説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法

【課題】 従来、指紋跡除去機能を効率的に実施することができなかった。
【解決手段】 本発明によれば、本発明は、印刷ジョブを受信するデータ受信手段と、
前記印刷ジョブで指定された用紙を給紙する給紙手段と、
前記印刷ジョブに応じた画像を用紙に定着する定着手段と、
指紋跡付着領域の情報を記憶する記憶手段と、
前記指紋跡付着領域に従い、前記画像の形成前に前記給紙された用紙に対し、前記定着手段により付着した指紋跡を除去する指紋跡除去処理を実行するかしないか判定する判定手段を有する画像形成装置であって、
前記指紋跡除去処理を実行する場合、前記指紋跡除去処理を行った後に前記印刷ジョブに応じた画像の印刷を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は描画オブジェクトの状態に応じて印刷方法を切り替えるための画像形成装置ならびにその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、感光ドラム上に形成されたトナー画像を記録媒体に転写し、転写されたトナー画像を定着器にて加圧・溶融して記録媒体上に定着させて画像出力を得る電子写真方式の画像形成装置が知られている。前記画像形成装置において、印刷用紙に付着した人の油脂や水分(以降、指紋跡と表記)は、定着不良を発生させる原因となる(指紋跡は、印刷用紙の抵抗率を変化させ、トナー画像の転写、定着を妨げるため)。前記指紋跡による定着不良は、印刷に使用する用紙の種類、印刷に使用する色に関係して、度合いが変化する。
前記定着不良の問題を改善するために、印刷前に用紙を一度定着器に通し、その熱によって付着した指紋跡を蒸発させ、再度、用紙を搬送路へ戻し、印刷を実行する機能(以降、指紋跡除去機能と表記)を有する画像形成装置が存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−286108
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案された画像形成装置において、指紋跡除去機能は、ユーザー選択により、On(以降、指紋除去モードと表記)/Off(以降、通常モードと表記)を切り替えられる。指紋跡除去モードの場合、印刷に使用する全ての用紙は、一度定着ローラ対に通され、再度搬送路へ戻される。そのため、指紋跡除去モードは、通常モードに比べ印刷速度が遅い。
しかしながら、従来用紙の種類や各用紙の印刷内容によらず、指紋跡除去モードで印刷を実行する必要がない用紙であっても、指紋跡除去モードでの印刷を実行されていた(例えば、指紋跡の付着が用紙端のみにあり、かつ、用紙中央にしかトナー定着しないような印刷、や、指紋跡による定着不正が目立ちづらい色のみを使用する印刷、指紋跡による定着不正が目立ちづらい紙を用いた印刷等)。そのため、特許文献1の指紋跡除去モードでは、指紋跡が目立たない指紋跡除去処理が不要な用紙に対しても、印刷前に用紙を一度定着器に通すことで不要な印刷速度の遅延を発生させていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために本発明は、指紋跡除去を効率的に実行することを目的とする。本発明は、印刷ジョブを受信するデータ受信手段と、
前記印刷ジョブで指定された用紙を給紙する給紙手段と、
前記印刷ジョブに応じた画像を用紙に定着する定着手段と、
指紋跡付着領域の情報を記憶する記憶手段と、
前記指紋跡付着領域に従い、前記画像の形成前に前記給紙された用紙に対し、前記定着手段により付着した指紋跡を除去する指紋跡除去処理を実行するかしないか判定する判定手段を有する画像形成装置であって、
前記指紋跡除去処理を実行する場合、前記指紋跡除去処理を行った後に前記印刷ジョブに応じた画像の印刷を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、指紋跡付着領域に従い、給紙された用紙を画像の形成前に、前記定着手段により付着した指紋跡を蒸発させる指紋跡除去処理を実行するかしないか判定する判定手段を有することで、指紋跡除去モードでの印刷が必要か不要かを判定する機能を有する画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(A)は、画像形成システムの構造図である。 (B)は、コントローラユニットの構成図である。 (C)は、アプリケーションプログラムのブロック図である。 (D)は、アプリケーションプログラムの処理の一例を示した図である。
