説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】転送速度の異なるDMAコントローラを適宜切り替えて使用して効率的なデータ転送を行う画像処理装置及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】複合装置は、画像処理部11の処理した画像データを高速DMAC15を使用して優先して転送するとともに、この画像処理手段11の処理した画像データの転送が完了したことをデータ入力検知部11aが検出すると、データ処理進捗検知部12aの検出する画像処理部12の処理する画像データの転送状況に基づいて、管理部14がセレクタ13を制御して、低速DMAC16と高速DMAC15を適宜選択して使用して、画像処理部12の処理した画像データを転送する。したがって、画像処理部12の処理した画像データを複合装置全体の画像処理工程の画像データの流れに合わせて処理して、画像処理全体の生産性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関し、詳細には、転送速度の異なるDMAコントローラを適宜使い分けて効率的なデータ転送を行う画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、プリンタ装置、ファクシミリ装置、複合装置等の画像処理装置においては、近年、複合化及びデジタル化に伴って、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリを利用した画像処理が種々行われるようになってきている。このようなメモリへのデータ転送やメモリ上にあるデータの転送を高速に行う技術としては、DMA(Direct Memory Access)があり、DMAでは、一般的に、メモリアドレスと転送量を指定することで、CPU(Central Processing Unit )が介在することなく、データ転送を行うが、メモリ上にデータが点在する場合には、ディスクリプタ方式を用いて、メモリ上に点在するデータを接続して連続的に転送を行う。
【0003】
画像処理装置は、その内部の各画像処理部にDMAコントローラ(以下、DMACという。)を内蔵しているが、その性能は様々であり、複合装置等の高速機においては、機械的な構造の条件によって、高度な生産性を確保する必要性から処理速度の優先度の高い画像処理モジュールがあり、そのような優先度の高い画像処理モジュールには、比較的転送速度の速いDMAC(以下、高速DMACという。)が搭載されており、他の画像処理モジュールには、必然的に比較的転送速度の遅いDMAC(以下、低速DMACという。)が搭載されることとなる。
【0004】
画像入力部を有する複写装置等の画像処理装置においては、その機械的動作等の規制から画像入力時間の間隔が規定されており、画像入力処理部(ビデオコントローラ)には、高速DMACが割り当てられている。
【0005】
ところが、いくら画像入力処理部に高速DMACを搭載して高速に画像入力処理を行っても、後段の画像処理部(例えば、圧縮伸張器等)での画像処理が終了しないと、次の画像入力を行うことができない。
【0006】
したがって、図6(a)に示すように、圧縮伸張器等の後段の画像処理部での画像処理が前段の画像処理部であるビデオコントローラでの画像処理に追従して行われているときには、適切な処理速度を維持することができるが、図6(b)に示すように、圧縮伸張器等の後段の画像処理部での画像処理が遅いときには、該後段の画像処理部での画像処理が終了するのを待って、前段の画像処理、すなわち、ビデオコントローラでの画像入力処理を行う必要が発生し、画像入力時間の間隔が不規則な状態となって、生産性が低下することとなる。
【0007】
そして、従来、共通の構成を有する記憶装置に対して、画像形成装置の構成に関係無く共通の制御を行って、画像形成装置の機器間の情報転送(画像信号および機器間の制御に必要な情報を含む)をより効率良く行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2005−72987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、複数の画像形成装置間でのデータの利用効率の向上を図ることはできるが、1つの画像処理装置内での画像処理速度とDMACの転送速度の相違によって画像処理モジュール間で発生するデータの滞りを解消することができず、画像処理装置全体の生産性を向上させる上で、改良の必要があった。
【0010】
そこで、本発明は、各段の画像処理速度とデータ転送速度を考慮して効率的にデータ転送して、全体の生産性を向上させる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明の画像処理装置は、画像データに対して比較的高速で画像処理する高速画像処理手段と、該高速画像処理手段よりも画像データの流れ方向後段に位置し該高速画像処理手段よりも遅い処理速度で画像処理する低速画像処理手段と、画像データを比較的高速でDMA転送する高速DMAコントローラと、画像データを該高速DMAコントローラよりも遅い速度でDMA転送する低速DMAコントローラと、該高速画像処理手段の処理した画像データを該高速DMAコントローラに優先して転送させるとともに、該高速画像処理手段の処理した画像データと該低速画像処理手段の処理した画像データの転送状況に基づいて、該低速DMAコントローラと該高速DMAコントローラを適宜選択して、該選択したDMAコントローラに該低速画像処理手段の処理した画像データを転送させる転送制御手段と、を備えていることにより、上記目的を達成している。
【0012】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記画像処理装置は、前記高速画像処理手段の処理した画像データの転送終了を検出する転送終了検出手段と、前記低速画像処理手段の処理する画像データの転送状況を検出する転送状況検出手段と、を備え、前記転送制御手段は、該転送終了検出手段と該転送状況検出手段の検出結果に基づいて、前記低速画像処理手段の処理した画像データの転送に使用するDMAコントローラを選択してもよい。
【0013】
また、請求項2の場合、例えば、請求項3に記載するように、前記転送終了検出手段は、前記高速画像処理手段の処理する画像データ量または該画像データの転送時間を予め取得し、該画像データ量または該転送時間に基づいて前記転送終了を検出してもよい。
【0014】
さらに、請求項2または請求項3の場合、例えば、請求項4に記載するように、前記転送制御手段は、前記転送終了検出手段が前記転送終了を検出した後、前記転送状況検出手段が前記低速画像処理手段の処理する未転送の画像データが存在することを検出していると、前記低速画像処理手段の処理した画像データの転送に使用するDMAコントローラとして前記高速DMAコントローラを選択してもよい。
【0015】
