画像データの照合システム
【課題】ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データに対し、実効的な検閲を可能とする照合システムを提供する。
【解決手段】 複数の登録画像データが登録された画像データベース2と、閲覧画像データに基づいて検索光を生成する検索光生成手段3と、閲覧画像データ13と登録画像データとを照合する照合手段4とを有し、画像データベースは、登録画像データに基づいて生成された情報光32と参照マークに基づいて生成された参照マーク光33との干渉縞24によって画像データが記録されたホログラム記録層21を備えたホログラフィック記録媒体20を有し、照合手段は、検索光生成手段によって生成された検索光36をホログラム記録層に照射し、再生される参照マーク光37を検出して閲覧画像データと登録画像データとを照合する。
【解決手段】 複数の登録画像データが登録された画像データベース2と、閲覧画像データに基づいて検索光を生成する検索光生成手段3と、閲覧画像データ13と登録画像データとを照合する照合手段4とを有し、画像データベースは、登録画像データに基づいて生成された情報光32と参照マークに基づいて生成された参照マーク光33との干渉縞24によって画像データが記録されたホログラム記録層21を備えたホログラフィック記録媒体20を有し、照合手段は、検索光生成手段によって生成された検索光36をホログラム記録層に照射し、再生される参照マーク光37を検出して閲覧画像データと登録画像データとを照合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データを照合する照合システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小説、音楽、映画、写真など情報のデジタル化及びインターネットの普及に伴いインターネット上での著作権侵害が問題視されている。これは、情報をデジタル化することにより、品質を落とさず正確に複製することが可能であり、また情報の編集、翻案などの二次利用や三次利用が容易であること、さらにインターネットを通じて公衆送信できることから、他人の著作物を利用しやすい環境であることに起因する。特に、企業等の団体だけではなく、各個人においてもこれらの環境下にあるため、著作権侵害の予防、管理を困難なものとしている。
【0003】
最近、インターネット上で動画を共有する動画共有サービスが提供されているが、この動画共有サービスにおいて著作権侵害が大きな問題となっている。動画共有サービスとはあるユーザーがアップロードした動画データを共有化することで、他のユーザーにもダウンロード可能な状態とさせ、動画を公開、閲覧できるようにしたサービスである。この動画共有サービスには、一日に何万件もの動画データが投稿されており、それらの動画データの中には、著作権を侵害する違法なものも多数含まれているのが現状である。例えば、映画、テレビ番組、ライブ映像、プロモーションビデオなどが著作権者に無断でアップロードされている。
【0004】
従来、動画共有サービスにおける著作権の管理は、利用規約などに著作権を侵害する動画データの投稿を禁止する旨を記載するだけで、各ユーザーの倫理に委ねており、特別な検閲システムを設けていなかった。仮に違法な動画データがアップロードされた場合であっても、第三者から違法な動画データとして指摘されたものについて削除するだけであった。著作権者などは、動画データを再生して、視認することによって違法な動画データを検索し、通報していたが、日々何万件も増加する動画データの全てを確認することは現実的ではなかった。しかも、違法な動画データは、通報して削除されても、ユーザーによって再び投稿されることが多く、従来の対策は実効的なものではなかった。
【0005】
ところで、従来の光相関を利用する画像検索技術は、大量の記録された画像データから入力された画像を検索するにあたって、厚みのない液晶素子や薄いホログラムなどを表示素子として光相関を用いるものがあった。しかし、液晶素子は、大量の記録された画像データを切り替えながら光相関を行うが、画像の切り替えに電気制御が必要であり、1回の相関にかかる時間が制限される。また、記録媒体から蓄積された画像を液晶表示素子に転送してから光相関を行うため転送速度によっても光相関の速度が制限されていた。また、薄いホログラムでは記録容量や記録密度を上げることが困難であった。
【0006】
一方、次世代メモリの一つとして2次元画像データを記録できるホログラフィックメモリが開発されており、中でもランダムアクセスが可能なコリニア方式ホログラフィックメモリは、同軸上で参照光と情報光を干渉させることにより大容量のデータの記録、再生が可能である(特許文献1)。そこで画像検索技術としてコリニア式のホログラフィックメモリである体積型(厚い)ホログラムを用いることにより光相関演算を行うことが提案されている(非特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】 特許第3403068号公報
【非特許文献1】 「全光型超高速光相関による画像検索エンジン」 Optics Japan 2005 講演予稿集 pp260−261、2005年 渡邉恵理子他
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の背景技術を鑑みて、本発明は、ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データに対し、実効的な検閲を可能とする照合システムを提供することを目的とする。さらには、かかる照合システムを用いて著作権の管理や新たなビジネスモデルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照合システムは、ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データを照合する照合システムであって、複数の登録画像データが登録された画像データベースと、前記閲覧画像データに基づいて検索光を生成する検索光生成手段と、前記閲覧画像データと前記画像データベースに登録された登録画像データとを照合する照合手段とを有し、前記画像データベースは、登録画像データに基づいて生成された情報光と参照マークに基づいて生成された参照マーク光との干渉縞によって画像データが記録されたホログラム記録層を備えたホログラフィック記録媒体を有し、前記照合手段は、前記検索光生成手段によって生成された検索光を前記ホログラフィック記録媒体のホログラム記録層に照射し、再生される参照マーク光を検出して前記閲覧画像データと前記登録画像データとを照合することを特徴とする。
【0010】
また、上記照合システムにおいて、前記閲覧画像データが、前記画像データベースに登録されていた場合、前記閲覧画像データに識別データを付加することが好ましく、前記識別データに基づいて、前記閲覧画像データの閲覧条件を変更することがさらに好ましい。
【0011】
また、上記照合システムにおいて、前記ホログラフィック記録媒体は、位置を特定するアドレス層を備えており、前記検索光によって参照マーク光が再生された場合に、参照マーク光を再生させた干渉縞の位置を前記アドレス層によって特定し、当該干渉縞の位置から前記閲覧画像データを特定することが好ましい。
【0012】
また、上記照合システムにおいて、前記閲覧画像データが、前記画像データベースに登録されていた場合、前記画像データベースに当該画像データを登録した登録者に対し、当該画像データに関する情報を提供してもよい。
【0013】
また、上記照合システムにおいて、前記ホログラフィック記録媒体は、円盤状であり、前記ホログラフィック記録媒体を回転させつつ前記検索光を照射することが好ましい。
【0014】
また、上記照合システムにおいて、前記情報光は、空間光変調器の一部の領域に表示された前記登録画像データの再生画像から生成された登録用画像によって空間的に変調されており、前記参照マーク光は、前記空間光変調器の他の一部の領域に表示された前記参照マークによって変調されていることが好ましい。
【0015】
また、上記照合システムにおいて、前記空間光変調器の一部の領域は、複数の離間した領域に分割されており、前記登録画像データが前記複数の離間した領域に分割されて表示され、前記複数の離間した領域の間に、前記参照マークの少なくとも一部が表示されていることが好ましい。
【0016】
また、上記照合システムにおいて、前記検索光は、前記閲覧画像データの再生画像から生成された検索用画像によって空間的に変調されており、前記検索用画像は、前記登録用画像が表示される空間光変調器の一部の領域に表示されることが好ましい。
【0017】
また、上記照合システムにおいて、前記登録画像データには少なくとも一つのキーワードが設定され、前記閲覧画像データは、少なくとも一つのキーワードデータが付加されており、前記照合手段は、前記閲覧画像データを照合する際に、前記キーワードデータから取得したキーワードが設定されている登録画像データを記録したホログラフィック記録媒体に対して、最初に検索光を照射することが好ましい。
【0018】
また、上記照合システムにおいて、前記登録画像データには少なくとも動画データが含まれ、前記動画データを再生した再生動画像から抽出したフレームの静止画像に基づいて前記情報光が生成され、一つの動画データの中で、前記再生動画像から抽出される単位時間あたりのフレーム数が可変であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の照合システムを利用することにより、ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データに対し、画像データベースに登録されている登録画像データと照合することができるので、一括して登録画像データの管理や著作権の保護又は許諾を実行することができ、また画像データベースに登録された範囲内において、検閲することができ、違法な画像データがアップロードされることによる侵害行為、さらには登録者からの権利行使を回避することができる。その他の効果については、以下の実施の形態において記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図1は、本発明の照合システムを示す概略構成図であり、図2はデータの流れを概略的に示すブロック図である。図1において、クライアント群10が接続されたネットワーク11が形成されており、ネットワーク11上には画像データをクライアント群10に閲覧可能に提供するサイト12が開設され、サイト12に閲覧可能な状態とされる閲覧画像データ13を照合する照合サーバ1が設けられている。最初に、照合システム全体及びそのビジネスモデルについて概略的に説明し、その後、照合システムの具体的な構成について詳述する。
【0021】
照合サーバ1には、複数の登録画像データが登録された画像データベース2と、閲覧画像データ13に基づいて検索光を生成する検索光生成手段3と、閲覧画像データと画像データベース2に登録された登録画像データとを照合する照合手段4とが設けられている。登録画像データは、登録者5、6から提供されて、画像データベース2に登録される。なお、画像データは、動画データ及び静止画データを含み、特に現状では動画データの照合システムの要求が高いことから、登録画像データとしては、少なくとも動画データ(登録動画データ)を含むことが好ましい。
【0022】
登録者5、6は、例えば、サイト12の運営者や、登録画像データの著作権者又は制作者などである。ここで、図2に示すように、登録画像データについて、そのタイトル、閲覧条件、キーワードなどの登録データも同時に登録することができる。
【0023】
クライアント群10は、サイト12を利用する複数のクライアントから構成されており、ネットワーク11に接続されており、サイト12のサーバーに対し画像データの閲覧要求などを出すことができる。例えば、クライアント群10としては、画像共有サイトのユーザーや有料コンテンツの会員などが挙げられ、具体的な端末装置としては、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話などが挙げられる。
【0024】
ネットワーク11は、クライアントの端末装置間を結ぶ電気通信回路網であり、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0025】
サイト12は、クライアント群10に閲覧画像データを提供するコンテンツが用意されており、図1においては、閲覧条件の異なるA,B,Cのコンテンツが用意されている。A,B,Cのコンテンツとして、例えば、完全無料コンテンツ、一部のみ視聴可能コンテンツ、有料コンテンツなどが挙げられる。サイト12は、投稿される閲覧画像データについて、投稿時にキーワードを設定させることもできる。
【0026】
閲覧画像データ13は、照合サーバ1で照合された後に、サイト12において閲覧可能な状態とされるものである。図1では、閲覧画像データ13は、クライアント群10からネットワーク11を通じてサイト12のサーバーにアップロードされている。なおアップロードされた閲覧画像データ15は、他のクライアントからの閲覧要求に基づいて、そのクライアントの端末装置にネットワーク11を通じてダウンロードされる。閲覧画像データ13は、クライアント以外によって閲覧可能な状態とされてもよいし、ネットワーク以外の手段によってサイト12に送信されてもよい。さらに、サイト12にはリンクのみを貼り付けて、閲覧画像データ13そのものは画像データの提供者の端末装置中に保存した状態としてもよい。ここで、サイト12に貼り付けられたリンクを介して他のクライアントから閲覧要求があった場合には、提供者の端末装置から他のクライアントの端末装置に直接ダウンロードされる。
【0027】