【図2】本実施例の印刷設定部の印刷設定画面の一例の図である。
【図3】本体操作部の装置印刷設定画面の一例の図である。
【図4】画像形成装置の側断面図である。
【図5】(A)は、本体操作部の指紋跡付着領域設定画面である。 (B)は、指紋跡付着領域幅の概念図である。
【図6】(A)は、本体操作部の手差し給紙の用紙サイズ設定画面である。 (B)は、本体操作部の手差し給紙の用紙種類設定画面である。
【図7】第1の実施例のフローチャートである。
【図8】(A)は、指紋跡付着領域と描画オブジェクトの位置関係の一例を示した図である。 (B)は、本体制御部の付着幅算出処理を示したフローチャートである。 (C)は、画像形成部の描画オブジェクトの位置算出処理を示したフローチャートである。 (D)は、本体制御部の指紋跡付着領域の接触判定処理を示したフローチャートである。
【図9】(A)は、接触部分の描画色値解析手段の一例を示した図である。 (B)は、本体制御部の描画色値判定処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0009】
[画像形成システムの構成]
図1(A)は、本実施形態の画像形成システム(113)の構成図である。画像形成システム(113)は、ネットワーク(103)を介して接続された単体、または、複数のクライアントPC(100、101、102)と画像形成装置(104)から成る。
【0010】
[クライアントPC(100、101、102)の構成]
クライアントPC(100、101、102)は、各種の印刷設定を行うことができる印刷設定部(105)と印刷ドライバ(106)から成る。
【0011】
図2は、印刷設定部(105)の設定画面の一例を示した図である。
印刷面設定(200)は、片面印刷/両面印刷の印刷設定を切り替えることができる。出力方法(201)は、印刷物の出力先(プリンタ、ユーザボックス、セキュアプリント等)を切り替えることができる。給紙部設定(202)は、画像形成装置(104)における用紙の給紙元を切り替える設定部である。印刷設定部(105)は、画像形成装置(104)から装置状態を取得し、その状態を表示することもできる。
【0012】
ユーザーによって行われた前記印刷設定は、印刷ドライバ(106)によって、ネットワーク(103)を介して画像形成装置(104)へ印刷ジョブとして送信される。以降の説明は、クライアントPC(100)から印刷ジョブが送信された例として説明する。
【0013】
[画像形成装置(104)の構成]
本実施例は、印刷装置を例に説明する。例えば、画像形成装置(104)として複写機、スキャン、センド、プリント機能を有する複合機など、印刷装置以外の機能を有する装置であっても、印刷機能と操作機能を有する画像形成装置(104)であれば、本実施例での運用は可能である。
【0014】
画像形成装置(104)は、データ送受信部(107)、コントローラユニット(108)、本体操作部(109)、給紙部(110)、画像形成部(111)、排紙部(112)から成る。
【0015】
以降でそれぞれの構成について説明する。
【0016】
[データ送受信部(107)の構成]
データ送受信部(107)は、クライアントPC(100)からネットワーク(103)を介して投入された前記印刷ジョブを投入された順番にコントコーラユニット(108)へ送る。前記印刷ジョブは、PDL(page description languageの略:以降、PDLと表記)と呼ばれるプリンタ言語で書かれている。また、データ送受信部(107)は、クライアントPC(100)からの装置情報取得要求を受信し、コントローラユニット(108)に前記要求を送る。さらにデータ送受信部(107)は、前記要求に対するコントローラユニット(108)からの返信データをクライアントPC(100)へ送信する。
【0017】
[コントローラユニット(108)の構成]
コントローラユニット(108)は、前記印刷ジョブや装置デバイス(データ送受信部(107)、本体操作部(109)、給紙部(110)、画像形成部(111)、排紙部(112))の制御を行う。
