説明

画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム

【課題】画像データの出力先となる画像形成装置において不正コピーの抑制方法を変更することが可能な画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】原稿を読み取って画像データとする読み取り手段と、前記画像データに前記原稿の複製を抑制する複製抑制情報を付加する複製抑制情報付加手段と、前記連携出力により、前記他の画像形成装置により前記複製抑制情報が付加された前記画像データを出力する際に、前記他の画像形成装置における前記画像データの複製の抑制方法を特定する機器連携情報を前記複製抑制情報に埋め込む機器連携情報付加手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当該画像形成装置と接続された他の画像形成装置と連携して画像データを出力する連携出力を行う画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、出力時にマスクパターンを埋め込んだ原本を複製する際に、画像全体の破壊や牽制文字を浮き上がらせることで、不正コピーを抑制して情報漏洩を防ぐ技術が既に知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、地紋パターンを認識したときに、読み取った原稿画像を判別できないように画像処理することが記載されている。また特許文献2には、原稿画像データに、複製されると顕像化する付加画像となる付加データを付加して出力画像データを生成することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば複数の画像形成装置がネットワークを介して接続されたシステムでは、画像形成装置により読み取った画像データを他の画像形成装置へ送信し、送信先の画像形成装置によりこの画像データを出力する、所謂連携出力を行う場合がある。
【0005】
連携出力に上記従来の技術を適用した場合、例えば画像データの送信者の意図に関わらず、画像データの送信元となる画像形成装置の有するユーザ情報によって、不正コピーの抑制方法が制限されてしまう。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべく成されたものであり、画像データの出力先となる画像形成装置において不正コピーの抑制方法を変更することが可能な画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成すべく、以下の如き構成を採用した。
【0008】
本発明は、当該画像形成装置と接続された他の画像形成装置と連携して画像データを出力する連携出力を行う画像形成装置であって、原稿を読み取って画像データとする読み取り手段と、前記画像データに前記原稿の複製を抑制する複製抑制情報を付加する複製抑制情報付加手段と、前記連携出力により、前記他の画像形成装置により前記複製抑制情報が付加された前記画像データを出力する際に、前記他の画像形成装置における前記画像データの複製の抑制方法を特定する機器連携情報を前記複製抑制情報に埋め込む機器連携情報付加手段と、を有する。
【0009】
本発明は、当該画像形成装置と接続された他の画像形成装置と連携して画像データを出力する連携出力を行う画像形成装置による画像形成方法であって、原稿を読み取って画像データとする読み取り手順と、前記画像データに前記原稿の複製を抑制する複製抑制情報を付加する複製抑制情報付加手順と、前記連携出力により、前記他の画像形成装置により前記複製抑制情報が付加された前記画像データを出力する際に、前記他の画像形成装置における前記画像データの複製の抑制方法を特定する機器連携情報を前記複製抑制情報に埋め込む機器連携情報付加手順と、を実行する。
【0010】
本発明は、当該画像形成装置と接続された他の画像形成装置と連携して画像データを出力する連携出力を行う画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、前記画像形成装置に、原稿を読み取って画像データとする読み取りステップと、前記画像データに前記原稿の複製を抑制する複製抑制情報を付加する複製抑制情報付加ステップと、前記連携出力により、前記他の画像形成装置により前記複製抑制情報が付加された前記画像データを出力する際に、前記他の画像形成装置における前記画像データの複製の抑制方法を特定する機器連携情報を前記複製抑制情報に埋め込む機器連携情報付加ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像データの出力先となる画像形成装置において不正コピーの抑制方法を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の概要を説明する図である。
【図2】第一の実施形態の画像形成システムのシステム構成例を示す図である。
