説明

画像形成装置及び用紙搬送路構造

【課題】用紙搬送路の清掃機構を工夫して、装置本体部の搬送路部材の用紙対向面側を再現性良く清掃できるようにする。
【解決手段】分離可能な反転搬送路27Bの構造は、記録紙P’の一方の面側の動きを所定の方向へ規制する本体側搬送板102と、本体側搬送板102に対向して摺動自在に組み合わされ、当該本体側搬送板102との間に所定の距離を有して記録紙P’の他方の面側の動きを規制するADU側搬送板201と、ADU側搬送板201の摺動開始点側に設けられた清掃機構80とを備え、清掃機構80は、ADU側搬送板201の端部側から、当該端部側に対向する本体側搬送板102の端部側に至る所定の長さ又はそれ以上の長さを有する清掃部材81を含み、当該清掃部材81の先端部が本体側搬送板102に触れた状態で摺動されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙搬送路を構成する本体装置の側の搬送路部材と引き出しユニットの側の搬送路部材とが分離可能な用紙搬送路構造を有して所定の用紙に画像を形成するカラープリンタや、カラー用の複写機、複合機等に適用可能な画像形成装置及び用紙搬送路構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー用の画像情報に基づいて色画像を形成するカラープリンタや、原稿の画像を読み取ってカラー画像再生用の画像信号を出力するスキャン機能を備えたカラー用の複写機や、複合機が使用される場合が多くなってきた。例えば、パーソナルコンピュータ等の外部装置から赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)系の画像データに基づいて色画像を形成するデジタルカラープリンタが広く使用されている。
【0003】
この種のプリンタにおいて、電子写真方式を採用したカラープリンタによれば、RGB系の画像データを色変換した後のイエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色及び黒(BK)色用の画像データに基づいてカラーのトナー像を形成する画像形成部が備えられる。画像形成部は、Y,M,C,BK色の像形成出力機能を各々分担する画像形成ユニットを備え、各作像色毎に帯電器によって一様に帯電された感光体ドラムに、画像データに基づいて静電潜像が、ポリゴンミラー等を使用した走査露光部により形成される。
【0004】
この静電潜像は各作像色毎に現像器によって現像される。このような帯電、露光、現像を行い、感光体ドラム上に形成されたカラートナー像が、例えば、中間転写ベルト上で重ね合わされ、ここに重ね合わされたカラートナー像が転写部によってシート材(用紙)に転写される。所定の転写材上に転写されたトナー像は、定着部により定着される。この結果、画像データに基づくカラー画像を所定のシート材に形成することができる。
【0005】
一方、装置本体部内に自動用紙反転搬送機構を備え、シート材の両面に白黒画像や、色画像等を形成する両面印刷モードを有した画像形成装置も使用されている。自動用紙反転搬送機構は、循環再給紙路、反転搬送路及び再給紙搬送路から構成され、これらの用紙搬送路が上述した転写部と共にユニット化され、装置本体部に対して引き出し可能な自動用紙反転搬送ユニット(Auto Duplex Unit :以下ADU架台ユニットという)として取り扱われる場合が多くなってきた。これらの用紙搬送路にはシート材が流通するため、紙粉等の塵埃を清掃するための清掃機構を備える必要がある。
【0006】
この種の清掃機構を備えた画像形成装置に関連して、特許文献1には画像形成装置及び搬送ローラ清掃装置が開示されている。画像形成装置によれば、搬送ローラ、手動操作部材及び清掃部材を具備している。搬送ローラは給紙カセット等の手動操作部材から繰り出したシート材を搬送する。手動操作部材は、用紙補給時等において、オペレータの手により着脱操作又は開閉操作又はスライド操作等が行われる。
【0007】
清掃部材は、手動操作部材の着脱又は開閉又はスライド等の動作に連動して搬送ローラの外周面に接離する。これを前提にして、清掃部材は、手動操作部材を画像形成装置本体から取り外す動作に連動して搬送ローラの外周面に当接する。また、清掃部材は、手動操作部材を画像形成装置本体に取り付ける動作に連動して搬送ローラの外周面から離脱するようにした。このように画像形成装置を構成すると、用紙補給時等において、搬送ローラの外周面に付着している紙粉等を清掃部材によって除去することができる。しかも、オペレータにより意図的に清掃部材をスライドさせることで、搬送ローラ面の紙粉等を除去できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−067372号公報(第4頁 図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来例に係る画像形成装置によれば、両面印刷モードの実行に不可欠な反転搬送路が給紙カセット等の用紙供給手段の横側において、縦方向に長く配置されていた。しかし、装置小型化の要求から、ADU架台ユニットと用紙供給手段の上方との間のわずかな本体側のスペースを利用して反転搬送路を構築し、しかも、本体側の搬送部材とADU架台ユニット側の搬送部材とを分離する構造が採られる場合が多くなってきた。この構造においても、装置本体部に対してADU架台ユニットを引き出す構成が採られるが、シート材の汚れの原因を無くすために、本体側の搬送部材上の紙粉等の塵埃を含む異物を清掃する必要がある。
【0010】
このような分離構造を伴う反転搬送路に対して、特許文献1に見られるような搬送ローラの外周面に対して接離可能な清掃機構の構成をそのまま採用したのでは、反転搬送路にシート材を搬送する搬送ローラは清掃できるが、ADU架台ユニットの引き出し時、装置本体部の側に露出した本体側の搬送部材上の紙粉等の塵埃を含む異物を清掃することができないという問題がある。
【0011】
特に、転写部を実装したADU架台ユニットによれば、当該ADU架台ユニットの引き出し時、転写部から本体側の搬送部材上に不本意に落下した廃トナー等を手作業で拭かなければならいという問題がある。
【0012】
