説明

生薬末含有錠剤

【課題】包装時や輸送時において摩損や破損等の生じない強度を有し、かつ、小型で高濃度の生薬末を含有した生薬末含有錠剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】生薬末及び平均粒子径0.05μm以下の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する混合粉体を湿式造粒することによって得られる生薬末含有造粒物に、平均粒子径0.5μm以上かつ比表面積100m2/g以上の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する粉体を添加・混合後、圧縮成型(打錠)して得られる、該生薬末の含有量が錠剤全体の50質量%以上であることを特徴とする生薬末含有錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生薬末を含有する錠剤に関し、さらに詳しくは、包装時や輸送時における摩損や破損等が少なく、強度に優れた生薬末含有錠剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生薬含有製剤には、生薬を水で煎じる湯剤、散剤、錠剤、カプセル剤等がある。湯剤は調製に煩雑な作業が必要であり、散剤は服用時にむせる、カプセル剤は食道内に付着するといった問題があった。また、生薬の種類によっては苦味を有しているため湯剤や散剤では服用時に苦味を伴うという問題もあった。このような問題点を解決した剤型が錠剤であり、生薬含有製剤としては錠剤の形態が望ましい。
【0003】
また、生薬含有錠剤には生薬末をそのまま配合した生薬末含有錠剤と、生薬より抽出したエキスを配合した生薬エキス含有錠剤とがある。生薬エキス含有錠剤は、例えば、水で抽出した場合、生薬中の成分が濃縮されたエキスを配合して調製するため、服用量が少ないという利点があるが、抽出の過程で水難溶性成分、水不溶性成分等の有効成分が欠損し、充分な薬効が得られない可能性がある。そのため生薬末をそのまま配合して調製される生薬末含有錠剤の提供が望まれている。
【0004】
しかしながら、生薬末には圧縮成型性の悪いものが多く、包装時や輸送時において摩損や破損の生じない強硬度の錠剤を製するためには、適当な賦形剤を添加して圧縮成型性を改善する必要があった。そして、圧縮成型性を改善するために汎用されている繊維系の賦形剤、例えば結晶セルロースやヒドロキシプロピルセルロースでは、多量に配合しなければ充分な改善効果が得られなかった。そのため1回に服用する製剤が多量になる、すなわち、飲みやすい小型の錠剤を多量に服用するか、飲みにくい大型の錠剤を少量服用するか、といった問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、少量でも生薬末の圧縮成型性を改善できる添加剤の検討が行われてきた。例えば、非特許文献1では、生薬末の成型性改善に合成ケイ酸アルミニウムや合成ヒドロタルサイトといった無機化合物が有効であることが報告されている。また、特許文献1では、安中散末の圧縮成形性改善に軽質無水ケイ酸と結晶セルロースの同時添加が有効であることが報告されている。これらの報告では生薬末と添加剤を混合して打錠する直接打錠法により錠剤を製造している。しかしながら、生薬末は粒子形状が不定形であるために流動性が悪く、直接打錠法による大量生産は困難である。
【0006】
また、特許文献2では、生薬末に5〜100重量%の軽質無水ケイ酸を添加し、乾式造粒法により流動性の良い造粒物を得て打錠する製造方法が提案されている。しかしながら、乾式造粒法により得られた造粒物を打錠する場合には、(1)造粒による圧縮、打錠による圧縮と圧縮工程を2回経なければならない、(2)乾式造粒機への付着防止用に添加する滑択剤が造粒物の圧縮成型性を低下させる、といった理由から錠剤の硬度が低下することが知られており、圧縮成型性の悪い生薬末の造粒法としては好ましくない。特許文献2の実施例では単式打錠機により錠剤を製造しているが、圧縮速度の速い実生産のロータリー式打錠機では充分な錠剤強度を得るのは困難である。
【0007】
【特許文献1】特開平11−228429号公報
【特許文献2】特開2002−97130号公報
【非特許文献1】祖父江ら「生薬末錠剤の成形性に及ぼす無機化合物の有用性」紛体工学会誌、33巻、638頁、1996年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、包装時や輸送時において摩損や破損等の生じない強度を有し、かつ、小型で高濃度の生薬末を含有した生薬末含有錠剤及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、かかる課題を解決するべく、生薬末含有錠剤を製造するための添加剤と製造方法について鋭意検討した。その結果、添加剤として軽質無水ケイ酸に大きな圧縮成型性改善効果が認められた。そして、同じ軽質無水ケイ酸でもその幾何学的性質が異なると添加方法によってその圧縮成型性に変化が生じることを見出した。
