説明

画像処理システムおよび画像処理装置の検索プログラム

【課題】効率的かつ安全に他サブネット上の画像処理装置を検索することのできる画像処理システムを提供する。
【解決手段】
自サブネットSB1において、情報処理装置(クライアントPC1)に導入済みの画像処理装置に関する情報を取得する情報取得手段(情報取得部201)と、該情報取得手段で取得した情報からネットワーク関連情報を抽出する抽出手段(抽出部202)と、該抽出手段で抽出したネットワーク関連情報に基づいて、検索対象とする他サブネットを決定する他サブネット決定手段(決定部205)と、該他サブネット決定手段で決定された他サブネットに対して画像処理装置の検索を行う検索手段(検索部206)とを少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システムおよび画像処理装置の検索プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ネットワークの一種としてのLAN等への接続に対応したプリンタやスキャナなどの画像処理装置に対してドライバをインストールする際には、ネットワーク上よりデバイスを検索して接続ポートを確立している。
【0003】
しかしながら、IP(Internet Protocol)アドレスの性質上、情報処理装置としてのクライアント(例えば、パーソナルコンピュータ等)と同一のサブネットに接続された画像処理装置しか検索できず、選択の幅を広げるために、他のサブネットに接続された画像処理装置をも検索したいという要望がある。
【0004】
そこで、例えば特開2001−331392号公報では、ネットワーク上を流れる全ての印刷パケットを監視し、印刷指定先のプリンタの所在を示すIPアドレスをサーバに格納し、プリンタ等の検索時に格納しておいたデータを利用して、自サブネット以外で印刷デバイスが存在する他サブネットを特定する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2001−331392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、効率的かつ安全に他サブネット上の画像処理装置を検索することのできる画像処理システムおよび画像処理装置の検索プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像処理システムは、1または2以上の情報処理装置と、自サブネットと1または2以上の他サブネットとを有するネットワークを介して前記情報処理装置に接続され、前記情報処理装置との間で送受信される情報に基づいて画像処理を行う1または2以上の画像処理装置と、前記自サブネットにおいて、前記情報処理装置に導入済みの画像処理装置に関する情報を取得する情報取得手段と、該情報取得手段で取得した情報からネットワーク関連情報を抽出する抽出手段と、該抽出手段で抽出したネットワーク関連情報に基づいて、検索対象とする他サブネットを決定する他サブネット決定手段と、該他サブネット決定手段で決定された他サブネットに対して画像処理装置の検索を行う検索手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明に係る画像処理システムは、請求項1に記載の発明について、前記情報処理装置は、当該情報処理装置が接続される前記自サブネットにおいて、前記抽出手段で抽出されたネットワーク関連情報または前記検索手段で検索された検索結果を問い合わせる問合せ手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明に係る画像処理システムは、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明について、前記情報取得手段で取得される前記画像処理装置に関する情報は、IP(Internet Protocol)アドレスであり、前記抽出手段で抽出されるネットワーク関連情報は、前記IPアドレスのサブネット情報であることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明に係る画像処理システムは、請求項3に記載の発明について、前記抽出手段は、前記情報処理装置のIPアドレスのサブネット情報と、前記情報取得手段で取得されたIPアドレスのサブネット情報とを比較する比較手段と、前記比較手段で双方のサブネット情報が異なると判定された場合に、前記情報取得手段で取得されたIPアドレスのサブネット情報を格納する格納手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明に係る画像処理システムは、請求項3または請求項4の何れかに記載の発明について、前記情報取得手段は、ネットワークポートの接続情報としてのURL(Uniform Resource Locator)に対応するIPアドレスを前記ネットワークに接続されたDNS(Domain Name