また、閲覧画像データ13には、照合及び検索を容易とするためのキーワードデータを少なくとも一つ付加させることが好ましい(図2参照)。キーワードデータは、閲覧画像データ13の投稿者に任意に選択させてもよいが、予め画像データの分野を特定するキーワードを設定しておいてもよい。また、キーワードを入力しないとサイト12に投稿できない構成としてもよい。このキーワードデータは、サイト12において、クライアントが画像を検索する場合に使用されてもよいし、照合サーバ1の画像データベース2において照合を容易にするために使用されてもよい。例えば、画像データベース2に画像データを登録する際に、登録データとしてキーワードを記録しておき、キーワードデータに該当する画像データから照合したり、画像データベース2として分野やキーワード別に画像データを登録して、キーワードデータに該当する領域から照合してもよい。
【0028】
照合サーバ1によって照合された照合済み閲覧画像データ14には、識別データを付与することが好ましい。識別データは、照合サーバ1において照合済という履歴を付与するだけでもよいし、閲覧画像データ13が画像データベース2に登録されているか否かを識別するものでもよいし、さらに閲覧画像データ13が画像データベース2に登録されている場合は、閲覧条件や登録データの一部を含めてもよい。
【0029】
例えば、照合サーバ1において照合済という識別データが付与された閲覧画像データ14が、他のクライアントにダウンロードされ、他のクライアントから再び投稿された場合、照合サーバ1は、照合済という識別データを認識して、その識別データが付与された閲覧画像データ14について照合の要否を判断できる。また、識別データとして画像データベース2に登録されているか否かの情報を含んでいれば、登録の有無で閲覧条件を変更したり、ネットワーク上における画像データの管理をすることができる。さらに画像のタイトルや閲覧条件等の情報も識別データに含めれば、より細かい閲覧条件の設定や管理が可能となる。
【0030】
閲覧条件としては、例えば、画像データを閲覧させずに削除したり、有料コンテンツとしたり、閲覧回数に応じて課金したり、一部だけ視聴可能としたり、無効コンテンツとする等が挙げられる。
【0031】
図1においては、閲覧画像データ13は、照合サーバ1の画像データベース2と照合され、照合結果に応じてA〜Cの識別データが付与されており、A〜Cの識別データに基づいて、サイト12に用意されたA,B,Cの各コンテンツにアップロードされている。
【0032】
なお、識別データは、閲覧画像データのうち、画像データベース2に登録されているものにのみ付与される構成であってもよい。また、照合サーバ1において照合結果に応じた閲覧画像データの処理を行う場合は、閲覧画像データに識別データを付与しなくてもよい。例えば、画像データベース2に登録されている画像データについて、一切閲覧させず、アップロードさせない場合であれば、かかる閲覧画像データは照合サーバ1において削除すればよく、サイト12にアップロードされる閲覧画像データには識別データを付与しなくてもよい。他にも、単なる調査や画像データの投稿回数などを管理するだけであれば、照合サーバ1においてそれらの情報を登録者に提供すればよく、閲覧画像データ13に識別データを付与しなくてもよい。
【0033】
さらに、照合サーバ1又はサイト12は、閲覧画像データが画像データベース2に登録されていた場合、当該画像データを画像データベース2に登録した登録者に対し、画像データに関する情報を提供してもよい(図2参照)。画像データに関する情報とは、例えば登録した画像データの投稿回数、閲覧(ダウンロード)回数、画像データを投稿したクライアント情報等が挙げられる。
【0034】
また、照合サーバ1は、画像データベース2に登録されている画像データを投稿したクライアントに対し、当該画像データを投稿することが著作権を侵害することを通告する警告メッセージを送信してもよい(図2参照)。このように警告メッセージを送信することにより、クライアント群10の著作権に対する意識を高めることができる。
【0035】
以上のような照合システムを利用すると、登録者5,6は、それぞれ管理したい画像データを登録画像データとして画像データベース2に登録することで、一括してネットワーク11上における登録画像データの管理や著作権の保護又は許諾を実行することができる。また、サイト12は、閲覧画像データについて、画像データベース2に登録された範囲内において、検閲することができ、違法な画像データがアップロードされることによる侵害行為、さらには登録者からの権利行使を回避することができる。
【0036】
つまり、照合サーバ1は、登録者5,6に対し、管理したい画像データを画像データベース2に登録するサービスを提供でき、また登録画像データの管理の一部を代行するサービスも提供できる。さらに、照合サーバ1は、サイト12に対し、画像データベース2に登録された範囲内において閲覧画像データの検閲サービスを提供でき、閲覧画像データの管理の一部を代行するサービスも提供できる。なお、登録者5,6やサイト12自体が照合サーバ1を提供することもできる。
【0037】
ここで、図3〜図9を用いて、照合サーバ1における具体的な構成及び動作について説明する。図3は、照合サーバ1の具体的な構成を示すものであり、ホログラフィック記録媒体20と、情報処理装置30と、光学系40とを有している。前述したとおり、照合サーバ1には、画像データベース2と、検索光生成手段3と、照合手段4とが設けられているが、ホログラフィック記録媒体20は画像データベース2の一部を構成し、情報処理装置30及び光学系40は検索光生成手段3及び照合手段4を構成する。
【0038】
図3において、ホログラフィック記録媒体20は、表面保護層22と反射層23との間に感光材料からなる厚いホログラム記録層21を挟み込んだ反射型の記録媒体である。ホログラフィック記録媒体20のホログラム記録層21には、登録画像データに基づいて生成された情報光と参照マークに基づいて生成された参照マーク光との干渉縞24によって画像データが記録されている。ホログラフィック記録媒体20として円盤状のものを採用すると、回転させながら照合することができるので、照合速度を高めることができる。また、ホログラフィック記録媒体20は、干渉縞24の位置を特定するアドレス層を備えていることが好ましい。例えば、アドレス情報として、反射層23の表面に設けられた凹凸形状によってピットを形成し、反射層23をアドレス層としてもよい。ホログラフィック記録媒体20の表面保護層22として、ガラス基板を利用すると、温度変化等による収縮等を抑えることができる。反射層23としてはアルミニウム等の金属材料を利用することができる。
【0039】
情報処理装置30は、ネットワークに接続されており、照合システムで実行される各種の情報処理を行う。例えば、閲覧画像データの再生及び検索用画像の作成、登録データの記録及び再生、干渉縞の記録位置と登録画像データとの対応関係の記録及び再生、閲覧画像データに識別データの付与、キーワードデータに基づいて照合順序の決定、画像データに関する情報の送信、警告メッセージの送信などが挙げられる。
【0040】
光学系40は、ホログラフィック記録媒体20に干渉縞を記録したり、ホログラフィック記録媒体20に記録されている登録画像データと閲覧画像データとを照合することができる。光学系40は、ホログラム用レーザー41、ミラー42、空間光変調器43、偏光ビームスプリッタ44、第1のリレーレンズ45、ミラー46、第2のリレーレンズ47、ビームスプリッタ48、四分の一波長板49、対物レンズ50、アパーチャー51、参照マーク光検出器52を有し、さらにアドレス用レーザー60、ビームスプリッタ61、ミラー62及びアドレス光検出器63を有している。
【0041】
ホログラム用レーザー41は、干渉縞の記録時には情報光や参照マーク光の光源となるものであり、照合時には検索光の光源となるものであり、例えば青色レーザや緑色レーザなどの短波長の高出力レーザが好ましい。空間光変調器43は、複数の画素を有し、各画素毎に光の属性を変化させることで、光を空間的に変調することができるものであり、例えば液晶表示装置やDMD(Digital Micromirror Device)を利用することができる。図3においては空間光変調器32としてDMDを用いている。偏光ビームスプリッタ44は直交する偏光方向の一方を透過し、他方を反射するものであり、記録媒体20に向かう情報光、参照マーク光及び検索光を透過し、記録媒体によって再生された参照マーク光を参照マーク光検出器52に向けて反射する。第1及び第2のリレーレンズ45、47は、空間光変調器43に表示された画像を対物レンズの焦点面に結像させる。ビームスプリッタ48は、アドレス用レーザー60からの光を記録媒体20に向けるためのものである。四分の一波長板49は、直線偏光を円偏光に変換するものであり、2回透過させることで直線偏光を90度回転させることができる。この四分の一波長板49によって参照マーク光は、照射時には偏光ビームスプリッタ44を透過し、再生時には偏光ビームスプリッタ44によって反射されるのである。対物レンズ50は、空間光変調器43に表示された画像をフーリエ変換して記録媒体20のホログラム記録層21に照射するものである。アパーチャー51は、記録媒体20で反射された検索光を遮光し、再生された参照マーク光のみを参照マーク光検出器52に通過させる開口を有する。参照マーク光検出器52は、再生された参照マークを検出するものであり、特に好ましくは、参照マーク光の光強度を検出するものである。例えばピンフォトダイオード、CMOSセンサやCCDセンサを利用できる。
【0042】
ホログラム用レーザー41から照射された光は、ミラー42によって反射され、空間光変調器43によって空間的に変調され、偏光ビームスプリッタ44を透過し、第1及び第2のリレーレンズ45、47によってリレーされ、その途中ミラー46によって反射され、ビームスプリッタ48及び四分の一波長板49を透過し、対物レンズ50によってフーリエ変換されて記録媒体20のホログラム記録層21に照射される。ホログラム記録層21において参照マーク光が再生された場合、反射層24で反射された参照マーク光は、記録媒体20から射出され、照射時とは反対方向に、対物レンズ50、四分の一波長板49、ビームスプリッタ48、第1及び第2のリレーレンズ45、47、ミラー46を経て、偏光ビームスプリッタ44によって反射され、アパーチャー51を通過して参照マーク光検出器52に入射する。
【0043】
また、アドレス用レーザー60、ビームスプリッタ61、ミラー62及びアドレス光検出器63は、記録媒体20にアドレス層を設けた時に、アドレス層から照射位置を特定するためのものであり、アドレス用レーザー60から照射された光は、ビームスプリッタ61を透過してミラー61によって反射され、さらにビームスプリッタ48によって反射され、四分の一波長板49を透過し、対物レンズ50によって記録媒体20のアドレス層に照射される。記録媒体20からの反射光は、光学系を逆に通過し、ビームスプリッタ61によって反射され、アドレス光検出器63で検出される。アドレス用レーザー60としては赤色光等の比較的長波長のレーザを利用することが好ましい。
【0044】
以下、照合サーバ1の動作について説明するが、まず、画像データベース2を作成するため、ホログラフィック記録媒体20に登録画像データとして動画データ(登録動画データ)を記録する動作について説明する。図4は情報処理装置30における画像加工処理のフローチャートである。
【0045】
情報処理装置30は、登録者から提供された登録動画データを再生し、再生動画像から記録するフレームの静止画像を抽出する(S41〜S43)。そして、抽出された静止画像に対し、必要な前処理を行い登録用画像を生成し(S44)、登録用画像を空間光変調器43に出力する(S45)。記録するフレーム数を増やすと、照合の精度を高めることができるが、その分、記録する干渉縞の数が増えるので必要とされる記録容量が増加し、また記録及び照合に要する時間も長くなる。このため、動画データから記録するフレームを抽出する場合に、変化の激しい場面では記録するフレーム数を増やし、変化の少ない場面では記録するフレーム数を減らして、記録する単位時間あたりのフレーム数(fps:フレーム数/秒)を可変とすることが好ましい。例えば、一般的なデジタル化された動画データは、VBR(Variable Bit Rate:可変ビットレート)を利用して圧縮されており、変化の激しい場面ではビットレートが高く、変化の少ない場面ではビットレートが低いので、映像のビットレートに基づいてfpsを変更してもよい。
【0046】
図5(A)は空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、(B)は情報光32及び参照マーク光33による干渉縞の記録動作を示す概略図である。なお、図5(B)の画像が表示される面34(図3においてはリレーレンズ45、47で結像される面)は、対物レンズ50から対物レンズ50の焦点距離fだけ離間した位置に配置されている。図5(A)において空間光変調器43は、円形であり、その一部の領域43a(図6(A)の斜線部)に情報処理装置30から入力された登録用画像31を表示して、光源41からの光を空間的に変調することで情報光32を生成する。また、空間光変調器43は、他の一部の領域43bに参照マークを表示して、光源41からの光を変調することで参照マーク光33を生成する。そして、情報光32及び参照マーク光33は、対物レンズ50によってフーリエ変換され、記録媒体20の厚いホログラム記録層21において干渉し、干渉縞24が厚いホログラム記録層21に立体的に記録される(つまり、体積ホログラムが形成される)。その後、動画データの各登録用画像31について、ホログラム記録層21の異なる位置に、順次記録していくことにより、動画データを画像データベースに登録する。このように、情報光と参照マーク光とを同一の空間光変調器43によって生成することにより、情報光及び参照マーク光の位相を揃えることができ、強い干渉縞を形成することができる。
【0047】
空間光変調器43の領域43aには、登録用画像31の少なくとも一部が表示される。勿論、登録用画像31の全部が表示できる広さの領域であってもよい。また、領域43aは、必ずしも登録用画像31と同一形状でなくてもよく、検索用画像と光相関演算するのには十分な画像を表示できればよい。図5(A)においては、領域43aは、登録用画像31の画像サイズよりも僅かに小さく、空間光変調器32が円形であるため、登録用画像31の四隅を表示できていない。しかしながら、画像の殆どの部分が表示されているので、その干渉縞は検索用画像によって生成された検索光と光相関演算することができる。
【0048】