【0010】
具体的には、生薬末に平均粒子径0.05μm以下の軽質無水ケイ酸を添加し、湿式造粒をした造粒物を打錠した場合、及び生薬末を湿式造粒した造粒物に平均粒子径0.5μm以上かつ比表面積100m2/g以上の軽質無水ケイ酸を後末添加して打錠した場合に大きな圧縮成型性改善効果が認められ、更にこれらを組み合わせた場合に最も大きな改善効果が得られることを見出した。
【0011】
かかる知見に基づき完成した本発明の態様は、(a)生薬末及び平均粒子径0.05μm以下の軽質無水ケイ酸を含有する粉体を湿式造粒することを特徴とする生薬末含有造粒物、並びに、(b)平均粒子径0.5μm以上かつ比表面積100m2/g以上の軽質無水ケイ酸を含有することを特徴とする粉体、を調製し、(a)及び(b)を含有する混合粉体を圧縮成型(打錠)することを特徴とする生薬末含有錠剤である。
【0012】
本発明の他の態様は、(a)生薬末及び平均粒子径0.05μm以下の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する粉体、を湿式造粒することによって得られる生薬末含有造粒物、並びに、(b)平均粒子径0.5μm以上かつ比表面積100m2/g以上の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する粉体、を調製し、(a)及び(b)を含有する混合粉体を圧縮成型(打錠)することによって得られる、該生薬末の含有量が錠剤全体の50質量%以上を占めることを特徴とする生薬末含有錠剤である。
【0013】
本発明の他の態様は、生薬末及び平均粒子径0.05μm以下の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する粉体を湿式造粒することによって得られる生薬末含有造粒物に、平均粒子径0.5μm以上かつ比表面積100m2/g以上の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する粉体を添加混合し、圧縮成型(打錠)して得られる、該生薬末の含有量が錠剤全体の50質量%以上を占めることを特徴とする生薬末含有錠剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、包装時や輸送時において摩損や破損等が生じることの少ない強度を有し、かつ、小型で高濃度の生薬末を含有した生薬末含有錠剤及びその製造方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
「生薬末」には特に限定はない。圧縮成型性の悪くない生薬末について本発明を用いた場合、生薬末を高濃度に含有し、より小型で、より高強度の錠剤が得られるというメリットを有する。もっとも、生薬末には一般的に圧縮成型性の悪いものが多く、本発明は、圧縮成型性の悪い生薬末に用いた場合により効果的である。圧縮成型性が悪いとされている生薬末としては、例えば、アセンヤク末、アヘン末、アマチャ末、アロエ末、ウイキョウ末、エイジツ末、エンゴサク末、オウゴン末、オウバク末、オウレン末、オンジ末、カッコン末、カノコソウ末、カンゾウ末、キキョウ末、クジン末、ケイヒ末、ゲンチアナ末、ゲンノショウコ末、コウジン末、コウブシ末、コウボク末、ゴオウ末、ゴミシ末、サイコ末、サイシン末、サンキライ末、サンシシ末、サンショウ末、サンヤク末、ジオウ末、ジキタリス末、シャクヤク末、シュクシャ末、ショウキョウ末、セネガ末、センキュウ末、センナ末、センブリ末、ソウジュツ末、ソヨウ末、ダイオウ末、タイソウ末、タクシャ末、チクセツニンジン末、チョウジ末、チョレイ末、チンピ末、トウガラシ末、トウキ末、トウニン末、トコン末、トラガント末、ニガキ末、ニンジン末、ビャクジュツ末、ブクリョウ末、ボウイ末、ボタンピ末、ボレイ末、ヨクイニン末、リュウタン末及びリョウキョウ末が挙げられる。これらの生薬末は1種を用いるだけでなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に本発明の効果が大きいのは、トウキ末、シャクヤク末、カンゾウ末、ケイヒ末、ショウキョウ末及びニンジン末の他、チョレイ末、ブクリョウ末、タクシャ末、ケイヒ末及びビャクジュツ末を組み合わせてなる五苓散末、並びに、ケイヒ末、エンゴサク末、ボレイ末、リョウキョウ末、ウイキョウ末、カンゾウ末及びシュクシャ末を組み合わせてなる安中散末である。
【0016】
生薬末の含有(配合)量には特に制限はないが、錠剤1錠当たりに含有される生薬末の含有量が多いほど圧縮成型(打錠)用粉体の圧縮成型性は悪化するので、本発明を利用する意義が大きくなる。生薬末の含有(配合)量がコーティング等を施していない状態で錠剤1錠当たり50質量%以上であると本発明による効果が大きくなり、60〜99質量%でより大きくなり、70〜99質量%でさらに大きくなる。
【0017】
