田植機のロータリー式植付け装置
【課題】分割爪で掻き取られた苗を押し出し体で押し出す方式の植付け装置において、押し出し体を駆動するプッシュ用アームを、シール性を確保しつつ組み立て作業性も向上できる状態で植付けケースに連結可能とする。
【解決手段】押し出し軸体56は押し出し軸43に固定されており、押し出し軸43はプッシュ用アーム41の回動によって進退動する。プッシュ用アーム41はアーム支軸ピン42で植付けケース33に連結されている。アーム支軸ピン42は台座37の側から植付け本体ケース34に嵌め込んでおり、その一端部42aに切欠き59を形成している。一端部42aは台座37の長穴60に回転不能に嵌まっている。プッシュ用アーム41は植付けケース33に挿入するだけで良いため組み立て作業に優れており、かつ、回転不能であるためシール性も確保できる。
【解決手段】押し出し軸体56は押し出し軸43に固定されており、押し出し軸43はプッシュ用アーム41の回動によって進退動する。プッシュ用アーム41はアーム支軸ピン42で植付けケース33に連結されている。アーム支軸ピン42は台座37の側から植付け本体ケース34に嵌め込んでおり、その一端部42aに切欠き59を形成している。一端部42aは台座37の長穴60に回転不能に嵌まっている。プッシュ用アーム41は植付けケース33に挿入するだけで良いため組み立て作業に優れており、かつ、回転不能であるためシール性も確保できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機のロータリー式植付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
田植機は、おおまかには、前後車輪を有する走行機体に苗植装置を昇降自在に取り付けた構成になっている。そして、苗植装置は苗マットが載る苗載せ台と、苗マットから苗を1株ずつ掻き取って圃場に植え付ける植付け装置の複数個とを有しており、植付け装置は一般にロータリー式が使用されている。
【0003】
このロータリー式植付け装置は、例えば特許文献1に開示されかつ図15に示すように、左右横長の軸心回りに回転(回動)する細長いロータリーケース80を有しており、ロータリーケース80の一端と他端とに分割爪81を有する植付けケース82が取付けられている。
【0004】
ロータリーケース80の内部には、回動軸に固定された太陽歯車と、この太陽歯車に逆方向から噛み合った一対の中間歯車と、太陽歯車と反対側の方向から中間歯車に噛み合った一対の中間歯車とが配置されている。ロータリーケース80の両端部に植付けケース82がロータリーケース80の回転軸心と変更な軸心回りに回転(回動)するように取付けられており、植付けケース82には、苗マット84から苗を1株だけ掻き取るための分割爪81と、遊星歯車の回転によって進退動する押し出し軸83(プッシュロッド)とが取付けられている。
【0005】
そして、ロータリーケース80が1回転すると植付けケース82は公転するが、太陽歯車と中間歯車と遊星歯車とを回転軸心がずれた楕円状等の不等速ギア(非円形ギア)と成すことにより、公転と自転との組み合わせで分割爪81の先端が上下に長い閉ループの軌跡を描くように構成されており、これにより、分割爪81で掻き取られた苗はほぼ鉛直の姿勢で圃場に植付けられる。
【0006】
押し出し軸83は植付けケース82に内蔵したカムによって進退動するようになっており、カムは、遊星歯車を貫通して延びる植付け軸に取付けられている。また、プッシュ用アームは植付け軸と平行に延びるアーム支持ピンによって植付けケース82に連結されている。プッシュ用アームやカムの構造は、例えば特許文献2に開示されている。
【0007】
そして、プッシュ用アームを連結するアーム支持ピンは、シール性確保という点から見ると植付けケースに対しては回転不能に保持されているのが好ましく、そこで従来は、アーム支持ピンとしてボルトが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−211948号公報
【特許文献2】特開平10−120632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アーム支持ピンとしてボルトを使用するとシール性は確保できるが、ねじ込み作業に手間がかかるという問題がある。これに対しては、アーム支持ピンの端部に角形のような非円形の頭部を形成する一方、植付けケースには前記頭部が回転不能に嵌まる非円形の回り止め穴を形成するといったことが考えられる。しかし、この対策は、植付けケースの加工が面倒になる問題や、回り止め穴を形成すると植付けケースのアーム支持ピン挿入穴の長さが短くなってシール性が低下する可能性で出るといった問題がある。
【0010】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。なお、本願には植付け装置に関する改良が種々開示されているが、これらの改良点も独立した発明たり得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明において、植付け装置は、苗植装置の支持部材に横長の軸心回りに回転するように取付けられたロータリーケースを備えており、前記ロータリーケースのうち回転軸心から遠い端部に、前記ロータリーケースの回転軸心と平行な軸線回りに回転するように植付けケースが取付けられている。
【0012】
前記植付けケースには、苗マットから苗を1株ずつ掻き取るための分割爪と、前記分割爪から苗を押し出す押し出し軸と、前記押し出し軸を進退動させるためのプッシュ用アーム及びカムが設けられており、前記プッシュ用アームは、前記植付けケースの回転軸心と平行に延びるアーム支持ピンによって前記植付けケースに連結されている。そして、前記ロータリーケースが回転すると前記植付けケースが公転しつつロータリーケースに対して自転することにより、前記分割爪で苗マットから苗が1株ずつ掻き取られるようになっている。
【0013】
更に、本願発明では、前記ロータリーケースの端部には、当該ロータリーケースの回転軸心と平行に延びる軸心回りに回転する台座が、前記ロータリーケースの外側に露出した状態で取付けられており、前記カムは、前記台座の回転中心を貫通した植付け軸に取付けられている一方、前記アーム支持ピンは、前記台座の側から植付けケースに差し込まれていると共に、前記台座に向いた露出部を有しており、前記アーム支持ピンの露出部と前記台座とに、前記アーム支持ピンを回転不能及び抜け不能に保持する係合手段が形成されている。
【0014】
本願発明は更に展開できる。その見解例として請求項2の発明では、前記アーム支持ピンの露出部は外周面を部分的に切欠くことで非円形になっている一方、前記台座には、前記アーム支持ピンの露出部が回転不能で抜け不能に嵌まる溝又は段部を形成しており、前記アーム支持ピンにおける露出部の切欠きと前記台座の溝又は段部とで前記係合部が構成されている。更に請求項3の発明では、請求項2の構成において、前記台座の溝又は段部は植付けケースの回転方向に沿って長く延びている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では、アーム支持ピンは植付けケースを台座に固定する前に、台座への取付け部の側から挿入することで植付けケースに取付けられ、これよってプッシュ用アームは植付けケースに連結される。そして、植付けケースを台座に固定すると、アーム支持ピン台座によって抜け不能で回転不能に保持される。すなわちアーム支持ピンを植付けケースに挿入するだけでプッシュ用アームが連結される。このため植付け装置を組み立てたりメンテナンスしたりするおいて、作業性を向上できる。また、アーム支持ピンは植付けケースに回転不能に保持されており、かつ、植付けケースにおけるアーム支持ピン挿入穴の深さを浅くする必要もないため、シール性も確保できる。
【0016】
係合部は様々な態様に具体化できるが、請求項2のように切欠きと穴または段部との組み合わせを採用すると、構造が簡単であるため低コストで実施できる利点がある。また、請求項3の構成を採用すると、アーム支持ピンと穴または段部との相対位置が円周方向に多少ずれても係合状態が保持されるため、台座に対する(或いはロータリーケースに対する)植付けケースの相対姿勢を若干変えることが可能になっており、このため、苗の掻き取りタイミングや苗の植付けタイミングの微調整に支障がない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態を示す図で、一部の植付け装置を削除した状態での苗植装置の平面図である。
【図2】(A)は植付け装置の側面図、(B)は植付け装置の斜視図である。
【図3】(A)(B)とも植付け体をロータリーケースから取り外した状態での植付け装置の斜視図である。
【図4】植付け装置の分離斜視図である。
【図5】図2(A)の紙面と反対側から見た連動機構図である。
【図6】植付け体をロータリーケースから分離した状態での斜視図である。
【図7】植付け体の前側からの分解斜視図である。
【図8】植付け体の後ろ側からの分解斜視図である。
【図9】植付けケースを省略した状態での植付け体の図であり、(A)は左側面図、(B)は斜視図である。
【図10】(A)はプッシュ用アームの取付け構造を示しための分解斜視図、(B)〜(D)はプッシュ用アームの単体図である。
【図11】(A)は植付け体のうち筒部を断面で表示した図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図12】植付け装置が取り付く枠組みを示す斜視図で、(A)は後ろから見たもの、(B)は前から見たものである。
【図13】図12で示した装置の分離側面図けである。
【図14】図13の部分拡大図である。
【図15】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため「前・後」「左・右」といった文言を使用するが、この文言は走行機体の前進方向を向いたオペレータの向きを基準にしている。
【0019】
(1).概略
