説明

画像処理装置及びその制御方法

【課題】安価な構成で、水平方向の画素数が一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い画像データを、画像処理を施して出力することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、記憶手段と、読み出し手段と、画像処理手段と、出力手段と、を有し、記憶手段に記憶された画像データの水平方向の画素数が、読み出し手段で一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い場合に、読み出し手段は、記憶手段から、1ライン分の画像データを複数の分割データに分けて順に読み出し、画像処理手段は、読み出し手段で分割データが読み出される度に、該読み出された分割データに対して画像処理を施し、出力手段は、画像処理手段で分割データに画像処理が施される度に、該画像処理が施された分割データを入力し、画像処理が施された同じラインの複数の分割データを合成して1ライン分の画像データとして出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置(表示装置)に表示する画像を高画質化するため、フレームメモリやラインメモリを用いた画像処理を行うことがある。
フレームメモリは、複数フレームの画像データを比較する場合や、画像データのフレームレートを高速化する場合に用いられることがある。
ラインメモリは、フレームメモリからの画像データの読み出しや、複数ライン分の画像データを参照して行う画像処理(IP変換などのフィルタ処理等)に用いられることがある。
【0003】
ラインメモリを用いた画像処理では、例えば、メモリからライン毎に画像データが読み出され、ラインメモリに蓄積される。そして、ラインメモリに蓄積された画像データを用いて画像処理が行われる。
このような画像処理では、ラインメモリサイズ(ラインメモリに蓄積可能な最大画素数)、即ち、ラインバッファサイズ(フレームメモリから一度に読み出し可能な最大画素数)より水平方向の画素数が多い画像データをそのまま処理することは難しい。
画像データの水平方向の画素数がラインメモリサイズより多い場合の画像処理方法は、例えば、特許文献1に開示されている。具体的には、特許文献1に開示の方法では、画像データが、水平方向の画素数がラインメモリサイズ以下の複数の画像データに分割され、分割された画像データ毎に画像処理が行われる。
ここでは、上記分割された画像データを短冊画像データと呼ぶ。特に、画像データを2つに分割したときに、左側の短冊画像データを左画像データと呼び、右側の短冊画像データを右画像データと呼ぶ。
【0004】
しかし、画像データを複数の短冊画像データに分割した場合、画像(複数の短冊画像データに基づく複数の画像(短冊画像)が水平方向に並べられた画像)を表示装置で正しく表示するためには、フレームメモリが必要となることがある。以下、詳しく説明する。
多くの表示装置は、画像の上から下の順にライン毎の画像データが入力されることを想定している。しかし、画像データに対してIP変換などの画像処理(複数ライン分の画像データを参照して行う画像処理)を行う場合は、短冊画像データ毎に画像処理が行われる。例えば、左画像データ全体が処理された後、右画像データ全体が処理される。そのため、画像データの流れる順番が上記想定とは異なってしまう。そこで、画像データを複数の短冊画像データに分割し、それぞれの短冊画像データに画像処理を施した場合には、該画像処理が施された複数の短冊画像データをフレームメモリに保存し、合成する必要がある。そして、フレームメモリから合成された画像(複数の短冊画像が水平方向に並べられた画像;ラスタ画像)をライン毎に読み出す必要がある。
【0005】
図7は、従来の画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
画像処理装置300は、2つの画像処理部(第1画像処理部314、第2画像処理部324)を有する。例えば、第1画像処理部314はIP変換を行い、第2画像処理部324は画像データの倍速変換を行う。
第1画像処理部314は、第1メモリ部312から第1短冊画像読み出し部313が読み出した短冊画像データに対して、画像処理を施す。
第2画像処理部324は、第2メモリ部322から第2短冊画像読み出し部323が読み出した短冊画像データに対して、画像処理を施す。
ここで、第2画像処理部324の出力結果(出力されるデータ)は短冊画像データである。そのため、第2画像処理部324から順次出力される複数の短冊画像データを保存し、該複数の画像データを合成して1枚のラスタ画像データに変換する必要がある。そして、ラスタ画像データをライン毎に読み出して表示装置に出力する必要がある。
この変換及び出力のために、従来は、第3メモリ部332、ラスタ画像読み出し部333が必要となっていた。