そこで、この発明は上述した課題を解決したものであって、用紙搬送路の清掃機構を工夫して、本体装置の搬送路部材の用紙対向面側を再現性良く清掃できるようにした画像形成装置及び用紙搬送路構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に係る画像形成装置は、本体装置と当該本体装置から引き出し可能な引き出しユニットとを備え、用紙搬送路を構成する前記本体装置の側の搬送路部材と前記引き出しユニットの側の搬送路部材とが分離可能な用紙搬送路構造を有し、前記用紙搬送路を搬送される用紙に画像を形成する画像形成装置であって、前記用紙搬送路構造は、用紙の一方の面側の動きを所定の方向へ規制する本体装置の側の搬送路部材と、前記搬送路部材に対向して摺動自在に組み合わされ、当該搬送路部材との間に所定の距離を有して前記用紙の他方の面側の動きを規制する引き出しユニットの側の搬送路部材と、前記引き出しユニットの搬送路部材の摺動開始点側に設けられた清掃機構とを備え、前記清掃機構は、前記引き出しユニットの搬送路部材の端部側から、当該端部側に対向する本体装置の搬送路部材の端部側に至る所定の長さ又はそれ以上の長さを有した清掃部材を含み、前記引き出しユニットの引き出し時又は装着時に、当該清掃部材の先端部が本体装置側の搬送路部材に触れた状態で摺動されることを特徴とするものである。
【0014】
請求項1に係る画像形成装置によれば、本体装置の側の搬送路部材は、用紙の一方の面側の動きを所定の方向へ規制する。引き出しユニットの側の搬送路部材は、本体装置側の搬送路部材に対向して摺動自在に組み合わされ、当該搬送路部材との間に所定の距離を有して用紙の他方の面側の動きを規制する。清掃機構は、引き出しユニットの搬送路部材の摺動開始点側に設けられている。これを前提にして、清掃機構が、引き出しユニットの搬送路部材の端部側から、当該端部側に対向する本体装置の搬送路部材の端部側に至る所定の長さの清掃部材を有し、引き出しユニットの引き出し時又は装着時に、当該清掃部材の先端部が本体装置側の搬送路部材に触れた状態で摺動するようになされる。
【0015】
このような本体装置の搬送路部材に対する引き出しユニットの搬送路部材の着脱時の往復摺動動作によって、本体装置の搬送路部材の用紙対向面側を再現性良く清掃できるようになる。例えば、引き出しユニットの搬送路部材の往路時、本体装置の搬送路部材上に既に堆積していた紙粉等の塵埃を摺動終了点側に掃き寄せることができる。更に、引き出しユニットの搬送路部材の復路時、先の往路時に不本意に引き出しユニットから本体装置の搬送路部材上へ落下した異物等を摺動開始点側に掃き寄せることができる。
【0016】
請求項2に係る画像形成装置は、請求項1において、前記用紙搬送路構造は、一方の面に画像が形成された前記用紙を反転するための反転搬送路に備えられ、前記用紙の両面に画像を形成する両面画像形成モードが設定されたとき、前記反転搬送路では、紙先端部から搬入された前記用紙がその紙後端部から搬出されることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に係る画像形成装置は、請求項2において、前記用紙搬送路構造を構成する引き出しユニットの搬送路部材は、廃トナー回収機構を有する転写部を実装した両面画像形成ユニットの底面板に対応することを特徴とするものである。
【0018】
請求項4に係る画像形成装置は、請求項3において、前記廃トナー回収機構は、廃トナーを回収する本体装置の側の回収部材と引き出しユニットの側の回収部材とを連結する連結部を有し、前記連結部は、前記本体装置から引き出しユニットが分離されたとき、当該引き出しユニットの回収部材の先端部を閉じ、前記引き出しユニットが本体装置に装着されたとき、当該引き出しユニットの回収部材の先端部を開く自動開閉機構を有することを特徴とするものである。
【0019】
請求項5に係る用紙搬送路構造は、用紙搬送路を構成する固定側の搬送路部材と可動側の搬送路部材とが分離可能な用紙搬送路構造であって、用紙の一方の面側の動きを所定の方向へ規制する固定側の搬送路部材と、前記固定側の搬送路部材に対向して摺動自在に組み合わされ、当該固定側の搬送路部材との間に所定の距離を有して前記用紙の他方の面側の動きを規制する可動側の搬送路部材と、前記可動側の搬送路部材の摺動開始点側に設けられた清掃機構とを備え、前記清掃機構は、前記可動側の搬送路部材の端部側から、当該端部側に対向する固定側の搬送路部材の端部側に至る所定の長さ又はそれ以上の長さを有する清掃部材を含み、前記固定側の搬送路部材に対して前記可動側の搬送路部材が相対移動した時に、当該清掃部材の先端部が固定側の搬送路部材に触れた状態で摺動されることを特徴とするものである。
【0020】
請求項5に係る用紙搬送路構造によれば、固定側の搬送路部材に対する可動側の搬送路部材の着脱時の往復摺動動作によって、固定側の搬送路部材の用紙対向面側を再現性良く清掃できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る画像形成装置によれば、引き出しユニットの搬送路部材の摺動開始点側に設けられた清掃機構を備え、この清掃機構は、可動側の搬送路部材の端部側から、当該端部側に対向する固定側の搬送路部材の端部側に至る所定の長さ又はそれ以上の長さを有する清掃部材を含み、かつ、引き出しユニットの引き出し時又は装着時に、その先端部が固定側の搬送路部材に触れた状態で摺動されるものである。
【0022】
この構成によって、本体装置の搬送路部材に対する引き出しユニットの搬送路部材の着脱時の往復摺動動作によって、本体装置の搬送路部材の用紙対向面側を再現性良く清掃できるようになる。例えば、引き出しユニットの搬送路部材の往路時、本体装置の搬送路部材上に既に堆積していた紙粉等の塵埃を摺動終了点側に掃き寄せることができる。更に、引き出しユニットの搬送路部材の復路時、先の往路時に不本意に引き出しユニットから本体装置の搬送路部材上へ落下した異物等を摺動開始点側に掃き寄せることができる。
【0023】
これにより、廃トナー回収機構を有する転写部を実装した両面画像形成ユニットの底面が、本体装置に対して着脱可能な引き出しユニットの搬送路部材を兼用した用紙反転搬送路を備えた画像形成装置を提供できるようになる。
【0024】
請求項2に係る画像形成装置によれば、本発明に係る用紙搬送路構造が反転搬送路に備えられるので、益々、装置の小型化が要求される本体装置内の限られたスペースを有効に利用することができ、当該スペースに用紙反転機構を設置できるようになる。
【0025】
請求項3に係る画像形成装置によれば、本発明に係る用紙搬送路構造が備えられ、その引き出しユニットの搬送路部材が両面画像形成ユニットの底面板に対応するので、本体装置内の限られたスペースに用紙反転機構を設置できるようになる。
【0026】
請求項4に係る画像形成装置によれば、本発明に係る用紙搬送路構造が備えられ、その引き出しユニットの搬送路部材の復路時、先の往路時に引き出しユニットの側の回収部材の連結部から、不本意に本体装置の搬送路部材上へ廃トナーが落下した場合であっても、本体装置の搬送路部材上から摺動開始点側へ廃トナーを掃き寄せることができる。
