説明

産業用ゴーグル

【課題】ゴーグルの保護鏡をフィルム部材で保護することができ、該フィルム部材の汚染の際に迅速に取り替えることが可能な産業用ゴーグルを提供する。
【解決手段】前面に保護鏡200が設置され、作業者の顔面の屈曲に対応して設けられた本体100と、前記本体の前面一側にヒンジ結合されるカバー500と、フィルムが巻き取られた円筒状のフィルム繰出ロール415と、前記本体の内部に突設された固定係止部、該固定係止部に反対側への移動ができるように結合される移動係止部、および該移動係止部を付勢する弾性ばね424を含み、前記フィルム繰出ロールを本体の一側に垂直に回転可能に固定させるフィルム繰出ロール固定部と、前記本体の他側に垂直に設置されたフィルム巻取軸425と、フィルム移送レバー450と、前記フィルム移送レバーの逆転を防止するためのラチェット手段470と、前記本体を作業者の顔面に固定させる弾性固定部材とを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ゴーグルに係り、さらに詳しくは、ゴーグルの保護鏡をフィルム部材で保護することができ、該フィルム部材の汚染の際に迅速に取り替えることが可能な産業用ゴーグルに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ゴーグルは、塗装作業、サンディング作業および溶接作業の際に作業者の顔面に密着するように着用し、作業者の目を保護するものである 。
【0003】
このような産業用ゴーグルは、一般に、前面部に保護鏡が配置され、弾性バンドによって頭部に固定し、レジャー活動用ゴーグルとは異なり防護頭巾と結合される形で多く使用される。
このような産業用ゴーグルは、特許文献1(産業用ゴーグルおよび該ゴーグルが取り付けられた防保頭巾)、特許文献2などに開示されている。
【0004】
この種の産業用ゴーグルは、保護鏡が汚染した場合、作業者がそれを拭かなければならず、特にその汚染の程度が激しければ作業者の視野確保が容易ではないので、新しい保護鏡で取り替えるか、ゴーグルを取り替えなければならないという問題点があった。
【0005】
かかる問題点を解決するために、先行技術では、フィルム部材を、一側から他側へ移動する保護鏡の前面に配置し、それを移動させて保護鏡を保護する方式を利用したりもした。
【0006】
ところが、このような産業用ゴーグルは、電動装置の使用が頻繁な故障の原因となり、作業者が所望の移動距離だけ移動させることが難しくてフィルムを頻繁に取り替えなければならないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2006−0026214号明細書
【特許文献2】韓国特許出願第10−2005−0093682号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、保護鏡の前面に配置されて保護鏡を保護するフィルム部材が汚染した場合、作業者が所望の移動距離だけ迅速に移動させることが可能な産業用ゴーグルを提供することにある。
本発明の他の目的は、簡易な構造によってフィルムを移動させることが可能な産業用ゴーグルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る産業用ゴーグルは、前面に保護鏡が設置され、作業者の顔面の屈曲に対応して設けられた本体と、前記本体の前面一側にヒンジ結合されるカバーと、フィルムが巻き取られた円筒状のフィルム繰出ロールと、前記本体の内部に突設された固定係止部、該固定係止部に反対側への移動ができるように係合される移動係止部、および該移動係止部を付勢する弾性ばねを含み、前記フィルム繰出ロールを本体の一側に垂直に回転可能に固定させるフィルム繰出ロール固定部と、前記フィルム繰出ロールからフィルムが巻き取られるように前記本体の他側に垂直に設置されたフィルム巻取軸と、前記フィルム巻取軸に噛み合い、本体にヒンジ結合されるフィルム移送レバーと、前記フィルム移送レバーの逆転を防止するためのラチェット手段と、前記本体の両側端に結合され、前記本体を作業者の顔面に固定させる弾性固定部材とを含んでなることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記フィルム移送レバーは、前記フィルム巻取軸に隣接して設置される回転軸と、前記回転軸の端部に設置される駆動歯車と、前記フィルム巻取軸に結合され、前記駆動歯車に噛み合う従動歯車と、前記回転軸から伸びて外側に突出した取っ手とを含んでなることを特徴とする。
また、前記回転軸は本体にねじりコイルばねを介して設置されることを特徴とする。
【0011】
また、前記本体の後面には本体を顔面に密着させるためにシリコン材料の顔面接続部材が結合され、前記顔面接続部材は山と谷の連なる折曲予定部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る産業用ゴーグルは、フィルム移送レバーを介してフィルムを作業者の所望の長さだけ移動させることができるため、作業者の鮮明な視野の確保が可能であって作業の能率が向上するうえ、保護鏡の取替によるゴーグル取替費用が節減されるという利点がある。
