説明

画像や文字等のデータが記録される記録媒体が内蔵された電子機器

【課題】電子機器を廃棄する際に、分解することなく簡単な作業で、内蔵された記録媒体からデータが流出するのを確実に防止する仕組みを提供する。
【解決手段】電子機器は、機器本体1と、機器本体1の内部に設けられ、記録媒体が実装される記録基板61と、機器本体1の内部に設けられ、外部機器と接続するための端子穴42が機器本体1の外部に開口する接続端子41が実装される端子基板51とを備える。端子穴42は、前記接続端子41に貫通して設けられ、端子穴42の軸線の延長線上に記録基板61の基板面が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の電子機器に関し、特に画像や文字等のデータが記録される記録媒体が内蔵された電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CDやDVD等の回転ディスクを廃棄する際に、回転ディスクの記録面全域に傷をつけることで、回転ディスクからのデータの読み取りを不能にする装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−288318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示の装置では、デジタルカメラ等の電子機器に内蔵された記録媒体には、対応することができない。デジタルカメラ等の電子機器に内蔵された記録媒体においても、画像や文字等のプライベートなデータが記録されるため、デジタルカメラ等を廃棄する際には、記録媒体からデータが外部に流出しないようにすることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、電子機器を廃棄する際に、分解することなく簡単な作業で、内蔵された記録媒体からデータが流出するのを確実に防止することができる仕組みを有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、機器本体と、前記機器本体の内部に設けられ、記録媒体が実装される記録基板と、前記機器本体の内部に設けられ、外部機器と接続するための端子穴が前記機器本体の外部に開口する接続端子が実装される端子基板とを備え、前記端子穴は、前記接続端子内を貫通しており、前記端子穴の軸線の延長線上に前記記録基板の基板面が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子機器を廃棄する際に、分解することなく簡単な作業で、内蔵された記録媒体からデータが流出するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態における電子機器であるデジタルビデオカメラを正面側から見た外観斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルビデオカメラの表示ユニットを開いた状態を背面側から見た斜視図である。
【図3】図1に示すデジタルビデオカメラのカメラ本体の内部構造の概略を示す斜視図である。
【図4】カメラ本体の接続端子と端子基板の斜視図である。
【図5】接続端子を保持する端子ホルダの斜視図である。
【図6】端子ホルダを端子基板に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】デジタルビデオカメラを廃棄する際に、接続端子の端子穴にスクリュードライバーの軸部を挿入した状態を示す斜視図である。
【図8】図7の状態におけるカメラ本体の端子穴の軸線の延長線に沿う断面図である。
【図9】第2の実施形態におけるカメラ本体の内部構造の概略を示す斜視図である。
【図10】第2の実施形態における端子ホルダを端子基板に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における電子機器であるデジタルビデオカメラを正面側から見た外観斜視図、図2は、図1に示すデジタルビデオカメラの表示ユニットを開いた状態を背面側から見た斜視図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、第1の実施形態におけるデジタルビデオカメラは、カメラ本体1の正面側にレンズ装置2が配置され、上面側にズームレバー11が配置され、背面側に撮影の開始と停止を操作するトリガースイッチ12が配置されている。
【0012】
また、カメラ本体1の正面側から見て右側の側部には、表示ユニット4が開閉可能に支持されている。表示ユニット4は、閉じ状態でカメラ本体1の収納部31に収納され、収納部31には、マイクやテレビ等の外部機器を接続するための接続端子41の端子穴42が外部に開口している。ここで、カメラ本体1は、本発明の機器本体の一例に相当する。
