説明

画像形成装置用ローラのクリーニング方法

【発明の詳細な説明】
「産業上の利用分野」
本発明は転写材を用いる画像形成装置のローラのクリーニング方法に関するものである。詳しくは未着トナーを担持した転写材が接して通過するローラのクリーニング方法に関するものである。
「従来の技術」
従来転写材を用いる画像形成装置には、転写材を搬送するために各種のローラが使用されている。
特に電子写真装置に使用される加熱定着装置では、加熱定着ローラ、加圧ローラが転写材上の未定着トナーを定着し、またこれらのローラによつて転写材の搬送も行われている。
「発明が解決しようとしている課題」
しかしながら、上記従来例では次のような欠点があつた。すなわち、加熱定着ローラや加圧ローラは使用に伴いローラ表面に紙粉等の汚れが付着する。これにより界面活性剤等によるローラ表面のトナーの離型性が低下し、ローラ表面にトナーが融着する。この融着トナーによつて、転写材上の画像を乱したり、転写材の裏汚れを発生させる問題がある。そしてローラの汚れによつて転写材がローラに巻き付く場合がある。このため従来より加熱定着用ローラ、加圧ローラの少なくとも一方のローラ表面にクリーニング部材を圧接し、ローラ表面をクリーニングする方法が用いられることが一般的であつた。これらのクリーニング方法では、装置の小型化が難かしく、簡単なクリーニングの方法によるクリーニング装置によつてはクリーニング性の維持も難しいという問題が残つていた。
本発明は上記従来の未定着トナーを担持した転写材通過によるローラの汚れの完全な除去方法を提供することを目的としている。
「課題を解決するための手段」
本発明は定着用回転体でクリーニングシートを搬送し定着用回転体のクリーニングを行なう定着用回転体のクリーニング方法において、前記管クリーニングシートにはトナーが定着されておりこの定着トナーが定着部の熱により溶融されて粘着性を現すことを特徴とする定着用回転体のクリーニング方法である。
「実施例1」
以下本発明の実施例について図面を用いて説明する。第1図(a)は本発明に用いるクリーニングシートの断面図、第1図(b)はクリーニングシートを表面より見た図である。75g/m2のレターサイズ紙をクリーニングシート基材1とし、現像幅F以上にわたつてトナー2をベタ黒状態に定着させている。矢印イはクリーニングシートの搬送方向である。クリーニングシート基材1の材質はトナーが定着するものであれば特に紙に限定するものではない。
第2図は本実施例に用いた定着装置の概略構成図である。定着用回転体である加熱定着ローラ3は芯金が外径20mm肉厚2mmの円筒状のアルミ合金製で、芯金表面に熱収縮PFAチユーブをかぶせてある。加熱定着ローラ3の両端に固定した軸頚3aは図示されない固設した軸受に支持されている。加圧ローラ4は外径10mmのステンレス芯金上にシリコーンゴムを肉厚3mmで弾性層として設け、表面硬度が28゜(日本工業規格スプリング硬さ〔HS〕A形)である。加圧ローラ4の両端の軸頚4aは軸受6に支持されている。軸受6は固設した案内部材8に移動自在に滑合している。案内部材8は加熱定着ローラ3、加圧ローラ4の中心を結ぶ線に平行し、該中心に対称に設けてある。該軸受6と固設したバネ座7との間には圧縮コイルバネの加圧バネ5が間挿され、軸受6を加熱定着ローラ3の中心に向けて押圧することにより、加圧ローラ4を加熱定着ローラ3に圧接させている。
この圧接力は総圧力で7Kgである。また定着装置の加熱手段として390Wのハロゲンヒーターを用い加熱定着ローラ3の表面温度検知手段として、サーミスタを該加熱定着ローラ3に当接させ、表面温度を約150℃に維持するように公知の制御手段で制御した(不図示)。
本定着装置を用いて現像されたトナー像を担持した記録材であるテストパターンの未定着トナー像を形成した日本工業規格紙の大きさA4サイズ紙(64g/m2)を毎分4枚の速さで通紙テストを行つた。これによると通紙5000枚で加圧ローラ4表面に紙粉の付着がみられ、それに伴いオフセツト性も低下した。さらに約10000枚通紙時、加圧ローラ4にトナーが付着した。この時点で該クリーニングシートを定着トナー2面が加圧ローラ4側になるように通紙したところ、加圧ローラ4の汚れは全て除去され、オフセツト性も初期レベルまで回復した。特に本発明ではクリーニング幅を現像幅F以上にしてあるため加圧ローラ4上に付着したトナー汚れを完全に除去することができた。
これは加圧ローラ4のニツプ部でクリーニングシート上の定着トナー2が再溶融したために発生する粘着性によるものである。以降5000枚通紙毎にクリーニングシートを通紙することにより、通紙テストを継続した結果20万枚終了まで搬送性定着性に係わるトラブルは一切発生しなかつた。
一方クリーニングシートを通紙しなかつた場合は、約15000枚通紙時点で加圧ローラ4のトナー汚れに起因する転写材の巻き付きが発生し、通紙不能となつた。
「実施例2」
第3図は本発明の他の実施例によるクリーニングシートの断面図である。75g/m2の前実施例と同じレターサイズ紙をクリーニング基材1とし、現像幅F以上にわたつてトナーをベタ黒状態に定着させた定着トナー2層をクリーニングシート基材1の両面に設けていることが本実施例での特徴である。
これにより、クリーニングシート使用時に表裏を気にせず使用できるほか加熱定着ローラ3に付着したトナー汚れ、紙粉等も除去することが可能となつた。
さらには、加圧ローラ4の汚れが大変激しく1度のクリーニングシートの使用で完全に除去しきれないような場合においても、本実施例のクリーニングシートであれば1度クリーニングしたのち表裏を逆にして再度使用することにより、加圧ローラ4の汚れを完全に除去することが可能である。このように本実施例は前記実施例と同様のクリーニングの効果が得られる。
〔発明の効果〕
以上説明したように画像形成装置の定着装置において少なくともローラ接触時に粘着性を発現する表層を有し、上記表層幅すなわちクリーニング幅が現像幅以上であるクリーニングシートを所定回数毎にローラに挟持搬送させローラ表面の汚れを除去することにより、ローラの表面が常に清浄に維持され、長寿命化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明の実施例によるクリーニングシートの断面図、第1図(b)は第1図(a)の平面図、第2図2図は本発明で用いた定着装置の概略斜視図、第3図は本発明の他の実施例によるクリーニングシートの断面図である。
1……クリーニングシート基材、2……定着トナー、3……加熱定着ローラ、4……加圧ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】定着用回転体でクリーニングシートを搬送し定着用回転体のクリーニングを行なう定着用回転体のクリーニング方法において、前記クリーニングシートにはトナーが定着されておりこの定着トナーが定着部の熱により溶融されて粘着性を現すことを特徴とする定着用回転体のクリーニング方法。

【第1図(a)】
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【第1図(b)】
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【第2図】
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【第3図】
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【特許番号】第2671148号
【登録日】平成9年(1997)7月11日
【発行日】平成9年(1997)10月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−35754
【出願日】平成1年(1989)2月15日
【公開番号】特開平2−213889
【公開日】平成2年(1990)8月24日
【出願人】(999999999)キヤノン株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭56−9773(JP,A)
【文献】特開 平2−160275(JP,A)
【文献】特開 平2−160276(JP,A)