このようなフレームメモリ(複数の短冊画像データを合成するためのフレームメモリ)や読み出し部を持つことは、コストの増加を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−221562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、安価な構成で、水平方向の画素数が一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い画像データを、画像処理を施して出力することのできる画像処理装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、
画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段からライン毎に画像データを読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段で読み出されたライン毎の画像データに画像処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段で画像処理が施されたライン毎の画像データを出力する出力手段と、を有し、
前記記憶手段に記憶された画像データの水平方向の画素数が、前記読み出し手段で一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い場合に、
前記読み出し手段は、前記記憶手段から、1ライン分の画像データを、前記最大画素数以下の画素数の複数の分割データに分けて順に読み出し、
前記画像処理手段は、前記読み出し手段で分割データが読み出される度に、該読み出された分割データに対して前記画像処理を施し、
前記出力手段は、前記画像処理手段で分割データに前記画像処理が施される度に、該画像処理が施された分割データを入力し、前記画像処理が施された同じラインの複数の分割データを合成して1ライン分の画像データとして出力する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の画像処理装置の制御方法は、
記憶部からライン毎に画像データを読み出す読み出しステップと、
前記読み出しステップで読み出されたライン毎の画像データに画像処理を施す画像処理ステップと、
前記画像処理ステップで画像処理が施されたライン毎の画像データを出力する出力ステップと、
を有し、
前記記憶部に記憶された画像データの水平方向の画素数が、前記読み出しステップで一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い場合に、
前記読み出しステップでは、前記記憶部から、1ライン分の画像データを、前記最大画素数以下の画素数の複数の分割データに分けて順に読み出し、
前記画像処理ステップでは、前記読み出しステップで分割データが読み出される度に、
該読み出された分割データに対して前記画像処理を施し、
前記出力ステップでは、前記画像処理ステップで分割データに前記画像処理が施される度に、該画像処理が施された分割データを入力し、前記画像処理が施された同じラインの複数の分割データを合成して1ライン分の画像データとして出力する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安価な構成で、水平方向の画素数が一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い画像データを、画像処理を施して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の構成の一例を示すブロック図
【図2】短冊画像読み出し部の処理の一例を示す模式図
【図3】ラインインタリーブ画像読み出し部の処理の一例を示す模式図
【図4】短冊画像読み出し部の処理フローの一例を示すフローチャート
【図5】ラインインタリーブ画像読み出し部の処理フローの一例を示すフローチャート
【図6】画像出力部の入出力信号の一例を示す波形図
【図7】従来の画像処理装置の構成の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係る画像処理装置及びその制御方法について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置100は、自身の持つラインメモリのサイズよりも水平方向の画素数が多い画像データを処理することできる。
【0013】
画像入力部101は、外部から画像データを入力する。例えば、画像入力部101は、外部の画像出力装置から出力された画像データを入力することができる。また、画像入力部101は、画像データを取り外し可能な記録媒体から読み出して入力することができる。記録媒体は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどである。
【0014】