System)サーバに問い合わせて取得することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明に係る画像処理システムは、請求項1から請求項5の何れかに記載の発明について、前記画像処理装置は、プリンタおよびスキャナを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明に係る画像処理システムは、請求項1から請求項6の何れかに記載の発明について、前記検索手段で選択された画像処理装置に対して、稼働に必要なソフトウェアを導入する導入手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明に係る画像処理装置の検索プログラムは、自サブネットにおいて、情報処理装置に導入済みの画像処理装置に関する情報を取得する情報取得処理過程と、該情報取得処理過程で取得した情報からネットワーク関連情報を抽出する抽出処理過程と、該抽出処理過程で抽出したネットワーク関連情報に基づいて、検索対象とする他サブネットを決定する決定処理過程と、該決定処理過程で決定された他サブネットに対して画像処理装置の検索を行う検索処理過程とを演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、情報処理装置に導入済みの画像処理装置に関する情報から取得された情報からネットワーク関連情報を抽出し、そのネットワーク関連情報に基づいて決定された他サブネットに対して画像処理装置の検索を行っているので、効率的かつ安全に他サブネット上の画像処理装置を検索することができるという効果がある。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、抽出されたネットワーク関連情報または検索された検索結果を問い合わせているので、情報処理装置に画像処理装置が導入されていない場合にも、効率的に他サブネット上の画像処理装置を検索することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、効率的かつ安全に他サブネット上の画像処理装置を検索することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、効率的かつ安全に他サブネット上の画像処理装置を検索することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より効率的かつ安全に他サブネット上の画像処理装置を検索することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、プリンタおよびスキャナ等について、効率的かつ安全に他サブネット上の画像処理装置を検索することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、検索された画像形成装置を使用可能な状態とすることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、情報処理装置に導入済みの画像処理装置に関する情報から取得された情報からネットワーク関連情報を抽出し、そのネットワーク関連情報に基づいて決定された他サブネットに対して画像処理装置の検索を行っているので、効率的かつ安全に他サブネット上の画像処理装置を検索することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0024】
(第1の実施の形態)
【0025】
図1から図5を参照して、本発明についての第1の実施の形態に係る画像処理システムS1について説明する。
【0026】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る画像処理システムS1は、ルータ100を介して、自サブネットSB1と他サブネットB2とからなるネットワーク(LAN等)Nが接続されている。
【0027】
なお、図1では、一つの他サブネットSB2を示すが、2以上の他サブネットを接続する場合であってもよい。
【0028】
特に限定されないが、図1に示す自サブネットSB1では、ネットワークNを介して、プリンタPR1(画像処理装置の一例)とスキャナSC1(画像処理装置の一例)と、クライアントとしてのパーソナルコンピュータPC1(情報処理装置の一例)とが接続されて構成されている。
【0029】
なお、自サブネットSB1におけるプリンタ、スキャナおよびクライアントの接続数は、それぞれ2台以上であっても良い。
【0030】
ここで、サブネットとは、大きなネットワークを複数の小さなネットワークに分割して管理する際の管理単位となる小さなネットワークのことをいう。即ち、管理単位となる小さなネットワークをサブネットという。
【0031】
また、TCP/IPでコンピュータの住所を表すIPアドレスは、情報処理装置としてのコンピュータが所属するサブネットのアドレス(ネットワークアドレス(サブネット部):図4における「129.249.228」の部分を参照)と、サブネット内でのコンピュータ自身のアドレス(ホストアドレス(ホスト部):図4における「.109」の部分を参照)から構成されており、上位何ビットがネットワークアドレスかを表す値を「サブネットマスク」という。
【0032】
また、特に限定されないが、図1に示す他サブネットSB2では、ネットワークNを介して、3台のプリンタPR2〜PR4(画像処理装置の一例)と1台のスキャナSC1(画像処理装置の一例)と、クライアントとしてのパーソナルコンピュータPC2(情報処理装置の一例)とが接続されて構成されている。
【0033】
なお、他サブネットSB2におけるプリンタ、スキャナおよびクライアントの接続数は、それぞれ任意の台数であっても良い。
【0034】
また、自サブネットSB1のクライアントPC1には、他サブネットSB2に属する画像処理装置(プリンタPR2〜PR4、スキャナSC2)の少なくとも一台についてドライバ(プリンタドライバまたはスキャナドライバ)がインストール(導入)されているものとする。
【0035】
次に、図2を参照して、クライアントPC1の構成について説明する。
【0036】