図1は乗用型田植機を構成する苗植装置1の平面図であり、苗植装置1は、前後車輪を有する走行機体(図示せず)の後ろに配置されており、図示しないリンク機構によって走行機体に昇降自在に連結されている。苗植装置は4条植えのものであり、左右横長の下部フレームや上下長手のサイドフレーム(いずれも図示せず)などで枠組みが構成されており、この枠組みに4つの苗載せ台2が左右移動自在に取付けられている。苗植装置1は圃場に接地するフロート3を有している。
【0020】
枠組みから左右2本の支持アーム4が後ろ向きに突出しており、支持アーム4の後端から駆動軸(主軸)5を左右両側に突出しており、左右の支持アーム4に左右一対のずつの植付け装置6を回転自在に取り付けている(図1では一対の植付け装置6しか表示していない。)。敢えて述べるまでもないが、苗植装置1には走行機体からPTO軸を介して動力が伝達される。この動力のうち一部は苗載せ台の駆動に使用され、他の一部は伝動機構を介して駆動軸5の回転に使用される。なお、支持アーム4にはドライブ軸やチェン等の動力伝達手段が内蔵されている。
【0021】
図2,3から理解できるように、植付け装置6は、支持アーム4に回転自在に取付けられた細長いロータリーケース7と、このロータリーケース7の両端に回転自在に取付けられた一対の植付け体8とを有しており、両植付け体8にはそれぞれ分割爪9が進退動自在に取付けられている。ロータリーケース7は側面視で略長方形に近い形状になっており、その長手中間部が駆動軸5に取付けられている。
【0022】
駆動軸5が左側面視で反時計回りに1回転すると、ロータリーケース7も駆動軸5軸心回りに反時計回り方向に1回転し、すると、植付け体8は公転しつつ駆動軸5と平行な軸心回りに自転し、これにより、苗載せ台2に載置した苗マット(図示せず)から苗が分割爪9によって1株だけ掻き取られ、圃場に植付けられる。
【0023】
(2).ロータリーケースの内部構造
次に、図2以下の図面を参照して植付け装置の詳細を説明する。まず、ロータリーケース7の内部構造を説明する。図4,5に示すように、ロータリーケース7は、第1シェル10と第2シェル11とを重ね合わせてボルトで締結した中空構造になっている。第1シェル10は図1に表示した支持アーム4の近い側に位置しており、その長手中間部に筒型ボス部13が外向きに突設されており、この筒型ボス部13が支持アーム4の側面に図示しない軸受け部材を介して回転自在に取付けられている。
【0024】
ロータリーケース7の内部には、駆動軸5に固定された太陽歯車14と、太陽歯車14に対して互いに逆方向から噛み合った中間歯車15と、中間歯車15に太陽歯車14と反対の方向から噛み合った遊星歯車16とが回転自在に保持されている。敢えて述べるまでもないが、各歯車14〜16はロータリーケース7の長手方向に沿って直線状に並んでいる。また、各歯車14,15,16は、軸心から外周までの距離を周方向に沿って滑らかに変化させた不等速歯車(偏心歯車)になっている。
【0025】
第2シェル11の長手中間部には略四角形で外向きに突出した膨らみ部17が形成されており、この膨らみ部17にセンター軸受け18を嵌め込み装着し、センター軸受け18に駆動軸5の先端部がOリングを介して嵌まっている。駆動軸5の先端に切欠き20が形成されている一方、膨らみ部17とセンター軸受け18とには駆動軸5の切欠き20に係合するロックピン21が嵌まっており、このためロータリーケース7は駆動軸5と一緒に回転する。
【0026】
太陽歯車14は駆動軸5に回転可能に嵌まっている。また、太陽歯車14はセンターベアリング22によって第1シェル10で回転自在に保持されている。中間歯車15は中間軸23に固定されており、中間軸23は左右の中間ベアリング24でシェル10,11に保持されている。なお、ロータリーケース7の内部にはグリスが充満している。
【0027】
遊星歯車16には植付け軸25が相対回転自在に嵌まっている。植付け軸25の基端部は第1シェル10にエンドベアリング26を介して相対回転不能に保持されている。すなわち、植付け軸25はロータリーケース7に対しては回転しない。また、遊星歯車16には第1シェル11に向けて突出する中間筒27が嵌まっており、この中間筒27に、歯車14,15,16のバックラッシュを除去するためのガタ取り用周面カム28(図5参照)が回転不能に取付けられている。
【0028】
中間筒27は、例えばスプライン嵌合によって遊星歯車16に対しても相対回転不能に嵌まっている。従って、遊星歯車16と中間筒27と植付け体8とが一緒に回転する。第1シェル11の両端寄り部位には、ガタ取り用周面カム28の外周面に当接するレバー29がピン30によって回動自在に取付けられており、レバー29は第1ばね(圧縮コイルばね)でガタ取り用周面カム28に押圧されている。レバー29及び第1ばね31は、ロータリーケース7の回転方向(図5のA方向)を向いてガタ取り用周面カム28の後ろ側に配置されている。
【0029】
(3).植付け体
次に、植付け体8の構造を説明する。植付け体8は中空状の植付けケース33を有している。この植付けケース33は、アルミダイキャスト又はアルミ鋳物より成る中空状の植付け本体ケース34と、この植付け本体ケース34の開口部を塞ぐ植付けカバーケース35とから成っており、両者はボルトで締結されている。
【0030】
植付け本体ケース34は第2シェル11に向いて開口していると共に、植付け軸25の軸心と直交した方向に長く延びる筒部36を有しており、全体的にはL形に近い形態になっている。そして、例えば図3や図4に示すように、遊星歯車16が相対回転不能に嵌まっている中間筒27は第2シェル11の外側に一部が露出しており、この中間筒27の露出端部に側面視六角形の台座37が固定されており、この台座37に植付け本体ケース34がボルト32(図2(B)参照)で固定されている。従って、植付け体8は遊星歯車16と一緒に回動する。
【0031】
例えば図6,7に示すように、台座37の外周部の一部には外向きる開口した切欠き38が形成されている一方、植付け本体ケース34には、台座37の切欠き38に嵌まるアジャストピン39を回転自在で外向き抜け不能に取付けている。アジャストピン39は軸心から若干偏心している突起39aを有しており、突起39aが切欠き38に嵌まっている。図2(B)から理解できるように、アジャストピン39はドライバによって植付け本体ケース34の外側から回転させることができる。
【0032】
そして、植付け本体ケース34を台座37にボルト32で締結するにおいて、ボルト32の締め込み前に偏心ピン39を回転することにより、台座37に対する植付け本体ケース34の相対姿勢を僅かに変える(微調整する)ことができる。
【0033】
植付け軸25は中間筒27に相対回転自在に嵌まっており、中間筒27から突出して植付けケース33の内部に入り込んでいる。例えば図6〜8に示すように、植付け軸25の先端部には植付け用周面カム40が固定されており、この植付け用周面カム40の近傍には植付け軸25と平行な軸心回りに回動するプッシュ用アーム41が左右横長のアーム支持ピン42で軸支されている。
【0034】
一方、植付け本体ケース34の筒部36には押し出し軸(プッシュロッド)43が摺動自在に嵌まっており、この押し出し軸43の基端とプッシュ用アーム41の先端とが中間リンク44を介して連結されている。敢えて述べるまでもないが、中間リンク44は植付け軸25と平行なピンで押し出し軸43とプッシュ用アーム41に連結されている。
【0035】
プッシュ用アーム41は植付け用周面カム40の近傍位置においてアーム支持ピン42で植付け本体ケース34に連結されており、かつ、プッシュ用アーム41の回動中心部には半径外向きの突起45を一体に設けている。例えば図9に示すように、植付け用周面カム40は、ほぼ円弧状に近い後退維持領域47と、後退維持領域47から半径が急激に低下する前進用段部48と、前進用段部48から半径が徐々に逓増して後退維持領域に滑らかに繋がる後退途中領域49とを有している。
【0036】
例えば図11に示すように、押し出し軸43には、中間リンク44に近いものから順に金属製のブッシュ51、オイルシール52、スクレーパ53が嵌まっている。ブッシュ51は筒部36に内側から嵌め込まれており、オイルシール52とスクレーパ53とは筒部36に内側から嵌め込まれている。また、植付け本体ケース34の筒部36には分割爪9がスタッドボルト54とナット55との対によって固定されている。分割爪9は断面コの字型であり、その溝内に、押し出し軸43の先端に固定した押し出し体56がスライド自在に嵌まっている。
【0037】
植付け軸25が回転するとプッシュ用アーム41が回動し、このプッシュ用アーム41の回動によって押し出し軸43が進退動する。そして、分割爪9が下死点から上死点に移行するときにプッシュ用アーム41が植え付け用周面カム40の後退領域維持47から前進用段部48に移行するように設定しており、これにより、苗は圃場に差し込まれた状態に保持されて、分割爪9が逃げ上昇する。
【0038】
例えば図7〜9に示すように、プッシュ用アーム41は第2ばね(圧縮コイルばね)57で植付け用周面カム40に付勢されている。従って、押し出し軸43は第2ばね57の弾性力によって後退する。植付けカバーケース35には第2ばね57の収容箇所を確保するための突部58(例えば図4参照)を設けている。
【0039】
既述のように、プッシュ用アーム41の突起45が植付け用周面カム40の前進用段部48に移行すると、当該植付け用周面カム40は急激に回動して、植付け本体ケース34の内部に深く入り込む状態になる。そこで、植付け用周面カム40の急激な回動による衝撃を吸収するため、例えば図10に示すように、植付け本体ケース34の内部にはプッシュ用アーム41が当接するゴム製のクッショ体62を装着している。クッション体62と円柱状の外観を呈しており、植付け本体ケース34の内部に形成した受け座63に装着されている。
【0040】
(4).アーム支持ピンと台座の係合部
