説明

画像形成物の製造方法

【課題】熱転写方式によって多数色が用いられた画像形成物を簡易な工程で形成することが可能な、画像形成物の製造方法を提供する。
【解決手段】基材と、基材上に形成され、剥離性保護層および受容層がこの順で積層された画像受容部と、画像受容部に隣接するように形成され、面順次で配列された複数の色材層からなる色材部と、を有する画像形成用中間転写媒体を用い、画像形成用中間転写媒体の受容層に、熱転写シートを用いて画像を印画する受容層印画工程と画像が印画された受容層を備える画像形成用中間転写媒体および被転写体を用い、被転写体上に画像が印画された受容層を転写する受容層転写工程、および、画像形成用中間転写媒体の色材層から被転写体に色材を熱転写させる被転写体印画工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成用中間転写媒体を用いて、熱転写方式によって画像形成物を形成する、画像形成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーまたはモノクロ画像形成技術の一つとして、熱転写方式による画像形成方法が知られており、簡易的に高画質な画像を得ることができる手段として広く用いられるに至っている。熱転写方式とは、特定の熱物性を示すバインダー樹脂と染料や顔料を有する熱転写シートをサーマルヘッドやレーザー等の加熱印字手段を用いて、上記染料を熱転写シートから熱転写受像シートへ転写することにより画像を形成する方法である。このような熱転写方式は、装置の小型化が可能で低コストであるという利点を有している。
【0003】
上記熱転写方式は、熱転写シートから熱転写受像シートへの染料の転写機構により熱溶融転写方式と、熱拡散転写方式(昇華転写方式)との2種類に大別される。熱溶融転写方式とは、熱溶融性バインダーと主には顔料を有する熱転写シートを用い、加熱処理により当該熱溶融性染料を溶融転写機構により熱転写受像シートへ転写することによって画像形成する方式である(例えば、特許文献1)。一方、熱拡散転写方式(昇華転写方式)とは、熱拡散性染料(昇華性染料)を有する熱転写シートを用い、加熱処理により当該熱拡散性染料(昇華性染料)を熱拡散転写機構(昇華転写機構)により、熱転写受像シートへ転写することによって画像形成する方式である(例えば、特許文献2)。
【0004】
このような、熱転写方式によって画像を形成する場合、通常、所望の画像を形成するために必要な複数色の色材層を備える熱転写シートを用い、当該熱転写シートから、色材を熱転写する方法が用いられている。そして、このような熱転写シートとしては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の色材層が面順次で形成された熱転写シートや、赤、緑、青の3色の色材層が面順次で形成された熱転写シートがこれまでの代表的なものであった。
しかしながら、近年においてはセキュリティ性向上の観点から、熱転写方式によって蛍光を発する蛍光材料や、見る方向によって色が変化する光学可変材料等の特殊な色材を用いて画像を形成することが望まれている(例えば、特許文献3)。
【0005】
このような特殊の染料を用いる場合、従来よりも転写する色材が複数種になるため、使用される熱転写シートには、従来よりも多数色の色材層が配置されることが求められるが、求められる色材層の増加に対応して単純に熱転写シートの色材層の数を増加させると、それを用いて画像を印画する工程が複雑になり、製造適性を損なってしまうという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−96933号公報
【特許文献2】特開2006−281510号公報
【特許文献3】特開2003−1935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、熱転写方式によって多数色が用いられた画像形成物を簡易な工程で形成することが可能な、画像形成物の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、基材と、上記基材上に形成され、剥離性保護層および受容層がこの順で積層された構成を有する画像受容部と、上記画像受容部に隣接するように形成され、面順次で配列された複数の色材層からなる色材部と、を有する画像形成用中間転写媒体を用い、上記画像形成用中間転写媒体の受容層に、熱転写シートを用いて画像を印画する受容層印画工程と、上記画像印画工程において、画像が印画された受容層を備える画像形成用中間転写媒体および被転写体を用い、上記被転写体上に上記画像が印画された受容層を転写する受容層転写工程、および、上記画像形成用中間転写媒体の色材層から被転写体に色材を熱転写させることにより被転写体上に画像を印画する画像印画工程により、被転写体上に画像を形成する被転写体印画工程と、を有することを特徴とする画像形成物の製造方法を提供する。
【0009】
本発明によれば、上記画像受容部と上記色材部とを備える画像形成用中間転写媒体を用い、上記受容層印画工程において受容層に画像が印画された後に、上記被転写体印画工程において当該受容層を被転写体上に転写し、さらに上記色材部によって上記被転写体に画像を印画することにより、簡易な工程で多数色の画像を被転写体上に印画することができる。
このため、本発明によれば熱転写方式によって多数色が用いられた画像形成物を簡易な工程で製造することができる。
【0010】
本発明においては、上記熱転写シートが、基材と、上記基材上に面順次に形成された複数の色材層を有するものであり、1パネル当たりに異なる色材が含まれる複数の色材層が配置されていることが好ましい。これにより、本発明の画像形成物の製造方法を用いて、さらに多数色が用いられた画像が印画された画像形成物を製造することが可能になるからである。
【0011】
また、本発明においては上記画像受容部において、上記剥離性保護層と上記受容層との間にホログラムが記録されたホログラム層が形成されていることが好ましい。これにより上記被転写体印画工程において上記受容層と共にホログラム層を被転写体上に転写することができるため、本発明の画像形成物の製造方法を用いて、偽造防止機能に優れた画像形成物を製造することが可能になるからである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成物の製造方法は、熱転写方式によって多数色が用いられた画像形成物を簡易な工程で形成することできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の画像形成物の製造方法について説明する。
【0014】
上述したように、本発明の画像形成物の製造方法は、基材と、上記基材上に形成され、剥離性保護層および受容層がこの順で積層された構成を有する画像受容部と、上記画像受容部に隣接するように形成され、面順次で配列された複数の色材層からなる色材部と、を有する画像形成用中間転写媒体を用い、上記画像形成用中間転写媒体の受容層に、熱転写シートを用いて画像を印画する受容層印画工程と、上記画像印画工程において、画像が印画された受容層を備える画像形成用中間転写媒体および被転写体を用い、上記被転写体上に上記画像が印画された受容層を転写する受容層転写工程、および、上記画像形成用中間転写媒体の色材層から被転写体に色材を熱転写させることにより被転写体上に画像を印画する画像印画工程により、被転写体上に画像を形成する被転写体印画工程と、を有することを特徴とするものである。
【0015】