空間光変調器43の領域43bは、領域43aの周囲に少なくとも一つ配置され、参照マークが表示される。情報光32及び参照マーク光33は、空間光変調器によって回折されることで各画素からの発散光の集合となり、その情報光及び参照マーク光における各画素からの発散光が対物レンズ50によって平行光として記録媒体20に照射されることで、全体としては収束する情報光と参照マーク光とを交差させることができ、干渉縞を形成することができる(図5(B)参照)。また、参照マーク光は、照合時においては、検索用画像と登録用画像との光相関演算の結果を判定するものであり、その検出の容易性が検索速度に影響する。光相関演算の結果としては、参照マーク光の光強度を検出する方式とすることが好ましい。なお、参照マークが表示される領域43bは、四角形状に限定されるものではなく種々の形状を取ることができるし、参照マーク自体が空間変調パターン、例えばランダムパターンであってもよい。
【0049】
図5(A)において、領域43bは、登録用画像31が表示される領域43aの上方に配置され、領域43aに比べて極めて小さい4画素(2×2画素)の領域である。このため、参照マーク光33は点光源のように発散し、情報光32と干渉して干渉縞を形成する。なお、領域43aは、320×240画素の登録用画像31の殆どを表示できる7万画素以上の広さである。
【0050】
図6に示すように、参照マークを複数箇所に表示して、複数の参照マーク光によって干渉縞を形成してもよい。図6は、空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、登録用画像31が表示される領域43a(点線で示す)の周囲に、400画素(20×20画素)の参照マークが表示される領域43bが12個配置されている。図7は参照マーク43bの配置位置とホログラムに書き込まれる干渉縞との関係を表す図である。図7(A)は、参照マーク43bを画像43aの左側に配置して記録した場合の干渉縞である。図7(B)は、参照マーク43bを画像43aの下側に配置して記録した場合の干渉縞である。図7(C)は、参照マーク43bを画像43aの左側および下側に配置して記録した場合の干渉縞である。干渉縞は、参照マーク43bによる点光源と画像43aとの干渉であることから、点光源と画像の光路差が波長λの整数倍となる方向に縞が現れる。従って、点光源が画像に対してどの位置に来るかによって干渉縞の方向が異なる。また、図7(C)のように、それぞれ異なる方向に干渉縞が現れるように点光源を配置すると、2次元の干渉縞が形成される。このように2次元の干渉縞とすることにより、照合時における検索用画像のシフト許容値を大きくすることができる。つまり、検索用画像が登録用画像に対して上下左右に位置がずれていたとしても、参照マークを再生できる範囲が広がるのである。なお、図6では、領域43bの大きさを400画素、領域43bの数を12個としたが、領域43bの大きさと数は適宜変更することができる。
【0051】
さらに好ましくは、図8(A)〜(C)に示すように、登録用画像が表示される空間光変調器の一部の領域43aは、複数の離間した領域に分割されており、登録用画像31が複数の離間した領域に分割されて表示され、複数の離間した領域の間に、参照マークが表示される領域43bの少なくとも一部が配置されているとよい。図8(A)は、空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、(B)は登録用画像31の一例であり、(C)は、空間光変調器43の領域43aに分割した登録用画像を表示した状態を示す図である。図8(A)においては、登録用画像が表示される領域43a(実線で示す)は、4つに分割されており、登録用画像31は4分割して表示される。領域43aの間の十字部分とその上下に、400画素(20×20画素)の参照マークが表示される領域43b(点線で示す)が13個配置されている。なお、図8においては、参照マークが表示される領域43bは、複数の四角形状の領域が配置されているが、領域43aの間の十字部分とその周囲の「田」状の領域を領域43bとしてもよいし、その「田」状の領域全体を参照マークとしてもよいし、領域43b内の画素をランダムにオン状態としてもよい。
【0052】
これらの空間光変調器43における登録用画像が表示される領域43a及び参照マークが表示される領域43bの表示方式の違いによる照合結果への影響について図9〜11を用いて説明する。図9〜11の各図は、各表示方式で記録したデータベースにおけるエラーレートを示す図であり、縦軸はエラーレートで、横軸は規格化された相関信号(参照マーク光の光強度)に関する閾値である。エラーレートは、2つのエラー曲線から構成されており、一方は、登録された画像を未登録と誤認した時の登録画像拒否率(FRR:False Rejection Rate)であり、他方は、異なる画像を記録された画像と誤認した時の他画像受入率(FAR:False Acceptance Rate)である。登録画像拒否率FRR及び他画像受入率FARは、それぞれ閾値を変化させた時の照合結果の正誤率から求められる。図9〜11は、10秒の動画データを30本用意して、各30fps(フレーム/秒)で記録することにより、9000枚の登録用画像を登録した画像データベースを作成し、登録した30本の動画データから各1フレーム抽出して30枚の検索用画像をそれぞれ9000枚の登録用画像と照合して取得した相関信号を閾値と比較して大きい場合を登録用画像と判断させた時の登録画像拒否率FRR及び他画像受入率FARである。
【0053】
登録画像拒否率FRRと他画像受入率FARとが交差する値は、登録画像拒否率FRRと他画像受入率FARの双方が共に小さくなる閾値であり、その時のエラーレートをEER(Equal Error Rate)と呼び、EERが一定の範囲を有する時にその範囲を閾値領域と呼ぶ。図9〜11において、閾値領域の範囲を一点鎖線で示す。EERは小さいほど好ましく、EERが0%であれば、登録画像拒否率FRRも他画像受入率FARも0%であり、理論上はエラーが発生しない。また閾値領域の広さは照合の信頼性を示し、広いほど照合の信頼性が高いことを意味する。なお、類似した画像の照合も可能とするために、敢えて閾値を閾値領域よりも小さい値として、他画像受入率FARを高くしてもよい。
【0054】
図9(A)〜(C)は、図5に示すように登録用画像が表示される領域43aの上方に1つの参照マークが表示される領域43bを配置して記録した場合であり、(A)は2×2=4画素の参照マークを、(B)は10×10=100画素の参照マークを、(C)は20×20=400画素の参照マークを配置した結果である。図9(A)〜(C)のEER及び閾値領域を表1の2〜4段(参照マーク配置が「上方」の3行)に示す。図9(A)〜(C)から、参照マークを一箇所に配置する場合、参照マークを4画素とした時(図9(A))の方が、参照マークを100画素又は400画素にした時(図9(B)又は(C))よりもEERを小さくすることができ、また閾値領域も広くすることができた。これは、参照マークを小さくすることにより、空間光変調器における発散が大きくなり、広い範囲で情報光と干渉できたためであると推測される。100画素又は400画素に比べて、10画素以下の場合、EER及び閾値領域が優れていた。
【0055】
図10(A)、(B)は、図6に示すように登録用画像が表示される領域43aの周囲に複数の参照マークが表示される領域43bを配置して記録した場合であり、(A)は20×20=400画素の参照マークを12個、(B)は10×10=100画素の参照マークを40個配置した結果である。図10(A)、(B)のEER及び閾値領域を表1の5〜6段(参照マーク配置が「周囲」の2行)に示す。図10(A)、(B)と図9(A)〜(C)を比較すると、参照マークを周囲に複数配置した方が、EERを小さくでき、また閾値領域も広くできることが分かる。
【0056】
図11(A)〜(C)は、図8に示すように登録用画像が表示される領域43aを分割して、その間及び周囲に複数の参照マークが表示される領域43bを配置して記録した場合であり、(A)は領域43aを4分割して20×20=400画素の参照マークを12個、(B)は領域43aを4分割して10×10=100画素の参照マークを40個、(C)は領域43aを9分割して10×10=100画素の参照マークを40個配置した結果である。図11(A)〜(C)のEER及び閾値領域を表1の7〜9段(参照マーク配置が「〜分割間」の3行)に示す。図11と図10とを比較すると、登録用画像が表示される領域43aを分割して、その間及び周囲に複数の参照マークを表示する方式が最も閾値領域を広くできることが分かる。
【0057】
【表1】
【0058】
さらに、干渉縞24を記録する際に、アドレス用レーザー60及びアドレス光検出器63を用いて、アドレス層から干渉縞24の記録位置を特定し、干渉縞24の記録位置と記録した登録用画像31又は登録動画データとの対応関係を情報処理装置の記録手段などに記録しておくことが好ましい。この対応関係を記録しておけば、照合時において、参照マーク光を再生した干渉縞の位置をアドレス層から特定することで、その干渉縞24を記録した登録用画像31又は登録動画データを特定することができる。また、登録者が、登録画像データに登録データを設定している場合、登録データと登録画像データ又はその干渉縞24の記録位置との対応関係を情報処理装置の記録手段などに記録しておく。
【0059】
次に、照合時の動作について説明する。図12は照合サーバ1における照合処理のフローチャートである。情報処理装置30は、閲覧画像データを取得して、検索用画像を生成し、空間光変調器43に出力する(S81〜S83)。そして、光学系40において、検索光を生成し、記録媒体20の干渉縞24に検索光を照射する(S84、S85)。そして、参照マーク光の再生の有無を判断し、再生しなかった場合(S86→S87)は、次の干渉縞に検索光を照射する(S87→S85)。また次の干渉縞がない場合(S87→S88)は、次の検索用画像についての検索を行うが(S88→S83)、次の検索用画像もない場合(S88→S89)は、閲覧画像データが画像データベース2に登録されていないと判断して、その識別データを付与する。参照マーク光が発生した場合(S86→S90)は、発生した参照マーク光の光強度を閾値と比較して、閾値未満の場合(S90→S87)は、次の干渉縞に検索光を照射する(S87→S85)。そして閾値以上の場合(S90→S91)は、当該干渉縞の記録位置を特定し、当該記録位置の登録画像データについての登録データを検索して、それらの照合結果を識別データとして付与する(S91、S92、S89)。なお、閾値以上の場合もそのまま照合を続けて、画像データベースの全てと照合させてもよい。
【0060】
検索用画像を作成する処理(S82)は、図4の画像加工処理と同様の処理を閲覧画像データについて行えばよい。なお、閲覧画像データが動画データの場合、検索用画像は、閲覧動画データの再生画像から抽出された最低1フレームの画像に基づいて作成されるが、場面の異なる複数のフレーム画像を検索用画像として利用すれば、照合の精度を高めることができる。また、検索用画像は、登録用画像31と同じ前処理を行うことが好ましく、登録用画像の表示方式と同じ表示方式で空間光変調器に表示することが好ましい。
【0061】
図13(A)は空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、(B)は検索光36による照合時の動作を示す概略図である。なお、図13は、図5の表示方式で記録した画像データベースに対し照合する場合であり、図13(B)の画像が表示される面34は、対物レンズ50から対物レンズ50の焦点距離fだけ離間した位置に配置されている。図13(A)において空間光変調器43は、円形であり、その一部の領域43c(図13(A)の斜線部)に情報処理装置30から入力された検索用画像35を表示して、光源41からの光を空間的に変調することで検索光36を生成する。そして、検索光36は、対物レンズ50によってフーリエ変換され、記録媒体20の厚いホログラム記録層21に記録された干渉縞24に照射される。検索用画像と登録用画像の類似度が高いほど、検索光36と干渉縞24の干渉が強くなり、光相関演算の結果として参照マーク光37(相関信号)が強く再生される。再生した参照マーク光37は、対物レンズ50によって、表示面34に参照マークを結像し、表示面34近傍に配置されたアパーチャー51の開口を通過して参照マーク光検出器52によって検出される。
【0062】
検索用画像35が表示される領域43cは、登録用画像31を表示した領域43aと同じであることが好ましい。図13(A)においても、領域43cは、検索用画像35の画像サイズよりも僅かに小さく、検索用画像35の四隅を表示できない図5(A)の領域43aと同じ領域である。
【0063】
参照マーク光検出器52は、少なくとも参照マーク光の光強度を検出し、検出された参照マーク光の光強度は、情報処理装置において、予め定められた閾値と比較され、閾値未満であれば不一致として別の干渉縞や別の検索用画像を用いて照合処理を続ける。閾値以上の場合、アドレス用レーザー60及びアドレス光検出器63を用いて、アドレス層から干渉縞24の記録位置を特定する。さらに、情報処理装置の記録手段等に記録された干渉縞24の記録位置と登録用画像又は登録動画データとの対応関係から、その干渉縞24の登録用画像又は登録動画データを特定し、これまた情報処理装置の記録手段等に記録された登録動画データの登録データを読み出して、識別データとして閲覧動画データに付与する情報を検索する。なお、識別データとして登録データの一部を含ませない場合は、これらの処理は不要である。
【0064】