【0027】
請求項5に係る用紙搬送路構造によれば、可動側の搬送路部材の摺動開始点側に設けられた清掃機構を備え、この清掃機構は、可動側の搬送路部材の端部側から、当該端部側に対向する固定側の搬送路部材の端部側に至る所定の長さ又はそれ以上の長さを有する清掃部材を含み、かつ、固定側の搬送路部材に対して可動側の搬送路部材が相対移動した時に、その先端部が固定側の搬送路部材に触れた状態で摺動されるものである。
【0028】
この構成によって、固定側の搬送路部材に対する可動側の搬送路部材の着脱時の往復摺動動作によって、固定側の搬送路部材の用紙対向面側を再現性良く清掃できるようになる。これにより、廃トナー回収機構を有する転写部を実装した両面画像形成ユニットの底面が、本体装置に対して着脱可能な可動側の搬送路部材を兼用する用紙反転搬送路を備えた画像形成装置の製造に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る実施形態としてのカラープリンタ100の構成例を示す概念図である。
【図2】ADU架台ユニット20の引き出し例を示す斜視図である。
【図3】ADU架台ユニット20における清掃機構80及び廃トナー回収機構90の配置例を示す斜視図である。
【図4】廃トナー回収機構90の構成例を示す断面図である。
【図5】(A),(B)は廃トナー回収機構90の連結時の動作例を示す断面図である。
【図6】図3に示した反転搬送路27Bにおける清掃機構80の構成例(その1)を示す斜視図である。
【図7】反転搬送路27Bにおける清掃機構80の構成例(その2)を示す断面図である。
【図8】清掃部材81の取り付け例を示す斜視図である。
【図9】(A)〜(C)は清掃機構80の動作例(その1)を示す断面図である。
【図10】(A)〜(C)は清掃機構80の動作例(その2)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る画像形成装置及び用紙搬送路構造について説明をする。図1に示すカラープリンタ100は画像形成装置の一例を構成し、装置本体部101を有している。装置本体部101には、画像形成部60及び定着装置17が備えられると共に、当該装置本体部101に対して引き出し可能な自動用紙反転搬送ユニット(Auto Duplex Unit :以下ADU架台ユニット20という)が備えられる。ADU架台ユニット20は、自動用紙反転搬送機構27を有している。自動用紙反転搬送機構27は、循環再給紙路27A、反転搬送路27B及び再給紙搬送路27Cから構成される。
【0031】
カラープリンタ100は、タンデム型の電子写真方式の画像形成装置から構成され、片面画像形成モード(以下単に片面印刷モードという)が設定されたとき、画像形成部60が画像情報に基づいて像担持体上にカラートナー像を形成し、その後、像担持体から所定の用紙Pへカラートナー像を転写し、定着装置17でカラートナー像を定着した後の記録紙を排紙する。
【0032】
カラープリンタ100は、装置本体部101の側の搬送路部材とADU架台ユニット20の側の搬送路部材から構成される分離可能な用紙搬送路構造を備えている。用紙搬送路構造は、反転搬送路27B及び清掃機構80から構成される。反転搬送路27Bは、両面画像形成モード(以下単に両面印刷モードという)が設定された場合に、第1面側(表面)に画像を形成した後の記録紙P’を取り込み、当該記録紙P’の搬送方向を逆転するスイッチバック路(用紙待機路)として使用される。
【0033】
清掃機構80は、反転搬送路27Bに設けられ、特に、ADU架台ユニット20が引き出されるとき、及び、当該ADU架台ユニット20が装着されるときに、装置本体部101の側の搬送路部材上を清掃するように機能する(図9及び図10参照)。
【0034】
図1に示す画像形成部60は、無終端状の中間転写ベルト6(像担持体)を有している。画像形成部60は、中間転写ベルト6に画像情報に基づくカラートナー像を形成するために、例えば、イエロー(Y)色用の感光体ドラム1Y(像担持体)を有する画像形成ユニット10Yと、マゼンタ(M)色用の感光体ドラム1Mを有する画像形成ユニット10Mと、シアン(C)色用の感光体ドラム1Cを有する画像形成ユニット10Cと、黒(K)色用の感光体ドラム1Kを有する画像形成ユニット10Kとを備えて構成される。画像形成部60では、当該感光体ドラム1Y,1M,1C,1K毎に作像処理するようになされ、各色の感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kで作像処理された各色のトナー像が中間転写ベルト6上で重ね合わされ、色画像が形成される。
【0035】
この例で、画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Yの他に、帯電器2Y、画像書込みユニット3Y、現像ユニット4Y及び像形成体用のクリーニング部8Yを有して、イエロー(Y)色の画像を形成する。感光体ドラム1Yは、例えば、中間転写ベルト6の右側上部に近接して回転自在に設けられ、Y色のトナー像を形成する。この例で、感光体ドラム1Yは反時計方向に回転される。感光体ドラム1Yの斜め右側下方には、帯電器2Yが設けられ、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電する。
【0036】
感光体ドラム1Yのほぼ真横には、これに対峙して、画像書込みユニット3Yが設けられ、事前に帯電された感光体ドラム1Yに対して、Y色用の画像データに基づく所定の強度を有したレーザー光を走査露光する。画像書込みユニット3Yには、例えば、ポリゴンミラー方式のレーザー露光走査装置が使用される。感光体ドラム1YにはY色用の静電潜像が形成される。
【0037】
画像書込みユニット3Yの上方には現像ユニット4Yが設けられ、感光体ドラム1Yに形成されたY色用の静電潜像を現像するように動作する。現像ユニット4Yは、Y色用の現像ローラを有している。現像ユニット4Yには、Y色用のトナー剤及びキャリアが収納されている。
【0038】
Y色用の現像ローラは、内部に磁石が配置され、現像ユニット4Y内でキャリアとY色トナー剤を攪拌して得られる2成分現像剤を感光体ドラム1Yの対向部位に回転搬送し、Y色のトナー剤により静電潜像を現像する。以下で静電潜像をトナー剤により現像した画像をトナー像という。この感光体ドラム1Yに形成されたY色のトナー像は、1次転写ローラ7Yを動作させて中間転写ベルト6に転写される(1次転写)。感光体ドラム1Yの左側下方には、クリーニング部8Yが設けられ、前回の書込みで感光体ドラム1Yに残留したトナー剤を除去(クリーニング)するように動作する。