図8に示すように(図6,7も参照)、植付け本体ケース34のうち台座37に重なる面には、アーム支持ピン42を挿入するアーム支持ピン挿入穴64が開口している。そして、アーム支持ピン42をこのアーム支持ピン挿入穴64に差し込むことでプッシュ用アーム40が植付け本体ケース34に連結されるが、アーム支持ピン42のうち挿入方向に向いて終端である一端部42aに、請求項に記載した係合部の一環を成す切欠き59が形成されており、切欠き59付きの一端部42aを植付け本体ケース34の外側に突出させている(図3(B)も参照)。アーム支持ピン42の一端より部位にはフランジを設けている。
【0041】
一方、台座37には、請求項に記載した係合部の一環として、アーム支持ピン42の一端部42aが嵌まる長穴60を植付け軸25の軸心回り方向に延びるように形成しており、アーム支持ピン42の切欠き59は長穴60の内周面に近接させている。このためアーム支持ピン42は回転不能に保持されており、かつ、アーム支持ピン42は台座37によって抜け不能に保持されている。
【0042】
従って、プッシュ用アーム40の取付けに当たってはアーム支持ピン42を植付け本体ケース34に差し込むだけでよく、このため作業能率がよい。そして、アーム支持ピン42が回転不能に保持されていることと、アーム支持ピン挿入穴64の深さは従来と同じで良いことにより、シール性が確保される。従って、水が植付けケース33の内部に進入したり、植付けケース33の内部に充填したグリスが漏洩したりすることもない。また、植付けケース33と台座37とを周方向に多少相対回転させてもアーム支持ピン42aの一端部42aと長穴60との嵌まり合いは保持されるため、アジャストピン39の回転による植付けケース33の姿勢の微調整も支障なく行える。
【0043】
長穴60の溝幅がアーム支持ピン42の外径より小さければアーム支持ピン42がぐるぐる回転することはないが、アーム支持ピン42はできるだけ回転しないのが望ましい。従って、アーム支持ピン42の切欠き59を長穴60の内側面にできるだけ近接させておくのが好ましい。長穴60に代えて段部を形成してもよいが(すなわち、長穴60を半径外側に切り開いた状態にしてもよいが)、本実施形態のように長穴60を採用すると、台座37の強度低下を防止できる利点や、組み立てに際してアーム支持ピン42の切欠き59を外向きにしておくことで長穴60への嵌め込み姿勢を確認し易い(視認しやすい)利点がある。
【0044】
アーム支持ピン42の係合部としては、例えばアーム支持ピン42の一端部を四角形や小判形に削り加工することや、アーム支持ピン42の一端部42aを四角形等の角形又は楕円形の頭部に形成すること、或いは、アジャストピン39のように偏心した突起を設けることなどを採用できる。台座27の係合部もアーム支持ピン42の係合部に応じてこれと整合する形態と成したらよい。
【0045】
(5).分割爪の固定構造
本実施形態は幾つかの改良点を有している。この点を次に説明する。まず、分割爪9 の固定構造に関する改良を説明する。
【0046】
さて、植付け装置において分割爪は植付けケースに締結されているが、分割爪9は使用しているうちに磨耗するため、研磨し直したり交換したりする必要がある。そこで、取り外しできるように一般的には頭付きボルトで植付けケースに締結されている。また、分割爪には苗の掻き取りに際して大きな負荷が掛かるため、ずれ動かないように、一般に、断面コの字形に形成してこれを植付けケースの凸条にきっちり嵌合している。
【0047】
そして、例えば特開2001−136816号公報には、分割爪(公報の名称は掻取爪)の締結手段として、フランジ付きボルトとこれに螺合するナットとを使用することが開示されている。すなわちこの公報では、ボルトの長手中途部にフランジが形成されていると共に、フランジの外側にはスプライン状のハンドル係合部とその外側に位置した雄ねじ部が形成されており、ハンドルでボルトを植付けケースにねじ込むことで分割爪を植付けケースに押さえ固定し、かつ、ハンドルはナットで締結されたまになっている。
【0048】
しかるに、この公報の構成ではスタッドボルトは構造が複雑でコストが嵩み、しかも、締結作業にも手間がかかる。また、分割爪の締結機能から見ると、特開2001−136816号公報のものは通常の頭付きボルトによる転結と相違はなく、このため、分割爪の交換等のためにボルトを取り外すと雌ねじ穴が露出することになり、この雌ねじ穴に水が入る可能性もある。
【0049】
そして、雌ねじ穴に入った水が植付けケースの内部に入り込むと錆やグリスの劣化等の問題が生じるため、雌ねじ穴が植付けケースの内部に貫通することは避けるべきであり、すると、従って、雌ねじ穴は底を有する構造にすべきである。しかし、この底付きの雌ねじ穴の構造では、ドリル加工によって下穴を空けてからタップ加工で雌ねじを形成するにおいて、1番タップ、2番タップ、3番タップというようにタップを使い分けねばならないため作業が面倒であり、また、完全雌ねじを下穴の底面まで形成することが難かしいため、ボルトの引っ掛かり有効長さが短くなるおそれもある。
【0050】
これに対して本実施形態のようにスタッドボルト54とナット55との組み合わせによる締結構造を採用すると、a)単純な締結構造であるため分割爪の取付け・取り外しの作業が容易である、b)スタッドボルトは市販品を使用可能であるためコスト面でも有利である、c)コの字形の掻取爪を植付ケースに強引に嵌め込むにおいて、スタッドボルトで分割爪が位置決めされるため取付け作業の失敗もない、d)雌ねじ穴66を植付ケースの内部に貫通させててもシール性が確保されるため、雌ねじの長さを長くして引き抜き抵抗を増大できると共に、下穴に雌ねじをタップ加工するにおいて、複数本のタップを使用しなくても1番タップ又は2番タップだけでも加工可能になって加工の作業性が良い、といった多くの利点がある。
【0051】
また、本実施形態のスタッドボルト54はねじ無し部54aを挟んだ両側に雄ねじが形成されているが、このようにねじ無し部54aを設けると、ねじ無し部54aを植付ケースに食い込ませることにより、当該ねじ無し部54aがねじ込み深さを規制するストッパーの役目を果たすため、下穴を貫通した状態で雌ねじが全体に切られていても、スタッドボルトは所定寸法だけが露出する状態で正確に植え込みできる利点がある。また、ねじ無し部がシール機能を発揮して、水の侵入を阻止するという利点もある。
【0052】
更に、本実施形態ではスタッドボルトは分割爪の長手方向に沿って複数本(2本)配置されているが、この構成を採用すると、分割爪の安定性・締結強度を向上できて高速掻き取りにも好適である。なお、本実施形態では、前方側の前方に位置した雌ねじ穴66の下穴はオイルシール52の後端と僅かにラップしている。
【0053】
(6).スクレーパとオイルシールとの関係
さて、植付け装置において、押し出し軸43にはオイルシール52とスクレーパ53とを装着することは従来から行われおり、これはシール性を確保するための必須の構成である。そして、従来は、例えば特開2000−139143号公報に開示されているように、オイルシールとスクレーパとを単純に並べた構造にしている。
【0054】
しかし、この構成では、植付け本体ケース34の筒部36も長くなることで掻き取り部の長さが長くなり、曲げ強度を高くできないおそれがある。また、分割爪を2本のボルトで強固に締結するにおいて、一方のボルトはオイルシールと干渉しないように配置せねばならないため、2本のボルトの間の間隔が制約を受けて締結強度アップに限度がある可能性もある。
【0055】
そこで本実施形態では、図11(B)に明示するように、中空の筒部部36にスクレーパ53はオイルシール52とを装着するにおいて(当然ながら、スクレーパ53はオイルシール52の前に配置されている)、スクレーパ53の後端部53aでオイルシール52の先端部52aを覆っている。換言すると、オイルシール52とスクレーパ53とを軸方向に一部重複させている。
【0056】
この構成により、スクレーパ53とオイルシール52との全体の配置長さを短かくできるため、掻き取り部の長さが長くなることを防止して高い曲げ強度を確保できる。また、本実施形態では、既述のとおり、2つの雌ねじ穴66のうち手前に位置した雌ねじ穴66をオイルシール52の後端に近接さけているが、かかる構成とすることにより、オイルシール52の機能は阻害することなく2本のスタッドボルト54の間隔を広げることができて分割爪9の締結強度を向上できる。
【0057】
また、分割爪9の締結用ボルトとして本実施形態のようにスタッドボルト54を採用すると、既述のように雌ねじ穴の下穴を筒分割爪6の内部に貫通させることができるため、完全雌ねじをオイルシール52に近接した箇所まで形成することができる。従って、スタッドボルトの先端をオイルシールに近接させることができるので、その結果、スタッドボルトの長さをできるだけ長くして分割爪9の締結強度を向上できる。
【0058】
(7).プッシュ用アームの改良
本実施形態はプッシュ用アーム41にも工夫を加えている。この点を次に説明する。プッシュ用アーム41によって植付け用周面カム40の回転をオイルシール52押し出し軸43の進退動に変換することは従来から行われおり、その例として例えば特開平10−327632号公報には、プッシュ用アーム(公報の名称は天秤アーム)の前後略中間部にゴム用の座20bを設けることが開示されている。この公報では、プッシュ用アームは全体として板状の外観を呈しており、ばねはプッシュ用アームの先端部を押している。
【0059】
しかし、この構成では、ばねでプッシュ用アームの先端部を押しているため、座20bがクッション体に当たるとプッシュアームに曲げ力が作用する。すると、プッシュ用アームの強度を確保するためには肉厚を厚くする等の対策を取らねばらず、すると、重量増大等の問題が生じるおそれがある。
【0060】
これに対して本実施形態では、図10から理解できるように、プッシュ用アーム41におけるばね受け部41aと緩衝受け部(ゴム当たり部)41bとを同じ位置に設けることにより、第2ばね57の弾性力に起因してプッシュ用アーム41に応力が発生することを防止している。
【0061】
