説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】 記録材を内蔵するプロセスカートリッジの交換の判断基準となる記録材残量閾値をユーザのニーズに合わせてフレキシブルに設定できるようにする。
【解決手段】 画像形成装置1は、メモリ1a、操作部1b、主制御部3及びトナーなどの記録材2aとIDチップ2bを内蔵するプロセスカートリッジ2を備えている。IDチップ2bには、プロセスカートリッジ2の装着検出フラグ、プロセスカートリッジ1の設置場所及びサービス拠点によって異なる納品までの必要日数・記録材残量・記録材残量閾値・設置日時が記憶される。前記納品までの必要日数及び前記設置日時と前記記録材残量から日または時間あたりの前記記録材の消費量を算出して個別記録材残量閾値を求める。前回の個別記録材残量閾値と今回の記録材残量閾値とを比較し、比較結果に基づいてプロセスカートリッジの交換を行うか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材を内蔵するプロセスカートリッジ及びこのプロセスカートリッジを有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、トナーなどの記録材を内蔵するプロセスカートリッジにIDチップなどの記憶媒体を搭載し、記録材残量やユニット情報が記憶されるようになった。これを応用し、記録材残量から前記プロセスカートリッジの自動発注方式などが可能となる。従来より、トナー等の消耗品の残量を検出し、検出した残量に応じて消耗品を自動的に発注するシステムが提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【特許文献1】特開2003−15477号公報
【特許文献2】特開2003−223581号公報
【特許文献3】特開2000−194767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発注方式では、前記プロセスカートリッジを使用した画像形成装置の設置場所やサービス拠点の場所によっては、発注依頼から納品までの日数にばらつきがあるにもかかわらず、記録材残量閾値は固定であるため、ユーザ側が在庫をストックしていない場合には、記録材不足が発生してしまい、記録材不足による画像形成装置の使用に支障をきたす可能性があるという問題があった。
従って、本発明は上記の問題を解決し、記録材残量閾値をユーザのニーズに合わせてフレキシブルに設定できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明による画像形成装置は、記録材を内蔵し、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジであって、このプロセスカートリッジの交換依頼から納品までの必要日数と設置日時と前記記録材の残量と前記プロセスカートリッジの交換を行うか否かの初期の判断基準となる記録材残量閾値を含む情報を記憶する非接触通信媒体を有するプロセスカートリッジと、前記非接触通信媒体に記憶された前記納品までの必要日数及び前記設置日時と前記記録材残量に基づいて日または時間あたりの前記記録材の消費量を算出して個別記録材残量閾値を求め前記非接触通信媒体に記憶させる算出手段と、前回の個別記録材残量閾値と今回の記録材残量閾値とを比較し、比較結果に基づいて前記プロセスカートリッジの交換を行うか否かを判断する判断手段とを設けたことを特徴とするものである。
【0005】
請求項2の発明による画像形成装置は、請求項1において、ネットワークを通じて通信可能な通信手段を設け、前記判断手段が前記プロセスカートリッジの交換を行うと判断したとき、前記通信手段により前記プロセスカートリッジを自動的に発注することを特徴とするものである。
請求項3の発明による画像形成装置は、請求項1又は2において、前記記録材残量閾値を変更する変更手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項4の発明による画像形成装置は、請求項1から3のいずれかにおいて、前記非接触通信媒体はIDチップであることを特徴とするものである。
請求項5の発明による画像形成装置は、請求項2において、前記通信手段は、ネットワークに接続可能なNRSシステム機能を有するものであることを特徴とするものである。
【0006】
請求項6の発明によるプロセスカートリッジは、記録材を内蔵し、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジであって、このプロセスカートリッジの交換依頼から納品までの必要日数と設置日時と前記記録材の残量と前記プロセスカートリッジの交換を行うか否かの初期の判断基準となる記録材残量閾値を含む情報を記憶する非接触通信媒体を有することを特徴とするものである。