なお、クライアントPC1は、パーソナルコンピュータ等で構成され、後述する各部は、パーソナルコンピュータ等が備えるCPU、メモリ、ハードディスク装置、ネットワークボード等およびハードディスク装置等に格納されるソフトウェアで実現される。
【0037】
また、クライアントPC2もクライアントPC1と同様の構成を備えるようにしてもよい。
【0038】
クライアントPC1は、所定のソフトウェアに基づく演算処理を実行する演算部(例えば、CPU、ROM、RAM等で構成される)200と、クライアントPC1に導入(インストール)済みの画像処理装置(プリンタPR2〜PR4、スキャナSC2)に関する情報を取得する情報取得部201(情報取得手段の一例)と、この情報取得部201で取得した情報からネットワーク関連情報(例えばIPアドレスのサブネット情報)を抽出する抽出部202(抽出手段の一例)と、この抽出部202で抽出したネットワーク関連情報(例えばIPアドレスのサブネット情報)に基づいて、検索対象とする他サブネットを決定する決定部205(他サブネット決定手段の一例)と、この決定部205で決定された他サブネット(本実施の形態では他サブネットSB2)に対して画像処理装置(プリンタPR2〜4またはスキャナSC2)の検索を行う検索部206(検索手段の一例)と、検索部206で選択された画像処理装置(プリンタPR2〜4またはスキャナSC2)に対して、稼働に必要なソフトウェア(例えば、プリンタドライバまたはスキャナドライバ等)を導入するドライバ格納部207(導入手段の一例)とを少なくとも備えている。
【0039】
また、抽出部202は、クライアントPC1のIPアドレスのサブネット情報と、情報取得部201で取得されたIPアドレスのサブネット情報とを比較する比較部203(比較手段の一例)と、比較部203で双方のサブネット情報が異なると判定された場合に、情報取得部201で取得されたIPアドレスのサブネット情報を格納する情報格納部204(格納手段の一例)とを備えている。
【0040】
ここで、表1を参照して、クライアントPC1に導入(インストール)済みの機器の情報の例について述べる。
【表1】

【0041】
表1に示す例では、クライアントPC1には、自サブネットSB1(即ち、サブネット部が「129.249.228」)に属するプリンタPR1と、スキャナSC1が導入され、さらに、他サブネットSB2(即ち、サブネット部が「129.249.7」)に属するプリンタPR2、PR3が導入されている。
【0042】
従って、本実施の形態によれば、プリンタPR2、PR3のネットワーク関連情報(例えばIPアドレスのサブネット情報)を抽出し、他サブネットSB2を検索対象として決定することにより、他サブネットSB2に属する他の機器(図1の例によれば、プリンタPR4、スキャナSC2)をクライアントPC1から検索可能となる。
【0043】
即ち、一般的には、自サブネットを越えて、他サブネットに属する画像処理装置を検索することはできないが、本実施の形態に係る画像処理システムS1によれば、特定したサブネット(上記例では、サブネット部が「129.249.7」)を検索対象に加えることでサブネット越えが実現される。
【0044】
本実施の形態の構成を適用しない比較対象としての画像処理システムでは、ネットワーク上のすべてのパケットを解析する必要があるため、高い処理能力を持った処理装置、記憶領域を確保する必要があり、また全てのパケットを処理対象とすることでデータ量は膨大になり、処理装置の負担が大きく、現実の運用では使いづらいという不都合があった。
【0045】
また、他のユーザの印刷ジョブ情報を参照するため、個人情報の漏洩等のセキュリティ上の問題があった。
【0046】
これに対して、本実施の形態に係る画像処理システムS1によれば、簡易な構成で効率的且つ安全に他サブネット上の画像処理装置が検索される。
【0047】
なお、図3に示すように、クライアントPC1(PC2)は、OS(例えばWindows(マイクロソフト社の登録商標)等)がインストールされ、ネットワークNを介して通信を行う通信手段300、情報格納部204としてドライバのIPアドレスを格納するレジストリおよびプリンタドライバ、スキャナドライバを格納するドライバ格納部207を有している。
【0048】
次に、図5のフローチャートを参照して、画像処理システムS1のクライアントPC1で実行される検索処理の処理手順について説明する。
【0049】
この処理が開始されると、まずステップS100で、クライアントPC1にインストール済みのドライバがあるか否かが判定され、「No」の場合には、自サブネットSB1内のみを対象とした通常の検索(ステップS112)を行って処理を終了する。
【0050】
即ち、クライアントPC1上にドライバがまったくインストールされていない場合には、本実施の形態に係る機能は有効とはならない。
【0051】
また、ステップS100で、「Yes」の場合には、ステップS101に移行して、画像処理装置に関する情報としてドライバリストを取得する。なお、ルーチン処理を行うために、個数として「N(整数)」を設定し、i=1とする。
【0052】
次いで、ステップS102では、ポート接続情報を取得してからステップS103に移行する。
【0053】
ステップS103では、取得されたポート(プリンタの場合には印刷先接続情報)は、ローカルポート(例えば、パラレルポート、シリアルポート等)であるか否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS105に移行して、「i」を1だけインクリメントしてステップS102に戻る。また、「No」の場合にはステップS104に移行する。
【0054】