【0039】
この例で、画像形成ユニット10Yの下方には画像形成ユニット10Mが設けられる。画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム1M、帯電器2M、画像書込みユニット3M、現像ユニット4M及び像形成体用のクリーニング部8Mを有して、マゼンタ(M)色の画像を形成する。画像形成ユニット10Mの下方には画像形成ユニット10Cが設けられる。画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム1C、帯電器2C、画像書込みユニット3C、現像ユニット4C及び像形成体用のクリーニング部8Cを有して、シアン(C)色の画像を形成する。
【0040】
画像形成ユニット10Cの下方には画像形成ユニット10Kが設けられる。画像形成ユニット10Kは、感光体ドラム1K、帯電器2K、画像書込みユニット3K、現像ユニット4K及び像形成体用のクリーニング部8Kを有して、ブラック(BK)色の画像を形成する。感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kには有機感光体(Organic Photo Conductor;OPC)ドラムが使用される。
【0041】
なお、画像形成ユニット10M,10C,10Kの各部材の機能については、画像形成ユニット10Yの同じ符号のものについて、YをM,C,Kに読み替えることで適用できるので、その説明を省略する。上述の1次転写ローラ7Y,7M,7C及び7Kには、使用するトナー剤と反対極性(本実施例においては正極性)の1次転写バイアス電圧が印加される。
【0042】
中間転写ベルト6上には、1次転写ローラ7Y,7M,7C及び7Kによって転写されたトナー像が重合されてカラートナー像(カラー画像)が形成される。中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト6が時計方向に回転することで、二次転写部70に向けて搬送される。
【0043】
この例で、BK色用の感光体ドラム1Kの下方(下流側)であって、二次転写部70の右上部(上流側)には、色ずれ検知センサ11が配置される。色ずれ検知センサ11は、色ずれ補正モードの実行時、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kによって中間転写ベルト6に形成されたレジストマーク等の印画像を検知するように動作する。
【0044】
二次転写部70は、画像形成部60の下方であって、中間転写ベルト6の最下方位置に配設される。二次転写部70は、自動用紙反転搬送機構27と共にユニット化され、装置本体部101に対して引き出し可能なADU架台ユニット20に実装される(図2参照)。二次転写部70は通常動作モードの実行時、中間転写ベルト6に形成されたカラーのトナー像を用紙Pに一括して転写する(2次転写)。
【0045】
ここに、通常動作モードとは、画像情報に基づいて中間転写ベルト6に色画像を形成し、中間転写ベルト6に二次転写部70を圧着すると共に、二次転写部70と中間転写ベルト6との間のニップ領域に用紙Pを搬送し、所定の転写動作電流に基づいて中間転写ベルト6上のトナー像に基づく色画像を用紙Pに転写する動作をいう。通常動作モードには、片面印刷モード及び両面印刷モードが含まれる。
【0046】
二次転写部70では、中間転写ベルト6の平面と二次転写ベルト7Aの平面で用紙Pを挟み込む形態で転写するので、中間転写ベルト6の平面と二次転写ローラの円周面で用紙Pを挟み込む形態で転写する場合に比べて、トナー像の二次転写性能を向上できるようになる。二次転写部70は、例えば、無終端状の二次転写ベルト71、帯電器72及びクリーニングブレード73、ドレインパン74を有して構成されている。ドレインパン74は排出口75に接続される(図4参照)。
【0047】
二次転写ベルト71は、通常動作モードの実行時、中間転写ベルト6に連れ回りして反時計方向に回転する。二次転写ベルト71は、中間転写ベルト6に圧着されると共に、中間転写ベルト6上のカラートナー像に基づく色画像を用紙Pに転写する。二次転写ベルト71の下方の所定の位置には、帯電器72が配設される。帯電器72は通常動作モード時に所定の電圧が供給され、二次転写電流の調整を受けて二次転写ベルト71を所定の電位に帯電する。
【0048】
帯電器72に隣接した下方位置には、クリーニングブレード73が設けられる。クリーニングブレード73は、通常動作モードや色ずれ補正モード等の実行時において、二次転写ベルト71に残留した廃トナーを掻き落として、二次転写ベルト71の接触面を清掃するように動作する。ここに色ずれ補正モードとは、色ずれ補正用の印画情報に基づいて中間転写ベルト6にパッチマークやレジストマーク等の印画像を形成し、中間転写ベルト6に二次転写部70を圧着した状態で印画像を検出し、印画像の検出結果に基づいて色ずれ補正する動作をいう。
【0049】
この例では、色ずれ補正モードの実行時、中間転写ベルト6から二次転写部70へ転写されたレジストマークに基づくトナー剤や、清掃用に形成されたパッチマークに基づいて二次転写ベルト71を清掃できるようになる。これにより、色ずれ補正モードを実行する時も、二次転写部70を中間転写ベルト6に圧着させる形態を採ることができる。クリーニングブレード73に隣接した二次転写ベルト71の下方位置には、ドレインパン74が設けられる。ドレインパン74はクリーニングブレード73によって二次転写ベルト71から掻き落とされた廃トナーを集めて排出口75に導くようになされる。
【0050】
ADU架台ユニット20には、二次転写部70の他に、図1に示した搬送路切換板26及び自動用紙反転搬送機構27が配設される。自動用紙反転搬送機構27は、循環再給紙路27A、反転搬送路27B及び再給紙搬送路27Cを有して構成される。搬送路切換板26は、片面印刷モード又は両面印刷モードの設定に対応して、排紙トレイ25又は循環再給紙路27Aのいずれか一方の側に、定着後の記録紙P’の搬送路を切換える。循環再給紙路27Aは定着装置17の下方に設けられ、搬送路切換板26によって切り換えられた定着後の記録紙P’を反転搬送路27Bに向けて搬送する。
【0051】
反転搬送路27Bは、装置本体部101とADU架台ユニット20との間において、分離可能な形態で配設され、装置本体部101の側の搬送路部材(以下本体側搬送板102という)とADU架台ユニット20の側の搬送路部材(以下ADU側搬送板201という)とを備えて構成される。本体側搬送板102や、ADU側搬送板201等は例えばステンレス板や鉄板、亜鉛鋼板(ブリキ)等から構成される。