これを一般化すると、「苗マットから苗を1株ずつ掻き取るための分割爪と、前記分割爪で掻き取った苗を押し出して圃場に植え付ける押し出し軸と、前記押し出し軸を往復動させる回動式のプッシュアームと、前記プッシュアームを回動させる植付け用周面カムと、これらが取り付く植付けケースとを有しており、前記押し出し軸は部分的に露出するように植付けケースに摺動自在に装着されており、前記プッシュアームのうち回動支点から遠い先端部に押し出し軸を直接に又は間接的に連結すると共に、前記プッシュアームは前記押し出し軸を前進させる方向にばねで付勢されており、これによって前記プッシュアームが回動すると押し出し軸が往復動するようになっており、更に、プッシュアームがばねで押されて回動すると弾性体で緩衝されるようになっている、という構成であって、前記プッシュアームのうち回動支点と先端部との間の中途部に、前記ばねを受けるばね受け部と前記弾性体に当接する緩衝支持部(太鼓部)とが互いに逆向きに設けられている」と表現できる。
【0062】
この構成によると、ばね受け部41aと緩衝支持部41bとが同じ位置にあるため、プッシュアーム41がクッション体62に当たってもプッシュアーム41に曲げ力は発生せず、このため軽量化しても高い耐久性を確保できる。
【0063】
また、本実施形態では、プッシュ用アーム41を断面T形の基本形として断面係数を高くすることで、強度を保持しつつ軽量化を図っている。すなわち、「前記プッシュ用アーム41のうち少なくとも前記緩衝支持部41bと先端部との間の部分は、当該プッシュ用アーム41の回動軸心と直交した方向から見てセンターリブ41cを有する断面略T形になっている」という構成になっている。プッシュ用アーム41は、中間リンク45を連結するためのリンク連結部41eと、アーム支持ピン42が嵌まる軸支部42fとを有しており、これらの穴は互いに直交した姿勢になっている。
【0064】
本実施形態のクッション体(弾性体)62は円柱形であり、そこで、プッシュ用アーム41の緩衝支持部41bも円形としている。このため、緩衝支持部41bでクッション体62を安定良く支持できる。また、緩衝支持部41bが円形であると、この緩衝支持部41bとセンターリブ41cとが滑らかに連続するため、応力集中がなくて曲げ強度も高い。
【0065】
(8).苗植装置の枠組みの改良
図12〜図14では苗植装置1の枠組みを表示している。本願発明との関連はないが、この点を補足説明しておく。
【0066】
苗植装置1は強度メンバーとしての枠組みを有しており、この枠組みは、図12に示すように苗植装置1の下部を構成するメインフレーム68を有している。そして、このメインフレーム68に左右2本の支持アーム4が固定されていると共に、メインフレーム68のうち左右略中間部にはPTO軸の動力を受ける入力ギアボックス69がボルトで固定されている。支アーム4の下端にはフロート(図1参照)を支持する左右横長のロアフレーム79が保持材を介して固定されている。
【0067】
また、入力ギアボックス69には植付けギアボックス70が固定されており、植付けギアボックス70に左右横長の苗台駆動軸71と植付け伝動軸72とが高さを変えて連結されている。植付けギアボックス70は第1ボルト73でメインフレーム68の上面に固定さている。敢えて述べるまでもないが、苗台駆動軸71によって苗載せ台(図1参照)の横送りと縦送りとが行われ、植付け伝動軸72の回転は支持アーム4に内蔵されたドライブ軸を介して駆動軸5に伝達される。
【0068】
支持アーム4の基端には4つの四角形のフランジ4aが形成されており、メインフレーム68に手前から挿通した4本の第2ボルト74をフランジ4aの四隅にねじ込むことにより、支持アーム4がメインフレーム68に固定されている。従って、支持アーム4のフランジ4aにはタップ穴を設けている。また、植付けギアボックス70に第1ボルト73が貫通するフランジ70aを形成しており、第1ボルト73はメインフレーム68に形成したタップ穴にねじ込んでいる(第1ボルト73は、メインフレーム68に挿入したナット板にねじ込んでも良い。)。
【0069】
メインフレーム68はアルミ等の金属を素材とした押し出し加工品であり、やや上下に長い角形パイプの外観を呈していると共に、内部には上下2枚の仕切り板75を一体に設けている。従って、メインフレーム68は上部空間76と中間空間77と下部空間78との3つの空間に分かれており、第2ボルト74は上下に2本ずつあり、上の2本は上部空間76を通って下の2本は下部空間78を通って支持フレーム4にねじ込まれている。
【0070】
苗植装置のメインフレームは中空の角形になっていることが多く、例えば特開2003−284411号公報には、メインフレームを角形鋼管製とすることが開示されている。他方、特開平11−299314号公報には、メインフレーム68を押し出し加工品とすることが開示されている。また、特開平11−299314号公報では、メインフレーム68の4つの面にそれぞれ蟻溝が形成されており、蟻溝に挿入したナットに外からボルトをねじ込むことにより、支持アーム等の部材が締結される。
【0071】
さて、圃場面には多少なりとも凹凸があるのが普通であり、このため苗植装置1は正面視(背面視)及び側面視の両方において多少なりとも揺動しながら走行する。このため、メインフレーム68には上下方向の曲げ力や軸心回りのねじり力など様々の方向からの力が掛かっている。しかるに、特開2003−284411号公報のようにメインフレーム68が単純な角形であるとねじりに対する強度はかなり低くならざるを得ない。
【0072】
特開平11−299314号公報の場合は、蟻溝を設けたことで角形の部分は小さくなるため、ねじりに対する強度は一層弱くなると懸念される。また、蟻溝をしたようして締結構造では、例えば支持フレームは蟻溝を構成するリップ片に対して締結されるに過ぎないため、支持フレームの締結強度を高くできないおそれもある。更に、蟻溝方式ではボルトやナットがずれ動きやすいため、支持フレーム等の位置保持機能が低くなるおそれもある。
【0073】
これに対して本実施形態のようにメインフレーム68を基本的には角形管の外観としつつ内部に断面横長(略水平姿勢の)の仕切り板75を設けると、仕切り板75のリブ効果によって曲げ強度及びねじり強度を格段に高くできる。また、第2ボルト74はメインフレーム68を貫通しているため、支持フレーム4等の部材のずれがなくて位置保持機能が高いと共に、締結強度も高い。
【0074】
この発明は、「右横長のメインフレームで苗載せ機構部を支持した構成として、前記メインフレームの後面に植付けアームが前向きに突出した姿勢で固定されており、前記植付けアームに植付け爪を有する植付け装置が取付けられている苗植装置において、前記メインフレームは押し出し成形品であり、その内部に、軸方向から見て内部を横断して延びる仕切板が一体に設けられている」という構成に一般化できる。
【0075】
さて、第2ボルト74を支持アーム4のフランジ4aとメインフレーム68とに後ろから貫通させてこれにナットをねじ込むことも可能であるが、この場合は、締結作業においてナットを所定位置に保持しておかほばならないため締結作業が面倒であるのみならず、支持アーム4の付け根部の箇所には植付け伝動軸72等の他の部材が配置されているため、他の部材が邪魔になって締結作業を行いにくいという問題がある。
【0076】
これに対して本実施形態のように第2ボルト74をメインフレーム68に前から挿通してこれを支持アーム4のフランジ4aにねじ込むと、メインフレーム68の手前側には空間が広く空いていることと、一々ナットを手で位置保持してく必要はないこととにより、第2ボルト74のねじ込み作業を楽に行うことができる利点がある。
【0077】
また、本実施形態のように第2ボルト74を仕切り板75の上又は下に位置させると、仕切り板75に穴を空ける必要はないため強度的に優れている。特に、本実施形態のように複数枚の仕切り板を設けてメインフレーム68の内部を上下3つ以上の空間に仕切ると、メインフレーム68は一層頑丈な構造になるため特に好適である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本願発明は田植機に適用して有用性を発揮する。従って、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0079】
1 苗植装置
2 苗載せ台
4 支持アーム
5 駆動軸
6 植付け装置
7 ロータリーケース
8 植付け体
9 分割爪
25 植付け軸
33 植付けケース
37 台座
40 植付け用カム
41 プッシュ用アーム
42 アーム支持ピン
42a アーム支持ピンの一端部
43 押し出し軸
56 押し出し体
59 係合部の一環を成す切欠き
60 係合部の一環を成す長穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機のロータリー式植付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
田植機は、おおまかには、前後車輪を有する走行機体に苗植装置を昇降自在に取り付けた構成になっている。そして、苗植装置は苗マットが載る苗載せ台と、苗マットから苗を1株ずつ掻き取って圃場に植え付ける植付け装置の複数個とを有しており、植付け装置は一般にロータリー式が使用されている。
【0003】
このロータリー式植付け装置は、例えば特許文献1に開示されかつ図15に示すように、左右横長の軸心回りに回転(回動)する細長いロータリーケース80を有しており、ロータリーケース80の一端と他端とに分割爪81を有する植付けケース82が取付けられている。
【0004】
ロータリーケース80の内部には、回動軸に固定された太陽歯車と、この太陽歯車に逆方向から噛み合った一対の中間歯車と、太陽歯車と反対側の方向から中間歯車に噛み合った一対の中間歯車とが配置されている。ロータリーケース80の両端部に植付けケース82がロータリーケース80の回転軸心と変更な軸心回りに回転(回動)するように取付けられており、植付けケース82には、苗マット84から苗を1株だけ掻き取るための分割爪81と、遊星歯車の回転によって進退動する押し出し軸83(プッシュロッド)とが取付けられている。
【0005】