ステップS104では、取得されたポートは、URL(Uniform Resource Locator)であるか否かが判定され、「No」の場合にはステップS106に移行して、IPアドレスを取得してステップS107に移行する。
【0055】
また、ステップS104で「Yes」の場合には、ステップS108に移行して、URLに対応するIPアドレスをネットワークNに接続されたDNS(Domain Name System)サーバに問い合わせて取得してからステップS107に移行する。
【0056】
ステップS107では、IPアドレスからサブネット情報を抽出してステップS109に移行する。
【0057】
なお、ドライバに対応する機器(プリンタまたはスキャナ)のIPアドレス情報はOS上のレジストリに格納されている。
【0058】
また、例えばクライアントPC1に導入されたOS上のプリンタドライバは、プリンタのIPアドレスを必ず保持している。
【0059】
また、レジストリ上の接続情報はURLで格納されている場合もあるので、その場合にはステップS108のように、DNSサーバに対しURLに対応したIPアドレスを問い合わせることでIPアドレスを特定している。
【0060】
次いで、ステップS109では、i≦Nか否かが判定され、「Yes」の場合には、ステップS105に移行して、「i」を1だけインクリメントしてステップS102に戻る。
【0061】
また、「No」の場合には、ステップS110に移行して、サブネット情報をクライアントPC1のサブネットと比較し、他のサブネットである場合にはステップS111でそのサブネットを検索範囲に追加してステップS112に移行する。
【0062】
ステップS112では、検索範囲に従って検索を実行して処理を終了する。
【0063】
これにより、一般的には、自サブネットを越えて、他サブネットに属する画像処理装置を検索することはできないが、本実施の形態に係る画像処理システムS1によれば、追加したサブネットを検索対象に加えることでサブネット越えが実現され、簡易な構成で効率的且つ安全に他サブネット上の画像処理装置が検索される。
【0064】
(第2の実施の形態)
【0065】
図6から図10を参照して、本発明についての第2の実施の形態に係る画像処理システムS2について説明する。
【0066】
なお、第2の実施の形態に係る画像処理システムS2について、第1の実施の形態に係る画像処理システムS1と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
図6および図7に示すように、本実施の形態に係る画像処理システムS2は、ルータ100を介して、自サブネットSB11と他サブネットB12とからなるネットワーク(LAN等)Nが接続されている。
【0068】
なお、図6では、一つの他サブネットSB12を示すが、2以上の他サブネットを接続する場合であってもよい。
【0069】
特に限定されないが、図6に示す自サブネットSB1では、ネットワークNを介して、2台のプリンタPR1、PR2(画像処理装置の一例)と、クライアントとしての3台のパーソナルコンピュータPC1〜PC3(情報処理装置の一例)とが接続されて構成されている。
【0070】
なお、自サブネットSB11におけるプリンタおよびクライアントの接続数は、それぞれ任意の台数とすることができる。また、画像処理装置としてスキャナを接続する場合であってもよい。
【0071】
また、特に限定されないが、図6に示す他サブネットSB12では、ネットワークNを介して、2台のプリンタPR3、PR4(画像処理装置の一例)と、クライアントとしてのパーソナルコンピュータPC4(情報処理装置の一例)とが接続されて構成されている。
【0072】
なお、他サブネットSB2におけるプリンタおよびクライアントの接続数は、それぞれ任意の台数であっても良い。また、画像処理装置としてスキャナを接続する場合であってもよい。
【0073】
また、本実施の形態においては、自サブネットSB11のクライアントPC2に、他サブネットSB12に属する画像処理装置(プリンタPR3、PR4)の少なくとも一台についてドライバ(プリンタドライバ)がインストール(導入)されているものとする。
【0074】
次に、図7を参照して、クライアントPC1の構成について説明する。
【0075】
なお、クライアントPC1は、パーソナルコンピュータ等で構成され、後述する各部は、パーソナルコンピュータ等が備えるCPU、メモリ、ハードディスク装置、ネットワークボード等およびハードディスク装置等に格納されるソフトウェアで実現される。
【0076】
また、クライアントPC2〜PC4もクライアントPC1と同様の構成を備えるようにしてもよい。
【0077】
クライアントPC1は、所定のソフトウェアに基づく演算処理を実行する演算部(例えば、CPU、ROM、RAM等で構成される)200と、クライアントPC1に導入(インストール)済みの画像処理装置(プリンタPR2〜PR4、スキャナSC2)に関する情報を取得する情報取得部201(情報取得手段の一例)と、この情報取得部201で取得した情報からネットワーク関連情報(例えばIPアドレスのサブネット情報)を抽出する抽出部202(抽出手段の一例)と、この抽出部202で抽出したネットワーク関連情報(例えばIPアドレスのサブネット情報)に基づいて、検索対象とする他サブネットを決定する決定部205(他サブネット決定手段の一例)と、この決定部205で決定された他サブネット(本実施の形態では他サブネットSB2)に対して画像処理装置(プリンタPR2〜4またはスキャナSC2)の検索を行う検索部206(検索手段の一例)と、検索部206で選択された画像処理装置(プリンタPR2〜4またはスキャナSC2)に対して、稼働に必要なソフトウェア(例えば、プリンタドライバまたはスキャナドライバ等)を導入するドライバ格納部207(導入手段の一例)と、当該クライアントPC1が接続される自サブネットSB11において、抽出部202で抽出されたネットワーク関連情報(例えばIPアドレスのサブネット情報)または検索部206で検索された検索結果(例えば、他サブネットSB12上のプリンタを含むリスト等)を問い合わせる問合せ部400(問合せ手段の一例)を少なくとも備えている。