【図3】第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】第一の実施形態の画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
【図5】第一の実施形態の機器連携情報の一例を示す図である。
【図6】第一の実施形態における機器連携情報の設定を説明するフローチャートである。
【図7】機器連携情報を設定する際の各選択画面と各設定画面の例を示す図である。
【図8】第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明するフローチャートである。
【図9】第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明するシーケンス図である。
【図10】第二の実施形態の画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
【図11】第二の実施形態のユーザ情報の一例を示す図である。
【図12】第二の実施形態の画像形成システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。図1は、本発明の概要を説明する図である。
【0014】
本発明は、例えば複数の画像形成装置がネットワークを介して接続された画像形成システムにおいて、複数の画像形成装置を用いて画像データの出力を行う連携出力を行う場合に適用される。図1は、画像形成装置100により出力対象の画像データが読み取られ、画像形成装置200、300のそれぞれで出力される場合を示している。
【0015】
以下の説明では、原稿10を読み取った原稿画像データと、不正コピーを防止するためのマスクパターンとを含む原本画像データを出力した画像を原本20とする。またマスクパターンには、連携先となる画像形成装置毎の不正コピーの防止方法を特定する機器連携情報が埋め込まれている。原本画像データの詳細は後述する。
【0016】
原本画像データは、画像形成装置100が原稿10を読み取ってマスクパターンを含める画像処理を行い生成し、画像形成装置200、300へ送信しても良い。また原本画像データは、画像形成装置100が原本20を読み取った結果として画像形成装置200、300に送信されても良い。
【0017】
画像形成装置200、300は、原本画像データを受信すると、マスクパターンに埋め込まれた機器連携情報に基づき各画像形成装置における原稿10の不正コピーの防止方法を特定し、特定した方法にしたがって原本複製を出力する。
【0018】
例えば画像形成装置200は、不正コピーの防止方法として、原本20に牽制文字を含める処理を行い、その結果を原本複製20Aとして出力する。原本複製20Aは牽制文字により不正コピーの抑制が期待できる。
【0019】
また例えば画像形成装置300は、原本20に含まれる画像を破壊した状態の原本複製20Bを出力する。原本複製20Bでは、画像が破壊されているため、不正コピーの抑制が期待できる。
【0020】
このように本発明では、原本20の出力先となる画像形成装置毎に、不正コピーの抑制方法を設定することができる。
【0021】
(第一の実施形態)
図2は、第一の実施形態の画像形成システムのシステム構成例を示す図である。本実施形態の画像形成システム400は、画像形成装置100、200、300が例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続されて構成される。尚本実施形態では、画像形成システム400は3台の画像形成装置を有するものとしたが、画像形成システム400に含まれる画像形成装置の台数は任意の数であって良い。
【0022】
図3は、第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態の画像形成システム400に含まれる画像形成装置100、200、300は、それぞれが同様のハードウェア構成を有するため、一例として画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0023】
画像形成装置100は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置11、出力装置12、ドライバ13、HDD(Hard disk drive)14、メモリ装置15、演算処理装置(Central Processing Unit)16、インターフェース装置17、操作パネル18で構成される。
【0024】
入力装置11は画像データを入力するためのものであり、例えばスキャナ等である。出力装置12は画像データを出力するためのものであり、例えばプロッタ等である。操作パネル18は、表示機能を有するタッチパネル等で実現され、画像形成装置100を操作するための操作画面が表示される。また操作パネル18は、画像形成装置100による処理の進捗の案内画面等が表示される。
【0025】
