説明

産業用車両

【課題】 エンジンルーム内に複数の周辺機器を配置することができ、それらの周辺機器に対して作業性良く保守点検を行うことが可能な産業用車両のエンジンルーム構造を提供すること。
【解決手段】 運転室4とエンジン5と側方にタイヤ2を配置したシャーシ3とシャーシ3上にエンジン5を載せるエンジンルーム11とを備え、エンジンルーム11が運転室4の後方に設けられたホイールローダ1に、エンジンルーム11の運転室側の面における左右位置に立設する前部構造体12と、エンジンルーム11の運転室側と反対側の面における左右位置に立設する後部構造体13と、前部構造体12と後部構造体13の上部を連結してエンジン上方部に周辺機器設置スペース30を形成する連結構造体14とを備えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルーム内に複数の周辺機器が配置された産業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホイールローダ、ショベルローダ等の産業用車両には、運転室の後部にエンジンルームを設け、このエンジンルーム内にエンジン、周辺機器等が配置されている。周辺機器としては、エアクリーナ、排気マフラー、油圧アキュムレータ、冷却水サブタンク、油圧フィルタ等があり、エンジンの配置等に応じてエンジンルーム内の前部、上部、後部などに設けられている。
【0003】
例えば、図8に示すように、産業用車両の一例であるホイールローダ201の場合、シャーシ203の前部と後部とにタイヤ202が設けられ、これらのタイヤ202の前後方向中央部に運転室204が設けられている。シャーシ203の前部には、ブーム205で駆動するバケット206が設けられ、運転室204の後方にエンジンルーム207が設けられている。このエンジンルーム207内にはエンジン208が設けられている。エンジン208の上方には、エアクリーナ209とマフラー210とが設けられている。また、エンジン208の後方には、隔壁211で仕切られたクーリングルーム212が設けられ、このクーリングルーム212にラジエータ213とファン214とが設けられている。
【0004】
一方、定期点検・整備時には作業者が上記エンジンの周辺機器を目視確認、取外し作業などを行わなければならない。
例えば、エアクリーナの場合は、清掃時にフィルタを外す必要があり、冷却水サブタンクの場合は、冷却水レベルの目視確認を行わなければならない。このような周辺機器の点検は、エンジンルームのカバーを開けて行うが、狭隘なエンジンルーム内の配置可能な場所に設けられた各周辺機器の点検・整備は、作業性が困難となる場合があり、多くの時間と労力を要することがある。
【0005】
また、運転席の側部から後方に延びるデッキがある場合には、エンジンルームの側部に設けられるサイドカバーによる開口をデッキよりさらに後方に離れた位置にしなければならない場合もある。このような場合は、特に運転室に近いエンジンルーム内に設けられたエアクリーナや油圧アキュムレータ等の周辺機器は、サイドカバーを開放したとしてもタイヤの後方から運転室とエンジンとの間の狭隘な場所に手を入れて行う作業となるため、非常に作業性が悪く、多くの時間と労力を要している。
【0006】
なお、この種の先行技術として、ホイールローダの運転室後方に設けられたエンジンルームのカバーを、上下方向に開閉するサイドカバーと、上面を塞ぐ天井カバーとで構成し、それぞれのカバーがそれぞれの支持部材で支持されるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この構成の場合、サイドカバーを上方へ開放して点検することになるが、サイドカバーを開閉するためにガススプリング等の構成が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−59749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、近年、排気ガス規制等により、エンジンの周辺機器が増加しており、例えば、排気ガス浄化装置(Diesel Particulate Filter)を備えさせる場合もある。
【0009】
しかしながら、上記したような複数の周辺機器が設けられているエンジンルーム内に新たなスペースを確保するのは難しく、また、狭隘なエンジンルーム内に新たな周辺機器を設けた場合、その周辺機器の保守点検作業を作業性良く行うことも難しくなる。
【0010】
