説明

画像処理装置、プログラム及びシステム

【課題】画像処理の目標値と評価値との誤差を減少することのできる画像処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、画像情報30に対して画像処理を実行する複数の画像処理モジュールと画像処理モジュールの画像処理の能力の期待値を示す期待値表情報32を記憶する記憶部3と、画像処理の能力の目標値を設定する目標値設定手段20Hと、目標値と、期待値表情報32の期待値に対して重み付けして算出される総合期待値とに基づいて画像処理モジュールを組み合わせて画像処理手法を構成する手法構成手段20Aと、画像情報30に対して、画像処理手法を用いて処理単位ごとに画像処理を実行する画像処理実行手段20Iと、画像情報30に対して実行された画像処理の能力を処理単位ごとに評価して評価値を出力する評価値算定手段20Eと、目標値及び評価値に基づいて画像処理モジュールを差し替える手法差替手段20Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、プログラム及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
任意の画像処理モジュールを組み合わせて所望の画像処理を行うことのできる画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の画像処理装置は、複数種の画像処理モジュールと、画像処理モジュールから任意の組み合わせを選択する選択手段と、各画像処理モジュール間に設置されて処理中の画像の情報を記憶するバッファとを有し、それぞれデータ処理の単位が異なる画像処理モジュールを組み合わせた画像処理手法を構成して画像に対して適用する場合にも、バッファにおいて画像の情報を一旦記憶することで次の画像処理モジュールに適切なデータ処理の単位で画像の情報を入力するため、任意の画像処理モジュールを組み合わせて画像処理を実行することができる。また、各画像処理モジュールの画像処理の速度や画像処理適用後の画質等の処理能力を示す期待値を目安にして利用者が所望する画像処理の速度や画質等の目標値に合わせて画像処理モジュールを選択することで、利用者が所望した目標値に画像処理モジュールを実際に実行した結果としての速度や画質等の評価値を近づけることができる。
【特許文献1】特開2006−338498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、画像処理の目標値と評価値との誤差を減少することができる画像処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の画像処理装置、プログラム及びシステムを提供する。
【0006】
[1]画像情報に対して画像処理を実行する複数の画像処理モジュールと前記画像処理モジュールの前記画像処理の能力の期待値を示す期待値表情報を記憶する記憶手段と、前記画像処理の能力の目標値を設定する目標値設定手段と、前記目標値と、前記期待値表情報の前記期待値に対して重み付けして算出される総合期待値とに基づいて前記画像処理モジュールを組み合わせて画像処理手法を構成する手法構成手段と、前記画像情報に対して、前記手法構成手段によって構成された前記画像処理手法を用いて処理単位ごとに画像処理を実行する画像処理実行手段と、前記画像情報に対して実行された前記画像処理の能力を前記処理単位ごとに評価して前記目標値に対応した評価値を出力する評価値算定手段と、前記目標値及び前記評価値に基づいて前記画像処理モジュールを差し替える手法差替手段とを有する画像処理装置。
【0007】
[2]前記手法差替手段は、前記評価値が前記目標値を達成していない場合、前記総合期待値が次点の前記画像処理モジュールに差し替える前記[1]に記載の画像処理装置。
【0008】
[3]前記手法構成手段は、前記総合期待値が次点の前記画像処理モジュールの評価値が前記目標値を達成しない場合、前記期待値の前記重みづけを変更することで前記総合期待値を算出しなおして前記期待値情報を書き換え、前記手法差替手段は、書き換えられた前記期待値情報の総合期待値に基づいて前記画像処理モジュールを差し替える前記[2]に記載の画像処理装置。
【0009】
[4]前記手法差替手段は、前記期待値を達成しない画像処理モジュールから、前記期待値を達成する画像処理モジュールに差し替える際、前記処理単位ごとに前記期待値の順に段階的に前記画像処理モジュールを差し替える前記[1]に記載の画像処理装置。
【0010】
[5]前記評価値算定手段は、前記画像処理手法を構成する前記画像処理モジュールごとに前記画像処理の能力を評価する前記[1]に記載の画像処理装置。
【0011】