【0078】
なお、抽出部202は、クライアントPC1のIPアドレスのサブネット情報と、情報取得部201で取得されたIPアドレスのサブネット情報とを比較する比較部203(比較手段の一例)と、比較部203で双方のサブネット情報が異なると判定された場合に、情報取得部201で取得されたIPアドレスのサブネット情報を格納する情報格納部204(格納手段の一例)とを備えている。
【0079】
ここで、表2を参照して、クライアントPC2に導入(インストール)済みの機器の情報の例について述べる。
【表2】

【0080】
表2に示す例では、クライアントPC2には、自サブネットSB11(即ち、サブネット部が「129.249.228」)に属するプリンタPR1、PR2が導入され、さらに、他サブネットSB12(即ち、サブネット部が「129.249.7」)に属するプリンタPR3、PR4が導入されている。
【0081】
従って、本実施の形態によれば、クライアントPC2は、プリンタPR3、PR4のネットワーク関連情報(例えばIPアドレスのサブネット情報)を抽出し、他サブネットSB12を検索対象として決定することにより、他サブネットSB12に属する機器をクライアントPC2から検索可能となる。
【0082】
さらに、クライアントPC1について、他サブネット12に属する画像処理装置が1台もインストールされていない場合であっても、クライアントPC1が備える問合せ部400により、クライアントPC2に他サブネットSB12のサブネット情報等を問い合わせることにより、クライアントPC1からも他サブネットSB12に属する機器を検索することができる。
【0083】
即ち、一般的には、自サブネットを越えて、他サブネットに属する画像処理装置を検索することはできないが、本実施の形態に係る画像処理システムS2によれば、特定したサブネット(上記例では、サブネット部が「129.249.7」)を検索対象に加えることでサブネット越えが実現される。
【0084】
このように、本実施の形態に係る画像処理システムS2によれば、簡易な構成で効率的且つ安全に他サブネット上の画像処理装置が検索される。
【0085】
なお、図8に示すように、クライアントPC1(PC2〜PC4)は、OS(例えばWindows(マイクロソフト社の登録商標)等)がインストールされ、ネットワークNを介して通信を行う通信手段300、情報格納部204としてドライバのIPアドレスを格納するレジストリ、プリンタドライバ、スキャナドライバを格納するドライバ格納部207および問合せ部400としてのプリンタ情報取得プログラムを有している。
【0086】
次に、図9および図10のフローチャートを参照して、画像処理システムS1のクライアントPC1で実行される問合せ処理および検索処理の処理手順について説明する。
【0087】
なお、問合せ処理はクライアントPC2で実行され、検索処理はクライアントPC1で実行されるものとする。
【0088】
問合せ処理が開始されると、まずステップS199でクライアントPC1等から問合せを受信し、ステップS200でクライアントPC2にインストール済みのドライバがあるか否かが判定され、「No」の場合には、ステップS209に移行して、他サブネットに関する情報は無い旨を問い合わせ設定元のクライアントPC1等に返信して処理を終了する。
【0089】
即ち、クライアントPC2上にドライバがまったくインストールされていない場合には、本実施の形態に係る機能は有効とはならない。
【0090】
また、ステップS200で、「Yes」の場合には、ステップS201に移行して、画像処理装置に関する情報としてドライバリストを取得する。なお、ルーチン処理を行うために、個数として「N(整数)」を設定し、i=1とする。
【0091】
次いで、ステップS202では、ポート接続情報を取得してからステップS203に移行する。
【0092】
ステップS203では、取得されたポート(プリンタの場合には印刷先接続情報)は、ローカルポート(例えば、パラレルポート、シリアルポート等)であるか否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS205に移行して、「i」を1だけインクリメントしてステップS202に戻る。また、「No」の場合にはステップS204に移行する。
【0093】
ステップS204では、取得されたポートは、URL(Uniform Resource Locator)であるか否かが判定され、「No」の場合にはステップS206に移行して、IPアドレスを取得してステップS207に移行する。
【0094】
また、ステップS204で「Yes」の場合には、ステップS210に移行して、URLに対応するIPアドレスをネットワークNに接続されたDNS(Domain Name System)サーバに問い合わせて取得してからステップS207に移行する。
【0095】
ステップS207では、IPアドレスからサブネット情報を抽出してステップS208に移行する。
【0096】
なお、ドライバに対応する機器(プリンタまたはスキャナ)のIPアドレス情報はOS上のレジストリに格納されている。