また、請求項1から請求項4の場合、例えば、請求項5に記載するように、前記転送制御手段は、前記高速画像処理手段及び前記低速画像処理手段と前記高速DMAコントローラ及び前記低速DMAコントローラとを選択的に接続する切り替え接続手段と、該切り替え接続手段による接続状態を制御する制御手段と、を備えていてもよい。
【0016】
さらに、請求項1から請求項5の場合、例えば、請求項6に記載するように、前記高速DMAコントローラ及び前記低速DMAコントローラは、それぞれ画像データを一時保管するバッファと、該バッファの画像データ保管状況を検出するバッファ状態検出手段と、該バッファ状態検出手段の検出結果を相互に通知する通知手段と、を備え、該各DMAコントローラの有しているバッファ量と該バッファ状態検出手段の検出結果及び相手のDMAコントローラの通知手段からの通知結果に基づいて、順次切り替わって前記低速画像処理手段からの前記画像データを転送し、前記転送制御手段は、該低速画像処理手段の処理した画像データを転送するDMAコントローラとして、該高速DMAコントローラと該低速DMAコントローラをそれぞれの各バッファ量に基づいて順次切り替えて選択してもよい。
【0017】
請求項7記載の発明の画像処理方法は、画像データに対して比較的高速で画像処理する高速画像処理ステップと、該高速画像処理ステップよりも画像データの流れ方向後段に位置し該高速画像処理ステップよりも遅い処理速度で画像処理する画像処理ステップと、該高速画像処理ステップで処理された画像データを、比較的高速でDMA転送する高速DMAコントローラに優先して転送させるとともに、該高速画像処理ステップで処理された画像データ及び該低速画像処理ステップで処理された画像データの転送状況に基づいて、該高速DMAコントローラよりも遅い速度でDMA転送する低速DMAコントローラと該高速DMAコントローラを適宜選択して、該選択したDMAコントローラに該低速画像処理ステップで処理された画像データを転送させる転送制御処理ステップと、を有することにより、上記目的を達成している。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高速画像処理手段の処理した画像データを高速DMAコントローラで優先して転送するとともに、高速画像処理手段の処理した画像データと低速画像処理手段の処理した画像データの転送状況に基づいて、低速DMAコントローラと高速DMAコントローラを適宜選択して、低速画像処理手段の処理した画像データを転送するので、高速画像処理手段と低速画像処理手段の画像処理速度と高速DMAコントローラと低速DMAコントローラのデータ転送速度を考慮して、低速画像処理手段の処理した画像データを効率的にデータ転送することができ、低速画像処理手段の処理した画像データを全体の画像処理工程の画像データの流れに合わせて転送処理して、画像処理全体の生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【実施例1】
【0020】
図1〜図3は、本発明の画像処理装置及び画像処理方法の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置及び画像処理方法の第1実施例を適用した複合装置1の要部ブロック構成図である。
【0021】
図1において、複合装置1は、画像入力部2、ASIC3、演算処理部4、主記憶部5、記憶部6、ASIC7及び画像出力部8等を備えているとともに、図示しないが、操作表示部、ファクシミリ部等の複合装置としての機能処理に必要な各部を備えている。
【0022】
画像入力部2は、原稿に光源から読取光を照射して該原稿で反射された反射光をCCD(Charge Coupled Device )で光電変換することで、原稿を主走査及び副走査して、該原稿の画像を選択指定された解像度、例えば、100、150、200、300、400、600dpiで読み取るスキャナが用いられ、読み取った原稿の画像データをASIC3に出力する。
【0023】
ASIC3は、画像入力部2から入力される画像データに、所定の画像処理、例えば、画像圧縮処理等の画像処理を行い、PCIバスを介して演算処理部4に転送する。
【0024】
演算処理部4には、主記憶部5と記憶部6が接続されており、記憶部6は、ROM(Read Only Memory)等で構成されて、BIOS等の複合装置1としての基本プログラムや本実施例のデータ転送制御処理プログラム及び必要なシステムデータ等が格納されている。
【0025】
主記憶部5は、RAM(Random Access Memory)等で構成され、演算処理部4のワークメモリや画像データの一時保管用メモリに使用される。
【0026】
演算処理部4は、記憶部6のプログラムに基づいて、主記憶部5をワークメモリとして利用しつつ、複合装置1の各部を制御して複合装置1として動作させる。演算処理部4は、特に、ASIC3やASIC4の画像処理におけるデータ転送制御処理を行う。
【0027】
ASIC7は、画像処理部、アービタ及びDMAC等を備え、画像入力部2で読み取られた原稿の画像データや図示しない外部ホスト装置から転送されてきた画像データ、また、図示しないファクシミリ部で受信したファクシミリ画像データを、画像出力部8が処理可能なデータに変換して画像出力部8に出力する。
【0028】
画像出力部8は、例えば、電子写真方式のプリンタ等が用いられており、ASIC7で処理された画像データに基づいて変調したレーザビームを半導体レーザ素子から出力して、ポリゴンミラー等を通して感光体に照射して、該感光体表面に静電潜像を形成する。画像出力部8は、感光体上の静電潜像にトナーを付与してトナー画像として現像し、該トナー画像を用紙に転写・定着させて画像形成して、該画像形成した用紙を排紙トレイ上に排紙する。
【0029】
そして、上記ASIC3は、図2に示すように、画像処理部11、12、セレクタ13、管理部14、高速DMAC15、低速DMAC16、アービタ17及びPCIC(Peripheral Component Interconnect Contoroller)18等を備えており、画像入力部2からの画像データが画像処理部11に入力される。
【0030】
画像処理部11は、画像入力部2から入力される原稿の画像データに必要な画像処理を比較的高速で施し、該画像処理後の画像データを、高速DMAC15によってセレクタ13、アービタ17及びPCIC18を介して演算処理部4に転送する。画像処理部11は、画像入力部2の画像読み取り動作処理に合わせて該画像入力部2からの画像データを画像処理して転送する必要があり、比較的高速の画像処理を行う高速画像処理手段として機能している。
【0031】