【0018】
図1(B)は、CPU(114)、システムバス(115)、RAM(116)、ROM(117)、HDD(118)から成るコントローラユニット(108)の一例を示した構成図である。CPU(114)は、ROM(117)または、HDD(118)に記憶されたプログラム(ブートプログラム、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム)をRAM(116)上に読み出し、起動させる。HDD(118)は、前記印刷ジョブ実行に必要な一時記憶領域としても使用される。アプリケーションプログラム(119)は、CPU(114)によって起動され、前記印刷ジョブの実行や前記装置デバイスの制御を行う。
【0019】
図1(C)は、前記アプリケーションプログラム(119)の一例を示したブロック図である。アプリケーションプログラム(119)は、本体制御部(120)、PDL処理部(121)、RIP(Raster Image Processerの略)部(122)から成る。図1(D)は、前記アプリケーションプログラムの処理の一例を示した図である。本体制御部(120)は、主に前記印刷ジョブの印刷処理や前記装置デバイスの制御を行う。本体制御部(120)は、前記印刷ジョブに含まれるPDL(123)をPDL処理部(121)へ送る。PDL処理部(121)は、本体制御部(120)から受け取ったPDL(123)を解析する。次にPDL処理部(121)は、前記解析の結果から描画オブジェクト(124、125)を生成する。描画オブジェクト(124、125)には、前記解析の結果から得られた描画位置、描画形状、描画色値等の情報が含まれる。さらにPDL処理部(121)は、解析した順(124、125の順)にRIP部(122)へ送る。RIP部(122)は、PDL処理部(121)から受け取った描画オブジェクト(124、125)を元に画像データ(126)を生成する。描画オブジェクトに重なる部分がある場合、RIP部(122)は、基本的に後優先で処理する。そのため、画像データ(126)に示したように重なる部分の描画には、描画オブジェクト125の描画が適用される(オーバープリント技術を用いる場合は、この限りではない)。RIP部(122)は、画像データ(126)を本体制御部(120)へ送る。本体制御部(120)は、前記画像データを画像形成部(111)で処理するまで保持する。
【0020】
[本体操作部(109)の構成]
本体操作部(109)では、ユーザーによる装置印刷設定の参照、変更操作が可能である。本体操作部(109)は、ユーザーによって変更された装置印刷設定を本体制御部(120)へ送る。本体制御部(120)は、前記印刷ジョブを前記装置印刷設定と共に処理する。図3は、本体操作部(109)の前記装置印刷設定の設定画面の一例である。前記設定画面は、コピー部数設定(300)や両面印刷設定(301)、給紙設定(302)等の各種の装置印刷設定を表示し、ユーザー操作による設定変更を行う。また、本体操作部(109)では、本体制御部(120)から印刷ジョブ状態等を取得し、表示することもできる。
【0021】
[給紙部(110)の構成]
図4は、給紙部(110)、画像形成部(111)の側断面図である。給紙部(110)は、カセット給紙段(411)、手差し給紙段(410)、PODデッキ(412)で構成される。給紙部(110)は、ユーザーによって、様々な用紙を設置可能である。
【0022】
[画像形成部(111)の構成]
図4は、給紙部(110)、画像形成部(111)の側断面図である。画像形成部(111)は、本体制御部(120)に保存された前記画像データを元にし、用紙に画像を形成する。画像形成部(111)は、レーザドライバ(400)を有する。レーザドライバ(400)は、前記画像データに基づきレーザ発光部(401)を駆動させる。これにより、レーザ発光部(401)は、前記画像データに応じたレーザ光を発光する。前記レーザ光は、感光ドラム(402)上に照射される。感光ドラム(402)は、照射されたレーザ光により、静電潜像を形成する。前記静電潜像は、現像器から供給されたトナーによりトナー像として可視像化される。印刷に使用される用紙は、前記レーザ光の照射タイミングに同期して、給紙部(110)から、搬送路を介して感光ドラム(402)と転写部(403)との間に給紙される。感光ドラム(402)上の前記トナー像は、転写部(403)により、前記給紙された用紙上に転写される。