このような本発明の画像形成物の製造方法について図を参照しながら説明する。図1は本発明の画像形成物の製造方法の一例を示す概略図である。図1に例示するように本発明の画像形成物の製造方法は、基材1と、上記基材1上に形成され、剥離性保護層2aおよび受容層2bがこの順で積層された構成を有する画像受容部2と、上記画像受容部2に隣接するように形成され、面順次で配列された複数の色材層3a、3bおよび3cからなる色材部3と、を有する画像形成用中間転写媒体10を用い(図1(a))、上記画像形成用中間転写媒体10の受容層2bに、熱転写シート(図示せず)を用いて画像を印画する受容層印画工程と(図1(b))、上記画像印画工程において、画像が印画された受容層2bを備える画像形成用中間転写媒体10’および被転写体20を用い、上記画像形成用中間転写媒体10’の色材層3a〜3cから被転写体20にサーマルヘッドAを用いて染料を熱転写させることにより被転写体20上に画像を印画する画像印画工程(図1(c−1))、および、上記被転写体20上に上記画像が印画された受容層2bを転写する受容層転写工程(図1(c−2))により、被転写体20上に画像を形成する被転写体印画工程と(図1(c))、を有することにより、画像形成体30を製造するものである。
【0016】
本発明によれば、上記画像受容部と上記色材部とを備える画像形成用中間転写媒体を用い、上記受容層印画工程において受容層に画像が印画された後に、上記被転写体印画工程において当該画像が印画された受容層を被転写体上に転写し、さらに上記色材部によって上記被転写体に画像を印画することにより、簡易な工程で多数色の画像を被転写体上に印画することができる。
このため、本発明によれば熱転写方式によって多数色が用いられた画像形成物を簡易な工程で製造することができる。
【0017】
本発明の画像印画物の製造方法は、少なくとも上記受容層印画工程と、上記被転写体印画工程とを有するものである。
以下、本発明に用いられるこれらの工程について順に説明する。
【0018】
1.受容層印画工程
最初に、本発明に用いられる受容層印画工程について説明する。本工程は基材と、上記基材上に形成され、剥離性保護層および受容層がこの順で積層された構成を有する画像受容部と、上記画像受容部に隣接するように形成され、面順次で配列された複数の色材層からなる色材部と、を有する画像形成用中間転写媒体を用い、上記画像形成用中間転写媒体の受容層に、熱転写シートを用いて画像を印画する工程である。
【0019】
(1)画像形成用中間転写媒体
本工程に用いられる画像形成用中間転写媒体について説明する。本工程に用いられるが画像形成用中間転写媒体は、少なくとも、基材と、上記基材上に形成され、剥離性保護層および受容層がこの順で積層された構成を有する画像受容部と、上記画像受容部に隣接するように形成され、面順次で配列された複数の色材層からなる色材部とを有するものである。
【0020】
a.画像受容部
上記画像受容部は、本工程において画像が印画される受容層と、剥離性保護層とを有するものであり、受容層は、後述する被転写体印画工程に用いられる被転写体と接着する機能を備えるものである。
【0021】
(受容層)
本工程に用いられる受容層としては、本工程において熱転写シートを用いた熱転写方式によって画像を印画されることが可能であり、かつ、後述する被転写体印画工程において被転写体と接着する機能を備えるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、このような受容層として熱可塑性樹脂を含有するものが好適に用いられる。熱可塑性樹脂を含有する受容層は、染料の染着性と被転写体との接着性との両立を図ることができるからである。
【0022】
本工程に用いられる熱可塑性樹脂としては、本工程において受容層に画像を印画するために用いられる熱転写シートの種類や、後述する被転写体印画工程に用いられる被転写体の種類等に応じて、所望の画像を印画することができ、かつ、被転写体を接着できるものであれば特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、アセタール樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等を挙げることができる。本工程においてはこれらのいずれの熱可塑性樹脂であっても好適に用いることができる。
【0023】
なお、本工程に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、あるいは、2種類以上であってもよい。
【0024】
本工程に用いられる受容層には、熱転写シートとの熱融着防止、離型性を付与するために、離型剤を添加してもよい。離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類、フッ素系またはリン酸エステル系界面活性剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、各種シリコーン樹脂などが挙げられるが、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルが好ましい。
【0025】
また、本工程に用いられる受容層には、上記熱可塑性樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。本工程に用いられる添加剤としては、例えば、分散剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
【0026】
さらに、本工程に用いられる受容層の厚みは特に限定されるものではなく、上述した熱可塑性樹脂の種類等に応じて、適宜決定することができる。なかでも本工程に用いられる受容層の厚みは、1μm〜11μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜6μmの範囲内であることがより好ましい。厚みが上記範囲よりも薄いと後述する被転写体印画工程における受容層転写工程において、被転写体と受容層との接着性が不十分になってしまう可能性があるからである。また上記範囲よりも厚いと、後述する被転写体印画工程における受容層転写工程において、受容層を被転写体へ転写する際に、受容層を加熱する温度が高くなりすぎてしまい、基材等に損傷が生じてしまう可能性があるからである。
【0027】
(剥離性保護層)
次に、本工程に用いられる剥離性保護層について説明する。本工程に用いられる剥離性保護層は、上記受容層と基材との間に形成されるものであり、受容層と基材との密着力を調整し、後述する被転写体印画工程における受容層転写工程において、受容層を被転写体上へ転写し易くする機能を有するものである。
【0028】
本工程に用いられる剥離性保護層は、上記受容層に用いられる材料や、後述する基材の種類等に応じて、両者の接着力を所望の範囲内にできるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の1種または2種以上混合したもの等が用いられた剥離性保護層を好適に用いることができる。
【0029】
(任意の構成)
本工程に用いられる画像受容部には、上記受容層および剥離性保護層以外の他の任意の構成が用いられていてもよい。このような任意の構成は特に限定されるものではなく、本発明によって製造される画像形成物の種類や用途等に応じて、所望の機能を有するものを用いることができる。なかでも本工程においては、上記任意の構成として、上記剥離性保護層と上記受容層との間に形成され、ホログラムが記録されたホログラム層を用いることが好ましい。
【0030】
本工程に用いられる画像受容部に上記ホログラム層が用いられている場合の一例について図を参照しながら説明する。図2は本工程に用いられる画像形成用中間転写媒体の一例を示す概略図である。
図2に例示するように、本工程に用いられる画像形成用中間転写媒体10は、画像受容部2’が、剥離性保護層2aと、受容層2bとの間に、ホログラムが記録されたホログラム層2cが形成されたものであってもよい。