インターフェース装置17は、モデム、LAN(Local Area Network)カードなどで構成されており、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0026】
本発明の画像形成プログラムは、画像形成装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。画像形成プログラムは例えば記録媒体19の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。画像形成プログラムを記録した記録媒体19は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0027】
また、画像形成プログラムを記録した記録媒体19がドライバ13にセットされると、画像形成プログラムは記録媒体19からドライバ13を介してHDD14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた画像形成プログラムは、インターフェース装置17を介してHDD14にインストールされる。
【0028】
HDD14は、インストールされた画像形成プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置15は、コンピュータの起動時にHDD14から画像形成プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16はメモリ装置15に格納された画像形成プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0029】
図4は、第一の実施形態の画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。本実施形態の画像形成システム400に含まれる画像形成装置100、200、300は、それぞれが同様の機能構成を有するため、一例として画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0030】
本実施形態の画像形成装置100は、出力設定部110、画像転送部111、複製抑制情報付加部112、複製抑制情報検知部113、機器連携情報付加部114、機器連携情報検知部115、機器連携情報読取部116を有する。
【0031】
出力設定部110は、インターフェース装置17を介して、画像形成装置200、300を含む他の機器と動作設定及び設定変更の共有を行う。画像転送部111は、インターフェース装置17を介して、像形成装置200、300を含む他の機器へ画像データの転送を行う。
【0032】
複製抑制情報付加部112は、入力装置11により入力された画像データに原稿の不正コピーを抑制する複製抑制情報を埋め込む処理を行う。本実施形態の複製抑制情報とは、原稿画像データに埋め込まれるマスクパターンと後述する機器連携情報とを含む。尚本実施形態のマスクパターンは、例えばメモリ装置15及び/又はHDD14に予め格納されていても良く、複製抑制情報付加部112は格納されたマスクパターンを読み出して処理を実行しても良い。また本実施形態の複製抑制情報付加部112は、操作パネル18から、原稿画像データに対するマスクパターンの付加が指示された場合に、マスクパターンを埋め込む処理を行っても良い。
【0033】
複製抑制情報検知部113は、入力装置11により入力された画像データにマスクパターンが埋め込まれているか否かを検知する。具体的には例えば、入力装置11に含まれるスキャナにより読み取られた原稿画像データに基づき、マスクパターンが埋め込まれているか否かを検知する。
【0034】
機器連携情報付加部114は、機器連携情報をマスクパターンに付加する。本実施形態の機器連携情報は、画像形成システム400に含まれる画像形成装置毎の不正コピーの抑制方法を特定する情報である。また本実施形態の機器連携情報は、例えば原本画像データの送信者等により予め設定された情報として、メモリ装置15及び/又はHDD14に格納されていても良い。機器連携情報付加部114は、格納された機器連携情報を読み出して、機器連携情報をマスクパターンに埋め込む処理を行っても良い。また本実施形態の機器連携情報付加部114は、操作パネル18から、マスクパターンに対する機器連携情報の付加が指示された場合に、機器連携情報を付加する処理を行っても良い。
【0035】
機器連携情報検知部115は、入力装置11により入力された画像データに埋め込まれたマスクパターンに、機器連携情報が付加されているか否かを検知する。
【0036】
機器連携情報読取部116は、機器連携情報検知部115により機器連携情報の付加が検知されると、画像データから機器連携情報を読み取る。本実施形態の画像形成装置100は、機器連携情報を読み取ると、読み取った機器連携情報にしたがって入力された画像データを出力する。
【0037】
