説明

画像形成方法及び画像形成装置

【課題】簡素な工程で複雑な制御を行うことなく、印字媒体に高品質な画像を形成することができる画像品質の信頼性に優れた画像形成方法の提供。
【解決手段】トナー担持体の両面の内の印字媒体側の面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー付着工程と、トナー担持体の両面の内の印字媒体と反対側の面に画像情報に基づいて帯電トナーと同極性のイオンを照射してトナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと対向配置された印字媒体の記録面にトナー担持体上の帯電トナーを移動させ画像を形成するイオン照射工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン照射ヘッドを用いて電荷の作用により印字媒体に画像を形成する画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、(特許文献1)や(特許文献2)に示すように、電子写真方式とは別方式の静電潜像形成方式である、イオン照射方式が開発されてきている。
電子写真方式が一様帯電+露光という2工程で、一様帯電した感光体上の露光した部分の電荷を逃がすことで、静電潜像担持体としての感光体上に静電潜像を形成するのに対し、イオン照射方式では、イオン生成可能な雰囲気中(大気中等)においては、放電電極からの電子の放出により発生するイオンの照射による選択的帯電(静電潜像形成帯電)のみで静電潜像担持体(絶縁体であれば良いので、必ずしも感光体である必要はない)上に静電潜像の形成を完了できるので、より簡素化された静電潜像形成方式である。
【0003】
また、(特許文献3)には、水平プリンタ対応のイオン照射型(加熱放電型)印字ヘッドの具体的な形状及びそれを備えた画像形成装置が開示されている。
特に、(特許文献1)乃至(特許文献3)のイオン照射方式は、放電電極に印加しただけでは放電が発生せず加熱することにより放電が発生する電圧(放電制御電圧)を印加した状態で、放電電極への加熱の有無を制御することにより、放電の有無を制御してイオンの発生制御を行う加熱放電方式であり、放電電極に印加する電圧の制御が不要である。その結果、発熱抵抗体等による加熱の制御に使用する5V駆動のような低耐電圧対応のドライバICで放電の発生を制御することができ、放電の制御の観点からは最も優れた制御方式であると言える。
【0004】
このイオン照射型(加熱放電型)印字ヘッドによれば、デジタルペーパに代表されるような、表面に付与された電荷(静電潜像)の作用により画像を表示する静電現像方式の記録媒体に対して、静電潜像をイオン照射により直接形成できるので、静電現像方式の記録媒体に非接触で書き込むには現在考え得る最適な画像形成装置である。
また、イオン照射方式による静電潜像形成方式を応用したものとして、(特許文献3)には、イオンの照射により表面に静電潜像が形成される静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像に基づいて、トナーやインク等を用いた顕像化手段によって静電潜像担持体の表面に可視像を形成し、その可視像を転写手段によって普通紙やOHPシート等の印字媒体に転写する画像形成装置も提案されている。
【特許文献1】特許第3725092号公報
【特許文献2】WO2005−056297号
【特許文献3】特許第3936726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)前述のように、従来の電子写真方式に比べ、イオン照射方式では静電潜像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成工程を簡素化することができるが、普通紙やOHPシート等の印字媒体に画像を形成する場合、いずれも、静電潜像の形成を行う静電潜像形成工程、可視像の形成を行う現像工程、可視像の転写を行う転写工程の3つの独立した工程が必要であり、工程の簡素化が望まれていた。
(2)特に、静電潜像形成工程において静電潜像担持体に形成された静電潜像を、現像工程において静電潜像担持体上で現像し、得られた可視像を転写工程において印字媒体に転写するので、静電潜像形成工程で高品質な静電潜像を形成することができても、転写工程で可視像を転写する際に、位置ずれや転写不良などが発生し易く、画像の高品質性に欠けるため、高解像度が要求される画像の形成には用いることができず、用途が限られており、画像品質の向上が強く望まれていた。そして、静電潜像形成工程,現像工程,転写工程の3つの工程が異なる位置で行われることが位置ずれや転写不良などの発生の大きな原因となっていた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡素な工程で複雑な制御を行うことなく、印字媒体に高品質な画像を形成することができる画像品質の信頼性に優れた画像形成方法の提供、構造が簡素で部品点数が少なく、印字媒体に短時間で高品質な画像を形成することができる量産性、省スペース性、取り扱い性に優れる画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の画像形成方法及び画像形成装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の画像形成方法は、イオン照射ヘッドを用いて電荷の作用により印字媒体に画像を形成する画像形成方法であって、トナー担持体の両面の内の前記印字媒体側の面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー付着工程と、前記トナー担持体の両面の内の前記印字媒体と反対側の面に画像情報に基づいて前記帯電トナーと同極性のイオンを照射して前記トナー担持体を挟んで前記イオン照射ヘッドと対向配置された前記印字媒体の記録面に前記トナー担持体上の帯電トナーを移動させ画像を形成するイオン照射工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)帯電トナー付着工程を有することにより、特別な制御を行うことなく、簡便かつ確実にトナー担持体の両面の内の印字媒体側の面に一様に帯電トナーを付着させることができ、画像の形成に備えることができ、取り扱い性に優れる。
(2)トナー担持体の両面の内の印字媒体と反対側の面に画像情報に基づいて帯電トナーと同極性のイオンを照射してトナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと対向配置された印字媒体の記録面にトナー担持体上の帯電トナーを移動させ画像を形成するイオン照射工程を有することにより、画像情報に基づいてイオンを照射するだけで、印字媒体上に画像を形成することができるので、従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程が同じ場所で同時に行われることになり、画像の位置ずれや転写不良などが発生することがなく、画像の高品質性に優れる。
(3)イオン照射工程は従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程の3つの工程を同時に行う工程とみなすことができ、帯電トナー付着工程とイオン照射工程の2つの工程だけで画像を形成でき、工程が簡素なので、短時間に多量の画像を形成することができ、画像形成の効率性に優れる。
(4)トナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと印字媒体が対向配置されていることにより、トナー担持体に対し、帯電トナー付着工程によって、帯電トナーを付着させる面と、イオン照射工程によりイオンを照射する面が異なるので、イオン照射ヘッドに帯電トナーが付着することがなく、イオン照射ヘッドのメンテナンス性、耐久性に優れる。
【0008】
ここで、この画像形成方法に用いるイオン照射ヘッドは、イオンを発生させることができるものであればよく、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるもの、電極を加熱して熱電子を放出させるもの、電極に印加する電圧と電極の温度を制御してイオンを発生させるもの等を用いることができる。
イオン照射ヘッドで発生したイオンをトナー担持体に照射するために、トナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと対向配置された印字媒体への接地や電圧印加を行う。
印字媒体は、接地や電圧印加を行うことができ、帯電トナーが付着することによって画像(可視像)を形成できるものであればよい。よって、印字媒体は導体製或いは絶縁層と導体層を少なくとも一層ずつ有するものであればよい。尚、導体層はベタ状に形成する必要はなく、任意の形状にパターン形成してもよく、記録面に絶縁性の領域と導体性の領域が混在していてもよい。印字媒体の対象物としては、カラーフィルタ用の素材などの場合もあり得る。
【0009】
印字媒体への接地や電圧印加を行うタイミングは、イオン照射ヘッドの種類により異なる。イオン照射ヘッドと印字媒体との間の電位差により発生させたイオンをトナー担持体に照射して電荷を付与するものは、イオン照射ヘッドの駆動と印字媒体への接地若しくは電圧印加を同期させて行うか、予め印字媒体への接地若しくは電圧印加を行った状態でイオン照射ヘッドを駆動することにより、イオン照射ヘッドで発生したイオンをトナー担持体の所望の位置に照射することができる。互いに同極性の帯電トナーとイオンとの間に働く斥力によって帯電トナーが印字媒体の記録面に移動し、画像を形成することができる。
また、イオン照射ヘッド単体で熱電子を放出させ、それを印字媒体に印加した電圧によりトナー担持体側に移動させてイオンを照射して電荷を付与するものは、予めイオン照射ヘッドを駆動して熱電子が放出されている状態で印字媒体に正電圧を印加することにより、イオンをトナー担持体の所望の位置に照射することができる。
【0010】
帯電トナーは、正負のいずれに帯電していてもよく、任意の色に着色することができる。また、帯電トナーの種類は液体トナーでも粉体トナー(乾式トナー)でもよい。
トナー担持体は、感光体である必要はなく、絶縁体製又は半導体製のフィルムやシートで形成される。また、トナー担持体の形状は、エンドレスループ式のベルト型,巻き取り式のロール型,平板型のいずれでもよい。トナー担持体が巻き取り式のロール型の場合は、一方のロールから他方のロールにトナー担持体を巻き取りながら使用する。また、トナー担持体が平板型の場合は、印字媒体及びトナー担持体と、イオン照射ヘッドと、を相対的に移動させればよい。よって、イオン照射ヘッドを固定して印字媒体及びトナー担持体を移動させてもよいし、印字媒体及びトナー担持体を固定してイオン照射ヘッドを移動させてもよい。
尚、帯電トナー付着工程では、トナー担持体の両面の内の印字媒体側の面に一様に帯電トナーを付着させるので、イオン照射工程後にトナー担持体に残った帯電トナーを除去する必要がなく、工程を簡素化することができる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の画像形成方法は、イオン照射ヘッドを用いて電荷の作用により印字媒体に画像を形成する画像形成方法であって、印字媒体の記録面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー付着工程と、トナー担持体を挟んで前記印字媒体と対向配置された前記イオン照射ヘッドから画像情報に基づいて前記トナー担持体の両面の内の前記イオン照射ヘッド側の面に前記帯電トナーと逆極性のイオンを照射して前記印字媒体上の帯電トナーを前記トナー担持体の両面の内の前記印字媒体側の面に移動させ画像を形成するイオン照射工程と、前記トナー担持体に付着した帯電トナーを除去する帯電トナー除去工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)帯電トナー付着工程を有することにより、特別な制御を行うことなく、簡便かつ確実に印字媒体の記録面に一様に帯電トナーを付着させることができ、画像の形成に備えることができ、取り扱い性に優れる。
(2)トナー担持体を挟んで印字媒体と対向配置されたイオン照射ヘッドから画像情報に基づいてトナー担持体の両面の内のイオン照射ヘッド側の面に帯電トナーと逆極性のイオンを照射して印字媒体上の帯電トナーをトナー担持体の両面の内の印字媒体側の面に移動させ画像を形成するイオン照射工程を有することにより、画像情報に基づいてイオンを照射するだけで、印字媒体上に画像を形成することができるので、従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程が同じ場所で同時に行われることになり、画像の位置ずれや転写不良などが発生することがなく、画像の高品質性に優れる。
(3)トナー担持体に付着した帯電トナーを除去する帯電トナー除去工程を有することにより、トナー担持体を繰り返し使用することができ、画像品質の信頼性、トナー担持体の長寿命性に優れる。
(4)イオン照射工程は従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程の3つの工程を同時に行う工程とみなすことができ、帯電トナー付着工程,イオン照射工程,帯電トナー除去工程の3つの工程だけで画像を形成でき、工程が簡素なので、短時間に多量の画像を形成することができ、画像形成の効率性に優れる。
(5)トナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと印字媒体が対向配置されていることにより、帯電トナー付着工程によって、帯電トナーが付着する印字媒体と、イオン照射工程を行うイオン照射ヘッドが、直接、接触することがなく、イオン照射ヘッドに帯電トナーが付着しないので、イオン照射ヘッドのメンテナンス性、耐久性に優れる。
【0012】
