説明

男性用受尿器具

【課題】受尿器本体を陰茎に装着して使用される受尿器具において、受尿器本体が陰茎から容易に外れたり、受尿器本体と陰茎との間から尿が漏れたりすることを防止できる受尿器具を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る受尿器具1は、根元側が陰茎に装着される陰茎装着部6として機能すると共に、先端側が尿を一時的に溜めておくバッファ部7として機能するコンドーム型の受尿器本体5と、バッファ部7内の尿を排出するために受尿器本体5の先端に接続されるチューブ15であって、内部の流路を開閉するストッパー16を有するチューブ15とを備える。また、本実施形態に係る受尿器具1は、バッファ部7内の尿を吸引するための吸引力を発生させる手動式ポンプ30と、手動式ポンプ30の先に接続される蓄尿容器35とからなる、チューブ15の先に接続される蓄尿ユニット35をさらに備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性の陰茎に装着し、尿を受けて導尿するための男性用受尿器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、寝たきりの老人等の要介護者や失禁性排尿が生じる頸髄損傷者等の排尿の処理を適切に行うのは困難なため、排尿をサポートするための器具が色々と提供されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1及び2に開示されているように、離れた場所にある蓄尿タンクと導尿カテーテルで接続された筒状の受尿器を陰茎に装着し、排尿時には排尿を受尿器で受け止め、導尿カテーテルを介して蓄尿タンクに集める構成の採尿器が提供されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−258096号公報
【特許文献2】実開平5−5126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2においては、環状の弾性パッドを用いて筒状の受尿器を陰茎に装着しているが、装着者が寝返りをした場合や、立ち上がったり、歩いたりした場合には、受尿器が陰茎から外れたり、受尿器と陰茎との間に隙間が生じたりして、尿が外部に漏れてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされた発明であり、受尿器本体を陰茎に装着して使用される受尿器具において、受尿器本体が陰茎から容易に外れたり、受尿器本体と陰茎との間から尿が漏れたりすることを防止できる受尿器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る男性用受尿器具は、根元側が陰茎に装着される陰茎装着部として機能すると共に、先端側が尿を一時的に溜めておくバッファ部として機能するコンドーム型の受尿器本体と、前記バッファ部内の尿を排出するために前記受尿器本体の先端に接続されるチューブであって、内部の流路を開閉するストッパーを有するチューブと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る受尿器具によれば、受尿器本体が陰茎から容易に外れたり、受尿器本体と陰茎との間から尿が漏れたりすることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る男性用の受尿器具の基本構成を示す斜視図である。同図に示すように、本実施形態に係る受尿器具1は、根元側が陰茎に装着されるコンドーム型の受尿器本体5と、受尿器本体5が陰茎から抜けないように固定するための第1固定具10と、受尿器本体5の先端部に接続されたビニル製のチューブ15と、を備えている。
【0010】
受尿器本体5は、広げた状態のコンドームのようなコンドーム型の形状をしており、薄さ0.02〜0.2mm程度のラテックスゴム製であり、伸縮性や変形性に富んでいる。受尿器本体5は、伸びていない状態では、直径32mm、長さ180mmの筒型をしている。受尿器本体5の根元側には、陰茎を挿入するための筒部と同径の開口が形成されているが、先端側では徐々に径が細くなっており、先端には、チューブ15を接続するための小孔8が形成されている。
【0011】
受尿器本体5の根元側50mm程度の部分は、陰茎に装着される陰茎装着部6を構成し、先端側130mm程度の部分は、陰茎から排出された尿を一時的に格納するためのバッファ部7を構成する。
【0012】