図5は、第一の実施形態の機器連携情報の一例を示す図である。本実施形態の機器連携情報50では、例えば画像形成装置を特定するための情報種類と、対象となる画像形成装置と、画像形成装置毎の不正コピーの抑制方法とが対応付けられている。
【0038】
機器連携情報50において、情報種別が個別装置であった場合、各画像形成装置100、200、300は画像形成装置の識別番号等により区別され、区別された画像形成装置毎に抑制方法が対応付けられる。具体的には例えば、情報種別が個別装置の場合、画像形成装置100による不正コピーの抑制方法は牽制文字の付加である。すなわち画像形成装置100から原本20を出力する際には、牽制文字が付加された原本複製20Aが出力される。
【0039】
情報種別が装置セグメントである場合、各画像形成装置はそれぞれの有するIPアドレスに基づくネットワークセグメントで区別され、区別された画像形成装置毎に抑制方法が対応付けられる。具体的には例えば、装置セグメントが「10.60.94.〜」の画像形成装置により原本20の複製を出力する際は、不正コピーの抑制は行わない(抑制方法無し)。
【0040】
情報種別が装置同士の関連情報であった場合、原本画像データの送信元となる画像形成装置と原本複製の出力先となる画像形成装置との関連と、不正コピーの抑制方法とが対応付けられている。具体的には例えば、原本画像データの送信元が画像形成装置100であり、原本複製の出力先が画像形成装置300である場合、抑制方法は画像破壊となる。
【0041】
図6は、第一の実施形態における機器連携情報の設定を説明するフローチャートである。
【0042】
本実施形態の画像形成装置100は、操作パネル18により、原稿画像データに対するマスクパターンの埋め込み要求を受けて(ステップS601)、操作パネル18にマスクパターンに機器連携情報を付加するか否かを選択させる第一選択画面を表示させる(ステップS602)。
【0043】
第一選択画面において機器連携情報を付加しない選択がなされると(ステップS603)、複製抑制情報付加部112は、原稿画像データにマスクパターンのみを埋め込んだ画像を原本画像データとし、原本画像を出力する(ステップS604)。
【0044】
第一選択画面において機器連携情報の付加が選択されると(ステップS603)、画像形成装置100は操作パネル18に、付加する機器連携情報の情報種別を選択させる第二選択画面を表示させる(ステップS605)。第二選択画面において(ステップS606)、情報種別に個別装置が選択されると、画像形成装置100は操作パネル18に、個別装置毎の抑制方法を設定する第一設定画面を表示させる(ステップS607)。画像形成装置100は、第一設定画面において個別装置毎の抑制方法が設定されると(ステップS608)、設定された情報を機器連携情報50として記憶する(ステップS609)。
【0045】
ステップS608において第一設定画面での設定が完了し、且つ他の情報種別の抑制方法を設定する場合、ステップS605へ戻る。
【0046】
続いてステップS606の第二選択画面で、情報種別に装置セグメントが選択された場合、画像形成装置100は操作パネル18に、装置セグメント毎の抑制方法を設定する第二設定画面を表示させる(ステップS610)。第二設定画面において装置セグメント毎の抑制方法が設定されると(ステップS611)、画像形成装置100は、ステップS609で設定された情報を機器連携情報50として記憶する。
【0047】
ステップS609において第二設定画面での設定が完了し、且つ他の情報種別の抑制方法を設定する場合、ステップS605へ戻る。
【0048】
続いてステップS606の第二選択画面で、情報種別に画像形成装置同士の関連情報が選択された場合、画像形成装置100は操作パネル18に、関連情報毎の抑制方法を設定する第三設定画面を表示させる(ステップS612)。第三設定画面において装置セグメント毎の抑制方法が設定されると(ステップS613)、画像形成装置100は、ステップS609で設定された情報を機器連携情報50として記憶する。
【0049】
続いて画像形成装置100は、原本画像20の複製(コピー)の出力指示を受けると、機器連携情報付加部114は、機器連携情報50を参照し、マスクパターンに機器連携情報50を埋め込み、機器連携情報50が埋め込まれたマスクパターンを原稿画像データと合成した原本画像データを生成する(ステップS614)。本実施形態の機器連携情報付加部114は、機器連携情報50を例えばバーコードに代表される1次元コードやQRコード、CPコード等の2次元コードに落とし込んで、マスクパターンに付加する。
【0050】
続いて画像形成装置100は、原本画像データを原本20として出力(印刷)する(ステップS615)。
【0051】
本実施形態の画像形成装置100では、以上の処理により、機器連携情報50を設定し、機器連携情報50が付加された原本20を出力する。尚本実施形態では、機器連携情報50の設定と、原本20の出力とを一連の処理として説明したが、これに限定されない。例えばステップS605からステップS613までの機器連携情報50の設定に係る処理は、任意のタイミングで行われても良く、原本20の出力指示と連続して行われなくても良い。