【0023】
本実施例の画像形成装置(104)において、搬送される用紙の表裏の向きは、使用する給紙部(110)の構成によって異なる。手差し給紙段(410)や、PODデッキ(412)からの給紙は、感光ドラム右側の搬送路(408)を使用する。本体カセット(411)からの給紙は、感光ドラム下側の搬送路(409)を使用する。
【0024】
前記トナー像が転写された用紙は、搬送ベルトを介して定着ローラ対(加熱ローラと加圧ローラ)(404)に送られる。定着ローラ対(404)は、用紙を熱圧し、用紙上のトナー像を定着させる。この定着ローラ対(404)を通過した用紙は、排紙ローラ対(405)により排紙部(112)に排紙される。
【0025】
画像形成部(111)は、前記両面印刷指定された印刷ジョブに従い、印刷ジョブ中で指定された用紙に一度画像を形成した後、排紙ローラ対(405)の回転方向を逆転させ、フラッパ(406)によって、前記用紙を再度、再給紙搬送路(407)に導く。再給紙搬送路(407)に導かれた用紙は、前記照射タイミングに同期して、再度、感光ドラム(402)と転写部(403)との間に給紙され、先ほど画像形成された面とは逆の面にトナー像を転写される。その後、前記用紙は、定着ローラ対(404)にて再度トナーを定着されることで両面に画像が形成される。最後に排紙ローラ対(405)により、排紙部(112)へ排紙される。
【0026】
用紙に付着した指紋跡は、定着ローラ対(404)を一度通すことでその熱によって蒸発、除去される。そのため、指紋跡の除去が指定された状態(以降、指紋跡除去モード)の印刷ジョブに応じた画像が形成される用紙は、前記両面印刷指定された印刷ジョブの用紙と似た処理を施される。前記用紙は、一度目の感光ドラム(402)と転写部(403)を通る際、何も転写されない。その後の定着ローラ対(404)において、加熱はされるがトナーの転写はされていないため、本来画像データが印刷される面は、白紙となる。そして、前記用紙は、両面印刷指定された印刷ジョブに応じた画像が形成される用紙と同様に再給紙搬送路(407)等を経て、再度、感光ドラム(402)と転写部(403)の間に給紙される。この際、前記用紙の本来印刷されるべき面とは逆の面に、画像データに応じたトナー像が転写され、定着ローラ対(404)によって、このトナー像は用紙に定着される。指紋跡除去モードの印刷ジョブは、両面印刷指定の印刷ジョブと似た給紙搬送路を使用するため、図2の印刷設定部において、不図示の仕上げタブからの設定が片面印刷(再給紙搬送路(407)は使用しない印刷)のときのみだけ使用できる。
【0027】
[排紙部(112)の構成]
排紙部(112)は、画像形成部(111)でトナー像を定着された用紙を排紙する排紙段で構成される。排紙部(112)は、出力される用紙の種別形態により、様々な排紙段で構成される。
【0028】
[第1の実施例]
図5(A)〜図8(D)を用いて第1の実施例について説明する。第1の実施例は、用紙上に形成される画像の位置によって、指紋跡除去モードでの印刷が必要かどうかを判定する例である。
【0029】
本体制御部(120)は、クライアントPC(100)から投入された印刷ジョブの設定や本体操作部(109)から本体制御部(120)へ設定された装置印刷設定が片面印刷である場合、指紋跡除去/(指紋跡除去を行わない)通常モード判定を実施する。尚、指紋跡除去とは、従来技術で説明したように、画像の印刷前の用紙(白紙の用紙)を一度定着器に通し、その熱によって付着した指紋跡を蒸発させ、再度、用紙を搬送路へ戻し、通常の画像印刷を実行する処理である。本体制御部(120)は、RIP部(122)によって生成された画像データに含まれる各描画オブジェクトの位置と指紋跡付着領域とを比較して、指紋跡除去モードと通常モードを切り替える。
【0030】
尚、通常の画像印刷、通常モードとは、印刷ジョブ(コピージョブ)により指定された用紙を給紙し、印刷ジョブ(コピージョブ)に従い生成された描画オブジェクト(画像)を潜像、転写、定着を行うことで印刷を行う処理である。通常の画像印刷、通常モード時には、画像の印刷前の用紙(白紙の用紙)を一度定着器(定着ローラ対)に通し、その熱によって付着した指紋跡を蒸発、除去させ、再度、用紙を搬送路へ戻す指紋跡除去は行われないことは言うまでもない。