ここで、イオン照射ヘッド,印字媒体,トナー担持体については、請求項1で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
帯電トナーについては、請求項1と同様に、液体トナーと粉体トナー(乾式トナー)のいずれを用いてもよいが、液体トナーの場合、印字媒体とトナー担持体の間に帯電トナーが浮遊した状態となるので、イオン照射工程で帯電トナーと逆極性のイオンを照射して印字媒体上の帯電トナーをトナー担持体の印字媒体側の面に移動させるだけでなく、帯電トナーと同極性のイオンを照射して印字媒体とトナー担持体の間に浮遊している帯電トナーを印字媒体の記録面に移動させて画像を形成することもできる。
帯電トナー除去工程では、トナー担持体の表面に残留した帯電トナーを除去することができればよいが、帯電トナーを物理的に掻き取って清浄化するクリーナが好適に用いられる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成方法であって、前記イオン照射ヘッドが、放電電極と、前記放電電極を選択的に加熱する加熱手段と、を有する加熱放電型印字ヘッドである構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)イオン照射ヘッドが、放電電極と、放電電極を選択的に加熱する加熱手段と、を有する加熱放電型印字ヘッドであることにより、放電電極からの電子の放出に伴って発生する大量のイオンを、画像情報に基づいてトナー担持体に照射して選択的に電荷を注入することができ、画像形成の効率性に優れる。
(2)加熱放電型印字ヘッドは、放電電極への選択的加熱で放電を行わせる方式であるため、加熱の制御に5V駆動のような低耐電圧対応のドライバICを使用することができ、放電の制御が容易で、取り扱い性に優れる。
【0014】
ここで、加熱放電型印字ヘッド(例えば特開2003−326756号やWO2005/056297号)は、放電電極に放電制御電圧を印加すると共に、加熱手段で放電電極の選択的な加熱を行うことにより放電の発生を制御できるので、加熱手段による加熱箇所を選択することで容易に放電電極の任意の放電発生部(加熱位置近傍)から選択的に電子を放出させて放電を発生させることができる。
加熱放電型印字ヘッドの放電電極は、例えば複数の放電発生部の一端部を共通電極で接続して櫛型に形成したり、複数の放電発生部の両端部を共通電極で接続して梯子型等に形成したりできるほか、長方形状や正方形状等の平板ベタ状に形成することができる(例えば、特開2003−326756号、WO2005/056297号参照)。尚、平板ベタ状に形成した放電電極では、加熱手段により選択的に加熱されて放電が発生する箇所が放電発生部であり、放電発生部以外が共通電極となる。
放電発生部の近傍に共通電極を設けることで、放電電極の放熱面積の拡大及び、熱容量の増大により、放電電極の冷却効果、加熱停止に対する応答性が向上し、印字速度を高速化することができる。また、抵抗値の低減により常に安定した電圧を印加できるので、放電の安定性等を更に向上させることができる。
【0015】
尚、放電電極を加熱する加熱手段としては、放電電極の任意の放電発生部を選択的に加熱できるものであればよく、放電電極に密着して加熱するものでもよいし、放電電極から離間して加熱するものでもよい。
放電電極と密着させて加熱する加熱手段としては、従来の感熱式のファクシミリに使用されるサーマルプリントヘッドと同様の構成を好適に用いることができる。具体的には、発熱抵抗体と電気的に接続されたドライバICで発熱抵抗体の発熱を制御するものである。
放電電極と離間して加熱する加熱手段としては、レーザ光を照射する方式や赤外線を照射する方式等の光照射部を有するものが好適に用いることができる。レーザ光を照射する方式の光照射部としては、レーザ照射部とポリゴンミラーやガルバノミラーを組合せたもの、レーザ照射部をシリアル走査させるもの等が好適に用いられる。また、レーザ光や赤外線を光ファイバーや集光レンズで集光して放電電極に照射してもよい。特に多本数の光ファイバーを高密度かつ高精度に配列した光ファイバーアレイを用いた場合、同時に複数の放電電極の放電発生部に対し、レーザ光や赤外線を選択的に照射することができ、高速記録が可能である。
【0016】
イオン照射ヘッドとして加熱放電型印字ヘッドを用いる場合、イオン照射ヘッドの放電電極と印字媒体との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定しておき、放電電極を選択的に加熱することにより放電を発生させ、所望の位置にイオンを照射することができる。
尚、放電電極と印字媒体との間には、放電制御電圧に相当する電位差が発生していればよく、放電制御電圧に相当する電圧を直接、放電電極と印字媒体との間に印加してもよいし、放電制御電圧よりも高い電圧(電界形成用電圧)を放電電極と離間して対向配置される電界形成用電極と印字媒体との間に印加してもよい。
放電制御電圧とは、その電位差だけでは放電電極からの放電は起こらないが、放電電極を加熱することにより放電が起こる電圧域を言う。放電電極とトナー担持体が離間して形成された放電空間が、大気等のイオン生成可能な雰囲気である場合には、放出された電子が酸素や窒素をイオン化し、それらをトナー担持体の表面に到達させることができ、多量のイオンで効率的に電荷を注入することができる。
【0017】
電界形成用電圧は、放電電極と印字媒体との間に放電制御電圧に相当する電位差が発生するように、放電電極と電界形成用電極との距離に応じて、適宜、選択することができる。
また、放電制御電圧又は電界形成用電圧に相当する電圧を全て放電電極又は電界形成用電極に印加し、印字媒体を接地するようにしてもよいし、放電制御電圧又は電界形成用電圧に相当する電圧の一部を印字媒体側に印加するようにしてもよい。
放電制御電圧や電界形成用電圧の波形としては様々な波形を選択することができ、三角波、矩形波、台形波、sin波等を単独で或いは組合せて用いたり、さらにこれらに直流電圧や交流電圧を重畳したりできる。例えば、放電電極や電界形成用電極に交流電圧のみを印加すると正負のイオンが生成される。そこで、負のイオンのみを選別するには交流電圧に負の直流電圧を重畳し、正のイオンのみを選別するには交流電圧に正の直流電圧を重畳したものを放電電極や電界形成用電極に印加する。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成方法であって、前記イオン照射工程が、前記加熱放電型印字ヘッドの前記放電電極と前記印字媒体との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する電位差設定工程と、前記加熱手段により前記放電電極を選択的に加熱する放電電極加熱工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、請求項3の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)電位差設定工程により、トナー担持体を挟むように配置された印字媒体と放電電極の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定し電界を形成して放電に備えることができ、高電圧となる放電制御電圧を選択的に印加する必要がなく、放電電極加熱工程により加熱手段で放電電極を選択的に加熱することで放電電極から放電を発生させることができ、電界によってイオンをトナー担持体の所望の位置に照射し、帯電トナーとイオンとの間に働く斥力又は引力によって帯電トナーを印字媒体の記録面又はトナー担持体に移動させ、画像を形成することができ、画像形成の制御性に優れる。
【0019】
ここで、電位差設定工程では、請求項3で説明したように、放電電極と印字媒体との間に放電制御電圧に相当する電位差が発生していればよく、放電制御電圧に相当する電圧を直接、放電電極と印字媒体との間に印加してもよいし、放電制御電圧よりも高い電圧(電界形成用電圧)を放電電極と離間して対向配置される電界形成用電極と印字媒体との間に印加してもよい。また、放電制御電圧又は電界形成用電圧に相当する電圧を全て放電電極又は電界形成用電極に印加し、印字媒体を接地するようにしてもよいし、放電制御電圧又は電界形成用電圧に相当する電圧の一部を印字媒体側に分配して印加するようにしてもよい。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成方法であって、前記放電電極加熱工程が、前記放電電極と離間して配設され前記放電電極に選択的に光を照射する光照射部によって行われる構成を有している。
この構成により、請求項4の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)放電電極加熱工程が、放電電極と離間して配設され放電電極に選択的に光を照射する光照射部によって行われることにより、放電電極にレーザ光や赤外線などの光を照射して放電を発生させることができ放電発生の効率性に優れる。
(2)放電電極と光照射部が離間して配設されていることにより、放電電極と光照射部が接触することがないので、加熱停止状態での放電電極の冷却時間を大幅に短縮することができ、加熱停止に対する放電停止の応答性を向上させて短時間で放電の有無を切替えることができ、画像品質及び記録速度を向上できる。
【0021】
ここで、光照射部としては、請求項3と同様に、レーザ光を照射する方式や赤外線を照射する方式等が好適に用いられる。レーザ光を照射する方式としては、従来の電子写真方式と同様のレーザスキャナユニットを用いることができる。レーザ発生部にポリゴンミラー又はガルバノミラー等の光走査部を組合せて放電電極に対してレーザ光のみを走査(スキャン)させるもの、放電電極に対して光照射部自体をシリアル走査させるもの等が好適に用いられる。また、放電電極と光照射部の間に、光照射部が発するレーザ光や赤外線などの光を集光して放電電極に照射するための光ファイバーや集光レンズなどの集光部を設けてもよい。放電電極に対して光ファイバーを走査させる以外に、多本数の光ファイバーを高密度かつ高精度に配列した光ファイバーアレイを用いた場合は、同時に複数の放電電極(放電発生部)に対し、レーザ光や赤外線を選択的に照射することができ、高速記録が可能で実用性に優れる。このとき、各々の光ファイバーと放電電極(放電発生部)を一対一に対応させ、光ファイバーの出口先端を放電電極に固定してもよい。また、光ファイバーの出口先端などの集光部の光の出口表面に直接、クロムを蒸着して金メッキする等して放電電極を形成することもできる。
【0022】
本発明の請求項6に記載の画像形成装置は、イオン照射ヘッドを用いて電荷の作用により印字媒体に画像を形成する画像形成装置であって、トナー担持体と、前記トナー担持体の両面の内の前記印字媒体側の面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー供給部と、前記トナー担持体を挟んで前記印字媒体と対向配置された前記イオン照射ヘッドと、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)トナー担持体の両面の内の印字媒体側の面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー供給部を有することにより、特別な制御を行うことなく、簡便かつ確実にトナー担持体の両面の内の印字媒体側の面に一様に帯電トナーを付着させることができ、画像の形成に備えることができ、取り扱い性に優れる。
(2)トナー担持体を挟んで印字媒体と対向配置されたイオン照射ヘッドを有することにより、画像情報に基づいてイオンを照射するだけで、トナー担持体上の帯電トナーをイオンとの間に働く斥力によって印字媒体の記録面に移動させて印字媒体上に画像を形成することができるので、画像の位置ずれが発生することがなく、画像の高品質性に優れる。
(3)トナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと印字媒体が対向配置されていることにより、トナー担持体に対し、帯電トナー供給部によって、帯電トナーを付着させる面と、イオン照射ヘッドによりイオンを照射する面が異なるので、イオン照射ヘッドに帯電トナーが付着することがなく、イオン照射ヘッドのメンテナンス性、耐久性に優れる。
(4)帯電トナー供給部とイオン照射ヘッドだけで画像を形成でき、構造が簡素で部品点数が少なく、印字媒体に短時間で高品質な画像を形成することができ、装置の量産性、省スペース性、取り扱い性に優れる。
【0023】
ここで、帯電トナー供給部としては、トナー現像を行う現像器が好適に用いられる。尚、帯電トナーの種類は、請求項1で説明したように、液体トナーでも粉体トナー(乾式トナー)でも構わない。
また、トナー担持体,イオン照射ヘッドについては、請求項1で説明した通りであるので、説明を省略する。
【0024】
本発明の請求項7に記載の画像形成装置は、イオン照射ヘッドを用いて電荷の作用により印字媒体に画像を形成する画像形成装置であって、トナー担持体と、前記印字媒体の記録面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー供給部と、前記トナー担持体を挟んで前記印字媒体と対向配置された前記イオン照射ヘッドと、前記トナー担持体に付着した帯電トナーを除去する帯電トナー除去部と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)帯電トナー供給部を有することにより、特別な制御を行うことなく、簡便かつ確実に印字媒体の記録面に一様に帯電トナーを付着させることができ、画像の形成に備えることができ、取り扱い性に優れる。
(2)トナー担持体を挟んで印字媒体と対向配置されたイオン照射ヘッドを有することにより、画像情報に基づいてイオンを照射するだけで、印字媒体上の不要な帯電トナーをイオンとの間に働く引力によってトナー担持体側に移動させて印字媒体上に画像を形成することができるので、画像の位置ずれが発生することがなく、画像の高品質性に優れる。
