説明

画像処理方法およびその装置

【目的】多視点画像を基にして、高精度な補間画像を生成する。
【構成】複数の視点からの画像を基にして、その同一位置のラインを視点の順番に準じて並べ、エピポーラプレーンイメージ(EPI)を作成する。各ラインの間には補間しようとするラインを挿入し、直線を検出して対応点a1,b1,c2を検出する。その際、各注目画素から検出される直線数に応じてその直線が通る各画素に対し得点を与え、得点の低い画素と高い画素との対応が重複している画素に関しては、得点の低い点との対応を除外する。また、それらの点からなる直線の補間ライン上での点を、補間により作成される点とするが、低得点の対応による補間を先に行うことで、高得点の対応を優先して補間を行い、補間画像を作成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複数の撮像手段(カメラ等)から得られた画像を補間処理により撮像手段の視点とは異なった視点の画像を生成する画像処理装置及びその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、複数の視点位置から撮影した画像をもとに、撮影した位置とは異なった位置から撮影した画像を生成する手法としてエピポーラプレーンイメージ(以下EPIと略す)を用いる方法がある。
【0003】この方法は、図16に示すように、各画像中の同じ位置にあるラインを抽出して(図16(a))、1つのEPIを合成し(図16(b))、このEPI上で直線検出を行うことにより注目点に対応する点(対応点)を求め(図16(c))、撮影した位置とは異なる位置から撮影した場合に得られる画像を生成する(図16(d))、というものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例では背景・壁などのように一様な色の物体は、EPI上で直線検出を行った場合、無数の直線が検出され対応点を特定することができなかった。そのため、そのような一様な色の物体の前方に小さな物体が配置されている場合、EPI上では小さな物体の対応点を追い越して直線を検出してしまう(即ち、物体の前後関係が逆転してしまう)という問題点があった。
【0005】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、画像の内容にかかわらず正確に補間画像を生成する画像処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、対応点を検出する際、ある注目点からの検出される直線の数を利用して対応点としての確からしさを表現して、直線検出を行う方法をとる。即ち、本発明の画像処理方法においては、複数の位置から撮影した画像を入力する多視点画像入力工程と、入力された多視点画像データをEPIに分解しEPI上で直線検出することにより対応点を求める直線検出工程と、検出された直線を用いて異なった位置から撮影した場合に得られるはずの画像を生成する画像補間工程を備える。上記構成において、多視点画像入力工程は1台以上のカメラから得られる多数枚の画像やデータベースに蓄積されている多視点画像(複数の異なる視点から撮影した画像)を入力し、直線検出工程は入力された多視点画像データをEPIに分解しながらEPI上で対応点を求めるために直線を検出し、画像補間工程は直線検出工程によって得られた対応点をもとに異なった視点から見た場合の画像を補間処理によって生成する。
【0007】また、他の態様として本発明の画像処理方法は次のような構成から成る。
【0008】複数位置の視点に対応する複数の画像を入力する画像入力工程と、前記画像入力工程により入力される複数の画像間で対応する画素の候補を検出する候補検出工程と、該対応画素の候補に対して、対応の確からしさをチェックするチェック工程と、前記候補検出工程により検出された対応する画素の候補から、前記対応の確からしさに応じて、対応する画素を検出する対応検出工程と、該対応検出工程により検出された対応画素間の関係に基づいて、前記画像入力工程により入力される画像の視点とは異なる視点に対応する画像を生成する画像補間工程とを備える。
【0009】また、他の態様として本発明の画像処理方法は次のような構成から成る。
【0010】複数位置の視点に対応する複数の画像を入力する画像入力工程と、前記画像入力工程により入力される複数の画像間で対応する画素の候補を、エピポーラプレーンイメージ上で直線検出することにより検出する候補検出工程と、該対応画素の候補に対して、対応の確からしさを示す得点を、前記検出手段により検出された直線が各画素を通る数に応じて、各画素毎に付与する付与工程と、前記候補検出工程により検出された対応する画素の候補から、より対応関係の確かな対応画素を有する画素候補を、対応関係のより不確かな対応画素を有する画素の対応点から除外して、対応する画素を検出する対応検出工程と、該対応検出工程により検出された対応画素間を通るエピポーラプレーンイメージ上の直線上で補間点を生成し、該補間点をすべてのエピポーラプレーンイメージについて合成して、前記記画像入力工程により入力される画像の視点とは異なる視点に対応する画像を生成する画像補間工程とを備える。
【0011】また、本発明の画像処理装置においては、複数の位置から撮影した画像を入力する多視点画像入力手段と、入力された多視点画像データをEPIに分解しEPI上で直線検出することにより対応点を求める直線検出手段と、検出された直線を用いて異なった位置から撮影した場合に得られるはずの画像を生成する画像補間手段とを備える。上記構成において、多視点画像入力手段は1台以上のカメラから得られる多数枚の画像やデータベースに蓄積されている多視点画像(複数の異なる視点から撮影した画像)を入力し、直線検出手段は入力された多視点画像データをEPIに分解しながらEPI上で対応点を求めるために直線を検出し、画像補間手段は直線検出手段によって得られた対応点をもとに異なった視点から見た場合の画像を補間処理によって生成する。
【0012】また、他の態様として本発明の画像処理装置は次のような構成から成る。
【0013】複数位置の視点に対応する複数の画像を入力する画像入力手段と、前記画像入力手段により入力される複数の画像間で対応する画素の候補を検出する候補検出手段と、該対応画素の候補に対して、対応の確からしさをチェックするチェック手段と、前記候補検出手段により検出された対応する画素の候補から、前記対応の確からしさに応じて、対応する画素を検出する対応検出手段と、該対応検出手段により検出された対応画素間の関係に基づいて、前記画像入力手段により入力される画像の視点とは異なる視点に対応する画像を生成する画像補間手段とを備える。
