説明

画像形成装置及びその露光ヘツド

【目的】画像形成装置及びその露光ヘッドに関し、露光ヘッドの集光レンズのくもりを防止するよう構成することで、良好な画像をえることを目的とする。
【構成】画像出力に応じた光出力を生成する発光部材と、発光部材により生成された光を集光し、感光体に光を結像する集光部材を備えた画像形成装置の露光ヘッドに於て、集光レンズの光が入射する入射面あるいは光を出射する出射面の少なくとも一方の面に樹脂を塗布した構成をとる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は画像形成装置の露光ヘッドの改良に関し、例えば感光体ドラムの中に露光手段を内装して、そのドラムの内側から露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成し現像を行う方式を使った時に有効な画像形成装置の露光ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より透明支持体上に透明電極層と光導電体層を積層した感光体の表面側に対面して配置された現像器によりトナー溜まりを形成する一方、感光体ドラム内に内装した露光ヘッドの光出力をそのトナー溜まりに向けて選択的に光導電体層に結像し、それと同時若しくはその直後に現像を行って転写ローラ,その他の転写手段を介して普通紙に転写する方式を採用して装置の小型化,低価格化を実現できる画像形成装置が提案されている(特開昭58−44445等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の装置を採用するにあたって、露光ヘッドを感光体ドラム内部に挿着したときに、トナー等が飛散することで感光体内部が汚染されて集光レンズ表面に付着したり、環境条件によってレンズに析出した物質(水滴等)で、くもり等が発生し、光源の発光出力の低下や十分な光が伝達しない不具合が生じた。
【0004】かかる問題を解決するために露光ヘッドをドラム内から取り出して、レンズ表面を定期的に掃除したり、ドラム内面を清掃する機構を設けること(特開昭62−127782等)が考えられているが、集光レンズを掃除するのは困難である上に、露光ヘッドが感光体ドラムに内装されているため、光導電体層に結像する結像面への焦点位置の位置決めが困難であることからヘッドを一度取り出すと再度配置するのは困難であり、焦点位置の調整が不正確であると、画像に乱れが生じ、良好な画像が得られなくなる。また、清掃機構を取り付けるにしても機構が複雑になったり、ドラムの長寿命化のためには清掃するのにも限界がある。従ってドラム内部の汚染問題を解決する方法として内部を密閉し、ゴミ等の進入を防止した構造が良いことは明らかである。
【0005】また、空気中の二酸化炭素が高温高湿雰囲気中で炭酸となりやすく、その粒子がレンズのガラス表面に衝突したり、またオゾン雰囲気中で、オゾンと空気中の窒素により、窒素化合物ができ、水に溶けて硝酸となってレンズのガラス表面と衝突することで、レンズのガラス表面のアルカリ成分が析出してレンズをくもらせることがあり、ドラムを封止した状態でヘッドを配置した構成ではなおさら、装置を長時間動かすことで、ドラム内が高温高湿状態になりやすいため、上述のガラスがくもる現象が起こりやすい。
【0006】本発明は上述の問題に鑑みてなされたもので、感光体ドラムを封止することで、感光体ドラム内部の汚染を防止するとともに、良好な画像が得られる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0007】本発明の他の目的は、レンズのくもりを防止するよう構成することで、メンテナンスを行うことが不要となる画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、透光性支持体上に直接あるいは間接的に光導電体層を形成してなる回動可能な感光体ドラムを備え、感光体ドラム内部に配置した露光ヘッドにより、その透光性支持体側から光導電体層に光を結像するよう構成した画像形成装置において、露光ヘッドは、画像出力に応じた光出力を生成する発光部材と、該発光部材により生成された光を集光し、光導電体層に光を結像する集光部材を備え、その集光部材の光が入射する入射面あるいは光を出射する出射面の少なくとも一方の面に樹脂を塗布してなり、そして露光ヘッドを位置決め固定するシャフトが、感光体ドラムの両端開口部を封止して軸止するように構成する。
【0009】