(3)トナー担持体に付着した帯電トナーを除去する帯電トナー除去部を有することにより、トナー担持体を繰り返し使用することができ、画像品質の信頼性、トナー担持体の長寿命性に優れる。
(4)帯電トナー供給部,イオン照射ヘッド,帯電トナー除去部だけで画像を形成でき、構造が簡素で部品点数が少なく、印字媒体に短時間で高品質な画像を形成することができ、装置の量産性、省スペース性、取り扱い性に優れる。
(5)トナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと印字媒体が対向配置されていることにより、帯電トナー供給部によって、帯電トナーが付着する印字媒体と、イオン照射ヘッドが、直接、接触することがなく、イオン照射ヘッドに帯電トナーが付着しないので、イオン照射ヘッドのメンテナンス性、耐久性に優れる。
【0025】
ここで、帯電トナー供給部,帯電トナー,トナー担持体,イオン照射ヘッドについては、請求項1で説明した通りであるので、説明を省略する。
また、帯電トナー除去部としては、請求項2で説明したように、帯電トナーを物理的に掻き取って清浄化するクリーナが好適に用いられる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の画像形成装置であって、基板と、前記基板に形成された離間電極と、を有し、前記離間電極が、イオンが照射されて電荷が注入される電荷注入部と、一端部が前記電荷注入部に連なり他端部に前記電荷注入部に注入された電荷を放出する電荷放出部を備えた電荷流路部と、を有する離間電極ユニットが、前記イオン照射ヘッドと前記トナー担持体との間に配設されている構成を有している。
この構成により、請求項6又は7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)イオン照射ヘッドとトナー担持体との間に離間電極ユニットが配設されていることにより、イオン照射ヘッドから照射された電子やイオンの電荷を一旦、離間電極ユニットの離間電極に貯え、電荷放出部からトナー担持体に対して放出することができるので、イオン照射ヘッドをトナー担持体に直接対向させる必要がなく、イオン照射ヘッドがトナー担持体に接触することがなく、取り扱い性に優れる。
(2)離間電極ユニットとイオン照射ヘッドが離間しているので、イオン照射ヘッドの解像度に応じて、離間電極のピッチが異なる離間電極ユニットに簡便に交換することができ、汎用性、取り扱い性に優れ、離間電極ユニットにおける電荷流路部の電荷放出部が粉塵などで汚れた場合は、安価な離間電極ユニットのみを容易に交換することができ、メンテナンス性、省資源性に優れる。
(3)離間電極ユニットの離間電極が、イオンが照射されて電荷が注入される電荷注入部と、一端部が電荷注入部に連なり他端部に電荷注入部に注入された電荷を放出する電荷放出部を備えた電荷流路部と、を有することにより、イオン照射ヘッドの解像度に応じて、電荷注入部や電荷流路部の形状や配置などを適宜、選択することができ、離間電極ユニットの設計自在性に優れる。
【0027】
ここで、離間電極ユニットの離間電極は、基板に金、銀、銅、アルミニウム等の金属を蒸着、スパッタ、印刷、メッキなどで形成した後、必要に応じてエッチングしてパターン形成するものが好適に用いられる。離間電極のパターンは、イオン照射ヘッドの解像度に応じて適宜、選択することができる。
また、電荷注入部のピッチと電荷流路部の電荷放出部のピッチは同一でもよいし、電荷注入部のピッチよりも電荷流路部の電荷放出部のピッチを狭く形成してもよい。特に、電荷注入部のピッチよりも電荷流路部の電荷放出部のピッチを狭く形成した場合、解像度の粗いイオン照射ヘッドを用いて短時間で高解像度の画像を形成することができ、汎用性に優れる。
電荷注入部の形状は任意に選択することができるが、生産性や高密度配置の観点からは略円形状や略矩形状に形成したものが好適に用いられる。また、各々の電荷流路部の長さは、同一でも異なっていてもよい。
【0028】
基板の材質としては、表面に離間電極を形成することができるものであればよい。例えば、ガラスやセラミックなどの硬質なものでもよいし、ポリイミド,アラミド,ポリエーテルイミド等の薄膜樹脂で形成されたフレキシブルなものでもよい。
電荷注入部と電荷流路部は同一平面上に配置する必要はなく、ガラスやセラミックなどの硬質な基板を用いる場合は、基板の表面に電荷流路部を形成し、基板の端面に電荷注入部を形成することもできる。
また、フレキシブルな基板を用いた場合、形状自在性に優れるので、平面状態で離間電極を形成した後に、必要に応じて折り曲げたり湾曲させたりして電荷注入部の向きを容易に変更することができる。これにより、電荷注入部と共にイオン照射ヘッドの配置を適宜、選択することができ、設計自在性、量産性、汎用性に優れる。
【0029】
電荷流路部の内、電荷注入部側と反対側が電荷放出部となるが、その電荷放出部を除いて電荷流路部に被覆膜を覆設することが好ましい。これにより、電荷放出部以外から電荷が放出されるのを防止でき、電荷注入部に注入された電荷を無駄なく電荷放出部から集中的に放出することができ、電荷放出の効率性に優れると共に、電荷流路部を保護することができ、離間電極の耐久性に優れる。
被覆膜は絶縁体で形成され、ガラス、アラミドやポリイミド等の合成樹脂、SiO2等のセラミック、マイカ等の材質が好適に用いられる。被覆膜は、スクリーン印刷、蒸着、スパッタ等により形成することができる。
【0030】
この離間電極ユニットと共に用いるイオン照射ヘッドとしては、電子やイオンを発生させることができるものであればよい。発熱により電子を放出させることができるものとしては、発熱抵抗体等を発熱させてその表面から熱電子を放出させるものが好適に用いられる。この発熱抵抗体の表面には絶縁層を介してAgやMgO或いはカーボンナノチューブ等の電子を放出し易い材質により電子放出層を形成してもよい。これにより、発熱抵抗体と電子放出層との間の絶縁性を確保し、発熱抵抗体の劣化を防ぐと共に、多量の電子を放出させて高品質な画像を形成することができる。
また、イオンを発生させることができるものとしては、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるもの、放電電極に印加する電圧や放電電極の加熱温度を制御して電子やイオンを発生させるもの等が好適に用いられる。
【0031】
離間電極の電荷注入部の面積を電荷流路部の面積よりも広く形成した場合、イオン照射ヘッドと電荷注入部との位置合わせを簡便に行うことができ、イオン照射ヘッドから照射された電子やイオンを確実に電荷注入部で受け止めて、電荷放出部から放出することができ、画像形成の信頼性に優れる。また、電荷流路部の面積よりも広く形成された電荷注入部に多量の電子やイオンを照射して電荷を貯えることができるので、電荷放出部からトナー担持体に対して高い電荷を付与することができ、画像品質の信頼性に優れる。
【0032】
略線状に形成される電荷流路部に対し、電荷注入部を円形状や矩形状などの形状とすることにより、電荷流路部よりも幅広などに形成することができ、電荷流路部の面積よりも広い面積とすることができる。電荷注入部は画像の形成に必要な電荷量を溜めることができるだけの面積があればよく、帯電トナーの特性やイオン照射ヘッドの解像度、放電量などに応じて、適宜、選択することができる。電荷注入部の面積はイオン照射部の解像度などにもよるが、例えば電荷流路部の面積の2倍〜5倍に形成するのが好ましい。電荷注入部の面積が電荷流路部の面積の2倍よりも狭くなるにつれ、イオン照射ヘッドと電荷注入部の位置合わせが困難になると共に、電荷注入部の面積が不足して十分な電荷を溜めることが困難となり、画像品質が低下し易くなる傾向があり、5倍よりも広くなるにつれ、電荷流路部のピッチが広くなり、画像形成の解像度が低下し易くなると共に、離間電極ユニットが大型化して取り扱いが困難になる傾向があり、いずれも好ましくない。
【0033】
離間電極の電荷注入部の厚さを電荷流路部の厚さよりも厚く形成した場合、電荷注入部の体積を電荷流路部の体積よりも大きくすることができ、電荷注入部に貯えることができる電荷量を増加させ、電荷放出部から放出させる電荷を高くすることができ、画像形成の効率性に優れる。
電荷注入部の厚さは電荷注入部の面積などによもよるが、例えば電荷流路部の厚さの1.1倍〜2倍に形成するのが好ましい。電荷注入部の厚さが電荷流路部の厚さの1.1倍よりも薄くなるにつれ、電荷注入部の体積が不足して十分な電荷を溜めることが困難となり、画像品質が低下し易くなる傾向があり、2倍よりも厚くなるにつれ、製造が困難になり、量産性が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
【0034】
離間電極ユニットの各々の離間電極の体積を均一に形成することにより、各々の離間電極に貯えられる電荷量を均一にすることができ、離間電極の電荷放出部から放出される電荷量のばらつきの発生を防ぐことができ、画像品質の信頼性に優れる。
尚、各々の離間電極の体積は、電荷注入部の面積や厚さ、電荷流路部の幅、長さ、厚さ等を調整することにより、適宜、選択することができる。
【0035】
離間電極における電荷流路部の電荷放出部のピッチを電荷注入部のピッチよりも狭く形成した場合、解像度の粗いイオン照射ヘッドを用いて短時間で高解像度の画像を形成することができ、汎用性、画像品質の信頼性に優れる。
尚、離間電極における電荷流路部の電荷放出部のピッチ及び電荷注入部のピッチは、組み合わせて使用するイオン照射ヘッドの解像度に応じて適宜、選択することができる。
電荷放出部及び電荷注入部のピッチがそれぞれ異なる複数の離間電極ユニットを予め用意しておくことにより、イオン照射部の種類によって、離間電極ユニットのみを交換するだけで、簡便に解像度を変換することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
【0036】
離間電極ユニットが離間電極の温度調整を行う温度調整部を備えている場合、離間電極の温度を略一定に保持することができ、環境温度などに左右されることなく、電荷放出部からほぼ一定の電荷を放出することができ、電荷放出の安定性に優れる。
温度調整部としては、離間電極を加熱或いは冷却して温度調整を行うことができるものであればよい。具体的には、ペルチェ素子などが好適に用いられる。また、基板をアルミニウム等の放熱性に優れる材質で形成した放熱板に配設した場合、離間電極ユニットで発生した熱を速やかに吸収して放熱することができる。放熱板の表面に溝等により凹凸を形成した場合、放熱板の表面積を拡大することができ、放熱の効率性を向上させることができる。
【0037】
離間電極ユニットにおける離間電極の電荷注入部とイオン照射ヘッドとの距離は、放電が発生する程度に離間していればよく、配置は適宜、選択することができる。例えば、離間電極ユニットとイオン照射ヘッドは直列方向に配置してもよいし、対向するように並列配置してもよい。
離間電極ユニットにおける離間電極の電荷注入部とイオン照射ヘッドを離間させる距離は、イオン照射ヘッドと印字媒体との間の電位差にもよるが、例えば10μm〜500μmが好ましい。距離が10μmより狭くなるにつれ、位置合わせが困難になり、電荷注入部とイオン照射ヘッドが接触し易くなる傾向があり、500μmより広くなるにつれ、放電の発生効率が低下し、放電量が不十分となり、画像の品質が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
【0038】
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至8の内いずれか1項に記載の画像形成装置であって、前記イオン照射ヘッドが、放電電極と、前記放電電極を選択的に加熱する加熱手段と、を有する加熱放電型印字ヘッドである構成を有している。
この構成により、請求項6乃至8の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)イオン照射ヘッドが、放電電極と、放電電極を選択的に加熱する加熱手段と、を有する加熱放電型印字ヘッドであることにより、放電電極からの電子の放出に伴って発生する大量のイオンを、画像情報に基づいてトナー担持体に照射して選択的に電荷を注入することができ、画像形成の効率性に優れる。
(2)加熱放電型印字ヘッドは、放電電極への選択的加熱で放電を行わせる方式であるため、加熱の制御に5V駆動のような低耐電圧対応のドライバICを使用することができ、放電の制御が容易で、取り扱い性に優れる。
【0039】
ここで、加熱放電型印字ヘッドについては、請求項3で説明した通りであるので、説明を省略する。
【0040】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置であって、前記加熱放電型印字ヘッドの前記放電電極と前記印字媒体との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する電位差設定部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項9の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドの放電電極と印字媒体との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する電位差設定部を有することにより、トナー担持体を挟むように配置された印字媒体と放電電極の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定し電界を形成して放電に備えることができ、高電圧となる放電制御電圧を選択的に印加する必要がなく、加熱手段で放電電極を選択的に加熱することで放電電極から放電を発生させることができ、電界によってイオンをトナー担持体の所望の位置に照射し、帯電トナーとイオンとの間に働く斥力又は引力によって帯電トナーを印字媒体の記録面又はトナー担持体に移動させ、画像を形成することができ、取扱い性に優れる。