第1書き込み部111は、画像入力部101に入力された画像データ(入力画像データ)を第1メモリ部112に書き込む。
第1メモリ部112は、画像データ(第1書き込み部111によって書き込まれた画像データ)を記憶する記憶部である。具体的には、第1メモリ部112は、フレームメモリであり、画像データを少なくとも1フレーム期間は保持することができる。例えば、第1メモリ部112は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成される。第1メモリ部112は、例えば、インタレース形式の入力画像データをプログレッシブ形式の画像データに変換する画像処理(IP変換;第1画像処理部114で行われる画像処理)で用いられる。
【0015】
短冊画像読み出し部113は、第1メモリ部112からライン毎に画像データを読み出す。
第1画像処理部114は、短冊画像読み出し部113で読み出されたライン毎の画像データに、IP変換などの画像処理を施す。第1画像処理部114は、サイズ(蓄積可能な最大画素数)がWM1のラインメモリを有する。
また、短冊画像読み出し部113は、1ライン分の画像データを、第1メモリ部112から読み出し、途切れることなく連続して出力する必要があるため、サイズ(読み出し可能な最大画素数)がWM1のメモリアクセス用ラインバッファを有する。
【0016】
第2書き込み部121は、第1画像処理部114で画像処理が施されたライン毎の画像データを、第2メモリ部122に書き込む。
第2メモリ部122は、画像データ(第2書き込み部121によって書き込まれた画像データ)を記憶する記憶部である。具体的には、第2メモリ部122は、フレームメモリであり、画像データを少なくとも1フレーム期間は保持することができる。例えば、第2メモリ部122は、DRAMで構成される。第2メモリ部122は、例えば、60Hzのフレームレートの画像を120Hzにする倍速処理(フレームレート変換)で用いられる。
【0017】
ラインインタリーブ画像読み出し部123は、第2メモリ部122からライン毎に画像データを読み出す。
第2画像処理部124は、ラインインタリーブ画像読み出し部123で読み出されたライン毎の画像データに画像処理を施す。第2画像処理部124は、サイズ(蓄積可能な最大画素数)がWM2のラインメモリを有する。
また、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、1ライン分の画像データを、第2メモリ部122から読み出し、途切れることなく連続して出力する必要があるため、サイズ(読み出し可能な最大画素数)がWM2のメモリアクセス用ラインバッファを有する。
【0018】
画像出力部131は、例えば、第2画像処理部124で画像処理が施されたライン毎の画像データを画像処理装置100が有する表示装置(不図示)に出力する。
なお、画像出力部131は、上記表示装置以外の装置に画像データを出力してもよい。画像出力部131は、外部の表示装置、外部の画像処理装置、外部の画像記憶装置などに画像データを出力してもよい。
【0019】
上述したように、第1画像処理部114のラインメモリのサイズ、及び、短冊画像読み出し部113のラインバッファのサイズは、いずれもWM1である。
そのため、第1メモリ部112に記憶された画像データの水平方向の画素数WがWM1より多い場合には、1ライン分の画像データを一度に読み出すことはできず、ラインメモリを用いた画像処理を行うことができない。
そこで、本実施形態では、短冊画像読み出し部113は、W>WM1の場合に、画像データを、水平方向の画素数がWM1以下の複数の短冊画像データに分けて順に読み出し、第1画像処理部114へ出力する。それにより、複数の短冊画像データが、順に、画像処理(IP変換)が施されて第2メモリ部122へ書き込まれる。具体的には、画像処理が施された複数の短冊画像データが第2メモリ部122へ書き込まれ、1枚の画像のデータに合成される。
【0020】
図2は、短冊画像読み出し部113の処理の一例を示す模式図である。
図2では、第1メモリ部112に記憶された画像データ210の水平ライン数を10とした。
図2では、画像データ210の水平方向の画素数WがWM1よりも多いため、画像データ210が、水平方向の画素数がWL1の左画像データ211と、水平方向の画素数がWR1の右画像データ212に分けて読み出される。
【0021】
図2において、左画像データ211および右画像データ212の傍らに記載の数字は、短冊画像読み出し部113が読み出す画像データの順番を示す。
図2に示すように、短冊画像読み出し部113は、まず、左画像データ211の全てのラインのデータを順に読み出す。その後、右画像データの212を全てのラインのデータを順に読み出す。
短冊画像読み出し部113は、左画像データ211及び右画像データ212のラインの
データを読み出す度に水平同期信号を発生する。