【作用】本発明の露光ヘッドの集光レンズは、光入射面及び光出射面の前面に樹脂コーティングして形成されており、その露光ヘッドの位置決めを行うシャフトの回りを、感光体ドラムの両端からベアリング等で封止し、又は、オイルシール等で感光体ドラムを回転可能な状態とし、さらに、LEDアレイを駆動する回路基板からくるリード線を、中空状に形成したシャフトを通して感光体ドラム内から外部に取り出し、取り出し部は樹脂等で封止することで、レンズのくもり,感光体ドラム内にゴミ等の物質の進入を防止する。
【0010】また、露光ヘッドのLEDアレイを搭載した回路基板及び集光レンズを設置するハウジングを、導電性プラスチックをもちいて、そのプラスチック自体をアース電位にすることで、感光体ドラムを封止しても、プラスチックに帯電する静電気を防止する。
【0011】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は本発明の画像形成装置の構成を示す概略図である。100 は感光体ドラムであり、ドラム状の透光性支持体100a上に透光性導電層100bと光導電体層100cを積層してなり、不図示の駆動モータにより、回転可能に形成され、透光性導電層100bと、後述する現像スリーブ間にトナー溜まりを形成すると共に、その間に現像バイアスを印加可能に構成されている。
【0012】200 は現像器で、トナー収容部220 とキャリアーとトナーが収容された容器本体210 からなり、その容器本体210 の感光体ドラム100 と対面する方向に、固定磁石集成体(マグロール)230 を内装する現像スリーブ201 を設置し、感光体ドラム100 と同方向又は、反対方向に回転可能に構成されている。
【0013】トナー収容部220 と容器本体210 の間は、仕切壁240 によって分離され、その仕切壁240 の中央に設けたスリット状の開口部に、補給ローラ250 を配置し、不図示のセンサーが容器本体210 内のトナーの濃度を検知して、トナー濃度が低下するごとに補給ローラ250 を回転してトナーを補給して、現像器内のトナー濃度を一定に保つように構成されている。
【0014】また、容器本体210 内には、磁石ロール等からなる一対のミキサー260 が配置され、容器本体210 内のキャリア/トナーの混合比を均一に維持する。
【0015】さらに現像スリーブ201 下部の容器210 入口にはドクターブレード270 が取り付けられており、現像スリーブ周りに吸引されたトナー層を均一に維持する。
【0016】一方、現像スリーブ201 の感光体ドラム100 を介してそのドラム内には、露光ヘッド300 が固定して配置されている。
【0017】露光ヘッド300 は、画像情報に対応した光出力を生成するLED若しくはELアレイ310 と集光レンズ320 で形成し、そのレンズ320 の結像位置を感光体ドラムと現像スリーブ201 の軸心を結ぶ焦点線上よりわずかにドラム回転方向の上流側若しくは下流側に偏向して、ドラム内の光導電体層100cに結像するように構成されている。
【0018】なお、図中、400 は転写ローラ、500 はレジストローラ、600 は紙検知センサーである。
【0019】従って、前述の露光ヘッド300 により、画像情報に応じてトナー溜まりに向けて光が照射され、それと同時若しくはその後に感光体ドラム100 に照射した部分がトナー像化されて、そのトナー像部が転写ローラ400 へ運ばれるのに同期してレジストローラ500 が用紙を搬送し、トナーの帯電電位と逆極性の転写バイアスを印加することで、用紙にトナー像を転写した後、不図示の定着ローラで定着が行われる。
【0020】次に露光ヘッドの構成について説明する。図2は本発明の露光ヘッド1の中央断面図を示し、図3はその斜視図説明図である。
【0021】図2に示すように、4は直方体のLED素子4aをライン上に搭載して構成されたLEDアレイであり、その駆動回路を有する回路基板6上に搭載してなる。5は集光レンズアレイであり、LEDアレイ4から出射する光を結像する。
【0022】7はLEDヘッドの駆動,データ転送,ラッチタイミング調整等の制御を行う制御基板であり、接続端子8により回路基盤に接続されている。
【0023】2はプラスチック製ハウジングであり、この構成物質として、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の材料にステンレスやカーボンのファイバーを混入して導電性を持たせてある。2aは集光レンズアレイ5の側面を挟持する挟持面であり、2bは回路基板を搭載する搭載面である。ハウジング2は、挟持面2aと搭載面2bが垂直になるように形成されている。また、図3に示すように、ハウジング2の両端には露光ヘッドの位置決め用シャフト9を一体に形成しており、シャフトは中空構造として、前記基板6,7からのリード線をその中空部に通して、外部に取り出し、取り出し部は樹脂で封止されている。3はヘッドカバーであり、露光ヘッド1に内装する回路基盤6,7のカバーを行う。そのヘッドカバー3上部には、集光レンズアレイ5が挟持されている。このカバー3の材質として、上述の導電性プラスチックが用いられるが、ステンレス,鉄,アルミニウムでも良い。