画像処理部11は、データ入力検知部(転送終了検出手段)11aを備えており、データ入力検知部11aは、画像入力部2から画像処理部11に入力されて画像処理部11で必要な画像処理を施された画像データの高速DMAC15への転送の完了の有無を検知して、転送終了検知信号Shを管理部14に出力する。すなわち、データ入力検知部11aは、ダウンカウントレジスタを備えており、画像入力部2から入力されて高速DMAC15によって転送する総転送データ量を該ダウンカウントレジスタにセットする。データ入力検知部11aは、高速DMAC15によって画像データが転送されると、該転送された実転送データ量を該ダウンカウントレジスタからダウンカウントし、ダウンカウントレジスタの値が「0」になると、管理部14に出力している転送終了検知信号Shを「1」から「0」に遷移させる。例えば、画像入力部2で読み取る原稿がA4等の定型サイズの原稿であるときには、画像データ量を決定できるため、画像入力部2が読み取った原稿の画像データをASIC3に転送し始める前に総転送データ量を画像処理部11側に通知する。データ入力検知部11aは、画像入力部2から総転送データ量が通知されると、該総転送データ量を、ダウンカウントレジスタにセットする。また、データ入力検知部11aは、画像入力部2が総転送データ量ではなく原稿の定型サイズ情報を通知してくると、予め内部に保持されている定型サイズとデータ量のデータベースを参照して、データ量を取得して、該データ量をダウンカウントレジスタにセットする。そして、データ入力検知部11aは、その後、データ転送が開始されると、ダウンカウントレジスタのデータ量からデータ転送した実転送データ量をダウンカウントして、ダウンカウントレジスタの値が「0」になると、管理部14に出力している転送終了検知信号Shを「1」から「0」に遷移させる。
【0032】
画像処理部12は、低速DMAC16によって、演算処理部4からPCIC18、アービタ17及びセレクタ13を介して転送されてくる画像データに対して、圧縮伸張処理等の画像データ内容によって処理速度の変わる比較的低速の画像処理を施す低速画像処理手段として機能する。画像処理部12は、画像処理後の画像データを、セレクタ13を介して接続される高速DMAC15または低速DMAC16によってアービタ17及びPCIC18を介して演算処理部4に転送する。
【0033】
画像処理部12は、データ処理進捗検知部(転送状況検出手段)12aを備えており、データ処理進捗検知部12aは、データ転送処理進捗状況を検知して、ステータス信号Ssを管理部14に出力する。すなわち、データ処理進捗検知部12aは、ダウンカウントレジスタを備えており、演算処理部4からの画像データの転送が始まる前に、演算処理部4のプログラムから総転送データ量が通知されると、該総転送データ量をダウンカウントレジスタにセットする。データ処理進捗検知部12aは、その後、データ転送が開始されて、低速DMAC16を介してデータ転送を受信すると、ダウンカウントレジスタのデータ量からデータ転送されてきた実転送データ量をダウンカウントして、ダウンカウントレジスタの値が「0」になると、管理部14に出力しているステータス信号Ssを「1」から「0」に遷移させる。なお、データ処理進捗検知部12aは、演算処理部4のソフトウェアによってその機能が適宜オン/オフされるようになっていてもよい。例えば、データ処理進捗検知部12aは、機能オン/オフレジスタを備えていて、プログラムによって機能オン/オフレジスタにイネーブルが設定されると、その機能が有効となり、プログラムによって機能オン/オフレジスタにディセーブルが設定されると、その機能が無効となって、その機能が無効に設定されると、ステータス信号Ssとして、「1」を出力し続ける。
【0034】
管理部(制御手段)14は、データ入力検知部11aからの転送終了検知信号Shとデータ処理進捗検知部12aからのステータス信号Ssが入力され、転送終了検知信号Shとステータス信号Ssを反転させた後、AND処理して、転送終了検知信号Shとステータス信号Ssの値によって「1」、「0」に切り替わるセレクト信号Scとしてセレクタ13に出力する。すなわち、管理部14は、転送終了信号Shとステータス信号Ssのうち少なくともいずれかが「1」であると、「0」のセレクト信号Scをセレクタ13に出力し、転送終了検知信号Shとステータス信号Ssがともに「0」であると、「1」のセレクト信号Scをセレクタ13に出力する。
【0035】
セレクタ(切り替え接続手段)13は、図3に示すように、2つのバスセレクタ21、22を備えており、バスセレクタ21は、2つの入力端子a、bと1つの出力端子cを備えている。バスセレクタ22は、1つの入力端子cと2つの出力端子a、bを備えており、バスセレクタ21及びバスセレクタ22は、それぞれセレクト端子dに管理部14からセレクト信号Scが入力される。バスセレクタ21は、その入力端子aに、画像処理部11が接続され、その入力端子bには、バスセレクタ22の出力端子bが接続され、その出力端子cが、高速DMAC15に接続されている。バスセレクタ22は、その入力端子cに画像処理部12からの画像データが入力され、その出力端子aが、上述のように、バスセレクタ21の入力端子bに接続され、その出力端子bが低速DMAC16に接続されている。
【0036】
バスセレクタ21及びバスセレクタ22は、管理部11からのセレクト信号Scが「0」のときに、端子aと端子cを接続し、セレクト信号Scが「1」のときに、端子bと端子cを接続する。上記管理部14とセレクタ13は、全体として転送制御手段として機能する。
【0037】
そして、高速DMAC15は、例えば、128bit×4段のバッファを有し、データを比較的高速でDMA転送する。低速DMAC16は、例えば、128bit×1段のバッファを有し、データを比較的低速でDMA転送する。
【0038】
これらのDMAC15、16の使用するディスクリプタ情報のレジスタは、画像処理部11及び画像処理部12が備えている。
【0039】
アービタ17は、画像処理部11と画像処理部12からのバス獲得要求を調停して、PCIバスの使用許可を制御する。
【0040】
PCIC18は、PCI(Peripheral Component Interconnect) Express(PCIe)という要求と応答が分離され応答を待たずに次の要求を発行できる高速のスプリットトランザクションのバスをコントロールするもので、このPCIeは、ASIC3と演算処理部4とを接続している。また、演算処理部4とASIC7との間もPCIeによって接続されている。
【0041】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の複合装置1は、比較的低速に画像処理する画像処理部12からのデータ転送を、比較的高速に画像処理する画像処理部11のデータ転送状況と該画像処理部12のデータ転送状況に応じて、高速DMAC15と低速DMAC16とで適宜切り替えて行う。
【0042】