【0031】
以降で、詳細な動作について説明する。
【0032】
[指紋跡付着領域設定]
指紋跡は、一般的に用紙をユーザーが持った際、用紙に付着する。そのため、前記指紋跡は、用紙端(上下左右)に付着し、用紙中央には付着しづらい。そこで、指紋跡付着領域は、指紋跡が付着しやすい前記用紙端を示す領域として、図5(A)に示すような前記用紙の各辺端からの指紋跡付着領域幅(500)として設定される。
【0033】
図5(B)は、前記指紋跡付着領域幅(500)の設定画面の一例を示すものである。前記設定画面は、ユーザー操作により本体操作部(109)に表示される。本実施例では、指紋跡付着領域幅(502)は、ユーザーの操作により用紙の種類毎(501)に設定される。
【0034】
本体操作部(109)は、前記設定画面を表示する際、本体制御部(120)が保持している指紋跡付着領域幅(502)を取得する。本体操作部(109)は、ユーザーにより指紋跡付着領域幅(502)が設定されており、指紋跡付着領域幅が取得出来た用紙の場合、普通紙の項目のように取得した値(505)を表示する。本体操作部(109)は、指紋跡付着領域幅(502)が取得出来なかった用紙の場合、再生紙の項目のように何も表示しない(506)。前記設定画面では、ユーザー操作により直接、指紋跡付着領域幅(502)の変更を行える。本体操作部(109)は、前記設定画面からユーザー操作により、OKボタン(503)が押されたとき、各用紙の指紋跡付着領域幅(502)を本体制御部(120)に送る。本体制御部(120)は、受け取った指紋跡付着領域幅(502)を指紋跡除去モードと通常モードの切替判定に使用するために保持する。本体操作部(109)は、前記設定画面からのユーザー操作により、戻るボタン(504)が押されたとき、本体制御部(120)に対して何もデータを送らない。
【0035】
[給紙用紙設定]
本実施例では、印刷に必要な用紙が手差し給紙段(410)に補給されたときを例として、給紙段設定の説明を行う。本実施例は、他の給紙段においても運用可能である。
【0036】
給紙部(110)は、手差し給紙段(410)に用紙が補給された場合、前記用紙を検知し、本体制御部(120)を介し、本体操作部(109)に給紙段設定要求を送る。本体操作部(109)は、前記給紙段設定要求を受け取ると図6(A)に示す給紙用紙設定の用紙サイズ選択画面を表示させる。
【0037】
前記用紙サイズ選択画面は、ユーザーにより用紙サイズ(600)を選択された状態で次へボタン(601)が押されると図6(B)に示す給紙用紙設定の用紙種別選択画面に遷移する。本体操作部(109)は、前記用紙種別選択画面にて、ユーザーにより用紙種別(602)が選択された状態でOKボタン(603)が押された場合、本体制御部(120)に選択された給紙用紙情報を送る。本体制御部(120)は、受け取った前記給紙用紙情報を給紙段別に保持する。前記用紙種別選択画面は、戻るボタン(604)が押された場合、前記用紙サイズ選択画面に遷移する。
【0038】
[指紋跡除去/通常モードの切替判定動作]
本体制御部(120)は、印刷ジョブの指紋跡除去/通常モードの切替判定をするために前記給紙用紙情報を使用する。
【0039】
図7は、本実施例での指紋跡除去/通常モードの切替判定の動作を示したフローチャートである。本体制御部(120)は、RIP部(122)が処理した用紙一枚分の前記画像データ(図1(D)126)を受け取る(S700)。次に本体制御部(120)は、給紙部(110)より取得した前記給紙用紙情報(S701)を用いて、事前に保持しておいた指紋跡付着領域幅(502)を取得し、その有無判定(S702)を実行する。本体制御部(120)は、印刷に使用する用紙に対して指紋跡付着領域幅(502)が無かった場合、通常モードで印刷を実行するように装置デバイス(給紙部(110)、画像形成部(111)、排紙部(112))を制御する(S705)。本体制御部(120)は、印刷に使用する用紙に対して指紋跡付着領域幅(502)が有った場合、接触判定(S703 詳細は、後述の図8(A)(B)(C)(D)にて説明する)を実行する。