「平均粒子径0.05μm以下の軽質無水ケイ酸(以下、「微粒子状軽質無水ケイ酸」という。)」としては、例えば、「AEROSIL50(平均粒子径0.03μm)」、「AEROSIL130(平均粒子径0.016μm)」、「AEROSIL200(平均粒子径0.012μm)」、「AEROSIL300(平均粒子径0.007μm)」(商品名)が挙げられる。
【0018】
微粒子状軽質無水ケイ酸は、湿式造粒をする前の生薬末含有粉体に配合し、その配合(含有)量は生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部であり、好ましくは0.005〜0.1質量部であり、より好ましくは0.01〜0.05質量部である。
【0019】
「平均粒子径0.5μm以上かつ比表面積100m2/g以上の軽質無水ケイ酸(以下、「多孔性軽質無水ケイ酸」という。)」としては、例えば「アドソリダー−101(平均粒子径3.2μm、比表面積300m2/g)」(商品名)、「サイリシア350(平均粒子径3.9μm、比表面積300m2/g)」、「サイリシア740(平均粒子径5.0μm、比表面積700m2/g)」(商品名)、「カープレックス#80(平均粒子径8.1μm、比表面積193m2/g)」(商品名)が挙げられる。
【0020】
多孔性軽質無水ケイ酸は、生薬末と微粒子状軽質無水ケイ酸を含有する粉体を湿式造粒することによって得られる生薬末含有造粒物とは異なる粉体に配合(含有)されて、後に生薬末含有造粒物と混合される。あるいは、多孔性軽質無水ケイ酸は、生薬末含有造粒物に添加され、混合される。このようにして、圧縮成型(打錠)用の粉体(顆粒)が調製される。
【0021】
多孔性軽質無水ケイ酸の添加(含有・配合)量は、生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部、好ましくは0.005〜0.1であり、さらに好ましくは0.01〜0.05質量部である。0.001質量部未満であると圧縮成型(打錠)用粉体(顆粒)の圧縮成型性が充分でなく、錠剤の硬度が上がらないので好ましくない。0.1質量部を超えると圧縮成型用粉体の嵩が大きくなり、ハンドリングが難しくなって好ましくない。
【0022】
通常、微粒子状軽質無水ケイ酸は湿式造粒前の混合粉体に配合(含有)され、多孔性軽質無水ケイ酸は湿式造粒後の生薬末含有造粒物に添加、混合されるものであるが、本発明の効果を損なわない程度に微粒子状軽質無水ケイ酸を生薬末含有造粒物に添加し、多孔性軽質無水ケイ酸を湿式造粒前の混合粉体に配合してもよい。
【0023】
なお、軽質無水ケイ酸の「平均粒子径」とは、レーザー法又は電磁波散乱法で測定したときの粒子径の平均値である。「比表面積」とは、単位質量あたりの吸着面積(m2/g)であり、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法で測定した値である。
【0024】
「湿式造粒」とは、結合液を粉体に添加し、粒子を形成する方法で、造粒後に乾燥を経て水や有機溶媒を蒸発させた状態が「造粒物」である。湿式造粒法としては、攪拌造粒法、練合造粒法、流動層造粒法、転動流動造粒法などが挙げられ、何れの方法を採っても同様な効果が得られる。ただし、比重の小さい微粒子状軽質無水ケイ酸と生薬末の混合粉末とから圧縮成型性の良い粉体(顆粒)を製するには攪拌造粒法及び練合造粒法が好ましい。湿式造粒における結合液の種類は特に限定されず、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン及びこれらの混合液を用いることができる。結合液の量も特に限定はないが、微粒子状軽質無水ケイ酸及び生薬末を含有する混合粉末に対して10〜50質量%が好ましい。造粒後の湿粒は、例えば、流動層乾燥機を用いて乾燥し、必要に応じて篩で分級し、生薬末含有造粒物を得る。得られた生薬末含有造粒物の含水分は0.5質量%〜5質量%が好ましい。また、得られた生薬末含有造粒物の平均粒子径は、圧縮成型(打錠)時の流動性と均一性を確保するために100〜500μm(篩い分け法による測定)が好ましい。
【0025】
錠剤の圧縮成型(打錠)には、一般的に錠剤の成型に使用される装置が用いられ、例えばロータリー式打錠機を用いることができる。
【0026】
生薬末含有錠剤の1錠重量、錠径、錠厚は、生薬末の種類及び量、配合される賦形剤の種類等により異なるが、服用性を考えると、円形の錠剤の場合、錠径6〜10mm、錠厚3〜7mmかつ1錠重量100〜500mgが好ましい。カプレット型の錠剤の場合、長径10〜15mm、短径5〜10mm、厚み3〜7mmかつ1錠重量150〜700mgが好ましい。