短冊画像読み出し部113は、左画像データ211の全てのラインのデータを読み出す度に、少なくとも1ライン期間の長さを有する垂直同期信号を発生する。
短冊画像読み出し部113は、右画像データ212の全てのラインのデータを読み出す度に、少なくとも1ライン期間の長さを有する垂直同期信号を発生する。
【0022】
ここで、左画像データ211および右画像データ212の水平方向の画素数(WL1,WR1)は、第1画像処理部114のラインメモリのサイズWM1以下である。そのため、第1画像処理部114では、左画像データ211および右画像データ212に対し、フィルタ処理など、処理対象のラインの、1つ前または後ろのラインのデータを参照する画像処理を行うことができる。
【0023】
なお、図2の例では、第1メモリ部112に記憶された画像データを2つの短冊画像データに分割する例を示したが、分割数はこれに限らない。分割数は3,5,10などであってもよい。各短冊画像データの水平方向の画素数がWM1以下であればよい。
なお、第1画像処理部114での画像処理が、処理対象の画素の水平方向に隣接する画素値を参照する処理の場合には、左画像データ211と右画像データ212は、画像データ210の共通の領域を含むことがある。この場合、第1画像処理部114により画像処理が施された短冊画像データは、短冊画像データ間で共通の領域がなくなるように、一部の領域(例えば、図2の斜線で示した領域)のデータが除外されて、第2メモリ部122に書き込まれる。
【0024】
また、上述したように、第2画像処理部124のラインメモリのサイズ、及び、ラインインタリーブ画像読み出し部123のラインバッファのサイズは、いずれもWM2である。
そのため、第2メモリ部122に記憶された画像データの水平方向の画素数WがWM2より多い場合には、1ライン分の画像データを一度に読み出すことはできない。
そして、本実施形態では第2画像処理部124の後段にフレームメモリ(画像データ合成用のフレームメモリ)を有していない。そのため、短冊画像読み出し部113のように画像データを複数の短冊画像データに分けて順に読み出すと、表示装置に出力する画像データの順番が、表示装置が想定している順番(ラスタ形式の順番)と異なってしまう。ここで、ラスタ形式とは、水平同期信号を用いて画像の上から下の順にラインを切り替え、1ラインずつ左から右に画像データを送信する形式である。
【0025】
そこで、本実施形態では、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、W>WM2の場合に、第2メモリ部122から、記憶されている画像データの1ライン分の画像データを、WM2以下(最大画素数以下)の画素数の複数の分割データに分けて順に読み出す。本実施形態では、このような読み出し方法を、ラインインタリーブ読み出しと呼ぶ。また、上記分割データをラインインターリーブ画像データとも呼ぶ。
第2画像処理部124は、ラインインタリーブ画像読み出し部123で分割データが読み出される度に、該読み出された分割データに対して画像処理を施す。
そして、画像出力部131は、第2画像処理部124で分割データに画像処理が施される度に、該画像処理が施された分割データを入力する。そして、画像出力部131は、画像処理が施された同じラインの複数の分割データを合成して、元データ(第2メモリ部122に記憶された画像データ)の1ライン分の画像データとして出力する。
【0026】
図3は、ラインインタリーブ画像読み出し部123の処理の一例を示す模式図である。
図3では、第2メモリ部122に記録された画像データ220の水平ライン数を10とした。
図3では、画像データ220の水平方向の画素数WがWM2より多いため、1ライン分
の画像データが、WM2以下(最大画素数以下)の画素数の複数の分割データに分けて順に読み出される。具体的には、画像データ220の1ライン分のデータが、左画像データ221の1ライン分のデータと、右画像データ222の1ライン分のデータとに分けられる。
【0027】
図3において、左画像データ221および右画像データ222の傍らに記載の数字は、ラインインタリーブ画像読み出し部123が読み出す画像データ(分割データ)の順番を示す。
図3に示すように、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、左画像データ221と右画像データ222を、それぞれ1ラインずつ交互に読み出す。
ラインインタリーブ画像読み出し部123は、左画像データ221及び右画像データ222のラインのデータを読み出す度に水平同期信号を発生する。
ラインインタリーブ画像読み出し部123は、左画像データ221と右画像データ222の全てのラインのデータ(即ち、画像データ220全体)を読み出す度に、少なくとも1ライン期間の長さを有する垂直同期信号を発生する。
【0028】