また、本発明に係る産業用ゴーグルは、シリコン材質の顔面密着部材を介して着用感を向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の好適な一実施例に係る産業用ゴーグルを示す斜視図である。
【図2】図2は図1の変化図である。
【図3】図3は本発明の好適な一実施例に係る産業用ゴーグルを示す分解斜視図である。
【図4】図4は本発明の好適な他の実施例に係る産業用ゴーグルを示す分解斜視図である。
【図5】図5は図4の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な一実施例を詳細に説明する。
図1は本発明の好適な一実施例に係る産業用ゴーグルを示す斜視図である。
【0015】
図1に示すように、本発明に係る産業用ゴーグルは、前面に保護鏡が設置され、作業者の顔面の屈曲に対応して設けられた本体100を基本的な骨格とし、前記本体100の後面には顔面接続部材700が結合されて顔面に密着するようにし、前記本体の前面一側にはカバー500がヒンジ結合される。
【0016】
ここで、前記本体100は、作業者の目部位を全体的に覆うように設けられ、前記顔面接続部材700を介して作業者の目部位と本体の後面部とが一定の距離だけ離隔するようにする。
【0017】
前記本体100の両側端に、前記本体100を作業者の顔面に固定させる弾性固定部材600が結合される。前記弾性固定部材600は、ゴムバンドの形であって、前記本体100の両側端に設けられた係合部に係合され、作業者の頭部に対応する長さを有する。
【0018】
図1に示すように、カバー500に設けられたサングラス形状の開口部510を介してフィルム300が外部に露出し、保護鏡はフィルム300の内側に位置する。
図2は図1の変化図である。
【0019】
図2に示すように、本発明に係る産業用ゴーグルは、カバー500を開閉すると、フィルム300の巻かれた円筒形のフィルム繰出ロール415を本体100の一側に固定させることができる。
【0020】
前記フィルム繰出ロール415はフィルム繰出ロール固定部を介して本体の一側に垂直に回転可能に固定される。前記フィルム繰出ロール固定部は、前記本体の内部に突設された固定係止部102と、前記固定係止部102に反対側への移動ができるように嵌合される移動係止部104と、前記移動係止部104を付勢する弾性ばね106とを含む。
また、前記移動係止部104と前記弾性ばね106は係止部カバー108によって本体に内蔵される。
【0021】
前記フィルム繰出ロール415からフィルムが繰り出され、前記本体の他側に垂直に設置されたフィルム巻取軸425に巻き取られるようになる。本体100の前面に設置された保護鏡200がフィルム300を介して外部に露出せずに保護される。特に、前記フィルム繰出ロール415は、消耗品として製作され、フィルムが全て消耗されると、他のフィルム繰出ロールで迅速に取り替えることができる。
【0022】
前記保護鏡200は、保護鏡固定部によって固定され、透明な素材のプラスチック、特に軽くて加工性に優れたアクリルで形成されることが好ましい。前記保護鏡200も、長時間の使用により汚染した場合に取り替えることができるように製作されることが好ましい。
図3は本発明の好適な一実施例に係る産業用ゴーグルを示す分解斜視図である。
【0023】
前記フィルム巻取軸425も、前記フィルム繰出ロール415と同様に、固定係止部102と移動係止部を介して本体に設置され、フィルム巻取軸425が固定される移動係止部は従動歯車456が設けられている。
次に、フィルム移送レバーについて考察する。
フィルム移送レバー450は、フィルム巻取軸425に噛み合い、本体にはヒンジ結合される。
【0024】
具体的に、前記フィルム移送レバー450は、フィルム巻取軸425に隣接して設置される回転軸452と、前記回転軸452の端部に設置される駆動歯車454と、前記フィルム巻取軸425に結合され、前記駆動歯車454に噛み合う従動歯車456と、前記回転軸452から伸びて外側に突出した取っ手458とを含んでなる。
【0025】
よって、作業者が突出した取っ手456を回転させると、駆動歯車454によって従動歯車456が回転しながらフィルム巻取軸425を回転させてフィルムが移動する。
前記フィルム移送レバー450の逆転を防止するためのラチェット手段がさらに設置される。
【0026】
前記ラチェット手段は、取っ手458を介してフィルム移送レバーが原位置に復帰するとき、フィルム巻取軸425が回転しないようにする。前記ラチェット手段は、ラチェットポール470(ratchet pawl)、前記ラチェットポールを一方に押すばね473、および前記ラチェットを固定するラチェットカバー472を含んでなり、前記ラチェットポールが接触するラチェットホイール454a(ratchet wheel)は駆動歯車454に設けられる。