請求項7の発明によるプロセスカートリッジは、請求項6において、前記非接触通信媒体はIDチップであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1,4,6,7の発明によれば、発注依頼を目的とした記録材残量の閾値を個別に設定できる機能を有することができ、かつ発注の適切な時期を容易に設定することが可能となる。
請求項2,5の発明によれば、プロセスカートリッジの適切な発注時期を設定でき、かつ自動発注することが可能となる。
請求項3の発明によれば、ユーザ個々の目的に合ったプロセスカートリッジの発注条件を任意に設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1は請求項1,4,6,7に関する第1の実施の形態を示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。なお、本発明を説明する上で直接必要とされない機能については図1では省略している。
図1において、画像形成装置1は、メモリ1a、操作部1b、主制御部3及びプロセスカートリッジ2を備えている。プロセスカートリッジ2は、トナーなどの記録材2aを内蔵すると共に、非接触通信媒体としてのIDチップ2bを具備している。
【0009】
図2はIDチップ2bに記憶される情報を示すもので、図示のようにプロセスカートリッジ2の装着検出フラグ4、プロセスカートリッジ1の設置場所及びサービス拠点によって異なる納品までの必要日数5、記録材残量6、記録材残量閾値7、設置日時8を記憶できるものとする。
【0010】
図3は動作を示すフローチャートである。以下の説明では、設置されるプロセスカートリッジ2の記録材の残量が最大量(新品)の場合を想定している。
図3において、プロセスカートリッジ2には、予め記録材残量(最大量)と固定のデフォルト記録材残量閾値のみ設定してあり、画像形成装置1に装着されると(S1)、画像形成装置1は装着を検出したことをIDチップ2bに知らせる装着フラグを立てる(S2)。IDチップ2bへの書き込みはこのフラグにより許可するものとする。画像形成装置1は、この装着フラグにより記録材残量閾値の設定が可能であると判断する(S3、YES)。メモリ1aには予め画像形成装置1の設置場所及びサービス拠点と納品必要日数情報及び個別記録材残量閾値が記憶されており、これらの納品必要日数情報及び設置日時を前記装着フラグと併せてIDチップ2bに記憶する(S4)。またIDチップ2bに記憶されていた固定のデフォルト記録材残量閾値は後述する個別記録材残量閾値により上書きされる。
【0011】
この個別記録材残量閾値は、設置日から記録材残量が記録材残量閾値に達した時点までの日または時間当たりの記録材消費量を算出し、この情報と前記納品必要日数から次回プロセスカートリッジ2が納品されるまでに記録材が不足することのない閾値を個別記録材残量閾値として予めメモリ1aに記録しておく。例えば納品必要日数をA日とし、記録材残量閾値を記録材が最大量のX%と設定している場合、設置日から記録材残量閾値に記録材が達した日までの日数がB日間とすると、次回設定される個別記録材残量閾値の最大量に対する比率Yは次式(1)で求められる。
Y≧A×[(100−X)/B]……(1)
【0012】
画像形成装置1が印字処理を行い(S5)、記録材残量が更新され(S6)、更新された記録材残量が記録材残量閾値に達するまでS5,S6が繰り返される(S7)。記録材残量閾値に達すると(S7、YES)、個別記録材残量閾値が前記式(1)により算出される(S8)。次に、前回の個別記録材残量閾値が設定されているかを調べ(S9)、設定されていなければ、S8で算出された個別記録材残量閾値をメモリ1aに記憶した後(S10)、プロセスカートリッジ2の交換を要求する(S11)。
【0013】
プロセスカートリッジ2が交換された後(S1)、再び記録材が記録材残量閾値に達すると(S7、YES)、前述の算出式によって次回の個別記録材残量閾値が求められるが(S8)、このとき前回の個別記録材残量閾値が設定されているので(S9、YES)、画像形成装置のメモリに記録されている前回の算出結果と比較する(S12)。比較結果にある一定以上の差が出た場合は(S13、YES)、次回に設定される個別残量閾値は前回と今回の算出結果の平均値とするなどの処理を行い、最終的な個別記録材残量閾値を決定する。この最終的な個別記録材残量閾値は前述同様に、次回プロセスカートリッジの個別記録材残量閾値設定用及び次回個別記録材残量の算出結果と比較するために画像形成装置内部のメモリに蓄積しておく(S14)。なお、S3で装着フラグがない場合は、標準記録材残量センサを使用して記録材残量を検知する(S15)。
【0014】