【0097】
また、例えばクライアントPC2に導入されたOS上のプリンタドライバは、プリンタのIPアドレスを必ず保持している。
【0098】
また、レジストリ上の接続情報はURLで格納されている場合もあるので、その場合にはステップS210のように、DNSサーバに対しURLに対応したIPアドレスを問い合わせることでIPアドレスを特定している。
【0099】
次いで、ステップS208では、i≦Nか否かが判定され、「Yes」の場合には、ステップS205に移行して、「i」を1だけインクリメントしてステップS202に戻る。
【0100】
また、「No」の場合には、ステップS209に移行して、他サブネットSB12のサブネット情報を問い合わせ設定元のクライアントPC1等に返信して処理を終了する。
【0101】
これにより、後述の検索処理により、クライアントPC1について、他サブネット12に属する画像処理装置が1台もインストールされていない場合であっても、前述の問合せ処理による他サブネットSB12の情報を受信することにより、クライアントPC1からも他サブネットSB12に属する機器を検索することが可能となる。
【0102】
次に、図10のフローチャートに基づいて、クライアントPC1で実行される検索処理の処理手順について説明する。
【0103】
検索処理が開始されると、まずステップS300で、クライアントPC1が属する自サブネットSB11内で、近隣のクライアント(図6の例では、クライアントPC2またはクライアントPC3)にドライバ情報の問い合わせを行ってからステップS301に移行する。
【0104】
ステップS301では、上述の問合せ処理のステップS209によるクライアントPC2からの返信に基づいて問い合わせの回答を取得してステップS302に移行する。
【0105】
ステップS302では、サブネット情報をクライアントPC1のサブネットと比較し、他のサブネットである場合にはステップS303でそのサブネットを検索範囲に追加してステップS304に移行する。
【0106】
ステップS304では、検索範囲に従って検索を実行して処理を終了する。
【0107】
これにより、一般的には、自サブネットを越えて、他サブネットに属する画像処理装置を検索することはできないが、本実施の形態に係る画像処理システムS2によれば、追加したサブネットを検索対象に加えることでサブネット越えが実現され、簡易な構成で効率的且つ安全に他サブネット上の画像処理装置が検索される。
【0108】
なお、自サブネットSB11内および他サブネットSB12内の各クライアントPC1〜PC4には、問合せ処理および検索処理を実現するプログラムを常駐アプリケーションソフトとして導入することにより、何れのクライアントPC1〜PC4においてもサブネットを越えた画像処理装置の検索が可能となる。
【0109】
また、第1の実施の形態に係る画像処理システムS1と第2の実施の形態に係る画像処理システムS2を併用した構成とすることも考えられる。
【0110】
例えば、状況に応じて画像処理システムS1による方式と、画像処理システムS2による方式とを使い分けるようにする。
【0111】
具体的には、例えば、自サブネット上に近隣クライアントが存在しない場合には、画像処理システムS1による方式を実行する。
【0112】
また、近自サブネット上に隣PCは存在するが、すべて電源が入っていないような場合には、画像処理システムS1による方式を実行する。
【0113】
また、検索処理を実行しようとするクライアントにプリンタドライバが入っていない場合には、画像処理システムS2による方式を実行する。
【0114】
また、より多くのプリンタ情報を取得したい場合には、画像処理システムS1による方式と画像処理システムS2による方式の両方を実行する。
【0115】
上記のように画像処理システムS1と第2の実施の形態に係る画像処理システムS2を併用することで、より効率的に画像処理装置が検索される。
【0116】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0117】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
【0118】
即ち、画像処理プログラムを含む所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する場合に限らず、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
【0119】
例えば、所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、この所定のプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0120】
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。
【0121】