なお、上記特許文献1に記載された先行技術では、上記したガススプリング等によるコストアップと、天井カバーを取外す必要のない、より高頻度な定期点検・整備において、エンジン上方に配置された周辺機器(例えばエアクリーナ)へ接近して作業を行う必要があるが、サイドカバーを上方へ開放可能な開角度は限られるため、サイドカバーが邪魔になる。
【0011】
そこで、本発明は、エンジンルーム内に複数の周辺機器を配置することができ、それらの周辺機器に対して作業性良く保守点検を行うことが可能な産業用車両のエンジンルーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、運転室とエンジンと側方にタイヤを配置したシャーシと前記シャーシ上に前記エンジンを載せるエンジンルームとを備え、前記エンジンルームが前記運転室の後方に設けられた産業用車両であって、前記エンジンルームの前記運転室側の面における左右位置に立設する前部構造体と、前記エンジンルームの前記運転室側と反対側の面における左右位置に立設する後部構造体と、前記前部構造体と前記後部構造体の上部を連結して前記エンジン上方部に周辺機器設置スペースを形成する連結構造体とを備えている。この構成により、エンジンルームの上方部に形成した周辺機器設置スペースに複数の周辺機器を設置することができ、この周辺機器設置スペースに設置した周辺機器は、エンジンルームの側部から作業性良く保守点検することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エンジンルーム内の上方部に設けた周辺機器設置スペースに複数の周辺機器を配置することができるので、周辺機器の保守点検をエンジンルームの上方部で集中して作業性良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る産業用車両のエンジンルーム構造の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示すエンジンルーム構造の斜め前方からの斜視図である。
【図3】図1に示すエンジンルーム構造の斜め後方からの斜視図である。
【図4】図3に示すエンジンルーム構造のマフラー部分を示す側面図である。
【図5】図4に示すマフラー部分を下方から見た拡大斜視図である。
【図6】本発明に係る産業用車両のエンジンルーム構造の第2実施形態を示す側面図である。
【図7】図6に示すエンジンルーム構造の斜め後方からの斜視図である。
【図8】産業用車両の一例である従来のホイールローダを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、産業用車両としてホイールローダを例にし、エンジンルーム構造に関する構成を図に基づいて説明する。このホイールローダ1は、エンジンルーム構造10が上述した図8とは異なるが、他の構成は図8に示すホイールローダ201と同様の構成である。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、図2に示すように、ホイールローダ1における前後左右方向の概念と一致するものとする。
【0016】
図1に示すように、第1実施形態に係るエンジンルーム構造10を備えたホイールローダ1は、左右のタイヤ2の間に、前後方向に延びるシャーシ3が設けられ、このシャーシ3の上部に、運転室4と、エンジンルーム11とが設けられている。運転室4の後方にエンジンルーム11が設けられており、この実施形態では、運転室4の直後にエンジンルーム11の前端部が位置するように設けられている。
【0017】
上記エンジンルーム11は、前部構造体12と連結構造体14と後部構造体13とにより形成された枠組み構造体15を備え、前部に前部構造体12が設けられ、この前部構造体12から所定距離後方に後部構造体13が設けられている。そして、これらの前部構造体12と後部構造体13の上部が連結構造体14によって連結されている。さらに、エンジンルーム11の上部には上部カバー16が設けられ、エンジンルーム上部が塞がれている。
【0018】
上記エンジンルーム11は、幅方向寸法はシャーシ3の幅方向寸法と同等で、前後方向寸法は運転室4の直後から後タイヤ2の後部まで延びる大きさで形成されている。エンジンルーム11の後方には、ラジエータ21と冷却ファン22が配設されたクーリングルーム20が設けられている。この実施形態では、クーリングルーム20からラジエータ21を通って後方へ空気Aを流す構成になっている。上記エンジンルーム11の下部には、上記シャーシ3にエンジン5がマウントされている。
【0019】