【0052】
反転搬送路27Bは、両面印刷モードが設定された場合、第1面側(表面)に画像を形成した後の記録紙P’を受け入れ(取り込み)、当該記録紙P’の搬送方向を逆転し、再給紙搬送路27Cに向けてスイッチバックするように記録紙P’を搬送する。再給紙搬送路27Cは、二次転写部70の下方であって、ほぼ反転搬送路27Bの上方に設けられる。再給紙搬送路27Cは、反転搬送路27Bで反転された後の記録紙P’を画像形成部60に向けて再給紙するように搬送する。
【0053】
このように構成された自動用紙反転搬送機構27によれば、両面印刷モードが設定されたとき、第1面(表面)に画像が形成され、その定着後の片面画像処理済みの記録紙P’が機外の排紙トレイ25に排紙される前に、搬送路切換板26により循環再給紙路27Aに送り込まれ、当該記録紙P’が反転搬送路27Bにおいて、スイッチバックして表裏反転された後、再給紙搬送路27Cを経て、再び、画像形成部60に送り込まれる。
【0054】
画像形成部60では、再給紙搬送路27Cから搬出される記録紙P’の第2面側(裏面)にカラー画像を形成する。両面画像処理された記録紙P’は定着処理され、その後、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に排出される。
【0055】
この例で、中間転写ベルト6の左側上方にはクリーニング部8Aが設けられ、二次転写後の中間転写ベルト6上に残存するトナー剤をクリーニングするように動作する。クリーニング部8Aはクリーニングブレードを有している。クリーニングブレードは、中間転写ベルト6の電荷を除電する除電部(図示せず)や中間転写ベルト6に残留するトナー剤等を除去するパッドから構成される。このクリーニング部8Aによってベルト面がクリーニングされ、除電部で除電された後の中間転写ベルト6は、次の画像形成サイクルに入る。これにより、用紙Pにカラー画像を形成できるようになる。
【0056】
カラープリンタ100には画像形成部60の他に、用紙供給部200及び、定着装置17を備えている。上述の画像形成ユニット10Kの下方には、用紙供給部200が設けられ、図示しない複数の給紙トレイを有して構成される。各々の給紙トレイ内には所定のサイズの用紙Pが収容される。
【0057】
用紙供給部200から画像形成ユニット10Kの下方に至る用紙搬送路には、搬送ローラ22A〜22C、レジストローラ23等が設けられる。例えば、レジストローラ23は、用紙供給部200から搬送ローラ22A〜22Cを介して繰り出された所定の用紙Pを二次転写部70の手前で保持し、画像タイミングに合わせて二次転写部70へ送り出すようになされる。二次転写部70は、中間転写ベルト6に担持された色画像を、レジストローラ23によって用紙搬送制御される所定の用紙Pに転写する。
【0058】
上述の二次転写部70の下流側には定着装置17が設けられ、カラー画像が転写された用紙Pを定着処理する。定着装置17は、定着部17Aや定着クリニーグ部17B等を有して構成される。定着部17Aは、例えば、定着ローラ、加圧ローラ及び加熱(IH)ヒータを有している。
【0059】
定着処理は、加熱ヒータによって加熱される定着ローラ及び加圧ローラの間に用紙Pを通過させることで、当該用紙Pが加熱・加圧される。定着後の記録紙P’は、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に排紙される。定着クリニーグ部17Bは、前回の定着で定着ローラ等に残留したトナー剤を除去(クリーニング)するように動作する。
【0060】
続いて、図2を参照して、ADU架台ユニット20の引き出し例について説明する。図2に示すADU架台ユニット20は、装置本体部101に対して引き出し可能に装着される。ADU架台ユニット20の所定の位置には、例えば、スライド部材28,29が取り付けられる。装置本体部101には、ADU架台ユニット20のスライド部材28,29に対応して被スライド部材281,291が取り付けられる。
【0061】
スライド部材28は被スライド部材281に対して摺動自在に係合され、スライド部材29が被スライド部材291に対して摺動自在に係合される。これにより、装置本体部101に対してADU架台ユニット20を引き出し可能に装着できるようになる。
【0062】
この例では、ADU架台ユニット20の装着時の装置本体部101において、ADU架台ユニット20の下方側には本体側搬送板102が配設され、当該本体側搬送板102に対峙するADU架台ユニット20の底面板が、反転搬送路27Bを構成するADU側搬送板201に兼用される。反転搬送路27Bは、両面印刷モードを実行するとき、当該記録紙P’を反転する際に使用され、両面印刷モードでは、一方の面に画像が形成された記録紙P’を反転した他方の面に画像が形成される。ADU架台ユニット20には、図4に示すような廃トナー回収機構90を有した二次転写部70が実装される(図3及び図4参照)。
【0063】
図2において、装置本体部101の側であって、その奥側には開口部103が設けられ、当該装置本体部101に対してADU架台ユニット20が装着されたとき、開口部103には二次転写部70の廃トナー回収機構90が連結される。開口部103には図4に示すような本体側回収部104が接続される。
【0064】
この例では、装置本体部101に対してADU架台ユニット20を引き出し可能に装着する構造と採ることで、ADU架台ユニット20の裏面側に配設されたADU側搬送板201と、装置本体部101に配設された本体側搬送板102が対向して摺動自在に組み合わされる。この組み合わせによって、本体側搬送板102とADU側搬送板201とで反転搬送路27Bを構成するようになる。
【0065】
このように用紙搬送路構造を構成すると、ADU架台ユニット20の底面板がADU側搬送板201に対応し、装置本体部101内の限られたスペースに自動用紙反転搬送機構27を設置できるようになる。従って、益々、装置の小型化が要求される装置本体部101内の限られたスペースを有効に利用することができる。
【0066】
ここで、図3及び図4を参照して、廃トナー回収機構90の配置例及びその構成例について説明する。図3に示す廃トナー回収機構90は、ADU架台ユニット20の二次転写部70の背面部位に配置されている。廃トナー回収機構90は、図4に示すような回収パイプ91、コイルバネ92及びハット状(鍔状)の中空蓋体93を有している。回収パイプ91は所定の外径を有した終端閉塞状を成し、その終端閉塞状の部位から所定の距離下がった外周面に切り欠き部94を有している。回収パイプ91は図1に示した二次転写部70の排出口75に接合されている。