【0014】また、他の態様として本発明の画像処理装置は次のような構成から成る。
【0015】複数位置の視点に対応する複数の画像を入力する画像入力手段と、前記画像入力手段により入力される複数の画像間で対応する画素の候補を、エピポーラプレーンイメージ上で直線検出することにより検出する候補検出手段と、該対応画素の候補に対して、対応の確からしさを示す得点を、前記検出手段により検出された直線が各画素を通る数に応じて、各画素毎に付与する付与手段と、前記候補検出手段により検出された対応する画素の候補から、より対応関係の確かな対応画素を有する画素候補を、対応関係のより不確かな対応画素を有する画素の対応点から除外して、対応する画素を検出する対応検出手段と、該対応検出手段により検出された対応画素間を通るエピポーラプレーンイメージ上の直線上で補間点を生成し、該補間点をすべてのエピポーラプレーンイメージについて合成して、前記記画像入力手段により入力される画像の視点とは異なる視点に対応する画像を生成する画像補間手段とを備える。
【0016】
【作用】上記構成により、異なる視点の画像間の対応を、対応の確からしさをチェックしつつ検出して、その対応に基づいた補間画像を生成する。
【0017】
【第1実施例】次に、本発明の第1の実施例について図面を参照して説明する。
【0018】<装置の構成>図1は画像入力部にカメラを4台用いた場合の画像処理装置の例である。図において、画像入力部33は4台のカメラ20〜23を含み、撮影した画像をデジタル画像信号として入力ポート24を介して装置に入力する。CPU25は、画像処理装置全体を制御するプロセッサであり、ROM27またはRAM26に格納されたプログラムを実行することで所定の制御手順を実行する。RAM26、ROM27にはプログラムのほか、データ類も格納される。更にRAM26には、画像入力部33から入力されたデジタル画像データも格納される。ハードディスク29は、ディスクI/Oポート28を介してCPU25あるいはRAM26などとデータ等を交換する。画像データはディスク29にも格納される。撮影された画像データあるいは処理された画像データは、VRAM30に展開され、ビデオ信号出力用I/F31を介してステレオディスプレイ320から表示出力される。なお、ここでは4台のカメラを用いて説明しているが、カメラの台数はこれに限らず、何台でもよい。
【0019】<画像補間処理>図2は、第1実施例の画像処理装置による画像補間処理の流れを示すフローチャートである。
【0020】カメラ等の画像入力機器から入力された原画像は、まずステップS21において、レンズの色収差や歪、光軸のズレ、カメラの姿勢・位置等の幾何学的な補正処理及びCCDセンサの感度ムラ等の補正処理が行われる。この処理は、あらかじめキャリブレーションしてその補正データをROMやRAMの中に記録しておけば、テーブル参照の形で高速に補正処理が行える。また、この補正用データを画像入力前に毎回求めれば正確な補正が可能となる。また、この補正処理が済むとステップS22に移り、撮影パラメータから対応点探索を行う範囲を決定する。その結果を用いてS23に移り、各画像間の対応点検索を行う。対応点探索が終了すると次にステップS24に移り、画像の補間処理を行ったのち、ステップS25でレンティキュラディスプレイに補正済の入力画像と補間された画像を表示する。
【0021】次に、各部の処理を詳しく説明する。
【0022】<対応点探索範囲の算出>まず、図3を用いて、対応点探索範囲の算出処理を説明する。
【0023】図3は対応点探索範囲の算出原理を示す図である。S101が撮影したい空間の一番後方の面、S102が撮影空間Ω、S103が撮影したい空間の一番前方の面、S104が撮影したい空間の一番後ろの面までの距離(Le)、S105が撮影したい空間の一番前方の面までの距離(Lf)である。S106は、撮影位置P1(S108)から撮像面への垂線と、撮影位置P1から距離d(S109)だけはなれた撮影位置P2(S110)から撮影空間Ωの一番前方の面にある撮影物体a(S112)までを結んだ直線との角度α、S107は、同様に撮影空間Ωの一番後ろの面S101にある撮影物体b(S113)と点P2とを結んだ直線と、視点位置P1から撮像面への垂線との角度β、S111は焦点距離fである。a’(S114),b’(S115)は、点P2からの物体a(S112),b(S113)の撮像面での位置を表す。この図3の幾何に従い、対応点探索範囲である撮像面中のa’とb’との距離を求める。
【0024】まず、撮影位置P1(S108)とP2(S110)において、撮影空間Ωの一番前方の物体であるa(S112)のそれぞれの撮像面での移動距離d1を求める。それは図3の幾何から次式で求められる。なお、撮像面での主走査方向の大きさをnxであらわす。
【0025】
d1=nx/(2tanα)=nx/(2(d/Lf)) … (1)
同様に、撮影空間Ωの一番後方の物体b(S113)が視点位置P1(S108)とP2(S110)において、それぞれの撮像面での移動距離d2を求める。
【0026】
d2=nx/(2tanβ)=nx/(2(d/Le)) … (2)
これらより、視点P1の画像と視点P2の画像との対応点を探索するための直線探索の傾きの範囲は、d1〜d2で変化させればよいことになる。
【0027】また、探索刻みsはそのカメラ台数Nから次式で求めることができる。
【0028】s=1/N上記のように、撮影したい空間を一番前方および後方の面に限定することにより、対応点探索範囲を不用意に拡げることを防ぎ、かつ、探索処理の高速化が可能となる。また、探索刻みの上限(細かさ)をカメラ台数から求めることによって、不用意に探索刻みを小さくすることによる探索処理時間の増大を防ぐことが可能となる。
【0029】<対応点探索処理>次に、求められた対応点探索パラメータを用いた対応点探索処理を図4を用いて説明する。図4は、ステップS23の対応点探索処理のフローチャートである。ステップS31において初期設定として注目ラスタを各画像の第1ラスタにセットする。
【0030】次にステップS32において各画像の注目ラスタをワークメモりに読み込み、仮想的にj番目のエピポーラプレーンイメージ(EPI)を構成する。ここで言うj番目のEPIとは図5に示すように画像平面上の各点EPj(x,i)がEPj(x,i)=Ni(x,j)