【0013】
図3は、図1に示すデジタルビデオカメラのカメラ本体1の内部構造の概略を示す斜視図、図4は、カメラ本体1の接続端子41と端子基板51の斜視図である。
【0014】
図3に示すように、レンズ装置2の下面側には、端子基板51が水平に設けられており、端子基板51の上側の基板面には、接続端子41が実装されている。レンズ装置2の光軸方向と垂直な側部には、記録基板61が端子基板51に対して略直交するように設けられており、記録基板61の接続端子41側を向く基板面には、半導体メモリ等の記録媒体62が実装されている。
【0015】
また、図3及び図4に示すように、接続端子41の端子穴42は、接続端子41内を記録基板61に向かって貫通している。記録基板61は、その基板面がこの端子穴42の軸線44の延長線上に配置される。記録基板61の基板面には、端子穴42の軸線44の延長線上に、端子穴42の径より小径の例えば円形の穴63が形成されている。尚、記録基板61の接続端子41側の基板面には、穴63の近傍にさらに例えば円形の穴64が形成されている。また、端子基板51にも、後述するボス部73の穴の軸線の延長線上に穴52が設けられる。
【0016】
図5は、接続端子41を保持する端子ホルダ70の斜視図、図6は、端子ホルダ70を端子基板51に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0017】
図5に示すように、端子ホルダ70は、絶縁材等で形成され、断面コ字状のカバー部71と、カバー部71に連設された断面U字状のカバー部72と、カバー部71の側部に設けられたねじ止め用のボス部73と、を備える。
【0018】
そして、図6に示すように、端子ホルダ70のカバー部71で接続端子41を覆った状態で、ボス部73の穴に不図示のねじを挿入して端子基板51の穴52(図3,図4参照)にその先端が係合した状態で締め付けることで、端子ホルダ70が端子基板51に固定される。かかる固定状態においては、端子ホルダ70のカバー部72は、記録基板61の基板面と端子穴42の記録基板61の基板面側の開口との間の空間を、端子基板51の基板面とともに覆うようになっている。
【0019】
図7は、デジタルビデオカメラを廃棄する際に、接続端子41の端子穴42にスクリュードライバー80の軸部を挿入した状態を示す斜視図である。図8は、図7の状態におけるカメラ本体1の端子穴42の軸線44の延長線に沿う断面図である。
【0020】
図8に示すように、接続端子41の端子穴42に挿入したスクリュードライバー80の軸部は、端子穴42、及び端子ホルダ70のカバー部72内に挿通され、先端が記録基板61に形成した穴63に係合する。ここでは、スクリュードライバー80は、プラスねじ用のドライバーである。尚、端子穴42に挿通できる棒状のものであれば、スクリュードライバー80以外のものを用いてもよい。
【0021】
そして、この状態でスクリュードライバー80をさらに強く押すことにより、記録基板61を破壊することができ、これにより、記録媒体62からデータの読み取りが不能となる。
【0022】
このとき、スクリュードライバー80の軸部の先端の斜面部が記録基板61に形成した穴63に係合して、軸部の先端が滑ることなく力を記録基板61に伝えることができ、また、穴63近傍に形成した穴64により記録基板61の破壊がより一層容易になる。
【0023】
また、スクリュードライバー80の軸部の端子穴42から記録基板61側に突出した部分は、端子ホルダ70のカバー部72と端子基板51とで覆われているので、カメラ本体1内の線材や他の高圧回路部に接触するおそれがなく、安全に記録基板61を破壊することができる。
【0024】
以上説明したように、第1の実施形態では、デジタルビデオカメラを廃棄する際に、分解することなく簡単な作業で、内蔵された記録媒体62からデータが流出するのを確実に防止することができる。
【0025】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0026】
例えば、上記第1の実施形態では、記録基板61に2つの円形の穴63,64を形成した場合を例示したが、これに代えて、記録基板61にミシン目形状の穴やスリット状の穴を形成してもよい。また、上記第1の実施形態では、記録基板61に穴63,64を、端子基板51に穴52を設けているが、これらの穴は無くてもよい。さらには、カメラ本体1内の線材や他の高圧回路部を端子穴42の軸線44の延長線近傍に配さない場合は、端子ホルダ70で接続端子41を覆わなくてもよい。
【0027】
(第2の実施形態)
図9および図10を用いて、本発明の電子機器の第2の実施形態を説明する。上述した第1の実施例と同様である部分は、第1の実施例と同一の符号を使用して、その説明を省略する。