[6]画像情報に対して実行する画像処理の能力の目標値を設定する目標値設定ステップと、前記目標値と、前記画像処理の能力の期待値を示す期待値表情報の前記期待値に対して重み付けして算出される総合期待値とに基づいて前記画像処理を実行する画像処理モジュールを組み合わせて画像処理手法を構成する手法構成ステップと、前記画像情報に対して、前記画像処理手法を用いて処理単位ごとに画像処理を実行する画像処理実行ステップと、前記画像情報に対して実行された前記画像処理の能力を前記処理単位ごとに評価して前記目標値に対応した評価値を出力する評価値算定ステップと、前記目標値及び前記評価値に基づいて前記画像処理モジュールを差し替える手法差替ステップとを有する画像処理プログラム。
【0012】
[7]画像情報に対して実行される画像処理の目標値を設定する目標値設定手段を有する端末装置と、前記画像処理を実行する複数の画像処理モジュールと前記画像処理モジュールの前記画像処理の能力の期待値を示す期待値表情報を記憶する記憶手段と、前記目標値と、前記期待値表情報の前記期待値に対して重み付けして算出される総合期待値とに基づいて前記画像処理モジュールを組み合わせて画像処理手法を構成する手法構成手段と、前記画像情報に対して、前記手法構成手段によって構成された前記画像処理手法を用いて処理単位ごとに画像処理を実行する画像処理実行手段と、前記画像情報に対して実行された前記画像処理の能力を前記処理単位ごとに評価して前記目標値に対応した評価値を出力する評価値算定手段と、前記目標値及び前記評価値に基づいて前記画像処理モジュールを差し替える手法差替手段とを有する画像処理システム。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、6又は7に係る発明によれば、画像処理手法の処理単位ごとに画像処理モジュールを差し替えて、画像処理の目標値と評価値との誤差を減少することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、重み付けの影響を無視し、目標値を上回る期待値を有する画像処理モジュールに変更して画像処理の目標値と評価値との誤差を最小にすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、重み付けを変更し、目標値を上回る期待値を有する画像処理モジュールに変更して画像処理の目標値と評価値との誤差を最小にすることができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、画像処理モジュールを段階的に差し替えて画像処理後の画像情報の画質が不自然になることを防ぐことができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、画像処理手法の画像処理モジュールごとに、より詳細に画像処理手法を評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る画像処理装置は、画像情報に対して画像処理を実行する複数の画像処理モジュールと前記画像処理モジュールの前記画像処理の能力の期待値を示す期待値表情報を記憶する記憶手段と、前記画像処理の能力の目標値を設定する目標値設定手段と、前記目標値と、前記期待値表情報の前記期待値に対して重み付けして算出される総合期待値とに基づいて前記画像処理モジュールを組み合わせて画像処理手法を構成する手法構成手段と、前記画像情報に対して、前記手法構成手段によって構成された前記画像処理手法を用いて処理単位ごとに画像処理を実行する画像処理実行手段と、前記画像情報に対して実行された前記画像処理の能力を前記処理単位ごとに評価して前記目標値に対応した評価値を出力する評価値算定手段と、前記目標値及び前記評価値に基づいて前記画像処理モジュールを差し替える手法差替手段とを有するものである。
【0019】
上記画像処理装置において、処理単位は、画像処理手法が処理する情報の単位であり、各画像処理モジュールごとに予め設定される処理単位の組み合わせによって決定される。また、目標値及び評価値は、例えば、画像処理の速度を示す処理速度、画像の劣化度を示す画質、画像の情報量の圧縮度を示す圧縮画像サイズ及びそれらに重みづけして総合的に評価した総合期待値等によって数値化される。
【0020】
[第1の実施の形態]
(情報管理システムの構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0021】
画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)等の情報処理手段及びインターフェース回路等を含む制御部2と、HDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性メモリである記憶部3と、制御部2の制御に基づいて文字や画像等を表示する表示部4と、複数のスイッチ等からなり制御部2に対して操作信号を出力する操作部5とを有する。
【0022】