図14(A)は、図8の表示方式で記録した画像データベースを照合する場合についての空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、(B)は検索光36による照合時の動作を示す概略図であり、(C)は(B)の変形例である。なお、図14(B)及び(C)の画像が表示される面34は、対物レンズ50から対物レンズ50の焦点距離fだけ離間した位置に配置されている。図14(A)において、検索用画像が表示される領域43c(図14(A)の斜線部)は、記録時の登録用画像が表示される領域と同様に分割されている。領域43cに分割した検索用画像を表示して、光源41からの光を空間的に変調することで検索光36が生成される。そして、検索光36は、対物レンズ50によってフーリエ変換され、記録媒体20の厚いホログラム記録層21に記録された干渉縞24に照射される。検索光36によって再生された参照マーク光37(相関信号)は、記録時に配置したのと同様に複数発生し、対物レンズ50によって、表示面34に複数の参照マークを結像する。さらに、参照マークの位置に開口を有するアパーチャー51によって、参照マーク光37と検索光36とを分離して、参照マーク光37を複数の参照マーク光検出器52によって検出する(図14(B))。ここで、図14(C)に示すように、複数の参照マーク光37をほぼ一点に集光させるレンズ53を設ければ、1つの参照マーク光検出器52で相関信号を検出することができる。このようなホログラフィから再生した光を集光して検出することは、従来の二次元画像を再生するホログラフィック記録再生からは決して想起できないものである。
【0065】
以上の説明においては、情報光と参照光とを同軸上で干渉させるコリニア方式の装置を利用しているので、高速で照合することが可能である。なお、以上の説明では、反射型のホログラフィック記録媒体で説明したが、光相関演算により再生された参照マーク光を透過させて表示させる透過型であっても実現することが可能である。また、コリニア方式ではなく、情報光の光路と参照マーク光の光路を分離して、記録媒体において一定の角度で交差する二光束干渉方式の装置であっても実現することが可能である。例えば、光源41からの光をビームスプリッタによって2つの光に分割し、一方の光を空間光変調器によって変調させて情報光を生成し、他方の光を変形させて参照マーク光を生成し、記録媒体で交差するように照射する構成であってもよい。
【0066】
図12においては、閾値以上の場合、閲覧動画データと登録画像データを一致すると判断したが、数万もの登録画像データの中には、類似する画像も含まれている可能性があるので、一つの検索用画像による検索光だけで判断するのではなく、閲覧動画データの異なる場面のフレーム画像を検索用画像として確認処理をすることが好ましい。この確認処理は、既に関連すると思われる登録画像データの干渉縞の位置がある程度特定されているので、短時間で処理することができる。
【0067】
また、閲覧画像データに少なくとも一つのキーワードデータが付加されている場合には、そのキーワードデータに基づいて、照合する干渉縞、記録媒体又は画像データベースの順序を決定することにより、照合処理を効率的に行うことができる。キーワードデータを利用する場合、まず登録データ又はその他の認定手段によって、登録画像データにキーワードを設定する必要がある。キーワードは、各干渉縞、各登録画像データ、各記録媒体又は各画像データベースに対応して記録されていればよい。例えば、各干渉縞の記録位置と登録画像データとの対応関係に加えてキーワードを記録したり、各記録媒体にキーワードを設定し、該当するキーワードを有する登録画像データを記録したり、キーワード別にそれぞれ画像データベースを設け、該当するキーワードを有する登録画像データを記録する。そして、照合時には、閲覧画像データに付加されているキーワードデータから取得したキーワードが設定されている登録画像データを記録したホログラフィック記録媒体に対して、最初に検索光を照射することにより、早期に照合できる割合が高まるので、効率的に照合することができる。
【0068】
キーワードとしては、例えば、映画、テレビ、オリジナル映像、音楽等の大きな分類から、さらに細かく邦画、洋画、ドラマ、バラエティ、ニュース、アニメ、CMなどのように設定できる。
【0069】
以上のように、記録媒体の各干渉縞に検索光を照射しながら、参照マーク光検出器52の出力信号を監視することにより、検索用画像と相関の高い登録用画像が記録された干渉縞を検索することができ、閲覧画像データと登録画像データとを照合することができる。なお、照合時において、全ての干渉縞についての相関信号を取得した上で、最終的に適切と思われる照合結果を判断する構成とすることも可能である。
【0070】
ところで、従来のホログラフィック記録再生は、記録時には参照光と情報光とを干渉させて干渉縞を形成し、再生時には参照光を照射することで情報光を再生していた。このようなホログラフィック記録再生においては、二次元画像等の膨大な情報量を持つ情報光を記録及び再生できることに大きな特徴があり、再生時には、情報光の持つ二次元画像等の膨大な情報を検出する必要があった。このため、二次元的に受光素子を配列した高性能の検出手段を使用して二次元画像等を再生していたが、光強度の二次元分布を検出するため、ある程度参照光を照射して再生した情報光の光量を多くする必要があり、また検出手段の処理能力にも限界があったので再生速度や転送レートが制限されていた。これに対し、上述した照合手段4では、参照マーク光の強度を検出するだけであり、ホログラフィック記録媒体の干渉縞から登録用画像を再生する必要がないので、極めて高速で処理することができる。特に、図14(C)のレンズ53のように、再生した光を集光して一点で検出する構成は、従来の光強度の二次元分布を検出するホログラフィック記録再生では採用できないものである。
【0071】
また、従来のホログラフィック記録再生においては、汎用的な記録媒体としての代替として認識されており、記録速度も重要な要因であり、その結果、高速で切替え可能な空間光変調器を利用する必要があったが、本発明のホログラフィック記録媒体2においては、照合時の高速化が実現できればよいのであって、記録時の記録速度や転送速度については特に重要ではない。よって、表示の切替え速度が遅い強誘電性液晶表示装置等でも空間光変調器として利用できる。なお、照合時においては、空間光変調器には同じ検索用画像がある程度の期間表示されるものであるから、切替え速度の制限は緩やかである。
【0072】
[実施例] 登録用画像を10fps(フレーム/秒)、つまり一秒の動画について10枚のフレーム画像を抽出して動画データを記録した。12cmの円盤状のホログラフィック記録媒体に対し、直径約200μmの干渉縞をトラック方向に20μm間隔、半径方向に20μm間隔で記録すると、1枚のホログラフィック記録媒体に90分の動画データを約170本(=15,300分=登録用画像9,180,000枚)記録することができる。このホログラフィック記録媒体に対し、10fpsで90分の動画データを50本(=4,500分=登録用画像2,700,000枚)記録してデータベースを構築した。そして、ホログラフィック記録媒体を2400rpmの回転数で回転させながら、照合用画像に基づいて生成された検索光を照射して照合処理を行うと、1秒間に753,600枚の画像と照合することができ、3.6秒でデータベース内の全画像と照合することができた。この時の転送速度は約250Gbpsであった。さらに、ホログラフィック記録媒体の回転数を5000rpmにした場合、1.7秒で検索が可能である。仮に、ホログラフィック記録媒体の記録容量を最大限利用して、90分動画データを170本記録したとしても、12.2秒で照合することができる。さらに、ホログラフィック記録媒体を複数枚利用することにより、画像データベースの記録容量は制限が無くなり、照合処理を複数の装置によって並列に処理すれば、照合時間も維持できるので、膨大な数の投稿画像に対して常時対応できる照合システムを提供することができる。
【0073】
[比較例] 従来のハードディスクにおいては、1TB(=1000GB)のデータベースを構築することも可能であったが、その転送速度は一般的には300Mbpsから速くても3Gbps以下であった。現在入手可能な高性能コンピュータ、例えば、周波数が3.00GHzのCPU、1.99GBのRAMを搭載したコンピュータを使用して、計算を最適化したとしても、1秒間にハードディスクに記録したデータベースのうち100〜1000枚(10秒〜100秒間の動画)と照合するのが限界であった。このようなハードディスクを用いたシステムでは、例えば、ハードディスクに構築した10fpsで90分の動画データを50本(=4,500分=登録用画像2,700,000枚)記録したデータベースに対し、1画像を照合するためには、少なくとも45分の時間が必要であった。つまり、実施例の照合システムでは3.6秒で照合していたのが、ハードディスクを用いた場合では、750倍も照合に時間がかかるのである。別の見方をすれば、ハードディスクを用いた場合では、750台のコンピュータを並列に処理することで漸く実施例と同等の照合速度を実現できるのであるから、本実施例では、単に処理速度を速くできるだけではなく、消費電力及び設備投資コストの低減にも繋がるのである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】 本発明の照合システムを示す概略構成図
【図2】 データの流れを概略的に示すブロック図
【図3】 照合サーバの構成図
【図4】 情報処理装置における画像加工処理のフローチャート
【図5】 (A)は空間光変調器における記録時の表示面を示す概略図、(B)は情報光及び参照マーク光による干渉縞の記録動作を示す概略図
【図6】 他の表示方式での記録時の空間光変調器における表示面を示す概略図
【図7】 参照マークの配置位置とホログラムに書き込まれる干渉縞との関係を表す図
【図8】 (A)はさらに他の表示方式での空間光変調器における記録時の表示面を示す概略図、(B)は登録用画像の一例、(C)は分割した登録用画像を表示した状態を示す図
【図9】 (A)〜(C)はデータベースにおけるエラーレートを示す図
【図10】 (A)、(B)はデータベースにおけるエラーレートを示す図
【図11】 (A)〜(C)はデータベースにおけるエラーレートを示す図
【図12】 照合サーバにおける照合処理のフローチャート
【図13】 (A)は空間光変調器における照合時の表示面を示す概略図、(B)は検索光による照合の動作を示す概略図
【図14】 (A)は他の表示方式での空間光変調器における照合時の表示面を示す概略図、(B)は検索光による照合の動作を示す概略図、(C)は(B)の変形例
【符号の説明】
【0075】
1 照合サーバ
2 画像データベース
3 検索光生成手段
4 照合手段
5,6 登録者
10 クライアント群
11 ネットワーク
12 サイト
13 閲覧画像データ
20 ホログラフィック記録媒体
21 ホログラム記録層
24 干渉縞
32 情報光
33 参照マーク光
36 検索光
37 参照マーク光
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データを照合する照合システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小説、音楽、映画、写真など情報のデジタル化及びインターネットの普及に伴いインターネット上での著作権侵害が問題視されている。これは、情報をデジタル化することにより、品質を落とさず正確に複製することが可能であり、また情報の編集、翻案などの二次利用や三次利用が容易であること、さらにインターネットを通じて公衆送信できることから、他人の著作物を利用しやすい環境であることに起因する。特に、企業等の団体だけではなく、各個人においてもこれらの環境下にあるため、著作権侵害の予防、管理を困難なものとしている。
【0003】
最近、インターネット上で動画を共有する動画共有サービスが提供されているが、この動画共有サービスにおいて著作権侵害が大きな問題となっている。動画共有サービスとはあるユーザーがアップロードした動画データを共有化することで、他のユーザーにもダウンロード可能な状態とさせ、動画を公開、閲覧できるようにしたサービスである。この動画共有サービスには、一日に何万件もの動画データが投稿されており、それらの動画データの中には、著作権を侵害する違法なものも多数含まれているのが現状である。例えば、映画、テレビ番組、ライブ映像、プロモーションビデオなどが著作権者に無断でアップロードされている。
【0004】
従来、動画共有サービスにおける著作権の管理は、利用規約などに著作権を侵害する動画データの投稿を禁止する旨を記載するだけで、各ユーザーの倫理に委ねており、特別な検閲システムを設けていなかった。仮に違法な動画データがアップロードされた場合であっても、第三者から違法な動画データとして指摘されたものについて削除するだけであった。著作権者などは、動画データを再生して、視認することによって違法な動画データを検索し、通報していたが、日々何万件も増加する動画データの全てを確認することは現実的ではなかった。しかも、違法な動画データは、通報して削除されても、ユーザーによって再び投稿されることが多く、従来の対策は実効的なものではなかった。
【0005】
ところで、従来の光相関を利用する画像検索技術は、大量の記録された画像データから入力された画像を検索するにあたって、厚みのない液晶素子や薄いホログラムなどを表示素子として光相関を用いるものがあった。しかし、液晶素子は、大量の記録された画像データを切り替えながら光相関を行うが、画像の切り替えに電気制御が必要であり、1回の相関にかかる時間が制限される。また、記録媒体から蓄積された画像を液晶表示素子に転送してから光相関を行うため転送速度によっても光相関の速度が制限されていた。また、薄いホログラムでは記録容量や記録密度を上げることが困難であった。
【0006】
一方、次世代メモリの一つとして2次元画像データを記録できるホログラフィックメモリが開発されており、中でもランダムアクセスが可能なコリニア方式ホログラフィックメモリは、同軸上で参照光と情報光を干渉させることにより大容量のデータの記録、再生が可能である(特許文献1)。そこで画像検索技術としてコリニア式のホログラフィックメモリである体積型(厚い)ホログラムを用いることにより光相関演算を行うことが提案されている(非特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】 特許第3403068号公報
【非特許文献1】 「全光型超高速光相関による画像検索エンジン」 Optics Japan 2005 講演予稿集 pp260−261、2005年 渡邉恵理子他