また、上記エンジンルーム11の前端位置に設けられた上記前部構造体12には、エンジンルーム11の側部を塞ぐサイドカバー6(図2,3)を水平方向に開閉するヒンジ部7(支持部)が設けられている。この図では、二点鎖線でヒンジ部7のみを示す。このように、この実施形態では、前部構造体12のヒンジ部7でサイドカバー6を支持することにより、エンジンルーム11の側部を大きく開放することができるようにしている。つまり、運転室4の直後に設けられた前部構造体12をサイドカバー6の開閉支点とすることで、運転室4に近い位置から後方部分を大きく開放できるようにしている。
【0020】
なお、この実施形態では、図2,3に示すように、大きく開放できるようにしたサイドカバー6にリアフルフェンダ8を一体的に設け、予めリアフルフェンダ8を取外したり、動かしたりすることなくサイドカバー6を開放してエンジンルーム11内を点検できるようにしている。
【0021】
図2,3は、上記ホイールローダ1の運転室4とエンジン5、及びクーリングルーム20の関係を取り除いたホイールローダ後部を示す図である。図示するように、上記エンジンルーム11の前部構造体12は前部左右位置から上方へ延び、後部構造体13は後部左右位置から上方へ延びており、これら前部構造体12と後部構造体13とが連結構造体14で連結されて枠組み構造体15が形成されている。この枠組み構造体15は、板状に形成された連結構造体14の四隅に前部構造体12と後部構造体13とが位置する状態となっている。この実施形態では、前部構造体12、後部構造体13、及び連結構造体14は、ボルト・ナット等で結合されて一体的に形成されている。図2,3では、エンジンルーム11の手前側側部を覆うサイドカバー6を開放した状態を示している。これらの図では、上部カバー16を透視して枠組み構造体15を示している。
【0022】
また、図1〜3に示すように、後部構造体13の部分の連結構造体14から上方に仕切り板32が設けられ、この仕切り板32の上部から後方に向けて機器設置板34(図1の上部カバー16の後方位置。図2,3では二点鎖線で示す。)が設けられている。
【0023】
そして、上記枠組み構造体15により、エンジンルーム11内のエンジン上方部に周辺機器設置スペース30が形成されている。この実施形態では、上記後部構造体13の部分から前方が排気系周辺機器設置スペース31となっており、機器設置板34が設けられた部分が吸気系周辺機器設置スペース33となっている。これら排気系周辺機器設置スペース31と吸気系周辺機器設置スペース33とは、幅方向に設けられた上記仕切り板32によって仕切られている。
【0024】
また、上記仕切り板32には、排気系周辺機器設置スペース31側に断熱材35が設けられている。断熱材35は、仕切り板32の全面に設けられている。
【0025】
上記排気系周辺機器設置スペース31には、エンジン(図1)の排気管9が連結された排気ガス浄化装置40と、この排気ガス浄化装置40を介して排気ガスを大気に放出するマフラー41とが設けられている。排気ガス浄化装置40は、例えば、約600℃の高温で排気ガスを処理するため、上記断熱材35により、排気系周辺機器設置スペース31の熱が吸気系周辺機器設置スペース33に伝わるのを抑止している。また、マフラー41は、上部カバー16から上方へ突出するように設けられている。
【0026】
上記吸気系周辺機器設置スペース33には、エアクリーナ50が設けられている。このエアクリーナ50は、上記機器設置板34に吊下げるように設けられている。エアクリーナ50の吸気口51は、上部カバー16から上方へ突出して設けられている。
【0027】
さらに、この実施形態では、機器設置板34の後端部にタンク固定部材55が設けられ、このタンク固定部材55に冷却水サブタンク56が固定されている。
【0028】
また、図2に示すように、上記エンジンルーム11の前端位置に設けられた上記前部構造体12の間は板状の前部連結材17によって連結されている。この前部連結材17には、高さ方向中間部分に周辺機器設置棚18が設けられている。この周辺機器設置棚18には、油圧アキュムレータ52が設けられている。この油圧アキュムレータ52は、エアクリーナ50等に比べると保守点検頻度が低いため、周辺機器設置スペース30ではなく前部連結材17に設けられている。
【0029】
一方、図4,5に示すように、上記排気系周辺機器設置スペース31の上部カバー16に設けられたマフラー41は、上部カバー16に固定されている。このマフラー41には、上記排気ガス浄化装置40からの排気管43が挿入されている。
【0030】