ここで、読み出された分割データの画素数は第2画像処理部124のラインメモリのサイズWM2以下である。しかしながら、上述したように、本実施形態では、左画像データ221と右画像データ222が、それぞれ1ラインずつ交互に読み出される。具体的には、左画像データ221の1番目のライン(最も上のライン)の画像データ、右画像データ222の1番目のラインの画像データ、左画像データ221の2番目のラインの画像データ・・・の順に分割データが読み出される。そのため、第2画像処理部124において、ラインメモリを用いた画像処理を行うことは難しい。なお、本実施形態では、画像データの最も上のラインから最も下のラインまで順に読み出されるものとする。
そこで、第2画像処理部124では、ラインインタリーブ読み出しされた画像データに対して処理可能な画像処理を行う。即ち、第2画像処理部124では、他のラインの画像データを参照しない画像処理を行う。具体的には、第2画像処理部124では、表示装置で表示された画像の輝度ムラ、階調特性、色域などを補正する補正処理などを行う。
そして、第2画像処理部124では、フィルタ処理など、他のラインの画像データを参照する画像処理は行わない。勿論、入力画像データ(第2メモリ部122に記憶された画像データ)の水平方向の画素数がWM2以下である場合には、第2画像処理部124でフィルタ処理などの画像処理を行うことが可能である。
【0029】
なお、図3の例では、第2メモリ部122に記憶された画像データの1ライン分のデータを2つの分割データに分割する例を示したが、分割数はこれに限らない。分割数は3,5,10などであってもよい。各分割データの画素数がWM2以下であればよい。
なお、第2画像処理部124での画像処理が、処理対象の画素の水平方向に隣接する画素値を参照する処理の場合には、左画像データ221のラインのデータと、右画像データ222のラインのデータは、画像データ220の共通の領域のデータを含むことがある。この場合、第2画像処理部124により画像処理が施された分割データは、分割データ間で共通の領域がなくなるように、一部の領域のデータが除外されて、画像出力部131から出力される。
【0030】
図4は、短冊画像読み出し部113の処理フローの一例を示すフローチャートである。
(左画像データ読み出し処理)
まず、短冊画像読み出し部113は、画像データの読み出すラインの番号Yを1に初期化する(S101)。
次に、短冊画像読み出し部113は、左画像データ211のY番目のラインの画像データを読み出す(S102)。
そして、短冊画像読み出し部113は、水平同期信号(hsync)を出力する(S1
03)。
【0031】
次に、短冊画像読み出し部113は、Yに1を加算する。それにより、読み出すラインが、次のラインに変更される(S104)。
そして、短冊画像読み出し部113は、左画像データ211の全ラインのデータを読み出したか否かを判定する(S105)。全ラインのデータを読み出したと判定された場合(S105:YES)、短冊画像読み出し部113は、垂直同期信号(vsync)を出力する(S106)。全ラインのデータを読み出していない(読み出していないラインのデータが有る)と判定された場合(S105:NO)、S102へ処理が戻される。図2の例の場合、ライン数は10であるため、Y<10の場合に、全ラインのデータを読み出していないと判定され、Y≧10の場合に、全ラインのデータを読み出したと判定される。
【0032】
(右画像データ読み出し処理)
S106の次に、短冊画像読み出し部113は、画像データの読み出すラインの番号Yを1に初期化する(S107)。
次に、短冊画像読み出し部113は、右画像データ212のY番目のラインの画像データを読み出す(S108)。
そして、短冊画像読み出し部113は、水平同期信号を出力する(S109)。
【0033】
次に、短冊画像読み出し部113は、Yに1を加算する。それにより、読み出すラインが、次のラインに変更される(S110)。
そして、短冊画像読み出し部113は、右画像データ212の全ラインのデータを読み出したか否かを判定する(S111)。全ラインのデータを読み出したと判定された場合(S111:YES)、短冊画像読み出し部113は、垂直同期信号を出力する(S102)。全ラインのデータを読み出していない(読み出していないラインのデータが有る)と判定された場合(S111:NO)、S108へ処理が戻される。
【0034】
図5は、ラインインタリーブ画像読み出し部123の処理フローの一例を示すフローチャートである。
まず、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、画像データの読み出すラインの番号Yを1に初期化する(S201)。
次に、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、左画像データ221のY番目のラインの画像データ(分割データ)を読み出す(S202)。
そして、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、水平同期信号を出力する(S203)。