すなわち、複合装置1は、画像入力部2で原稿の画像を読み取って、該読み取った画像データをASIC3から演算処理部4を介して主記憶部5に送り、主記憶部5の画像データをASIC3に戻して必要な画像処理を行って、主記憶部5に一旦格納し、その後、ASIC7に送って必要な画像処理を行って、画像出力部8で用紙に印刷出力するコピー動作、画像入力部2で読み取った原稿の画像の画像データをASIC3から演算処理部4を介して主記憶部5に送り、主記憶部5の画像データをASIC3に戻して必要な画像処理を行って、主記憶部5に一旦格納し、その後、ファクシミリ送信したり、ネットワーク上のコンピュータ等に送信するファクシミリ送信動作やスキャナ動作及びネットワーク上のコンピュータ等から送られてきた画像データをASIC3やASIC7で必要な画像処理を施して、画像出力部8で用紙に印刷出力するプリンタ動作等を行う。
【0043】
そして、複合装置1は、初期状態や画像処理部11が画像入力部2からの画像データを高速転送している場合や画像処理部12が演算処理部4から画像データの転送を受信している場合には、管理部14は、セレクト信号Scを「0」として、セレクタ13の各バスセレクタ21、22に端子aと端子cとを接続させた状態とする。
【0044】
すなわち、管理部14は、画像処理部11のデータ入力検知部11aからの転送終了検知信号Shと画像処理部12のデータ処理進捗検知部12aからのステータス信号Ssを反転させた後、AND処理して、セレクト信号Scとしてセレクタ13に出力するが、画像処理部11が画像入力部2からの画像データを高速転送している場合や画像処理部12が演算処理部4から画像データの転送を受信中である場合には、転送終了信号Shとステータス信号Ssのうち少なくともいずれかが「1」であるので、「0」のセレクト信号Scをセレクタ13に出力する。そして、セレクタ13の各バスセレクタ21、22は、セレクト信号Scが「0」であると、端子aと端子cとを接続させた状態とするので、画像処理部11と高速DMAC15を接続し、画像処理部12と低速DMAC16を接続した状態とする。
【0045】
この状態で、画像入力部2で原稿を読み取って画像データをASIC3に出力する場合、原稿がA4等の定型サイズの原稿であるときには、原稿の画像データをASIC3に転送し始める前に、総転送データ量、または、原稿の定型サイズ情報を画像処理部11に通知し、画像処理部11のデータ入力検知部11aは、該画像入力部2から通知された総転送データ量または原稿サイズ情報に基づいて決定した総転送データ量を、内部のダウンカウントレジスタにセットする。
【0046】
データ入力検知部11aは、その後、画像入力部2からデータ転送が開始されると、画像処理部11が該画像データに必要な画像処理を施して、セレクタ13を介して高速DMAC15によって転送した実転送データ量を、ダウンカウントレジスタのデータ量からダウンカウントして、ダウンカウントレジスタの値が「0」になると、すなわち、1ページ分の原稿の画像データを全て高速DMAC15を使用して演算処理部4側に転送すると、管理部14に出力している転送終了検知信号Shを「1」から「0」に遷移させる。
【0047】
一方、画像処理部12は、低速DMAC16によって、演算処理部4からPCIC18、アービタ17及びセレクタ13を介して転送されてくる画像データに対して、圧縮伸張処理等の画像データ内容によって処理速度の変わる比較的低速の画像処理を施し、画像処理後の画像データを、セレクタ13を介して主に低速DMAC16を使用してアービタ17及びPCIC18を介して演算処理部4に転送するが、このとき、演算処理部4からの画像データの転送が始まる前に、演算処理部4のプログラムから総転送データ量が通知され、画像処理部12のデータ処理進捗検知部12aは、該総転送データ量をダウンカウントレジスタにセットする。データ処理進捗検知部12aは、データ転送が開始されて、低速DMAC16を介してデータ転送を受信すると、ダウンカウントレジスタのデータ量からデータ転送されてきた実転送データ量をダウンカウントして、ダウンカウントレジスタの値が「0」になると、管理部14に出力しているステータス信号Ssを「1」から「0」に遷移させる。
【0048】
このように、画像処理部11のデータ入力検知部11aからの転送終了検知信号Shが「0」となり、画像処理部12のデータ処理進捗検知部12aからのステータス信号Ssが「0」になると、管理部14は、セレクト信号Scを「0」から「1」に切り替える。セレクタ13は、管理部14からのセレクト信号Scが「0」から「1」に切り替わると、各バスセレクタ21、22は、端子aと端子cを接続していた状態から端子bと端子cを接続する状態に切り替える。
【0049】
したがって、画像処理部12は、バスセレクタ21及びバスセレクタ22を介して高速DMAC15に接続され、処理後の画像データを高速DMAC15を使用して、演算処理部4に転送することができる。
【0050】
このように、本実施例の複合装置1は、高速画像処理を行う画像処理部11の処理した画像データを高速DMAC15で優先して転送するとともに、画像処理手段11の処理した画像データと低速画像処理を行う画像処理部12の処理した画像データの転送状況に基づいて、低速DMAC16と高速DMAC15を適宜選択して、画像処理部12の処理した画像データを転送している。
【0051】
したがって、画像処理部11と画像処理部12の画像処理速度と高速DMAC15と低速DMAC16のデータ転送速度を考慮して、画像処理部12の処理した画像データを効率的にデータ転送して、画像処理部12の処理した画像データを複合装置1全体の画像処理工程の画像データの流れに合わせて処理することができ、画像処理全体の生産性を向上させることができる。
【0052】
また、本実施例の複合装置1は、画像処理部11の処理した画像データの転送終了を検出するデータ入力検知部11aで検出し、画像処理部12の処理する画像データの転送状況をデータ処理進捗検知部12aで検出し、管理部14が、該データ入力検知部11aと該データ処理進捗検知部12aの検出結果に基づいて、画像処理部12の処理した画像データの転送に使用するDMACを選択している。
【0053】
したがって、画像処理部12の処理した画像データをより一層効率的にデータ転送することができ、画像処理部12の処理した画像データを全体の画像処理工程の画像データの流れにより一層適切に合わせて処理して、画像処理全体の生産性をより一層向上させることができる。
【0054】
さらに、本実施例の複合装置1は、データ入力検知部11aが、画像処理部11の処理する画像データ量を予め取得し、該画像データ量に基づいて転送終了を検出している。
【0055】
したがって、画像処理部11のデータ転送を適切かつ容易に検出することができ、画像処理全体の生産性をより一層向上させることができる。
【0056】
また、本実施例の複合装置1は、データ入力検知部11aが画像処理部11の処理した画像データの転送終了を検出した後、データ処理進捗検知部12aが画像処理部12の処理する未転送の画像データが存在することを検出していると、画像処理部12の処理した画像データの転送に使用するDMACとして高速DMAC15を選択している。
【0057】