そして、ロータリーケース80が1回転すると植付けケース82は公転するが、太陽歯車と中間歯車と遊星歯車とを回転軸心がずれた楕円状等の不等速ギア(非円形ギア)と成すことにより、公転と自転との組み合わせで分割爪81の先端が上下に長い閉ループの軌跡を描くように構成されており、これにより、分割爪81で掻き取られた苗はほぼ鉛直の姿勢で圃場に植付けられる。
【0006】
押し出し軸83は植付けケース82に内蔵したカムによって進退動するようになっており、カムは、遊星歯車を貫通して延びる植付け軸に取付けられている。また、プッシュ用アームは植付け軸と平行に延びるアーム支持ピンによって植付けケース82に連結されている。プッシュ用アームやカムの構造は、例えば特許文献2に開示されている。
【0007】
そして、プッシュ用アームを連結するアーム支持ピンは、シール性確保という点から見ると植付けケースに対しては回転不能に保持されているのが好ましく、そこで従来は、アーム支持ピンとしてボルトが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−211948号公報
【特許文献2】特開平10−120632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アーム支持ピンとしてボルトを使用するとシール性は確保できるが、ねじ込み作業に手間がかかるという問題がある。これに対しては、アーム支持ピンの端部に角形のような非円形の頭部を形成する一方、植付けケースには前記頭部が回転不能に嵌まる非円形の回り止め穴を形成するといったことが考えられる。しかし、この対策は、植付けケースの加工が面倒になる問題や、回り止め穴を形成すると植付けケースのアーム支持ピン挿入穴の長さが短くなってシール性が低下する可能性で出るといった問題がある。
【0010】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。なお、本願には植付け装置に関する改良が種々開示されているが、これらの改良点も独立した発明たり得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明において、植付け装置は、苗植装置の支持部材に横長の軸心回りに回転するように取付けられたロータリーケースを備えており、前記ロータリーケースのうち回転軸心から遠い端部に、前記ロータリーケースの回転軸心と平行な軸線回りに回転するように植付けケースが取付けられている。
【0012】
前記植付けケースには、苗マットから苗を1株ずつ掻き取るための分割爪と、前記分割爪から苗を押し出す押し出し軸と、前記押し出し軸を進退動させるためのプッシュ用アーム及びカムが設けられており、前記プッシュ用アームは、前記植付けケースの回転軸心と平行に延びるアーム支持ピンによって前記植付けケースに連結されている。そして、前記ロータリーケースが回転すると前記植付けケースが公転しつつロータリーケースに対して自転することにより、前記分割爪で苗マットから苗が1株ずつ掻き取られるようになっている。
【0013】
更に、本願発明では、前記ロータリーケースの端部には、当該ロータリーケースの回転軸心と平行に延びる軸心回りに回転する台座が、前記ロータリーケースの外側に露出した状態で取付けられており、前記カムは、前記台座の回転中心を貫通した植付け軸に取付けられている一方、前記アーム支持ピンは、前記台座の側から植付けケースに差し込まれていると共に、前記台座に向いた露出部を有しており、前記アーム支持ピンの露出部と前記台座とに、前記アーム支持ピンを回転不能及び抜け不能に保持する係合手段が形成されている。
【0014】
本願発明は更に展開できる。その見解例として請求項2の発明では、前記アーム支持ピンの露出部は外周面を部分的に切欠くことで非円形になっている一方、前記台座には、前記アーム支持ピンの露出部が回転不能で抜け不能に嵌まる溝又は段部を形成しており、前記アーム支持ピンにおける露出部の切欠きと前記台座の溝又は段部とで前記係合部が構成されている。更に請求項3の発明では、請求項2の構成において、前記台座の溝又は段部は植付けケースの回転方向に沿って長く延びている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では、アーム支持ピンは植付けケースを台座に固定する前に、台座への取付け部の側から挿入することで植付けケースに取付けられ、これよってプッシュ用アームは植付けケースに連結される。そして、植付けケースを台座に固定すると、アーム支持ピン台座によって抜け不能で回転不能に保持される。すなわちアーム支持ピンを植付けケースに挿入するだけでプッシュ用アームが連結される。このため植付け装置を組み立てたりメンテナンスしたりするおいて、作業性を向上できる。また、アーム支持ピンは植付けケースに回転不能に保持されており、かつ、植付けケースにおけるアーム支持ピン挿入穴の深さを浅くする必要もないため、シール性も確保できる。
【0016】
係合部は様々な態様に具体化できるが、請求項2のように切欠きと穴または段部との組み合わせを採用すると、構造が簡単であるため低コストで実施できる利点がある。また、請求項3の構成を採用すると、アーム支持ピンと穴または段部との相対位置が円周方向に多少ずれても係合状態が保持されるため、台座に対する(或いはロータリーケースに対する)植付けケースの相対姿勢を若干変えることが可能になっており、このため、苗の掻き取りタイミングや苗の植付けタイミングの微調整に支障がない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態を示す図で、一部の植付け装置を削除した状態での苗植装置の平面図である。
【図2】(A)は植付け装置の側面図、(B)は植付け装置の斜視図である。
【図3】(A)(B)とも植付け体をロータリーケースから取り外した状態での植付け装置の斜視図である。
【図4】植付け装置の分離斜視図である。
【図5】図2(A)の紙面と反対側から見た連動機構図である。
【図6】植付け体をロータリーケースから分離した状態での斜視図である。
【図7】植付け体の前側からの分解斜視図である。
【図8】植付け体の後ろ側からの分解斜視図である。
【図9】植付けケースを省略した状態での植付け体の図であり、(A)は左側面図、(B)は斜視図である。
【図10】(A)はプッシュ用アームの取付け構造を示しための分解斜視図、(B)〜(D)はプッシュ用アームの単体図である。
【図11】(A)は植付け体のうち筒部を断面で表示した図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図12】植付け装置が取り付く枠組みを示す斜視図で、(A)は後ろから見たもの、(B)は前から見たものである。
【図13】図12で示した装置の分離側面図けである。
【図14】図13の部分拡大図である。
【図15】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため「前・後」「左・右」といった文言を使用するが、この文言は走行機体の前進方向を向いたオペレータの向きを基準にしている。
【0019】
(1).概略
図1は乗用型田植機を構成する苗植装置1の平面図であり、苗植装置1は、前後車輪を有する走行機体(図示せず)の後ろに配置されており、図示しないリンク機構によって走行機体に昇降自在に連結されている。苗植装置は4条植えのものであり、左右横長の下部フレームや上下長手のサイドフレーム(いずれも図示せず)などで枠組みが構成されており、この枠組みに4つの苗載せ台2が左右移動自在に取付けられている。苗植装置1は圃場に接地するフロート3を有している。
【0020】
枠組みから左右2本の支持アーム4が後ろ向きに突出しており、支持アーム4の後端から駆動軸(主軸)5を左右両側に突出しており、左右の支持アーム4に左右一対のずつの植付け装置6を回転自在に取り付けている(図1では一対の植付け装置6しか表示していない。)。敢えて述べるまでもないが、苗植装置1には走行機体からPTO軸を介して動力が伝達される。この動力のうち一部は苗載せ台の駆動に使用され、他の一部は伝動機構を介して駆動軸5の回転に使用される。なお、支持アーム4にはドライブ軸やチェン等の動力伝達手段が内蔵されている。
【0021】
図2,3から理解できるように、植付け装置6は、支持アーム4に回転自在に取付けられた細長いロータリーケース7と、このロータリーケース7の両端に回転自在に取付けられた一対の植付け体8とを有しており、両植付け体8にはそれぞれ分割爪9が進退動自在に取付けられている。ロータリーケース7は側面視で略長方形に近い形状になっており、その長手中間部が駆動軸5に取付けられている。
【0022】
駆動軸5が左側面視で反時計回りに1回転すると、ロータリーケース7も駆動軸5軸心回りに反時計回り方向に1回転し、すると、植付け体8は公転しつつ駆動軸5と平行な軸心回りに自転し、これにより、苗載せ台2に載置した苗マット(図示せず)から苗が分割爪9によって1株だけ掻き取られ、圃場に植付けられる。
【0023】
(2).ロータリーケースの内部構造
次に、図2以下の図面を参照して植付け装置の詳細を説明する。まず、ロータリーケース7の内部構造を説明する。図4,5に示すように、ロータリーケース7は、第1シェル10と第2シェル11とを重ね合わせてボルトで締結した中空構造になっている。第1シェル10は図1に表示した支持アーム4の近い側に位置しており、その長手中間部に筒型ボス部13が外向きに突設されており、この筒型ボス部13が支持アーム4の側面に図示しない軸受け部材を介して回転自在に取付けられている。
【0024】
ロータリーケース7の内部には、駆動軸5に固定された太陽歯車14と、太陽歯車14に対して互いに逆方向から噛み合った中間歯車15と、中間歯車15に太陽歯車14と反対の方向から噛み合った遊星歯車16とが回転自在に保持されている。敢えて述べるまでもないが、各歯車14〜16はロータリーケース7の長手方向に沿って直線状に並んでいる。また、各歯車14,15,16は、軸心から外周までの距離を周方向に沿って滑らかに変化させた不等速歯車(偏心歯車)になっている。
【0025】
