説明

画像処理装置およびプログラム

【課題】画像に応じて多彩なトランジション効果を持つトランジション画像を生成すること。
【解決手段】画像処理装置は、画像が切り替わるトランジション効果を有するトランジション画像を生成する。画像処理装置は、画像内の複数の画像領域のそれぞれにおける奥行き方向の位置を特定する位置特定部と、複数の画像領域における位置に応じてトランジション効果が異なるトランジション画像を生成する画像生成部と、を備える。プログラムは、画像内の複数の画像領域のそれぞれにおける奥行き方向の位置を特定するステップと、複数の画像領域における位置に応じてトランジション効果が異なるトランジション画像を生成するステップと、をコンピュータに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像が配置される複数の素材枠と、第1の素材枠に配置された画像から第2の素材枠に配置された画像へ遷移するときの画像の遷移方式が定義されているトランジション枠とを記憶したテンプレートファイルを用いて、トランジションによる効果的な演出が付加された動画データを作成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特許第4424389号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フェードイン、フェードアウト等のトランジション効果をテンプレートで定義するだけでは、定義されたトランジション効果が一様に適用されるだけである。多彩なトランジション効果を持つトランジション画像を容易に生成することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、画像が切り替わるトランジション効果を有するトランジション画像を生成する画像処理装置であって、画像内の複数の画像領域のそれぞれにおける奥行き方向の位置を特定する位置特定部と、複数の画像領域における位置に応じてトランジション効果が異なるトランジション画像を生成する画像生成部と、を備える。
【0005】
本発明の第2の態様においては、画像が切り替わるトランジション効果を有するトランジション画像を生成するためのプログラムであって、画像内の複数の画像領域のそれぞれにおける奥行き方向の位置を特定するステップと、複数の画像領域における位置に応じてトランジション効果が異なるトランジション画像を生成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像処理装置100の機能ブロック構成の一例を示す。
【図2】2D画像の付帯情報から特定される距離情報の一例を模式的に示す。
【図3】多視点画像から特定される距離情報の一例を模式的に示す。
【図4】フェードアウト効果を加える場合のトランジション設定の一例を示す。
【図5】フェードアウト効果が加えられたトランジション画像の一例を模式的に示す。
【図6】フェードイン効果を加える場合のトランジション設定の一例を示す。
【図7】フェードイン効果が加えられたトランジション画像の一例を模式的に示す。
【図8】アイリスワイプ効果を持つトランジション画像の生成例を示す。
【図9】複数のアイリス枠を持つトランジション画像の生成例を示す。
【図10】トランジション効果に用いる仮想光源の位置を模式的に示す図である。
【図11】仮想光源によるトランジション効果が加えられたトランジション画像の一例を模式的に示す。
【図12】動画ファイルおよびトランジション設定を指定するためのユーザ設定画面の一例を示す。
【図13】画像処理装置100における動作フローの一例を示す。
【図14】トランジション画像を生成する場合の処理フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、画像処理装置100の機能ブロック構成の一例を示す。一例として、画像処理装置100は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータによって実現される。画像処理装置100は、カメラ等から動画を取得して、画像が切り替わるトランジション効果を持つ動画を生成する。特に、画像処理装置100は、画像内の各オブジェクトの奥行き方向の位置を考慮して視覚効果を加えることで、多彩なトランジション効果を持つトランジション画像を生成する。
【0010】
画像処理装置100は、画像取得部120、トランジション設定取得部110、画像解析部130、位置特定部140、画像生成部150、次元変換部160、出力制御部170、記録媒体180および表示部190を備える。画像生成部150は、パラメータ設定部152および画像加工部154を有する。
【0011】
画像取得部120は、カメラによって撮像された動画を取得する。画像取得部120は、カメラから通信ケーブル等の通信IFを介して動画を取得してよい。画像取得部120は、ハードディスク装置、フラッシュメモリ等の内部または外部の記録媒体から動画を取得してもよい。また、画像取得部120は、有線または無線のネットワークを介して、動画を取得してもよい。
【0012】
トランジション設定取得部110は、トランジション効果を加える画像処理を設定するためのトランジション設定を、ユーザから取得する。トランジション設定としては、トランジションの種類およびトランジション期間を指定する情報を含む。トランジションの種類としては、フェードイン、フェードアウト、クロスフェード、ディゾルブ、アイリスワイプ等を例示することができる。後述するように、トランジションの種類として、仮想光源を用いたトランジション効果を含むことができる。トランジション期間は、画像が第1画像から第2画像に切り替わるまでの時間長さを示す。
【0013】
画像解析部130、位置特定部140、画像生成部150および次元変換部160の機能ブロックは、画像処理部102として機能する。画像処理部102は、画像取得部120が取得した動画から、トランジション設定取得部110が取得したトランジション設定に従って、トランジション効果を持つ動画を生成する。例えば、トランジションの種類としてフェードアウトが指定された場合、フェードアウトの起点となる第1フレームから、表示順で輝度を高めた複数のトランジション画像を生成する。例えば、トランジション期間として0.5秒が指定され、フレームレートが毎秒30コマの動画を生成する場合、画像処理装置100は、15コマのトランジション画像を生成する。これにより、第1フレームから、各画素が規定の輝度値を持つ第2フレームに切り替わるトランジション画像を生成する。このとき、第1フレームに撮像されている被写体の奥行き方向の位置によって、輝度値が規定値になるまでの時間が異なるトランジション画像を生成する。