を満たすような点EPj(x,i)の集合のことである。ただし、Ni(x,j)はi番目の画像(ここでは、i=1〜4)のjラスタ目におけるx番目の画素値、即ちi番目の画像において座標が(x,j)で表される画素の値を表している。入力機器(カメラ等)が等間隔で平行に設置されている場合、このEPI上では、対応する点は全て直線上に並んで存在する。従って、対応点の検出は直線を検出することによって行え、また、画像の補間は検出された直線上で行えばよいことになる。そこで、ステップS34において得られた直線から対応点を計算し、記憶する。
【0031】具体的なアルゴリズムを図6のフローチャートを用いて示す。
【0032】まず、ステップS71で、優先順位n=1、注目画素のラインr=1に設定する。次に、ステップS72に移り、EPj(x,r)を注目画素とし、m=k1〜k1+k2,x=1〜nxの範囲内で、
【数1】


を満足するmをすべて求め、検出された全ての直線数をLとして記憶する。ただし、mは実数値もとり得るので、x+m×(iー1)の値は四捨五入して対応するx座標を決定する。TH2は対応点を見つけるための閾値であり、ここでは1200に設定している。この1200の意味合いであるが、4ラインのEPIなので差分を3回計算することになり、それぞれの差分値が20以下くらいであれば、ほほ同じ色であるという仮定のもとに3×202=1200としている。もし理想的な入力系で画像にスペキュラー成分が存在しない場合(各画像に写っている点は同じ画素値を持つ)は、TH2=0で良いが、実際の入力系では同じ点でも各画像で画素値がばらついているため、幅を持たせて差分値を20としている。従って、入力系が高精度になるほどこの差分値は小さくなり、逆の場合は差分値を大きく設定する必要がある。
【0033】上記の手法は、画素値がRGBの場合にそれぞれに対して行う場合だが、それだけでなく、YIQ、あるいはHSIなどの様々な表色系に一度変換した場合にも対応でき、それぞれに適した閾値を設定して用いることも可能である。また、k1,k2はステップS22で求めたパラメータd1,d2をそれぞれ用いる(即ち、k1=d2,k2=d1)。また、EPj(x+m×(i−1),i)が存在しない場合は、このmにおける対応点は存在しないとして処理を続ける。ただし、ステップS72においてEPj(x+m×(i−r),i)が処理済の場合は、EPj(x+m×(i−r),i)−EPj(x,r)=0として処理を続ける。
【0034】次にステップS73に移り、ステップS72により求まった傾きmの直線から優先順位nの対応点を求め、得点f(L)の値とともに(n,f(L))としてメモリに記憶する。ここで、Lは検出された直線数で、f()は直線数が多い場合には小さな値を、直線数が少ない場合には大きな値を示す関数である。
【0035】注目画素に対して複数の対応点が求まる場合は、便宜上全てを優先順位nの対応点として記憶する。対応点として求まった画素は処理済の画素とする。ここで、傾きmの直線より求まった対応点がすでに処理済みで、かつその対応点について記憶されている(n,f(L’))の得点f(L’)の値が、注目画素に関する得点よりも大きい場合には、この点を対応点から除外する。すなわち、ある点に関してその対応点の数の多寡が得点として示されるが、この得点は注目点に関する対応関係の確からしさを示す尺度でもある。2点を対応付けようとしたときこの尺度を用いて対応の確からしさを判定し、ある画素が他の画素から対応関係にあるとされた場合、その画素が既により確からしい対応関係を有しているならば、新たな対応付けは行わない。こうして不確かな対応付けを減らし、より確からしい対応づけを行うことができる。さらに、ステップS73では、wに未処理の画素数をセットする。
【0036】図17は、ステップS73をより詳細に示すフローチャートの一例である。
【0037】まず、ステップS72で求めた直線を基に得点f(L)を算出する(S171)。次に、直線を基にして対応点を1つ求める(S172)。もし対応点がなければ未処理の画素数をwにセットしてステップS73の処理を終了する(S179)。対応点が見つかったならば、その点が処理済みか判定し(S174)、処理済みでなければ対応点として記憶する(S178)。処理済みであれば、その対応点の得点f(L’)と注目点の得点f(L)とを比較し(S175)、f(L’)>f(L)であれば、すなわち、対応点に関して既になされている対応付けの方がより確かなものであれば、その対応点に関しては更なる対応付けをおこなわず、対応点から除外する(S177)。f(L’)<f(L)であれば、対応点と注目点との対応のほうが、対応点に関して既に与えられている対応よりも確からしいので、対応点として登録する(S178)。以上を対応点を求めつつ繰り返す。こうしてステップS73の処理を終える。
【0038】次に、ステップS74に移り、未処理の画素数wが0か否かを判定し、0なら第jエピポーラプレーンでの処理を終了し、0でなければステップS75に移り、注目ラインrが最終ラインかどうかを判定する。最終ラインならばステップS77においてr=1(先頭ライン)に設定し、そうでなければステップS76で注目ラインrの値を1増やす。図6中のNはEPIの構成ライン数(ここでは、N=4)を示している。
【0039】次に、ステップS78に移り、優先順位を示すnがPに等しいか否かを判定する。Pは物体同士が隠蔽しあう現象(オクルージョン)の複雑さを表すものである。すなわち、Pが大きな値であれば物体が幾重にも重なっている状態であり、Pが小さければ物体の重なりは少ない。Pの値の設定は、どの程度のオクルージョンまで再現するかにより決まってくる。ここでは、経験的な値として、P=(Nー1)×10=30に設定している。ステップS78においてn≠PならばステップS80に移り、優先順位nに1加え、Wをwの値にセットし、ステップS72に戻る。n=PならばステップS79に移り、未処理の画素数が前回の処理時よりも減少したか否かを判定し、減少したならば、ステップS80に移り、そうでなければ第jEPIでの直線検出処理、即ち図4ステップS34を終了し、ステップS36に戻り、次のEPIの処理に移る。ステップS36において、入力画像のすべてのラスタについて処理が行われたかが判定され、まだならば、jの値を1増やしてステップS32に戻り、すべてのラスタについて処理が終了したならば、すなわち、図2のステップS23が終了したならばステップS24に移る。