【0052】
図7は、機器連携情報を設定する際の各選択画面と各設定画面の例を示す図である。図7に示す画面71は、ステップS602で操作パネル18に表示される第一選択画面の例である。画面71において機器連携情報50を付加する選択が成されると、操作パネル18の表示は、画面71から画面72へ遷移する。画面72はステップS605で表示される第二選択画面の例である。
【0053】
操作パネル18の表示は、画面72における情報種別の選択に応じて、画面73、74、75の何れかに遷移する。画面73はステップS607で表示される第一設定画面の例であり、画面74はステップS610で表示される第二設定画面の例であり、画面75はステップS612で表示される第三設定画面の例である。
【0054】
次に図8を参照して本実施形態の画像形成システム400の動作を説明する。図8は、第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明するフローチャートである。図8では、画像形成装置100で読み取った原本20を画像形成装置200で出力する場合を示している。
【0055】
画像形成システム400において、画像形成装置100が画像形成装置200での原本20の複製(原本複製)の出力要求を受けると(ステップS801)、画像形成装置100の入力装置11により原本20を読み取って原本画像データとする(ステップS802)。尚この原本20は、原稿10に、機器連携情報50が付加されたマスクパターンが合成された画像である(図1参照)。よって原本画像データは、原稿画像データと、機器連携情報50が付加されたマスクパターンのデータとが含まれる。
【0056】
続いて画像形成装置100は、原本画像データを画像形装置200へ転送する(ステップS803)。画像形成装置200は、原本画像データと、原本画像データの印刷要求とを受信する(ステップS804)。
【0057】
続いて画像形成装置200は、原本画像データに機器連携情報50が付加されているか否かを検知する(ステップS805)。ステップS805において、原本画像データに機器連携情報50が付加されていない場合、画像形成装置200は、画像形成装置100において原本20の出力要求を行ったユーザのユーザ情報に基づき不正コピーの抑制方法を判断して原本20の複製を出力する(ステップS806)。尚ユーザ情報に基づく抑制方法の判断の詳細は、第二の実施形態で説明する。
【0058】
ステップS805において機器連携情報50が付加されていた場合、画像形成装置200は、機器連携情報50から画像形成装置200に関する情報を取得する(ステップS807)。
【0059】
続いて画像形成装置200は、ステップS807で取得した情報に基づき、画像形成装置200での不正コピーの抑制方法を判断する(ステップS808)。ステップS808において抑制方法が無しに設定されていた場合、画像形成装置200は原本画像データをそのまま出力する(ステップS809)。
【0060】
ステップS808において抑制方法が牽制文字の付加であった場合、画像形成装置200は原本画像データに牽制文字を合成し、牽制文字を含む原本複製20A(図1参照)として出力する(ステップS810)。尚牽制文字のデータは、機器連携情報50に含まれていても良いし、画像形成装置200のメモリ装置及び/又はHDDに格納されていても良い。
【0061】
ステップS808において抑制方法が画像破壊あった場合、画像形成装置200は画像が破壊された原本複製20B(図1参照)として出力する(ステップS811)。
【0062】
以下に図9を参照して各画像形成装置の処理についてさらに説明する。図9は、第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明するシーケンス図である。図9では、画像形成装置200の有する各部は、名称が対応する画像形成装置100の各部と同様の機能を有するため、説明を省略する。
【0063】
画像形成装置100において、ユーザが画像形成装置200による原本複製の出力を操作すると(ステップS901)、操作パネル18は出力設定部110へ画像形成装置200との接続要求を行う(ステップS902)。続いて出力設定部110は、画像形成装置200の出力設定部210へ接続要求を行う(ステップS903)。画像形成装置200において出力設定部210は、接続要求を受けて画像形成装置100の出力設定部110と接続する(ステップS904)。出力設定部210は、接続が完了すると、接続結果を画像形成装置100へ返す(ステップS905〜ステップS907)。
【0064】
画像形成装置100に接続完了が通知された後に原本複製の出力指示が成されると(ステップS908)、操作パネル18は出力設定部110へ原本複製の連携出力の開始を通知する(ステップS909)。出力設定部110は、画像形成装置200の出力設定部210に連携出力の開始を通知する(ステップS910)。画像形成装置200において、出力設定部210は、連携出力の開始の通知を受けて(ステップS911)、連携可能であることを画像形成装置100の操作パネル18へ通知する(ステップS912,913)。