【0014】
画像処理部102の各ブロックの機能および動作について説明する。画像解析部130は、画像取得部120が取得した動画のデータ形式、解像度、デュレーション、フレームレート等のメタ情報を取得する。また、画像解析部130は、動画を解析して、トランジション効果を加える処理に要する情報を抽出する。例えば、画像解析部130は、動画を構成するフレームから1以上のオブジェクトを抽出する。例えば、人物、動物等の顔等のオブジェクトを検出する。例えば、画像解析部130は、トランジションの起点または終点となるフレームから、オブジェクトを抽出する。また、画像解析部130は、一の動画においてシーンが切り替わる期間を特定する。
【0015】
位置特定部140は、フレーム内の複数の画像領域のそれぞれにおける奥行き方向の位置を特定する。具体的には、位置特定部140は、画像解析部130により検出された1以上のオブジェクトが存在する画像領域における奥行き方向の位置を特定する。例えば、奥行き方向の座標やカメラから被写体までの距離等、視線方向の奥行きを示す情報がフレームに付帯されている場合、位置特定部140は当該情報に基づき奥行き方向の位置を特定する。奥行き情報が画素毎に設定されている場合、画素毎に奥行き方向の位置を特定することができる。
【0016】
画像生成部150は、複数の画像領域における奥行き方向の位置に応じてトランジション効果が異なるトランジション画像を生成する。パラメータ設定部152は、位置特定部140により特定された奥行き方向の位置と、トランジション設定取得部110で取得されたトランジション設定とに基づき、トランジション効果を加えるための画像加工パラメータを決定する。画像加工部154は、パラメータ設定部152が決定した画像加工パラメータに基づきトランジション画像を生成することにより、奥行き方向の位置に応じて異なるトランジション効果を持つ動画を生成する。
【0017】
次元変換部160は、パラメータ設定部152によって、3D動画を2D動画に変換して出力するよう設定された場合、3D動画から奥行き情報を削除することにより、2D動画に変換して出力する。出力制御部170は、画像処理部102によってトランジション効果を持つ動画を、表示部190、ハードディスク等の記録媒体180、外部機器等に出力する。表示部190は、画像取得部120が取得した動画、または、画像処理部102によってトランジション効果を持つ動画を表示する。
【0018】
図2は、奥行き方向の距離情報が付帯された2D画像の一例を模式的に示す。本例の画像ファイルには、2D画像200の画素毎の距離を示す距離情報210が、2D画像200に付帯されている。
【0019】
位置特定部140は、距離情報210から、奥行き方向の距離を2D画像200の画素毎に特定することができる。例えば、本図の符号220に示すように、2D画像200における任意のy座標について、奥行き方向の距離をx座標毎に特定することができる。なお、距離情報210は、奥行き方向の距離を示す情報であれば、どのような情報であってよい。例えば、距離情報210は、カメラから被写体までの距離そのものであってよい。距離情報210としては、カメラが2D画像200を撮像する場合の自動焦点調節に用いられたAF情報を含んでよい。
【0020】
画像取得部120が取得した動画に含まれる各フレームに距離情報210が付帯されている場合、位置特定部140は、フレームの画素毎に奥行き方向の距離を画素毎に特定することができる。各フレームの部分領域毎の距離を示す距離情報が各フレームに付帯されている場合、位置特定部140は、奥行き方向の距離を部分領域毎に特定することができる。
【0021】
図3は、多視点画像の一例を模式的に示す。1つの多視点画像は、左視点画像300aおよび右視点画像300bを含む。
【0022】
位置特定部140は、左視点画像300aおよび右視点画像300bに対応点マッチングを適用することより、奥行き方向の距離を算出する。例えば、位置特定部140は、左視点画像300aおよび右視点画像300bから特徴点を抽出する。位置特定部140は、左視点画像300aと右視点画像300bとの間で対応する特徴点の位置のずれ量を算出して、位置のずれ量に基づき、各特徴点につき奥行き方向の距離を算出することができる。例えば、ボーディング法を適用して、奥行き方向の距離を算出することができる。
【0023】
位置特定部140は、左視点画像300aに対して距離情報310aを算出し、右視点画像300bの距離情報310bを算出する。本図の符号320aに示すように、左視点画像300aにおける任意のy座標について、奥行き方向の距離をx座標毎に特定することができる。また、本図の符号320bに示すように、右視点画像300bにおける任意のy座標について、奥行き方向の距離をx座標毎に特定することができる。
【0024】
画像取得部120が取得した動画に含まれる複数のフレームがそれぞれ多視点画像である場合、位置特定部140は、上述した対応点マッチングにより、奥行き方向の距離を特定することができる。なお、多視点画像は、立体視用の画像であってよい。例えば、左視点画像300aは、左眼に提示されるべき左眼用画像であり、右視点画像300bは右眼に提示されるべき右眼用画像であってよい。しかし、多視点画像は、異なる視点からの画像であればよく、立体視用の画像に限られない。また、多視点画像は、左右の視点からの画像に限られない。多視点画像は、上下の視点からの画像を含んでもよい。また、視点の数も2視点に限られない。多視点画像は、3以上の視点からの画像を含んでよい。
【0025】
図4は、フェードアウト効果を加える場合のトランジション設定の一例を示す。本トランジション設定では、奥行き方向の距離と切り替え速度との間の関係が対応曲線400により定められる。対応曲線400によれば、奥行き方向の距離が短いほど、遅い切り替え速度が定められる。このため、遠距離の画像領域は、比較的早く規定の輝度値に近づくが、近距離の画像領域はゆっくりと変化していく。このため、近距離のオブジェクトを強調したトランジション効果を加えることができる。
【0026】
図5は、フェードアウト効果が加えられたトランジション画像の一例を模式的に示す。本例では、動画に含まれるフレームから、一面に真っ白なフレームに切り替わるトランジション画像を生成する場合を取り上げて、フェードアウト効果を加える画像処理について説明する。
【0027】