【0031】
このようなホログラム層が用いられていることにより、後述する被転写体印画工程における受容層転写工程において、上記受容層と共にホログラム層を被転写体上に転写することができるため、本発明の画像形成物の製造方法を用いて、偽造防止機能に優れた画像形成物を製造することが可能になるからである。
【0032】
ここで、本工程に用いられる上記ホログラム層としては、レリーフホログラムが記録されたレリーフホログラム層と、体積ホログラムが記録された体積ホログラムとを挙げることができる。
以下、これらについて詳細に説明する。
【0033】
(レリーフホログラム層)
上記レリーフホログラム層は、少なくとも、合成樹脂の片面にホログラムの微細凹凸が形成されたホログラム樹脂層、反射層を積層した構成である。該ホログラム樹脂層としては、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(例、PMMA)、ポリスチレン、もしくはポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。これら熱可塑性樹脂以外に、熱硬化性樹脂、例えば、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタアクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、もしくはトリアジン系アクリレート等を用いることができる。更に、ラジカル重合性不飽和基を有する電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、単独で、もしくは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂などを混合して用いることもできる。
【0034】
上記ホログラム樹脂層へのホログラムの形成は、上記の材料を用いて、従来既知の方法で形成することができる。例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表す凹凸のレリーフとして形成する場合は、回折格子やホログラムの干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型として用い、ホログラム樹脂層に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸をホログラム樹脂上に複製することができる。上記のようなホログラム樹脂層の厚さは、0.1〜6μmの範囲が好ましく、0.1〜4μmの範囲が更にこのましい。
【0035】
反射層としては、所定のレリーフ構造を設けたホログラム樹脂層面のレリーフ面へ、反射層を設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ホログラム樹脂層の光学的な屈折率より高ければ、特に限定されない。ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム樹脂層のそれとは異なることにより、金属光沢がないにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるので、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム樹脂層よりも光屈折率の高い薄膜の例としては、ZnS、TiO、Al、Sb、SiO、SnO、ITO等が挙げられる。
【0036】
反射層の形成は、ホログラム樹脂層のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは、20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。また、ホログラム樹脂層と光屈折率の異なる透明な合成樹脂を用いてもよい。
【0037】
(体積ホログラム層)
本工程に用いられる体積ホログラム層を構成する材料としては、体積ホログラムを記録することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に体積ホログラムに用いられる材料を任意に用いることができる。このような材料としては、例えば、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の体積ホログラム記録材料が挙げることできるが、なかでも本工程においては、(i)バインダー樹脂、光重合可能な化合物、光重合開始剤および増感色素を含有する第1の感光材料、または、(ii)カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系および光カチオン重合開始剤系を含有するからなる第2の感光材料を好適に用いることができる。
以下、このような第1の感光材料および第2の感光材料について順に説明する。
【0038】
(i)第1の感光材料
まず、上記第1の感光材料について説明する。上述したように第1の感光材料はバインダー樹脂、光重合可能な化合物、光重合開始剤および増感色素を含有するものである。
【0039】
上記バインダー樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、またはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、アクリル酸、アクリル酸エステル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体、またはそれらの混合物や、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物等を挙げることができる。ここで、体積ホログラム層を形成する際には、記録された体積ホログラムを安定化するために、加熱してモノマーを移動させる工程が実施される場合がある。このため、本工程に用いられるバインダー樹脂はガラス転移温度が比較的低く、モノマー移動が容易に移動できるものであることが好ましい。
【0040】
上記光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマーおよびそれらの混合物を用いることができる。具体例としては、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド化合物等を挙げることができる。
【0041】
ここで、上記不飽和カルボン酸のモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等を挙げることができる。また上記脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート等を挙げることができる。
【0042】
上記メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等を挙げることができる。また、上記イタコン酸エステルとしてはエチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート等を挙げることができる。また、上記クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等を挙げることができる。さらに上記イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等を挙げることができる。さらにまた、上記マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート、ペンタエリスリトールジマレエート、ソルビトールテトラマレエート等を挙げることができる。