もちろん、受尿器本体5のサイズは適宜変更可能であり、例えば、受尿器本体5の直径は、25〜45mmの範囲内、長さは、100mm〜200mmの範囲内で変更するようにすれば良い。また、複数の大きさのサイズの受尿器本体を用意しておき、装着者の陰茎のサイズに合わせて選択的に使用するようにしても良い。また、受尿器本体5の陰茎装着部6を隙間無く陰茎に密着させるためには、受尿器本体5の直径は、装着される陰茎の直径よりも細いのが望ましい。
【0013】
第1固定具10は、幅10〜20mm程度の伸縮性包帯であり、図1に示すように、陰茎装着部6において陰茎に装着された受尿器本体5に巻き付けて装着される。なお、第1固定具10を巻き付ける場所は、亀頭の根元側に位置する陰茎装着部6の部分である。伸縮性包帯の端は、テープで留めるようにしても良いし、結んだり、既に巻いた包帯にねじ込んだりして留めるようにしても良い。このように、第1固定具10を受尿器本体5の周りに巻き付ければ、受尿器本体5と陰茎との密着性が担保され、受尿器本体5と陰茎との間に生じた隙間から尿が漏れるといったことを防止できる。
【0014】
チューブ15は、長さ150mm、内径φ4mmのシリコン製のチューブである。チューブ15の一端は、受尿器本体5先端の小孔8に接続されており、受尿器本体5内部とチューブ15内とで流体の行き来が可能である。また、チューブ15の受尿器本体5との接続側(根元側)の端部は、図2に示すように、タコ足状に拡がるようにチューブ15自体に軸方向の切り込みが複数入れられている。このタコ足部15aが受尿器本体5のバッファ部7内に位置するように、チューブ15と受尿器本体5とが接続されている。
【0015】
このようにバッファ部7内にタコ足部15aが介在していれば、受尿器本体5の内面が亀頭やチューブ15の入口端面に密着したり、内面同士が密着したりするといったことを防げる。したがって、バッファ部7内の尿を後述する手動式ポンプによって外部に排出した際に、バッファ部7内に発生する負圧により受尿器本体5の内面が亀頭やチューブ15の入口端面に張り付いてしまったり、内面同士が張り付いてしまったりして排出流路が遮断される、といったことを防止できる。もちろん、手動式ポンプを使用しない場合でも、確実に排出流路を確保できる。
【0016】
チューブ15には、このチューブ15内の流路を閉じて流体の流れを止めるためのクリップ式の開閉ストッパー16が備えられている。ストッパー16が開状態であれば、チューブ15の内部流路内を流体等が通過可能であり、ストッパー16が閉状態であれば、チューブ15内の流路が閉じられ、チューブ15内を流体等が通過することはできない。
【0017】
以上、本実施形態に係る受尿器具1の基本構成について説明したが、続いて、受尿器具1の使用態様について説明する。受尿器具1を使用する際には、受尿器本体5の陰茎装着部6の部分を、その根元側から陰茎に被せ、その後、第1固定具10を陰茎装着部6の周囲に巻き付けることで、受尿器具1を人体に装着する。
【0018】
また、装着後、バッファ部7を軽く押さえるなどしてバッファ部7内の空気を抜いてから、チューブ15のストッパー16を閉じておくと良い。このとき、装着者が包茎の人の場合には、コンドームを装着する場合と同様に、包皮を剥いて亀頭を露わにしたうえで受尿器本体5を装着する。なお、第1固定具10で巻かれる部分の包皮は、できるだけ根元側にたぐり寄せて、伸びきった状態で受尿器本体5を装着するのが望ましい。また、コンドームを装着するときと同様に、受尿器本体5の陰茎装着部6を予めロール状に巻いておき、亀頭側からロール部分を広げることで陰茎を包み込むように装着しても良い。
【0019】
装着後、装着者が排尿した場合には、ストッパー16が閉じているため、尿が受尿器本体5のバッファ部7に溜まることになる。本実施形態では、ゴム製の受尿器本体5のバッファ部7が膨らむことで、300cc程度の尿をバッファ部7に溜めることができる。通常、成人男性が一回に排尿する量は、200cc程度と言われているので、本実施形態に係る受尿器具1であれば、一回の排尿までであれば、十分にバッファ部7に溜めることができる。
【0020】
バッファ部7に尿が溜まった場合、次の排尿に備えて、バッファ部7内の尿を外へ排出する必要がある。バッファ部7に溜まった尿を外へ排出したい場合、装着者がトイレ等の尿を流せる場所に移動できる場合には、そこへ移動し、チューブ16の先端を便器内等に向けた後に、ストッパー16を開けることで、チューブ16の先端からバッファ部7内の尿を排出することができる。もちろん、バッファ部7内に尿が溜まっていなくても、受尿器本体5を装着したままストッパー16を開けて通常の排尿を行うことも可能である。
【0021】
また、装着者が、寝たきりの人など、自由に動くことができない人の場合には、受尿器具1に、図3に示す手動式ポンプ30と蓄尿容器35からなる蓄尿ユニット38をさらに具備させ、蓄尿容器35内に尿を送り出せばよい。図3は、本実施形態に係る受尿器具を構成する蓄尿ユニットの構成を示す斜視図である。