したがって、処理速度の遅い画像処理部12の処理した画像データを、高速DMAC15により速やかに転送して、全体の画像処理工程の画像データの流れに合わせて処理することができ、画像処理全体の生産性を向上させることができる。
【0058】
さらに、本実施例の複合装置1は、画像処理部11及び画像処理部12と高速DMAC15及び低速DMAC16とを選択的に接続するセレクタ13の接続状態を、管理部14で制御している。
【0059】
したがって、簡単な構成で、画像処理部11の処理した画像データを高速DMAC15で優先して転送することができるとともに、低速DMAC16と高速DMAC15とを適宜選択して接続して、画像処理部12の処理した画像データを高速で転送することができ、画像処理全体の生産性を向上させることができる。
【0060】
なお、上記データ処理進捗検知部12aは、演算処理部4のソフトウェアによってその機能が適宜オン/オフされるようになっていてもよく、機能がオフされると、ステータス信号Ssとして、「1」を出力し続ける。また、この場合、管理部14は、セレクト信号Scとして、常に、「0」をセレクタ13に出力し、セレクタ13の各バスセレクタ21、22は、端子aと端子cを接続した状態を継続する。
【0061】
このようにすると、複合装置1の全体の画像処理状況に応じて、高速DMAC15と低速DMAC16の切り替え機能を停止させることができ、利用性を向上させることができる。
【0062】
さらに、上記説明では、データ入力検知部11aは、入力画像の転送確認を、画像入力部2から通知される総転送データ量または原稿サイズ情報に基づいて決定した総転送データ量を、内部のダウンカウントレジスタにセットして、該ダウンカウントレジスタを実転送データによってダウンカウントすることで行っているが、入力画像の転送確認は、上記方法に限るものではなく、例えば、タイマによってデータ転送時間をカウントすることで行ってもよい。例えば、データ入力検知部11aが、入力画像データの転送に要するデフォルト値を内部レジスタに保持し、画像入力部2から画像データの転送開始の通知があると、内部レジスタのデフォルト時間をタイマにセットし、タイマが高速DMAC15を使用した画像データの転送毎のクロックの立ち上がりエッジに同期して、該デフォルト時間をダウンカウントして、デフォルト時間が「0」になると、転送終了検知信号Shを「1」から「0」に遷移させる。
【0063】
このようにすると、画像処理部11のデータ転送を、画像データの転送時間に基づいて適切かつ容易に検出することができ、画像処理全体の生産性を容易に向上させることができる。
【実施例2】
【0064】
図4及び図5は、本発明の画像処理装置及び画像処理方法の第2実施例を示す図であり、図4は、本発明の画像処理装置及び画像処理方法の第2実施例を適用した複合装置のASIC30のブロック構成図である。
【0065】
なお、本実施例は、上記第1実施例の複合装置1と同様の複合装置に適用したものであり、本実施例の説明においては、上記第1実施例と同様の構成部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略するとともに、図示しない部分についても、必要に応じて第1実施例の説明で用いた符号をそのまま用いて説明する。
【0066】
本実施例の複合装置1は、第1実施例と同様に、画像入力部2、演算処理部4、主記憶部5、記憶部6、ASIC7及び画像出力部8等を備えているとともに、図4に示すASIC30を備えており、ASIC30は、複合装置1の画像入力部2からの画像データを画像処理して、演算処理部4に転送する。
【0067】
ASIC30は、上記第1実施例のASIC3と同様の画像処理部11、アービタ17、PCIC18を備えているとともに、画像処理部31、セレクタ32、管理部33、高速DMAC34、低速DMAC35等を備えており、画像処理部11は、上記同様のデータ入力検知部11aを備えている。
【0068】
画像処理部31は、低速DMAC35によって、演算処理部4からPCIC18、アービタ17及びセレクタ32を介して転送されてくる画像データに対して、圧縮伸張処理等の画像データ内容によって処理速度の変わる比較的低速の画像処理を施し、低速画像処理手段として機能する。画像処理部31は、画像処理後の画像データを、セレクタ32を介して接続される高速DMAC34または低速DMAC35によってアービタ17及びPCIC18を介して演算処理部4に転送する。
【0069】
画像処理部31は、データ処理進捗検知部(転送状況検出手段)31aを備えており、データ処理進捗検知部31aは、データ転送処理進捗状況を検知して、ステータス信号Ssを管理部33に出力するとともに、連動セレクト信号Srをセレクタ32に出力する。すなわち、データ処理進捗検知部31aは、ステータス信号用ダウンカウントレジスタと連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタを備えており、演算処理部4からの画像データの転送が始まる前に、演算処理部4のプログラムから総転送データ量が通知されると、該総転送データ量をステータス信号用ダウンカウントレジスタにセットする。データ処理進捗検知部31aは、その後、演算処理部4からのデータ転送が開始されて、低速DMAC16を介してデータ転送を受信すると、ダウンカウントレジスタのデータ量からデータ転送されてきた実転送データ量をダウンカウントして、ダウンカウントレジスタの値が「0」になると、すなわち、演算処理部4からの全てのデータの受信を完了すると、管理部14に出力しているステータス信号Ssを「1」から「0」に遷移させる。また、データ処理進捗検知部31aは、初期状態で連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタにデフォルト値をセットし、画像処理部31から演算処理部4へのデータ転送が開始されると、該転送データ量により連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタの値を減算するダウンカウントを行う。この連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタにセットするデフォルト値は、高速DMAC34の備えているバッファの容量、例えば、128bit×4段と、低速DMAC35の備えているバッファの容量、例えば、128bit×1段に基づいて設定され、上記例の場合、デフォルト値は、128bit×(5−1)のデータ量である。そして、データ処理進捗検知部31aは、連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタのデータ量が、128bit×1以上のときには、「1」の連動セレクト信号Srをセレクタ32に出力し、128bit×1未満のときには、「0」の連動セレクト信号Srをセレクタ32に出力する。データ処理進捗検知部31aは、連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタのレジスタ値が「0」になると、リセットして、デフォルト値を設定する。
【0070】
なお、データ処理進捗検知部31aは、演算処理部4のソフトウェアによってその機能が適宜オン/オフされるようになっていてもよい。例えば、データ処理進捗検知部31aは、機能オン/オフレジスタを備えていて、プログラムによって機能オン/オフレジスタにイネーブルが設定されると、その機能が有効となり、プログラムによって機能オン/オフレジスタにディセーブルが設定されると、その機能が無効となって、その機能が無効に設定されると、ステータス信号Ssとして、「1」を出力し続け、連動セレクト信号Srとして、「0」を出力し続ける。
【0071】
管理部(制御手段)33は、データ入力検知部11aからの転送終了検知信号Shとデータ処理進捗検知部31aからのステータス信号Ssが入力され、転送終了検知信号Shとステータス信号Ssを反転させた後、AND処理して、転送終了検知信号Shとステータス信号Ssの値によって「1」、「0」に切り替わるセレクト信号Scとしてセレクタ13に出力する。すなわち、管理部33は、転送終了信号Shとステータス信号Ssのうち少なくともいずれかが「1」であると、「0」のセレクト信号Scをセレクタ32に出力し、転送終了検知信号Shとステータス信号Ssがともに「0」であると、「1」のセレクト信号Scをセレクタ32に出力する。
【0072】
セレクタ(切り替え接続手段)32は、図5に示すように、2つのバスセレクタ41、42とアンド回路43を備えており、バスセレクタ41は、2つの入力端子a、bと1つの出力端子cを備えている。バスセレクタ42は、1つの入力端子cと2つの出力端子a、bを備えており、バスセレクタ41は、そのセレクト端子dに管理部33からセレクト信号Scが入力される。バスセレクタ41は、その入力端子aに、画像処理部11からの画像データが入力され、その入力端子bには、バスセレクタ42の出力端子bが接続され、その出力端子cが、高速DMAC34に接続されている。バスセレクタ42は、その入力端子cに画像処理部31が接続され、その出力端子aが、上述のように、バスセレクタ41の入力端子bに接続され、その出力端子bが低速DMAC35に接続されている。バスセレクタ42のセレクト端子dには、アンド回路43の出力が接続されており、アンド回路43の入力には、管理部33からのセレクト信号Scとデータ処理進捗検知部31aからの連動セレクト信号Srが入力される。アンド回路43は、セレクト信号Scと連動セレクト信号Srがともに「1」のときのみ、「1」の出力信号をバスセレクタ42のセレクト端子dに出力する。上記管理部33とセレクタ32は、全体として転送制御手段として機能する。
【0073】
そして、バスセレクタ41及びバスセレクタ42は、そのセレクト端子dに入力されている信号が「0」のときに、端子aと端子cを接続し、セレクト端子dに入力されている信号が「1」のときに、端子bと端子cを接続する。具体的には、管理部11からのセレクト信号Scが「0」のときに、バスセレクタ41及びバスセレクタ42は、それぞれ端子aと端子cを接続し、セレクト信号Scが「1」のときに、バスセレクタ41は、端子bと端子cを接続するが、このとき、バスセレクタ41は、連動セレクト信号Srが「0」であると、端子aと端子cを接続し、連動セレクト信号Srが「1」であると、端子bと端子cを接続する。
【0074】
そして、高速DMAC34は、例えば、128bit×4段のバッファを有し、データを比較的高速でDMA転送する。高速DMAC34は、バッファ検知部(バッファ状態検出手段、通知手段)34aを備えており、内部バッファがフルであるか空であるかを検知して、レディ信号RShを低速DMAC35に出力する。具体的には、バッファ検知部34aは、バッファのデータ量のセットされるダウンカウンタレジスタを有し、高速DMAC34の転送するデータ量や画像処理部31からバッファに転送されてくるデータ量をダウンカウントして、バッファがフルになる1クロック前を検知して、低速DMAC35に出力しているレディ信号RShを「0」から「1」に切り替える。また、バッファ検知部34aは、高速DMAC34がバッファ内のデータの演算処理部4への転送を開始すると、バッファ内のデータ量を監視して、バッファ内のデータが空になる1クロック前に、低速DMAC35に出力しているレディ信号RShを「1」から「0」に切り替える。
【0075】
低速DMAC35は、例えば、128bit×1段のバッファを有し、データを比較的低速でDMA転送する。低速DMAC35は、バッファ検知部35a(バッファ状態検出手段、通知手段)を備えており、バッファ検知部35aは、内部バッファがフルであるか空であるかを検知して、レディ信号RSlを高速DMAC34に出力する。具体的には、バッファ検知部35aは、バッファのデータ量のセットされるダウンカウンタレジスタを有し、低速DMAC35の転送するデータ量や画像処理部31からバッファに転送されてくるデータ量をカウントして、バッファがフルになる1クロック前を検知して、高速DMAC34に出力しているレディ信号RSlを「0」から「1」に切り替える。また、バッファ検知部35aは、低速DMAC35がバッファ内のデータの演算処理部4への転送を開始すると、バッファ内のデータ量を監視して、バッファ内のデータが空になる1クロック前に、高速DMAC34に出力しているレディ信号RSlを「0」から「1」に切り替える。
【0076】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の複合装置1は、比較的低速に画像処理する画像処理部12からのデータ転送を、比較的高速に画像処理する画像処理部11のデータ転送状況と該画像処理部12のデータ転送状況に応じて、高速DMAC15と低速DMAC16とで適宜切り替えて行うとともに、該低速の画像処理部12から演算処理部4へのデータ転送を高速DMAC34と低速DMAC35を効率的に切り替えて行う。
【0077】
すなわち、画像処理部11は、上述のように、画像入力部2から入力される画像データを高速DMAC34を使用して、演算処理部4に転送し、データ入力検知部11aは、画像処理部11による1ページ分の原稿の画像データの全て高速DMAC34を使用した転送が完了すると、管理部33に出力している転送終了検知信号Shを「1」から「0」に遷移させる。
【0078】
一方、画像処理部12は、低速DMAC35によって、演算処理部4からPCIC18、アービタ17及びセレクタ32を介して転送されてくる画像データに対して、圧縮伸張処理等の比較的低速の画像処理を施し、画像処理後の画像データを、セレクタ32を介して低速DMAC35と高速DMAC34を切り替えて使用してアービタ17及びPCIC18を介して演算処理部4に転送するが、このとき、演算処理部4からの画像データの転送が始まる前に、演算処理部4のプログラムから総転送データ量が通知され、画像処理部12のデータ処理進捗検知部12aは、該総転送データ量をダウンカウントレジスタにセットする。データ処理進捗検知部12aは、データ転送が開始されて、低速DMAC16を介してデータ転送を受信すると、ダウンカウントレジスタのデータ量からデータ転送されてきた実転送データ量をダウンカウントして、ダウンカウントレジスタの値が「0」になると、管理部33に出力しているステータス信号Ssを「1」から「0」に遷移させる。