そして、マフラー41を固定している上部カバー16の部分に、排気系周辺機器設置スペース31をマフラー41の排気通路に連通させる開口部45が設けられている。この開口部45は、マフラー41に挿入された排気管43の周囲でマフラー内に連通しており、排気ガス浄化装置40から大気放出される排気ガスGがマフラー41から排出される時の上昇流で、上記排気系周辺機器設置スペース31の空気Aをマフラー41の排気通路に吸込んで外部へ放出するようになっている。つまり、排気ガスGと空気Aの圧力差を利用して、排気系周辺機器設置スペース31の空気を積極的に排出するようにしている。
【0031】
このようなエンジンルーム構造10を備えたホイールローダ1(産業用車両)によれば、枠組み構造体15の上方部に形成された排気系周辺機器設置スペース31には排気ガス浄化装置40、排気管43等の排気系をまとめて配置し、吸気系周辺機器設置スペース33には、エアクリーナ50等の吸気系をまとめて配置できるので、点検・整備時にはサイドカバー6を開ければエンジンルーム11の上方部に配置された複数の周辺機器を作業性良く点検・整備することが可能となる。
【0032】
次に、図6,7に基づいて、第2実施形態に係るエンジンルーム構造60を備えたホイールローダ1を説明する。なお、上記第1実施形態で説明した構成と同一の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
この第2実施形態に係るホイールローダ1のエンジンルーム構造60も、エンジンルーム61の前部左右位置から上方へ延びる前部構造体62と、この前部構造体62から所定距離後方の後部左右位置から上方へ延びる後部構造体63が設けられ、これら前部構造体62と後部構造体63の上部が連結構造体64によって連結されて枠組み構造体65が形成されている。さらに、エンジンルーム61の上部には上部カバー66が設けられ、エンジンルーム上部が塞がれている。
【0034】
この第2実施形態では、後部構造体63がタイヤ2よりも後方位置に設けられ、この左右位置の後部構造体63の間に隔壁75が設けられている。この実施形態では、エンジンルーム61の後方に設けられたクーリングルーム70のラジエータ71からエンジンルーム61の方向に空気を流す構成となっており、上記隔壁75によって、クーリングルーム70のラジエータ71で熱交換された高温空気はエンジンルーム61の側方へ流すようになっている。
【0035】
このような第2実施形態の枠組み構造体65には、前部構造体62と後部構造体63とを連結する連結構造体64の上部に周辺機器設置スペース80が形成されており、これら前部構造体62と後部構造体63との間に排気系周辺機器設置スペース81と吸気系周辺機器設置スペース83とが形成されている。この排気系周辺機器設置スペース81と吸気系周辺機器設置スペース83との間には仕切り板82が設けられ、この仕切り板82には断熱材85が設けられている。
【0036】
上記排気系周辺機器設置スペース81には、排気ガス浄化装置90が設けられており、マフラー91が、上部カバー66から上方に突出するように設けられている。また、上記吸気系周辺機器設置スペース83には、エアクリーナ100が設けられている。このエアクリーナ100は連結構造体64の上部に設けられており、吸気口101が上部カバー66から上方に突出するように設けられている。この実施形態では、エアクリーナ100の後部に冷却水サブタンク106が設けられている。
【0037】
さらに、上記前部構造体62の間は前部連結材67で連結され、この前部連結材67に設けられた周辺機器設置棚68に油圧アキュムレータ102が設けられている。
【0038】
この第2実施形態でも、上記マフラー91が設けられた上部カバー66には開口部95が設けられており、排気系周辺機器設置スペース81内の空気を排気ガスで積極的に外部へ排出するようになっている(上述した図4,5に示す第1実施形態の構成に、第2実施形態における構成の符号を付して示す)。
【0039】
このようなエンジンルーム構造60を備えたホイールローダ1(産業用車両)によっても、枠組み構造体65の上方部に形成された排気系周辺機器設置スペース81には排気ガス浄化装置90等の排気系をまとめて配置し、吸気系周辺機器設置スペース83には、エアクリーナ100等の吸気系をまとめて配置できるので、点検・整備時にはサイドカバー6を開ければエンジンルーム61の上方部に配置された複数の周辺機器を作業性良く点検・整備することが可能となる。
【0040】