制御部2は、画像処理モジュールを処理順に組み合わせて画像処理手法を構成する手法構成手段20Aと、画像処理手法の一部又は全部を他の画像処理モジュール又は他の画像処理手法に差し替える手法差替手段20Bと、手法差替手段20Bが差し替える更新モジュールを判定する更新モジュール判定手段20Cと、画像処理手法の各画像処理モジュールの接続関係を保持する接続管理手段20Dと、各画像処理モジュールの画像処理を評価して評価値として出力する評価値算定手段20Eと、評価値算定手段20Eの評価値と目標値とを比較する評価値比較手段20Fと、評価値算定手段20Eの評価値に基づいて後述する期待値表情報32の期待値を更新する表更新手段20G、利用者の入力に基づいて達成するべき目標値を設定する目標値設定手段20Hと、手法構成手段20Aの構成した画像処理手法に基づいて画像情報30に対して画像処理を実行する画像処理実行手段20Iとを有する。
【0023】
記憶部3は、複数の画像処理モジュールを含む画像処理プログラム20と、画像処理対象としてのJPEG、TIFF、BITMAP等の画像データである画像情報30と、画像処理モジュールを処理順に組み合わせた画像処理手法を定義する手法表情報31と、各画像処理手法の期待値を示す期待値表情報32とを有する。なお、制御部2は、記憶部3に記憶された画像処理プログラム20を実行することにより上記した手法構成手段20A、手法差替手段20B、更新モジュール判定手段20C、接続管理手段20D、評価値算定手段20E、評価値比較手段20F、表更新手段20G、目標値設定手段20H及び画像処理実行手段20Iとして機能する。
【0024】
図2Aは、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の画像処理手法構成例を示すブロック図である。
【0025】
手法320は、例えば、モジュールAと、モジュールBと、モジュールCとを有し、その順序を定義する。モジュールA〜Cは、例えば、画像読込処理、画像サイズ変更処理、アフィン変換処理、回転処理、色変換処理、フィルタ処理及び画像合成処理等を実行するための画像処理モジュールである。また、各画像処理モジュールは、例えば、画像サイズ変更処理において、複数の方式を有しそれらをモジュールの方式とする。
【0026】
図2Bは、本発明の第1の実施の形態に係る手法表情報の内容例を示す概略図である。
【0027】
手法表情報31は、各画像処理手法を識別するための任意の識別子を有する手法と、各手法に対して設定される画像処理モジュールを示すモジュールA〜モジュールCとを有する。各モジュールA〜モジュールCは、それぞれ複数のモジュールの方式を有する。なお、各画像処理手法は、単数又は複数の画像処理モジュールから構成されていればよい。また、画像処理を実行しない画像処理手法を含んでもよい。
【0028】
図3Aは、本発明の第1の実施の形態に係る期待値表情報の内容例を示す概略図である。
【0029】
期待値表情報32は、期待値算出の基準を示す期待値と、複数の画像処理モジュールの方式とを有する。各モジュールの方式に対して期待値が設定されており、各期待値の総合的な値として総合期待値が設定される。なお、総合期待値は、各期待値に重み付けを設定して算出される(後述)。
【0030】
図3Bは、本発明の第1の実施の形態に係る手法表情報と期待値表情報の関係を示す概略図である。
【0031】
総合期待値の順序に基づき期待値表情報32を並べた一例として、図3Bに示すような順序で画像処理モジュールの方式が並べられる。
【0032】
(動作)
以下に、本発明の第1の実施の形態における画像処理装置及びプログラムの動作を各図を参照しつつ説明する。
【0033】
図4Aは、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示す概略図である。
【0034】
画像処理の対象となる入力画像情報30Aは、予め定められたの処理単位毎に画像処理手法320Aに入力され、画像処理手法320Aとして接続された順に各画像処理モジュールの画像処理が適用される。例えば、処理単位を入力画像情報30Aの水平ラインとすれば、1ラインごとにライン#1から順に、モジュールA1 311A、モジュールB2 312B、モジュールC5 315Cによって画像処理される。入力画像情報30Aは既に画像処理手法31Aに入力された入力済300Aの領域と画像処理手法31Aに入力されていない未入力301Aの領域とを有する。図4Aにおいて、入力画像情報30Aのライン#1〜#N−1が入力済300Aであり、ライン#Nは、次に画像処理される水平ラインである。
【0035】
画像処理後に生成される出力画像情報30Bは、モジュールA1 311A、モジュールB2 312B、モジュールC5 315Cによって画像処理されて生成された画像処理済300Bの領域と画像処理が実行されておらず生成されていない画像未処理301Bの領域とを有する。出力画像情報30Bの水平ラインの番号は、入力画像情報30Aの水平ラインの番号と一致するものとする。
【0036】
図4Bは、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示す概略図である。
【0037】
入力画像情報30Aは、図4Bにおいて、入力済300Aの領域が図4Aの状態から水平ラインが1ライン分進んだライン#Nであり、画像処理を実行中の水平ラインが#N+1である。同様に、出力画像情報30Bにおいても画像処理済300Bの領域が水平ラインが1ライン分進んだライン#Nであり、画像処理を実行中の水平ラインが#N+1である。
【0038】
モジュールB3 313Bは、図4AにおけるモジュールB2 312Bを差し替えることで挿入された他の方式の画像処理モジュールである。なお、画像処理モジュールの差し替えは、他の方式の画像処理モジュールへの差し替えに加え、他の画像処理モジュールと並列に接続する形態であってもよい。
【0039】
図4Cは、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示す概略図である。
【0040】
モジュールD1 311Dは、図4Aの画像処理手法におけるモジュールB2 312Bの前段に挿入された画像処理モジュールである。
【0041】
図4Dは、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示す概略図である。
【0042】
モジュールB2 312Bは、図4Aにおける画像処理手法から削除された画像処理モジュールである。
【0043】
図5(a)〜(f)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の総合期待値の計算例を示す概略図である。
【0044】
各画像処理モジュールの期待値に対して乗じられる重みは、一例として図5(a)に示すように定められる。
【0045】
総合期待値は、図5(b)に示すように、例えば、画像処理モジュールA1であれば、速度=2、画質=5、圧縮=5の各期待値に対して、図5(a)の重みを乗じて、4×2+3×5+2×5=33というように算出される。
【0046】
また、各画質処理モジュールの方式の総合期待値を算出することで、各画質処理モジュールの総合期待値は、図5(c)に示すような順序となる。
【0047】
また、各画像処理モジュールの期待値に対して乗じられる重みは、他の例として図5(d)に示すように定められる。
【0048】
総合期待値は、図5(e)に示すように、例えば、画像処理モジュールA1であれば、速度=2、画質=5、圧縮=5の各期待値に対して、図5(d)の重みを乗じて、5×2+3×5+1×5=30というように算出される。
【0049】
また、各画質処理モジュールの方式の総合期待値を算出することで、各画質処理モジュールの総合期待値は、図5(f)に示すような順序となる。
【0050】
(動作)
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、手法構成手段20Aは、総合期待値に基づいて画質処理モジュールの方式を選択する(S1)。例えば、図5(c)において最も総合期待値の高いモジュールA1を選択する。次に、画像処理実行手段20Iは、選択された手法を用いて、例えば、画像情報の水平ラインの1ラインに対して画像処理を実行する(S2)。
【0052】
評価値算定手段20Eは、選択された手法を評価して評価値を算出し(S3)、評価値比較手段20Fは、評価値算定手段20Eの出力した評価値と目標値設定手段20Hによって設定された目標値とを比較し、評価値が目標値を達成している場合(S4;Yes)、全てのラインについてステップS2及び3を繰り返す(S5;No)。速度の目標値=2、画質目標値=2であって、速度の評価値=3、画質の評価値=3であれば、すべてのラインについてステップS2及びS3を繰り返す。
【0053】
また、ステップS4において、評価値が目標値を達成していない場合(S4;No)、例えば、速度の評価値=1であって速度の目標値=2を達成していない場合、手法差替手段20Bは、総合期待値の低い次点の画質処理モジュールの方式に差し替える(S6)。例えば、図5(c)においてモジュールA1から次点のモジュールA3に差し替える。
【0054】
次に、差し替えたモジュールの期待値が目標値以上である場合(S7;Yes)、例えば、モジュールA3に差し替えて、速度の期待値=3が速度の目標値=2以上であり、画質の期待値=3が画質の期待値=2以上である場合は、ステップS5へ進む。
【0055】
また、差し替えたモジュールの期待値が目標値以上でない場合(S7;No)、例えば、速度の目標値=4、画質の目標値=2であり、モジュールA3の速度の期待値=3が速度の目標値=4より小さい場合、表更新手段20Gは、総合期待値の重み付けを、例えば、図5(a)に示すものから図5(d)に示すものに変更する(S8)。
【0056】
次に、表更新手段20Gは、変更した重みづけによって、例えば、図5(e)及び(f)に示すように、総合期待値を書き換える(S9)。これにより、ステップS1において、手法構成手段20Aは、総合評価値の最も高い画質処理モジュールA5を選択する。
【0057】
画像処理プログラム20は、全てのラインについてステップS2〜S4及びS6〜S9を実行すると画像処理を終了する(S5;Yes)。
【0058】
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【0059】
図7におけるステップS11〜S19は、図6におけるステップS1〜S9とそれぞれ同一の処理を実行するため、説明を省略する。
【0060】
ステップS19において総合期待値が書き換えられると、手法差替手段20Bは、総合期待値の次に高い方式のモジュールに差し替える(S20)。つまり、総合期待値の書き換え前に画質処理モジュール4を用いていた場合は、ステップS11のように画質処理モジュールA5を選択せずに、図5(f)に基づいて画質処理モジュール3を選択する。
【0061】
次に、ステップS20で選択した画質処理モジュールの方式の期待値が目標値以上である場合(S21;Yes)、ステップS12に戻る。
【0062】
また、ステップS20で選択した画質処理モジュールの方式の期待値が目標値より小さい場合(S21;No)、1ライン分画質処理し(S22)、ステップS20に戻ることによってさらに総合期待値の高い画質処理モジュールに差し替えてステップS21及びS22を繰り返す。つまり、例えば、図5(f)において、画質処理モジュールA5からA5に差し替える際に、A4、A3、A1、A5の順に1ラインずつ画像処理を実行して画質処理を急激に変化させない。
【0063】
[第3の実施の形態]
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【0064】
まず、手法構成手段20Aは、期待値表情報32Aの総合期待値に基づいて画像処理手法を選択する(S21)。次に、画像処理実行手段20Iは、選択された画像処理手法を用いて画像情報の水平ラインの1ラインに対して画像処理を実行する(S22)。
【0065】
ステップS22において、画像処理実行手段20Iは、選択された画像処理手法のモジュールAをまず実行し、評価値算定手段20Eは、モジュールAを評価して評価値を算出して、評価値比較手段20Fは、評価値算定手段20Eの出力した評価値と各モジュールの期待値を記述した期待値表情報32の期待値とを比較する(S23)。またモジュールAの評価値が期待値と、異なる場合は、期待値表情報32の期待値を評価値で書き換える(S24)。また、評価値が目標値を達成するようにモジュールAを他の画像処理モジュールの方式に差し替える(S25)。なお、画像処理モジュールの差し替えは、第1の実施の形態又は第2の実施の形態における方法を用いる。
【0066】
また、ステップS26〜S28は、モジュールBについてステップS23〜S25と同様の動作を実行し、ステップS29〜S31は、モジュールCについてステップS23〜S25と同様の動作を実行する。
【0067】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0068】
また、上記実施の形態で使用される手法構成手段20A、手法差替手段20B、更新モジュール判定手段20C、接続管理手段20D、評価値算定手段20E、評価値比較手段20F、表更新手段20G、目標値設定手段20H及び画像処理実行手段20Iは、CD−ROM等の記憶媒体から装置内の記憶部に読み込んでも良く、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ装置等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。また、上記実施の形態で使用される手段の一部又は全部をASIC等のハードウェアによって実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2A】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の手法構成例を示すブロック図である。
【図2B】本発明の第1の実施の形態に係る手法表情報の内容例を示す概略図である。
【図3A】本発明の第1の実施の形態に係る期待値表情報の内容例を示す概略図である。
【図3B】本発明の第1の実施の形態に係る手法表情報と期待値表情報の関係を示す概略図である。
【図4A】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示す概略図である。
【図4B】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示す概略図である。
【図4C】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示す概略図である。
【図4D】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示す概略図である。