本体制御部(120)は、前記接触判定の結果、接触ありの場合、指紋跡除去モードで印刷を実行するように装置デバイス(給紙部(110)、画像形成部(111)、排紙部(112))を制御する(S704)。本体制御部(120)は、前記接触判定の結果、接触なしの場合、通常モードで印刷を実行するように装置デバイス(給紙部(110)、画像形成部(111)、排紙部(112))を制御する(S705)。最後に本体制御部(120)は、最終ページの印刷処理が終了したかを判定する(S706)。本体制御部(120)は、最終ページ処理の印刷処理が終わっていない場合、再度、用紙1枚分処理を開始することで、印刷が行われる複数枚の用紙に対して用紙毎に接触判定が行われる。本体制御部(120)は、最終ページの印刷処理が終わっていた場合、全印刷処理を終了する。
【0040】
[接触判定]
図8(A)は、本実施例での指紋付着領域(800)と描画オブジェクト(806、807)との関係の一例を座標系を含めて示したものである。図8(A)は、用紙の左上端を座標原点(801)と定め、横軸をX軸(804)、縦軸をY軸(805)として示している。X軸(804)は、右方向を+方向としている。Y軸(805)は下方向を+方向としている。本実施例の用紙は、縦に長い用紙(ポートレート)を例に記載しているため、用紙サイズ高(803) > 用紙サイズ幅(802)となっている。前記用紙は、印刷に使用する用紙サイズが変われば、用紙サイズ高(803)、用紙サイズ幅(802)の位置も変化する。用紙端の斜線の領域は、指紋付着領域(800)を示している。本体制御部(120)は、一つでも指紋付着領域と接触する描画オブジェクト(806)が存在することを認識すると、指紋跡除去モードで印刷を実行する。本体制御部(120)は、用紙1枚内の全ての描画オブジェクトが指紋付着領域と接触しないと認識(807)すると、通常モードで印刷を実行する。
【0041】
図8(B)は、本体制御部(120)で実行される指紋跡付着領域算出処理の一例を示したフローチャートである。本体制御部(120)は、ユーザーによって本体操作部(109)から入力された前記指紋跡付着領域幅(502)から付着幅左Xを算出する(S809)。本体制御部(120)は、給紙部(110)から受け取った前記用紙サイズの幅(802)から前記指紋跡付着領域幅(502)を減算することで付着幅右Xを算出する(S810)。本体制御部は(120)は、前記指紋跡付着領域幅(502)から付着幅上Yを算出する(S811)。本体制御部は(120)は、給紙部(110)から受け取った前記用紙サイズの高(803)から前記指紋跡付着領域幅(502)を減算することで付着幅下Yを算出する(S812)。
【0042】
図8(C)は、RIP部(122)で行われる描画オブジェクトの描画位置算出の概念図である。RIP部(122)は、描画オブジェクトの形状を解析し、前記形状が囲える最小の矩形(813)を算出する。RIP部(122)は、用紙の左上端を座標原点(0,0)とするならば、前記最小の矩形で原点に一番距離が近い角(814)のX座標X1を描画左位置Xとして算出する。RIP部(122)は、用紙の左上端を座標原点(0,0)とするならば、前記最小の矩形で原点に一番距離が近い角(814)のY座標Y1を描画上位置Yとして算出する。RIP部(122)は、用紙の左上端を座標原点(0,0)とするならば、前記最小の矩形の原点から一番距離が遠い角(815)のX座標X2を描画右位置Xとして算出する。RIP部(122)は、用紙の左上端を座標原点(0,0)とするならば、前記最小の矩形の原点から一番距離が遠い角(815)のY座標Y2を描画下位置Yとして算出する。RIP部(122)は、用紙1枚分の全描画オブジェクトの描画位置算出結果を画像データに含めて、本体制御部(120)へ送る。
【0043】
図8(D)は、前記接触判定の一例を示したフローチャートである。本体制御部(120)は、前記付着幅と前記描画オブジェクトの描画位置算出結果を用いて、接触判定を実行する。本体制御部(120)は、前記付着幅左X ≧ 前記描画左位置Xの場合、接触ありと判定する(S816、S821)。 本体制御部(120)は、前記付着幅右X ≦ 前記描画右位置Xの場合、接触ありと判定する(S817、S821)。本体制御部(120)は、前記付着幅上Y ≧ 前記描画上位置Yの場合、接触ありと判定する(S818、S821)。本体制御部(120)は、前記付着幅下Y ≦ 前記描画下位置Yの場合、接触有りと判定する(S819、S821)。本体制御部(120)は、前記以外の場合、接触なしと判定する(S820)。