第2シェル11の長手中間部には略四角形で外向きに突出した膨らみ部17が形成されており、この膨らみ部17にセンター軸受け18を嵌め込み装着し、センター軸受け18に駆動軸5の先端部がOリングを介して嵌まっている。駆動軸5の先端に切欠き20が形成されている一方、膨らみ部17とセンター軸受け18とには駆動軸5の切欠き20に係合するロックピン21が嵌まっており、このためロータリーケース7は駆動軸5と一緒に回転する。
【0026】
太陽歯車14は駆動軸5に回転可能に嵌まっている。また、太陽歯車14はセンターベアリング22によって第1シェル10で回転自在に保持されている。中間歯車15は中間軸23に固定されており、中間軸23は左右の中間ベアリング24でシェル10,11に保持されている。なお、ロータリーケース7の内部にはグリスが充満している。
【0027】
遊星歯車16には植付け軸25が相対回転自在に嵌まっている。植付け軸25の基端部は第1シェル10にエンドベアリング26を介して相対回転不能に保持されている。すなわち、植付け軸25はロータリーケース7に対しては回転しない。また、遊星歯車16には第1シェル11に向けて突出する中間筒27が嵌まっており、この中間筒27に、歯車14,15,16のバックラッシュを除去するためのガタ取り用周面カム28(図5参照)が回転不能に取付けられている。
【0028】
中間筒27は、例えばスプライン嵌合によって遊星歯車16に対しても相対回転不能に嵌まっている。従って、遊星歯車16と中間筒27と植付け体8とが一緒に回転する。第1シェル11の両端寄り部位には、ガタ取り用周面カム28の外周面に当接するレバー29がピン30によって回動自在に取付けられており、レバー29は第1ばね(圧縮コイルばね)でガタ取り用周面カム28に押圧されている。レバー29及び第1ばね31は、ロータリーケース7の回転方向(図5のA方向)を向いてガタ取り用周面カム28の後ろ側に配置されている。
【0029】
(3).植付け体
次に、植付け体8の構造を説明する。植付け体8は中空状の植付けケース33を有している。この植付けケース33は、アルミダイキャスト又はアルミ鋳物より成る中空状の植付け本体ケース34と、この植付け本体ケース34の開口部を塞ぐ植付けカバーケース35とから成っており、両者はボルトで締結されている。
【0030】
植付け本体ケース34は第2シェル11に向いて開口していると共に、植付け軸25の軸心と直交した方向に長く延びる筒部36を有しており、全体的にはL形に近い形態になっている。そして、例えば図3や図4に示すように、遊星歯車16が相対回転不能に嵌まっている中間筒27は第2シェル11の外側に一部が露出しており、この中間筒27の露出端部に側面視六角形の台座37が固定されており、この台座37に植付け本体ケース34がボルト32(図2(B)参照)で固定されている。従って、植付け体8は遊星歯車16と一緒に回動する。
【0031】
例えば図6,7に示すように、台座37の外周部の一部には外向きる開口した切欠き38が形成されている一方、植付け本体ケース34には、台座37の切欠き38に嵌まるアジャストピン39を回転自在で外向き抜け不能に取付けている。アジャストピン39は軸心から若干偏心している突起39aを有しており、突起39aが切欠き38に嵌まっている。図2(B)から理解できるように、アジャストピン39はドライバによって植付け本体ケース34の外側から回転させることができる。
【0032】
そして、植付け本体ケース34を台座37にボルト32で締結するにおいて、ボルト32の締め込み前に偏心ピン39を回転することにより、台座37に対する植付け本体ケース34の相対姿勢を僅かに変える(微調整する)ことができる。
【0033】
植付け軸25は中間筒27に相対回転自在に嵌まっており、中間筒27から突出して植付けケース33の内部に入り込んでいる。例えば図6〜8に示すように、植付け軸25の先端部には植付け用周面カム40が固定されており、この植付け用周面カム40の近傍には植付け軸25と平行な軸心回りに回動するプッシュ用アーム41が左右横長のアーム支持ピン42で軸支されている。
【0034】
一方、植付け本体ケース34の筒部36には押し出し軸(プッシュロッド)43が摺動自在に嵌まっており、この押し出し軸43の基端とプッシュ用アーム41の先端とが中間リンク44を介して連結されている。敢えて述べるまでもないが、中間リンク44は植付け軸25と平行なピンで押し出し軸43とプッシュ用アーム41に連結されている。
【0035】
プッシュ用アーム41は植付け用周面カム40の近傍位置においてアーム支持ピン42で植付け本体ケース34に連結されており、かつ、プッシュ用アーム41の回動中心部には半径外向きの突起45を一体に設けている。例えば図9に示すように、植付け用周面カム40は、ほぼ円弧状に近い後退維持領域47と、後退維持領域47から半径が急激に低下する前進用段部48と、前進用段部48から半径が徐々に逓増して後退維持領域に滑らかに繋がる後退途中領域49とを有している。
【0036】
例えば図11に示すように、押し出し軸43には、中間リンク44に近いものから順に金属製のブッシュ51、オイルシール52、スクレーパ53が嵌まっている。ブッシュ51は筒部36に内側から嵌め込まれており、オイルシール52とスクレーパ53とは筒部36に内側から嵌め込まれている。また、植付け本体ケース34の筒部36には分割爪9がスタッドボルト54とナット55との対によって固定されている。分割爪9は断面コの字型であり、その溝内に、押し出し軸43の先端に固定した押し出し体56がスライド自在に嵌まっている。
【0037】
植付け軸25が回転するとプッシュ用アーム41が回動し、このプッシュ用アーム41の回動によって押し出し軸43が進退動する。そして、分割爪9が下死点から上死点に移行するときにプッシュ用アーム41が植え付け用周面カム40の後退領域維持47から前進用段部48に移行するように設定しており、これにより、苗は圃場に差し込まれた状態に保持されて、分割爪9が逃げ上昇する。
【0038】
例えば図7〜9に示すように、プッシュ用アーム41は第2ばね(圧縮コイルばね)57で植付け用周面カム40に付勢されている。従って、押し出し軸43は第2ばね57の弾性力によって後退する。植付けカバーケース35には第2ばね57の収容箇所を確保するための突部58(例えば図4参照)を設けている。
【0039】
既述のように、プッシュ用アーム41の突起45が植付け用周面カム40の前進用段部48に移行すると、当該植付け用周面カム40は急激に回動して、植付け本体ケース34の内部に深く入り込む状態になる。そこで、植付け用周面カム40の急激な回動による衝撃を吸収するため、例えば図10に示すように、植付け本体ケース34の内部にはプッシュ用アーム41が当接するゴム製のクッショ体62を装着している。クッション体62と円柱状の外観を呈しており、植付け本体ケース34の内部に形成した受け座63に装着されている。
【0040】
(4).アーム支持ピンと台座の係合部
図8に示すように(図6,7も参照)、植付け本体ケース34のうち台座37に重なる面には、アーム支持ピン42を挿入するアーム支持ピン挿入穴64が開口している。そして、アーム支持ピン42をこのアーム支持ピン挿入穴64に差し込むことでプッシュ用アーム40が植付け本体ケース34に連結されるが、アーム支持ピン42のうち挿入方向に向いて終端である一端部42aに、請求項に記載した係合部の一環を成す切欠き59が形成されており、切欠き59付きの一端部42aを植付け本体ケース34の外側に突出させている(図3(B)も参照)。アーム支持ピン42の一端より部位にはフランジを設けている。
【0041】
一方、台座37には、請求項に記載した係合部の一環として、アーム支持ピン42の一端部42aが嵌まる長穴60を植付け軸25の軸心回り方向に延びるように形成しており、アーム支持ピン42の切欠き59は長穴60の内周面に近接させている。このためアーム支持ピン42は回転不能に保持されており、かつ、アーム支持ピン42は台座37によって抜け不能に保持されている。
【0042】
従って、プッシュ用アーム40の取付けに当たってはアーム支持ピン42を植付け本体ケース34に差し込むだけでよく、このため作業能率がよい。そして、アーム支持ピン42が回転不能に保持されていることと、アーム支持ピン挿入穴64の深さは従来と同じで良いことにより、シール性が確保される。従って、水が植付けケース33の内部に進入したり、植付けケース33の内部に充填したグリスが漏洩したりすることもない。また、植付けケース33と台座37とを周方向に多少相対回転させてもアーム支持ピン42aの一端部42aと長穴60との嵌まり合いは保持されるため、アジャストピン39の回転による植付けケース33の姿勢の微調整も支障なく行える。
【0043】
長穴60の溝幅がアーム支持ピン42の外径より小さければアーム支持ピン42がぐるぐる回転することはないが、アーム支持ピン42はできるだけ回転しないのが望ましい。従って、アーム支持ピン42の切欠き59を長穴60の内側面にできるだけ近接させておくのが好ましい。長穴60に代えて段部を形成してもよいが(すなわち、長穴60を半径外側に切り開いた状態にしてもよいが)、本実施形態のように長穴60を採用すると、台座37の強度低下を防止できる利点や、組み立てに際してアーム支持ピン42の切欠き59を外向きにしておくことで長穴60への嵌め込み姿勢を確認し易い(視認しやすい)利点がある。
【0044】
アーム支持ピン42の係合部としては、例えばアーム支持ピン42の一端部を四角形や小判形に削り加工することや、アーム支持ピン42の一端部42aを四角形等の角形又は楕円形の頭部に形成すること、或いは、アジャストピン39のように偏心した突起を設けることなどを採用できる。台座27の係合部もアーム支持ピン42の係合部に応じてこれと整合する形態と成したらよい。
【0045】
(5).分割爪の固定構造
本実施形態は幾つかの改良点を有している。この点を次に説明する。まず、分割爪9 の固定構造に関する改良を説明する。
【0046】