【0067】
回収パイプ91には連結部の一例を構成する中空蓋体93が挿嵌され、中空蓋体93は、廃トナー9を回収する本体側回収部104とADU架台ユニット20の側の回収パイプ91とを連結するようになされる。中空蓋体93は所定の内径を有しており、中空蓋体93の内径は、回収パイプ91の外径とほぼ等しく設計されている。中空蓋体93は回収パイプ91に挿嵌して組み立てられる。中空蓋体93は、回収パイプ91に挿嵌された状態で、当該中空蓋体93に対して可動自在に係合される(シャッター機構)。
【0068】
この例で、二次転写部70の排出口75の周縁部位と上述の中空蓋体93との間であって、回収パイプ91にはコイルバネ92が挿入されている。コイルバネ92には、所定の弾性係数を有したスプリングコイルバネが使用される。回収パイプ91の終端部位には抜け止め部材95が設けられ、コイルバネ92の付勢力によって、回収パイプ91から中空蓋体93が抜けるのを防止する。なお、抜け止め部材95は、コイルバネ92の一端が中空蓋体93の所定位置に固定され、その他端が二次転写部70の排出口75の周縁部位の所定位置に固定されて、コイルバネ92の抜け止め機能を兼ねる場合は省略してもよい。
【0069】
上述の中空蓋体93は、常時、コイルバネ92の付勢力によって抜け止め部材95の側に付勢されることで、その内面で回収パイプ91に設けられた切り欠き部94を塞ぐ状態を維持している。廃トナー回収機構90では、装置本体部101からADU架台ユニット20が分離されたとき、中空蓋体93で当該ADU架台ユニット20の回収パイプ91の切り欠き部94を閉じる(閉蓋動作)。
【0070】
これにより、中空蓋体93が切り欠き部94を閉める形態で廃トナー9の漏れを止めている。一方、装置本体部101の側に開口部103が設けられる。開口部103には本体側回収部104が取り付けられ、廃トナー回収機構90の連結時、開口部103には中空蓋体93が挿嵌(接続)される。
【0071】
続いて、図5A及びBを参照して、廃トナー回収機構90の連結時の動作例について説明する。この例では、ADU架台ユニット20が装置本体部101に装着されたとき、中空蓋体93で当該ADU架台ユニット20の回収パイプ91の切り欠き部94を開くように動作する(開蓋動作)。
【0072】
これを前提にして、図2に示したスライド部材28,29を介して、ADU架台ユニット20を装置本体部101に収納すると、装置本体部101の開口部103とADU架台ユニット20の中空蓋体93とが自己整合的に位置合わせされる。その後、回収パイプ91及び中空蓋体93が開口部103に挿入され嵌合された状態となる。
【0073】
更に、ADU架台ユニット20を装置本体部101の奥側に押し込むと、図5Bに示す中空蓋体93が装置本体部101の開口部103の周縁部位によって阻止され、回収パイプ91のみが奥側に進行するようになされる。この結果、回収パイプ91に設けられた切り欠き部94が本体側回収部104内に露出する。
【0074】
このとき、中空蓋体93の先端部よりも回収パイプ91の先端部が、より多く露出する状態となるので、切り欠き部94が開口する。この結果、廃トナー9がADU架台ユニット20から本体側回収部104へ流出するようになる。この中空蓋体93の開蓋動作によって、本体側回収部104は回収パイプ91から排出された廃トナーを受けて所定の方向へ導くようになる。これにより、ADU架台ユニット20の二次転写部70と、装置本体部101の本体側回収部104との間で回収パイプ91が嵌合/離間する廃トナー回収機構90を構成できるようになる。
【0075】
続いて、図3、図6及び図7を参照して、反転搬送路27Bにおける清掃機構80の構成例及びその配置例について説明する。図6に示す反転搬送路27Bは、本体側搬送板102、ADU側搬送板201、ガイド板202及び清掃機構80を有して構成される。本体側搬送板102は記録紙P’の一方の面側の動きを所定の方向へ規制する。ADU側搬送板201は、本体側搬送板102との間に所定の距離を有して用紙Pの他方の面側の動きを規制する。
【0076】
反転搬送路27Bには清掃機構80が備えられる。清掃機構80はADU架台ユニット20の側であって、図3に示すように、ADU架台ユニット20の底面板の奥側の縁端部位に配置される。清掃機構80は、例えば、ADU架台ユニット20のADU側搬送板201の摺動開始点側に設けられる(図9参照)。摺動開始点は、ADU架台ユニット20を引き出し操作する際に、その摺動を開始する点である。清掃機構80は所定の長さ又はそれ以上の長さに設定された清掃部材81を有している。清掃部材81には刷毛や、ビニールブラシ、スポンジ等が使用される。
【0077】
図7に示す清掃機構80によれば、反転搬送路27Bにおいて、清掃部材81がADU側搬送板201から本体側搬送板102に垂下する状態で取り付けられる。一方、反転搬送路27Bには、両面印刷モードの実行時、ADU側搬送板201とガイド板202との間に搬送されてくる記録紙P’を本体側搬送板102で待機するようになされる。
【0078】
清掃機構80では、例えば、両面印刷モードの実行時、本体側搬送板102上に不本意に付着した紙粉等の塵埃5(図9B参照)を、ADU架台ユニット20の引き出し(往路)時に、本体側搬送板102の上部が清掃部材81で摺動されることにより、当該紙粉等を除去するようになる。ユーザが意識することなく、本体側搬送板102を清掃できるようになる。
【0079】
このように清掃機構80を構成すると、ADU架台ユニット20の引き出し(往路)時に、当該ADU架台ユニット20の回収パイプ91の中空蓋体93から、不本意に本体側搬送板102上へ廃トナー9(図10B参照)が落下した場合であっても、その装着(復路)時、本体側搬送板102上から摺動開始点側へ廃トナー9を掃き寄せることができる。
【0080】
続いて、図8を参照して、清掃機構80における清掃部材81の取り付け例について説明する。図8に示す清掃部材81の取り付け例によれば、逆さC状を有した鞘部材82(チャンネル部材)が準備される。当該鞘部材82にはビス止め用の開口部822及び逆さC状の溝部823を有したものが使用される。この例では、始めに、開口部822を利用して当該鞘部材82をADU側搬送板201の端部にビス止め等により固定する。その後、清掃部材81を鞘部材82の溝部823に摺動収納する方法を採る。清掃部材81には所定の長さ又はそれ以上の長さに設定された刷毛や、ナイロンブラシ、スポンジ、モヘヤ、フエルト等の清掃部品811がベース部材812に取り付けられたものを使用するとよい。これらの清掃部品811は、これら部材の一端又は一面を揃えて熱硬化樹脂で固めることによりベース部材812とするとよい。