【0079】
管理部33は、データ入力検知部11aからの転送終了検知信号Shとデータ処理進捗検知部31aからのステータス信号Ssを反転させた後、AND処理して、転送終了検知信号Shとステータス信号Ssの値によって「1」、「0」に切り替わるセレクト信号Scとしてセレクタ32に出力する。すなわち、管理部33は、転送終了信号Shとステータス信号Ssのうち少なくともいずれかが「1」であると、「0」のセレクト信号Scをセレクタ32に出力し、転送終了検知信号Shとステータス信号Ssがともに「0」であると、「1」のセレクト信号Scをセレクタ32に出力するが、いま、データ入力検知部11aからの転送終了検知信号Shが、「0」となっており、データ処理進捗検知部31aからのステータス信号Ssが「0」に切り替わったので、セレクタ32へのセレクト信号Scを「0」から「1」に切り替える。
【0080】
セレクタ32は、管理部33からのセレクト信号Scが「0」から「1」に切り替わると、バスセレクタ41は、端子aと端子cを接続していた状態から端子bと端子cを接続して、高速DMAC34をバスセレクタ42側に接続した状態に切り替える。
【0081】
バスセレクタ42は、そのセレクト端子dに、セレクト信号Scとデータ処理進捗検知部31aからの連動セレクト信号Srをアンド処理するアンド回路43のアンド出力が入力されており、いま、セレクト信号Scが「1」となっているので、連動セレクト信号Srによって、切り替え動作を行う。すなわち、バスセレクタ42は、連動セレクト信号Srが「0」のときには、端子aと端子cを接続して、画像処理部12を低速DMAC35aに接続し、連動セレクト信号Srが「1」のときには、端子bと端子cを接続して、画像処理部12をバスセレクタ41を介して高速DMAC34に接続する。
【0082】
そして、データ処理進捗検知部31aは、初期状態で連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタに、デフォルト値(上記例の場合、128bit×4)をセットし、画像処理部31から演算処理部4へのデータ転送が開始されると、該転送データ量に応じて連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタの値をダウンカウントする。データ処理進捗検知部31aは、連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタのデータ量が、128bit×1以上のときには、「1」の連動セレクト信号Srをセレクタ32に出力する。したがって、バスセレクタ42は、端子bと端子cを接続して画像処理部31を高速DMAC34に接続して、画像処理部31が、高速DMAC34のバッファにデータを転送する。
【0083】
その後、データ処理進捗検知部31aは、データ転送量に基づいて連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタをダウンカウントして、連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタのデータ量が、128bit×1未満になると、「0」の連動セレクト信号Srをセレクタ32に出力する。したがって、バスセレクタ42は、端子aと端子cを接続して画像処理部31を低速DMAC35に接続して、画像処理部31が、低速DMAC35のバッファにデータを転送する。
【0084】
データ処理進捗検知部31aは、連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタをダウンカウントして、該連動セレクト信号用ダウンカウントレジスタのレジスタ値が「0」になると、リセットして、デフォルト値を設定し、連動セレクト信号Srを「0」から「1」に切り替える。したがって、画像処理部12が、高速DMAC34と低速DMAC35のバッファ量に対応したデータ転送に基づいて、高速DMAC34と低速DMAC35に順次切り替えて接続される。
【0085】
そして、高速DMAC34は、画像処理部31からデータ転送されてくると、該データをバッファに保管するが、バッファ検知部34aがこのバッファのデータ量をダウンカウンタレジスタを利用して監視し、バッファがフルになる1クロック前を検知すると、低速DMAC35に出力しているレディ信号RShを「0」から「1」に切り替える。
【0086】
低速DMAC35は、入力されているレディ信号RShが「1」に切り替わると、転送データ待ち受け状態となり、セレクタ32のバスセレクタ42が画像処理部31を低速DMAC35に接続して、データが画像処理部31から転送されてくると、該データをバッファに保管する。バッファ検知部35aは、データのバッファへの保管が開始されると、このバッファのデータ量をダウンカウンタレジスタを利用して監視し、バッファがフルになる1クロック前を検知すると、高速DMAC34に出力しているレディ信号RSlを「0」から「1」に切り替える。
【0087】
高速DMAC34は、バッファのデータの演算処理部4への転送を開始して、バッファが空になる1クロック前に、低速DMAC35に出力しているレディ信号RShを「1」から「0」に切り替え、低速DMAC35が、バッファのデータの演算処理部4への転送を開始し、高速DMAC34は、データ待ち受け状態となる。
【0088】
低速DMAC35は、バッファのデータの演算処理部4への転送を開始して、バッファが空になる1クロック前に、高速DMAC34に出力しているレディ信号RSlを「1」から「0」に切り替える。
【0089】
この間に、高速DMAC34は、上記同様に、画像処理部31からデータが転送されてくるとバッファに保管し、バッファ検知部34aは、バッファがフルになる1クロック前を検知すると、低速DMAC35に出力しているレディ信号RShを「0」から「1」に切り替える。
【0090】
上記処理を順次繰り返し行うことで、高速DMAC34のバッファと低速DMAC35のバッファを仮想的に合成して、高速DMAC34と低速DMAC35を交互に使用して、128bit×5段のバッファとして利用して、データ転送することができる。
【0091】
このように、本実施例の複合装置1は、高速DMAC34及び低速DMAC35が、それぞれ画像データを一時保管するバッファと、該バッファの画像データ保管状況を検出して、相手方のDMAC34、35に通知するバッファ検知部34a、35aを備え、各DMAC34、35の有しているバッファ量とバッファ検知部34a、35aの検出結果及び相手のバッファ検知部34a、35aからの通知結果に基づいて、順次切り替わって画像処理部31からの画像データを該バッファを介して転送し、管理部33が、セレクタ32の接続状態を、高速DMAC34と低速DMAC35のバッファ量に基づいて順次高速DMAC34と低速DMAC35に切り替えて、画像処理部31に接続させ、該画像処理部31の処理した画像データを転送するDMACを選択している。