【0043】
上記ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
また、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド等を挙げることができる。
【0044】
本工程に用いられる光重合開始剤としては、例えば、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等を挙げることができる。なかでも本工程に用いられる光重合開始剤は、記録された体積ホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるものが好ましい。例えば有機過酸化物系にあっては紫外線照射することにより容易に分解されるので好ましい。
【0045】
本工程に用いられる増感色素としては、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン染料、ローダミン染料、チオピリリウム塩系色素、ピリリウムイオン系色素、ジフェニルヨードニウムイオン系色素等を挙げることができる。
【0046】
(ii)第2の感光材料
次に、本工程に用いられる第2の感光材料について説明する。上述したように第2の感光材料は、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、および、カチオン重合開始剤系を含有するものである。
【0047】
ここで、このような第2感光材料が用いられる場合、体積ホログラム層に体積ホログラムを記録する方法としては、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで、光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光とは別の波長の光を照射する方法が用いられることになる。
【0048】
上記カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、室温で液状のものが好適に用いられる。このようなカチオン重合性化合物としては、例えば、ジグリセロールジエーテル、ペンタエリスリトールポリジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0049】
上記ラジカル重合性化合物としては、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、本工程に用いられるラジカル重合性化合物の平均屈折率は、上記カチオン重合性化合物の平均屈折率より大きいことが好ましく、なかでも0.02以上大きいことが好ましい。これは、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物との屈折率の差によって、体積ホログラムが形成されることによるものである。したがって、平均屈折率の差が上記値以下である場合には、屈折率変調が不十分となるからである。本工程に用いられるラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等を挙げることができる。
【0050】
本工程に用いられる光ラジカル重合開始剤系としては、体積ホログラムを記録する際に、第1露光によって活性ラジカルを生成し、該活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させることができるものであれば特に限定されるものではない。また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。このような光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明ホログラムとする場合には、シアニン系色素の使用が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、本工程における後露光、または室内光や態様光の下に数時間から数日放置することでホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムを得ることができるからである。
【0051】
上記シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3´−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2´チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3´,9´−ジエチル−2,2´チアカルボシアニンベタイン、3,3´,9−トリエチル−2,2´−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3´−カルボキシメチル−2,2´−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3´,9−トリエチル−2,2´−(4,5,4´,5´−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−[[3−アリル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデン−2−チアゾリニリデン]メチル]3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1´,3,3,3´,3´−ヘキサメチル−2,2´−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3´−ジエチル−2,2´−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3´−カルボキシメチル−5´−クロロ−2,2´−キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ−5,5´−ジフェニル−9−エチル−3,3´−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
上記活性ラジカル発生化合物としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4´−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4´−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4´−ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウム、3,3´−ジニトロジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホン酸塩、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸塩などが例示される。又2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)ー1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4´−メトキシ−1´−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0053】