【0027】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、生薬末以外の有効成分及び添加剤を加えることができる。例えば、ウイキョウ油、カンゾウエキス、キキョウ流エキス、ケイヒ油、チョウジ油、ベラドンナエキス、ロートエキスなどの生薬抽出物、d−マレイン酸クロルフェニラミン、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、L−イソロイシン、L−グルタミン、L−フェニルアラニン、L−メチオニン、L−塩酸ヒスチジン、アスコルビン酸、アスピリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、アセトアミノフェン、アミノエチルスルホン酸、アルジオキサ、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、ウルソデオキシコール酸、エテンザミド、エルゴカルシフェロール、オクトチアミン、カフェイン、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、コハク酸トコフェロール、コレカルシフェロール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、サリチルアミド、シアノコバラミン、ジブロフィリン、スクラルファート、セミアルカリプロティナーゼ、タンニン酸アルブミン、タンニン酸ベルベリン、チアミンジスルフィド、テオフィリン、デヒドロコール酸、トラネキサム酸、ニコチン酸アミド、ノスカピン、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ピコスルファートナトリウム、ビサコジル、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、ヒベンズ酸チペピジン、フェノールフタリン酸デキストロメトルファン、フェンジゾ酸クロペラスチン、フマル酸クレマスチン、フマル酸第一鉄、フルスルチアミン、ブロムワレリル尿素、ヘスペリジン、ヘプロニカート、ベンフォチアミン、マレイン酸カルビノキサミン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸フェニラミン、メキタジン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルメチオニンスルホニウムクロリド(VU)、ヨウ化イソプロパミド、リボフラビン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、リン酸ジメモルファン、リン酸ピリドキサール、リン酸リボフラビンナトリウム、リン酸水素カルシウム、安息香酸ナトリウムカフェイン、塩化カルニチン、塩化ベルベリン、塩酸アルギニン、塩酸イソチペンジル、塩酸クロペラスチン、塩酸クロルヘキシジン、塩酸ジサイクロミン、塩酸ジセチアミン、塩酸ジフェニドール、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸セトラキサート、塩酸チアミン、塩酸トリプロリジン、塩酸トリメトキノール、塩酸ノスカピン、塩酸パパベリン、塩酸ヒドロキソコバラミン、塩酸ピリドキシン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸フェニレフリン、塩酸フルスルチアミン、塩酸ブロムヘキシン、塩酸メクリジン、塩酸メトキシフェナミン、塩酸ラニチジン、塩酸リジン、塩酸ロペラミド、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、次没食子酸ビスマス、酒石酸アリメマジン、臭化ブチルスコポラミン、臭化メチルアトロピン、臭化メチルオクタトロピン、臭化メチルベナクチジウム、臭化水素酸スコポラミン、臭化水素酸デキストロメトルファン、硝酸チアミン、酢酸トコフェロール、酢酸ヒドロキソコバラミン、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、銅クロロフィリンナトリウム、乳酸カルシウム、無水カフェイン、葉酸、酪酸リボフラビンなどの洋薬成分、乳糖、白糖、マンニトール、デンプン、結晶セルロースなどの賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクなどの滑択剤、香料、色素および矯味剤などが挙げられる。これらの有効成分及び添加剤の種類、添加量は特に限定されないが、製剤の服用量を少なくするためには生薬末1質量部に対して0.5質量部以下が好ましい。
【0028】
なお、「粉体」には、固形の粉末原料等を混合した状態、篩を通した状態、これらを粉砕機等で粉砕した状態、さらに造粒した状態、造粒後に乾燥した状態、これを整粒等した状態の何れも含まれ、粉末、粉粒体、顆粒などが該当する。そうすると「造粒物」も粉体に含まれることになるが、造粒工程を経ていない未造粒の粉体と区別する意味で造粒物と表記した。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例、比較例及び試験例等を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。
【0030】
(製造例1)
実施例1及び比較例1〜3