画像生成部150は、トランジション期間に含まれるフレーム500−1〜11から、トランジション画像510−1〜11を生成する。例えば、画像加工部154は、パラメータ設定部152が設定した対応曲線400に基づき、各フレーム500の輝度値に乗ずる係数を画像領域毎に設定する。例えば、各フレーム500の各画像領域に乗ずる係数として、対応曲線400で定められる切り替え速度に比例してフレーム500の表示順で増加する値を設定する。画像加工部154は、各フレーム500の各画像領域の輝度値に、設定した係数を乗ずる。
【0028】
例えば、トランジションの起点となるフレーム500−1に対する係数は、1に設定される。画像加工部154は、トランジションの起点となるフレーム500−1の輝度値に係数1を乗じることにより、トランジション画像510−1を生成する。パラメータ設定部152は、フレーム500−2、3・・・の順に、切り替え速度に応じて増加する係数を設定する。各画像領域に対する係数の増加率は、対応曲線400で定められる切り替え速度に応じて設定される。すなわち、係数の増加率は近距離の画像領域ほど小さい。本図の例では、右端の動物が最も近距離にあるため、背景の画像領域に対する係数よりも小さい値の係数が、右端の動物の画像領域に設定される。
【0029】
画像加工部154は、フレーム500−2〜11の各画像領域の輝度値に、奥行き方向の距離に応じた係数を乗じることにより、トランジション画像510−2〜11を生成する。係数を乗ずることにより既定値を超えた輝度値は、既定値でクリップされる。一例として、ビット数で定まる最大輝度値を、既定値として適用してよい。トランジション画像510−11では、全画像領域の輝度値が一様に最大輝度値となり、真っ白な画像となる。このように、画像生成部150は、奥行き方向の距離がより近い画像領域に、切り替わり速度がより遅いフェードアウト効果を加える。このため、近距離のオブジェクトよりも背景の領域が早く白に近づくようなフェードアウト効果を加えることができる。このため、近距離のオブジェクトを強調したトランジション効果を加えることができる。
【0030】
図6は、フェードイン効果を加える場合のトランジション設定の一例を示す。本トランジション設定では、奥行き方向の距離と切り替え速度との間の関係が対応曲線600により定められる。対応曲線600によれば、奥行き方向の距離が短いほど、早い切り替え速度が定められる。このため、遠距離の画像領域は、比較的ゆっくりと現れてくるが、近距離の画像領域は比較的に早く現れる。このため、近距離のオブジェクトを強調したトランジション効果を加えることができる。
【0031】
図7は、フェードイン効果が加えられたトランジション画像の一例を模式的に示す。本例では、一面に真っ白なフレームから、動画に含まれるフレームに切り替わるトランジション画像を生成する場合を取り上げて、フェードイン効果を加える画像処理について説明する。
【0032】
画像生成部150は、トランジション期間に含まれるフレーム700−1〜11から、トランジション画像710−1〜11を生成する。例えば、画像加工部154は、パラメータ設定部152が設定した対応曲線400に基づき、各フレーム700の輝度値に乗ずる係数を画像領域毎に設定する。例えば、各フレーム700の各画像領域に乗ずる係数として、対応曲線600で定められる切り替え速度に比例してフレーム700の表示順で減少する値を設定する。画像加工部154は、それぞれのフレーム700における各画像領域の輝度値に、パラメータ設定部152が設定した係数を乗ずる。
【0033】
例えば、トランジションの起点となるフレーム700−1に対する係数は、全画像領域で輝度値が既定値になるように設定される。画像加工部154は、トランジションの起点となるフレーム700−1の輝度値に当該係数を乗じることにより、トランジション画像710−1を生成する。既定値として最大輝度値を適用した場合、本例に示すようにトランジション画像710−1は真っ白な画像となる。パラメータ設定部152は、フレーム700−2、3・・・の順に、切り替え速度に応じて減少する係数を設定する。各画像領域に対する係数の減少率は、対応曲線600で定められる切り替え速度に応じて設定される。すなわち、係数の減少率は近距離の画像領域ほど大きい。本図の例では、右端の動物が最も近距離にあるため、背景の画像領域に対する係数よりも小さい値の係数が、右端の動物の画像領域に設定される。
【0034】
画像加工部154は、フレーム700−2〜11の各画像領域の輝度値に、奥行き方向の距離に応じた係数を乗じることにより、トランジション画像710−2〜11を生成する。トランジション画像710−11は、フレーム700−11に係数1を乗じることで生成される。このように、画像加工部154は、奥行き方向の距離がより近い画像領域に、切り替わり速度がより早いフェードイン効果を加える。遠距離の背景よりも近距離のオブジェクトが早く現れてくるようなフェードイン効果を加えることができるので、近距離のオブジェクトを強調したトランジション効果を加えることができる。
【0035】
図4から図7にかけてフェード効果を取り上げて説明したように、画像加工部154は、複数の画像領域に、奥行き方向の距離に応じて切り替わり速度が異なるトランジション効果を加える。図4から図7の説明では、距離に応じて異なるパラメータで画像処理することを分かり易く説明するために、輝度値に係数を乗じる画像処理を説明した。しかし、フェードアウト効果、フェードイン効果として、透過度合いを増加または減少させる種々の画像処理手法を適用することができる。また、フェードアウト効果は、主として動画の末尾や、シーンの末尾に適用できる。また、フェードイン効果は、主として動画の先頭や、シーンの先頭に適用できる。
【0036】
シーンの切り替え部分には、第1のトランジション期間にフェードアウト効果を加えた後、第1のトランジション期間に続く第2のトランジション期間にフェフェードイン効果を加えることで、シーンが切り替わる期間のトランジション画像を生成してもよい。シーンの切り替え部分には、クロスフェード効果を適用してもよい。クロスフェードを適用したトランジション画像は、例えばトランジションの起点となるフレームにフェードアウト効果を加えたトランジション画像と、トランジションの終点となるフレームにフェードイン効果を加えたトランジション画像とを加算することにより、生成することができる。
【0037】