【図5】(a)〜(f)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の総合期待値の計算例を示す概略図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1…画像処理装置、2…制御部、3…記憶部、4…表示部、5…操作部、20…画像処理プログラム、20A…手法構成手段、20B…手法差替手段、20C…更新モジュール判定手段、20D…接続管理手段、20E…評価値算定手段、20F…評価値比較手段、20G…表更新手段、20H…目標値設定手段、20I…画像処理実行手段、30…画像情報、30A…入力画像情報、30B…出力画像情報、31…手法表情報、32…期待値表情報、300A…入力済、300B…画像処理済、301A…未入力、301B…画像未処理、320…手法、320A〜320D…手法、310A〜310C…モジュールA〜C、311A…モジュールA1、311D…D1、312B…モジュールB2、313B…モジュールB3、315C…モジュールC5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に対して画像処理を実行する複数の画像処理モジュールと前記画像処理モジュールの前記画像処理の能力の期待値を示す期待値表情報を記憶する記憶手段と、
前記画像処理の能力の目標値を設定する目標値設定手段と、
前記目標値と、前記期待値表情報の前記期待値に対して重み付けして算出される総合期待値とに基づいて前記画像処理モジュールを組み合わせて画像処理手法を構成する手法構成手段と、
前記画像情報に対して、前記手法構成手段によって構成された前記画像処理手法を用いて処理単位ごとに画像処理を実行する画像処理実行手段と、
前記画像情報に対して実行された前記画像処理の能力を前記処理単位ごとに評価して前記目標値に対応した評価値を出力する評価値算定手段と、
前記目標値及び前記評価値に基づいて前記画像処理モジュールを差し替える手法差替手段とを有する画像処理装置。
【請求項2】
前記手法差替手段は、前記評価値が前記目標値を達成していない場合、前記総合期待値が次点の前記画像処理モジュールに差し替える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記手法構成手段は、前記総合期待値が次点の前記画像処理モジュールの評価値が前記目標値を達成しない場合、前記期待値の前記重みづけを変更することで前記総合期待値を算出しなおして前記期待値情報を書き換え、
前記手法差替手段は、書き換えられた前記期待値情報の総合期待値に基づいて前記画像処理モジュールを差し替える請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記手法差替手段は、前記期待値を達成しない画像処理モジュールから、前記期待値を達成する画像処理モジュールに差し替える際、前記処理単位ごとに前記期待値の順に段階的に前記画像処理モジュールを差し替える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記評価値算定手段は、前記画像処理手法を構成する前記画像処理モジュールごとに前記画像処理の能力を評価する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像情報に対して実行する画像処理の能力の目標値を設定する目標値設定ステップと、
前記目標値と、前記画像処理の能力の期待値を示す期待値表情報の前記期待値に対して重み付けして算出される総合期待値とに基づいて前記画像処理を実行する画像処理モジュールを組み合わせて画像処理手法を構成する手法構成ステップと、
前記画像情報に対して、前記画像処理手法を用いて処理単位ごとに画像処理を実行する画像処理実行ステップと、
前記画像情報に対して実行された前記画像処理の能力を前記処理単位ごとに評価して前記目標値に対応した評価値を出力する評価値算定ステップと、
前記目標値及び前記評価値に基づいて前記画像処理モジュールを差し替える手法差替ステップとを有する画像処理プログラム。
【請求項7】
画像情報に対して実行される画像処理の目標値を設定する目標値設定手段を有する端末装置と、
前記画像処理を実行する複数の画像処理モジュールと前記画像処理モジュールの前記画像処理の能力の期待値を示す期待値表情報を記憶する記憶手段と、
前記目標値と、前記期待値表情報の前記期待値に対して重み付けして算出される総合期待値とに基づいて前記画像処理モジュールを組み合わせて画像処理手法を構成する手法構成手段と、
前記画像情報に対して、前記手法構成手段によって構成された前記画像処理手法を用いて処理単位ごとに画像処理を実行する画像処理実行手段と、
前記画像情報に対して実行された前記画像処理の能力を前記処理単位ごとに評価して前記目標値に対応した評価値を出力する評価値算定手段と、
前記目標値及び前記評価値に基づいて前記画像処理モジュールを差し替える手法差替手段とを有する画像処理システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−97346(P2010−97346A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266622(P2008−266622)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】