【0044】
尚、図7では、すべてのページに対して指紋跡除去モード/通常モードの切替判定を行う例を説明した。しかしながら、指紋跡は給紙部(110)に複数の記録紙からなる紙束を設置する際に紙束の1枚目と最後の紙のみにつく可能性が高い。そこで給紙部(110)に紙なし後、紙束が設置された際に設置された紙を検知する不図示のセンサを配備し、紙束の1枚目と最後の紙の1方もしくは双方のみ指紋跡除去モード/通常モードの切替判定を行う構成を採用してもよい。
【0045】
尚、本体操作部(109)に、この1枚目と最後の紙の1方もしくは双方のみ指紋跡除去モード/通常モードの切替判定をおこなうように設定を行う設定部を用意することで、本実施例ではユーザの意図に従い、切替判定を設定できる。
【0046】
[第2の実施例]
図1から図8(D)、図9(A)(B)を用いて、第2の実施例について説明する。図9(A)は、接触部分の描画色値解析手段の一例を示した図である。 図9(B)は、描画オブジェクトの描画色値による接触判定処理を示したフローチャートである。図1から図8(D)までの説明は、前記第1の実施例と同様なため省略し、処理が異なる部分のみを以降で説明する。
【0047】
[描画色値による接触判定]
RIP部(122)は、前記描画オブジェクトに含まれる描画色値を使用して1ドット毎の描画色値を算出して、描画データを作成する。本実施例では、前記描画色値としてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色濃度を数値で示したものとして説明する。例えば、描画色値として、レッド、グリーン、ブルーなどで示す場合であっても、描画色値を有する描画データであれば、本実施例での運用は可能である。
【0048】
本体制御部(120)は、図8(D)のフローチャートの処理において、接触ありと判定された(S821)場合、図9(A)に示す接触部分の描画色値解析を実行し、図9(B)に示す描画色値による接触判定を実行する。
【0049】
図9(A)は、2つの重なる描画オブジェクト1(901)、描画オブジェクト2(902)が共に指紋跡付着領域(900)を示している。本体制御部(120)は、描画オブジェクト1(901)、描画オブジェクト2(902)の各々の最小矩形1(903)、最小矩形2(904)と指紋跡付着領域(900)を抜き出して合成描画オブジェクト(905)を生成する。
【0050】
本体制御部(120)は、合成描画オブジェクト(905)の1ドットずつの描画色値を図9(B)に示す描画色値による接触判定を実行する。描画オブジェクトが重なっていない場合、本体制御部(120)は、各描画オブジェクト毎に1ドットずつの描画色値による接触判定を実行する。本体制御部(120)は、合成描画オブジェクト(905)の1ドットから描画色値を取得する(S906)。本体制御部(120)は、前記描画色値が全色なし(白色)の場合、指紋跡が目立たないため、接触判定無しと判定する(S907)。本体制御部(120)は、前記描画色値がシアン単色の場合、指紋跡が目立たないため、接触判定無しと判定する(S908)。本体制御部(120)は、前記描画色値がマゼンタ単色の場合、指紋跡が目立たないため、接触判定なしと判定する(S909)。本体制御部(120)は、前記描画色値がイエロー単色の場合、指紋跡が目立たないため、接触判定なしと判定を変更する(S910)。本体制御部(120)は、前記描画色値が全色なし、または、シアン単色である、または、マゼンタ単色である、または、イエロー単色である場合、全ドットの判定を行ったか確認する(S911)。本体制御部(120)は、前記全ドットの判定が終わっていなかった場合、次のドットの判定を行う(S906)。本体制御部(120)は、前記全ドットの判定が終わっていた場合、接触無しと判定する(S913)。本体制御部(120)は、1ドットでも前記描画色値がいずれかの色を持ち、かつ、シアン単色でない、かつ、マゼンタ単色でない、かつ、イエロー単色でない場合、接触有りと判定する(S912)。
【0051】