本工程に用いられる光カチオン重合開始剤系としは、体積ホログラムが記録される際の第1露光に対しては低感光性で、第1露光と異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが用いられることが特に好ましい。このような光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、鉄アレン錯体類等が挙げられる。ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては上述した光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネートなどが挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0054】
第2の感光材料には、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色料等を併用してもよい。バインダー樹脂は、ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物と相溶性のよいものであればよく、例えば塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖又は主鎖にカチオン重合性基等の反応性を有していてもよい。
【0055】
本工程に用いられる体積ホログラム層の厚みは、所定の体積ホログラムを形成することができる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上述した構成材料の種類に応じて適宜調整することができる。なかでも本工程に用いられる体積ホログラム層の厚みは、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
【0056】
b.色材部
次に、上記画像形成用中間転写媒体に用いられる色材部について説明する。本工程に用いられる色材部は色材層が面順次に配列されてなるものであり、後述する被転写体印画工程における画像印画工程において、熱転写方式により被転写体上に画像を印画するために用いられるものである。
【0057】
本工程に用いられる色材部は複数の色材層が面順次に配列されてなるものであるが、本工程に用いられる色材層としては熱転写方式によって印画することが可能な色材を含有するものであれば特に限定されるものではない。このような色材としては、一般的に熱転写方式に用いられる顔料や熱昇華型染料を用いることができる。
なお、このような色材については一般的に熱転写方式に用いられるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0058】
また、本工程に用いられる色材層には上述した色材以外に、蛍光を発光する蛍光材料や、見る角度によって視認される色が変化する光学可変材料も色材として用いることができる。このような材料が色材として用いられることにより、本発明において偽造防止機能あるいは意匠性に優れた画像形成物を形成できるという利点がある。
【0059】
上記蛍光材料としては、熱転写方式によって印画することが可能であり、かつ、所望の波長範囲の光を吸収することにより蛍光を発光することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程に用いられる蛍光材料は、蛍光を発光するための紫外線の吸収波長が100nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、200nm〜400nmの範囲内であることがより好ましい。
【0060】
本工程に用いられる蛍光材料としては、例えば、有機蛍光材料としては、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロン等の誘導体、フルオレセイン、エオシン等の色素、アントラセン等のベンゼン環を持つ化合物、チオフェン系、β-キノフタロン系、クマリン系、ビススチリルベンゼン系、オキサゾール系、ユーロピウム錯体系などが挙げられる。具体的には可視光で無色の蛍光染料としては、EB−501(三井化学(株)製、発光色:青色)、EG−302(三井化学(株)製、発光色:黄緑色)、EG−307(三井化学(株)製、発光色:緑色)、ER−120(三井化学(株)製、発光色:赤色)、ER−122(三井化学(株)製、発光色:赤色)、蛍光増白剤と呼ばれるユビテックスOB(チバガイギー社製、発光色:青色)、ユーロピウム−テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ(株)、赤橙色)等を挙げることができる。
上記有機蛍光材料の具体例としては、例えば、特開2004−122690号公報に記載されたものを挙げることができる。
【0061】
また無機蛍光色素としては,Ca、Ba、Mg、Sr、などの酸化物、硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩のなどの結晶を主成分とし、Eu、Mn、Pb、Fe、Mn、Zn、Ag、Cuなどの金属元素または希土類元素をドープ剤として添加した顔料を用いることが出来る。具体的には可視光下では無色から白色のG−300シリーズ(SrAl:Eu,Dy 根本特殊化学製 発光色:緑)やV−300シリーズ(CaAl:Eu,Nd 根本特殊化学製 発光色:紫)等を挙げることができる。
【0062】
一方、上記光学可変材料としては、熱転写方式によって印画することが可能であるものであれば特に限定されるものではなく、本発明によって製造される画像形成物の種類や用途に応じて、所望の色を発色できるものを適宜選択して用いることができる。このような光学可変材料としては、例えば、パール顔料、偏光インキ、液晶インキ、および再帰反射性インキ等を挙げることができる。本発明においてはこれらの光学可変材料を1種類のみ用いてもよく、あるいは、2種類以上を用いてもよい。
【0063】
上記パール顔料としては、魚介類から抽出したパールエッセンス、塩基性炭酸鉛、酸性ヒ酸鉛、酸塩化ビスマス、雲母を金属酸化物で被覆したもの等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれパール顔料であっても好適に用いることができるが、なかでも安全性の見地から雲母を金属酸化物で被覆したものが好ましい。ここで、金属酸化物としては、その光沢性および屈折率から酸化チタン、酸化鉄が好ましくは利用される。
また、本発明に用いられるパール顔料は、それをさらに顔料、染料等で着色したものであってもよい。
【0064】
上記偏光インキおよび液晶インキとは、偏光コレステリック高分子液晶顔料とバインダーおよび分散剤等を混合したインキを意味するものである。上記偏光コレステリック高分子液晶顔料は、支持体に架橋性液晶ポリオルガノシロキサンと重合開始剤の混合溶液を剪断力などにより配向させながら塗布し、その後紫外線照射や加熱により架橋させ、架橋した液晶層を支持体から剥離し、ミル等で粉砕することによって得ることができる。
【0065】
上記再帰反射性インキとは、ガラスビーズなど反射鏡となる粒子をバインダーに分散させたインキである。このようなインキとしては、雲母やアルミニウム粉体、着色パール顔料などその他の顔料素材と混ぜて使用してもよい。
【0066】
本工程に用いられる色材部は複数の色材層が面順次で配列されてなるものであるが、色材部において色材層が配置されている態様としては特に限定されるものではなく、本発明によって製造される画像形成物の種類等によって適宜決定することができる。このような配置態様としては、たとえば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の染料を含む色材層が順に配置された態様や、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、Bk(ブラック)の染料を含む色材層が順に配置された態様を挙げることができる。