【0022】
図3に示すように、蓄尿ユニット38は、手動式ポンプ30と蓄尿容器35とから構成され、受尿器本体5のバッファ部7内の尿を蓄尿容器35に排出するときには、手動式ポンプ30の一端(上流側)をチューブ15の先端に接続すると共に、手動式ポンプ30の他端(下流側)を蓄尿容器35の流入チューブ36に接続する。
【0023】
手動式ポンプ30は、長さ200mm、内径φ8mmのシリコン製のチューブ31と、チューブ31の上流側(図中左側)に設置された逆止弁32と、チューブ31の下流側(図中右側)に設置された逆止弁33とから構成される。逆止弁32,33は、図中左側から右側(上流側から下流側)へのみ流体を流すように構成されており、チューブ31をつまんで放すのを繰り返すと、手動式ポンプ30の上流側から下流側へと強制的に流体が流されることになる。
【0024】
よって、ストッパー16が開いた状態で、装着者等がチューブ31を複数回シュポシュポとつまんで凹ませるのを繰り返せば、一回当たり5〜10cc程度の尿が、手動式ポンプ30によってバッファ部7から蓄尿容器35へと送られる。また、宇宙ステーション等の無重力環境においても、電力等を必要とすることなく簡単な構成で蓄尿容器35へと尿を排出することができる。なお、蓄尿容器35内に溜まった尿は、蓄尿容器35の下部に設けられた排出口37を開いて排出することができる。
【0025】
就寝時や寝たきりの人の場合には、ストッパー16を開いた状態で蓄尿ユニット38を常時接続しておけば、排尿により受尿器本体5のバッファ部7内に溜まった尿は、排尿圧やバッファ部7の収縮圧等によって蓄尿容器35へと排出される。特に、蓄尿容器35を受尿器本体5のバッファ部7よりも低い位置に設置しておけば、重力によってもバッファ部7内の尿が蓄尿容器35に送出されることになり、この場合には手動式ポンプ30はなくても良い。但し、蓄尿容器35からの逆流を防止するために、蓄尿容器35の入口部分に逆止弁を設けることが望ましい。
【0026】
また、装着者が移動する場合でも、蓄尿ユニット38を接続したうえで、装着者が立ったときに受尿器本体5よりも低くなる位置、例えば、太もも等に蓄尿容器35を固定しておけば、最初の数回のポンプ動作のみで、後は重力によってバッファ部7内に溜まった尿を適宜蓄尿容器35に送出することが可能である。また、蓄尿容器35が受尿器本体5よりも高い位置に設置されている場合や、無重力環境においては、手動でのポンプ作業によって尿を送出する。本実施形態に係る蓄尿容器35は、600ccの尿を溜めることができるので、トイレ等の尿を捨てる場所が無い場合であっても、二回分程度の排尿を溜めておくことが可能である。
【0027】
次に、受尿器具1の装着者が歩いて移動する場合などに、受尿器本体5が陰茎から外れてしまうのをより確実に防止するためには、第1固定具10に加えて、又は第1固定具10に代えて、図4に示す第2固定具20を用いても良い。
【0028】
第2固定具20は、陰茎に装着された受尿器本体5に被せて設置されることで、受尿器本体5を陰茎に密着して固定させるための部材であり、内部に受尿器本体5を収容するための空間を形成する略筒状の形状をしており、縦横に伸縮性の高いストッキング素材(ポリウレタンやナイロン等の合成繊維)で構成されている。
【0029】
図4に示すように、第2固定具20は、受尿器本体5の陰茎装着部6に密着して固定するための陰茎固定部21と、受尿器本体5のバッファ部7を覆って内部に収納するためのバッファ収納部22とから構成されている。第2固定具20の長さは、受尿器本体5よりも少し長い200mmであり、その直径は、陰茎固定部21においては、受尿器本体5にしっかりと密着するために陰茎装着部6よりも細い20mm、バッファ収納部22においては、溜まった尿によって膨らんだバッファ部7を収納可能なように最も大きい箇所で50mmである。
【0030】
第2固定具20の先端には、受尿器本体5の小孔8に接続されたチューブ15を通すための開口23が形成されている。また、第2固定具20の陰茎固定部21には、さらに第2固定具20を締め付けて受尿器本体5への固定を強固にするための締結部材としての一対の締結用紐24a、24bが、円筒状の陰茎固定部21の延伸方向に沿って4つ設置されている。
【0031】
このように、締結部材によって第2固定具20の陰茎固定部21の延伸方向に沿って複数箇所を絞って締め付けるように構成すれば、陰茎が縮んだときに、包皮が亀頭を包むように先端側にずれることで、受尿器本体5が陰茎から外れてしまうといったことを防止することができる。
【0032】