図4から図7の説明において、トランジション効果としてフェードアウト効果、フェードイン効果を取り上げて説明した。しかし、トランジション効果は、フェードアウト効果、フェードイン効果に限られない。例えば、トランジション効果として、ディゾルブ効果を適用してよい。ディゾルブ効果を適用したトランジション画像は、トランジションの起点となるフレームおよびトランジションの終点となるフレームを用いて生成することができる。この場合、切り替え速度として、トランジションの終点となるフレームから抽出した領域の面積の時間変化率を適用できる。
【0038】
図4から図7において、トランジション期間に属する複数のフレームから、それぞれ一のトランジション画像を生成するとした。この場合、位置特定部140は、動画に含まれる複数のフレーム毎に、複数の画像領域のそれぞれにおける奥行き方向の位置を特定してよい。画像加工部154は、複数の画像のそれぞれの複数の画像領域に、奥行き方向の位置に応じて異なるトランジション効果を加えることにより、トランジション画像を生成してもよい。
【0039】
以上の説明において、奥行き方向の距離に応じて切り替え速度を異ならせる場合のトランジション効果を説明した。しかし、切り替えの開始タイミングを奥行き方向の距離に応じて異ならせてもよい。例えば、フェードアウト効果の場合、遠距離の画像領域よりも後に近距離の画像領域がフェードアウトを開始させるようにしてよい。また、フェードイン効果の場合、遠距離の画像領域よりも先に近距離の画像領域が現れ始めるようにしてよい。
【0040】
図8は、アイリスワイプ効果を持つトランジション画像を生成する場面の一例を示す。ここでは、フレーム800、フレーム850の順で表示される動画に対して、アイリスワイプ効果を適用する場合を取り上げる。ここでは、フレーム800はトランジションの起点となる画像であり、フレーム850はトランジションの終点となる画像となる。画像解析部130により、フレーム800およびフレーム850のタイミングが、シーンの切り替わりタイミングとして検出される。
【0041】
画像解析部130は、フレーム800から顔領域802を抽出する。また、位置特定部140は、フレーム800およびフレーム850から、それぞれ距離情報を特定する。パラメータ設定部152は、画像解析部130により抽出された顔領域802およびフレーム800から特定された距離情報810に基づき、アイリスワイプによるワイプ速度を決定する。例えば、パラメータ設定部152は、顔領域802における奥行き方向の距離が近距離であるほど、遅いワイプ速度を決定する。
【0042】
画像加工部154は、フレーム800からフレーム850までの期間に挿入されるトランジション画像として、フレーム820−2〜4を生成する。具体的には、フレーム800だけを用いて、フレーム820−1を生成する。そして、画像加工部154は、表示順で後続するフレーム820−2には、フレーム800内の顔領域802の位置を中心とし第1の半径を持つアイリス枠830−1を設定する。そして、画像加工部154は、アイリス枠830−1に対応するフレーム800内の画像領域の画像と、フレーム850内の他の画像領域の画像とを組み合わせて、フレーム820−2を生成する。
【0043】
更に、画像加工部154は、表示順で後続するフレーム820−3には、フレーム800内の顔領域802の位置を中心とし第2の半径を持つアイリス枠830−2を設定する。画像加工部154は、アイリス枠830−3に対応するフレーム800内の画像領域の画像と、フレーム850内の他の画像領域の画像とを組み合わせて、フレーム820−3を生成する。ここで、第2の半径は、第1の半径より小さいとする。
【0044】
同様に、画像加工部154は、表示順で後続するフレーム820−4には、フレーム800内の顔領域802の位置を中心とし第3の半径を持つアイリス枠830−3を設定する。画像加工部154は、アイリス枠830−3に対応するフレーム800内の画像領域の画像と、フレーム850内の他の画像領域の画像とを組み合わせて、フレーム820−4を生成する。ここで、第3の半径は、第2の半径より小さいとする。そして、画像加工部154は、フレーム850だけを用いて、表示順で後続するフレーム820−5を生成する。
【0045】
このように、画像加工部154は、トランジション画像としてのフレーム820に、表示順で縮小するアイリス枠830を設定して、設定したアイリス枠内に起点となるフレーム内の画像を持ち、設定したアイリス枠外に終点となるフレームの画像を持つトランジション画像を生成する。そして、表示順でアイリス枠を縮小していくことで、アイリスワイプ効果を持つトランジション画像を生成する。画像加工部154は、アイリス枠の縮小速度を、検出された顔領域における奥行き方向の距離に応じて決定する。このため、主被写体としての可能性が高いオブジェクトを、ゆっくりとワイプするトランジション効果を加えることができる。
【0046】
本例では、一つの顔領域を検出したとして説明した。複数の顔領域が検出された場合、パラメータ設定部152は、最も近距離の画像領域から検出された顔領域を選択して、当該奥行き方向の距離に基づきアイリスワイプ効果の加工パラメータを決定してよい。画像加工部154は、最も近距離の画像領域から検出された顔領域に対応するアイリス枠を設定することにより、トランジション画像を生成してよい。なお、顔検出は、画像解析部130において抽出されてよい。トランジション設定取得部110が、ユーザから顔の位置の指定を受け付けてもよい。なお、本例ではシーンの切り替わりとして説明したが、2つの動画を結合した場面にも適用できる。
【0047】
図9は、複数のアイリス枠を持つトランジション画像を生成する場面の一例を示す。ここでは、画像解析部130により右端の動物の顔領域と、左端の動物の顔領域とにアイリス枠を設定した場合について説明する。
【0048】
パラメータ設定部152は、右端の動物の顔領域に対応するアイリス枠930−1を設定する。アイリス枠930−1〜4は、図8に関連して説明したアイリス枠830−1〜4と同じであるので、説明を省略する。パラメータ設定部152は、左端の動物の顔領域に対応するアイリス枠940−1〜4を設定する。アイリス枠940の減少速度は、左端の動物の顔領域における奥行き方向の距離に応じて決定される。したがって、アイリス枠940の縮小速度は、アイリス枠930の縮小速度より速い。このため、フレーム920−4において、アイリス枠940は存在せず、対応する領域にはフレーム850の画像が現れる。
【0049】
図8および9に関連して説明したように、トランジション効果として、アイリスワイプにより画像を切り替えるトランジション効果を含む場合、画像生成部150は、アイリスワイプを開始または終了させる画像領域における奥行き方向の距離に応じて、異なるアイリスワイプを適用する。具体的には、画像生成部150は、アイリスワイプを適用する画像領域における奥行き方向の距離に応じて、ワイプ速度が異なるアイリスワイプを適用する。図8および図9に関連して説明したアイリス枠の半径の縮小速度は、ワイプ速度の一例である。ワイプ速度として、アイリス枠で囲まれる領域の面積の縮小速度等、種々の指標を適用できる。