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の背景技術を鑑みて、本発明は、ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データに対し、実効的な検閲を可能とする照合システムを提供することを目的とする。さらには、かかる照合システムを用いて著作権の管理や新たなビジネスモデルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照合システムは、ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データを照合する照合システムであって、複数の登録画像データが登録された画像データベースと、前記閲覧画像データに基づいて検索光を生成する検索光生成手段と、前記閲覧画像データと前記画像データベースに登録された登録画像データとを照合する照合手段とを有し、前記画像データベースは、登録画像データに基づいて生成された情報光と参照マークに基づいて生成された参照マーク光との干渉縞によって画像データが記録されたホログラム記録層を備えたホログラフィック記録媒体を有し、前記照合手段は、前記検索光生成手段によって生成された検索光を前記ホログラフィック記録媒体のホログラム記録層に照射し、再生される参照マーク光を検出して前記閲覧画像データと前記登録画像データとを照合することを特徴とする。
【0010】
また、上記照合システムにおいて、前記閲覧画像データが、前記画像データベースに登録されていた場合、前記閲覧画像データに識別データを付加することが好ましく、前記識別データに基づいて、前記閲覧画像データの閲覧条件を変更することがさらに好ましい。
【0011】
また、上記照合システムにおいて、前記ホログラフィック記録媒体は、位置を特定するアドレス層を備えており、前記検索光によって参照マーク光が再生された場合に、参照マーク光を再生させた干渉縞の位置を前記アドレス層によって特定し、当該干渉縞の位置から前記閲覧画像データを特定することが好ましい。
【0012】
また、上記照合システムにおいて、前記閲覧画像データが、前記画像データベースに登録されていた場合、前記画像データベースに当該画像データを登録した登録者に対し、当該画像データに関する情報を提供してもよい。
【0013】
また、上記照合システムにおいて、前記ホログラフィック記録媒体は、円盤状であり、前記ホログラフィック記録媒体を回転させつつ前記検索光を照射することが好ましい。
【0014】
また、上記照合システムにおいて、前記情報光は、空間光変調器の一部の領域に表示された前記登録画像データの再生画像から生成された登録用画像によって空間的に変調されており、前記参照マーク光は、前記空間光変調器の他の一部の領域に表示された前記参照マークによって変調されていることが好ましい。
【0015】
また、上記照合システムにおいて、前記空間光変調器の一部の領域は、複数の離間した領域に分割されており、前記登録画像データが前記複数の離間した領域に分割されて表示され、前記複数の離間した領域の間に、前記参照マークの少なくとも一部が表示されていることが好ましい。
【0016】
また、上記照合システムにおいて、前記検索光は、前記閲覧画像データの再生画像から生成された検索用画像によって空間的に変調されており、前記検索用画像は、前記登録用画像が表示される空間光変調器の一部の領域に表示されることが好ましい。
【0017】
また、上記照合システムにおいて、前記登録画像データには少なくとも一つのキーワードが設定され、前記閲覧画像データは、少なくとも一つのキーワードデータが付加されており、前記照合手段は、前記閲覧画像データを照合する際に、前記キーワードデータから取得したキーワードが設定されている登録画像データを記録したホログラフィック記録媒体に対して、最初に検索光を照射することが好ましい。
【0018】
また、上記照合システムにおいて、前記登録画像データには少なくとも動画データが含まれ、前記動画データを再生した再生動画像から抽出したフレームの静止画像に基づいて前記情報光が生成され、一つの動画データの中で、前記再生動画像から抽出される単位時間あたりのフレーム数が可変であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の照合システムを利用することにより、ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データに対し、画像データベースに登録されている登録画像データと照合することができるので、一括して登録画像データの管理や著作権の保護又は許諾を実行することができ、また画像データベースに登録された範囲内において、検閲することができ、違法な画像データがアップロードされることによる侵害行為、さらには登録者からの権利行使を回避することができる。その他の効果については、以下の実施の形態において記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図1は、本発明の照合システムを示す概略構成図であり、図2はデータの流れを概略的に示すブロック図である。図1において、クライアント群10が接続されたネットワーク11が形成されており、ネットワーク11上には画像データをクライアント群10に閲覧可能に提供するサイト12が開設され、サイト12に閲覧可能な状態とされる閲覧画像データ13を照合する照合サーバ1が設けられている。最初に、照合システム全体及びそのビジネスモデルについて概略的に説明し、その後、照合システムの具体的な構成について詳述する。
【0021】
照合サーバ1には、複数の登録画像データが登録された画像データベース2と、閲覧画像データ13に基づいて検索光を生成する検索光生成手段3と、閲覧画像データと画像データベース2に登録された登録画像データとを照合する照合手段4とが設けられている。登録画像データは、登録者5、6から提供されて、画像データベース2に登録される。なお、画像データは、動画データ及び静止画データを含み、特に現状では動画データの照合システムの要求が高いことから、登録画像データとしては、少なくとも動画データ(登録動画データ)を含むことが好ましい。
【0022】
登録者5、6は、例えば、サイト12の運営者や、登録画像データの著作権者又は制作者などである。ここで、図2に示すように、登録画像データについて、そのタイトル、閲覧条件、キーワードなどの登録データも同時に登録することができる。
【0023】
クライアント群10は、サイト12を利用する複数のクライアントから構成されており、ネットワーク11に接続されており、サイト12のサーバーに対し画像データの閲覧要求などを出すことができる。例えば、クライアント群10としては、画像共有サイトのユーザーや有料コンテンツの会員などが挙げられ、具体的な端末装置としては、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話などが挙げられる。
【0024】
ネットワーク11は、クライアントの端末装置間を結ぶ電気通信回路網であり、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0025】
サイト12は、クライアント群10に閲覧画像データを提供するコンテンツが用意されており、図1においては、閲覧条件の異なるA,B,Cのコンテンツが用意されている。A,B,Cのコンテンツとして、例えば、完全無料コンテンツ、一部のみ視聴可能コンテンツ、有料コンテンツなどが挙げられる。サイト12は、投稿される閲覧画像データについて、投稿時にキーワードを設定させることもできる。
【0026】
閲覧画像データ13は、照合サーバ1で照合された後に、サイト12において閲覧可能な状態とされるものである。図1では、閲覧画像データ13は、クライアント群10からネットワーク11を通じてサイト12のサーバーにアップロードされている。なおアップロードされた閲覧画像データ15は、他のクライアントからの閲覧要求に基づいて、そのクライアントの端末装置にネットワーク11を通じてダウンロードされる。閲覧画像データ13は、クライアント以外によって閲覧可能な状態とされてもよいし、ネットワーク以外の手段によってサイト12に送信されてもよい。さらに、サイト12にはリンクのみを貼り付けて、閲覧画像データ13そのものは画像データの提供者の端末装置中に保存した状態としてもよい。ここで、サイト12に貼り付けられたリンクを介して他のクライアントから閲覧要求があった場合には、提供者の端末装置から他のクライアントの端末装置に直接ダウンロードされる。
【0027】
また、閲覧画像データ13には、照合及び検索を容易とするためのキーワードデータを少なくとも一つ付加させることが好ましい(図2参照)。キーワードデータは、閲覧画像データ13の投稿者に任意に選択させてもよいが、予め画像データの分野を特定するキーワードを設定しておいてもよい。また、キーワードを入力しないとサイト12に投稿できない構成としてもよい。このキーワードデータは、サイト12において、クライアントが画像を検索する場合に使用されてもよいし、照合サーバ1の画像データベース2において照合を容易にするために使用されてもよい。例えば、画像データベース2に画像データを登録する際に、登録データとしてキーワードを記録しておき、キーワードデータに該当する画像データから照合したり、画像データベース2として分野やキーワード別に画像データを登録して、キーワードデータに該当する領域から照合してもよい。
【0028】
照合サーバ1によって照合された照合済み閲覧画像データ14には、識別データを付与することが好ましい。識別データは、照合サーバ1において照合済という履歴を付与するだけでもよいし、閲覧画像データ13が画像データベース2に登録されているか否かを識別するものでもよいし、さらに閲覧画像データ13が画像データベース2に登録されている場合は、閲覧条件や登録データの一部を含めてもよい。
【0029】
例えば、照合サーバ1において照合済という識別データが付与された閲覧画像データ14が、他のクライアントにダウンロードされ、他のクライアントから再び投稿された場合、照合サーバ1は、照合済という識別データを認識して、その識別データが付与された閲覧画像データ14について照合の要否を判断できる。また、識別データとして画像データベース2に登録されているか否かの情報を含んでいれば、登録の有無で閲覧条件を変更したり、ネットワーク上における画像データの管理をすることができる。さらに画像のタイトルや閲覧条件等の情報も識別データに含めれば、より細かい閲覧条件の設定や管理が可能となる。
【0030】
閲覧条件としては、例えば、画像データを閲覧させずに削除したり、有料コンテンツとしたり、閲覧回数に応じて課金したり、一部だけ視聴可能としたり、無効コンテンツとする等が挙げられる。
【0031】
図1においては、閲覧画像データ13は、照合サーバ1の画像データベース2と照合され、照合結果に応じてA〜Cの識別データが付与されており、A〜Cの識別データに基づいて、サイト12に用意されたA,B,Cの各コンテンツにアップロードされている。
【0032】
なお、識別データは、閲覧画像データのうち、画像データベース2に登録されているものにのみ付与される構成であってもよい。また、照合サーバ1において照合結果に応じた閲覧画像データの処理を行う場合は、閲覧画像データに識別データを付与しなくてもよい。例えば、画像データベース2に登録されている画像データについて、一切閲覧させず、アップロードさせない場合であれば、かかる閲覧画像データは照合サーバ1において削除すればよく、サイト12にアップロードされる閲覧画像データには識別データを付与しなくてもよい。他にも、単なる調査や画像データの投稿回数などを管理するだけであれば、照合サーバ1においてそれらの情報を登録者に提供すればよく、閲覧画像データ13に識別データを付与しなくてもよい。
【0033】
さらに、照合サーバ1又はサイト12は、閲覧画像データが画像データベース2に登録されていた場合、当該画像データを画像データベース2に登録した登録者に対し、画像データに関する情報を提供してもよい(図2参照)。画像データに関する情報とは、例えば登録した画像データの投稿回数、閲覧(ダウンロード)回数、画像データを投稿したクライアント情報等が挙げられる。
【0034】
また、照合サーバ1は、画像データベース2に登録されている画像データを投稿したクライアントに対し、当該画像データを投稿することが著作権を侵害することを通告する警告メッセージを送信してもよい(図2参照)。このように警告メッセージを送信することにより、クライアント群10の著作権に対する意識を高めることができる。
【0035】
以上のような照合システムを利用すると、登録者5,6は、それぞれ管理したい画像データを登録画像データとして画像データベース2に登録することで、一括してネットワーク11上における登録画像データの管理や著作権の保護又は許諾を実行することができる。また、サイト12は、閲覧画像データについて、画像データベース2に登録された範囲内において、検閲することができ、違法な画像データがアップロードされることによる侵害行為、さらには登録者からの権利行使を回避することができる。
【0036】
つまり、照合サーバ1は、登録者5,6に対し、管理したい画像データを画像データベース2に登録するサービスを提供でき、また登録画像データの管理の一部を代行するサービスも提供できる。さらに、照合サーバ1は、サイト12に対し、画像データベース2に登録された範囲内において閲覧画像データの検閲サービスを提供でき、閲覧画像データの管理の一部を代行するサービスも提供できる。なお、登録者5,6やサイト12自体が照合サーバ1を提供することもできる。
【0037】
ここで、図3〜図9を用いて、照合サーバ1における具体的な構成及び動作について説明する。図3は、照合サーバ1の具体的な構成を示すものであり、ホログラフィック記録媒体20と、情報処理装置30と、光学系40とを有している。前述したとおり、照合サーバ1には、画像データベース2と、検索光生成手段3と、照合手段4とが設けられているが、ホログラフィック記録媒体20は画像データベース2の一部を構成し、情報処理装置30及び光学系40は検索光生成手段3及び照合手段4を構成する。
【0038】