【0065】
画像形成装置100において、操作パネル18は。原本20の読取指示を入力装置11へ通知する(ステップS914)。入力装置11は、読取指示を受けて原本20の読取処理を行う(ステップS915)。尚原本20は、原稿10に、機器連携情報50が付加されたマスクパターンが合成された画像である。
【0066】
入力装置11は、読取処理が完了すると、通知を画像転送部111へ読取完了を通知する(ステップS916)。画像転送部111は、読取完了の通知を受けて入力装置11へ読み取られた原本画像データの取得を要求し(ステップS917)、入力装置11から原本画像データを取得する(ステップS918)。
【0067】
画像転送部111は、原本画像データを取得すると、画像形成装置200の画像転送部211へ原本画像データを転送する(ステップS919)。画像転送部211は、原本画像データを受信すると、複製抑制情報検知部213に対して複製抑制情報の検知要求を通知する(ステップS920)。尚複製抑制情報とは、マスクパターンのデータやマスクパターンに埋め込まれた機器連携情報50である。
【0068】
複製抑制情報検知部213は、検知要求の通知を受けて、複製抑制情報を検知し、機器連携情報検知部215に対して機器連携情報50の検知要求を通知する(ステップS921)。機器連携情報検知部215は、この通知を受けて、機器連携情報読取部216に、機器連携情報50の読取要求を通知する(ステップS922)。
【0069】
機器連携情報読取部216は、読取要求の通知を受けて、原本画像データに含まれるマスクパターンに埋め込まれた機器連携情報50を読み取り(ステップS923)機器連携情報検知部215へ渡す(ステップS924)。機器連携情報検知部215は、機器連携情報50を複製抑制情報検知部213へ渡す(ステップS925)。複製抑制情報検知部213は、機器連携情報50に含まれる画像形成装置200における不正コピーの抑制方法を出力設定部210へ通知する(ステップS926)。
【0070】
出力設定部210は、この通知を受けて、出力装置22へ原本画像データの出力設定を行う(ステップS927)。続いて出力装置22は、原本画像データに対して出力設定に従った抑制方法を実現する画像処理を行い(ステップS928)、原本画像データを原本複製として出力する(ステップS929)。
【0071】
尚本実施形態の機器連携情報50では、画像形成装置100から読み取った原本画像データの複製を画像形成装置200で出力する場合、抑制方法は無しとなっているため、出力装置22は特別な画像処理を行わずに原本画像データを出力する。また画像形成装置100が読み取った原本画像データの複製を画像形成装置300で出力する場合、抑制方法は画像破壊となっている。よって出力装置22は、原本画像データを破壊する画像処理を行い、画像が破壊された原本を原本複製として出力する。また画像形成装置200で読み取った原本画像データの複製を画像形成装置300で出力する場合、抑制方法は牽制文字となっている。よって出力装置22は、原本画像データに牽制文字を埋め込む画像処理を行い、牽制文字が含まれる原本を原本複製として出力する。
【0072】
以上に説明したように、本実施形態では、連携出力を行う際に、画像形成装置毎の不正コピーの抑制方法を設定し、画像形成装置毎に設定された抑制方法を示す情報を複製抑制情報に埋め込んだ原本を作成する。このためこの原本を読み取った画像形成装置では、自機での不正コピーの抑制方法を把握することができる。よって本実施形態では、連携出力を行う際に、原本画像データの出力先となる画像形成装置において不正コピーの抑制方法を変更することが可能となる。
【0073】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態では、機器連携情報にユーザ情報も含まれる点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0074】
図10は、第二の実施形態の画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。本実施形態の画像形成装置100Aは、機器連携情報付加部114A、機器連携情報検知部115A、機器情報読取部116A、機器情報付加部117、ユーザ情報付加部118、ユーザ情報読取部119を有する。
【0075】
本実施形態の機器連携情報付加部114Aは、後述する機器情報とユーザ情報とを機器連携情報としてマスクパターンに埋め込む。機器連携情報検知部115Aは、入力装置11から入力された画像データから、機器情報とユーザ情報とを含む機器連携情報50Aを検知する。
【0076】