【0035】
次に、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、右画像データ222のY番目のラインの画像データ(分割データ)を読み出す(S204)。
そして、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、水平同期信号を出力する(S205)。
【0036】
次に、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、Yに1を加算する。それにより、読み出すラインが、次のラインに変更される(S206)。
そして、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、左画像データ221の全ライン及び右画像データ222の全ラインのデータ(即ち、元データ(画像データ220)全体)を読み出したか否かを判定する(S207)。画像データ220全体を読み出したと判定された場合(S207:YES)、ラインインタリーブ画像読み出し部123は、垂直同期信号を出力する(S208)。画像データ220全体を読み出していない(読み出していない分割データが有る)と判定された場合(S207:NO)、S202へ処理が戻
される。
【0037】
図6は、画像出力部131の入力信号(データ)及び出力信号(データ)の一例を示す。
左画像分割データ231,241は、第2画像処理部124で画像処理が施された左画像データ221の1ライン分のデータ(分割データ)である。左画像分割データ231は、画像出力部131に入力されたデータであり、左画像分割データ241は、画像出力部131から出力されたデータである。
右画像分割データ232,242は、第2画像処理部124で画像処理が施された右画像データ222の1ライン分のデータ(分割データ)である。右画像分割データ232は、画像出力部131に入力されたデータであり、右画像分割データ242は、画像出力部131から出力されたデータである。
左画像分割データ231,241と右画像分割データ232,242は同じラインの画像データである。
in_hsyncは、画像出力部131に入力された水平同期信号であり、out_hsyncは、画像出力部131から出力された水平同期信号である。
左画像分割データ231の入力が完了してから、右画像分割データ232の入力が開始するまでの期間をTとする。
【0038】
本実施形態では、画像出力部131は、遅延回路を有する。そして、画像出力部131は、第2画像処理部124から先に入力された分割データの出力タイミングを、遅延回路を用いて遅延させることにより、元データ(第2メモリ部122に記憶された画像データ)の1ライン分の複数の分割データを連続的に出力する。
図6の例では、画像出力部131は、左画像分割データ231を、T期間遅延させて出力する。このような遅延を行うための遅延回路は、例えば、遅延時間Tのフリップフロップ回路をT/T個連結した回路である。
そして、画像出力部131は、右画像分割データ232を遅延させずに出力する。
それにより、左画像分割データ241と右画像分割データ242が連続的に出力される。即ち、左画像分割データ241と右画像分割データ242が合成されて、元データの1ライン分の画像データとして出力される。
また、左画像分割データ231と右画像分割データ232の間にある水平同期信号は不要となるため、画像出力部131は当該水平同期信号を除外する。
【0039】
上述したように、画像出力部131には、ライン毎に、左画像分割データと右画像分割データが入力される。その結果、画像出力部131からは、元データがライン毎に出力される(ラスタ形式で出力される)。
【0040】
なお、遅延回路はフリップフロップ回路を有する回路に限らない。例えば、画像出力部131は遅延回路としてラインメモリを有していてもよい。その場合には、左画像分割データ231をラインメモリに一旦格納してT期間後に読み出して出力すればよい。遅延回路は、分割データを遅延させることのできる回路であれば、どのような回路であってもよい。
【0041】
また、分割データの合成方法は上記方法(遅延回路を用いた方法)に限らない。例えば、画像出力部131は、元データの少なくとも1ライン分の画像データを記憶可能なラインメモリを有していてもよい。その場合には、第2画像処理部124から分割データが入力される度に、該分割データを上記ラインメモリに格納することにより、画像処理が施された同じラインの複数の分割データを合成、出力すればよい。それにより、該合成された画像データ(元データの1ライン分の画像データ)が出力される。また、画像出力部131は、元データの1ライン分の画像データを記憶可能なラインメモリを複数有していても