【0040】上記のように処理を行うことにより、2枚の画像からでは求まらなかった対応点が検出でき、また、オクルージョン等にも対応できるので、対応点探索の精度が向上する。また、ある注目画素から検出される直線数を、その注目画素の対応点としての確からしさを得点として表現し、その得点の大小を比較しながらより確からしい対応点を求めるため、一様な色の物体の前にある小さな物体の前後関係が逆転することなく対応点探索が可能となる。
【0041】<画像補間処理>次にステップS24に移り、画像の補間処理を行う。画像の補間処理はステップS23より求まった対応点を用いて行う。具体的なアルゴリズムを図7を例にして説明する。
【0042】図7は、j番目のEPIを表している。a1は優先順位1、得点f(L)=1の対応点を示し、b1は優先順位1、得点20の対応点を示し、c2は優先順位2、得点20の対応点を示している。入力画像間に等間隔にn枚の画像を補間する場合を考える。ここでは説明を簡単にするため、内挿ライン数n=2とする。このことをj番目のEPIで考えた場合、図9に示すようにEPIのライン間に2本ずつラインを内挿し、原画の対応点同士を結んだ直線上にある内挿されたラインの画素値は直線上の対応点の平均値を設定すればよい。以下図8のフローチャートを用いて説明する。図8は、ステップS24の詳細を示すフローチャートである。
【0043】まず、ステップS81において画像補間処理のための初期設定を行う。j=1にセットし、注目EPIを第jEPIにセットする。また、優先順位nをn=Pにセットする。ここで、PはステップS78で用いたP(P=30)と同じものである。
【0044】次にステップS82に移り、第jEPI上の優先順位nの対応点を結んだ直線を考え、この直線上にある内挿ラインの画素値を直線上にある原画像の画素値の平均値にセットする。ただし、内挿されたラインにおいて、既に対応点として値が代入されていた場合においても、別の対応点の方の得点が高い場合はその内挿ラインの画素値を上書きでき、得点が低い場合は上書きができないものとする。図9の対応点a1及びb1を例にとれば、対応点同士を結んだ直線上の点a及びbの画素値はそれぞれ、a1,b1で示される画素値の平均値を代入する。しかし、座標(11,3)ではa1,b1のどちらの対応点でもあるが得点の高いb1の対応点としてその直線上の画素値の平均値bが代入されている。
【0045】この処理を終えたらステップS83に移り、注目EPI上の優先順位nの全ての対応点に対しステップS82の処理が終了したか否かの判定を行い、終了していなければステップS82に戻り、終了したならば、ステップS84に移り、現在処理している優先順位が1かどうかの判定を行う。
【0046】ステップS84における判定の結果、優先順位が1でなければ、ステップS85にて優先順位を1減じて(n=n−1)ステップS82に移り、1ならばステップS86にて注目EPIが最終のEPIかどうかの判定を行う。ここで、nyは入力画像の総ラスタ数である。注目ラスタが最終のEPIでなければ、注目EPIを次のEPIにセット(j=j+1)し、ステップS85に戻る。最終EPIならば画像補間処理を終了しステップS25に戻る。
【0047】図9に示すように上記処理により内挿されたラインをj2,j3,j5,j6,j8,j9と表すと、例えば補間画像2は、内挿ラインj2(j=1〜ny)を並べることによって構成できる(図10参照)。補間画像3,5,6,9に関しても同様である。
【0048】上記のように、優先順位の低い(nの値が大きい)対応点から順に処理を行い、優先順位の高い対応点、あるいは優先順位が同じでも得点の高い対応点によって上書きすることで図9に示すようにオクルージョンを考慮した補間処理を行うことができる。ただし、a,b,cはそれぞれ対応点a1,b1,c1により内挿された画素値を表している。
【0049】以上述べた構成及び方法を用いて多数枚の入力画像から補間画像を生成することにより、2枚の画像からでは求めることができなかった対応点を検出することができるので、補間の精度が向上する。対応点探索の際においても、撮影パラメータを用いて探索パラメータを自動的に決定できるため、探索処理の高速化が可能となっている。また、多数枚の画像から対応点を求めるので前述のようにオクルージョンの問題が解決でき、また、検出した直線数を利用した補間方法によって、撮影した物体の前後配置が逆転する問題も解決できる。
【0050】また、以上は上下方向の視差を省略した場合について説明したが、平面上で格子状の粗い視点間隔の撮影位置から撮影した多視点画像を保持し、混ぜ、左右方向にこれらの多視点画像を視点間補間し、次に上下方向に視点間補間することにより、上下方向の視差も考慮した画像が生成される。
【0051】次に、本実施例の画像処理装置における対応点探索部において、さらに高速化を行う方法を示す。
【0052】なお、本実施例の対応点探索部において、直線探索をエピポーラプレーンイメージの第1ラインから最終ラインに向かって探索するだけ行うのではなく、最終ラインから第1ラインに向かって探索を行うことによっても実現できる。その際の探索パラメータである探索範囲、探索刻み、直線の傾きは、それぞれのパラメータの符号を反転させれば、そのまま直線探索可能が可能となる。このように、1つのEPIについてその上下から対応点を探索することで、対応点探索処理をより高速化することができる。
【0053】
【第2実施例】次に、利用者が頭の位置を前後に変えて視点を上下前後左右に移動させた場合、観察者の視点位置を検出し、観察者から見える画像を再構成することによって、観察者が視点を上下前後左右にスムーズに移動した場合にも対応できる画像処理装置の例を示す。ただし、説明をわかりやすくするため、以下では上下方向の視差を省略した場合について説明する。
【0054】図11は本発明の第2実施例である画像表示装置の構成を示す図である。図11において、1は固定して設置される画像表示用の表示スクリーン、2は表示スクリーン1を眺める利用者の目の位置を検出する視点検出器、3は平面上に並んだ粗い視点間隔から表示する対象物を撮影した多視点画像を保持している多視点画像データベースである。
【0055】4は表示スクリーン1に関するパラメータを保持する表示パラメータ保持部、5は多視点画像データベース4の多視点画像を撮影した際の視点並びの平面を表す座標系を保持している撮影視点座標系保持部、6は多視点画像データベース4の視点間補間された画像も含む多視点画像の多視点画像の画像パラメータを保持している多視点画像パラメータ保持部である。