さて、植付け装置において分割爪は植付けケースに締結されているが、分割爪9は使用しているうちに磨耗するため、研磨し直したり交換したりする必要がある。そこで、取り外しできるように一般的には頭付きボルトで植付けケースに締結されている。また、分割爪には苗の掻き取りに際して大きな負荷が掛かるため、ずれ動かないように、一般に、断面コの字形に形成してこれを植付けケースの凸条にきっちり嵌合している。
【0047】
そして、例えば特開2001−136816号公報には、分割爪(公報の名称は掻取爪)の締結手段として、フランジ付きボルトとこれに螺合するナットとを使用することが開示されている。すなわちこの公報では、ボルトの長手中途部にフランジが形成されていると共に、フランジの外側にはスプライン状のハンドル係合部とその外側に位置した雄ねじ部が形成されており、ハンドルでボルトを植付けケースにねじ込むことで分割爪を植付けケースに押さえ固定し、かつ、ハンドルはナットで締結されたまになっている。
【0048】
しかるに、この公報の構成ではスタッドボルトは構造が複雑でコストが嵩み、しかも、締結作業にも手間がかかる。また、分割爪の締結機能から見ると、特開2001−136816号公報のものは通常の頭付きボルトによる転結と相違はなく、このため、分割爪の交換等のためにボルトを取り外すと雌ねじ穴が露出することになり、この雌ねじ穴に水が入る可能性もある。
【0049】
そして、雌ねじ穴に入った水が植付けケースの内部に入り込むと錆やグリスの劣化等の問題が生じるため、雌ねじ穴が植付けケースの内部に貫通することは避けるべきであり、すると、従って、雌ねじ穴は底を有する構造にすべきである。しかし、この底付きの雌ねじ穴の構造では、ドリル加工によって下穴を空けてからタップ加工で雌ねじを形成するにおいて、1番タップ、2番タップ、3番タップというようにタップを使い分けねばならないため作業が面倒であり、また、完全雌ねじを下穴の底面まで形成することが難かしいため、ボルトの引っ掛かり有効長さが短くなるおそれもある。
【0050】
これに対して本実施形態のようにスタッドボルト54とナット55との組み合わせによる締結構造を採用すると、a)単純な締結構造であるため分割爪の取付け・取り外しの作業が容易である、b)スタッドボルトは市販品を使用可能であるためコスト面でも有利である、c)コの字形の掻取爪を植付ケースに強引に嵌め込むにおいて、スタッドボルトで分割爪が位置決めされるため取付け作業の失敗もない、d)雌ねじ穴66を植付ケースの内部に貫通させててもシール性が確保されるため、雌ねじの長さを長くして引き抜き抵抗を増大できると共に、下穴に雌ねじをタップ加工するにおいて、複数本のタップを使用しなくても1番タップ又は2番タップだけでも加工可能になって加工の作業性が良い、といった多くの利点がある。
【0051】
また、本実施形態のスタッドボルト54はねじ無し部54aを挟んだ両側に雄ねじが形成されているが、このようにねじ無し部54aを設けると、ねじ無し部54aを植付ケースに食い込ませることにより、当該ねじ無し部54aがねじ込み深さを規制するストッパーの役目を果たすため、下穴を貫通した状態で雌ねじが全体に切られていても、スタッドボルトは所定寸法だけが露出する状態で正確に植え込みできる利点がある。また、ねじ無し部がシール機能を発揮して、水の侵入を阻止するという利点もある。
【0052】
更に、本実施形態ではスタッドボルトは分割爪の長手方向に沿って複数本(2本)配置されているが、この構成を採用すると、分割爪の安定性・締結強度を向上できて高速掻き取りにも好適である。なお、本実施形態では、前方側の前方に位置した雌ねじ穴66の下穴はオイルシール52の後端と僅かにラップしている。
【0053】
(6).スクレーパとオイルシールとの関係
さて、植付け装置において、押し出し軸43にはオイルシール52とスクレーパ53とを装着することは従来から行われおり、これはシール性を確保するための必須の構成である。そして、従来は、例えば特開2000−139143号公報に開示されているように、オイルシールとスクレーパとを単純に並べた構造にしている。
【0054】
しかし、この構成では、植付け本体ケース34の筒部36も長くなることで掻き取り部の長さが長くなり、曲げ強度を高くできないおそれがある。また、分割爪を2本のボルトで強固に締結するにおいて、一方のボルトはオイルシールと干渉しないように配置せねばならないため、2本のボルトの間の間隔が制約を受けて締結強度アップに限度がある可能性もある。
【0055】
そこで本実施形態では、図11(B)に明示するように、中空の筒部部36にスクレーパ53はオイルシール52とを装着するにおいて(当然ながら、スクレーパ53はオイルシール52の前に配置されている)、スクレーパ53の後端部53aでオイルシール52の先端部52aを覆っている。換言すると、オイルシール52とスクレーパ53とを軸方向に一部重複させている。
【0056】
この構成により、スクレーパ53とオイルシール52との全体の配置長さを短かくできるため、掻き取り部の長さが長くなることを防止して高い曲げ強度を確保できる。また、本実施形態では、既述のとおり、2つの雌ねじ穴66のうち手前に位置した雌ねじ穴66をオイルシール52の後端に近接さけているが、かかる構成とすることにより、オイルシール52の機能は阻害することなく2本のスタッドボルト54の間隔を広げることができて分割爪9の締結強度を向上できる。
【0057】
また、分割爪9の締結用ボルトとして本実施形態のようにスタッドボルト54を採用すると、既述のように雌ねじ穴の下穴を筒分割爪6の内部に貫通させることができるため、完全雌ねじをオイルシール52に近接した箇所まで形成することができる。従って、スタッドボルトの先端をオイルシールに近接させることができるので、その結果、スタッドボルトの長さをできるだけ長くして分割爪9の締結強度を向上できる。
【0058】
(7).プッシュ用アームの改良
本実施形態はプッシュ用アーム41にも工夫を加えている。この点を次に説明する。プッシュ用アーム41によって植付け用周面カム40の回転をオイルシール52押し出し軸43の進退動に変換することは従来から行われおり、その例として例えば特開平10−327632号公報には、プッシュ用アーム(公報の名称は天秤アーム)の前後略中間部にゴム用の座20bを設けることが開示されている。この公報では、プッシュ用アームは全体として板状の外観を呈しており、ばねはプッシュ用アームの先端部を押している。
【0059】
しかし、この構成では、ばねでプッシュ用アームの先端部を押しているため、座20bがクッション体に当たるとプッシュアームに曲げ力が作用する。すると、プッシュ用アームの強度を確保するためには肉厚を厚くする等の対策を取らねばらず、すると、重量増大等の問題が生じるおそれがある。
【0060】
これに対して本実施形態では、図10から理解できるように、プッシュ用アーム41におけるばね受け部41aと緩衝受け部(ゴム当たり部)41bとを同じ位置に設けることにより、第2ばね57の弾性力に起因してプッシュ用アーム41に応力が発生することを防止している。
【0061】
これを一般化すると、「苗マットから苗を1株ずつ掻き取るための分割爪と、前記分割爪で掻き取った苗を押し出して圃場に植え付ける押し出し軸と、前記押し出し軸を往復動させる回動式のプッシュアームと、前記プッシュアームを回動させる植付け用周面カムと、これらが取り付く植付けケースとを有しており、前記押し出し軸は部分的に露出するように植付けケースに摺動自在に装着されており、前記プッシュアームのうち回動支点から遠い先端部に押し出し軸を直接に又は間接的に連結すると共に、前記プッシュアームは前記押し出し軸を前進させる方向にばねで付勢されており、これによって前記プッシュアームが回動すると押し出し軸が往復動するようになっており、更に、プッシュアームがばねで押されて回動すると弾性体で緩衝されるようになっている、という構成であって、前記プッシュアームのうち回動支点と先端部との間の中途部に、前記ばねを受けるばね受け部と前記弾性体に当接する緩衝支持部(太鼓部)とが互いに逆向きに設けられている」と表現できる。
【0062】
この構成によると、ばね受け部41aと緩衝支持部41bとが同じ位置にあるため、プッシュアーム41がクッション体62に当たってもプッシュアーム41に曲げ力は発生せず、このため軽量化しても高い耐久性を確保できる。
【0063】
また、本実施形態では、プッシュ用アーム41を断面T形の基本形として断面係数を高くすることで、強度を保持しつつ軽量化を図っている。すなわち、「前記プッシュ用アーム41のうち少なくとも前記緩衝支持部41bと先端部との間の部分は、当該プッシュ用アーム41の回動軸心と直交した方向から見てセンターリブ41cを有する断面略T形になっている」という構成になっている。プッシュ用アーム41は、中間リンク45を連結するためのリンク連結部41eと、アーム支持ピン42が嵌まる軸支部42fとを有しており、これらの穴は互いに直交した姿勢になっている。
【0064】
本実施形態のクッション体(弾性体)62は円柱形であり、そこで、プッシュ用アーム41の緩衝支持部41bも円形としている。このため、緩衝支持部41bでクッション体62を安定良く支持できる。また、緩衝支持部41bが円形であると、この緩衝支持部41bとセンターリブ41cとが滑らかに連続するため、応力集中がなくて曲げ強度も高い。
【0065】
(8).苗植装置の枠組みの改良
図12〜図14では苗植装置1の枠組みを表示している。本願発明との関連はないが、この点を補足説明しておく。
【0066】
苗植装置1は強度メンバーとしての枠組みを有しており、この枠組みは、図12に示すように苗植装置1の下部を構成するメインフレーム68を有している。そして、このメインフレーム68に左右2本の支持アーム4が固定されていると共に、メインフレーム68のうち左右略中間部にはPTO軸の動力を受ける入力ギアボックス69がボルトで固定されている。支アーム4の下端にはフロート(図1参照)を支持する左右横長のロアフレーム79が保持材を介して固定されている。
【0067】
また、入力ギアボックス69には植付けギアボックス70が固定されており、植付けギアボックス70に左右横長の苗台駆動軸71と植付け伝動軸72とが高さを変えて連結されている。植付けギアボックス70は第1ボルト73でメインフレーム68の上面に固定さている。敢えて述べるまでもないが、苗台駆動軸71によって苗載せ台(図1参照)の横送りと縦送りとが行われ、植付け伝動軸72の回転は支持アーム4に内蔵されたドライブ軸を介して駆動軸5に伝達される。