さらには、画像処理装置等を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータと接続するようにし、サーバ装置あるいはホストコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、この所定のプログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この所定のプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明による画像処理システムおよび画像処理装置の検索プログラムは、複写装置、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、複合機、ファクシミリ装置、スキャナ等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】第1の実施の形態に係る画像処理システムS1の構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像処理システムS1の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】クライアントPC1(PC2)の概略構成を示す構成図である。
【図4】IPアドレスの構成を示す説明図である。
【図5】検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態に係る画像処理システムS2の構成を示す概略構成図である。
【図7】第2の実施の形態に係る画像処理システムS2の構成を示す機能ブロック図である。
【図8】クライアントPC1(PC2〜PC4)の概略構成を示す構成図である。
【図9】問合せ処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
S1、S2 画像処理システム
PR1〜PR4 プリンタ
SC1、SC2 スキャナ
N ネットワーク
SB1、SB11 自サブネット
SB2、SB12 他サブネット
100 ルータ
200 演算手段
201 情報取得部
202 抽出部
203 比較部
204 情報格納部
205 決定部
206 検索部
207 ドライバ格納部
300 通信手段
400 問合せ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または2以上の情報処理装置と、
自サブネットと1または2以上の他サブネットとを有するネットワークを介して前記情報処理装置に接続され、前記情報処理装置との間で送受信される情報に基づいて画像処理を行う1または2以上の画像処理装置と、
前記自サブネットにおいて、前記情報処理装置に導入済みの画像処理装置に関する情報を取得する情報取得手段と、
該情報取得手段で取得した情報からネットワーク関連情報を抽出する抽出手段と、
該抽出手段で抽出したネットワーク関連情報に基づいて、検索対象とする他サブネットを決定する他サブネット決定手段と、
該他サブネット決定手段で決定された他サブネットに対して画像処理装置の検索を行う検索手段と、
を少なくとも備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、当該情報処理装置が接続される前記自サブネットにおいて、前記抽出手段で抽出されたネットワーク関連情報または前記検索手段で検索された検索結果を問い合わせる問合せ手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記情報取得手段で取得される前記画像処理装置に関する情報は、IP(Internet Protocol)アドレスであり、
前記抽出手段で抽出されるネットワーク関連情報は、前記IPアドレスのサブネット情報である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記抽出手段は、
前記情報処理装置のIPアドレスのサブネット情報と、前記情報取得手段で取得されたIPアドレスのサブネット情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段で双方のサブネット情報が異なると判定された場合に、前記情報取得手段で取得されたIPアドレスのサブネット情報を格納する格納手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記情報取得手段は、ネットワークポートの接続情報としてのURL(Uniform Resource Locator)に対応するIPアドレスを前記ネットワークに接続されたDNS(Domain Name System)サーバに問い合わせて取得することを特徴とする請求項3または請求項4の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記画像処理装置は、プリンタおよびスキャナを含むことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記検索手段で選択された画像処理装置に対して、稼働に必要なソフトウェアを導入する導入手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項8】
自サブネットにおいて、情報処理装置に導入済みの画像処理装置に関する情報を取得する情報取得処理過程と、
該情報取得処理過程で取得した情報からネットワーク関連情報を抽出する抽出処理過程と、
該抽出処理過程で抽出したネットワーク関連情報に基づいて、検索対象とする他サブネットを決定する決定処理過程と、
該決定処理過程で決定された他サブネットに対して画像処理装置の検索を行う検索処理過程と、
を演算手段に実行させることを特徴とする画像処理装置の検索プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−140081(P2010−140081A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313257(P2008−313257)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】