【0056】7は視点検出器1からの信号をもとに視点パラメータを算出する視点パラメータ算出部、8は視点の移動に対応した画像を生成する画像生成部、9は注目する画素を示す画素インデクス信号、10は視点パラメータと表示パラメータから、画素インデクス信号9の示す画素に対応する視線方向を算出する視線パラメータ算出部、11は視線パラメータの表す視線と、撮影視点座標系が表す撮影視点並びの平面との交点(仮想視点)を算出する仮想視点パラメータ算出部、12は視線パラメータ、撮影視点座標系、仮想視点パラメータおよび多視点画像パラメータから、仮想視点における画像の視線方向に対応する画素位置を算出する画素位置算出部、13は画素位置と仮想視点パラメータをもとに、多視点画像データベース3の視点間補間された画像も含む多視点画像から、対応する画素値を算出する画素値算出する画素値算出部、14は表示スクリーン1へ画像を表示する画像表示部である。
【0057】15は、視点パラメータが更新されたことを示す更新信号、16は画素値を表す画素値信号である。17は第1実施例で用いられた粗い視点間隔から撮影された多視点画像から十分細かい視点間間隔の多視点画像を生成する視点間補間処理部、18をまとめて画素値生成部と呼ぶ。
【0058】次に、図11の構成による画像表示装置の作用の概略を述べる。表示スクリーン1を眺める利用者が頭の位置を変えて視点を移動させると、視点検出器2の信号が変化し、視点パラメータ算出部7は、この変化を受けて更新信号15を画像生成部8へ送る。画像生成部8は更新信号15を受けると、視点移動に対応した新たな画像の生成を開始する。画像生成部8はすべての画素について画素インデクス信号9に対応した画素値信号16を画素値生成部17より得る。画素値生成部17では、表示パラメータ保持部4から表示パラメータをそれぞれ取得し、画素インデクス信号9に対応する視線パラメータを算出する。次に仮想視点パラメータ算出部11は、撮影視点座標系保持部5から撮影視点座標系を取得し、視線パラメータの表す視線と、撮影視点座標系が表す撮影視点の並びの平面との交点(仮想視点)を表す仮想視点パラメータを算出する。
【0059】一方、画素位置算出部12は、多視点画像パラメータ保持部6から多視点画像パラメータを取得し、その他、視線パラメータ、撮影視点座標系、仮想視点パラメータから仮想視点位置における画像の視線方向に対応する画素位置を算出する。画素値算出部13は画素位置と仮想視点パラメータをもとに、多視点画像データベース3およびそれらより視点間補間処理部17で生成された視点間補間画像から、対応する画素値信号16を算出する。画像生成部8はすべての画素について、画素値信号16を画素値算出部13から得ると、これを画像表示部14へ送る。画像表示部14はこうして生成された新しい視点に対応した画像を表示スクリーン1へ表示する。
【0060】結果として、利用者は多視点画像データベース3に保持されている画像を撮影した視点位置以外の、前後上下左右に視点を移動してもその視点移動に合わせた対象物の画像を表示スクリーン1を通して眺めることができる。
【0061】次に、各部の処理を詳しく説明する。
【0062】まず、図12,図13を用いて、視線パラメータ算出部10の処理を説明する。
【0063】図12は視線パラメータ算出部10の算出原理を示す図である。1は表示スクリーン、21は表示スクリーン1の端点(位置ベクトルXsで示す)、22は長さが表示スクリーン1のピクセルピッチで、傾きが表示スクリーン1の傾きに一致するベクトル(表示スクリーンベクトルpで示す)、23は表示スクリーン1上の注目する画素位置(位置ベクトルXpで示す)、24は利用者の視点位置(位置ベクトルXvで示す)、25は注目する画素位置23に対応する視線、26は視線25の傾きを表す視線ベクトル(ベクトルaで示す)である。
【0064】図13は視線パラメータ算出部10の処理を示すフローチャートである。まず、S31で視点パラメータ算出部7から視点パラメータを取得する。ここで、視点パラメータは図12の利用者の視点位置24である。次にS32で表示パラメータ保持部4から表示パラメータを取得する。ここで表示パラメータとは、表示スクリーン1の端点21(ベクトルXs)、表示スクリーンベクトル22(ベクトルp)である。表示スクリーンベクトル22は、表示スクリーンの傾き、実サイズおよびピクセルサイズから決定される。次にS33で、図1212に示す幾何学に従い、画素インデクス信号9に対応する表示スクリーン1上の注目する画素位置23を以下の(1)式で算出する。ただし、画素インデクス信号9をiとする。
【0065】Xp=Xs+i・p … (1)
次にS34で、視点位置24から眺めた場合の画素位置23の方向に対応する視線パラメータを求める。視線パラメータは、視点位置24および視線ベクトル26の組み(Xv,a)とする。視線25は図12に示す幾何学に従い、画素位置23(ベクトルXp)および視点位置24(ベクトルXv)の2点を通る直線であり、視線ベクトル26(ベクトルa)は以下の(2)式で算出する。
【0066】a=Xp−Xv … (2)
視線パラメータ算出部10は、このようにして視線パラメータを算出する。
【0067】次に、図14を用いて仮想視点パラメータ算出部11および画素位置算出部12の処理を説明する。
【0068】図14は仮想視点パラメータ算出部11および画素位置算出部12の算出原理を示す図である。25は視線、41は多視点画像データベース3の多視点画像を撮影した際の視点の並びの平面である視点並び直線、42は視線25と、視点並び直線41との交点(仮想視点,位置ベクトルXで示す)、43は視点並び直線41の傾きを表すベクトル(視点並びベクトルTで示す)、44は視点並び直線の端点(位置ベクトルXlで示す)である。45は仮想視点42における画角θの視野、46は、長さが、多視点画像を撮影したカメラの焦点距離、傾きが、カメラの傾きであるようなベクトル(焦点ベクトルfで示す)、47は仮想視点42における仮想的な撮像面、48は仮想的な撮像面47と視線25との交点である画素位置(位置ベクトルXp’で示す)、49は長さが仮想的な撮像面47のピクセルピッチで、傾きが仮想的な撮像面47の傾き(通常は焦点ベクトル46に直角)に一致するベクトル(撮像面ベクトルp’で示す)である。
【0069】ここで、視点並びベクトル43および視点並び直線の端点44が撮影視点座標系を表す値として、撮影視点座標系保持部5に保持されている。また、焦点ベクトル46および撮像面ベクトル49は、多視点画像パラメータとして多視点画像パラメータ保持部6に保持されている。焦点ベクトル46は、多視点画像を撮影したカメラの焦点距離および傾きから決定される。撮像面ベクトル49は、焦点ベクトル46に直交し、大きさが撮像面のセルサイズ(1ピクセルの大きさ)に等しいベクトルである。
