互に結合されたコンピュータに広く分配する形で、実行され得る。いかなる種類のコンピュータシステム、又は、ここに記載された本方法を実行可能に適合されたいかなる装置も適するものである。一般的なハードウエアとソフトウエアの組み合わせは、汎用目的の、コンピュータプログラムを有するコンピュータシステムであり得る。ここでプログラムがロードされ実行されて、ここに記載の方法を実施するようにコンピュータシステムを制御する。
【0036】
上で説明した方法論のステップを含む、本発明は、コンピュータプログラム製品に埋め込まれ得る。コンピュータプログラム製品は、コンピュー読み込み可能な記憶媒体を有し、そこにはコンピュータプログラムが埋め込まれている。このコンピュータプログラムは、コンピュータ実行可能なコードを有する。そのコードは、コンピュータ装置、又はコンピュータを基にするシステムに、ここに記載された種々の処理、プロセス及び方法を指示するものである。本発明の内容において、コンピュータプログラムは、一群の命令の、いかなる表現をも、いかなる言語、コード又は注釈をも意味する。この一群の命令とは、処理可能な情報を有するシステムに、直接、又はa)他の言語、コード又は注釈へ変換するか、b)異なる物の形に再生産するかのいずれかの後に、特定の機能を実行させるべく意図されているものである。
【0037】
ここに記載された実施態様の説明は、種々の実施態様の構成の一般的に理解を提供するものである。これらは、ここに記載された構成を利用し得る、装置及びシステムの全ての要素及び技術特徴についての完全な記載として供することは意図されていない。多くの他の実施態様が、この技術分野の熟練者にとって、上記明細書を調べることで明らかであろう。他の実施態様は、それらから利用され、導かれる。例えば構成上及び論理上置換及び変更が、本開示の範囲からはずれることなくなされ得る。図もまた、単に、説明するためだけのものであり、寸法通りにく描かれていないこともあり得る。それらのある比率は誇張されていることもあり得るし、他が最小化されていることもあり得る。従って、本明細書及び図面は、限定的意味というよりも、説明的というようにみなされるべきである。
【0038】
このように、特定の実施態様が説明され、及び記載されているが、同様の目的を達成しうると思われるいかなる変更もまた、示された特定の実施態様において置換されることができることは、理解されるべきである。この開示は、種々の実施態様のいかなる、及びすべての適用又は変法をカバーすることが意図されている。上の実施態様及びここには特に記載されていない他の実施態様の組み合わせは、上の明細書を調べることでこの技術分野の熟練者にとって明確であろう。従って、本開示は、本発明を実施するためにベストモードとして考慮された特定の実施態様に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に属するすべての実施態様を含むものである。
【0039】
本開示の要約は、37 C.F.R. $1.72(b)を満たすために与えられたものであり、37 C.F.R. $1.72(b)は、要約が、読者が迅速に技術的開示の内容を確認できるように要求するものである。特許請求の範囲の技術的範囲の解釈、又は限定するために用いられるべきではないという理解の下に提出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配置可能な生検針を有するプローブ(75)を準備し、
患者(20)の目標領域(200)の診断イメージを得、
トラッキングシステム(100)を前記診断イメージと共に登録し、
前記目標領域の生検処理を実施し、
前記生検処理中に、前記目標領域の超音波イメージを得、
前記生検処理中に、前記生検針及び前記プローブの少なくとも1つの位置のトラッキング情報を得、
前記生検処理のための生検サイト(500)を、前記超音波イメージにマークし及び
前記生検サイトを、前記トラッキング情報と、前記診断イメージと共に前記トラッキングシステムの登録とに基づき、前記超音波イメージから、前記診断イメージへ移すことを、
含む、方法。
【請求項2】
前記トラッキングシステム(100)が、電磁気トラッキングシステムであり、前記プローブ(75)及び前記生検針の少なくとも1つが、1以上の電磁気センサ(80)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標領域が、前立腺(200)であり、前記イメージングシステムが、磁気共鳴イメージングシステム(190)であり、さらに前記生検サイトを示すMRIイメージの表示を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記超音波イメージングに、リアルタイムで、前記生検サイトのマーキングを実施すること、及び前記マークされた生検サイトを有する前記診断イメージを用いて、患者に他の医学的処置を実施すること、の少なくともいずれかをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の患者(20)の生検サイト(500)を得ること、前記生検サイトと、共通の座標系とを関連付けること、及び前記共通の座標系を用いて分布マップを生成すること、とを有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分布マップを用いて、生検処理を実施するように医者を訓練すること、
及び、癌検出のためのイメージプロセスアルゴリズムでの、前記診断イメージと、病理学的検査との間の関連性を用いて、生検処理を実施するように医者を訓練することの、少なくとも1つをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