【0028】
図9に示すように、レンズ装置2の下面側には、端子基板151が水平に設けられており、端子基板151の上側の基板面には、接続端子41が実装されている。第1の実施形態と同様に、接続端子41の端子穴42の軸線44の延長線に対して、記録基板161の基板面が略直交するように、記録基板161は配置されている。第1の実施形態と同様に、図9に示すように、半導体メモリ等の記録媒体62が接続端子41の端子穴42の軸線44の延長線上に位置するように、記録基板161に実装されている。
【0029】
図10は、絶縁材等で形成された端子ホルダ70を端子基板51に取り付けた状態を示す斜視図である。端子ホルダ70は図5にて、説明したものと同様のものであるが、記録媒体62の厚み分だけ断面コ字状のカバー部172の長さが図3のカバー部72より短くなっている。
【0030】
図10に示すように、端子ホルダ70のカバー部71で接続端子41を覆った状態で、ボス部73の穴に不図示のねじを挿入して端子基板151の穴152(図9参照)にその先端が係合した状態で締め付けることで、端子ホルダ70が端子基板151に固定される。このとき、端子ホルダ70のカバー部72は、記録媒体62の表面と端子穴42の記録基板61の基板面側の開口との間の空間を、端子基板151の基板面とともに覆うようになっている。
【0031】
図7に図示する第1の実施の形態と同様に、図10の接続端子41の端子穴42にスクリュードライバー80(不図示)の軸部を挿入すると、スクリュードライバー80の軸部は、端子穴42、及び端子ホルダ70のカバー部172内に挿通され、先端が記録媒体62の表面に到達する。スクリュードライバー80をさらに強く押すことにより、記録媒体62を確実に破壊することができる。記録媒体62が物理的に破壊されるので、記録媒体62からデータの読み取りが不能となる。
【0032】
また、スクリュードライバー80の軸部の端子穴42から記録媒体62側に突出した部分は、端子ホルダ70のカバー部172と端子基板151とで覆われているので、カメラ本体1内の線材や他の高圧回路部に接触するおそれがなく、安全に記録媒体62だけを破壊することができる。
【0033】
以上説明したように、第2の実施形態では、デジタルビデオカメラを廃棄する際に、記録媒体62を物理的に破壊することができ、より確実に記録媒体62からデータが流出するのを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 カメラ本体
41 接続端子
42 端子穴
51 端子基板
61 記録基板
62 記録媒体
63 穴
64 穴
70 端子ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、
前記機器本体の内部に設けられ、記録媒体が実装される記録基板と、
前記機器本体の内部に設けられ、外部機器と接続するための端子穴が前記機器本体の外部に開口する接続端子が実装される端子基板とを備え、
前記端子穴は、前記接続端子内を貫通しており、前記端子穴の軸線の延長線上に前記記録基板の基板面が配置されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記記録基板の基板面における前記端子穴の軸線の延長線上に、前記端子穴の径より小さい穴が形成されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記記録基板の基板面と前記端子穴の前記記録基板の基板面側の開口との間の空間を、前記端子基板の基板面とともに覆うカバー部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記接続端子を覆った状態で前記端子基板に固定される端子ホルダを更に備え、
前記カバー部は、前記端子ホルダに設けられることを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
機器本体と、
前記機器本体の内部に設けられ、記録媒体が実装される記録基板と、
前記機器本体の内部に設けられ、外部機器と接続するための端子穴が前記機器本体の外部に開口する接続端子が実装される端子基板とを備え、
前記端子穴は、前記接続端子内を貫通しており、前記端子穴の軸線の延長線上に前記記録基板に実装される記録媒体が配置されることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138161(P2012−138161A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244565(P2011−244565)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)