機器情報付加部117は、後述する機器情報をマスクパターンに埋め込む。ユーザ情報付加部118は、ユーザ情報をマスクパターンに埋め込む。ユーザ情報読取部119は、機器連携情報50Aに含まれるユーザ情報を読み取る。
【0077】
本実施形態では、機器連携情報50Aに機器情報とユーザ情報を含むものとした。本実施形態の機器情報とは、第一の実施形態で説明した機器連携情報50である。すなわち本実施形態の説明では、第一の実施形態で説明した機器連携情報50と後述するユーザ情報とを含む情報を機器連携情報50Aと呼ぶ。
【0078】
図11は、第二の実施形態のユーザ情報の一例を示す図である。本実施形態のユーザ情報とは、原本画像データの出力先となる画像形成装置でユーザがログインしている場合に、不正コピーの抑制方法をユーザ情報に基づき特定するための情報である。
【0079】
図11のユーザ情報80では、ユーザ情報の種別と、対象となる情報と、抑制方法とが対応付けられている。図11では、ユーザ情報の種別はユーザIDである。よってユーザID毎の抑制方法が特定されている。
【0080】
本実施形態の画像形成装置100Aは、操作パネル18から複製抑制情報の付加が指示されると、機器情報付加部117により機器連携情報50をマスクパターンに埋め込み、さらにユーザ情報付加部118によりユーザ情報80をマスクパターンに埋め込む。よって本実施形態の機器連携情報50Aは、画像形成装置100Aによる原本20の出力の際に、機器連携情報50とユーザ情報80とを示すコードとして、マスクパターンに埋め込まれる。
【0081】
また本実施形態の機器連携情報50Aには、原本画像データの出力先の画像形成装置における不正コピーの抑制方法を特定する際に、機器連携情報50又はユーザ情報80のうち優先させる情報を示す情報が含まれることが好ましい。例えば機器連携情報50を優先する場合は、出力先の画像形成装置では、ユーザ情報80で設定されたユーザ毎の抑制方法は無視され、機器連携情報50にしたがった原本画像データの出力が実行される。同様にユーザ情報80を優先する場合は、出力先の画像形成装置では、機器連携情報50に設定された抑制方法は無視され、ユーザ情報80で設定された抑制方法により原本画像データの出力が実行される。
【0082】
本実施形態では、機器連携情報50とユーザ情報80のどちらを優先させるかは、予め設定され、機器連携情報50Aに含まれていることが好ましい。
【0083】
図12は、第二の実施形態の画像形成システムの動作を説明するフローチャートである。図12では、画像形成装置100Aが読み取った原本20の原本画像データの複製を画像形成装置200Aで出力する場合を示している。
【0084】
図12のステップS1201からステップS1204までの処理は、図8のステップS801からステップS804までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0085】
画像形成装置200Aは、原本画像データに機器連携情報50Aが付加されているか否かを検知する(ステップS1205)。ステップS1205において、機器連携情報50Aが付加されていない場合、画像形成装置200Aは、画像形成装置200Aから原本画像データを送信したユーザのユーザ情報に基づき原本画像データの出力を行う(ステップS1206)。この場合、例えば原本画像データを送信したユーザ情報が原本画像データと共に画像形成装置200Aに転送されても良い。またこの場合、原本画像データと共に画像形成装置200Aへ転送されるユーザ情報には、ユーザ毎の不正コピーの抑制方法が含まれていることが好ましい。
【0086】
ステップS1205において機器連携情報50Aが付加されていた場合、画像形成装置200Aは、機器連携情報50Aに機器連携情報50が含まれるか否かを検知する(ステップS1207)。ステップS1207において機器連携情報50Aに機器連携情報50が含まれない場合、ステップS1206へ進む。
【0087】
ステップS1207において機器連携情報50が含まれる場合、画像形成装置200Aは、画像形成装置200Aでユーザがログインしているか否かを判断する(ステップS1208)。ステップS1208においてユーザがログインしている場合、画像形成装置200Aは、抑制方法の特定において機器連携情報50とユーザ情報80のどちらを優先させるか否かを示す情報を機器連携情報50Aから取得する(ステップS1209)。
【0088】
続いて画像形成装置200Aは、機器連携情報50を優先するか否かを判断する(ステップS1210)。ステップS1210で機器連携情報50を優先する場合、画像形成装置200Aは、機器連携情報50Aから機器連携情報50を取得する(ステップS1211)。ステップS1210でユーザ情報80を優先する場合、画像形成装置200Aは、機器連携情報50Aからユーザ情報80を取得する(ステップS1212)。
【0089】
続いて画像形成装置200Aは取得した機器連携情報50又はユーザ情報80にしたがって、画像形成装置200Aでの不正コピーの抑制方法を判断する(ステップS1213)。