また、上記第1,2実施形態のホイールローダ1(産業用車両)におけるエンジンルーム構造10,60では、いずれも、前部構造体12,62、後部構造体13,63、及び連結構造体14,64が一体となった枠組み構造体15,65を形成しているので、この枠組み構造体15,65に複数の周辺機器を予め組み立てておき、そのユニット化された枠組み構造体15,65をシャーシ3に固定することで多くの工数を削減することも可能であり、産業用車両の効率的な組立作業が可能となる。
【0041】
さらに、いずれのエンジンルーム構造10,60も、運転室4の直後にサイドカバー6の開閉支点となるヒンジ部7を前部構造体12,62に設けているので、エンジンルーム11,61の側部を大きく開放することができ、前部構造体12,62の間に設けられた油圧アキュムレータ102等の周辺機器をメンテナンスする場合も作業性良く行うことが可能となる。
【0042】
なお、上記実施形態では、2種類のエンジンルーム構造10,60を説明したが、隔壁75の有無以外に周辺機器構成が異なっても同様に適用可能であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0043】
また、産業用車両としてホイールローダを例に説明したが、産業用車両は他の構成であってもよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0044】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0045】
また、前記エンジンルームは側部を覆うサイドカバーを有し、前記前部構造体は前記運転室の直後に設けられ、前記サイドカバーを水平方向に開閉する支持部を有していてもよい。このように構成すれば、サイドカバーを運転席直後の前部構造体を回転支点にして開けることで運転室直後からエンジンルームの側部を大きく開放することができ、エンジンルーム前方部の周辺機器の保守点検における作業性を向上することができる。
【0046】
また、前記前部構造体と後部構造体、及び連結構造体とを一体的に構成してエンジンルームの骨組み構造体を形成してもよい。このように構成すれば、エンジンルームの骨組み構造体を形成する前部構造体と後部構造体、及び連結構造体とを一体的にシャーシに固定することができ、各周辺機器を予め連結構造体で形成する周辺機器設置スペースの部分に取り付けておくことで作業効率良く周辺機器をエンジンルームに設置することができる。
【0047】
また、前記前部構造体は、左右位置の前記前部構造体を連結する前部連結材を有し、前記前部連結材は、周辺機器を設置する周辺機器設置棚を有していてもよい。このように構成すれば、前部構造体の間に設けた前部連結材の周辺機器設置棚にも周辺機器を設置することができ、前部構造体の間にも周辺機器の設置スペースを確保することができる。
【0048】
また、前記連結構造体は、前記周辺機器設置スペースを排気系周辺機器設置スペースと吸気系周辺機器設置スペースとに仕切る仕切り板を有していてもよい。このように構成すれば、温度差のある排気系と吸気系とを仕切り板で仕切り、吸気系に排気系の熱が影響するのを抑えることができる。
【0049】
また、前記仕切り板は、前記排気系周辺機器設置スペースの熱が吸気系周辺機器設置スペースに伝わるのを抑止する断熱材を有していてもよい。このように構成すれば、高温となる排気系の熱が吸気系に伝わるのをより確実に抑止することができる。
【0050】
また、前記後部構造体は、左右位置の前記後部構造体を連結する隔壁を有していてもよい。このように構成すれば、エンジンルームの後方に設けられたクーリングルームのラジエータで熱交換した空気をエンジンルーム方向に流す場合でも、高温空気がエンジンルーム内に入らないようにする隔壁で後部構造体を強固に連結することができる。
【0051】
また、前記エンジンルームは上部を覆う上部カバーを有し、前記上部カバーは、排気ガスを排出するマフラーを有し、前記マフラーは、前記マフラーから排出する排気ガスによる上昇流で前記排気系周辺機器設置スペースの空気を外部へ放出する開口部を有していてもよい。このように構成すれば、排気系周辺機器設置スペースにおいて温度上昇した空気を排気ガスの流れによりマフラーから外部へ放出することができるので、高温となる排気系周辺機器の周辺における温度上昇を抑えることができる。
【0052】