生薬末(トウキ末、シャクヤク末、センキュウ末、カッコン末、ジオウ末及びサンキライ末)、微粒子状軽質無水ケイ酸(AEROSIL200 日本アエロジル株式会社製)、多孔性軽質無水ケイ酸(アドソリダー−101 フロイント産業株式会社製)、洋薬成分(リボフラビン、塩酸ピリドキシン)、賦形剤(結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を表1記載の処方割合で秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機((株)ヤリヤ機械製作所)を用いて粉砕し混合粉末を得た。次に、攪拌造粒機(バーチカルグラニュレータVG−5 株式会社パウレック製)を用いて、精製水を造粒溶媒として攪拌造粒を行い、流動層乾燥機(FLO−1 フロイント産業株式会社製)で乾燥後、22メッシュの篩で整粒して生薬末含有造粒物を得た。次に後末添加として微粒子状軽質無水ケイ酸(AEROSIL200 日本アエロジル株式会社製)、多孔性軽質無水ケイ酸(アドソリダー−101 フロイント産業株式会社製)、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表1記載の処方割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機(コレクト12HUK 菊水製作所株式会社製)によって、表1記載の1錠重量で、回転数45rpm、圧縮圧122N、9mmφ2段R面の杵を用いて打錠して生薬末含有錠剤を得た。
【0031】
【表1】

【0032】
(試験例1)
実施例1及び比較例1〜3で得られた錠剤各10錠の硬度を錠剤硬度計(Schleunieger-8M,Schleunieger社製)で測定し、各平均値を錠剤硬度とした。各錠剤の錠剤硬度を表2に示す。
なお、錠剤硬度計の測定条件として、錠剤の径より自動で算出された待機位置から速度1.0mm/secでロードセルが移動するよう設定した。
【0033】
【表2】

【0034】
包装時や輸送時において、摩損や破損等のない強度としては9mmφ、約300mgの錠剤では0.6N以上の錠剤硬度が必要である。軽質無水ケイ酸を添加していない比較例1では、錠剤硬度は0.2Nしか得られなかった。微粒子状軽質無水ケイ酸を造粒前と後末で各0.05質量部添加した比較例2、及び多孔性軽質無水ケイ酸を各0.05質量部添加した比較例3においても、錠剤硬度はそれぞれ0.4N、0.5Nと不十分であった。それに対して造粒前に微粒子状軽質無水ケイ酸を0.05質量部、且つ後末で多孔性軽質無水ケイ酸を0.05質量部添加した実施例1では著しい改善効果が認められ、目標以上の錠剤硬度0.7Nが得られた。
【0035】
(製造例2)
生薬末(安中散末)、微粒子状軽質無水ケイ酸、多孔性軽質無水ケイ酸、賦形剤(結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を表3記載の処方割合で秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕し混合粉末を得た。次に、攪拌造粒機を用いて、精製水を造粒溶媒として攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で乾燥後、22メッシュの篩で整粒して生薬末含有造粒物を得た。次に後末添加として微粒子状軽質無水ケイ酸、多孔性軽質無水ケイ酸、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表3記載の処方割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機によって、表3記載の1錠重量で、回転数40rpm、圧縮圧122N、9mmφ2段R面の杵を用いて打錠して生薬末含有錠剤を得た。
【0036】
(試験例2)
実施例2及び比較例4〜6で得られた錠剤各10錠の硬度を錠剤硬度計で測定し、各平均値を錠剤硬度とした。各錠剤の錠剤硬度を表3に示す。
【0037】
【表3】

【0038】
生薬末(安中散末)を1質量部とし、微粒子状軽質無水ケイ酸を造粒前と後末で各0.05質量部添加した比較例4及び多孔性軽質無水ケイ酸を造粒前と後末で各0.05質量部添加した比較例5では、錠剤硬度はそれぞれ0.5Nと不十分であった。軽質無水ケイ酸を添加していない比較例6では、錠剤硬度は0.1Nしか得られなかった。それに対して造粒前に微粒子状軽質無水ケイ酸を0.05質量部、且つ後末で多孔性軽質無水ケイ酸を0.05質量部添加した実施例2では著しい改善効果が認められ、目標以上の錠剤硬度0.9Nが得られた。
【0039】
(製造例3)