【0067】
また、本工程に用いられる色材部は、1パネルあたりに異なる色材を含有する複数の色材層が組み合わされて配置されており、当該複数の色材層からなるパネルが面順次に配置されたものであってもよい。これにより本工程において、さらに多数の色材が用いられた画像を形成することが可能であるからである。
【0068】
このような画像形成用中間転写媒体について図を参照しながら説明する。図3は、本工程に用いられる画像形成用中間転写媒体の一例を示す概略断面図である。図3(a)、(b)に例示するように、本工程に用いられ画像形成用中間転写媒体10は、色材部が複数の色材層(3a〜3f)が組み合わされてなるパネル(図3においてXで表される単位)が面順次に配列されたものであってもよい。
【0069】
本工程に用いられる色材部がこのような構成を有するものである場合、各パネルあたりに配置される色材層の数は特に限定されるものではないが、通常、2〜8の範囲内とされる。また、各パネルにおける色材層の組み合わせは、本発明によって製造する画像形成物の種類に応じて、所望の画像を形成できる組み合わせを適宜選択して用いることができるものであり、特に限定されるものではない。なかでも本工程に好ましく用いられる組み合わせとしては、一般的な熱昇華型染料あるいは顔料が含まれる色材層と、蛍光材料を含有する色材層との組み合わせを挙げることができる。このような組み合わせを用いることにより、画像形成用中間転写媒体を用いて可視光で視認される画像と、紫外線照射条件下においてのみ視認される蛍光画像とを同時に印画することが可能になるため、より偽造防止機能に優れた画像形成物を製造することが可能になるからである。
さらに、各パネルにおける色材層の組み合わせとして一般的な熱昇華型染料あるいは顔料が含まれる色材層と、蛍光材料を含有する層との組み合わせを用いる場合、上記顔料が発色する色と、上記蛍光材料が発光する蛍光色とが互いに補色関係にあることが好ましい(例えば、図3(a)(b)における色材層3aが顔料からなり、色材層3dが蛍光材料からなり、かつ上記顔料が発色する色と、上記蛍光材料が発行する蛍光とが補色関係にあることが好ましい。)これにより上記染料および上記蛍光材料で同一の画像を同時に形成することが可能になるため、より簡易化された工程で偽造防止機能に優れた画像形成物を形成することが可能になるからである。
【0070】
c.基材
次に、上記画像形成用中間転写媒体に用いられる基材について説明する。本工程に用いられる基材は、上記画像受容部および色材部を支持する機能を有するものである。
【0071】
本工程に用いられる基材としては、上記画像受容部および色材部を支持できるものであれば特に限定されるものではない。このような基材の具体例としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフッ化エチレン系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルム等を挙げることができる。
【0072】
d.任意の構成
本工程に用いられる画像形成用中間転写媒体は、少なくとも上記基材、画像受容部および色材部を有するものであるが、必要に応じて他の任意の構成が用いられていてもよい。このような任意の構成としては、印画時や転写時の位置合わせに用いられる検知マークと、背面層とを挙げることができる。
【0073】
ここで、本工程に用いられる背面層は、上記基材上であって、上記画像受容部および色材部が形成された面とは反対面上に形成されるものであり、画像形成用中間転写媒体を用いて画像を形成する際にサーマルヘッドや加熱ロール等が融着するのを防止したり、スリップ性を向上させたり、帯電防止や、熱転写シートの剛性を高め伸縮を防止して、画像形成用中間転写媒体の位置決めを容易にすることに寄与する機能を備えるものである。
【0074】
このような背面層は、例えば従来から熱転写フィルムの分野にて用いられてきた素材、好ましくは例えばシリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
【0075】
また、背面層の耐熱性や塗膜強度および基材シートとの密着性を向上させるために、樹脂中に反応基を有する熱可塑性樹脂とポリイソシアネートとの反応硬化物や、不飽和結合を有するモノマー、オリゴマーとの反応生成物を用いることができ、硬化方法は加熱したり、電離放射線を照射したり、その硬化手段は特に限定されない。
【0076】
これらの樹脂からなる背面層に添加、あるいは上塗りすることができる滑り性付与剤としては、燐酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラグトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサンなどのシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物および燐酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
【0077】
(2)画像印画方法
次に、本工程において上述した画像形成用中間転写媒体が備える受容層に画像を印画する方法について説明する。本工程において上記受容層に画像を印画する方法としては、熱転写シートを用いる熱転写方式が用いられる。
【0078】
本工程に用いられる熱転写シートとしては、上記受容層に所望の画像を印画することが可能な色材層を備えるものであれば特に限定されるものではなく、基材上に色材層が形成された一般的に公知の構成を備える熱転写シートを用いることができる。
【0079】
ここで、本発明の画像形成物の製造方法は、本工程において受容層に画像が印画されることによって、多数色が用いられた画像を簡易な工程で印画することができるものであるが、本工程において印画させる色数が多いほど、より多くの色が用いられた画像が形成された画像形成体を形成することができる。したがって、本工程に用いられる熱転写シートは複数の色材層を備えるものが好ましく、特に基材と、上記基材上に面順次に形成された複数の色材層を有する熱転写シートであって、1パネル当たりの色材層が複数色の色材を転写することが可能なものであることが好ましい。これにより、本発明の画像形成物の製造方法を用いて、さらに多数色が用いられた画像が印画されたが画像形成物を製造することが可能になるからである。
【0080】
本工程に用いられる熱転写シートが、このように1パネル当たりに複数色の色材からなる色材層が配置された構成を有するものである場合、1パネルに含まれる色材層の組み合わせは特に限定されるものではなく、後述する被転写体印画工程において印画する画像の種類によって任意の組み合わせとすることができる。このような組み合わせとしては、上記「(1)画像形成中間転写媒体」の項に記載した同様の組み合わせを採用することができる。
【0081】
なお、本工程に用いられる熱転写シートの色材層および基材については、上記「(1)画像形成用中間転写媒体」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0082】
また、本工程において上記熱転写シートを用いて受容層に画像を印画する方法としては、一般的に熱転写方式に用いられる方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0083】
2.被転写体印画工程
次に、本発明に用いられる被転写体印画工程について説明する。本工程は上記画像印画工程において、画像が印画された受容層を備える画像形成用中間転写媒体および被転写体を用い、上記被転写体上に上記受容層を転写する受容層転写工程、および、上記画像形成用中間転写媒体の色材層から被転写体に色材を熱転写させることにより被転写体上に画像を印画する画像印画工程により、被転写体上に画像を形成する工程である。