図3において、ホログラフィック記録媒体20は、表面保護層22と反射層23との間に感光材料からなる厚いホログラム記録層21を挟み込んだ反射型の記録媒体である。ホログラフィック記録媒体20のホログラム記録層21には、登録画像データに基づいて生成された情報光と参照マークに基づいて生成された参照マーク光との干渉縞24によって画像データが記録されている。ホログラフィック記録媒体20として円盤状のものを採用すると、回転させながら照合することができるので、照合速度を高めることができる。また、ホログラフィック記録媒体20は、干渉縞24の位置を特定するアドレス層を備えていることが好ましい。例えば、アドレス情報として、反射層23の表面に設けられた凹凸形状によってピットを形成し、反射層23をアドレス層としてもよい。ホログラフィック記録媒体20の表面保護層22として、ガラス基板を利用すると、温度変化等による収縮等を抑えることができる。反射層23としてはアルミニウム等の金属材料を利用することができる。
【0039】
情報処理装置30は、ネットワークに接続されており、照合システムで実行される各種の情報処理を行う。例えば、閲覧画像データの再生及び検索用画像の作成、登録データの記録及び再生、干渉縞の記録位置と登録画像データとの対応関係の記録及び再生、閲覧画像データに識別データの付与、キーワードデータに基づいて照合順序の決定、画像データに関する情報の送信、警告メッセージの送信などが挙げられる。
【0040】
光学系40は、ホログラフィック記録媒体20に干渉縞を記録したり、ホログラフィック記録媒体20に記録されている登録画像データと閲覧画像データとを照合することができる。光学系40は、ホログラム用レーザー41、ミラー42、空間光変調器43、偏光ビームスプリッタ44、第1のリレーレンズ45、ミラー46、第2のリレーレンズ47、ビームスプリッタ48、四分の一波長板49、対物レンズ50、アパーチャー51、参照マーク光検出器52を有し、さらにアドレス用レーザー60、ビームスプリッタ61、ミラー62及びアドレス光検出器63を有している。
【0041】
ホログラム用レーザー41は、干渉縞の記録時には情報光や参照マーク光の光源となるものであり、照合時には検索光の光源となるものであり、例えば青色レーザや緑色レーザなどの短波長の高出力レーザが好ましい。空間光変調器43は、複数の画素を有し、各画素毎に光の属性を変化させることで、光を空間的に変調することができるものであり、例えば液晶表示装置やDMD(Digital Micromirror Device)を利用することができる。図3においては空間光変調器32としてDMDを用いている。偏光ビームスプリッタ44は直交する偏光方向の一方を透過し、他方を反射するものであり、記録媒体20に向かう情報光、参照マーク光及び検索光を透過し、記録媒体によって再生された参照マーク光を参照マーク光検出器52に向けて反射する。第1及び第2のリレーレンズ45、47は、空間光変調器43に表示された画像を対物レンズの焦点面に結像させる。ビームスプリッタ48は、アドレス用レーザー60からの光を記録媒体20に向けるためのものである。四分の一波長板49は、直線偏光を円偏光に変換するものであり、2回透過させることで直線偏光を90度回転させることができる。この四分の一波長板49によって参照マーク光は、照射時には偏光ビームスプリッタ44を透過し、再生時には偏光ビームスプリッタ44によって反射されるのである。対物レンズ50は、空間光変調器43に表示された画像をフーリエ変換して記録媒体20のホログラム記録層21に照射するものである。アパーチャー51は、記録媒体20で反射された検索光を遮光し、再生された参照マーク光のみを参照マーク光検出器52に通過させる開口を有する。参照マーク光検出器52は、再生された参照マークを検出するものであり、特に好ましくは、参照マーク光の光強度を検出するものである。例えばピンフォトダイオード、CMOSセンサやCCDセンサを利用できる。
【0042】
ホログラム用レーザー41から照射された光は、ミラー42によって反射され、空間光変調器43によって空間的に変調され、偏光ビームスプリッタ44を透過し、第1及び第2のリレーレンズ45、47によってリレーされ、その途中ミラー46によって反射され、ビームスプリッタ48及び四分の一波長板49を透過し、対物レンズ50によってフーリエ変換されて記録媒体20のホログラム記録層21に照射される。ホログラム記録層21において参照マーク光が再生された場合、反射層24で反射された参照マーク光は、記録媒体20から射出され、照射時とは反対方向に、対物レンズ50、四分の一波長板49、ビームスプリッタ48、第1及び第2のリレーレンズ45、47、ミラー46を経て、偏光ビームスプリッタ44によって反射され、アパーチャー51を通過して参照マーク光検出器52に入射する。
【0043】
また、アドレス用レーザー60、ビームスプリッタ61、ミラー62及びアドレス光検出器63は、記録媒体20にアドレス層を設けた時に、アドレス層から照射位置を特定するためのものであり、アドレス用レーザー60から照射された光は、ビームスプリッタ61を透過してミラー61によって反射され、さらにビームスプリッタ48によって反射され、四分の一波長板49を透過し、対物レンズ50によって記録媒体20のアドレス層に照射される。記録媒体20からの反射光は、光学系を逆に通過し、ビームスプリッタ61によって反射され、アドレス光検出器63で検出される。アドレス用レーザー60としては赤色光等の比較的長波長のレーザを利用することが好ましい。
【0044】
以下、照合サーバ1の動作について説明するが、まず、画像データベース2を作成するため、ホログラフィック記録媒体20に登録画像データとして動画データ(登録動画データ)を記録する動作について説明する。図4は情報処理装置30における画像加工処理のフローチャートである。
【0045】
情報処理装置30は、登録者から提供された登録動画データを再生し、再生動画像から記録するフレームの静止画像を抽出する(S41〜S43)。そして、抽出された静止画像に対し、必要な前処理を行い登録用画像を生成し(S44)、登録用画像を空間光変調器43に出力する(S45)。記録するフレーム数を増やすと、照合の精度を高めることができるが、その分、記録する干渉縞の数が増えるので必要とされる記録容量が増加し、また記録及び照合に要する時間も長くなる。このため、動画データから記録するフレームを抽出する場合に、変化の激しい場面では記録するフレーム数を増やし、変化の少ない場面では記録するフレーム数を減らして、記録する単位時間あたりのフレーム数(fps:フレーム数/秒)を可変とすることが好ましい。例えば、一般的なデジタル化された動画データは、VBR(Variable Bit Rate:可変ビットレート)を利用して圧縮されており、変化の激しい場面ではビットレートが高く、変化の少ない場面ではビットレートが低いので、映像のビットレートに基づいてfpsを変更してもよい。
【0046】
図5(A)は空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、(B)は情報光32及び参照マーク光33による干渉縞の記録動作を示す概略図である。なお、図5(B)の画像が表示される面34(図3においてはリレーレンズ45、47で結像される面)は、対物レンズ50から対物レンズ50の焦点距離fだけ離間した位置に配置されている。図5(A)において空間光変調器43は、円形であり、その一部の領域43a(図6(A)の斜線部)に情報処理装置30から入力された登録用画像31を表示して、光源41からの光を空間的に変調することで情報光32を生成する。また、空間光変調器43は、他の一部の領域43bに参照マークを表示して、光源41からの光を変調することで参照マーク光33を生成する。そして、情報光32及び参照マーク光33は、対物レンズ50によってフーリエ変換され、記録媒体20の厚いホログラム記録層21において干渉し、干渉縞24が厚いホログラム記録層21に立体的に記録される(つまり、体積ホログラムが形成される)。その後、動画データの各登録用画像31について、ホログラム記録層21の異なる位置に、順次記録していくことにより、動画データを画像データベースに登録する。このように、情報光と参照マーク光とを同一の空間光変調器43によって生成することにより、情報光及び参照マーク光の位相を揃えることができ、強い干渉縞を形成することができる。
【0047】
空間光変調器43の領域43aには、登録用画像31の少なくとも一部が表示される。勿論、登録用画像31の全部が表示できる広さの領域であってもよい。また、領域43aは、必ずしも登録用画像31と同一形状でなくてもよく、検索用画像と光相関演算するのには十分な画像を表示できればよい。図5(A)においては、領域43aは、登録用画像31の画像サイズよりも僅かに小さく、空間光変調器32が円形であるため、登録用画像31の四隅を表示できていない。しかしながら、画像の殆どの部分が表示されているので、その干渉縞は検索用画像によって生成された検索光と光相関演算することができる。
【0048】
空間光変調器43の領域43bは、領域43aの周囲に少なくとも一つ配置され、参照マークが表示される。情報光32及び参照マーク光33は、空間光変調器によって回折されることで各画素からの発散光の集合となり、その情報光及び参照マーク光における各画素からの発散光が対物レンズ50によって平行光として記録媒体20に照射されることで、全体としては収束する情報光と参照マーク光とを交差させることができ、干渉縞を形成することができる(図5(B)参照)。また、参照マーク光は、照合時においては、検索用画像と登録用画像との光相関演算の結果を判定するものであり、その検出の容易性が検索速度に影響する。光相関演算の結果としては、参照マーク光の光強度を検出する方式とすることが好ましい。なお、参照マークが表示される領域43bは、四角形状に限定されるものではなく種々の形状を取ることができるし、参照マーク自体が空間変調パターン、例えばランダムパターンであってもよい。
【0049】
図5(A)において、領域43bは、登録用画像31が表示される領域43aの上方に配置され、領域43aに比べて極めて小さい4画素(2×2画素)の領域である。このため、参照マーク光33は点光源のように発散し、情報光32と干渉して干渉縞を形成する。なお、領域43aは、320×240画素の登録用画像31の殆どを表示できる7万画素以上の広さである。
【0050】
図6に示すように、参照マークを複数箇所に表示して、複数の参照マーク光によって干渉縞を形成してもよい。図6は、空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、登録用画像31が表示される領域43a(点線で示す)の周囲に、400画素(20×20画素)の参照マークが表示される領域43bが12個配置されている。図7は参照マーク43bの配置位置とホログラムに書き込まれる干渉縞との関係を表す図である。図7(A)は、参照マーク43bを画像43aの左側に配置して記録した場合の干渉縞である。図7(B)は、参照マーク43bを画像43aの下側に配置して記録した場合の干渉縞である。図7(C)は、参照マーク43bを画像43aの左側および下側に配置して記録した場合の干渉縞である。干渉縞は、参照マーク43bによる点光源と画像43aとの干渉であることから、点光源と画像の光路差が波長λの整数倍となる方向に縞が現れる。従って、点光源が画像に対してどの位置に来るかによって干渉縞の方向が異なる。また、図7(C)のように、それぞれ異なる方向に干渉縞が現れるように点光源を配置すると、2次元の干渉縞が形成される。このように2次元の干渉縞とすることにより、照合時における検索用画像のシフト許容値を大きくすることができる。つまり、検索用画像が登録用画像に対して上下左右に位置がずれていたとしても、参照マークを再生できる範囲が広がるのである。なお、図6では、領域43bの大きさを400画素、領域43bの数を12個としたが、領域43bの大きさと数は適宜変更することができる。
【0051】
さらに好ましくは、図8(A)〜(C)に示すように、登録用画像が表示される空間光変調器の一部の領域43aは、複数の離間した領域に分割されており、登録用画像31が複数の離間した領域に分割されて表示され、複数の離間した領域の間に、参照マークが表示される領域43bの少なくとも一部が配置されているとよい。図8(A)は、空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、(B)は登録用画像31の一例であり、(C)は、空間光変調器43の領域43aに分割した登録用画像を表示した状態を示す図である。図8(A)においては、登録用画像が表示される領域43a(実線で示す)は、4つに分割されており、登録用画像31は4分割して表示される。領域43aの間の十字部分とその上下に、400画素(20×20画素)の参照マークが表示される領域43b(点線で示す)が13個配置されている。なお、図8においては、参照マークが表示される領域43bは、複数の四角形状の領域が配置されているが、領域43aの間の十字部分とその周囲の「田」状の領域を領域43bとしてもよいし、その「田」状の領域全体を参照マークとしてもよいし、領域43b内の画素をランダムにオン状態としてもよい。
【0052】
これらの空間光変調器43における登録用画像が表示される領域43a及び参照マークが表示される領域43bの表示方式の違いによる照合結果への影響について図9〜11を用いて説明する。図9〜11の各図は、各表示方式で記録したデータベースにおけるエラーレートを示す図であり、縦軸はエラーレートで、横軸は規格化された相関信号(参照マーク光の光強度)に関する閾値である。エラーレートは、2つのエラー曲線から構成されており、一方は、登録された画像を未登録と誤認した時の登録画像拒否率(FRR:False Rejection Rate)であり、他方は、異なる画像を記録された画像と誤認した時の他画像受入率(FAR:False Acceptance Rate)である。登録画像拒否率FRR及び他画像受入率FARは、それぞれ閾値を変化させた時の照合結果の正誤率から求められる。図9〜11は、10秒の動画データを30本用意して、各30fps(フレーム/秒)で記録することにより、9000枚の登録用画像を登録した画像データベースを作成し、登録した30本の動画データから各1フレーム抽出して30枚の検索用画像をそれぞれ9000枚の登録用画像と照合して取得した相関信号を閾値と比較して大きい場合を登録用画像と判断させた時の登録画像拒否率FRR及び他画像受入率FARである。