【0050】
図8および9の例では、丸形のアイリス枠を例示した。アイリス枠の形状は、丸形に限られず、四角形系、楕円形等、種々の形状のアイリス枠を適用できる。また、アイリス枠の形状を、奥行き方向の距離に応じて形状が異ならせてもよい。すなわち、画像生成部150は、奥行き方向の距離に応じて形状が異なるアイリスワイプを適用してよい。
【0051】
図8および9の例では、トランジションの起点とするフレームから顔を検出して、当該顔領域の画像が残るようにワイプするトランジション効果について説明した。しかし、トランジションの終点となるフレームから顔を検出して、当該顔領域の画像から、ワイプするようにアイリスワイプを適用してよい。この場合、アイリス枠内には、トランジションの終点となるフレームの画像を適用し、アイリス枠外には、トランジションの基点となるフレームの画像を適用する。そして、アイリス枠を表示順で拡大させる。この場合、アイリス枠の拡大速度を、ワイプ速度として適用することができる。アイリス枠が拡大するアイリスワイプを適用する場合、パラメータ設定部152は、より近距離の画像領域に、より遅い拡大速度を適用してよい。すなわち、より近距離の画像領域に、より遅いワイプ速度を適用してよい。また、拡大するアイリス枠を複数設ける場合、遠距離の画像領域に対応するアイリス枠によるワイプを、近距離の画像領域に対応するアイリス枠でワイプが開始されるタイミングよりも遅いタイミングで開始させてもよい。
【0052】
図10は、トランジション効果に用いる仮想光源の位置を模式的に示す図である。画像生成部150は、仮想光源を特定の位置に配置した場合の照明効果を奥行き方向の位置に応じて演算して、オブジェクトの明るさに適用する。画像生成部150は、仮想光源からの発光強度を表示順で変化させることにより、フェード効果を加える。例えば、仮想光源からの発光強度を表示順で増加させることにより、フェードアウト効果を加える。フェードイン効果を加える場合、仮想光源からの発光強度を表示順で減少させる。いずれの場合でも、距離に応じて異なるフェード効果を加えることができる。
【0053】
本図は、各被写体の存在範囲を、x座標を横軸とし、奥行き方向の距離を縦軸とした座標系上に模式的に示す。符号1000は、上述した右端の動物の存在範囲を示す。本例では、右端の動物を主オブジェクトとして強調するトランジション効果を加える場合に、主オブジェクトの背後に仮想光源を設定する。そして、画像生成部150は、仮想光源から各位置に入射する単位面積当たりの光束の量を演算して、光束の量に応じてオブジェクトの輝度値を変更することにより、トランジション画像を生成する。このように、画像生成部150は、複数の画像領域に、仮想光源からの距離に応じて仮想光源による照明効果が異なるトランジション効果を加える。
【0054】
図11は、仮想光源によるトランジション効果が加えられたトランジション画像の一例を模式的に示す。画像生成部150は、トランジション期間に含まれるフレーム1100−1〜6から、トランジション画像1110−1〜6を生成する。トランジション画像1110−1は、フレーム1100−1と同一である。
【0055】
画像生成部150は、右端の動物の背後に仮想的に設けた仮想光源から第1強度で発光した場合の照明効果をフレーム1110−2内のオブジェクト毎に演算して、トランジション画像1110−2を生成する。ここで、各オブジェクトに対する照明効果は、各オブジェクトに対応する被写体の奥行き方向の位置と、仮想光源の位置との間の位置関係によって変化する。例えば、仮想光源より遠くに位置する被写体については、仮想光源からの発光強度を増加させるにつれて、明るくなる。一方、仮想光源より近くに位置する被写体の明るさは、背後の明るさが増加するにつれて、背後と比較して相対的に暗くなる。画像生成部150は、背後の明るさを増加させるとともに、明るさを低下させた主オブジェクト1112を含むトランジション画像1110−2を生成する。
【0056】
画像生成部150は、後続するトランジション画像1110−3を生成する場合、仮想光源の発光強度をより高めることで主オブジェクトの背景の画像領域の輝度値を規定値にするとともに、明るさを更に低下させた主オブジェクト1113を生成する。このように、画像生成部150は、主オブジェクトより遠くに位置する仮想光源の発光強度を時間的に増加させる照明効果を加えることにより、主オブジェクトの背景となる画像領域の明るさを時間的に増加させ、主オブジェクトの画像領域の明るさを時間的に減少させる。この処理によれば、主被写体の背後から放射される光の強度が時間的に増大していく場合に眼でとらえられるようなトランジション効果を加えることができる。このように、画像生成部150は、仮想光源の発光強度を時間的に増加させることにより、明るさが時間的に増加する照明効果を含むトランジション効果を加える。
【0057】
画像生成部150は、背景を既定値にした後のトランジション画像1110−3〜5において、主オブジェクトをフェードアウトさせる。例えば、トランジション画像1110−3〜5にかけて、主オブジェクト1113、主オブジェクト1114、主オブジェクト1115の輝度値を高めてゆき、最終的に輝度値が規定値のトランジション画像1110−6を生成する。具体的には、画像生成部150は、少なくとも主オブジェクトの画像領域に、図5等に関連して説明したフェードアウト効果の画像処理を適用することで、本例に示すようなトランジション効果を加えることができる。このように、画像生成部150は、主オブジェクトの画像領域の明るさを時間的に減少させた後に、主オブジェクトの画像領域の明るさを増加させて、フェードアウト効果を加える。
【0058】
なお、本図の例では、仮想光源の前後で照明効果が変わることを説明するために、仮想光源より遠くに位置に対する照明効果については特に言及しなかった。しかし、仮想光源より遠くに位置する被写体については、仮想光源から各オブジェクトに対応する被写体までの距離が近いほど、明るさを高めてもよい。
【0059】
なお、本図の例では、仮想光源を用いて、フェードアウト効果と同様なトランジション効果を加える処理について説明した。しかし、主オブジェクトに対するフェードイン効果と、仮想光源の発光強度を減少させることによる照明効果とを順次に適用して、フェードイン効果に対応するトランジション効果を与えることができる。このように、画像生成部150は、仮想光源の発光強度を時間的に減少させることにより、明るさが時間的に減少する照明効果を含むトランジション効果を加える。