【0041】
ここで、電位差設定部では、放電制御電圧に相当する電圧を直接、放電電極と印字媒体との間に印加してもよいし、放電制御電圧よりも高い電圧(電界形成用電圧)を放電電極と離間して対向配置される電界形成用電極と印字媒体との間に印加してもよい。また、放電制御電圧又は電界形成用電圧に相当する電圧を全て放電電極又は電界形成用電極に印加し、印字媒体を接地するようにしてもよいし、放電制御電圧又は電界形成用電圧に相当する電圧の一部を印字媒体側に分配して印加するようにしてもよい。
【0042】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置であって、前記電位差設定部が、導体製の前記印字媒体或いは前記印字媒体に形成された導体層への接地又は電圧印加を行う媒体側電圧選択部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項10の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)電位差設定部が、導体製の印字媒体或いは印字媒体に形成された導体層への接地又は電圧印加を行う媒体側電圧選択部を備えていることにより、印字媒体の材質によらず、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と印字媒体との間に、確実に放電制御電圧に相当する電位差を設定することができ、電位差設定の汎用性、信頼性に優れる。
【0043】
請求項12に記載の発明は、請求項9乃至11の内いずれか1項に記載の画像形成装置であって、前記加熱手段が、前記放電電極と離間して配設され前記放電電極に光を照射することにより前記放電電極を選択的に加熱する光照射部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項9乃至11の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)加熱手段が、放電電極と離間して配設され放電電極に光を照射することにより放電電極を選択的に加熱する光照射部を有することにより、放電電極と加熱手段を絶縁するための絶縁膜などを設けることなく、放電電極と加熱手段との間を確実に絶縁することができ、製造工数を低減でき、量産性及び加熱制御の信頼性を向上させることができる。
(2)放電電極と加熱手段が離間して配設されているので、別々に製造したものを簡便に組合せて使用することができ、放電電極又は加熱手段のいずれか一方に不具合が生じた際に、不具合が生じたものだけを修理、交換することができ、メンテナンス性、省資源性に優れる。
(3)放電電極と加熱手段が離間して配設されていることにより、放電電極と加熱手段が接触することがないので、加熱停止状態での放電電極の冷却時間を大幅に短縮することができ、加熱停止に対する放電停止の応答性を向上させて短時間で放電の有無を切替えることができ、画像品質及び記録速度を向上できる。
【0044】
ここで、光照射部については、請求項3及び請求項5で説明した通りであるので、説明を省略する。
【発明の効果】
【0045】
以上のように、本発明の画像形成方法及び画像形成装置によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)帯電トナー付着工程により表面に一様に帯電トナーが付着したトナー担持体の裏面に、イオン照射工程により画像情報に基づいて帯電トナーと同極性のイオンを照射するだけで、トナー担持体上の帯電トナーを印字媒体上に移動させて画像を形成することができ、従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程を同じ場所で同時に行うことができ、画像の位置ずれや転写不良などが発生することがなく、高品質な画像を短時間に多量に形成することができる画像形成の効率性、画像の高品質性に優れた画像形成方法を提供することができる。
(2)トナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと印字媒体が対向配置され、トナー担持体に対し、帯電トナー付着工程によって、帯電トナーを付着させる面と、イオン照射工程によりイオンを照射する面が異なるので、イオン照射ヘッドに帯電トナーが付着することがなく、イオン照射ヘッドのメンテナンス性、耐久性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【0046】
請求項2に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)帯電トナー付着工程により記録面に一様に帯電トナーが付着した印字媒体に対し、トナー担持体を挟んで対向配置されたイオン照射ヘッドから、イオン照射工程により画像情報に基づいて帯電トナーと逆極性のイオンを照射するだけで、印字媒体上の帯電トナーをトナー担持体上に移動させて印字媒体に画像を形成することができ、従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程を同じ場所で同時に行うことができ、画像の位置ずれや転写不良などが発生することがなく、高品質な画像を短時間に多量に形成することができる画像形成の効率性、画像の高品質性に優れた画像形成方法を提供することができる。
(2)トナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと印字媒体が対向配置され、帯電トナー付着工程によって、帯電トナーを付着する印字媒体と、イオン照射工程を行うイオン照射ヘッドが直接、接触せず、イオン照射ヘッドに帯電トナーが付着することがなく、イオン照射ヘッドのメンテナンス性、耐久性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【0047】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)イオン照射ヘッドが、放電電極と、放電電極を選択的に加熱する加熱手段と、を有する加熱放電型印字ヘッドであることにより、放電電極からの電子の放出に伴って発生する大量のイオンを、画像情報に基づいてトナー担持体に照射して選択的に電荷を注入することができる画像形成の効率性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【0048】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定工程により、トナー担持体を挟むように配置された印字媒体と放電電極の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定し電界を形成して放電に備えることができ、高電圧となる放電制御電圧を選択的に印加する必要がなく、放電電極加熱工程により加熱手段で放電電極を選択的に加熱することで放電電極から放電を発生させることができ、電界によってイオンをトナー担持体の所望の位置に照射し、帯電トナーとイオンとの間に働く斥力又は引力によって帯電トナーを印字媒体の記録面又はトナー担持体に移動させ、画像を形成することができる放電制御が容易で取扱い性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【0049】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)放電電極加熱工程において、放電電極と離間して配設された光照射部により、放電電極に選択的にレーザ光や赤外線などの光を照射して放電を発生させることができる放電発生の効率性に優れた画像形成方法を提供することができる。
(2)放電電極と光照射部が離間して配設され、放電電極と光照射部が接触することがないので、加熱停止状態での放電電極の冷却時間を大幅に短縮することができ、加熱停止に対する放電停止の応答性を向上させて短時間で放電の有無を切替えることができ、画像品質及び記録速度を向上できる放電制御の信頼性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【0050】
請求項6に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)帯電トナー供給部により表面に一様に帯電トナーが付着したトナー担持体の裏面に、イオン照射ヘッドにより画像情報に基づいて帯電トナーと同極性のイオンを照射するだけで、トナー担持体上の帯電トナーをイオンとの間に働く斥力によって印字媒体上に移動させて画像を形成することができ、画像の位置ずれが発生することがなく、高品質な画像を短時間に多量に形成することができる画像形成の効率性、画像の高品質性に優れた画像形成装置を提供することができる。
(2)トナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと印字媒体が対向配置され、トナー担持体に対し、帯電トナー供給部によって、帯電トナーを付着させる面と、イオン照射ヘッドによりイオンを照射する面が異なるので、イオン照射ヘッドに帯電トナーが付着することがなく、イオン照射ヘッドのメンテナンス性、耐久性に優れた画像形成装置を提供することができる。
(3)帯電トナー供給部とイオン照射ヘッドだけで画像を形成でき、構造が簡素で部品点数が少なく、印字媒体に短時間で高品質な画像を形成することができる量産性、省スペース性、取り扱い性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0051】
請求項7に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)帯電トナー供給部により記録面に一様に帯電トナーが付着した印字媒体に対し、トナー担持体を挟んで対向配置されたイオン照射ヘッドから、画像情報に基づいて帯電トナーと逆極性のイオンを照射するだけで、印字媒体上の不要な帯電トナーをイオンとの間に働く引力によってトナー担持体上に移動させて印字媒体上に画像を形成することができ、画像の位置ずれが発生することがなく、高品質な画像を短時間に多量に形成することができる画像形成の効率性、画像の高品質性に優れた画像形成装置を提供することができる。
(2)トナー担持体を挟んでイオン照射ヘッドと印字媒体が対向配置され、帯電トナー供給部によって、帯電トナーを付着する印字媒体と、イオン照射ヘッドが直接、接触せず、イオン照射ヘッドに帯電トナーが付着することがなく、イオン照射ヘッドのメンテナンス性、耐久性に優れた画像形成装置を提供することができる。
(3)帯電トナー供給部,イオン照射ヘッド,帯電トナー除去部だけで画像を形成でき、構造が簡素で部品点数が少なく、印字媒体に短時間で高品質な画像を形成することができ、装置の量産性、省スペース性、取り扱い性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0052】
請求項8に記載の発明によれば、請求項6又は7の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)イオン照射ヘッドから照射された電子やイオンの電荷を一旦、離間電極ユニットの離間電極に貯え、電荷放出部からトナー担持体に対して放出することができ、イオン照射ヘッドを、トナー担持体に直接対向させる必要がなく、イオン照射ヘッドとトナー担持体との接触を防止することができる取り扱い性に優れた画像形成装置を提供することができる。
(2)イオン照射ヘッドと離間電極ユニットが離間していることにより、イオン照射ヘッドの解像度に応じて、離間電極ユニットのみを簡便に交換して解像度の変換を行うことや、電荷流路部の電荷放出部が粉塵などで汚れた安価な離間電極ユニットのみを交換して電荷放出の安定性を維持することができる汎用性、取り扱い性、メンテナンス性、省資源性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0053】
請求項9に記載の発明によれば、請求項6乃至8の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)イオン照射ヘッドが、放電電極と、放電電極を選択的に加熱する加熱手段と、を有する加熱放電型印字ヘッドであることにより、放電電極からの電子の放出に伴って発生する大量のイオンを、画像情報に基づいてトナー担持体に照射して選択的に電荷を注入することができる画像形成の効率性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0054】
請求項10に記載の発明によれば、請求項9の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定部により、トナー担持体を挟むように配置された印字媒体と加熱放電型印字ヘッドの放電電極の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定し電界を形成して放電に備えることができ、高電圧となる放電制御電圧を選択的に印加する必要がなく、加熱手段で放電電極を選択的に加熱することで放電電極から放電を発生させることができ、電界によってイオンをトナー担持体の所望の位置に照射し、帯電トナーとイオンとの間に働く斥力又は引力によって帯電トナーを印字媒体の記録面又はトナー担持体に移動させ、画像を形成することができる取扱い性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0055】
請求項11に記載の発明によれば、請求項10の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)電位差設定部が、導体製の印字媒体或いは印字媒体に形成された導体層への接地又は電圧印加を行う媒体側電圧選択部を備えていることにより、印字媒体の材質によらず、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と印字媒体との間に、確実に放電制御電圧に相当する電位差を設定することができる電位差設定の汎用性、信頼性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【0056】