【0053】
登録画像拒否率FRRと他画像受入率FARとが交差する値は、登録画像拒否率FRRと他画像受入率FARの双方が共に小さくなる閾値であり、その時のエラーレートをEER(Equal Error Rate)と呼び、EERが一定の範囲を有する時にその範囲を閾値領域と呼ぶ。図9〜11において、閾値領域の範囲を一点鎖線で示す。EERは小さいほど好ましく、EERが0%であれば、登録画像拒否率FRRも他画像受入率FARも0%であり、理論上はエラーが発生しない。また閾値領域の広さは照合の信頼性を示し、広いほど照合の信頼性が高いことを意味する。なお、類似した画像の照合も可能とするために、敢えて閾値を閾値領域よりも小さい値として、他画像受入率FARを高くしてもよい。
【0054】
図9(A)〜(C)は、図5に示すように登録用画像が表示される領域43aの上方に1つの参照マークが表示される領域43bを配置して記録した場合であり、(A)は2×2=4画素の参照マークを、(B)は10×10=100画素の参照マークを、(C)は20×20=400画素の参照マークを配置した結果である。図9(A)〜(C)のEER及び閾値領域を表1の2〜4段(参照マーク配置が「上方」の3行)に示す。図9(A)〜(C)から、参照マークを一箇所に配置する場合、参照マークを4画素とした時(図9(A))の方が、参照マークを100画素又は400画素にした時(図9(B)又は(C))よりもEERを小さくすることができ、また閾値領域も広くすることができた。これは、参照マークを小さくすることにより、空間光変調器における発散が大きくなり、広い範囲で情報光と干渉できたためであると推測される。100画素又は400画素に比べて、10画素以下の場合、EER及び閾値領域が優れていた。
【0055】
図10(A)、(B)は、図6に示すように登録用画像が表示される領域43aの周囲に複数の参照マークが表示される領域43bを配置して記録した場合であり、(A)は20×20=400画素の参照マークを12個、(B)は10×10=100画素の参照マークを40個配置した結果である。図10(A)、(B)のEER及び閾値領域を表1の5〜6段(参照マーク配置が「周囲」の2行)に示す。図10(A)、(B)と図9(A)〜(C)を比較すると、参照マークを周囲に複数配置した方が、EERを小さくでき、また閾値領域も広くできることが分かる。
【0056】
図11(A)〜(C)は、図8に示すように登録用画像が表示される領域43aを分割して、その間及び周囲に複数の参照マークが表示される領域43bを配置して記録した場合であり、(A)は領域43aを4分割して20×20=400画素の参照マークを12個、(B)は領域43aを4分割して10×10=100画素の参照マークを40個、(C)は領域43aを9分割して10×10=100画素の参照マークを40個配置した結果である。図11(A)〜(C)のEER及び閾値領域を表1の7〜9段(参照マーク配置が「〜分割間」の3行)に示す。図11と図10とを比較すると、登録用画像が表示される領域43aを分割して、その間及び周囲に複数の参照マークを表示する方式が最も閾値領域を広くできることが分かる。
【0057】
【表1】
【0058】
さらに、干渉縞24を記録する際に、アドレス用レーザー60及びアドレス光検出器63を用いて、アドレス層から干渉縞24の記録位置を特定し、干渉縞24の記録位置と記録した登録用画像31又は登録動画データとの対応関係を情報処理装置の記録手段などに記録しておくことが好ましい。この対応関係を記録しておけば、照合時において、参照マーク光を再生した干渉縞の位置をアドレス層から特定することで、その干渉縞24を記録した登録用画像31又は登録動画データを特定することができる。また、登録者が、登録画像データに登録データを設定している場合、登録データと登録画像データ又はその干渉縞24の記録位置との対応関係を情報処理装置の記録手段などに記録しておく。
【0059】
次に、照合時の動作について説明する。図12は照合サーバ1における照合処理のフローチャートである。情報処理装置30は、閲覧画像データを取得して、検索用画像を生成し、空間光変調器43に出力する(S81〜S83)。そして、光学系40において、検索光を生成し、記録媒体20の干渉縞24に検索光を照射する(S84、S85)。そして、参照マーク光の再生の有無を判断し、再生しなかった場合(S86→S87)は、次の干渉縞に検索光を照射する(S87→S85)。また次の干渉縞がない場合(S87→S88)は、次の検索用画像についての検索を行うが(S88→S83)、次の検索用画像もない場合(S88→S89)は、閲覧画像データが画像データベース2に登録されていないと判断して、その識別データを付与する。参照マーク光が発生した場合(S86→S90)は、発生した参照マーク光の光強度を閾値と比較して、閾値未満の場合(S90→S87)は、次の干渉縞に検索光を照射する(S87→S85)。そして閾値以上の場合(S90→S91)は、当該干渉縞の記録位置を特定し、当該記録位置の登録画像データについての登録データを検索して、それらの照合結果を識別データとして付与する(S91、S92、S89)。なお、閾値以上の場合もそのまま照合を続けて、画像データベースの全てと照合させてもよい。
【0060】
検索用画像を作成する処理(S82)は、図4の画像加工処理と同様の処理を閲覧画像データについて行えばよい。なお、閲覧画像データが動画データの場合、検索用画像は、閲覧動画データの再生画像から抽出された最低1フレームの画像に基づいて作成されるが、場面の異なる複数のフレーム画像を検索用画像として利用すれば、照合の精度を高めることができる。また、検索用画像は、登録用画像31と同じ前処理を行うことが好ましく、登録用画像の表示方式と同じ表示方式で空間光変調器に表示することが好ましい。
【0061】
図13(A)は空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、(B)は検索光36による照合時の動作を示す概略図である。なお、図13は、図5の表示方式で記録した画像データベースに対し照合する場合であり、図13(B)の画像が表示される面34は、対物レンズ50から対物レンズ50の焦点距離fだけ離間した位置に配置されている。図13(A)において空間光変調器43は、円形であり、その一部の領域43c(図13(A)の斜線部)に情報処理装置30から入力された検索用画像35を表示して、光源41からの光を空間的に変調することで検索光36を生成する。そして、検索光36は、対物レンズ50によってフーリエ変換され、記録媒体20の厚いホログラム記録層21に記録された干渉縞24に照射される。検索用画像と登録用画像の類似度が高いほど、検索光36と干渉縞24の干渉が強くなり、光相関演算の結果として参照マーク光37(相関信号)が強く再生される。再生した参照マーク光37は、対物レンズ50によって、表示面34に参照マークを結像し、表示面34近傍に配置されたアパーチャー51の開口を通過して参照マーク光検出器52によって検出される。
【0062】
検索用画像35が表示される領域43cは、登録用画像31を表示した領域43aと同じであることが好ましい。図13(A)においても、領域43cは、検索用画像35の画像サイズよりも僅かに小さく、検索用画像35の四隅を表示できない図5(A)の領域43aと同じ領域である。
【0063】
参照マーク光検出器52は、少なくとも参照マーク光の光強度を検出し、検出された参照マーク光の光強度は、情報処理装置において、予め定められた閾値と比較され、閾値未満であれば不一致として別の干渉縞や別の検索用画像を用いて照合処理を続ける。閾値以上の場合、アドレス用レーザー60及びアドレス光検出器63を用いて、アドレス層から干渉縞24の記録位置を特定する。さらに、情報処理装置の記録手段等に記録された干渉縞24の記録位置と登録用画像又は登録動画データとの対応関係から、その干渉縞24の登録用画像又は登録動画データを特定し、これまた情報処理装置の記録手段等に記録された登録動画データの登録データを読み出して、識別データとして閲覧動画データに付与する情報を検索する。なお、識別データとして登録データの一部を含ませない場合は、これらの処理は不要である。
【0064】
図14(A)は、図8の表示方式で記録した画像データベースを照合する場合についての空間光変調器43における表示面を示す概略図であり、(B)は検索光36による照合時の動作を示す概略図であり、(C)は(B)の変形例である。なお、図14(B)及び(C)の画像が表示される面34は、対物レンズ50から対物レンズ50の焦点距離fだけ離間した位置に配置されている。図14(A)において、検索用画像が表示される領域43c(図14(A)の斜線部)は、記録時の登録用画像が表示される領域と同様に分割されている。領域43cに分割した検索用画像を表示して、光源41からの光を空間的に変調することで検索光36が生成される。そして、検索光36は、対物レンズ50によってフーリエ変換され、記録媒体20の厚いホログラム記録層21に記録された干渉縞24に照射される。検索光36によって再生された参照マーク光37(相関信号)は、記録時に配置したのと同様に複数発生し、対物レンズ50によって、表示面34に複数の参照マークを結像する。さらに、参照マークの位置に開口を有するアパーチャー51によって、参照マーク光37と検索光36とを分離して、参照マーク光37を複数の参照マーク光検出器52によって検出する(図14(B))。ここで、図14(C)に示すように、複数の参照マーク光37をほぼ一点に集光させるレンズ53を設ければ、1つの参照マーク光検出器52で相関信号を検出することができる。このようなホログラフィから再生した光を集光して検出することは、従来の二次元画像を再生するホログラフィック記録再生からは決して想起できないものである。
【0065】
以上の説明においては、情報光と参照光とを同軸上で干渉させるコリニア方式の装置を利用しているので、高速で照合することが可能である。なお、以上の説明では、反射型のホログラフィック記録媒体で説明したが、光相関演算により再生された参照マーク光を透過させて表示させる透過型であっても実現することが可能である。また、コリニア方式ではなく、情報光の光路と参照マーク光の光路を分離して、記録媒体において一定の角度で交差する二光束干渉方式の装置であっても実現することが可能である。例えば、光源41からの光をビームスプリッタによって2つの光に分割し、一方の光を空間光変調器によって変調させて情報光を生成し、他方の光を変形させて参照マーク光を生成し、記録媒体で交差するように照射する構成であってもよい。
【0066】
図12においては、閾値以上の場合、閲覧動画データと登録画像データを一致すると判断したが、数万もの登録画像データの中には、類似する画像も含まれている可能性があるので、一つの検索用画像による検索光だけで判断するのではなく、閲覧動画データの異なる場面のフレーム画像を検索用画像として確認処理をすることが好ましい。この確認処理は、既に関連すると思われる登録画像データの干渉縞の位置がある程度特定されているので、短時間で処理することができる。
【0067】
また、閲覧画像データに少なくとも一つのキーワードデータが付加されている場合には、そのキーワードデータに基づいて、照合する干渉縞、記録媒体又は画像データベースの順序を決定することにより、照合処理を効率的に行うことができる。キーワードデータを利用する場合、まず登録データ又はその他の認定手段によって、登録画像データにキーワードを設定する必要がある。キーワードは、各干渉縞、各登録画像データ、各記録媒体又は各画像データベースに対応して記録されていればよい。例えば、各干渉縞の記録位置と登録画像データとの対応関係に加えてキーワードを記録したり、各記録媒体にキーワードを設定し、該当するキーワードを有する登録画像データを記録したり、キーワード別にそれぞれ画像データベースを設け、該当するキーワードを有する登録画像データを記録する。そして、照合時には、閲覧画像データに付加されているキーワードデータから取得したキーワードが設定されている登録画像データを記録したホログラフィック記録媒体に対して、最初に検索光を照射することにより、早期に照合できる割合が高まるので、効率的に照合することができる。
【0068】
キーワードとしては、例えば、映画、テレビ、オリジナル映像、音楽等の大きな分類から、さらに細かく邦画、洋画、ドラマ、バラエティ、ニュース、アニメ、CMなどのように設定できる。
【0069】
以上のように、記録媒体の各干渉縞に検索光を照射しながら、参照マーク光検出器52の出力信号を監視することにより、検索用画像と相関の高い登録用画像が記録された干渉縞を検索することができ、閲覧画像データと登録画像データとを照合することができる。なお、照合時において、全ての干渉縞についての相関信号を取得した上で、最終的に適切と思われる照合結果を判断する構成とすることも可能である。
【0070】
ところで、従来のホログラフィック記録再生は、記録時には参照光と情報光とを干渉させて干渉縞を形成し、再生時には参照光を照射することで情報光を再生していた。このようなホログラフィック記録再生においては、二次元画像等の膨大な情報量を持つ情報光を記録及び再生できることに大きな特徴があり、再生時には、情報光の持つ二次元画像等の膨大な情報を検出する必要があった。このため、二次元的に受光素子を配列した高性能の検出手段を使用して二次元画像等を再生していたが、光強度の二次元分布を検出するため、ある程度参照光を照射して再生した情報光の光量を多くする必要があり、また検出手段の処理能力にも限界があったので再生速度や転送レートが制限されていた。これに対し、上述した照合手段4では、参照マーク光の強度を検出するだけであり、ホログラフィック記録媒体の干渉縞から登録用画像を再生する必要がないので、極めて高速で処理することができる。特に、図14(C)のレンズ53のように、再生した光を集光して一点で検出する構成は、従来の光強度の二次元分布を検出するホログラフィック記録再生では採用できないものである。
【0071】
また、従来のホログラフィック記録再生においては、汎用的な記録媒体としての代替として認識されており、記録速度も重要な要因であり、その結果、高速で切替え可能な空間光変調器を利用する必要があったが、本発明のホログラフィック記録媒体2においては、照合時の高速化が実現できればよいのであって、記録時の記録速度や転送速度については特に重要ではない。よって、表示の切替え速度が遅い強誘電性液晶表示装置等でも空間光変調器として利用できる。なお、照合時においては、空間光変調器には同じ検索用画像がある程度の期間表示されるものであるから、切替え速度の制限は緩やかである。
【0072】
[実施例] 登録用画像を10fps(フレーム/秒)、つまり一秒の動画について10枚のフレーム画像を抽出して動画データを記録した。12cmの円盤状のホログラフィック記録媒体に対し、直径約200μmの干渉縞をトラック方向に20μm間隔、半径方向に20μm間隔で記録すると、1枚のホログラフィック記録媒体に90分の動画データを約170本(=15,300分=登録用画像9,180,000枚)記録することができる。このホログラフィック記録媒体に対し、10fpsで90分の動画データを50本(=4,500分=登録用画像2,700,000枚)記録してデータベースを構築した。そして、ホログラフィック記録媒体を2400rpmの回転数で回転させながら、照合用画像に基づいて生成された検索光を照射して照合処理を行うと、1秒間に753,600枚の画像と照合することができ、3.6秒でデータベース内の全画像と照合することができた。この時の転送速度は約250Gbpsであった。さらに、ホログラフィック記録媒体の回転数を5000rpmにした場合、1.7秒で検索が可能である。仮に、ホログラフィック記録媒体の記録容量を最大限利用して、90分動画データを170本記録したとしても、12.2秒で照合することができる。さらに、ホログラフィック記録媒体を複数枚利用することにより、画像データベースの記録容量は制限が無くなり、照合処理を複数の装置によって並列に処理すれば、照合時間も維持できるので、膨大な数の投稿画像に対して常時対応できる照合システムを提供することができる。
【0073】
[比較例] 従来のハードディスクにおいては、1TB(=1000GB)のデータベースを構築することも可能であったが、その転送速度は一般的には300Mbpsから速くても3Gbps以下であった。現在入手可能な高性能コンピュータ、例えば、周波数が3.00GHzのCPU、1.99GBのRAMを搭載したコンピュータを使用して、計算を最適化したとしても、1秒間にハードディスクに記録したデータベースのうち100〜1000枚(10秒〜100秒間の動画)と照合するのが限界であった。このようなハードディスクを用いたシステムでは、例えば、ハードディスクに構築した10fpsで90分の動画データを50本(=4,500分=登録用画像2,700,000枚)記録したデータベースに対し、1画像を照合するためには、少なくとも45分の時間が必要であった。つまり、実施例の照合システムでは3.6秒で照合していたのが、ハードディスクを用いた場合では、750倍も照合に時間がかかるのである。別の見方をすれば、ハードディスクを用いた場合では、750台のコンピュータを並列に処理することで漸く実施例と同等の照合速度を実現できるのであるから、本実施例では、単に処理速度を速くできるだけではなく、消費電力及び設備投資コストの低減にも繋がるのである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】 本発明の照合システムを示す概略構成図
【図2】 データの流れを概略的に示すブロック図
【図3】 照合サーバの構成図
【図4】 情報処理装置における画像加工処理のフローチャート
【図5】 (A)は空間光変調器における記録時の表示面を示す概略図、(B)は情報光及び参照マーク光による干渉縞の記録動作を示す概略図
【図6】 他の表示方式での記録時の空間光変調器における表示面を示す概略図
【図7】 参照マークの配置位置とホログラムに書き込まれる干渉縞との関係を表す図
【図8】 (A)はさらに他の表示方式での空間光変調器における記録時の表示面を示す概略図、(B)は登録用画像の一例、(C)は分割した登録用画像を表示した状態を示す図
【図9】 (A)〜(C)はデータベースにおけるエラーレートを示す図
【図10】 (A)、(B)はデータベースにおけるエラーレートを示す図
【図11】 (A)〜(C)はデータベースにおけるエラーレートを示す図
【図12】 照合サーバにおける照合処理のフローチャート
【図13】 (A)は空間光変調器における照合時の表示面を示す概略図、(B)は検索光による照合の動作を示す概略図
【図14】 (A)は他の表示方式での空間光変調器における照合時の表示面を示す概略図、(B)は検索光による照合の動作を示す概略図、(C)は(B)の変形例
【符号の説明】
【0075】
1 照合サーバ
2 画像データベース
3 検索光生成手段
4 照合手段
5,6 登録者
10 クライアント群
11 ネットワーク
12 サイト
13 閲覧画像データ
20 ホログラフィック記録媒体
21 ホログラム記録層
24 干渉縞
32 情報光
33 参照マーク光
36 検索光
37 参照マーク光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データを照合する照合システムであって、
複数の登録画像データが登録された画像データベースと、前記閲覧画像データに基づいて検索光を生成する検索光生成手段と、前記閲覧画像データと前記画像データベースに登録された登録画像データとを照合する照合手段とを有し、
前記画像データベースは、登録画像データに基づいて生成された情報光と参照マークに基づいて生成された参照マーク光との干渉縞によって画像データが記録されたホログラム記録層を備えたホログラフィック記録媒体を有し、
前記照合手段は、前記検索光生成手段によって生成された検索光を前記ホログラフィック記録媒体のホログラム記録層に照射し、再生される参照マーク光を検出して前記閲覧画像データと前記登録画像データとを照合することを特徴とする照合システム。
【請求項2】
前記閲覧画像データが、前記画像データベースに登録されていた場合、前記閲覧画像データに識別データを付加することを特徴とする請求項1に記載の照合システム。
【請求項3】
前記識別データに基づいて、前記閲覧画像データの閲覧条件を変更することを特徴とする請求項2に記載の照合システム。
【請求項4】
前記ホログラフィック記録媒体は、位置を特定するアドレス層を備えており、前記検索光によって参照マーク光が再生された場合に、参照マーク光を再生させた干渉縞の位置を前記アドレス層によって特定し、当該干渉縞の位置から前記閲覧画像データを特定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項5】
前記閲覧画像データが、前記画像データベースに登録されていた場合、前記画像データベースに当該画像データを登録した登録者に対し、当該画像データに関する情報を提供することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項6】
前記ホログラフィック記録媒体は、円盤状であり、前記ホログラフィック記録媒体を回転させつつ前記検索光を照射することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項7】
前記情報光は、空間光変調器の一部の領域に表示された前記登録画像データの再生画像から生成された登録用画像によって空間的に変調されており、前記参照マーク光は、前記空間光変調器の他の一部の領域に表示された前記参照マークによって変調されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項8】
前記登録用画像が表示される空間光変調器の一部の領域は、複数の離間した領域に分割されており、前記登録用画像が前記複数の離間した領域に分割されて表示され、前記複数の離間した領域の間に、前記参照マークが表示される領域の少なくとも一部が配置されていることを特徴とする請求項7に記載の照合システム。
【請求項9】
前記検索光は、前記閲覧画像データの再生画像から生成された検索用画像によって空間的に変調されており、前記検索用画像は、前記登録用画像が表示される空間光変調器の一部の領域に表示されることを特徴とする請求項7又は8に記載の照合システム。
【請求項10】
前記登録画像データには少なくとも一つのキーワードが設定され、
前記閲覧画像データは、少なくとも一つのキーワードデータが付加されており、
前記照合手段は、前記閲覧画像データを照合する際に、前記キーワードデータから取得したキーワードが設定されている登録画像データを記録したホログラフィック記録媒体に対して、最初に検索光を照射することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項11】
前記登録画像データには少なくとも動画データが含まれ、
前記動画データを再生した再生動画像から抽出したフレームの静止画像に基づいて前記情報光が生成され、
一つの動画データの中で、前記再生動画像から抽出される単位時間あたりのフレーム数が可変であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項1】
ネットワーク上のサイトにおいて閲覧可能な状態とされる閲覧画像データを照合する照合システムであって、
複数の登録画像データが登録された画像データベースと、前記閲覧画像データに基づいて検索光を生成する検索光生成手段と、前記閲覧画像データと前記画像データベースに登録された登録画像データとを照合する照合手段とを有し、
前記画像データベースは、登録画像データに基づいて生成された情報光と参照マークに基づいて生成された参照マーク光との干渉縞によって画像データが記録されたホログラム記録層を備えたホログラフィック記録媒体を有し、
前記照合手段は、前記検索光生成手段によって生成された検索光を前記ホログラフィック記録媒体のホログラム記録層に照射し、再生される参照マーク光を検出して前記閲覧画像データと前記登録画像データとを照合することを特徴とする照合システム。
【請求項2】
前記閲覧画像データが、前記画像データベースに登録されていた場合、前記閲覧画像データに識別データを付加することを特徴とする請求項1に記載の照合システム。
【請求項3】
前記識別データに基づいて、前記閲覧画像データの閲覧条件を変更することを特徴とする請求項2に記載の照合システム。
【請求項4】
前記ホログラフィック記録媒体は、位置を特定するアドレス層を備えており、前記検索光によって参照マーク光が再生された場合に、参照マーク光を再生させた干渉縞の位置を前記アドレス層によって特定し、当該干渉縞の位置から前記閲覧画像データを特定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項5】
前記閲覧画像データが、前記画像データベースに登録されていた場合、前記画像データベースに当該画像データを登録した登録者に対し、当該画像データに関する情報を提供することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項6】
前記ホログラフィック記録媒体は、円盤状であり、前記ホログラフィック記録媒体を回転させつつ前記検索光を照射することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項7】
前記情報光は、空間光変調器の一部の領域に表示された前記登録画像データの再生画像から生成された登録用画像によって空間的に変調されており、前記参照マーク光は、前記空間光変調器の他の一部の領域に表示された前記参照マークによって変調されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項8】
前記登録用画像が表示される空間光変調器の一部の領域は、複数の離間した領域に分割されており、前記登録用画像が前記複数の離間した領域に分割されて表示され、前記複数の離間した領域の間に、前記参照マークが表示される領域の少なくとも一部が配置されていることを特徴とする請求項7に記載の照合システム。
【請求項9】
前記検索光は、前記閲覧画像データの再生画像から生成された検索用画像によって空間的に変調されており、前記検索用画像は、前記登録用画像が表示される空間光変調器の一部の領域に表示されることを特徴とする請求項7又は8に記載の照合システム。
【請求項10】
前記登録画像データには少なくとも一つのキーワードが設定され、
前記閲覧画像データは、少なくとも一つのキーワードデータが付加されており、
前記照合手段は、前記閲覧画像データを照合する際に、前記キーワードデータから取得したキーワードが設定されている登録画像データを記録したホログラフィック記録媒体に対して、最初に検索光を照射することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の照合システム。
【請求項11】
前記登録画像データには少なくとも動画データが含まれ、
前記動画データを再生した再生動画像から抽出したフレームの静止画像に基づいて前記情報光が生成され、
一つの動画データの中で、前記再生動画像から抽出される単位時間あたりのフレーム数が可変であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の照合システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−282374(P2008−282374A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153340(P2007−153340)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(503216524)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(503216524)
【Fターム(参考)】
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