次に、請求項2,5に関する第2の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、図1の画像形成装置1にネットワーク接続I/F及び、NRSシステム機能を具備したことを特徴とする。即ち、第1の実施の形態の手段を用いて記録材残量が個別記録材残量閾値に達すると、前記NRSシステム機能を利用して、外部の管理センターと通信してプロセスカートリッジの自動発注を行うようにしたものである。
【0015】
次に、請求項3に関する第3の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、前記装着フラグをプロセスカートリッジ2のIDチップ2bに送信する際に、画像形成装置1の操作部1bに記録材残量閾値を表示させることを特徴とする。オペレータはこの記録材残量閾値を操作部1bのテンキーなどにより任意に変更できるものとする。これにより決定された個別記録材残量閾値は、画像形成装置のメモリ1aに記録されると共に、プロセスカートリッジ2のIDチップ1bにも設定される。
【0016】
図4は本実施の形態による動作を示すフローチャートである。
装着フラグが検出されると(S21)、記録材残量閾値を操作部1bで表示する(S22)。次に、表示された記録材残量閾値を操作部1bのテンキーなどにより変更するモードになる(S23)。次に、記録材残量閾値が変更されたかを判断し(S24)、変更された場合は、変更された記録材残量閾値をメモリ1aに上書きし(S25)、さらにIDチップ2bにも記録する(S26)。記録材残量閾値が変更されていない場合は、既存の記録材残量閾値をIDチップ2bに記録する(S27)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態による画像形成装置を示すブロック図である。
【図2】IDチップに記憶される情報を示す構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施の形態による動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0018】
1 画像形成装置
2 プロセスカートリッジ
2a 記録材
2b IDチップ
3 主制御部
4 装着フラグ
5 納品必要日数
6 記録材残量
7 記録材残量閾値
8 設定日時

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を内蔵し、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジであって、このプロセスカートリッジの交換依頼から納品までの必要日数と設置日時と前記記録材の残量と前記プロセスカートリッジの交換を行うか否かの初期の判断基準となる記録材残量閾値を含む情報を記憶する非接触通信媒体を有するプロセスカートリッジと、
前記非接触通信媒体に記憶された前記納品までの必要日数及び前記設置日時と前記記録材残量に基づいて日または時間あたりの前記記録材の消費量を算出して個別記録材残量閾値を求め前記非接触通信媒体に記憶させる算出手段と、
前回の個別記録材残量閾値と今回の記録材残量閾値とを比較し、比較結果に基づいて前記プロセスカートリッジの交換を行うか否かを判断する判断手段とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ネットワークを通じて通信可能な通信手段を設け、前記判断手段が前記プロセスカートリッジの交換を行うと判断したとき、前記通信手段により前記プロセスカートリッジを自動的に発注することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録材残量閾値を変更する変更手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記非接触通信媒体はIDチップであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記通信手段は、ネットワークに接続可能なNRSシステム機能を有するものであることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録材を内蔵し、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジであって、このプロセスカートリッジの交換依頼から納品までの必要日数と設置日時と前記記録材の残量と前記プロセスカートリッジの交換を行うか否かの初期の判断基準となる記録材残量閾値を含む情報を記憶する非接触通信媒体を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記非接触通信媒体はIDチップであることを特徴とする請求項6記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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