【0070】次に、図14を用いて仮想視点パラメータ算出部11の処理を説明する。図14の示す幾何学に従うと、仮想視点42は以下の(3),(4)式で表される。
【0071】X=Xl+t・T … (3)
X=Xv+α・a … (4)
ここで仮想視点を一意に表すパラメータとしてtを仮想視点パラメータとする。αは視線方向の係数である。(3),(4)式を解くことによりtを算出し、Xを算出する。
【0072】次に、図14を用いて画素位置算出部12の処理を説明する。図14の示す幾何学に従い、画素位置48は以下の(5),(6)式で表される。
【0073】Xp’=X+f+i’・p’ … (5)
Xp’=X+β・a … (6)
ここで、画素位置48を一意に表すパラメータとしてi’を画素位置パラメータとする。βは視線方向の係数である。(5),(6)式を解くことによりi’を算出し、これを画素位置算出部12の出力とする。
【0074】次に、画素値算出部13の処理について具体的に説明する。
【0075】本実施例では、多視点画像データベース3に保持されている多視点画像は、粗い視点間隔で撮影した画像であり、それを視点間補間処理部17で十分細かい視点間補間画像が得られる。この補間処理は、第1実施例で説明した要領で行われる。そこで、まず、仮想視点パラメータ算出部11で算出された仮想視点パラメータtの示す仮想視点42からの画像の近似画像として、仮想視点に一番近い視点から撮影された画像を、多視点画像データベース3から得て、それを基にして視点間補間処理部で補間画像を生成する。次に、この画像のうち、画素位置算出部12で算出された画素位置48に最も近い位置の画素の値を取得し、これを出力の画素値信号16とする。
【0076】以上、説明をわかりやすくするため、上下方向の視差を省略した場合についての各部の処理を説明したが、上下方向の多視点画像を用意すれば同様の方法で、上下方向の視差を考慮に入れた、前後上下左右に視点移動可能な両眼立体表示装置となる。
【0077】以上述べた構成及び方法を用いて、多数枚の入力画像から補間画像を生成することにより、2枚の画像からでは求めることができなかった対応点を検出することができるので、補間の精度が向上する。対応点探索の際においても、撮影パラメータを用いて探索パラメータを自動的に決定できるため、探索処理の高速化が可能となっている。また、多数枚の画像から対応点を求めるので前述のようにオクルージョンの問題が解決でき、また、検出した直線数を利用した補間方法によって、撮影した物体の前後配置が逆転する問題も解決できる。このようにして得られた補間画像を、観察者の視点に応じて表示するために、本実施例の画像表示装置は、観察者の視点の移動に伴ってスムーズで精度の高い画像の移動が可能である。
【0078】なお、表示スクリーン1および画像表示部8に、レンチキュラー方式やメガネ方式等の両眼立体視が可能な立体表示スクリーン及び立体画像表示部を用い、かつ、視点パラメータ算出部7が左右おのおのの目の位置に対応する視点パラメータを算出し、これに対応して画像生成部8が左右おのおのの目に提示するための画像を生成することにより、前後上下左右に視点移動可能な両眼立体表示装置となる。
【0079】
【第3実施例】次に、第2実施例における表示スクリーン1が利用者の頭部に固定される形の、いわゆるヘッド・マウンテッド・ディスプレイ(HMD)タイプの画像表示装置の例を示す。
【0080】本実施例の構成は、第2実施例の構成のうち、視線パラメータ算出部10の処理内容だけを以下に説明する処理に置き換えた形となる。説明は、上下方向の視差を省略した場合について述べる。
【0081】図15は本実施例における視線パラメータ算出部10の算出原理を示す図である。1は表示スクリーン、22は、長さが表示スクリーン1のピクセルピッチで、傾きが表示スクリーン1の傾きに一致するベクトル(表示スクリーンベクトルp)、23は表示スクリーン1上の注目する画素位置(位置ベクトルXp)、24は利用者の視点位置(位置ベクトルXv)、111は視点位置24から表示スクリーン1の中央点へのベクトル(正面ベクトルF)、25は注目する画素位置23に対応する視線、26は視線25の傾きをあらわす視線ベクトル(ベクトルa)である。
【0082】次に、図15を用いて、視線パラメータ算出部10の処理を説明する。HMDタイプの表示装置では、視点検出器2は、利用者の視点24の位置に加えて、正面方向の傾き、すなわち正面ベクトル111の傾きを検出する。表示スクリーンベクトル22の傾きは正面ベクトル111の傾きから決定される(通常は直角)。一方、視点位置24から表示スクリーン1までの距離、すなわち正面ベクトル111の長さ、および、ピクセルピッチすなわち表示スクリーンベクトル22の長さは、HMDの形状によって決定される固定した値であり、この値は表示パラメータ保持部4に保持される。図1515の示す幾何学に従い、注目する画素位置23(ベクトルXp)および視線ベクトル26(ベクトルa)を以下の式で算出する。ただし、画素インデクス9をiとする。
【0083】Xp=Xv+F+i・pa=Xp−Xv以上のように、視点パラメータ算出部10により画素位置および視線を算出し、それ以外の構成,処理を第1実施例と同じ要領で行うことで、HMDタイプの表示装置で多視点画像を任意の視点移動表示できる画像表示装置となる。
【0084】また、表示スクリーン1が頭部に固定されていなくても、固定して設置された表示スクリーン1と利用者の視点位置24の相対的位置関係が固定であるようなコックピットタイプの表示装置を用いても、本実施例と同じ視線パラメータ算出部10の処理で、任意の視点移動表示できる画像表示装置となる。このとき、視点検出器2の代わりに、基準座標における視点位置24をハンドル等で操作する視点位置入力装置を用いる。
【0085】以上述べた構成及び方法を用いて、多数枚の入力画像から補間画像を生成することにより、2枚の画像からでは求めることができなかった対応点を検出することができるので、補間の精度が向上する。対応点探索の際においても、撮影パラメータを用いて探索パラメータを自動的に決定できるため、探索処理の高速化が可能となっている。また、多数枚の画像から対応点を求めるので前述のようにオクルージョンの問題が解決でき、また、検出した直線数を利用した補間方法によって、撮影した物体の前後配置が逆転する問題も解決できる。このようにして得られた補間画像を、観察者の視点に応じて表示するために、本実施例のHMDによれば、観察者の視点の移動に伴ってスムーズで精度の高い画像の移動が可能である。