【0024】次に本発明のくもり防止対策について図4を用いて説明する。
【0025】図4は集光レンズアレイの斜視図である。5bは集光レンズであり、FRP板に挟まれて、集光レンズ5bが二列に整列し、その整列方向端部にスペーサー5dを取り付け、端部のレンズ倒れを防止している。5cはレンズのくもりを防止するための樹脂である。これは、光の入射面及び出射面に塗布されている。この樹脂の種類として、シリコン樹脂,アクリル樹脂等があげられる。この樹脂の塗布方法として、例えばアクリル樹脂の場合、約10〜100センチ・ポアズの粘度のものをスプレーで吹きつける。シリコン樹脂の場合は、アクリル樹脂の場合と同様にスプレーで吹きつける方法や、シリンジで、約10〜10000程度の粘度でポッティングする方法で塗布することができる。
【0026】次に本発明の露光ヘッドを感光体ドラムに配置した構成を図5を用いて説明する。
【0027】Aは感光体ドラムであり、中に露光ヘッド1が固定され、感光体ドラムの両端にはベアリングBで封止されている。ここで、感光体ドラムをベアリングで封止したが、シャフト9周りをオイルシールにより回転可能に構成してもよい。ベアリングBの横側一端には駆動ギヤCが配置され、不図示の駆動系によりドラムを回転させる。
【0028】12はリード線である。これは上述のように前記基板6,7に電気を供給するための線で、シャフト内部を通して外部に取り出す。
【0029】露光ヘッドのシャフト9は導電性プラスチックであるため、シャフト9の固定軸(不図示)でアース電位に落とされ、感光体ドラム内でのプラスチックの帯電を防止し、静電気による駆動回路の破壊を防止する。
【0030】本発明の露光ヘッドは、本実施例で説明した画像形成プロセスの露光手段に用いられるだけでなく、従来のカールソンプロセスによる露光手段にも適用可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、ドラム内部を封止することで、ゴミ等の侵入を防止でき、かつ、露光ヘッドの集光レンズアレイの光入射面及び光出射面の一面に樹脂コーティングすることにより、レンズのくもりをも防止できる。したがって、メンテナンスが不要となり、α−Si系感光体ドラムを使った長寿命の安定したカートリッジ(感光体ドラム,露光ヘッド,現像器を一体形成したもの)が提供できる顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の構成を示す概略図。
【図2】本発明の露光ヘッドの中央断面図。
【図3】本発明の露光ヘッドの斜視図説明図。
【図4】集光レンズアレイの斜視図。
【図5】本発明の露光ヘッドを感光体ドラムに配置した構成図。
【符号の説明】
1: 露光ヘッド
2: ハウジング
4: LEDアレイ
5: 集光レンズアレイ
5b:集光レンズ
9: シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 透光性支持体上に直接あるいは間接的に光導電体層を形成した回動可能な感光体ドラムを備え、該感光体ドラム内部に配置した露光ヘッドにより、前記透光性支持体側から光導電体層に光を結像するよう構成した画像形成装置において、前記露光ヘッドは、画像出力に応じた光出力を生成する発光部材と、該発光部材により生成された光を集光し、前記光導電体層に光を結像する集光部材を備え、該集光部材の光が入射する入射面あるいは光を出射する出射面の少なくとも一方の面に樹脂を塗布してなり、該露光ヘッドを位置決め固定するシャフトを、感光体ドラム両端の開口部を封止して軸止したことを特徴とした画像形成装置。
【請求項2】 画像出力に応じた光出力を生成する発光部材と、該発光部材により生成された光を集光し、感光体に光を結像する集光部材を備えた画像形成装置の露光ヘッドに於て、前記集光レンズの光が入射する入射面あるいは光を出射する出射面の少なくとも一方の面に樹脂を塗布したことを特徴とする画像形成装置の露光ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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