請求項12に記載の発明によれば、請求項9乃至11の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)加熱手段が、放電電極と離間して配設され放電電極に光を照射することにより放電電極を選択的に加熱する光照射部を有することにより、放電電極と加熱手段を絶縁するための絶縁膜などを設けることなく、放電電極と加熱手段との間を確実に絶縁することができ、製造工数を低減できる量産性及び加熱制御の信頼性に優れた画像形成装置を提供することができる。
(2)放電電極と加熱手段が離間して配設され、放電電極と加熱手段が接触することがなく、加熱停止状態での放電電極の冷却時間を大幅に短縮することができ、加熱停止に対する放電停止の応答性を向上させて短時間で放電の有無を切替えることができる画像品質及び記録速度を向上できる放電制御の信頼性に優れた画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
本発明の画像形成方法及び画像形成装置について、以下図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は実施の形態1の画像形成方法に用いる画像形成装置の要部模式側面図である。
図1中、1はイオン照射ヘッド1Aを用いて電荷の作用により後述する印字媒体30に画像を形成する本発明の実施の形態1の画像形成方法に用いる画像形成装置、1Aは加熱放電型印字ヘッドを用いた画像形成装置1のイオン照射ヘッド、20は絶縁体製又は半導体製のフィルムやシートで形成されたエンドレスループ式でベルト型のトナー担持体、21はエンドレスループ状に配置されたトナー担持体20に内接して配設されトナー担持体20を搬送する複数のローラ、22はトナー担持体20の両面の内の印字媒体30側(外周面側)の面に対向して配設されトナー担持体20に一様に正に帯電した帯電トナー23を付着させる帯電トナー供給部、24は印字媒体30を接地するための電位差設定部の媒体側電圧選択部、30はポリエチレンテレフタレートやガラスなどで形成された絶縁層31に媒体側電圧選択部24によって接地するための導体層32が積層された印字媒体、32aは印字媒体32の記録面である。
【0058】
以上のように構成された画像形成装置の動作に基づいて実施の形態1の画像形成方法を説明する。
まず、帯電トナー付着工程において、帯電トナー供給部22によってトナー担持体20の印字媒体30側の面に一様に帯電トナー23を付着させる。
次に、イオン照射工程において、トナー担持体20を挟んで印字媒体30と対向配置されたイオン照射ヘッド1Aにより、トナー担持体20の印字媒体30と反対側の面に画像情報に基づいて帯電トナー23と同極性の正イオンを照射する。これにより、帯電トナー23と正イオンとの間に働く斥力によって、トナー担持体20上の帯電トナー23を選択的に印字媒体30の記録面32aに移動させて画像を形成する。
尚、イオン照射工程中は、トナー担持体20と印字媒体30を同期させて移動させるが、トナー担持体20と印字媒体30の移動速度は同速度である必要はない。印字媒体30の移動速度よりも速い移動速度でトナー担持体20を移動させた場合、同一箇所に多量の帯電トナー23を付着させることができ、印字濃度を濃くすることができる。
【0059】
この画像形成方法に用いるイオン照射ヘッドについて説明する。
図2(a)は実施の形態1の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの要部模式断面図であり、図2(b)は実施の形態1の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの放電ユニットの要部模式正面図である。
図2中、2はイオン照射ヘッド1Aの放電ユニット、3はポリイミド,アラミド,ポリエーテルイミド等の合成樹脂で形成された透光性を有する放電ユニット2の基板、3aは開口部3bを有し基板3が固設された放電ユニット2の形状保持板、4は基板3上にカーボン等を含有する黒色の塗料を塗布したり、クロムを蒸着したりして形成した放電ユニット2の熱吸収層、5は金、銀、銅、アルミニウム等の金属を蒸着、スパッタ、印刷、メッキなどで形成した後、エッチングして梯子型に形成した放電ユニット2の放電電極、5aは放電電極5の複数の放電発生部、5bは複数の放電発生部5aの両端部を接続した放電電極5の共通電極、5cは放電発生部5aと放電発生部5aの間に形成された放電電極5の放電開口部、5dは放電電極5の共通電極5bの一端部に連設して形状保持板3aの一側部に配置され放電制御電圧が印加される放電ユニット2の電気接続部、6は放電ユニット2の放電電極5と離間して配設され放電電極5に選択的に光を照射する光照射部を有するイオン照射ヘッド1Aの加熱手段、25は電気接続部5dに電気的に接続され放電電極5に放電制御電圧を印加する電位差設定部の放電電極側電圧印加部である。
【0060】
次に、放電ユニットの製造方法について説明する。
まず、熱吸収層形成工程において、ポリイミド,アラミド,ポリエーテルイミド等の合成樹脂等の基板3の一方の面上に黒色の塗料を塗布したり、クロムを蒸着したりして熱吸収層4を形成する。尚、基板3の材質は、本実施の形態に限定されるものではなく、表面に熱吸収層4及び放電電極5を形成することができると共に、加熱手段6による加熱に耐える耐熱性と、加熱手段6が発する光によって伝播する熱を放電電極5に伝達できる熱伝達性を有するものであればよい。尚、放電電極5が十分な熱吸収性を有する場合は、熱吸収層4は必ずしも設けなくてもよい。また、基板3と熱吸収層4の配置を入れ替えても、熱吸収層4に吸収された熱を基板3を通して放電電極5に伝達することができる。
【0061】
次に、放電電極形成工程において、基板3の熱吸収層4を形成した面上に複数の放電発生部5a及びそれらを接続する共通電極5bを形成する。放電発生部5a及び共通電極5bの形成には、金、銀、銅、アルミニウム等の金属を、蒸着やスパッタ、印刷、メッキなどで形成した後、エッチングやレーザ加工等によりパターン形成するものが好適に用いられる。また、その他にカーボン等の導電材料を用いてもよい。
放電電極5は、梯子型に形成して複数の放電発生部5aに分割することにより、放電発生部5aの縁周辺からの放電量を増加させ、放電の効率性を向上させている。また、放電発生部5aの近傍に共通電極5bを設けることで、放電電極5の放熱面積の拡大及び、熱容量の増大により、放電発生部5aの冷却効果、加熱停止に対する応答性が向上し、高速記録が可能となる。さらに、抵抗値の低減により常に安定した電圧を印加できるので、放電の安定性にも優れる。
【0062】
尚、放電電極5の形状は本実施の形態に限定されるものではなく、放電発生部5aの数や配置は適宜、選択することができ、千鳥状や格子状等に配置することもできる。また、放電電極5全体を長方形状や正方形状等の一枚の平板ベタ状に形成した場合、加熱手段6によって加熱された任意の箇所が放電発生部5aとなり、それ以外が共通電極5bとなる。さらに、複数の放電発生部5aの一端部のみを共通電極5bで接続して櫛型に形成(梯子型の他端部側の共通電極5bを切り離したものに相当)してもよい。放電発生部5aの一部をさらにスリット等で分割したり、周縁部に凹凸部を形成したりした場合は、放電発生部5aの周長を長くして周縁部からの放電量を増加させることができる。また、放電発生部5aに放電孔部を形成した場合は、放電孔部の縁周辺から放電を発生させることができ、放電発生部5aの端部をスリット等で分割した場合と同様に放電量を増加させることができる。放電孔部の形状は、略円形、略楕円形、四角形や六角形等の多角形、星形など様々な形状に形成することができる。放電発生部5aの1箇所当たりの放電孔部の数、形状及び大きさは適宜、選択して組合せることができる。
尚、本実施の形態のように複数の放電発生部5aの両端部を共通電極5bで接続して梯子型に形成した放電電極5は、平板ベタ状の放電電極に複数の放電孔部を形成したものと考えることができ、放電開口部5cが放電孔部に相当する。
【0063】
以上のように構成されたイオン照射ヘッドの駆動方法について説明する。
放電電極5に印加する交流電圧や直流電圧の数値は、色々な組み合わせが考えられるが、本実施の形態では放電電極5に、一例としてAC550Vpp(三角波1kHz)にDCバイアスで−700Vの電圧を重畳して放電制御電圧として印加した。放電電極5に交流電圧のみを印加すると正負のイオンが生成されるが、正の直流電圧を重畳することにより、正のイオンのみを選別することができ、放電を安定させることができる。尚、負のイオンのみを選別するには交流電圧に負の直流電圧を重畳すればよい。
放電電極5に放電制御電圧を印加しただけでは放電は起こらず、更に別途、加熱手段6を制御して、放電電極5を基板3側から選択的に加熱(100〜300℃)することにより、選択的に加熱された放電電極5の放電発生部5aから放電が発生する。
放電が発生するとイオン生成可能な雰囲気中ではイオンが生成され、トナー担持体20へ向かってイオンが照射される。
【0064】
本実施の形態におけるイオン照射ヘッド1Aは、放電制御電圧が印加された放電電極5の各々の放電発生部5aの温度を制御して放電の発生制御を行うものであるため、放電電極5に印加する電圧は一定で制御が不要であり、加熱手段6による加熱の有無を制御するだけで、イオンの発生制御を行うことができ、多量のイオンを効率的に発生させることができる。
図1で説明したように、印字媒体30の表面に設けた導体層32を接地することにより、放電電極5と印字媒体30の間の電位差によって、放電電極5aから印字媒体30の方向に向かって正のイオンが移動する。このとき、放電電極5と印字媒体30の間にトナー担持体20が配設されているので、正のイオンはトナー担持体20の表面に照射され、その電荷の作用によって帯電トナー23が印字媒体30の記録面32a側に移動して画像が形成される。
尚、イオン照射ヘッド1Aの放電電極5と印字媒体30との間に電位差があればよいので、電位差設定部の媒体側電圧選択部24により印字媒体30の導体層32を接地する代わりに、放電制御電圧の一部を分配して印加してもよい。
また、放電電極5と印字媒体30との間には、放電制御電圧に相当する電位差が発生していればよいので、放電制御電圧に相当する電圧を直接、放電電極5と印字媒体30との間に印加する代わりに、放電制御電圧に相当する電位差を発生させる電界の中にイオン照射ヘッド1A,トナー担持体20,印字媒体30などを置いてもよい。例えば、対向配置した印字媒体30と電界形成用電極の間に放電制御電圧よりも高い電圧(電界形成用電圧)を印加しておき、印字媒体30と電界形成用電極の間にイオン照射ヘッド1Aやトナー担持体20を配置することにより、放電電極5と印字媒体30との間に、放電制御電圧に相当する電位差を発生させることができる。
【0065】
放電ユニット2の放電電極5に対し、加熱手段6の光照射部が発するレーザ光をポリゴンミラーやガルバノミラーなどの光走査部(図示せず)で走査させたり、加熱手段6自身を加熱手段走査部(図示せず)でシリアル走査させたりすることにより、任意の放電発生部5aを加熱することができ、印字媒体30に画像を形成することができる。このとき、放電ユニット2を固定した状態で放電電極5を選択的に加熱して放電発生部5aから放電を発生させることができ、位置ずれのない高品質な画像を形成することが可能で、画像品質の信頼性に優れる。尚、レーザ光を光ファイバーで集光して照射してもよい。
加熱手段6としては、放電電極5から離間して放電発生部5aを選択的に加熱できるものであればよく、光照射部からレーザ光を照射するもの以外に赤外線を光ファイバーや集光レンズで集光して照射するもの等が好適に用いられる。
【0066】
本実施の形態では、イオン照射ヘッド1Aとして加熱放電型印字ヘッドを用いたが、この画像形成方法に用いるイオン照射ヘッドは、イオンを発生させることができるものであればよく、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるもの、電極を加熱して熱電子を放出させるもの等の従来公知のものを用いることができる。
また、印字媒体30は、接地や電圧印加を行うことができ、帯電トナー23が付着することによって画像(可視像)を形成できるものであればよい。よって、印字媒体30は導体製或いは絶縁層31と導体層32を少なくとも一層ずつ有するものであればよい。尚、導体層32はベタ状である必要はなく、任意の形状にパターン形成することができ、記録面32aに絶縁性の領域と導体性の領域が混在していてもよい。
本実施の形態では、正に帯電した帯電トナー23を用いたが、帯電トナー23は正負のいずれに帯電していてもよく、任意の色に着色することができる。また、帯電トナー23の種類は液体トナーでも粉体トナー(乾式トナー)でもよい。また、トナー担持体20の形状は、本実施の形態に限定されるものではなく、巻き取り式のロール型や平板型でもよい。
【0067】
実施の形態1の画像形成方法は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)帯電トナー付着工程を有することにより、特別な制御を行うことなく、簡便かつ確実にトナー担持体20の両面の内の印字媒体30側の面に一様に帯電トナー23を付着させることができ、画像の形成に備えることができ、取り扱い性に優れる。
(2)トナー担持体20の両面の内の印字媒体30と反対側の面に画像情報に基づいて帯電トナー23と同極性のイオンを照射してトナー担持体20を挟んでイオン照射ヘッド1Aと対向配置された印字媒体30の記録面32aにトナー担持体20上の帯電トナー23を移動させ画像を形成するイオン照射工程を有することにより、画像情報に基づいてイオンを照射するだけで、印字媒体30上に画像を形成することができるので、従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程が同じ場所で同時に行われることになり、画像の位置ずれや転写不良などが発生することがなく、画像の高品質性に優れる。