生薬末(五苓散末)、微粒子状軽質無水ケイ酸、賦形剤(結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を表4記載の処方割合で秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕し混合粉末を得た。次に、攪拌造粒機を用いて、エタノールを造粒溶媒として攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で乾燥後、22メッシュの篩で整粒して生薬末含有造粒物を得た。次に後末添加として微粒子状軽質無水ケイ酸、多孔性軽質無水ケイ酸、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム),滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表4記載の処方割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機によって、表4記載の1錠重量で、回転数40rpm、圧縮圧122N、9mmφ2段R面の杵を用いて打錠して生薬末含有錠剤を得た。
【0040】
(試験例3)
実施例3並びに比較例7及び8で得られた錠剤各10錠の硬度を錠剤硬度計で測定し、各平均値を錠剤硬度とした。各錠剤の錠剤硬度を表4に示す。
【0041】
【表4】

【0042】
生薬末(五苓散末)を1質量部とし、微粒子状軽質無水ケイ酸を造粒前と後末で各0.05質量部添加した比較例7では、錠剤硬度はそれぞれ0.5Nと不十分であった。軽質無水ケイ酸を添加していない比較例8では、錠剤硬度は0.2Nしか得られなかった。それに対して造粒前に微粒子状軽質無水ケイ酸を0.05質量部、且つ後末で多孔性軽質無水ケイ酸を0.05質量部添加した実施例3では著しい改善効果が認められ、目標以上の錠剤硬度0.7Nが得られた。
【0043】
(製造例4)
生薬末(トウキ末)、微粒子状軽質無水ケイ酸、賦形剤(結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を表5記載の処方割合で秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕し混合粉末を得た。次に、攪拌造粒機を用いて、精製水を造粒溶媒として攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で乾燥後、22メッシュの篩で整粒して生薬末含有造粒物を得た。次に後末添加として微粒子状軽質無水ケイ酸、多孔性軽質無水ケイ酸、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表5記載の処方割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機によって、表5記載の1錠重量で、回転数40rpm、圧縮圧122N、9mmφ2段R面の杵を用いて打錠して生薬末含有錠剤を得た。
【0044】
(試験例4)
実施例4及び比較例9で得られた錠剤各10錠の硬度を錠剤硬度計で測定し、各平均値を錠剤硬度とした。各錠剤の錠剤硬度を表5に示す。
【0045】
【表5】

【0046】
生薬末(トウキ末)1質量部に対し、軽質無水ケイ酸を添加していない比較例9では、錠剤硬度は1.0Nであった。それに対して造粒前に微粒子状軽質無水ケイ酸を0.05質量部、且つ後末で多孔性軽質無水ケイ酸を0.05質量部添加した実施例4では著しい改善効果が認められ、錠剤硬度1.7Nが得られた。
【0047】
(製造例5)
生薬末(シャクヤク末)、微粒子状軽質無水ケイ酸、賦形剤(結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を表6記載の処方割合で秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕し混合粉末を得た。次に、攪拌造粒機を用いて、精製水を造粒溶媒として攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で乾燥後、22メッシュの篩で整粒して生薬末含有造粒物を得た。次に後末添加として微粒子状軽質無水ケイ酸、多孔性軽質無水ケイ酸、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表6記載の処方割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機によって、表6記載の1錠重量で、回転数40rpm、圧縮圧122N、9mmφ2段R面の杵を用いて打錠して生薬末含有錠剤を得た。
【0048】
(試験例5)
実施例5及び比較例10で得られた錠剤各10錠の硬度を錠剤硬度計で測定し、各平均値を錠剤硬度とした。各錠剤の錠剤硬度を表6に示す。
【0049】
【表6】

【0050】
生薬末(シャクヤク末)1質量部に対し、微粒子状軽質無水ケイ酸を造粒前と後末で各0.05質量部添加した比較例10では、打錠用顆粒が嵩高くなり流動性が非常に悪く、規定量充填し打錠することができなかった。それに対して造粒前に微粒子状軽質無水ケイ酸を0.05質量部、且つ後末で多孔性軽質無水ケイ酸を0.05質量部添加した実施例5では、打錠用顆粒の流動性がよく規定量充填でき,錠剤硬度2.5Nと著しい改善効果が得られた。