【0084】
(1)被転写体
本工程に用いられる被転写体としては、本工程に用いられる被転写体としては、本発明によって製造する画像形成物の種類や用途に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。このような被転写体としては、例えば、冊子や商品券などに使われる紙や各種カード、フィルム、布等を挙げることができる。
【0085】
(2)受容層転写工程
次に、本工程に用いられる受容層転写工程について説明する。本工程は、上記受容層印画工程によって画像が印画された、画像形成用中間転写媒体上の受容層を、被転写体上に転写する工程である。
【0086】
本工程において、上記受容層を被転写体上に転写する方法としては、受容層の所定の部分あるいは全部を上記被転写体上に転写できる方法であれば特に限定されるものではないが、通常、上記画像が印画された受容層を備える画像形成用中間転写媒体を用い、上記画像形成用中間転写媒体の受容層上に被転写体を接着させる被転写体接着工程と、上記画像形成用中間転写媒体の基材を剥離する基材剥離工程と、からなる方法を挙げることができる。
【0087】
上記被転写体接着工程において、上記受容層上に被転写体を接着する方法としては、被転写体の所定の位置に受容層を接着できる方法であれば特に限定されるものではないが、通常は受容層を加熱することにより上記被転写体を接着する方法が用いられる。本工程においてヒートシール層を加熱する手段としては、所望の領域のみを所定の温度に過熱できる方法であれば特に限定されるものではない。このようは方法としては、加熱ローラーを用いる方法や、サーマルヘッド、熱プレス、ホットスタンプ等を挙げることができる。本工程においてはこれらのいずれの加熱手段であっても好適に用いることができる。
【0088】
また、上記基材剥離工程において基材を剥離する方法としては、上記被転写体と接着された領域のみの基材を剥離することができる方法であれば特に限定されるものではない。通常は、画像形成用中間転写媒体を被転写体から物理的に引き離すことによって剥離する方法が用いられる。
【0089】
(3)画像印画工程
次に、上記画像印画工程について説明する。本工程は画像形成用中間転写媒体を用い、熱転写方式によって当該画像形成用中間転写媒体が備える色材部から色材を転写することによって、被転写体上に画像を形成する工程である。
ここで、本工程において被転写体上に画像を印画する方法としては、上記画像形成用中間転写媒体を用いること以外は、一般的な熱転写方式と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0090】
(4)その他
上述したように、本工程は上記受容層転写工程と、上記画像印画工程とを有するものであるが、本工程においてこれらの工程を実施する順番は特に限定されるものではない。
したがって、上記受容層転写工程を実施し、被転写体上に受容層を転写した後に、上記画像印画工程によって当該被転写体上に画像を印画してもよく、あるいは、上記画像印画工程を実施し、被転写体上に画像を印画した後に、上記受容層転写工程によって上記受容層を当該被転写体上に転写してもよい。
【0091】
3.画像形成物の製造方法
本発明の画像形成物の製造方法は、上述した受容層印画工程と、被転写体印画工程とを有するものであるが、本発明においてこれらの工程を実施する態様は特に限定されるものではない。このような態様としては、受容層印画工程と被転写体印画工程とこの順で別個に実施する態様であってもよく、あるいは、上記受容層印画工程と、上記被転写体印画工程とを同一工程において連続的に実施する態様であってもよい。なかでも本発明においては後者の態様で実施されることが好ましい。
【0092】
本発明の画像形成物の製造方法を、上記受容層印画工程と上記被転写体印画工程とを同一工程において連続的に実施する態様について図を参照しながら説明する。図4は本発明の画像形成物の製造方法をこのような態様で実施する場合の一例を示す概略図である。図4に例示するように、本発明の画像形成物の製造方法は、画像形成用中間転写媒体10を長尺上に形成し、これを連続的に送り出しながら(a)、上述した態様により受容層印画工程を実施し(b)、その後、連続的に被転写体20を用いて被転写体印画工程を実施し(c)、画像形成物を製造した後に使用済みの画像形成用中間転写媒体を巻き取る態様で実施されることが好ましい。
【0093】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0094】
<画像形成用中間転写媒体>
厚さ6μmの片面易接着処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、易接着処理面とは反対側に厚さ1μmの背面層をグラビア印刷で設け、易接着処理面上に下記組成のイエローインキ、マゼンタインキ、シアンインキ、剥離性保護層インキと受容層インキの組成物をポリエステルフィルムの流れ方向に沿って(離型層、剥離性保護層と受容層は基材上に積層して)、この順序に面順次に、各長さが10cmとなるように繰り返しグラビア印刷し、乾燥させて3色の昇華性の色材層と画像受容部を形成し、画像形成用中間転写媒体を得た。このとき、各色材層の塗布量は、それぞれ約3g/m(固形分)とし、離型層は約1g/m(固形分)、剥離層保護層は約1.5g/m(固形分)、受容層は約2.5g/m (固形分)とした。
【0095】
(イエローインキ組成)
・下記構造式で表されるキノフタロン系染料 3.5重量部
・ポリビニルブチラール(エスレックスBX−1、積水化学工業(株)製)
4.5重量部
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90重量部
【0096】
【化1】

【0097】
上記式中、nはノルマル系であることを表す。
【0098】
(マゼンタインキ組成)
上記のイエローインキにおいて、染料をシーアイディスパースレッド60(C.I.Disperse Red60)に代えた以外は同様にして、マゼンタインキを得た。
【0099】
(シアンインキ組成)
上記のイエローインキにおいて染料をシーアイソルベントブルー63(C.I.Solvent Blue 63)に代えた以外は同様にして、シアンインキを得た。
【0100】
(離型層インキ組成)
・ウレタン樹脂(クリスボン9004、DIC製): 20重量部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂(KS−5、積水化学工業(株)製):
5重量部
・ジメチルホルムアミド: 80重量部
・メチルエチルケトン: 120重量部
【0101】
(剥離層インキ組成)
・アクリル樹脂 (ダイヤナールBR−85、三菱レイヨン製) 20重量部
・ポリエチレンワックス 3重量部
・トルエン/メチルエチルケトン 80重量部
【0102】
(受容層用インキ組成)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ソルバインCNL、日信化学工業(株)製) 20重量部
・エポキシ変性シリコーンオイル(X−22−3000T、信越化学工業(株)製)5重量部
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 80重量部
【0103】
<背面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製):
3.6重量部
・ポリイソシアネート(バーノックD750、大日本インキ化学工業(株)製):