(3)イオン照射工程は従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程の3つの工程を同時に行う工程とみなすことができ、帯電トナー付着工程とイオン照射工程の2つの工程だけで画像を形成でき、工程が簡素なので、短時間に多量の画像を形成することができ、画像形成の効率性に優れる。
(4)トナー担持体20を挟んでイオン照射ヘッド1Aと印字媒体30が対向配置されていることにより、トナー担持体20に対し、帯電トナー付着工程によって、帯電トナー23を付着させる面と、イオン照射工程によりイオンを照射する面が異なるので、イオン照射ヘッド1Aに帯電トナー23が付着することがなく、イオン照射ヘッド1Aのメンテナンス性、耐久性に優れる。
(5)イオン照射ヘッド1Aが、放電電極5と、放電電極5を選択的に加熱する加熱手段6と、を有する加熱放電型印字ヘッドであることにより、放電電極5からの電子の放出に伴って発生する大量のイオンを、画像情報に基づいてトナー担持体20に照射して選択的に電荷を注入することができ、画像形成の効率性に優れる。
(6)電位差設定工程により、トナー担持体20を挟むように配置された印字媒体30と放電電極5の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定し電界を形成して放電に備えることができ、高電圧となる放電制御電圧を選択的に印加する必要がなく、放電電極加熱工程により加熱手段6で放電電極5を選択的に加熱することで放電電極5から放電を発生させることができ、電界によってイオンをトナー担持体20の所望の位置に照射し、帯電トナー23とイオンとの間に働く斥力によって帯電トナー23を印字媒体30の記録面32aに移動させ、画像を形成することができ、画像形成の制御性に優れる。
(7)放電電極加熱工程が、放電電極5と離間して配設され放電電極5に選択的に光を照射する光照射部によって行われることにより、放電電極5にレーザ光や赤外線などの光を照射して放電を発生させることができ放電発生の効率性に優れる。
(8)放電電極5と光照射部が離間して配設されていることにより、放電電極5と光照射部が接触することがないので、加熱停止状態での放電電極5の冷却時間を大幅に短縮することができ、加熱停止に対する放電停止の応答性を向上させて短時間で放電の有無を切替えることができ、画像品質及び記録速度を向上できる。
【0068】
実施の形態1の画像形成装置は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)トナー担持体20の両面の内の印字媒体30側の面に一様に帯電トナー23を付着させる帯電トナー供給部22を有することにより、特別な制御を行うことなく、簡便かつ確実にトナー担持体20の両面の内の印字媒体30側の面に一様に帯電トナー23を付着させることができ、画像の形成に備えることができ、取り扱い性に優れる。
(2)トナー担持体20を挟んで印字媒体30と対向配置されたイオン照射ヘッド1Aを有することにより、画像情報に基づいてイオンを照射するだけで、トナー担持体20上の帯電トナー23をイオンとの間に働く斥力によって印字媒体30の記録面32aに移動させて印字媒体30上に画像を形成することができるので、画像の位置ずれが発生することがなく、画像の高品質性に優れる。
(3)トナー担持体20を挟んでイオン照射ヘッド1Aと印字媒体30が対向配置されていることにより、トナー担持体20に対し、帯電トナー供給部22によって、帯電トナー23を付着させる面と、イオン照射ヘッド1Aによりイオンを照射する面が異なるので、イオン照射ヘッド1Aに帯電トナー23が付着することがなく、イオン照射ヘッド1Aのメンテナンス性、耐久性に優れる。
(4)帯電トナー供給部22とイオン照射ヘッド1Aだけで画像を形成でき、構造が簡素で部品点数が少なく、印字媒体30に短時間で高品質な画像を形成することができ、装置の量産性、省スペース性、取り扱い性に優れる。
(5)イオン照射ヘッド1Aが、放電電極5と、放電電極5を選択的に加熱する加熱手段6と、を有する加熱放電型印字ヘッドであることにより、放電電極5からの電子の放出に伴って発生する大量のイオンを、画像情報に基づいてトナー担持体20に照射して選択的に電荷を注入することができ、画像形成の効率性に優れる。
(6)加熱放電型印字ヘッド1Aの放電電極5と印字媒体30との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する電位差設定部を有することにより、トナー担持体20を挟むように配置された印字媒体30と放電電極5の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定し電界を形成して放電に備えることができ、高電圧となる放電制御電圧を選択的に印加する必要がなく、加熱手段6で放電電極5を選択的に加熱することで放電電極5から放電を発生させることができ、電界によってイオンをトナー担持体20の所望の位置に照射し、帯電トナー23とイオンとの間に働く斥力によって帯電トナー23を印字媒体30の記録面32aに移動させ、画像を形成することができ、取扱い性に優れる。
(7)加熱手段6が、放電電極5と離間して配設され放電電極5に光を照射することにより放電電極5を選択的に加熱する光照射部を有することにより、放電電極5と加熱手段6を絶縁するための絶縁膜などを設けることなく、放電電極5と加熱手段6との間を確実に絶縁することができ、製造工数を低減でき、量産性及び加熱制御の信頼性を向上させることができる。
(8)放電電極5と加熱手段6が離間して配設されているので、別々に製造したものを簡便に組合せて使用することができ、放電電極5又は加熱手段6のいずれか一方に不具合が生じた際に、不具合が生じたものだけを修理、交換することができ、メンテナンス性、省資源性に優れる。
(9)放電電極5と加熱手段6が離間して配設されていることにより、放電電極5と加熱手段6が接触することがないので、加熱停止状態での放電電極5の冷却時間を大幅に短縮することができ、加熱停止に対する放電停止の応答性を向上させて短時間で放電の有無を切替えることができ、画像品質及び記録速度を向上できる。
(10)電位差設定部が、印字媒体30に形成された導体層32への接地又は電圧印加を行う媒体側電圧選択部24を備えていることにより、印字媒体30の材質によらず、加熱放電型印字ヘッドの放電電極5と印字媒体30との間に、確実に放電制御電圧に相当する電位差を設定することができる電位差設定の汎用性、信頼性に優れる。
【0069】
(実施の形態2)
図3は実施の形態2の画像形成方法に用いる画像形成装置の要部模式側面図であり、図4(a)は実施の形態2の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの放電ユニットの要部模式斜視図であり、図4(b)は実施の形態2の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの要部模式斜視図である。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図3において、実施の形態2の画像形成方法に用いる画像形成装置が実施の形態1と異なるのは、イオン照射ヘッド1Aの代わりに、イオン照射ヘッド1Bを用いている点である。このイオン照射ヘッド1Bについては後述する。
また、図3において、実施の形態2の画像形成方法に用いる印字媒体30aが実施の形態1と異なるのは、絶縁層31の裏面側に導体層32が積層されて形成され、絶縁層31の表面が記録面31aとなっている点である。
尚、実施の形態2の画像形成方法は実施の形態1と同様なので説明を省略する。
【0070】
図4(a)において、実施の形態2の画像形成方法に用いる画像形成装置1aにおけるイオン照射ヘッド1Bが実施の形態1と異なるのは、実施の形態1のように基板3に放電電極5を形成する代わりに、加熱手段6に接続された光ファイバー7の出口先端に放電電極5Bの放電発生部5Baを形成すると共に、光ファイバー7の側面に放電発生部5Baと一体に電圧入力部5Bbを形成し、放電電極5Bを有する放電ユニット2aとしている点である。
放電発生部5Ba及び電圧入力部5Bbは、光ファイバー7の出口先端及び側面に直接、クロムを蒸着して金メッキするなどして形成することができる。
【0071】
図4(b)に示すように、放電電極5Bが形成された多本数の光ファイバー7を両側からアルミニウム等の放熱性に優れる金属製の放熱板16で挟み込み、ねじ止め式などの固定部材16aで固定することにより、イオン照射ヘッド1Bとなる。このとき、一方の放熱板16と高圧基板(図示せず)を電気配線16bで電気的に接続することにより、放熱板16を共通電極として利用することができ、多本数の光ファイバー7の放電電極5Bに対して、各々の電圧入力部5Bbを通して同時に放電制御電圧を印加することができ、取り扱い性に優れる。尚、光ファイバー7の周囲に導電性シリコンなどを充填することにより、導電性を妨げることなく、固定安定性を向上させることができる。
【0072】
放電電極5Bに放電制御電圧を印加するための高圧基板(図示せず)を光ファイバー7の側部などに固設した場合、電気配線16bを短くすることができ、電圧供給の信頼性を向上させることができる。また、高圧基板を加熱手段6及び放電ユニット2aと一体に取扱うことができ、電気配線16bの取り回しが不要なので画像形成装置1aへの組込みが容易で、取り扱い性、量産性に優れる。
尚、放熱板16の表面に溝等により凹凸を形成した場合、放熱板16の表面積を拡大することができ、放熱の効率性を向上させることができる。
【0073】
実施の形態2の画像形成方法及び画像形成装置は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)離間した放電ユニット2aと加熱手段6において、放電ユニット2aの放電電極5Bと、加熱手段6の間を接続する光ファイバー7を有し、光ファイバー7で加熱手段6が発する光を放電電極5Bに照射することにより、放電ユニット2aと加熱手段6を一体にしたイオン照射ヘッド1Bとして取り扱うことができ、放電ユニット2aと加熱手段6の位置合わせが不要で、放電電極5Bの所望の放電発生部5Baを確実に加熱して放電を発生させることができ、放電発生の信頼性に優れる。
(2)放電ユニット2aの放電電極5Bが、加熱手段6に接続された光ファイバー7の出口先端に形成されていることにより、放電ユニット2aの製造工程を簡素化することができ量産性に優れると共に、放電ユニット2aをコンパクト化することができ省スペース性、取扱い性に優れる。
(3)放電ユニット2aの放電電極5Bが、光ファイバー7の側面に放電発生部5Baと一体に形成された電圧入力部5Bbを有することにより、高圧基板などを電圧入力部5Bbに電気的に接続することができ、光ファイバー7の側面から電圧入力部5Bbを介して、放電発生部5Baに確実に放電制御電圧を印加することができるので、放電発生部5Baの表面に電気接続部が形成されることがなく、放電発生部5Baをトナー担持体20の表面に近接させながら、トナー担持体20と電気接続部の接触を確実に防止することができ、放電発生の信頼性に優れる。
【0074】
(実施の形態3)
図5は実施の形態3の画像形成方法に用いる画像形成装置の要部模式側面図であり、図6は実施の形態3の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドと離間電極ユニットの要部模式斜視図である。尚、実施の形態1又は2と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図5において、実施の形態3の画像形成方法に用いる画像形成装置1bが実施の形態1と異なるのは、実施の形態1におけるイオン照射ヘッド1Aとトナー担持体20との間に離間電極ユニット10が配設されている点である。この離間電極ユニット10については後述する。
また、図5において、実施の形態3の画像形成方法に用いる印字媒体30bが実施の形態1と異なるのは、印字媒体30bが導体層32のみで形成され、導体層32の表面が記録面32aとなっている点である。
【0075】
図6は、イオン照射ヘッド1A側から離間電極ユニット10を見た図であり、図5とはイオン照射ヘッド1Aと離間電極ユニット10の位置関係が逆になっている。
図6中、10はイオン照射ヘッド1Aと組み合わせて用いる離間電極ユニット、11はポリイミド,アラミド,ポリエーテルイミド等の薄膜樹脂で形成された離間電極ユニット10のフレキシブルな基板、11aは後述する離間電極12の温度調整を行うための温度調整部として基板11の裏面に固設された離間電極ユニット10の放熱板、12は基板11に形成された離間電極ユニット10の離間電極、13は放熱板11aの端部に配置されイオン照射ヘッド1Aから照射された電子やイオンが注入される離間電極12の電荷注入部、14は一端部が電荷注入部13に連なり他端部に電荷注入部13に注入された電子やイオンを放出する電荷放出部14aを有する離間電極12の電荷流路部である。
【0076】
フレキシブルな基板11を用いることにより、形状自在性に優れるので、平面状態で離間電極12を形成した後に、必要に応じて折り曲げたり湾曲させたりして電荷注入部13の向きを容易に変更することができる。イオン照射ヘッド1Aと共に電荷注入部13の配置を適宜、選択することができ、設計自在性、量産性、汎用性に優れる。
尚、各々の離間電極12に貯えられる電荷量を均一にするために、各離間電極12の体積は均一に形成した。また、離間電極12の電荷注入部13の厚さは電荷流路部14の厚さよりも厚く形成した。これにより、電荷注入部13の体積を電荷流路部14の体積よりも大きくすることができ、電荷注入部13に貯えることができる電荷量を増加させ、電荷放出部14aから放出させる電荷量を増加させることができるので、画像形成の効率性に優れる。