【0051】
(製造例6)
生薬末(カンゾウ末)、微粒子状軽質無水ケイ酸、賦形剤(結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を表7記載の処方割合で秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕し混合粉末を得た。次に、攪拌造粒機を用いて、精製水を造粒溶媒として攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で乾燥後、22メッシュの篩で整粒して生薬末含有造粒物を得た。次に後末添加として微粒子状軽質無水ケイ酸、多孔性軽質無水ケイ酸、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表7記載の処方割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機によって、表7記載の1錠重量で、回転数40rpm、圧縮圧122N、9mmφ2段R面の杵を用いて打錠して生薬末含有錠剤を得た。
【0052】
(試験例6)
実施例6並びに比較例11及び12で得られた錠剤各10錠の硬度を錠剤硬度計で測定し、各平均値を錠剤硬度とした。各錠剤の錠剤硬度を表7に示す。
【0053】
【表7】

【0054】
生薬末(カンゾウ末)1質量部に対し、微粒子状軽質無水ケイ酸を造粒前と後末で各0.05質量部添加した比較例11では、錠剤硬度は0.4Nと不十分であった。後末で軽質無水ケイ酸を添加していない比較例12では、杵付着が著しく打錠することができなかった。それに対して造粒前に微粒子状軽質無水ケイ酸を0.05質量部、且つ後末で多孔性軽質無水ケイ酸を0.05質量部添加した実施例6では著しい改善効果が認められ、目標以上の錠剤硬度1.1Nが得られた。
【0055】
(製造例7)
生薬末(ケイヒ末)、微粒子状軽質無水ケイ酸、賦形剤(結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を表8記載の処方割合で秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕し混合粉末を得た。次に、攪拌造粒機を用いて、精製水を造粒溶媒として攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で乾燥後、22メッシュの篩で整粒して生薬末含有造粒物を得た。次に後末添加として微粒子状軽質無水ケイ酸、多孔性軽質無水ケイ酸、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表8記載の処方割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機によって、表8記載の1錠重量で、回転数40rpm、圧縮圧122N、9mmφ2段R面の杵を用いて打錠して生薬末含有錠剤を得た。
【0056】
(試験例7)
実施例7並びに比較例13及び14で得られた錠剤各10錠の硬度を錠剤硬度計で測定し、各平均値を錠剤硬度とした。各錠剤の錠剤硬度を表8に示す。
【0057】
【表8】

【0058】
生薬末(ケイヒ末)1質量部に対し、微粒子状軽質無水ケイ酸を造粒前と後末で各0.05質量部添加した比較例13及び後末で軽質無水ケイ酸を添加していない比較例14では、錠剤硬度はそれぞれ0.7Nであった。それに対して造粒前に微粒子状軽質無水ケイ酸を0.05質量部、且つ後末で多孔性軽質無水ケイ酸を0.05質量部添加した実施例6では著しい改善効果が認められ錠剤硬度0.9Nが得られた。
【0059】
(製造例8)
生薬末(ショウキョウ末)、微粒子状軽質無水ケイ酸、賦形剤(結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を表9記載の処方割合で秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕し混合粉末を得た。次に、攪拌造粒機を用いて、精製水を造粒溶媒として攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で乾燥後、22メッシュの篩で整粒して生薬末含有造粒物を得た。次に後末添加として微粒子状軽質無水ケイ酸、多孔性軽質無水ケイ酸、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表9記載の処方割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機によって、表9記載の1錠重量で、回転数40rpm、圧縮圧122N、9mmφ2段R面の杵を用いて打錠して生薬末含有錠剤を得た。
【0060】
(試験例8)
実施例8並びに比較例15及び16で得られた錠剤各10錠の硬度を錠剤硬度計で測定し、各平均値を錠剤硬度とした。各錠剤の錠剤硬度を表9に示す。
【0061】
【表9】