【0060】
図12は、動画ファイルおよびトランジション設定を指定するためのユーザ画面の一例を示す。本画面は、表示部190に表示される。
【0061】
トランジション設定画面1200は、動画ファイルを表示する表示メニュー1210、動画ファイルを追加するための追加メニュー1220、ファイルを追加するための追加ボタン1230、トランジション画像を含む動画を生成するための実行ボタン1240、トランジション期間の時間長さを設定するための設定メニュー1250、トランジションの種別を設定するための設定メニュー1260、優先するオブジェクトを設定するための設定メニュー1270、シーン変化時にトランジション効果を加えるか否かを設定するための設定メニュー1280を含む。
【0062】
表示メニュー1210は、追加メニュー1220および追加ボタン1230を通じて追加された動画ファイルを表示する。ユーザは、追加メニュー1220により動画ファイルを選択した後に追加ボタン1230を押すことで、動画ファイルを追加することができる。画像生成部150は、実行ボタン1240が押された場合に、これらのメニューで選択された1以上の動画ファイルに、設定メニュー1250〜1280で設定されたトランジション設定に従ってトランジション効果を加える。
【0063】
設定メニュー1250は、トランジションの期間を入力する。例えば、トランジションの期間が0.5秒に設定された場合、毎秒30フレームの動画を生成するときには、15フレームのトランジション画像を生成する。トランジションの種別は、設定メニュー1260によって設定される。本例では、クロスフェードが選択されている。設定メニュー1270により、近距離オブジェクト、遠距離オブジェクトおよび顔のいずれを優先するかを選択できる。「近距離オブジェクト」が選択されている場合、近距離オブジェクトを強調したトランジション効果を加える。「遠距離オブジェクト」が選択されている場合、遠距離オブジェクトを強調したトランジション効果を加える。「顔」が設定されている場合、人物、動物等の顔のオブジェクトを画像解析部130で自動検出して、当該オブジェクトを強調するトランジション効果を加える。
【0064】
設定メニュー1280により、1の動画中でシーン変化が検出された場合に、シーン変化が生じた場面でトランジション効果を適用するか否かを設定する。本メニューがチェックされている場合、画像生成部150は、シーン変化が検出された場面でトランジション効果を加える。すなわち、画像生成部150は、動画を構成する複数のフレームの少なくとも一つのフレームから、シーンが切り替わる期間におけるトランジション画像を生成する。例えば、図8等に関連して説明したように、シーン変化が生じたタイミングで、トランジション画像を挿入する。また、シーン変化が生じたタイミングを含むトランジション期間の複数のフレームに、トランジション効果を加えてもよい。
【0065】
図13は、画像処理装置100における動作フローの一例を示す。本動作フローの処理は、例えばトランジション効果を加える動画編集アプリケーションプログラムによって実装される。本動作フローは、ユーザによって動画編集アプリケーションプログラムを実行する指示がなされた場合に、画像処理装置100が備えるCPUが当該プログラムを実行することによって開始される。
【0066】
ステップS1302において、ユーザ設定を行う。例えば、図12に関連して説明したメニュー等を通じて、動画ファイルおよびトランジション設定を指定する。指定されたトランジション設定は、画像取得部120によって取得される。
【0067】
ステップS1304において、画像取得部120は、トランジション効果を加える対象となる動画を読み出す。例えば、記録媒体180から、追加メニューで追加された動画ファイルを読み出す。
【0068】
ステップS1306において、画像解析部130は動画を解析する。例えば、画像解析部130は、動画を構成する各フレームから顔を検出する。また、画像解析部130は、動画を構成する各フレームからシーン変化を検出する。例えば、画像解析部130は、連続するフレーム間の差分に基づき、シーン変化を検出する。
【0069】
ステップS1308において、パラメータ設定部152は、トランジション設定に基づき、加工パラメータを決定する。例えば、パラメータ設定部152は、トランジション期間および動画のフレームレートから、生成するトランジション画像のコマ数を決定する。例えばトランジションの種別がフェードイン、フェードアウト、クロスフェード、ディゾルブ等のように、画像の切り替えるトランジション効果を適用する場合、奥行き方向の距離に応じた切り替え速度を選択する。例えば、図4、図6等に例示した対応曲線を、トランジションの種別に応じて選択する。
【0070】
続いて、ステップS1310から、トランジションを適用する1以上の期間でトランジション効果を加える処理を含むループを実行する。ステップS1312において、トランジション期間のフレームに奥行き情報が付帯されているか否かを判断する。奥行き情報が付帯されている場合、奥行き情報を抽出して奥行き方向の位置を特定し(ステップS1314)、ステップS1318に処理を移行する。奥行き情報が付帯されていない場合、位置特定部140は奥行き方向の位置を算出する(ステップS1316)。
【0071】
例えば、図3に関連して説明したように、位置特定部140が視差情報から奥行き方向の位置を検出する。他にも、位置特定部140は、複数のフレームにわたって動きのある被写体に対応するオブジェクトを追跡して、追跡結果に基づいてオブジェクトの前後関係を特定してよい。例えば、位置特定部140は、動くオブジェクトによって他のオブジェクトが隠れるフレームが存在する場合に、動くオブジェクトは、他のオブジェクトに対応する被写体より前に位置する被写体のオブジェクトであると判断することができる。ステップS1316の処理が完了すると、ステップS1318に処理を進める。
【0072】
ステップS1318では、画像加工部154がトランジション画像を生成する。トランジション画像を生成する処理については、図14に関連して説明する。ステップS1318の処理が完了すると、ステップS1320で、トランジション適用区間でループを終了するか否かを判断する。トランジションを適用すべき残りの期間が存在する場合、残りのトランジション期間についてステップS1312からステップS1318の処理を実行する。トランジションを適用すべき全期間で処理を完了したと判断された場合、ステップS1322に処理を進める。