8.6重量部
リン酸エステル系界面活性剤(プライサーフA208S、第一製薬工業(株)製): 2.8重量部
・タルク(ミクロエースP−3、日本タルク工業(株)製): 0.7重量部
・メチルエチルケトン: 32重量部
・トルエン: 32重量部
【0104】
(1)熱転写シート例1
厚さ4.5μmの片面易接着処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、易接着処理面とは反対側に厚さ1μmの前記の背面層をグラビア印刷で設け、易接着処理面上に下記の組成のレッドインキ、グリーンインキ、ブルーインキをグラビア印刷で面順次に設けた。各インキ層の塗工量は1g/mとした。
【0105】
<昇華型蛍光色転写層用塗工液(レッド)>
・有機系レッド蛍光剤(LC−0001、日本化薬(株)製): 2重量部
・ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業(株)製): 5重量部
・メチルエチルケトン: 60重量部
・トルエン: 20重量部
・イソプロパノール: 10重量部
【0106】
<昇華型蛍光色転写層用塗工液(グリーン)>
・有機系グリーン蛍光剤(三井化学(株)製): 1重量部
・ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業(株)製): 5重量部
・メチルエチルケトン: 60重量部
・トルエン: 20重量部
・イソプロパノール: 10重量部
【0107】
<昇華型蛍光色転写層用塗工液(ブルー)>
・有機系ブルー蛍光剤(ユビテックスOB、チバスペシャルティケミカルズ社製): 1重量部
・ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業(株)製): 5重量部
・メチルエチルケトン: 60重量部
・トルエン: 20重量部
・イソプロパノール: 10重量部
【0108】
(2)熱転写シート例2
厚さ6μmの片面易接着処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、易接着処理面とは反対側にに厚さ1μmの前記背面層を設け、易接着処理面上に前記記載の離型層(1g/m(固形分))を設け、下記組成のレッドインキ、グリーンインキ、ブルーインキ、ブラックインキを面順次に設けた。尚、インキ層の塗工量は各々約1g/m(固形分)とした。
【0109】
<無機系溶融型蛍光色転写層用塗工液(レッド)>
・無機系レッド蛍光剤(Y:Eu): 0.5重量部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(ソルバインCNL、日信化学工業(株)製): 100重量部
・トルエン :150重量部
・メチルエチルケトン: 150重量部
【0110】
<無機系溶融型蛍光色転写層用塗工液(グリーン)>
・無機系グリーン蛍光剤(ZnS:Cu、Al): 0.5重量部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(ソルバインCNL、日信化学工業(株)製): 100重量部
・トルエン: 150重量部
・メチルエチルケトン: 150重量部
【0111】
<無機系溶融型蛍光色転写層用塗工液(ブルー)>
・無機系ブルー蛍光剤(CaCl:Eu2+): 0.5重量部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(ソルバインCNL、日信化学工業(株)製): 100重量部
・トルエン: 150重量部
・メチルエチルケトン: 150重量部
【0112】
<熱溶融ブラックインキ層用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂溶液(ソルバインCNL、日信化学工業(株)製): 20重量部
・カーボンブラック: 10重量部
・メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1): 70重量部
【0113】
(3)画像形成
上記画像形成用中間転写媒体と熱転写シート例1、2を用いて画像形成物を作製した。画像形成方法としては、まず、上記画像形成用中間転写媒体の受容層部に熱転写シート例1または2を用いて、サーマルヘッドで、蛍光色材(熱転写シート例1では昇華型、熱転写シート例2では溶融型)を熱転写し、画像形成を行った。続いて、受容層部に画像形成された画像形成用中間転写媒体を搬送し、カード上に染料インキで画像形成(顔画像等)を行い、あわせて蛍光画像が形成された受容層と剥離性保護層を一緒に転写を行った。得られた画像形成物は、可視光で視認できる画像(顔画像等)とブラックライト等の紫外線を照射して確認できる蛍光画像を合わせ持つものとなった。また、熱転写シート例2を用いた場合は、溶融転写タイプの黒色の熱転写層があるので、文字・図形・バーコード等がくっきりと転写されたものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の画像形成物の製造方法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に用いられるが画像形成用中間転写媒体の一例を示す概略図である。
【図3】本発明に用いられるが画像形成用中間転写媒体の他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の画像形成物の製造方法を実施する態様の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0115】
1 … 基材
2,2’ … 画像受容部
2a … 剥離性保護層
2b … 受容層
3 … 色材部
3a,3b,3c,3d,3e,3f … 色材層
10、10’ … 画像形成用中間転写媒体
20 … 被転写体
30 … 熱点転写シート
A … サーマルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に形成され、剥離性保護層および受容層がこの順で積層された構成を有する画像受容部と、前記画像受容部に隣接するように形成され、面順次で配列された複数の色材層からなる色材部と、を有する画像形成用中間転写媒体を用い、
前記画像形成用中間転写媒体の受容層に、熱転写シートを用いて画像を印画する受容層印画工程と、
前記画像印画工程において画像が印画された受容層を備える画像形成用中間転写媒体および被転写体を用い、前記被転写体上に前記画像が印画された受容層を転写する受容層転写工程、および、前記画像形成用中間転写媒体の色材層から被転写体に色材を熱転写させることにより被転写体上に画像を印画する画像印画工程により、被転写体上に画像を形成する被転写体印画工程と、を有することを特徴とする画像形成物の製造方法。
【請求項2】
前記熱転写シートが、基材と、前記基材上に面順次に形成された複数の色材層を有するものであり、1パネル当たりに異なる色材が含まれる複数の色材層が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成物の製造方法。
【請求項3】
前記画像受容部において、前記剥離性保護層と前記受容層との間にホログラムが記録されたホログラム層が形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−160765(P2009−160765A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340254(P2007−340254)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】