【0062】
生薬末(ショウキョウ末)1質量部に対し、微粒子状軽質無水ケイ酸を造粒前と後末で各0.05質量部添加した比較例15及び後末で軽質無水ケイ酸を添加していない比較例16では、錠剤硬度はそれぞれ0.4Nであった。それに対して造粒前に微粒子状軽質無水ケイ酸を0.05質量部、且つ後末で多孔性軽質無水ケイ酸を0.05質量部添加した実施例7では,目標以上の錠剤硬度0.6Nが得られた。
【0063】
(製造例9)
生薬末(ニンジン末)、微粒子状軽質無水ケイ酸、賦形剤(結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を表10記載の処方割合で秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕し混合粉末を得た。次に、攪拌造粒機を用いて、精製水を造粒溶媒として攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で乾燥後、22メッシュの篩で整粒して生薬末含有造粒物を得た。次に後末添加として微粒子状軽質無水ケイ酸、多孔性軽質無水ケイ酸、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)、滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表10記載の処方割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機によって、表10記載の1錠重量で、回転数40rpm、圧縮圧122N、9mmφ2段R面の杵を用いて打錠して生薬末含有錠剤を得た。
【0064】
(試験例9)
実施例9並びに比較例17及び18で得られた錠剤各10錠の硬度を錠剤硬度計で測定し、各平均値を錠剤硬度とした。各錠剤の錠剤硬度を表10に示す。
【0065】
【表10】

【0066】
生薬末(ニンジン末)1質量部に対し、微粒子状軽質無水ケイ酸を造粒前と後末で各0.05質量部添加した比較例17及び後末で軽質無水ケイ酸を添加していない比較例18では、錠剤硬度はそれぞれ0.6N、0.8Nであった。それに対して造粒前に微粒子状軽質無水ケイ酸を0.05質量部、且つ後末で多孔性軽質無水ケイ酸を0.05質量部添加した実施例9では、より著しい改善効果が認められ錠剤硬度1.1Nが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明により、包装時や輸送時において摩損や破損等の生じないため取り扱いに便利で、小型であるため服用し易い生薬末含有錠剤の量産化が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)及び(b)を含有する粉体を圧縮成型することを特徴とする生薬末含有錠剤。
(a)生薬末及び平均粒子径0.05μm以下の軽質無水ケイ酸を含有する粉体を湿式造粒することを特徴とする生薬末含有造粒物。
(b)平均粒子径0.5μm以上かつ比表面積100m2/g以上の軽質無水ケイ酸を含有することを特徴とする粉体。
【請求項2】
以下の(a)及び(b)を含有する粉体を圧縮成型することによって得られる、生薬末含有量が錠剤全体の50質量%以上であることを特徴とする生薬末含有錠剤。
(a)生薬末及び平均粒子径0.05μm以下の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する粉体、を湿式造粒することによって得られる生薬末含有造粒物。
(b)平均粒子径0.5μm以上かつ比表面積100m2/g以上の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する粉体。
【請求項3】
錠径6〜10mm、錠厚3〜7mm及び1錠重量100〜500mgである請求項1又は2記載の生薬末含有錠剤。
【請求項4】
長径10〜15mm、短径5〜10mm、厚み3〜7mm及び1錠重量150〜700mgのカプレット型である請求項1又は2記載の生薬末含有錠剤。
【請求項5】
生薬末がトウキ末、シャクヤク末、カンゾウ末、ケイヒ末、ショウキョウ末、ニンジン末、五苓散末及び安中散末の少なくとも1種である請求項1〜4の何れか1項に記載の生薬末含有錠剤。
【請求項6】
生薬末及び平均粒子径0.05μm以下の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する粉体を湿式造粒することによって得られる生薬末含有造粒物に、平均粒子径0.5μm以上かつ比表面積100m2/g以上の軽質無水ケイ酸を該生薬末の1質量部に対して0.001〜0.2質量部含有する粉体を添加混合し、圧縮成型して得られる該生薬末の含有量が錠剤全体の50質量%以上であることを特徴とする生薬末含有錠剤の製造方法。
【請求項7】
生薬末がトウキ末、シャクヤク末、カンゾウ末、ケイヒ末、ショウキョウ末、ニンジン末、五苓散末及び安中散末の少なくとも1種である請求項6記載の生薬末含有錠剤の製造方法。