【0086】以上の第1乃至第3実施例各々では、あらかじめ撮影された多視点画像とそれから視点間補間を行った画像も含んだ多視点画像データベース3に保持されている構成としたが、これを、多視点画像を実時間で取り込むことのできる多眼テレビカメラに置き換えることにより、実時間の任意視点画像撮影・表示システムとなる。
【0087】上記構成により、上記各実施例の装置は、物体の前後関係が逆転してしまうような場合においても、精度よく補間画像を生成することが可能となった。また、対応点探索パラメータを自動的に決定することによって、補間処理の高速化が可能となった。また、補間処理により求めた多数の画像あるいは十分細かく視点を移動して撮影した多視点画像を用いて前後方向の視点移動に対応した画像を再構成することにより、従来は対応できなかった前後方向への視点移動が可能となった。
【0088】なお、本発明は単体の画像処理装置に適用しても良いし、多視点テレビ、多視点テレビ電話端末や多視点テレビ会議システムのようなシステム機器に適用してもよいし、コンピュータや他の画像処理装置と組み合わせた複合装置にも適用できる。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る画像表示装置は、画像の内容にかかわらず正確に補間画像を生成することができ、また、生成した補間画像を用いて高精度の表示を実現することができる。
【0090】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の画像表示装置のブロック図である。
【図2】第1実施例の画像補間処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2ステップS22の撮影パラメータから対応点探索範囲の算出原理を示す図である。
【図4】図2ステップS23の対応点探索処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】j番目のエピポーラプレーンイメージを示す図である。
【図6】図2ステップS24の直線検出の流れを示すフローチャートである。
【図7】補間処理を説明するための図である。
【図8】補間処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】補間処理を説明するための図である。
【図10】補間処理を説明するための図である。
【図11】第2実施例の画像表示装置のブロック図である。
【図12】第2実施例の視線パラメータ算出部10の算出原理を示す図である。
【図13】視線パラメータ算出部10の処理を示すフローチャートである。
【図14】仮想視点パラメータ算出部11および画素位置算出部12の算出原理を示す図である。
【図15】第3実施例における視線パラメータ算出部10の算出原理を示す図である。
【図16】視点間補間の処理の流れを示す図である。
【図17】第1実施例の対応点を検出する処理のフローチャートである。
【符号の説明】
20,21,22,23 カメラ、
25 CPU、
26 RAM、
27 ROM、
29 ディスク、
30 VRAM、
32 ディスプレイである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数位置の視点に対応する複数の画像を入力する画像入力工程と、前記画像入力工程により入力される複数の画像間で対応する画素の候補を検出する候補検出工程と、該対応画素の候補に対して、対応の確からしさをチェックするチェック工程と、前記候補検出工程により検出された対応する画素の候補から、前記対応の確からしさに応じて、対応する画素を検出する対応検出工程と、該対応検出工程により検出された対応画素間の関係に基づいて、前記画像入力工程により入力される画像の視点とは異なる視点に対応する画像を生成する画像補間工程と、を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】 前記画像入力工程は、複数台のカメラから画像を入力することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】 前記画像入力工程は、画像データベースから画像を入力することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項4】 前記候補検出工程は、入力画像間の対応点をエピポーラプレーンイメージ上で直線検出することにより検出することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項5】 前記候補検出工程は、エピポーラプレーン上で検出する直線の傾きを小数精度で求めることを特徴とする請求項4記載の画像処理方法。
【請求項6】 前記チェック工程は、各注目画素から検出される直線数に応じて、直線数が多ければ低い得点を、直線数が少なければ高い得点を各直線上の各画素に対して付与し、前記対応検出工程は、対応画素候補のうち、高得点を有する画素を、低得点を有する画素の対応画素から除外することを特徴とする請求項4記載の画像処理方法。
【請求項7】 前記候補検出工程は、直線検出の際に、撮影時のパラメータを用いて検出パラメータを自動的に決定することを特徴とする請求項4記載の画像処理方法。
【請求項8】 前記候補検出工程は、直線検出を逆方向からも検索することを特徴とする請求項4記載の画像処理方法。
【請求項9】 前記画像補間工程は、画像の補間を、入力画像の各エピポーラプレーンイメージ毎に行うことを特徴とする請求項4記載の画像処理方法。
【請求項10】 前記対応検出工程は、より対応関係の確かな対応画素を有する画素を、対応関係のより不確かな対応点を有する画素の対応点から除外することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項11】 前記画像補間工程は、前記候補検出手段により各エピポーラプレーンイメージ上で検出された直線上に画素を補って補間ラスタを生成し、該補間ラスタを各エピポーラプレーンイメージごとに繋ぎ合わせて補間画像を生成することを特徴とする請求項4記載の画像処理方法。