【0081】
このように構成すると、清掃部材81を消耗品として容易に取り替えることが可能となる。しかも、ベース部材812を鞘部材82に収納する構成を採ると、ADU架台ユニット20の反復挿抜動作に対して清掃部材81が十分耐えられるようになる。
【0082】
また、逆さC状を有した鞘部材82は曲面に沿って容易に配置可能となっているので、曲面に沿って清掃部材81を配置する必要が生じた場合、その曲面に沿って鞘部材82を配設した後に、清掃部材81を鞘部材82の曲面に沿って容易に摺動収納交換できるようになる。
【0083】
もちろん、ADU側搬送板201の端部に清掃部材81を取り付ける方法は、これに限られることはなく、清掃部品811を実装したベース部材812を直接、ADU側搬送板201の端部に両面テープで接着する方法を採ってもよい。この方法は、本体側搬送板102とADU側搬送板201との端部間の長さ(隙間)が短い(狭い)場合に有利である 続いて、図9及び図10を参照して、反転搬送路27Bにおける清掃機構80の動作例(その1、2)について説明する。この例では、ADU側搬送板201と本体側搬送板102とにより、ADU架台ユニット20の反転搬送路27B(用紙搬送路構造)が構築され、ADU架台ユニット20の引き出し時、反転搬送路27BがADU架台ユニット20の側と装置本体部101の側に分離される構成が採られる。しかも、ADU側搬送板201の端部側から本体側搬送板102の端部側に至る所定の長さ(高さ)の清掃部材81を有した清掃機構80を備え、ADU架台ユニット20の挿抜時に、清掃部材81の先端部が本体側搬送板102に触れた状態で摺動される場合を前提とする。清掃部材81によって、ADU架台ユニット20の引き出し時及び装着時に本体側搬送板102の上部を清掃できるようにした。なお、ADU架台ユニット20の引き出し時及びその装着時の2つに分けてその清掃例を説明する。
【0084】
[ADU架台ユニット20の引き出し時の清掃例]
図9Aに示すADU架台ユニット20が装置本体部101に装着(セット)された状態である。記録紙P’は、両面印刷モード時、ADU側搬送板201と本体側搬送板102とにより構築される反転搬送路27Bに待機される。この状態の廃トナー回収機構90においては、図5Bに示した中空蓋体93が本体側回収部104の開口部103に連結され、切り欠き部94が開口された状態である。このとき、二次転写ベルト71からクリーニングブレード73によって掻き集められた廃トナー9は、ドレインパン74によって受け止められる。廃トナー9はドレインパン74から排出口75、回収パイプ91を介して本体側回収部104に流出する。
【0085】
また、図9Bにおいて、紙詰まり等によりメンテナンス処理が生じた場合、装置本体部101からADU架台ユニット20の引き出し操作が開始される。このとき、スライド部材29が被スライド部材291に沿って摺動される。図示しないスライド部材28は被スライド部材281に沿って摺動される。この状態の廃トナー回収機構90においては、図5Aに示した中空蓋体93の閉蓋動作を経由して、図4に示した中空蓋体93が開口部103から分離された状態となる。また、清掃機構80においては、清掃部材81が本体側搬送板102の上部を引かれるように移動するので、当該清掃部材81によって本体側搬送板102の上部を清掃するようになる。このとき、例えば、本体側搬送板102の上部の紙粉等の塵埃5は清掃部材81によって掃き寄せられる。
【0086】
そして、図9Cにおいて、装置本体部101からADU架台ユニット20の引き出し操作が完了する状態となる。このとき、スライド部材29が被スライド部材291によって摺動状態から支持状態に移行される。図示しないスライド部材28も被スライド部材281によって摺動状態から支持状態に移行される。この状態の廃トナー回収機構90においては、図4に示した中空蓋体93が開口部103から分離された状態を維持している。このとき、反転搬送路27Bの一部である本体側搬送板102が装置本体部101に残留する構造となっている。清掃機構80においては、清掃部材81に掃き寄せられた紙粉等の塵埃5が、例えば、本体側搬送板102の上部から装置外等へ落下する。
【0087】
[ADU架台ユニット20の装着時の清掃例]
図10Aにおいて、紙詰まり等のメンテナンス処理を終了して、ADU架台ユニット20が装置本体部101への装着操作を開始する状態となる。このとき、スライド部材29が被スライド部材291によって支持状態から摺動状態に移行される。図示しないスライド部材28も被スライド部材281によって支持状態から摺動状態に移行される。この状態の廃トナー回収機構90においては、図4に示した中空蓋体93が開口部103から分離された状態を維持している。このとき、反転搬送路27Bの一部である本体側搬送板102が装置本体部101に残留する構造となっている。
【0088】
また、図10Bにおいて、更に、ADU架台ユニット20の装置本体部101への装着操作が継続される。このとき、スライド部材29が被スライド部材に沿って摺動される。図示しないスライド部材28も被スライド部材281に沿って摺動される。この状態の廃トナー回収機構90においては、図5Aに示した中空蓋体93の閉蓋動作から開蓋動作に移行する。
【0089】
更に、清掃機構80においては、清掃部材81が本体側搬送板102の上部を接触しながら移動するので、当該本体側搬送板102の上部を清掃できるようになる。このとき、例えば、本体側搬送板102の上部の廃トナー9等は清掃部材81によって奥側に掃き寄せられる。
【0090】
図10Cに示すADU架台ユニット20は、装置本体部101に装着(セット)完了された状態である。このADU架台ユニット20が装置本体部101に装着完了すると共に、ADU側搬送板201と本体側搬送板102とにより、ADU架台ユニット20の反転搬送路27Bが構築される。この状態の廃トナー回収機構90においては、図5Bに示した中空蓋体93が開口部103に連結され、切り欠き部94が開口された状態となる。
【0091】
また、清掃部材81によって本体側搬送板102の奥側に掃き寄せられた廃トナー9等は、本体側搬送板102の上部から装置本体部101の溝部等に落下する。これにより、本体側搬送板102上の廃トナー9をADU架台ユニットの装着動作に連動させて清掃できるようになる。なお、二次転写部70からの廃トナー9は、そのドレインパン74から排出口75、回収パイプ91を介して本体側回収部104に流出する状態となる。
【0092】