【0092】
したがって、高速DMAC34と低速DMAC35のバッファを合成させて利用して、画像処理部31の画像データをDMA転送することができ、より一層データ転送の転送速度を向上させることができる。
【0093】
なお、本実施例においても、上述のように、データ処理進捗検知部31aは、演算処理部4のソフトウェアによってその機能が適宜オン/オフされるようになっていてもよい。
【0094】
このようにすると、複合装置1の全体の画像処理状況に応じて、高速DMAC34と低速DMAC35の切り替え機能を停止させることができ、利用性を向上させることができる。
【0095】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、処理速度の異なる画像処理モジュールと転送速度の異なるDMACを備えたプリンタ装置、複写装置、複合装置等の画像処理装置及び画像処理方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1実施例を適用した複合装置の要部ブロック構成図。
【図2】図1のASICの要部ブロック構成図。
【図3】図2のセレクタの回路構成図。
【図4】本発明の第2実施例を適用した複合装置に用いられるASICの要部ブロック構成図。
【図5】図4のセレクタの回路構成図。
【図6】画像入力と後段の画像処理とのタイミングのずれが発生していない状態(図6(a))とずれが発生している状態(図6(b))のタイミング図。
【符号の説明】
【0098】
1 複合装置
2 画像入力部
3 ASIC
4 演算処理部
5 主記憶部
6 記憶部
7 ASIC
8 画像出力部
11、12 画像処理部
11a データ入力検知部
12a データ処理進捗検知部
13 セレクタ
14 管理部
15 高速DMAC
16 低速DMAC
17 アービタ
18 PCIC
21、22 バスセレクタ
30 ASIC
31 画像処理部
31a データ処理進捗検知部
32 セレクタ
33 管理部
34 高速DMAC
34a バッファ検知部
35 低速DMAC
35a バッファ検知部
41、42 バスセレクタ
43 アンド回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対して比較的高速で画像処理する高速画像処理手段と、該高速画像処理手段よりも画像データの流れ方向後段に位置し該高速画像処理手段よりも遅い処理速度で画像処理する低速画像処理手段と、画像データを比較的高速でDMA転送する高速DMAコントローラと、画像データを該高速DMAコントローラよりも遅い速度でDMA転送する低速DMAコントローラと、該高速画像処理手段の処理した画像データを該高速DMAコントローラに優先して転送させるとともに、該高速画像処理手段の処理した画像データと該低速画像処理手段の処理した画像データの転送状況に基づいて、該低速DMAコントローラと該高速DMAコントローラを適宜選択して、該選択したDMAコントローラに該低速画像処理手段の処理した画像データを転送させる転送制御手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記高速画像処理手段の処理した画像データの転送終了を検出する転送終了検出手段と、前記低速画像処理手段の処理する画像データの転送状況を検出する転送状況検出手段と、を備え、前記転送制御手段は、該転送終了検出手段と該転送状況検出手段の検出結果に基づいて、前記低速画像処理手段の処理した画像データの転送に使用するDMAコントローラを選択することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記転送終了検出手段は、前記高速画像処理手段の処理する画像データ量または該画像データの転送時間を予め取得し、該画像データ量または該転送時間に基づいて前記転送終了を検出することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記転送制御手段は、前記転送終了検出手段が前記転送終了を検出した後、前記転送状況検出手段が前記低速画像処理手段の処理する未転送の画像データが存在することを検出していると、前記低速画像処理手段の処理した画像データの転送に使用するDMAコントローラとして前記高速DMAコントローラを選択することを特徴とする請求項2または請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記転送制御手段は、前記高速画像処理手段及び前記低速画像処理手段と前記高速DMAコントローラ及び前記低速DMAコントローラとを選択的に接続する切り替え接続手段と、該切り替え接続手段による接続状態を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記高速DMAコントローラ及び前記低速DMAコントローラは、それぞれ画像データを一時保管するバッファと、該バッファの画像データ保管状況を検出するバッファ状態検出手段と、該バッファ状態検出手段の検出結果を相互に通知する通知手段と、を備え、該各DMAコントローラの有しているバッファ量と該バッファ状態検出手段の検出結果及び相手のDMAコントローラの通知手段からの通知結果に基づいて、順次切り替わって前記低速画像処理手段からの前記画像データを転送し、前記転送制御手段は、該低速画像処理手段の処理した画像データを転送するDMAコントローラとして、該高速DMAコントローラと該低速DMAコントローラをそれぞれの各バッファ量に基づいて順次切り替えて選択することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像データに対して比較的高速で画像処理する高速画像処理ステップと、該高速画像処理ステップよりも画像データの流れ方向後段に位置し該高速画像処理ステップよりも遅い処理速度で画像処理する画像処理ステップと、該高速画像処理ステップで処理された画像データを、比較的高速でDMA転送する高速DMAコントローラに優先して転送させるとともに、該高速画像処理ステップで処理された画像データ及び該低速画像処理ステップで処理された画像データの転送状況に基づいて、該高速DMAコントローラよりも遅い速度でDMA転送する低速DMAコントローラと該高速DMAコントローラを適宜選択して、該選択したDMAコントローラに該低速画像処理ステップで処理された画像データを転送させる転送制御処理ステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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