離間電極ユニット10が、離間電極12の温度調整を行う温度調整部として放熱板11aを備えていることにより、離間電極12の温度を略一定に保持することができ、環境温度などに左右されることなく、電荷放出部14aからほぼ一定の電荷を放出することができ、電荷放出を安定させることができるので、画像の高品質性に優れる。
【0077】
以上のように構成された実施の形態3の画像形成方法が実施の形態1と異なるのは、イオン照射ヘッド1Aから直接、トナー担持体20にイオンを照射する代わりに、イオンを離間電極ユニット10の離間電極12の電荷注入部13に注入する点である。
電荷注入部13に注入されたイオンは、電荷流路部14を通過し、電荷放出部14aからトナー担持体20に放出される。次いで、図5に示したように、実施の形態1と同様に、帯電トナー23とイオンの間に働く斥力により、帯電トナー23が印字媒体30bの記録面32aに移動して画像が形成される。
【0078】
本実施の形態では、離間電極ユニット10の電荷注入部13のピッチと電荷流路部14の電荷放出部14aのピッチは同一に形成したが、離間電極12のパターンは、イオン照射ヘッド1Aの解像度に応じて適宜、選択することができ、電荷注入部13のピッチと電荷流路部14の電荷放出部14aのピッチは任意である。
また、電荷注入部13の形状は生産性や高密度配置の観点から略矩形状に形成したが、略円形状やその他の任意の形状を選択することができる。
【0079】
実施の形態3の画像形成方法は以上のように構成されているので、実施の形態1で得られる作用と同様の作用を有する。
【0080】
実施の形態3の画像形成装置は以上のように構成されているので、実施の形態1の(1)乃至(9)で得られる作用と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)イオン照射ヘッド1Aとトナー担持体20との間に離間電極ユニット10が配設されていることにより、イオン照射ヘッド1Aから照射された電子やイオンの電荷を一旦、離間電極ユニット10の離間電極12に貯え、電荷放出部14aからトナー担持体20に対して放出することができるので、イオン照射ヘッド1Aをトナー担持体20に直接対向させる必要がなく、イオン照射ヘッド1Aがトナー担持体20に接触することがなく、取り扱い性に優れる。
(2)離間電極ユニット10とイオン照射ヘッド1Aが離間しているので、イオン照射ヘッド1Aの解像度に応じて、離間電極12のピッチが異なる離間電極ユニット10に簡便に交換することができ、汎用性、取り扱い性に優れ、離間電極ユニット10における電荷流路部14の電荷放出部14aが粉塵などで汚れた場合は、安価な離間電極ユニット10のみを容易に交換することができ、メンテナンス性、省資源性に優れる。
(3)離間電極ユニット10の離間電極12が、イオンが照射されて電荷が注入される電荷注入部13と、一端部が電荷注入部13に連なり他端部に電荷注入部13に注入された電荷を放出する電荷放出部14aを備えた電荷流路部14と、を有することにより、イオン照射ヘッド1Aの解像度に応じて、電荷注入部13や電荷流路部14の形状や配置などを適宜、選択することができ、離間電極ユニット10の設計自在性に優れる。
(4)電位差設定部が、導体製の印字媒体30bへの接地又は電圧印加を行う媒体側電圧選択部24を備えていることにより、印字媒体30bの材質によらず、加熱放電型印字ヘッドの放電電極5と印字媒体30bとの間に、確実に放電制御電圧に相当する電位差を設定することができ、電位差設定の汎用性、信頼性に優れる。
【0081】
(実施の形態4)
図7は実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置の要部模式側面図であり、図8(a)は実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの要部模式側面図であり、図8(b)は実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの要部模式正面図である。尚、実施の形態1乃至3と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図7において、実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置1cが実施の形態1と異なるのは、イオン照射ヘッド1Aの代わりにイオン照射ヘッド1Cと離間電極ユニット10aが配設されている点と、帯電トナー供給部22が印字媒体30の記録面32aに対向して配設されている点と、トナー担持体20に付着した帯電トナー23を除去する帯電トナー除去部26を備えている点である。
【0082】
図8は、イオン照射ヘッド1C側から離間電極ユニット10aを見た図であり、図7とはイオン照射ヘッド1Cと離間電極ユニット10aの位置関係が逆になっている。
図8において、イオン照射ヘッド1Cがイオン照射ヘッド1Aと異なるのは、放電電極5が複数の放電発生部5aの一端部を共通電極5bで接続して櫛型に形成されている点と、加熱手段6aが絶縁膜8で絶縁されて放電電極5と密着した発熱抵抗体6bを有している点である。
離間電極ユニット10aが実施の形態3における離間電極ユニット10と異なるのは、セラミックやガラスなどで形成された硬質性の基板11bに離間電極12aが形成され電荷注入部13と電荷放出部14aを有する電荷流路部14が同一平面上に配置されている点と、ガラス、アラミドやポリイミド等の合成樹脂などの絶縁体で形成された被覆膜15が電荷注入部13と電荷放出部14aを除いて離間電極12aに覆設されている点である。
【0083】
次に、イオン照射ヘッドの加熱手段の詳細について説明する。
図9は実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの加熱手段の要部模式平面図である。
図9中、6cは発熱抵抗体6bと電気的に接続され発熱抵抗体6bの発熱を制御する加熱手段6aのドライバIC、9aは発熱抵抗体6bに通電するための発熱用共通電極、9bは発熱抵抗体6bに通電するための発熱用個別電極である。
【0084】
イオン照射ヘッド1Cと離間電極ユニット10aは共通の固定板(図示せず)などに着脱自在に取り付けて使用することができる。
固定板の材質として放熱性に優れるアルミニウム等を用いた場合、離間電極ユニット10aで発生した熱を速やかに吸収して放熱する放熱板となり、離間電極12aの温度調整を行う温度調整部として機能する。また、温度調整部としてペルチェ素子などを離間電極ユニット10aの基板11bに配設してもよい。温度調整部により離間電極12aを容易に加熱或いは冷却することができ、離間電極12aの温度を略一定に保持することができるので、環境温度などに左右されることなく、離間電極12aの電荷放出部14aからほぼ一定の電荷を放出することができ、電荷放出の安定性に優れるためである。
電荷流路部14の電荷注入部13側と反対側が電荷放出部14aとなるが、その電荷放出部14aを除いて電荷流路部14に被覆膜15を覆設した。これにより、電荷放出部14a以外から電荷が放出されるのを防止でき、電荷注入部13に注入された電荷を無駄なく電荷放出部14aから集中的に放出することができ、電荷放出の効率性に優れると共に、電荷流路部14を保護することができ、離間電極の耐久性に優れる。
【0085】
以上のように構成された画像形成装置の動作に基づいて実施の形態1の画像形成方法を説明する。
まず、帯電トナー付着工程において、帯電トナー供給部22によって印字媒体30の記録面32aに一様に帯電トナー23を付着させる(図7参照)。
次に、イオン照射工程の電位差設定工程におけるヘッド側電圧印加工程で、放電電極側電圧印加部25によりイオン照射ヘッド1Cの放電電極5に放電制御電圧を印加する。
続いて、イオン照射工程の放電電極加熱工程において、画像情報に基づいて加熱手段6aのドライバIC6cにより発熱抵抗体6bを選択的に発熱させ、放電電極5の放電発生部5aを選択的に加熱する。これにより、発熱抵抗体6bで加熱された放電発生部5aから放電が発生する。
放電によりイオン照射ヘッド1Cから照射された負イオンは、離間電極ユニット10aの離間電極12aの電荷注入部13に注入される。
電荷注入部13に注入されたイオンは、電荷流路部14を通過し、電荷放出部14aからトナー担持体20に放出される。そして、図7に示したように、帯電トナー23とイオンの間に働く引力により、印字媒体30上の帯電トナー23がトナー担持体20側に移動して印字媒体30の記録面32aに画像が形成される。
【0086】
次に、実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置の変形例について説明する。
図10(a)は実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置の変形例におけるイオン照射ヘッドと離間電極ユニットの要部模式斜視図であり、図10(b)は実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置の変形例における離間電極ユニットの要部拡大模式平面図である。
実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置1cの変形例が実施の形態4と異なるのは、イオン照射ヘッド1Cと離間電極ユニット10bが対向して並列に配置されている点である。
また、実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置1cの変形例における離間電極ユニット10bが実施の形態4と異なるのは、離間電極12bにおける電荷流路部14の電荷放出部14aのピッチP1が電荷注入部13のピッチP2よりも狭く形成されている点である。
【0087】
尚、離間電極12bにおける電荷流路部14の電荷放出部14aのピッチP1及び電荷注入部13のピッチPは、組み合わせて使用するイオン照射ヘッド1Cの解像度に応じて適宜、選択することができる。
また、電荷放出部14a及び電荷注入部13のピッチがそれぞれ異なる複数の離間電極ユニット10bを予め用意しておくことにより、イオン照射ヘッド1Cの種類によって、離間電極ユニット10bのみを交換するだけで、簡便に解像度を変換することができ、汎用性、取り扱い性に優れる。
以上のように構成された変形例の画像形成装置が用いられる画像形成方法は実施の形態4と同様なので説明は省略する。
【0088】
実施の形態4の画像形成方法は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)帯電トナー付着工程を有することにより、特別な制御を行うことなく、簡便かつ確実に印字媒体30の記録面32aに一様に帯電トナー23を付着させることができ、画像の形成に備えることができ、取り扱い性に優れる。
(2)トナー担持体20を挟んで印字媒体30と対向配置されたイオン照射ヘッド1Cから画像情報に基づいてトナー担持体20の両面の内のイオン照射ヘッド1C側の面に帯電トナー23と逆極性のイオンを照射して印字媒体30上の帯電トナー23をトナー担持体20の両面の内の印字媒体30側の面に移動させ画像を形成するイオン照射工程を有することにより、画像情報に基づいてイオンを照射するだけで、印字媒体30上に画像を形成することができるので、従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程が同じ場所で同時に行われることになり、画像の位置ずれや転写不良などが発生することがなく、画像の高品質性に優れる。
(3)トナー担持体20に付着した帯電トナー23を除去する帯電トナー除去工程を有することにより、トナー担持体20を繰り返し使用することができ、画像品質の信頼性、トナー担持体20の長寿命性に優れる。
(4)イオン照射工程は従来の静電潜像形成工程,現像工程,転写工程の3つの工程を同時に行う工程とみなすことができ、帯電トナー付着工程,イオン照射工程,帯電トナー除去工程の3つの工程だけで画像を形成でき、工程が簡素なので、短時間に多量の画像を形成することができ、画像形成の効率性に優れる。
(5)トナー担持体20を挟んでイオン照射ヘッド1C及び離間電極ユニット10a(10b)と印字媒体30が対向配置されていることにより、帯電トナー付着工程によって、帯電トナー23が付着する印字媒体30と、イオン照射工程を行うイオン照射ヘッド1C及び離間電極ユニット10a(10b)が、直接、接触することがなく、イオン照射ヘッド1C及び離間電極ユニット10a(10b)に帯電トナー23が付着しないので、イオン照射ヘッド1C及び離間電極ユニット10a(10b)のメンテナンス性、耐久性に優れる。
(6)イオン照射ヘッド1Cが、放電電極5と、放電電極5を選択的に加熱する加熱手段6aと、を有する加熱放電型印字ヘッドであることにより、放電電極5からの電子の放出に伴って発生する大量のイオンを、画像情報に基づいてトナー担持体20に照射して選択的に電荷を注入することができ、画像形成の効率性に優れる。
(7)加熱放電型印字ヘッドは、放電電極5への選択的加熱で放電を行わせる方式であるため、加熱の制御に5V駆動のような低耐電圧対応のドライバIC6cを使用することができ、放電の制御が容易で、取り扱い性に優れる。
(8)電位差設定工程により、トナー担持体20を挟むように配置された印字媒体30と放電電極5の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定し電界を形成して放電に備えることができ、高電圧となる放電制御電圧を選択的に印加する必要がなく、放電電極加熱工程により加熱手段6aで放電電極5を選択的に加熱することで放電電極5から放電を発生させることができ、電界によってイオンをトナー担持体20の所望の位置に照射し、帯電トナー23とイオンとの間に働く引力によって帯電トナー23をトナー担持体20に移動させ、画像を形成することができ、画像形成の制御性に優れる。
【0089】