以上の構成により、用紙上に指紋跡があっても、指紋跡に重なる描画オブジェクトがシアン単色、マゼンタ単色、イエロー単色の場合には、指紋跡が目立たないので通常モードで処理をする。その結果、指紋跡に描画オブジェクトが重なっても、指紋跡が目立つ場合にのみ指紋跡除去モードが実施されることになり処理時間を削減できる。
【0052】
また、シアン、マゼンタ、イエローが重なる濃度のグレイ部は指紋跡が目立つ。そこで、シアン、マゼンタ、イエローの描画色値が中間レベルであることを判定するための上限、下限の閾値を予め規定する。そして、接触判定で接触していると描画オブジェクトのシアン、マゼンタ、イエローの描画色値がいずれもこの上限、下限に挟まれている場合には、指紋跡除去モードで処理が実施される構成を採用してもよい。
【0053】
本体制御部(120)は、前記描画色値による接触判定を結果を元に、接触有りの場合、指紋跡除去モードとして、接触無しの場合、通常モードとして、前記装置デバイスを制御し、印刷ジョブを実行する。
【0054】
実施例1では、指紋跡付着領域幅(502)を用紙の種類ごとに設定した。しかしながら、普通紙やコート紙、再生紙等用紙の種類によっては、指紋跡が相対的に目立たない用紙もある。用紙の種類に応じて、指紋跡が目立たない用紙については、指紋跡付着領域幅(502)を設定することなく、必ず通常モードで処理が行われるようにしてもよい。
【0055】
尚、画像形成装置111の操作部109から装置管理者もしくは印刷を行うユーザが、どの紙について指紋跡付着領域幅(502)を設定させないか設定することにより、紙毎に指紋跡付着領域幅(502)の設定、非設定を切り替えることができる。指紋跡付着領域幅(502)が非設定に設定された時には、非設定の紙については図5(B)において指紋付着領域幅の設定ができない。
【0056】
以上の第1、第2の実施例によれば印刷に使用する用紙毎にトナーを付着させる位置と指紋跡付着領域とを比較することや印刷に使用するトナーの色を確認することで、指紋跡除去モードでの印刷が不要な用紙は、通常モードを使用して印刷される。それにより、印刷時間の無駄な遅延を防げる。
【0057】
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを受信する受信手段と、
前記印刷ジョブで指定された用紙を給紙する給紙手段と、
前記印刷ジョブに応じた画像を用紙に定着を行う定着手段と、
指紋跡付着領域の情報を記憶する記憶手段と、
前記指紋跡付着領域に従い、前記画像の形成前に前記給紙された用紙に対し、前記定着手段により付着した指紋跡を除去する指紋跡除去処理を実行するかしないか判定する判定手段を有する画像形成装置であって、
前記指紋跡除去処理を実行する場合、前記指紋跡除去処理を行った後に前記印刷ジョブに応じた画像の印刷を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙の種類毎に指紋跡付着領域を設定する指紋跡付着領域設定手段をさらに有することを特徴とする請求項1項記載の画像形成装置。
【請求項3】
印刷ジョブで使用される用紙が複数枚の場合に各用紙毎に形成される画像と指紋跡付着領域との接触を判定する接触判定手段をさらに有することを特徴とする請求項1項記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブの描画データから描画色値を取得する取得手段と
前記描画色値による接触判定を実行する描画色値判定手段とをさらに有することを特徴とする請求項1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷ジョブを受信する受信工程と、
前記印刷ジョブで指定された用紙を給紙する給紙工程と、
前記印刷ジョブに応じた画像を定着器により用紙に定着を行う定着工程と、
指紋跡付着領域の情報を記憶する記憶工程と、
前記指紋跡付着領域に従い、前記画像の形成前に前記給紙された用紙に対し、前記定着器により付着した指紋跡を除去する指紋跡除去処理を実行するかしないか判定する判定工程を有する画像形成装置の制御方法であって、
前記指紋跡除去処理を実行する場合、前記指紋跡除去処理を行った後に前記印刷ジョブに応じた画像の印刷を行うことを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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