【0073】
ステップS1322では、次元変換するか否かを判断する。次元変換しない場合、ステップS1326でトランジション画像を含む動画を出力する。次元変換を行う場合、トランジション画像を含む動画に次元変換を適用して(ステップS1324)、ステップS1326に処理を進める。次元変換をしない場合、入力された動画が3D動画であるときはトランジション効果が付加された3D動画が出力され、入力された動画が2D動画であるときはトランジション効果が付加された2D動画が出力される。次元変換をする場合、入力された動画が3D動画であるときはトランジション効果が付加された2D動画が出力され、入力された動画が2D動画であるときはトランジション効果が付加された3D動画が出力される。2D動画から3D動画を生成する場合、視点間距離および奥行き方向の距離に応じてオブジェクトの位置をずらすことにより、左視点画像および右視点画像を生成してよい。
【0074】
図14は、トランジション画像を生成する場合の処理フローを示す。すなわち、図13のステップS1318において実行される詳細な処理フローを示す。
【0075】
本フローが開始すると、ステップS1402において、トランジションの種別を判断する。例えば、図12に関連して説明した画面で設定されたトランジションの種別を特定する。フェードイン、フェードアウト、クロスフェード、ディゾルブ等の切り替え効果を加える種別のトランジションが設定されている場合、画像領域毎に切り替え速度を決定する。そして、画像加工部154は、トランジション期間内の複数のフレームのそれぞれについて、切り替え速度に基づき画像領域毎に透過処理の度合いを決定する(ステップS1406)。例えば、図5、図7等に関連して説明した係数を、各フレームにおける画像領域毎に決定する。
【0076】
ステップS1402の判断において、アイリスワイプによるトランジションが設定されている場合、画像加工部154は、アイリスワイプの対象とする画像領域毎に、アイリス枠の変化速度を決定する(ステップS1408)。そして、画像加工部154は、アイリスワイプの対象とする画像領域毎に、変化速度に応じた大きさのアイリス枠を設定する(ステップS1406)。例えば、図8、図9等に関連して説明したアイリス枠を、各フレームにおけるアイリス対象の画像領域毎に設定する。
【0077】
ステップS1412の判断において、仮想光源によるトランジションが設定されている場合、画像加工部154は、奥行き方向の仮想光源の位置を決定する(ステップS1412)。そして、画像加工部154は、仮想光源に対する位置関係に応じて画像領域毎に照明効果を算出する(ステップS1414)。例えば、図10等に関連して説明した照明効果として、各フレームにおける画像領域毎に、仮想光源からの光により加わる明るさを算出する。
【0078】
ステップS1406、ステップS1410、ステップS1414の処理が完了すると、ステップS1416に処理を移行する。ステップS1416において、画像加工部154は、トランジション期間に属する各フレームにトランジション効果を付加する。
【0079】
以上に説明した画像処理装置100によれば、奥行き方向の位置関係に応じて異なるトランジション効果を加えることができる。したがって、単に予め定められた種類のテンプレートを適用する場合と比較して、奥行き方向の位置関係に応じて多彩なトランジション効果を持つ動画を提供することができる。また、ユーザに煩わしい操作を課すことなく、多彩なトランジション効果を動的に加えることができる。また、画像処理装置100によれば、立体視用の3D映像を提供する映画やテレビ放送用等のコンテンツに利用することができる。また、動画の入出力形態として、H.264/AVC等の規格だけでなく、3D映像を取り扱うH.264/MVC(Multiview Video Coding)等の規格を適用できる。このように、画像処理装置100によれば、奥行き方向の位置関係に応じて多彩なトランジション効果を持つ3Dメディアを提供することができる。
【0080】
以上の説明において、主として動画にトランジション効果を加える場合について説明した。例えば、動画の先頭にフェードイン効果を与えたり、動画の末尾にフェードアウト効果を与えたりすることについて説明した。また、シーンの切り替えや、2つの動画を結合する場合に、切り替わり期間にフェードイン効果、フェードアウト効果またはクロスフェード効果を与えることを説明した。また、シーンの切り替えや2つの動画を結合する場合に、切り替わり期間にアイリスワイプ効果を持つトランジション画像を挿入することについて説明した。しかし、これらの視覚効果を含むトランジション効果は、動画のフレームからだけでなく、1以上の静止画にも加えることができることは言うまでもない。
【0081】
上記の説明において、画像処理装置100の動作として説明した処理は、プロセッサがプログラムに従って画像処理装置100が有する各ハードウェアを制御することにより実現される。すなわち、本実施形態の画像処理装置100に関連して説明した処理は、プロセッサがプログラムに従って動作して各ハードウェアを制御することにより、プロセッサ、メモリ等を含む各ハードウェアとプログラムとが協働して動作することにより実現することができる。すなわち、当該処理を、いわゆるコンピュータ装置によって実現することができる。コンピュータ装置は、上述した処理の実行を制御するプログラムをロードして、読み込んだプログラムに従って動作して、当該処理を実行してよい。コンピュータ装置は、当該プログラムを記憶しているコンピュータ読取可能な記録媒体から当該プログラムをロードすることができる。
【0082】
本実施形態において、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを例に挙げて、画像処理装置の一例を説明した。しかし、画像処理装置100は、撮像装置として組み込まれてよい。撮像装置としては、一眼レフカメラ、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラ、放送用の撮像機器、撮像機能付きの携帯電話機、撮像機能付きの携帯情報端末、撮像機能付きのゲーム機器等の娯楽装置等、撮像機能を有する種々の機器を適用の対象とすることができる。また、出力形態についても、動画、静止画等の画像データを記録媒体に記録するだけでなく、ネットワーク等の種々の伝送路に画像データを出力する機器等を、適用の対象とすることができる。また、撮像装置に限らず、デジタルフォトフレーム、放送用の映像機器、テレビジョン装置等、動画、静止画等の画像データを取り込んで画像処理を適用する種々の電子機器を、適用の対象とすることができる。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0084】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0085】