さらに、目標領域の動きを考慮してイメージ補正の実行を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マークされた生検サイトを有する前記診断イメージに基づき、超音波トランスデューサータイプと、患者の位置の、少なくとも1つを調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記記憶媒体にコンピュータ実行可能なコードが記憶され、前記コンピュータ実行可能なコードが、コンピュータ装置に、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をロードし、次のステップであって、
診断イメージと共にトラッキングシステム(100)を登録するステップ、
前記トラッキングシステムはプローブ、前記プローブから配置可能な生検針、及び操作可能に前記プローブに結合されている針ガイドの少なくとも1つをトラック可能であり、
目標領域の超音波イメージングを得、及び、前記プローブ、前記生検針、及び前記針ガイドの少なくとも1つの位置のトラッキング情報を得るステップ及び
前記生検処理に伴う生検位置のマーキングを、前記トラッキング情報と、前記診断イメージと共に前記トラッキングシステムの登録とに基づいて、前記超音波イメージングから診断イメージへ移すステップとを、
実行するように、構成されている。
【請求項10】
前記コンピュータ装置に、前記生検サイトのマーキング(500)を、前記超音波イメージングの記録に基づいて取得させる、コンピュータ実行可能なコードをさらに有する、請求項9に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項11】
前記コンピュータ装置に、前記超音波イメージングに基づいて、前記生検針の位置を検出させ、及び前記検出された位置に基づいて前記生検サイトの前記マーキング(500)を定義させる、コンピュータ実行可能なコードをさらに有する、請求項9に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
前記診断イメージが、磁気共鳴イメージング、コンピュータトモグラフィ、コントラスト超音波、ポジトロンエミッショントモグラフィ、及びシングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィの少なくとも1つを用いて、生成させる、コンピュータ実行可能なコードをさらに有する、請求項9に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項13】
前記コンピュータ装置に、複数の患者(20)のマークされた生検サイト(500)を含む分布マップを生成させる、コンピュータ実行可能なコードをさらに有する、請求項9に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
前記コンピュータ装置が、前記生検針により得られた生検サンプルに対応する形状を用いて前記診断イメージに前記生検サイトのマーキング(500)を表示させる、コンピュータ実行可能なコードをさらに有する、請求項9に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項15】
目標領域(200)の診断イメージを取得するためのイメージングシステム(190)と、
トラッキングシステム(100)と、
プローブであって、生検処理を実行するための配置可能な生検針を有し、前記トラッキングシステムが、前記プローブ及び前記生検針の少なくとも1つのトラッキング情報を生成する、プローブ(75)と、
前記目標領域の超音波イメージのための超音波イメージングシステム(50)と、及び
前記トラッキングシステム、前記イメージングシステム及び前記超音波イメージングシステムと交信し、前記トラッキングシステムシステムを前記イメージングシステムと共に登録し、前記生検処理に伴う生検サイトのマーキング(500)を、前記トラッキング情報と、前記診断イメージングと共の前記トラッキングシステムの登録とに基づいて、前記超音波イメージングから診断イメージングへ写す、コンピュータシステム(150)とを含む、
生検システム。
【請求項16】
前記トラッキングシステム(100)が、電磁気トラッキングシステムであり、前記生検針及び前記プローブ(75)の少なくとも1つが、1以上の電磁気センサ(80)を有する、請求項15に記載の生検システム。
【請求項17】
前記プローブが、経直腸的超音波検査(TRUS)プローブ(75)であり、前記生検針の配置のための針ガイドを有し、前記超音波イメージングを前記TRUSプローブで得る、請求項16に記載の生検システム。
【請求項18】
前記コンピュータ(150)が、前記生検サイトのマーキング(500)をリアルタイムで取り出す、請求項15に記載の生検システム。
【請求項19】
前記イメージシステム(190)が、磁気共鳴イメージングシステム、コンピュータトモグラフィシステム、コントラスト超音波システム、ポジトロンエミッショントモグラフィシステム、及びシングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィシステムの少なくとも1つである、請求項15に記載の生検システム。
【請求項20】
前記コンピュータ(150)が、複数の患者(20)のマークされた生検サイト(500)を含む分布マップを生成する、請求項15に記載の生検システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−524772(P2011−524772A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514173(P2011−514173)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052519
【国際公開番号】WO2009/153723
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【出願人】(305056858)ザ ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ,センターズ フォー  (15)
【Fターム(参考)】