【0027】
ここで、前記フィルム移送レバー450の回転軸452は本体100にねじりコイルばね460によって設置できる。よって、作業者が一定の距離だけフィルムを移動させてから取っ手458を放すと、フィルム移送レバーが自動的に原位置に復帰する。前記ラチェット手段のため、フィルム巻取軸は逆回転しない。前記ねじりコイルばね460は、一端が本体に固定され、他端は回転軸に固定される形で設置される。
【0028】
さらに、前記駆動歯車454と前記従動歯車456との間にはアイドル歯車453が設置される。このアイドル歯車はフィルム移送レバーの回転角度とフィルムの移動速度を調節することができるようにする。
次に、本発明の他の実施例について考察する。
図4は本発明の好適な他の一実施例に係る産業用ゴーグルを示す分解斜視図、図5は図4の平面図である。
【0029】
図4に示すように、本体100の後面にはシリコン材質の顔面接続部材700が結合されて本体が顔面に密着するようにする。密着性を高めるために、前記顔面接続部材700には山と谷の連なる折曲予定部710が設けられる。
前記折曲予定部710は、波形が連続する形になっており、図5に示した矢印方向に圧縮すればさらに弾性的に圧縮できる。
【0030】
上述したように、本発明は汚染したフィルムを簡便に移動させることが可能な産業用ゴーグルを提供することを主要技術的思想としている。なお、図面を参考して上述した実施例は一実施例に過ぎないので、本発明の真正な範囲は特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0031】
100 本体
102 固定係止部
104 移動係止部
106 ばね
150 上部ブラケット
200 保護鏡
300 フィルム
415 フィルム繰出ロール
425 フィルム巻取軸
424 弾性ばね
450 フィルム移送レバー
452 回転軸
454 駆動歯車
456 従動歯車
458 取っ手
460 ねじりコイルばね
470 ラチェットポール
472 ラチェットカバー
473 ばね
500 カバー
600 弾性固定部材
700 顔面接続部材
710 折曲予定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に保護鏡が設置され、作業者の顔面の屈曲に対応して設けられた本体と、
前記本体の前面一側にヒンジ結合されるカバーと、
フィルムが巻き取られた円筒状のフィルム繰出ロールと、
前記本体の内部に突設された固定係止部、該固定係止部に反対側への移動ができるように結合される移動係止部、および該移動係止部を付勢する弾性ばねを含み、前記フィルム繰出ロールを本体の一側に垂直に回転可能に固定させるフィルム繰出ロール固定部と、
前記フィルム繰出ロールからフィルムが巻き取られるように前記本体の他側に垂直に設置されたフィルム巻取軸と、
前記フィルム巻取軸に噛み合い、本体にヒンジ結合されるフィルム移送レバーと、
前記フィルム移送レバーの逆転を防止するためのラチェット手段と、
前記本体の両側端に結合され、前記本体を作業者の顔面に固定させる弾性固定部材とを含んでなることを特徴とする、産業用ゴーグル。
【請求項2】
前記フィルム移送レバーは、前記フィルム巻取軸に隣接して設置される回転軸と、前記回転軸の端部に設置される駆動歯車と、前記フィルム巻取軸に結合され、前記駆動歯車に噛み合う従動歯車と、前記回転軸から伸びて外側に突出した取っ手とを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の産業用ゴーグル。
【請求項3】
前記回転軸は本体にねじりコイルばねを介して設置されることを特徴とする、請求項2に記載の産業用ゴーグル。
【請求項4】
前記本体の後面には本体を顔面に密着させるためにシリコン材料の顔面接続部材が結合されることを特徴とする、請求項1に記載の産業用ゴーグル。
【請求項5】
前記顔面接続部材は山と谷の連なる折曲予定部が設けられたことを特徴とする、請求項4に記載の産業用ゴーグル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−48879(P2013−48879A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262029(P2011−262029)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(511290891)キョンド シーオー., エルティーディー. (2)
【氏名又は名称原語表記】KYUNGDO Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1063−20, Eobang−dong, Gimhae−si, Gyeongsangnam−do, 621−040(KR)