つまり、陰茎が縮んで包皮が先端側に戻ろうとする際に、第2固定具20の締結用紐24a,24bによって締め付けられていない部分の包皮が締め付けられた部分に被るようになり、亀頭の部分まで戻ることを防止できる。いわゆる蛇腹状のように包皮が変形し、余分な包皮が亀頭の部分まで戻るのを阻止することで、受尿器本体5が陰茎から外れるのを防止できる。なお、第2固定具20については、コストダウンを考えた場合、バッファ収納部22を除いた陰茎固定部21のみの構成としても良い。
【0033】
以上、詳細に説明した本実施形態に係る受尿器具1によれば、図1に示した基本構成であれば、陰茎に装着される受尿器本体5と、ストッパー16付きのチューブ15等の小型軽量の部材だけで済むので、装着者は、負担を感じることなく、人体に装着したまま外出が可能である。また、排尿した場合、一回分程度であれば受尿器本体5のバッファ部7内に溜めることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、受尿器本体5の陰茎装着部6を第1固定具10や第2固定具20によってしっかりと陰茎に密着させることができるので、受尿器本体5が陰茎から外れたり、バッファ部7内の尿が外に漏れてしまったりといったことを防止できる。
【0035】
また、長時間トイレ等の尿を排出できる場所に行けないような場合には、蓄尿ユニット38を携帯しておき、必要に応じてチューブ15に接続してバッファ部7内の尿を蓄尿容器35に移せば、受尿器本体5を着脱することなく、引き続き使用することが可能である。このように、受尿器本体5から蓄尿容器35に尿を移す作業は、尿を外部に排出するわけではないので、トイレ等でなくても人目のつかない場所であれば行うことが可能である。
【0036】
また、本実施形態では、受尿器本体5のバッファ部7から蓄尿容器35へと強制的に尿を排出する動力源として、チューブ型の手動式ポンプ30を用いており、小型軽量であり持ち運びに便利であると共に、チューブ型で細いため、ズボンの中に装着すれば、外部から見ただけでは分からないといったメリットがある。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施形態では、受尿器本体5のバッファ部7内の負圧によって受尿器本体5の内面が亀頭やチューブ15の入口端面に張り付いてしまったり、内面同士が張り付いてしまうのを防止するために、受尿器本体5のバッファ部7内に強制的に隙間を形成するための隙間部材として、チューブ15の根元側先端に切り込みを入れたタコ足部15aを用いているが、軟らかい布やスポンジ等で作成した構造物を隙間部材としてバッファ部7内に入れておくことでも同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
また、ストッパー16は、チューブ15の途中を挟み込むクリップ式ではなく、チューブ15の先端に差し込んだりねじ込んだりするキャップ式のストッパーなど、チューブ15内の流路を閉じたり開いたりできる部材であれば適宜他の構成の部材を採用することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、手動式ポンプとして、チューブ型の手動式ポンプ30を用いているが、図5に示すようなゴム球型の手動式ポンプ45を用いても良い。手動式ポンプ45は、ゴム球46、上流側の逆止弁47及び下流側の逆止弁48を備えており、ゴム球46を凹ませることで、上流側から下流側(図中左側から右側)へと流体(尿)が送られる。
【0040】
上記チューブ型の手動式ポンプ30では、一回あたり5〜10cc程度の容量の流体を送ることができたが、容量の大きいゴム球型の手動式ポンプ45であれば、一回あたり20〜30cc程度の流体を送ることができる。よって、ゴム球型の手動式ポンプ45は、携帯性は劣るが、短時間で効率よく受尿器本体5内の尿を蓄尿容器35へと送ることができる。
【0041】
(変形例1)
続いて、本実施形態の変形例1について図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の変形例1に係る受尿器具の構成を示す斜視図である。本変形例1に係る受尿器具は、受尿器本体5を人体に装着するための装着具40を備えたことを特徴としており、その他の構成は、上記実施形態と同様であるため、同様の構成には同じ番号を付し、説明を省略する。
【0042】
同図に示すように、装着具40は、第1帯形布状部材41、第2帯形布状部材42、接続紐44から構成されており、第1帯形布状部材41と第2帯形布状部材42の側縁部が縫い合わされて、筒部が形成されている。第1帯形布状部材41は、第2帯形布状部材42の3分の1程度の長さであり、両者の後側の位置が合わされている。また、筒部の前後端共に開放端であり、装着時には、この筒部内に受尿器本体5が通される。
【0043】