【0068】
支持アーム4の基端には4つの四角形のフランジ4aが形成されており、メインフレーム68に手前から挿通した4本の第2ボルト74をフランジ4aの四隅にねじ込むことにより、支持アーム4がメインフレーム68に固定されている。従って、支持アーム4のフランジ4aにはタップ穴を設けている。また、植付けギアボックス70に第1ボルト73が貫通するフランジ70aを形成しており、第1ボルト73はメインフレーム68に形成したタップ穴にねじ込んでいる(第1ボルト73は、メインフレーム68に挿入したナット板にねじ込んでも良い。)。
【0069】
メインフレーム68はアルミ等の金属を素材とした押し出し加工品であり、やや上下に長い角形パイプの外観を呈していると共に、内部には上下2枚の仕切り板75を一体に設けている。従って、メインフレーム68は上部空間76と中間空間77と下部空間78との3つの空間に分かれており、第2ボルト74は上下に2本ずつあり、上の2本は上部空間76を通って下の2本は下部空間78を通って支持フレーム4にねじ込まれている。
【0070】
苗植装置のメインフレームは中空の角形になっていることが多く、例えば特開2003−284411号公報には、メインフレームを角形鋼管製とすることが開示されている。他方、特開平11−299314号公報には、メインフレーム68を押し出し加工品とすることが開示されている。また、特開平11−299314号公報では、メインフレーム68の4つの面にそれぞれ蟻溝が形成されており、蟻溝に挿入したナットに外からボルトをねじ込むことにより、支持アーム等の部材が締結される。
【0071】
さて、圃場面には多少なりとも凹凸があるのが普通であり、このため苗植装置1は正面視(背面視)及び側面視の両方において多少なりとも揺動しながら走行する。このため、メインフレーム68には上下方向の曲げ力や軸心回りのねじり力など様々の方向からの力が掛かっている。しかるに、特開2003−284411号公報のようにメインフレーム68が単純な角形であるとねじりに対する強度はかなり低くならざるを得ない。
【0072】
特開平11−299314号公報の場合は、蟻溝を設けたことで角形の部分は小さくなるため、ねじりに対する強度は一層弱くなると懸念される。また、蟻溝をしたようして締結構造では、例えば支持フレームは蟻溝を構成するリップ片に対して締結されるに過ぎないため、支持フレームの締結強度を高くできないおそれもある。更に、蟻溝方式ではボルトやナットがずれ動きやすいため、支持フレーム等の位置保持機能が低くなるおそれもある。
【0073】
これに対して本実施形態のようにメインフレーム68を基本的には角形管の外観としつつ内部に断面横長(略水平姿勢の)の仕切り板75を設けると、仕切り板75のリブ効果によって曲げ強度及びねじり強度を格段に高くできる。また、第2ボルト74はメインフレーム68を貫通しているため、支持フレーム4等の部材のずれがなくて位置保持機能が高いと共に、締結強度も高い。
【0074】
この発明は、「右横長のメインフレームで苗載せ機構部を支持した構成として、前記メインフレームの後面に植付けアームが前向きに突出した姿勢で固定されており、前記植付けアームに植付け爪を有する植付け装置が取付けられている苗植装置において、前記メインフレームは押し出し成形品であり、その内部に、軸方向から見て内部を横断して延びる仕切板が一体に設けられている」という構成に一般化できる。
【0075】
さて、第2ボルト74を支持アーム4のフランジ4aとメインフレーム68とに後ろから貫通させてこれにナットをねじ込むことも可能であるが、この場合は、締結作業においてナットを所定位置に保持しておかほばならないため締結作業が面倒であるのみならず、支持アーム4の付け根部の箇所には植付け伝動軸72等の他の部材が配置されているため、他の部材が邪魔になって締結作業を行いにくいという問題がある。
【0076】
これに対して本実施形態のように第2ボルト74をメインフレーム68に前から挿通してこれを支持アーム4のフランジ4aにねじ込むと、メインフレーム68の手前側には空間が広く空いていることと、一々ナットを手で位置保持してく必要はないこととにより、第2ボルト74のねじ込み作業を楽に行うことができる利点がある。
【0077】
また、本実施形態のように第2ボルト74を仕切り板75の上又は下に位置させると、仕切り板75に穴を空ける必要はないため強度的に優れている。特に、本実施形態のように複数枚の仕切り板を設けてメインフレーム68の内部を上下3つ以上の空間に仕切ると、メインフレーム68は一層頑丈な構造になるため特に好適である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本願発明は田植機に適用して有用性を発揮する。従って、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0079】
1 苗植装置
2 苗載せ台
4 支持アーム
5 駆動軸
6 植付け装置
7 ロータリーケース
8 植付け体
9 分割爪
25 植付け軸
33 植付けケース
37 台座
40 植付け用カム
41 プッシュ用アーム
42 アーム支持ピン
42a アーム支持ピンの一端部
43 押し出し軸
56 押し出し体
59 係合部の一環を成す切欠き
60 係合部の一環を成す長穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗植装置の支持部材に横長の軸心回りに回転するように取付けられたロータリーケースを備えており、
前記ロータリーケースのうち回転軸心から遠い端部に、前記ロータリーケースの回転軸心と平行な軸線回りに回転するように植付けケースが取付けられており、前記植付けケースには、苗マットから苗を1株ずつ掻き取るための分割爪と、前記分割爪から苗を押し出す押し出し軸と、前記押し出し軸を進退動させるためのプッシュ用アーム及びカムが設けられており、前記プッシュ用アームは、前記植付けケースの回転軸心と平行に延びるアーム支持ピンによって前記植付けケースに連結されており、
前記ロータリーケースが回転すると前記植付けケースが公転しつつロータリーケースに対して自転することにより、前記分割爪で苗マットから苗が1株ずつ掻き取られるようになっている、
という構成であって、
前記ロータリーケースの端部には、当該ロータリーケースの回転軸心と平行に延びる軸心回りに回転する台座が、前記ロータリーケースの外側に露出した状態で取付けられており、前記カムは、前記台座の回転中心を貫通した植付け軸に取付けられている一方、
前記アーム支持ピンは、前記台座の側から植付けケースに差し込まれていると共に、前記台座に向いた露出部を有しており、前記アーム支持ピンの露出部と前記台座とに、前記アーム支持ピンを回転不能及び抜け不能に保持する係合手段が形成されている、
田植機のロータリー式植付け装置。
【請求項2】
前記アーム支持ピンの露出部は外周面を部分的に切欠くことで非円形になっている一方、前記台座には、前記アーム支持ピンの露出部が回転不能で抜け不能に嵌まる溝又は段部を形成しており、前記アーム支持ピンにおける露出部の切欠きと前記台座の溝又は段部とで前記係合部が構成されている、
請求項1に記載した田植機のロータリー式植付け装置。
【請求項3】
前記台座の溝又は段部は植付けケースの回転方向に沿って長く延びている、
請求項2に記載した田植機のロータリー式植付け装置。
【請求項1】
苗植装置の支持部材に横長の軸心回りに回転するように取付けられたロータリーケースを備えており、
前記ロータリーケースのうち回転軸心から遠い端部に、前記ロータリーケースの回転軸心と平行な軸線回りに回転するように植付けケースが取付けられており、前記植付けケースには、苗マットから苗を1株ずつ掻き取るための分割爪と、前記分割爪から苗を押し出す押し出し軸と、前記押し出し軸を進退動させるためのプッシュ用アーム及びカムが設けられており、前記プッシュ用アームは、前記植付けケースの回転軸心と平行に延びるアーム支持ピンによって前記植付けケースに連結されており、
前記ロータリーケースが回転すると前記植付けケースが公転しつつロータリーケースに対して自転することにより、前記分割爪で苗マットから苗が1株ずつ掻き取られるようになっている、
という構成であって、
前記ロータリーケースの端部には、当該ロータリーケースの回転軸心と平行に延びる軸心回りに回転する台座が、前記ロータリーケースの外側に露出した状態で取付けられており、前記カムは、前記台座の回転中心を貫通した植付け軸に取付けられている一方、
前記アーム支持ピンは、前記台座の側から植付けケースに差し込まれていると共に、前記台座に向いた露出部を有しており、前記アーム支持ピンの露出部と前記台座とに、前記アーム支持ピンを回転不能及び抜け不能に保持する係合手段が形成されている、
田植機のロータリー式植付け装置。
【請求項2】
前記アーム支持ピンの露出部は外周面を部分的に切欠くことで非円形になっている一方、前記台座には、前記アーム支持ピンの露出部が回転不能で抜け不能に嵌まる溝又は段部を形成しており、前記アーム支持ピンにおける露出部の切欠きと前記台座の溝又は段部とで前記係合部が構成されている、
請求項1に記載した田植機のロータリー式植付け装置。
【請求項3】
前記台座の溝又は段部は植付けケースの回転方向に沿って長く延びている、
請求項2に記載した田植機のロータリー式植付け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−193770(P2011−193770A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62785(P2010−62785)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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