実施の形態4の画像形成装置は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)帯電トナー供給部22を有することにより、特別な制御を行うことなく、簡便かつ確実に印字媒体30の記録面32aに一様に帯電トナー23を付着させることができ、画像の形成に備えることができ、取り扱い性に優れる。
(2)トナー担持体20を挟んで印字媒体30と対向配置されたイオン照射ヘッド1Cと離間電極ユニット10a(10b)を有することにより、画像情報に基づいてイオンを照射するだけで、印字媒体30上の不要な帯電トナー23をイオンとの間に働く引力によってトナー担持体20側に移動させて印字媒体30上に画像を形成することができるので、画像の位置ずれが発生することがなく、画像の高品質性に優れる。
(3)トナー担持体20に付着した帯電トナー23を除去する帯電トナー除去部26を有することにより、トナー担持体を繰り返し使用することができ、画像品質の信頼性、トナー担持体20の長寿命性に優れる。
(4)帯電トナー供給部22,イオン照射ヘッド1C,離間電極ユニット10a(10b),帯電トナー除去部26だけで画像を形成でき、構造が簡素で部品点数が少なく、印字媒体30に短時間で高品質な画像を形成することができ、装置の量産性、省スペース性、取り扱い性に優れる。
(5)トナー担持体20を挟んでイオン照射ヘッド1C及び離間電極ユニット10a(10b)と印字媒体30が対向配置されていることにより、帯電トナー供給部22によって、帯電トナー23が付着する印字媒体30と、イオン照射ヘッド1C及び離間電極ユニット10a(10b)が、直接、接触することがなく、イオン照射ヘッド1C及び離間電極ユニット10a(10b)に帯電トナー23が付着しないので、イオン照射ヘッド1C及び離間電極ユニット10a(10b)のメンテナンス性、耐久性に優れる。
(6)イオン照射ヘッド1Cとトナー担持体20との間に離間電極ユニット10a(10b)が配設されていることにより、イオン照射ヘッド1Cから照射された電子やイオンの電荷を一旦、離間電極ユニット10a(10b)の離間電極12a(12b)に貯え、電荷放出部14aからトナー担持体20に対して放出することができるので、イオン照射ヘッド1Cをトナー担持体20に直接対向させる必要がなく、イオン照射ヘッド1Cがトナー担持体20に接触することがなく、取り扱い性に優れる。
(7)離間電極ユニット10a(10b)とイオン照射ヘッド1Cが離間しているので、イオン照射ヘッド1Cの解像度に応じて、離間電極12a(12b)のピッチが異なる離間電極ユニット10a(10b)に簡便に交換することができ、汎用性、取り扱い性に優れ、離間電極ユニット10a(10b)における電荷流路部14の電荷放出部14aが粉塵などで汚れた場合は、安価な離間電極ユニット10a(10b)のみを容易に交換することができ、メンテナンス性、省資源性に優れる。
(8)離間電極ユニット10a(10b)の離間電極12a(12b)が、イオンが照射されて電荷が注入される電荷注入部13と、一端部が電荷注入部13に連なり他端部に電荷注入部13に注入された電荷を放出する電荷放出部14aを備えた電荷流路部14と、を有することにより、イオン照射ヘッド1Cの解像度に応じて、電荷注入部13や電荷流路部14の形状や配置などを適宜、選択することができ、離間電極ユニット10a(10b)の設計自在性に優れる。
(9)イオン照射ヘッド1Cが、放電電極5と、放電電極5を選択的に加熱する加熱手段6aと、を有する加熱放電型印字ヘッドであることにより、放電電極からの電子の放出に伴って発生する大量のイオンを、画像情報に基づいてトナー担持体に照射して選択的に電荷を注入することができ、画像形成の効率性に優れる。
(10)加熱放電型印字ヘッドは、放電電極5への選択的加熱で放電を行わせる方式であるため、加熱の制御に5V駆動のような低耐電圧対応のドライバIC6cを使用することができ、放電の制御が容易で、取り扱い性に優れる。
(11)加熱放電型印字ヘッドの放電電極5と印字媒体30との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する電位差設定部を有することにより、トナー担持体20を挟むように配置された印字媒体30と放電電極5の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定し電界を形成して放電に備えることができ、高電圧となる放電制御電圧を選択的に印加する必要がなく、加熱手段6aで放電電極5を選択的に加熱することで放電電極5から放電を発生させることができ、電界によってイオンをトナー担持体の所望の位置に照射し、帯電トナーとイオンとの間に働く引力によって帯電トナー23をトナー担持体20に移動させ、画像を形成することができ、取扱い性に優れる。
(12)電位差設定部が、印字媒体30に形成された導体層32への接地又は電圧印加を行う媒体側電圧選択部24を備えていることにより、印字媒体30の材質によらず、加熱放電型印字ヘッドの放電電極5と印字媒体30との間に、確実に放電制御電圧に相当する電位差を設定することができ、電位差設定の汎用性、信頼性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、簡素な工程で複雑な制御を行うことなく、印字媒体に高品質な画像を形成することができる画像品質の信頼性に優れた画像形成方法の提供、構造が簡素で部品点数が少なく、印字媒体に短時間で高品質な画像を形成することができる量産性、省スペース性、取り扱い性に優れる画像形成装置の提供を行って、印字媒体の種類によらず高品質な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】(a)実施の形態1の画像形成方法に用いる画像形成装置の要部模式側面図
【図2】(a)実施の形態1の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの要部模式断面図(b)実施の形態1の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの放電ユニットの要部模式正面図
【図3】実施の形態2の画像形成方法に用いる画像形成装置の要部模式側面図
【図4】(a)実施の形態2の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの放電ユニットの要部模式斜視図(b)実施の形態2の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの要部模式斜視図
【図5】実施の形態3の画像形成方法に用いる画像形成装置の要部模式側面図
【図6】実施の形態3の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドと離間電極ユニットの要部模式斜視図
【図7】実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置の要部模式側面図
【図8】(a)実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの要部模式側面図(b)実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの要部模式正面図
【図9】実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置におけるイオン照射ヘッドの加熱手段の要部模式平面図
【図10】(a)実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置の変形例におけるイオン照射ヘッドと離間電極ユニットの要部模式斜視図(b)実施の形態4の画像形成方法に用いる画像形成装置の変形例における離間電極ユニットの要部拡大模式平面図
【符号の説明】
【0092】
1,1a,1b,1c 画像形成装置
1A,1B,1C イオン照射ヘッド
2,2a 放電ユニット
3 基板
3a 形状保持板
3b 開口部
4 熱吸収層
5,5B 放電電極
5a,5Ba 放電発生部
5b 共通電極
5Bb 電圧入力部
5c 放電開口部
5d 電気接続部
6,6a 加熱手段
6b 発熱抵抗体
6c ドライバIC
7 光ファイバー
8 絶縁膜
9a 発熱用共通電極
9b 発熱用個別電極
10,10a,10b 離間電極ユニット
11,11b 基板
11a 放熱板
12,12a 離間電極
13 電荷注入部
14 電荷流路部
14a 電荷放出部
15 被覆膜
16 放熱板
16a 固定部材
16b 電気配線
20 トナー担持体
21 ローラ
22 帯電トナー供給部
24 媒体側電圧選択部
25 放電電極側電圧印加部
26 帯電トナー除去部
30,30a,30b 印字媒体
31 絶縁層
32 導体層
31a,32a 記録面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン照射ヘッドを用いて電荷の作用により印字媒体に画像を形成する画像形成方法であって、
トナー担持体の両面の内の前記印字媒体側の面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー付着工程と、前記トナー担持体の両面の内の前記印字媒体と反対側の面に画像情報に基づいて前記帯電トナーと同極性のイオンを照射して前記トナー担持体を挟んで前記イオン照射ヘッドと対向配置された前記印字媒体の記録面に前記トナー担持体上の帯電トナーを移動させ画像を形成するイオン照射工程と、を備えていることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
イオン照射ヘッドを用いて電荷の作用により印字媒体に画像を形成する画像形成方法であって、
印字媒体の記録面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー付着工程と、トナー担持体を挟んで前記印字媒体と対向配置された前記イオン照射ヘッドから画像情報に基づいて前記トナー担持体の両面の内の前記イオン照射ヘッド側の面に前記帯電トナーと逆極性のイオンを照射して前記印字媒体上の帯電トナーを前記トナー担持体の両面の内の前記印字媒体側の面に移動させ画像を形成するイオン照射工程と、前記トナー担持体に付着した帯電トナーを除去する帯電トナー除去工程と、を備えていることを特徴とする画像形成方法。
【請求項3】
前記イオン照射ヘッドが、放電電極と、前記放電電極を選択的に加熱する加熱手段と、を有する加熱放電型印字ヘッドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記イオン照射工程が、前記加熱放電型印字ヘッドの前記放電電極と前記印字媒体との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する電位差設定工程と、前記加熱手段により前記放電電極を選択的に加熱する放電電極加熱工程と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記放電電極加熱工程が、前記放電電極と離間して配設され前記放電電極に選択的に光を照射する光照射部によって行われることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
【請求項6】
イオン照射ヘッドを用いて電荷の作用により印字媒体に画像を形成する画像形成装置であって、トナー担持体と、前記トナー担持体の両面の内の前記印字媒体側の面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー供給部と、前記トナー担持体を挟んで前記印字媒体と対向配置された前記イオン照射ヘッドと、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
イオン照射ヘッドを用いて電荷の作用により印字媒体に画像を形成する画像形成装置であって、トナー担持体と、前記印字媒体の記録面に一様に帯電トナーを付着させる帯電トナー供給部と、前記トナー担持体を挟んで前記印字媒体と対向配置された前記イオン照射ヘッドと、前記トナー担持体に付着した帯電トナーを除去する帯電トナー除去部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
基板と、前記基板に形成された離間電極と、を有し、前記離間電極が、イオンが照射されて電荷が注入される電荷注入部と、一端部が前記電荷注入部に連なり他端部に前記電荷注入部に注入された電荷を放出する電荷放出部を備えた電荷流路部と、を有する離間電極ユニットが、前記イオン照射ヘッドと前記トナー担持体との間に配設されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記イオン照射ヘッドが、放電電極と、前記放電電極を選択的に加熱する加熱手段と、を有する加熱放電型印字ヘッドであることを特徴とする請求項6乃至8の内いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記加熱放電型印字ヘッドの前記放電電極と前記印字媒体との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する電位差設定部を備えていることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記電位差設定部が、導体製の前記印字媒体或いは前記印字媒体に形成された導体層への接地又は電圧印加を行う媒体側電圧選択部を備えていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記加熱手段が、前記放電電極と離間して配設され前記放電電極に光を照射することにより前記放電電極を選択的に加熱する光照射部を備えていることを特徴とする請求項9乃至11の内いずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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