【請求項12】 複数位置の視点に対応する複数の画像を入力する画像入力工程と、前記画像入力工程により入力される複数の画像間で対応する画素の候補を、エピポーラプレーンイメージ上で直線検出することにより検出する候補検出工程と、該対応画素の候補に対して、対応の確からしさを示す得点を、前記検出手段により検出された直線が各画素を通る数に応じて、各画素毎に付与する付与工程と、前記候補検出工程により検出された対応する画素の候補から、より対応関係の確かな対応画素を有する画素候補を、対応関係のより不確かな対応画素を有する画素の対応点から除外して、対応する画素を検出する対応検出工程と、該対応検出工程により検出された対応画素間を通るエピポーラプレーンイメージ上の直線上で補間点を生成し、該補間点をすべてのエピポーラプレーンイメージについて合成して、前記記画像入力工程により入力される画像の視点とは異なる視点に対応する画像を生成する画像補間工程と、を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】 観察者の目の位置を検出する視点検出工程と、検出された視点位置から見える画像を、前記画像入力工程により入力された画像と、前記画像補間工程による生成された補間画像とから再構成する画像再構成工程と、該再構成された画像を出力する画像出力工程とを更に備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項14】 前記画像再構成工程は、観察者の視点位置および画像出力装置の種類から画像の再構成に必要なパラメータを計算し、そのパラメータを用いて再構成画像の各画素が入力された多視点画像のどの画素に対応するかを計算し、対応する画素を多視点画像から抽出して画像を再構成することを特徴とする前記請求項13記載の画像処理方法。
【請求項15】 複数位置の視点に対応する複数の画像を入力する画像入力手段と、前記画像入力手段により入力される複数の画像間で対応する画素の候補を検出する候補検出手段と、該対応画素の候補に対して、対応の確からしさをチェックするチェック手段と、前記候補検出手段により検出された対応する画素の候補から、前記対応の確からしさに応じて、対応する画素を検出する対応検出手段と、該対応検出手段により検出された対応画素間の関係に基づいて、前記画像入力手段により入力される画像の視点とは異なる視点に対応する画像を生成する画像補間手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項16】 前記画像入力手段は、複数台のカメラを含み、該カメラから画像を入力することを特徴とする請求項15記載の画像処理装置。
【請求項17】 前記画像入力手段は、画像データベースを含み、該データベースから画像を入力することを特徴とする請求項15記載の画像処理装置。
【請求項18】 前記候補検出手段は、入力画像間の対応点をエピポーラプレーンイメージ上で直線検出することにより検出することを特徴とする請求項15記載の画像処理装置。
【請求項19】 前記候補検出手段は、エピポーラプレーン上で検出する直線の傾きを小数精度で求めることを特徴とする請求項18記載の画像処理装置。
【請求項20】 前記チェック手段は、各注目画素から検出される直線数に応じて、直線数が多ければ低い得点を、直線数が少なければ高い得点を各直線上の各画素に対して付与し、前記対応検出手段は、対応画素候補のうち、高得点を有する画素を、低得点を有する画素の対応画素から除外することを特徴とする請求項18記載の画像処理装置。
【請求項21】 前記候補検出手段は、直線検出の際に、撮影時のパラメータを用いて検出パラメータを自動的に決定することを特徴とする請求項18記載の画像処理装置。
【請求項22】 前記候補検出手段は、直線検出を逆方向からも検索することを特徴とする請求項18記載の画像処理装置。
【請求項23】 前記画像補間手段は、画像の補間を、入力画像の各エピポーラプレーンイメージ毎に行うことを特徴とする請求項18記載の画像処理装置。
【請求項24】 前記対応検出手段は、より対応関係の確かな対応画素を有する画素を、対応関係のより不確かな対応点を有する画素の対応点から除外することを特徴とする請求項15記載の画像処理装置。
【請求項25】 前記画像補間手段は、前記候補検出手段により各エピポーラプレーンイメージ上で検出された直線上に画素を補って補間ラスタを生成し、該補間ラスタを各エピポーラプレーンイメージごとに繋ぎ合わせて補間画像を生成することを特徴とする請求項18記載の画像処理装置。
【請求項26】 複数位置の視点に対応する複数の画像を入力する画像入力手段と、前記画像入力手段により入力される複数の画像間で対応する画素の候補を、エピポーラプレーンイメージ上で直線検出することにより検出する候補検出手段と、該対応画素の候補に対して、対応の確からしさを示す得点を、前記検出手段により検出された直線が各画素を通る数に応じて、各画素毎に付与する付与手段と、前記候補検出手段により検出された対応する画素の候補から、より対応関係の確かな対応画素を有する画素候補を、対応関係のより不確かな対応画素を有する画素の対応点から除外して、対応する画素を検出する対応検出手段と、該対応検出手段により検出された対応画素間を通るエピポーラプレーンイメージ上の直線上で補間点を生成し、該補間点をすべてのエピポーラプレーンイメージについて合成して、前記記画像入力手段により入力される画像の視点とは異なる視点に対応する画像を生成する画像補間手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項27】 観察者の目の位置を検出する視点検出手段と、検出された視点位置から見える画像を、前記画像入力手段により入力された画像と、前記画像補間手段による生成された補間画像とから再構成する画像再構成手段と、該再構成された画像を出力する画像出力手段とを更に備えることを特徴とする請求項15記載の画像処理装置。
【請求項28】 前記画像再構成手段は、観察者の視点位置および画像出力装置の種類から画像の再構成に必要なパラメータを計算し、そのパラメータを用いて再構成画像の各画素が入力された多視点画像のどの画素に対応するかを計算し、対応する画素を多視点画像から抽出して画像を再構成することを特徴とする前記請求項27記載の画像処理装置。

【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図12】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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