100 画像処理装置、102 画像処理部、110 トランジション設定取得部、120 画像取得部、130 画像解析部、140 位置特定部、150 画像生成部、152 パラメータ設定部、154 画像加工部、160 次元変換部、170 出力制御部、180 記録媒体、190 表示部、200 2D画像、210 距離情報、220 符号、300 視点画像、310 距離情報、320 符号、400 対応曲線、500 フレーム、600 対応曲線、700 フレーム、710 トランジション画像、800 フレーム、802 顔領域、810 距離情報、820 フレーム、830 アイリス枠、850 フレーム、930 アイリス枠、940 アイリス枠、1000 符号、1112 主オブジェクト、1113 主オブジェクト、1114 主オブジェクト、1115 主オブジェクト、1210 表示メニュー、1220 追加メニュー、1230 追加ボタン、1240 実行ボタン、1250 設定メニュー、1260 設定メニュー、1270 設定メニュー、1280 設定メニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が切り替わるトランジション効果を有するトランジション画像を生成する画像生成装置であって、
画像内の複数の画像領域のそれぞれにおける奥行き方向の位置を特定する位置特定部と、
前記複数の画像領域における前記位置に応じてトランジション効果が異なるトランジション画像を生成する画像生成部と、
を備える画像生成装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記複数の画像領域に、奥行き方向の距離に応じて切り替わり速度が異なるトランジション効果を加える
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記画像生成部は、前記奥行き方向の距離がより近い画像領域に、切り替わり速度がより遅いフェードアウト効果を加える
請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記画像生成部は、前記奥行き方向の距離がより近い画像領域に、切り替わり速度がより遅いフェードイン効果を加える
請求項2または3に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記トランジション効果は、フェードアウト効果、フェードイン効果およびディゾルブ効果の少なくともいずれかを含む
請求項2から4のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、前記複数の画像領域に、仮想光源からの距離に応じて前記仮想光源による照明効果が異なるトランジション効果を加える
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記画像生成部は、前記仮想光源の発光強度を時間的に増加または減少させることにより、明るさが時間的に増加または減少する照明効果を含むトランジション効果を加える
請求項6に記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記画像生成部は、主オブジェクトより遠くに位置する前記仮想光源の発光強度を時間的に増加させる照明効果を加えることにより、前記主オブジェクトの背景となる画像領域の明るさを時間的に増加させ、前記主オブジェクトの画像領域の明るさを時間的に減少させる
請求項7に記載の画像生成装置。
【請求項9】
前記画像生成部は、前記主オブジェクトの画像領域の明るさを時間的に減少させた後に、前記主オブジェクトの画像領域の明るさを増加させて、フェードアウト効果を加える
請求項8に記載の画像生成装置。
【請求項10】
前記トランジション効果は、アイリスワイプにより画像を切り替えるトランジション効果を含み、
前記画像生成部は、アイリスワイプを開始または終了させる画像領域における奥行き方向の距離に応じて、異なるアイリスワイプを適用する
請求項1から9のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項11】
前記画像生成部は、前記アイリスワイプを適用する画像領域における前記奥行き方向の距離に応じて、ワイプ速度が異なるアイリスワイプを適用する
請求項10に記載の画像生成装置。
【請求項12】
前記画像生成部は、前記奥行き方向の距離に応じて形状が異なるアイリスワイプを適用する
請求項10または11に記載の画像生成装置。
【請求項13】
一の動画においてシーンが切り替わる期間を特定する切替期間特定部
をさらに備え、
前記画像生成部は、前記一の動画を構成する複数の画像の少なくとも一つの画像から、前記シーンが切り替わる期間における前記トランジション画像を生成する
請求項1から12のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項14】
前記位置特定部は、動画に含まれる複数の画像毎に、前記複数の画像領域のそれぞれにおける奥行き方向の位置を特定し、
前記画像生成部は、前記複数の画像のそれぞれの複数の画像領域に、前記奥行き方向の位置に応じて異なるトランジション効果を加えることにより、前記トランジション画像を生成する
請求項1から13のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項15】
画像が切り替わるトランジション効果を有するトランジション画像を生成するためのプログラムであって、
画像内の複数の画像領域のそれぞれにおける奥行き方向の位置を特定するステップと、
前記複数の画像領域における前記位置に応じてトランジション効果が異なるトランジション画像を生成するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−55489(P2013−55489A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191946(P2011−191946)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】