このように実施形態としての用紙搬送路構造を備えたカラープリンタ100によれば、分離可能な反転搬送路27Bを有するADU架台ユニット20のADU側搬送板201に清掃機構80が設けられる。清掃機構80は、ADU側搬送板201の端部側から、当該端部側に対向する本体側搬送板102の端部側に至る所定の長さの清掃部材81を有し、ADU架台ユニット20の挿抜時、当該清掃部材81の先端部が本体側搬送板102に触れた状態で往復摺動動作するようになされる。
【0093】
このような往復摺動動作によって、本体側搬送板102の用紙対向面側を再現性良く清掃できるようになる。上述した例では、ADU側搬送板201の往路動作時、本体側搬送板102の上部に既に堆積していた紙粉等の塵埃5を摺動終了点側に掃き寄せることができる。
【0094】
更に、ADU側搬送板201の先の往路動作時に不本意にADU架台ユニット20から本体側搬送板102の上部へ落下した廃トナー9等を摺動開始点側に掃き寄せることができる。例えば、ADU架台ユニット20の離間時に、廃トナー9が本体側搬送板102の上部に落下しても、ADU側搬送板201の装着時、当該本体側搬送板102の上部の廃トナーをユーザが意識することなく、清掃機構80により自動的に清掃できるようになる。
【0095】
これにより、本体側搬送板102の上部の塵埃5や廃トナー9等をADU架台ユニット20に取り付けられた清掃機構80で清掃できるようになった。この結果、両面印刷モード時、廃トナー9による紙汚れを防止できるようになる。しかも、廃トナー回収機構90を有する二次転写部70を実装したADU架台ユニット20の底面が、装置本体部101に対して着脱可能なADU側搬送板201を兼用した反転搬送路27Bを備えたコンパクトタイプのカラープリンタ100を提供できるようになる。
【0096】
上述した実施例では、分離可能な用紙搬送路構造に関して、反転搬送路27Bの構造の場合について説明したが、これに限られることはなく、循環再給紙路27Aや、再給紙搬送路27C、用紙供給部200の用紙搬送路等に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
この発明は、用紙搬送路を構成する本体装置の側の搬送路部材と引き出しユニットの側の搬送路部材とが分離可能な用紙搬送路構造を有して所定の用紙に画像を形成するカラープリンタや、カラー用の複写機や、複合機等に適用して極めて好適なものである。
【符号の説明】
【0098】
1Y,1M,1C,1K 感光体ドラム(像担持体)
3Y,3M,3C,3K 画像書込みユニット(画像形成部)
4Y,4M,4C,4K 現像ユニット(画像形成部)
6 中間転写ベルト(像担持体)
8A,8Y,8M,8C,8K クリーニング部
10Y,10M,10C,10K 画像形成ユニット(画像形成部)
17 定着装置
17A 定着部
17B 定着クリーニング部
27A 循環再給紙路
27B 反転搬送路
27C 再給紙搬送路
60 画像形成部
70 二次転写部
71 二次転写ベルト
72 帯電器
73 クリーニングブレード
74 ドレインパン
75 排出口
80 清掃機構
81 清掃部材
82 ベース部材
90 廃トナー回収機構
91 回収パイプ
92 コイルバネ
93 中空蓋体
94 切り欠き部
95 排出口
100 カラープリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体装置と当該本体装置から引き出し可能な引き出しユニットとを備え、用紙搬送路を構成する前記本体装置の側の搬送路部材と前記引き出しユニットの側の搬送路部材とが分離可能な用紙搬送路構造を有し、前記用紙搬送路を搬送される用紙に画像を形成する画像形成装置であって、
前記用紙搬送路構造は、
用紙の一方の面側の動きを所定の方向へ規制する本体装置の側の搬送路部材と、
前記搬送路部材に対向して摺動自在に組み合わされ、当該搬送路部材との間に所定の距離を有して前記用紙の他方の面側の動きを規制する引き出しユニットの側の搬送路部材と、
前記引き出しユニットの搬送路部材の摺動開始点側に設けられた清掃機構とを備え、
前記清掃機構は、
前記引き出しユニットの搬送路部材の端部側から、当該端部側に対向する本体装置の搬送路部材の端部側に至る所定の長さ又はそれ以上の長さを有する清掃部材を含み、
前記引き出しユニットの引き出し時又は装着時に、当該清掃部材の先端部が本体装置側の搬送路部材に触れた状態で摺動されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙搬送路構造は、
一方の面に画像が形成された前記用紙を反転するための反転搬送路に備えられ、
前記用紙の両面に画像を形成する両面画像形成モードが設定されたとき、
前記反転搬送路では、紙先端部から搬入された前記用紙がその紙後端部から搬出されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙搬送路構造を構成する引き出しユニットの搬送路部材は、
廃トナー回収機構を有する転写部を実装した両面画像形成ユニットの底面板に対応することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記廃トナー回収機構は、
廃トナーを回収する本体装置の側の回収部材と引き出しユニットの側の回収部材とを連結する連結部を有し、
前記連結部は、
前記本体装置から引き出しユニットが分離されたとき、当該引き出しユニットの回収部材の先端部を閉じ、前記引き出しユニットが本体装置に装着されたとき、当該引き出しユニットの回収部材の先端部を開く自動開閉機構を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙搬送路を構成する固定側の搬送路部材と可動側の搬送路部材とが分離可能な用紙搬送路構造であって、
用紙の一方の面側の動きを所定の方向へ規制する固定側の搬送路部材と、
前記固定側の搬送路部材に対向して摺動自在に組み合わされ、当該固定側の搬送路部材との間に所定の距離を有して前記用紙の他方の面側の動きを規制する可動側の搬送路部材と、
前記可動側の搬送路部材の摺動開始点側に設けられた清掃機構とを備え、
前記清掃機構は、
前記可動側の搬送路部材の端部側から、当該端部側に対向する固定側の搬送路部材の端部側に至る所定の長さ又はそれ以上の長さを有する清掃部材を含み、
前記固定側の搬送路部材に対して前記可動側の搬送路部材が相対移動した時に、当該清掃部材の先端部が固定側の搬送路部材に触れた状態で摺動されることを特徴とする用紙搬送路構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate