説明

画像パラメータ調整装置及び方法及びプログラム

【課題】 環境光が動的に変化する場合であっても、正しく物体、及び人の変化を検出する。
【解決手段】 本発明は、撮像手段から、該撮像手段が撮像できる視野範囲内にマーカを設置して撮像した画像を取得し、マーカ情報記憶手段からマーカの位置及びサイズを取得して、該画像から該マーカの位置及びサイズに基づいて判定用パラメータを抽出し、該判定用パラメータに対する判定用画像を生成し、判定用画像と初期画像記憶手段から取得した任意の画像との類似度を判定し、所定の類似度以上の判定用画像の判定用パラメータをパラメータ記憶手段に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像パラメータ調整装置及び方法及びプログラムに係り、特に、撮影手段を用いて撮影した画像を元にして、画像処理の色度、彩度、明度、大きさなどのパラメータを自動調整するための画像パラメータ調整装置及び方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インタラクティブデジタルサイネージなどの分野において、物体や人の変化を検出し、その変化を元にインタラクティブに提示されている情報を変化させるシステムに注目が集まっている。そういったシステムは一般的に、検出したい物体や人の色度、彩度、明度、大きさなどの情報をパラメータとして保存しておき、そのパラメータを元に物体や人を検出し、時系列での変化を検出する手法をとる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−123360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、カメラで撮影される画像は光の変化に弱く、動的に環境光が変化する屋外や、ステージ上などでは光の変化も共に検出してしまい、保存した特定のパラメータで正しく物体や人の動きの変化を検出し続けることが難しいという第1の課題がある。
【0005】
また、検出するためのパラメータの設定をできるだけ簡単・かつ汎用性ある仕組みにするという第2の課題がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、環境光が動的に変化する場合であっても、正しく物体、及び人の変化を検出することが可能な画像パラメータ調整装置及び方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0008】
本発明(請求項1)は、撮像手段2を用いて撮像した画像を元にした色度、彩度、明度、大きさを含むパラメータを調整する画像パラメータ調整装置であって、
検出したい色度、彩度、明度を含むマーカの位置及びサイズの情報を格納したマーカ情報記憶手段4と、
任意の画像を格納する初期画像記憶手段6と、
撮像手段2から、該撮像手段2が撮像できる視野範囲内にマーカを設置して撮像した画像を取得し、マーカ情報記憶手段4からマーカの位置及びサイズを取得して、該画像のマーカを分析して判定用パラメータを抽出し、該判定用パラメータに対する判定用画像を生成する判定画像生成手段3と、
判定用画像と初期画像記憶手段6から取得した任意の画像との類似度を判定し、所定の類似度以上の判定用画像の判定用パラメータをパラメータ記憶手段7に格納する類似度判定手段5と、を有する。
【0009】
また、本発明(請求項2)は、判定画像生成手段3において、判定用パラメータを抽出する際に、
マーカの位置及びサイズ内に存在する色を抽出し、
マーカのt秒間の色度、彩度、明度の一つ以上の変化をとった値の平均、または、該マーカのt秒間の色度、彩度、明度のうち、一つ以上の変化の最大値、最小値のペアを用いる。
【0010】
また、本発明(請求項3)は、撮像手段2により撮影された画像の中から抽出する位置及びサイズで示される領域の指定を受け付け、マーカ情報記憶手段4に格納する抽出箇所設定手段と、
マーカ情報記憶手段4から領域内に存在する色を抽出し、画像生成用のパラメータを抽出し、該画像生成用のパラメータから任意の画像を生成し、初期画像として初期画像記憶手段6に格納する初期画像生成手段と、を更に有する。
【0011】
図2は、本発明の原理を説明するための図である。
【0012】
本発明(請求項4)は、撮像手段を用いて撮像した画像を元にした色度、彩度、明度、大きさを含むパラメータを調整する画像パラメータ調整方法であって、
検出したい色度、彩度、明度を含むマーカの位置及びサイズの情報を格納したマーカ情報記憶手段と、
任意の画像を格納する初期画像記憶手段と、
パラメータを格納するパラメータ記憶手段と、を有するコンピュータが、
撮像手段から、該撮像手段が撮像できる視野範囲内にマーカを設置して撮像した画像を取得し(ステップ1)、マーカ情報記憶手段からマーカの位置及びサイズを取得して、該画像のマーカを分析して判定用パラメータを抽出し(ステップ2)、該判定用パラメータに対する判定用画像を生成する(ステップ3)判定画像生成ステップと、
判定用画像と初期画像記憶手段から取得した任意の画像との類似度を判定し(ステップ4)、所定の類似度以上の判定用画像の判定用パラメータをパラメータ記憶手段に格納する(ステップ5)類似度判定ステップと、を行う。
【0013】
また、本発明(請求項5)は、判定画像生成ステップにおいて、
判定用パラメータを抽出する際に、
マーカの位置及びサイズ内に存在する色を抽出し、
マーカのt秒間の色度、彩度、明度の一つ以上の変化をとった値の平均、または、該マーカのt秒間の色度、彩度、明度のうち、一つ以上の変化の最大値、最小値のペアを用いる。
【0014】
また、本発明(請求項6)は、撮像手段により撮影された画像の中から抽出する位置及びサイズで示される領域の指定を受け付け、マーカ情報記憶手段に格納する抽出箇所設定ステップと、
マーカ情報記憶手段から領域内に存在する色を抽出し、画像生成用のパラメータを抽出し、該画像生成用のパラメータから任意の画像を生成し、初期画像として初期画像記憶手段に格納する初期画像生成ステップと、を更に行う。
【0015】
本発明(請求項7)は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像パラメータ調整装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための画像パラメータ調整プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
上記のように本発明によれば、マーカにより正しいパラメータを取得し、パラメータを更新することが可能であるため、環境光が動的に変化する場合であっても、正しく物体、及び人の変化を検出することが可能となる。
【0017】
また、検出対象自身のコピーをマーカとしてそのまま設置し、その位置や大きさを設定するのみでパラメータを自動で生成することが可能であり、かつ、マーカの大きさや位置を好みに設定することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における画像パラメータ調整装置の構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるマーカの例である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるマーカの設置例である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における画像パラメータ調整装置のフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における画像パラメータ調整装置の構成図である。
【図8】本発明の自動色調整方法を適用する場合のフローチャートである。
【図9】本発明の自動色調整方法を適用する場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図3は、本発明の第1の実施の形態における画像パラメータ調整装置の構成を示す。
【0021】
同図に示す画像パラメータ調整装置は、少なくとも、マーカ部1、撮像部2、判定画像生成部3、マーカ情報保存部4、類似性判定部5、初期画像保存部6、パラメータ保存部7を有する。このうち、撮像部2はカメラであり、マーカ部1は撮影部2で撮影できる視野範囲内に設置される。判定画像生成部3、マーカ情報保存部4、類似性判定部5、初期画像保存部6、パラメータ保存部7は、パーソナルコンピュータ内に設けられる。なお、マーカ情報保存部4、初期画像保存部6、パラメータ保存部7は、メモリやディスク等の記憶媒体である。
【0022】
図4にマーカ部1の例を示す。マーカは、検出したい色度、彩度、明度などの情報であり、撮影部2において、図5に示すように利用する。マーカの座標位置及びサイズは設定画面で予め設定され、その情報はマーカ情報保存部4に記録されているものとする。例えば、1つのパラメータに対するグレースケールの判定用画像とする。判定用のパラメータは、例えば、マーカ部1のt秒間の色度、彩度、明度のうちの一つ以上の変化があった値の平均や、マーカ部1のt秒間の色度、彩度、明度のうちの一つ以上の変化の最大値、最小値をペアで用いても良い。
【0023】
次に、上記の構成における動作を説明する。
【0024】
図6は、本発明の第1の実施の形態における画像パラメータ調整装置のフローチャートである。
【0025】
ステップ101) 撮影部2は、マーカをカメラ画像内に設置し、撮影した画像を判定画像生成部3へ送信する。
【0026】
ステップ102) 判定画像生成部3は、撮像部2で撮像した画像を受け取り、マーカ情報保存部4からマーカ部1の座標位置及びサイズの情報を取得し、これらの情報に基づいて画像中のマーカを分析して判定用パラメータを抽出する。具体的な判定用のパラメータの抽出方法は、例えば、マーカ部1のt秒間の色度、彩度、明度の一つ以上の変化をとった値の平均や、マーカ部1のt秒間の色度、彩度、明度の1つ以上の変化の最大値、最小値をペアで用いてもよい。
【0027】
ステップ103) 判定画像生成部3は、ステップ102で割り出されたパラメータにより抽出された画像を判定用画像として生成する。例えば、1つのパラメータに対するグレースケールの判定用画像を生成し、パラメータデータ及び判定用画像を類似性判定部5に渡す。
【0028】
ステップ104) 類似性判定部5は、判定画像生成部3からパラメータデータと判定用画像を取得すると、初期画像保存部6から初期画像を取得し、判定用画像と初期画像との類似性を調べる。類似性の判定は画像の輝度差(SSD,SAD)や、正規相関(NCC)などを用いて類似度を計算してもよい。類似性判定部5は、画像の類似度が所定の値を超えているかを判定する。
【0029】
ステップ105) 類似度が所定の値を超えている場合は、類似性判定部5は、パラメータデータをパラメータ保存部7に格納する。類似度が所定の値以下の場合は、マーカが人や物によって隠蔽されたか、極端に環境光が変化したとみなし、パラメータ保存部7には何も格納しない。この処理は定期実行するが、類似度が所定の値以下の状態が継続する場合は、自動調整できないためアラートを発する。
【0030】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、パラメータの設定の利便性を向上させる例を示す。
【0031】
図7は、本発明の第2の実施の形態における画像パラメータ調整装置の構成を示す。
【0032】
同図に示す画像パラメータ調整装置は、前述の第1の実施の形態の図3の構成に、抽出箇所設定部8及び初期画像生成部9を付加したものである。他の構成要素については、図3と同様であるため、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
抽出箇所設定部8は、撮像部2より画像を受け取ると、画像内のマーカ部1のある座標位置やサイズを設定する。これらを設定する方法は、画像内をマウスクリックにより指定したりしてもよい。抽出箇所設定部8は、マーカ部1の座標位置やサイズが設定されると、その情報をマーカ情報保存部4に格納する。さらに、抽出箇所設定部8は、画像内のマーカ部1の座標位置やサイズの情報と撮影部2から送られた画像を初期画像生成部9へ送る。
【0034】
初期画像生成部9は、抽出箇所設定部8から座標位置やサイズの情報及び画像を取得し、座標位置やサイズに対応する画像内のパラメータを抽出する。判定用のパラメータは、例えば、マーカ部1のt秒間の色度、彩度、明度のうちの一つ以上の変化をとった値の平均や、マーカ部1のt秒間の色度、彩度、明度のうちの一つ以上の変化の最大値、最小値をペアで用いてもよい。初期画像生成部9は、割り出されたパラメータにより抽出された画像を初期画像として生成し、初期画像保存部6に格納する。
【0035】
[第3の実施の形態]
図8は、本発明の自動色調整方法を適用する場合のフローチャートである。
【0036】
ステップ201) 初期画像保存部6を参照して、初期画像が生成されているかを判定し、生成されていない場合は当該処理を終了する。
【0037】
ステップ202) マーカ情報保存部4を参照して、床面パターンの位置、サイズが設定されているかを判定し、設定されていない場合は当該処理を終了する。
【0038】
ステップ203) 初期画像が生成され、床面パターンの位置、サイズが設定されている場合は、判定用パラメータを生成し、床面パターンに対応するグレースケール画像を生成する。
【0039】
ステップ204) 生成されたグレースケール画像と初期画像との類似性を比較し、類似度が所定の閾値以下の場合は当該処理を終了する。
【0040】
ステップ205) 類似度が所定の閾値より大きければ、上記の判定用パラメータを新しい肌色検出パラメータとして適用する。
【0041】
なお、上記の第1の実施の形態の図3、及び、第2の実施の形態の図7に示す画像パラメータ調整装置の構成要素の動作をプログラムとして構築し、画像パラメータ調整装置として利用されるコンピュータにインストールすることにより実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0042】
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク・CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
【0043】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、画像処理技術に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 マーカ部
2 撮影手段、撮影部
3 判定画像生成手段、判定画像生成部
4 マーカ情報記憶手段、マーカ情報保存部
5 類似性判定部、類似性判定手段
6 初期画像記憶手段、初期画像保存部
7 パラメータ記憶手段、パラメータ保存部
8 抽出箇所設定部
9 初期画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段を用いて撮像した画像を元にした色度、彩度、明度、大きさを含むパラメータを調整する画像パラメータ調整装置であって、
検出したい色度、彩度、明度を含むマーカの位置及びサイズの情報を格納したマーカ情報記憶手段と、
任意の画像を格納する初期画像記憶手段と、
前記撮像手段から、該撮像手段が撮像できる視野範囲内に前記マーカを設置して撮像した画像を取得し、前記マーカ情報記憶手段からマーカの位置及びサイズを取得して、該画像のマーカを分析して判定用パラメータを抽出し、該判定用パラメータに対する判定用画像を生成する判定画像生成手段と、
前記判定用画像と前記初期画像記憶手段から取得した任意の画像との類似度を判定し、所定の類似度以上の判定用画像の判定用パラメータをパラメータ記憶手段に格納する類似度判定手段と、
を有することを特徴とする画像パラメータ調整装置。
【請求項2】
前記判定画像生成手段は、
前記判定用パラメータを抽出する際に、
前記マーカの位置及びサイズ内に存在する色を抽出し、
前記マーカのt秒間の色度、彩度、明度の一つ以上の変化をとった値の平均、または、該マーカのt秒間の色度、彩度、明度のうち、一つ以上の変化の最大値、最小値のペアを用いる
請求項1記載の画像パラメータ調整装置。
【請求項3】
前記撮像手段により撮影された画像の中から抽出する位置及びサイズで示される領域の指定を受け付け、前記マーカ情報記憶手段に格納する抽出箇所設定手段と、
前記マーカ情報記憶手段から前記領域内に存在する色を抽出し、画像生成用のパラメータを抽出し、該画像生成用のパラメータから任意の画像を生成し、初期画像として前記初期画像記憶手段に格納する初期画像生成手段と、
を更に有する請求項1または2記載の画像パラメータ調整装置。
【請求項4】
撮像手段を用いて撮像した画像を元にした色度、彩度、明度、大きさを含むパラメータを調整する画像パラメータ調整方法であって、
検出したい色度、彩度、明度を含むマーカの位置及びサイズの情報を格納したマーカ情報記憶手段と、
任意の画像を格納する初期画像記憶手段と、
パラメータを格納するパラメータ記憶手段と、を有するコンピュータが、
前記撮像手段から、該撮像手段が撮像できる視野範囲内に前記マーカを設置して撮像した画像を取得し、前記マーカ情報記憶手段からマーカの位置及びサイズを取得して、該画像のマーカを分析して判定用パラメータを抽出し、該判定用パラメータに対する判定用画像を生成する判定画像生成ステップと、
前記判定用画像と前記初期画像記憶手段から取得した任意の画像との類似度を判定し、所定の類似度以上の判定用画像の判定用パラメータを前記パラメータ記憶手段に格納する類似度判定ステップと、
を行うことを特徴とする画像パラメータ調整方法。
【請求項5】
前記判定画像生成ステップにおいて、
前記判定用パラメータを抽出する際に、
前記マーカの位置及びサイズ内に存在する色を抽出し、
前記マーカのt秒間の色度、彩度、明度の一つ以上の変化をとった値の平均、または、該マーカのt秒間の色度、彩度、明度のうち、一つ以上の変化の最大値、最小値のペアを用いる
請求項4記載の画像パラメータ調整方法。
【請求項6】
前記撮像手段により撮影された画像の中から抽出する位置及びサイズで示される領域の指定を受け付け、前記マーカ情報記憶手段に格納する抽出箇所設定ステップと、
前記マーカ情報記憶手段から前記領域内に存在する色を抽出し、画像生成用のパラメータを抽出し、該画像生成用のパラメータから任意の画像を生成し、初期画像として前記初期画像記憶手段に格納する初期画像生成ステップと、
を更に行う請求項4または5記載の画像パラメータ調整方法。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像パラメータ調整装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための画像パラメータ調整プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−53989(P2011−53989A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203167(P2009−203167)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】