よい。ラインメモリを複数有していれば、画像出力部131への入力クロックと、画像出力部131からの出力クロックとが異なる場合でも、画像データが欠落することなく画像出力を行うことができる。その場合には、例えば、第1ラインメモリに書き込んだ1ライン分の画像データを読み出しながら、第2ラインメモリに次の1ライン分の画像データを書き込むことができる。このため、複数ラインの画像データを順次途切れることなく出力することができる。
【0042】
以上述べたように、本実施形態によれば、ラインインタリーブ読み出しが行われ、読み出された同じラインの分割データが合成されて出力される。それにより、安価な構成で、水平方向の画素数が一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い画像データを、画像処理を施して出力することができる。具体的には、画像データ合成用のフレームメモリや該フレームメモリからライン毎に画像データを読み出す読み出し部を用いずに、水平方向の画素数が一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い画像データを、画像処理を施して出力することができる。
さらに、本実施形態によれば、1ライン分の画像データを1度に読み出すことは行わず、ラインインタリーブ読み出しを行って、元データが出力される。そのため、読み出し部のメモリアクセス用のバッファ量を低減できる。
【符号の説明】
【0043】
100 画像処理装置
122 第2メモリ部
123 ラインインタリーブ画像読み出し部
124 第2画像処理部
131 画像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段からライン毎に画像データを読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段で読み出されたライン毎の画像データに画像処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段で画像処理が施されたライン毎の画像データを出力する出力手段と、を有し、
前記記憶手段に記憶された画像データの水平方向の画素数が、前記読み出し手段で一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い場合に、
前記読み出し手段は、前記記憶手段から、1ライン分の画像データを、前記最大画素数以下の画素数の複数の分割データに分けて順に読み出し、
前記画像処理手段は、前記読み出し手段で分割データが読み出される度に、該読み出された分割データに対して前記画像処理を施し、
前記出力手段は、前記画像処理手段で分割データに前記画像処理が施される度に、該画像処理が施された分割データを入力し、前記画像処理が施された同じラインの複数の分割データを合成して1ライン分の画像データとして出力する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理手段の前記画像処理は、他のラインの画像データを参照しない画像処理である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、
遅延回路を有し、
前記画像処理手段から先に入力された分割データの出力タイミングを前記遅延回路を用いて遅延させることにより、1ライン分の複数の分割データを連続的に出力する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力手段は、
少なくとも1ライン分の画像データを記憶可能なラインメモリを有し、
前記画像処理手段から分割データが入力される度に、該分割データを前記ラインメモリに格納することにより、前記画像処理が施された同じラインの複数の分割データを合成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
記憶部からライン毎に画像データを読み出す読み出しステップと、
前記読み出しステップで読み出されたライン毎の画像データに画像処理を施す画像処理ステップと、
前記画像処理ステップで画像処理が施されたライン毎の画像データを出力する出力ステップと、
を有し、
前記記憶部に記憶された画像データの水平方向の画素数が、前記読み出しステップで一度に読み出し可能な最大画素数よりも多い場合に、
前記読み出しステップでは、前記記憶部から、1ライン分の画像データを、前記最大画素数以下の画素数の複数の分割データに分けて順に読み出し、
前記画像処理ステップでは、前記読み出しステップで分割データが読み出される度に、該読み出された分割データに対して前記画像処理を施し、
前記出力ステップでは、前記画像処理ステップで分割データに前記画像処理が施される度に、該画像処理が施された分割データを入力し、前記画像処理が施された同じラインの
複数の分割データを合成して1ライン分の画像データとして出力する
ことを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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