第2帯形布状部材42の前側端部の両端には、接続部材としての接続紐44が縫い付けられ、第2帯形布状部材42の後側端部の両端には、同じく接続紐44が縫い付けられている。これら接続紐44が、腰に装着されたゴム製の腰紐49の前後に設けられたボタンに引っ掛けられることで、装着具40が股間の下側に装着されることになる。
【0044】
本変形例1によれば、接続紐44によって腰紐49に接続された装着具40が、前方から上方へ、且つ、後方から上方へ引っ張られながら人体に装着される。このとき、陰茎が挿入されている受尿器本体5は、装着具40の下面(第2帯形布状部材42の上面)によって、面接触で上方へ押されて、股間の下面に押しつけられると共に、第1帯形布状部材41及び第2帯形布状部材42のよって囲まれた筒内に保持されている。
【0045】
よって、本変形例1によれば、受尿器本体5から陰茎が抜けようとしても、受尿器本体5と陰茎とが密着した状態で装着具40によって股間に押しつけられているため、簡単に抜けることを防止することができ、受尿器本体5を安定して人体に対して固定することができる。なお、装着具40を用いる本変形例1においても、上述した第2固定具20を追加的に、又は第1固定具10の代わりに用いても良いことは言うまでもない。
【0046】
また、本変形例1では、装着具40の接続紐44を腰に装着された腰紐49に取り付けることで受尿器具2を人体に対して装着・固定するように構成したが、腰紐49ではなく、肩に回された紐に接続したり、受尿器具2を下着の中に装着するようにして、下着の上部に接続固定したりするようにしても良く、装着具40を前方及び後方から上方に引っ張りながら装着できるのであれば、接続部材としての接続紐44は任意の位置に固定することができる。
【0047】
また、本変形例1では、装着具を腰紐49に固定するために紐とボタンを用いているが、例えば、面ファスナー、いわゆるマジックテープ(登録商標)等、手軽に着脱可能な接続部材であれば、適宜他の接続部材を採用して固定するようにしても良い。
【0048】
(変形例2)
続いて、本実施形態に係る変形例2について説明する。図7は、本実施形態の変形例2に係る受尿器具への追加ユニットを示す平面図である。本変形例では、図7に示す四分岐コネクタ50を介して、上述した蓄尿容器35だけでなく、給水ユニット60及び送風ユニット65を受尿器本体5に選択的に接続したことを特徴としている。
【0049】
十字型の四分岐コネクタ50は、受尿器本体5へとつながるチューブ15が接続される第1連結部51と、蓄尿ユニット38が接続される第2連結部52と、給水ユニット60が連結される第3連結部53と、送風ユニット65が連結される第4連結部54とを備えている。また、四分岐コネクタ50の第2〜第4連結部52,53,54には、それぞれ開閉弁52a,53a,54aが設けられており、これら開閉弁52a〜54aの開閉を制御することで、第2〜第4連結部52,53,54のうちの何れかの連結部を、第1連結部51と連通させることができる。
【0050】
なお、複数の開閉弁52a〜54aを設けた四分岐コネクタ50の代わりに、ダイヤル式のバルブの操作で、第2〜第4連結部52,53,54のうちの何れかの連結部を、第1連結部51と連通させる構成のコネクタを用いても良い。
【0051】
給水ユニット60は、貯水容器61と、ゴム球型の手動式ポンプ62と、手動式ポンプ62と第2連結部52とを接続するチューブ63とを備えている。手動式ポンプ62は、貯水容器61内の水を四分岐コネクタ50へ向けて圧送するように構成されている。なお、貯水容器61を常に受尿器本体5よりも高い位置に設置する場合には、手動式ポンプ62は無くても良い。
【0052】
送風ユニット65は、ゴム球型の手動式ポンプ66と、手動式ポンプ66と第3連結部54とを接続するチューブ67とを備えている。手動式ポンプ66は、チューブ67と接続された逆止弁と反対側の逆止弁から吸入される空気を四分岐コネクタ50へ向けて圧送するように構成されている。また、手動式ポンプ66のチューブ67と接続された逆止弁には、エア抜きバルブが設置されており、受尿器本体5に送り込まれて戻ってきた循環空気等がこのエア抜きバルブを通じて排出される。
【0053】
よって、本変形例2によれば、四分岐コネクタ50を適宜切り換えることで、蓄尿ユニット38、給水ユニット60又は送風ユニット65の何れかを受尿器本体5と選択的に接続させることができる。
【0054】
例えば、排尿後に、まず蓄尿ユニット38を接続させて受尿器本体5内の尿を蓄尿容器35へと排出した後に、給水ユニット60を接続させて洗浄水を受尿器本体5へと送り込んでバッファ部7内の洗浄を行う。そして、再度蓄尿ユニット38を接続して洗浄液を蓄尿容器35へと排出した後に、送風ユニット65を接続してバッファ部7内に送風することで内部を乾燥させれば、受尿器具の装着者に、快適で衛生的な環境を提供することができる。