また、前記サイドカバーは、前記タイヤのフェンダを一体的に設けていてもよい。このように構成すれば、後タイヤのフルフェンダを予め取外したり、動かしたりすることなくサイドカバーを開放してエンジンルーム内を点検・整備することができるので、リアフルフェンダを設ける産業用車両においてエンジンルーム内の点検・整備作業を効率良く行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係るエンジンルーム構造は、ホイールローダ、ショベルローダ等の産業用車両において利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 ホイールローダ(産業用車両)
2 タイヤ
3 シャーシ
4 運転室
5 エンジン
6 サイドカバー
7 ヒンジ部(支持部)
10 エンジンルーム構造
11 エンジンルーム
12 前部構造体
13 後部構造体
14 連結構造体
15 枠組み構造体
16 上部カバー
17 前部連結材
18 周辺機器設置棚
20 クーリングルーム
30 周辺機器設置スペース
31 排気系周辺機器設置スペース
32 仕切り板
33 吸気系周辺機器設置スペース
34 機器設置板
35 断熱材
40 排気ガス浄化装置
41 マフラー
43 排気管
45 開口部
50 エアクリーナ
51 吸気口
52 油圧アキュムレータ
55 タンク固定部材
56 冷却水サブタンク
60 エンジンルーム構造
61 エンジンルーム
62 前部構造体
63 後部構造体
64 連結構造体
65 枠組み構造体
66 上部カバー
67 前部連結材
68 周辺機器設置棚
70 クーリングルーム
75 隔壁
80 周辺機器設置スペース
81 排気系周辺機器設置スペース
82 仕切り板
83 吸気系周辺機器設置スペース
85 断熱材
90 排気ガス浄化装置
91 マフラー
95 開口部
100 エアクリーナ
101 吸気口
102 油圧アキュムレータ
106 冷却水用リザーバタンク
G 排気ガス
A 空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室とエンジンと側方にタイヤを配置したシャーシと前記シャーシ上に前記エンジンを載せるエンジンルームとを備え、前記エンジンルームが前記運転室の後方に設けられた産業用車両であって、
前記エンジンルームの前記運転室側の面における左右位置に立設する前部構造体と、
前記エンジンルームの前記運転室側と反対側の面における左右位置に立設する後部構造体と、
前記前部構造体と前記後部構造体の上部を連結して前記エンジン上方部に周辺機器設置スペースを形成する連結構造体とを
備えた産業用車両。
【請求項2】
前記エンジンルームは側部を覆うサイドカバーを有し、
前記前部構造体は前記運転室の直後に設けられ、前記サイドカバーを水平方向に開閉する支持部を有する請求項1に記載の産業用車両。
【請求項3】
前記前部構造体と後部構造体、及び連結構造体とを一体的に構成してエンジンルームの骨組み構造体を形成した請求項1に記載の産業用車両。
【請求項4】
前記前部構造体は、左右位置の前記前部構造体を連結する前部連結材を有し、前記前部連結材は、周辺機器を設置する周辺機器設置棚を有している請求項1に記載の産業用車両。
【請求項5】
前記連結構造体は、前記周辺機器設置スペースを排気系周辺機器設置スペースと吸気系周辺機器設置スペースとに仕切る仕切り板を有している請求項1に記載の産業用車両。
【請求項6】
前記仕切り板は、前記排気系周辺機器設置スペースの熱が吸気系周辺機器設置スペースに伝わるのを抑止する断熱材を有している請求項5に記載の産業用車両。
【請求項7】
前記後部構造体は、左右位置の前記後部構造体を連結する隔壁を有している請求項1に記載の産業用車両。
【請求項8】
前記エンジンルームは上部を覆う上部カバーを有し、
前記上部カバーは、排気ガスを排出するマフラーを有し、
前記マフラーは、前記マフラーから排出する排気ガスによる上昇流で前記排気系周辺機器設置スペースの空気を外部へ放出する開口部を有している請求項1に記載の産業用車両。
【請求項9】
前記サイドカバーは、前記タイヤのフェンダを一体的に設けた請求項2に記載の産業用車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−87493(P2013−87493A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228842(P2011−228842)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(509241041)株式会社KCM (35)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】