【0090】
ステップS1214からステップS1216の処理は、図8のステップS809からステップS811の処理と同様であるから説明を省略する。
【0091】
以上に説明したように、本実施形態では、画像形成装置毎に設定された抑制方法だけでなく、ユーザ毎に設定された抑制方法により、不正コピーを抑制することができる。
【0092】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0093】
100、100A、200 画像形成装置
110 出力設定部
111 画像転送部
112 複製抑制情報付加部
113 複製抑制情報検知部
114 機器連携情報付加部
115 機器連携情報検知部
400 画像形成システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2008−48080号公報
【特許文献2】特開2006−303870号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該画像形成装置と接続された他の画像形成装置と連携して画像データを出力する連携出力を行う画像形成装置であって、
原稿を読み取って画像データとする読み取り手段と、
前記画像データに前記原稿の複製を抑制する複製抑制情報を付加する複製抑制情報付加手段と、
前記連携出力により、前記他の画像形成装置により前記複製抑制情報が付加された前記画像データを出力する際に、前記他の画像形成装置における前記画像データの複製の抑制方法を特定する機器連携情報を前記複製抑制情報に埋め込む機器連携情報付加手段と、を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記他の画像形成装置から送信された画像データに前記複製抑制情報が付加されているか否かを検知する複製抑制情報検知手段と、
前記複製抑制情報に前記機器連携情報が含まれているか否かを検知する機器連携情報検知手段と、を有し、
前記機器連携情報が検知されたとき、前記機器連携情報において特定された当該画像形成装置における前記画像データの複製の抑制方法にしたがって前記画像データを出力する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記機器連携情報を設定する設定手段を有し、
前記機器連携情報は、前記設定手段により、
前記他の画像形成装置を識別する情報と、前記他の画像形成装置における前記抑制方法とが対応付けられて設定される請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記機器連携情報は、前記設定手段により、
前記他の画像形成装置のセグメント毎に前記他の画像形成装置における前記抑制方法が対応付けられて設定される請求項1ないし3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記機器連携情報は、前記設定手段により、
前記連携出力を行う前記他の画像形成装置の組み合わせ毎に前記他の画像形成装置における前記抑制方法が対応付けられて設定される請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
当該画像形成装置と接続された他の画像形成装置と連携して画像データを出力する連携出力を行う画像形成装置による画像形成方法であって、
原稿を読み取って画像データとする読み取り手順と、
前記画像データに前記原稿の複製を抑制する複製抑制情報を付加する複製抑制情報付加手順と、
前記連携出力により、前記他の画像形成装置により前記複製抑制情報が付加された前記画像データを出力する際に、前記他の画像形成装置における前記画像データの複製の抑制方法を特定する機器連携情報を前記複製抑制情報に埋め込む機器連携情報付加手順と、を実行する画像形成方法。
【請求項7】
当該画像形成装置と接続された他の画像形成装置と連携して画像データを出力する連携出力を行う画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置に、
原稿を読み取って画像データとする読み取りステップと、
前記画像データに前記原稿の複製を抑制する複製抑制情報を付加する複製抑制情報付加ステップと、
前記連携出力により、前記他の画像形成装置により前記複製抑制情報が付加された前記画像データを出力する際に、前記他の画像形成装置における前記画像データの複製の抑制方法を特定する機器連携情報を前記複製抑制情報に埋め込む機器連携情報付加ステップと、を実行させる画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−42387(P2013−42387A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178344(P2011−178344)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】