【0055】
また、受尿器本体5を装着した後に、まず給水ユニット60を接続してバッファ部7内に給水することで、受尿器本体5から漏れないかどうかを実際に確認することもできる。なお、本変形例2において、四分岐コネクタ50を使用しないで、受尿器本体5へとつながるチューブ15に、蓄尿ユニット38、給水ユニット60又は送風ユニット65をつなぎ替えて使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本実施形態に係る男性用の受尿器具の基本構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るチューブのタコ足部を示す斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る受尿器具を構成する蓄尿ユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る第2固定具の斜視図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るゴム球型の手動式ポンプの斜視図である。
【図6】図6は、本実施形態の変形例1に係る受尿器具の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、本実施形態の変形例2に係る受尿器具への追加ユニットを示す平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1,2 受尿器具
5 受尿器本体
6 陰茎装着部
7 バッファ部
10 第1固定具
15 チューブ
16 ストッパー
20 第2固定具
24 締結用紐
30,45 手動式ポンプ
35 蓄尿容器
38 蓄尿ユニット
40 装着具
50 四分岐コネクタ
60 給水ユニット
65 送風ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
根元側が陰茎に装着される陰茎装着部として機能すると共に、先端側が尿を一時的に溜めておくバッファ部として機能するコンドーム型の受尿器本体と、
前記バッファ部内の尿を排出するために前記受尿器本体の先端に接続されるチューブであって、内部の流路を開閉するストッパーを有するチューブと、
を備えることを特徴とする男性用受尿器具。
【請求項2】
前記バッファ部内の尿を吸引するための吸引力を発生させる手動式ポンプと、前記手動式ポンプの先に接続される蓄尿容器と、を有する、前記チューブの先に接続される蓄尿ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の男性用受尿器具。
【請求項3】
前記受尿器本体と陰茎との密着度を増すために、前記陰茎装着部の周りに巻き付けられる伸縮性包帯からなる第1固定具をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の男性用受尿器具。
【請求項4】
前記受尿器本体と陰茎との密着度を増すために、前記受尿器本体を内部に収容する略筒状のストッキング素材からなる第2固定具であって、前記陰茎装着部に密着する円筒状の陰茎固定部において、その延伸方向に複数の当該陰茎固定部を締め付けるための締結部材を有する第2固定具をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の男性用受尿器具。
【請求項5】
貯水容器と手動式ポンプとを有する、前記バッファ部内に給水するための給水ユニットと、
手動式ポンプを有する、前記バッファ部内に空気を送り込むための送風ユニットと、
前記蓄尿ユニット、前記給水ユニット又は前記送風ユニットを選択的に前記チューブに接続させるための分岐コネクタと、をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の男性用受尿器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−22459(P2010−22459A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184615(P2008−184615)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【特許番号】特許第4212002号(P4212002)
【特許公報発行日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(508114605)
【Fターム(参考)】