説明

画像形成装置

【課題】多数枚の排紙に対応でき、装置の大型化やプリント生産性の低下を来すことがない画像形成装置を得る。
【解決手段】画像形成面を上方に向けてフェースアップ排紙する画像形成装置において、回転軸51に羽根52a〜52dを等間隔に設けたページ揃えユニット50を排紙トレイ40の直上であって排紙ローラ36による用紙排紙口の両側に設けた。1枚目の用紙P1は羽根52a上に載置され、回転軸51の矢印B方向への90°の回転によって上方に移動する。後続する2枚目の用紙P2は羽根52b上に載置され、回転軸51のさらなる90°の回転によって用紙P1が用紙P2上に重ねられ、後続する3枚目の用紙P3は羽根52c上に載置される。回転軸51が以上の間欠回転を繰り返すことでフェースアップ排紙された用紙がページ順に揃えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、電子写真法によって用紙上に画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置において、画像形成済み用紙をその排紙方向などを考慮して、画像面(第1面)を上方に向けて排紙トレイ上に排出するフェースアップ排紙を採用する場合がある。しかし、このようなフェースアップ排紙された用紙束はページ順が逆になっているため、ユーザはページ順を揃え直す負担を負うことになる。
【0003】
そこで、特許文献1には、排紙ローラと平行に2軸に設けた腕部材を旋回させ、フェースアップ排紙された用紙のページ順を整合させるようにした排紙装置が開示されている。また、特許文献2には、フェースアップ排紙された用紙を一時的に保管トレイにスタックし、その後、正規排紙トレイに向けて搬送する用紙揃え装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の排紙装置では、後続用紙の先端を先行用紙の下に潜り込ませる構成となっているため、後続用紙の負荷が大きくなり、多数枚の排紙には対応できないという問題点を有している。また、特許文献2に記載の用紙揃え装置では、正規排紙トレイに加えて保管トレイが必要で、画像形成装置自体が大型化し、ファーストプリントタイムが遅くなり、かつ、プリント生産性も低下する。
【特許文献1】特開平6−255857号公報
【特許文献2】特開2000−255910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、多数枚の排紙に対応でき、装置の大型化やプリント生産性の低下を来すことがない画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するため、本発明は、
画像形成面を上方に向けてフェースアップ排紙する画像形成装置において、
画像形成済み用紙の排出口から排出された用紙を支持する第1支持部材及び第2支持部材と、
前記第1支持部材及び第2支持部材を用紙排出方向に対して垂直な方向に移動させる移動手段と、を備え、
第1支持部材にて先行する用紙を前記排出口よりも上方に移動させた状態で、後続の用紙を第2支持部材にて支持し、先行する用紙を後続の用紙上に移動させ、画像形成済み用紙のページ順を揃えること、
を特徴とする。
【0007】
本発明に係る画像形成装置においては、先行して排出された用紙を第1支持部材で上方に持ち上げ、先行用紙の下方に後続用紙を排出して第2支持部材で支持する。その後、先行する用紙を後続の用紙上に移動させ、フェースアップ排紙された用紙のページ順を揃える。後続用紙は先行用紙の下方に接触して潜り込むことはなく、負荷は生じないので、多数枚の排紙が可能である。また、一時保管トレイを設置する必要はなく、スペース的に有利であり、プリント生産性が低下することもない。
【0008】
本発明に係る画像形成装置において、移動手段は回転軸又は回転ベルトで構成することができ、第1支持部材及び第2支持部材は回転軸又は回転ベルトに所定の間隔で設けられ、かつ、排出口の近傍に排出方向と直交する両側に配置すればよい。
【0009】
また、移動手段は、所定のページ数の用紙が排出されると、ページ順を揃えられた用紙束を排紙トレイ上に移動させるようにすれば、ジョブ単位ごとの用紙束をページ順を揃えて排紙トレイ上にスタックしていくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施例、図1〜図4参照)
図1に、本発明の第1実施例である画像形成装置1Aの概略構成を示す。この画像形成装置1Aは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナー画像を形成するイメージングユニット10(10Y,10M,10C,10K)、転写ユニット20、自動給紙ユニット30、定着ユニット35、用紙排出口を構成する排紙ローラ36、排紙トレイ40及びページ揃えユニット50にて構成されている。
【0012】
各イメージングユニット10は感光体ドラム11や図示しない帯電器、画像露光器、現像器などを備えた周知のものである。転写ユニット20は矢印A方向に回転可能な転写ベルト21を備え、自動給紙ユニット30から1枚ずつ給紙された用紙が転写ベルト21上に吸着されて上方に搬送される。この搬送途中において、各感光体ドラム11に形成されたトナー画像が用紙上に順次転写され、カラー画像として合成される。用紙は、さらに上方に搬送され、定着ユニット35にてトナーの加熱定着を施された後、排紙ローラ36から画像形成面を上方に向けて排紙トレイ40上に排出(フェースアップ排紙)される。
【0013】
なお、このような電子写真法によるカラー画像の形成方法や各作像エレメントの構成は周知であり、その詳細な説明は省略する。
【0014】
本発明の特徴は、フェースアップ排紙において、排紙ローラ36に隣接して排紙トレイ40の直上にページ揃えユニット50を設けた点にある。フェースアップ排紙では排出された用紙をそのままトレイ40上に積載すると、ページ順が逆になってしまう。以下に説明するようにページ揃えユニット50を動作させることで、ページ順を揃えてトレイ40上に積載することができる。
【0015】
ページ揃えユニット50は、図2に示すように、L字状に屈曲した四つの羽根52a〜52dを回転軸51を中心に90°間隔で取り付け、排紙ローラ36の用紙排出方向の直後に、かつ、排出方向と直交する両側に設けられている。また、回転軸51を正逆方向に回転させるために、モータ53、複数のギヤ54a,54b,…が設置されている。排紙トレイ40は、画像形成装置1Aの正面に設置され、ページ揃えユニット50を設置した分だけ排紙ローラ36からは低く設定されている。
【0016】
ここで、ページ揃えユニット50による用紙揃え動作について説明する。図3(A)に示すように、1枚目の用紙P1が排出されるとき、羽根52aの基部が排出経路に水平に侵入した状態にセットされ、排紙ローラ36から送り出された用紙P1は羽根52aの基部上に載置される。
【0017】
2枚目の用紙P2が排出されるまでの間に、回転軸51が矢印B方向に90°正転される。これにて、1枚目の用紙P1は羽根52aの屈曲部で支持され、排紙ローラ36のニップ部36a(排出口)よりも高く持ち上げられる(図3(B)参照)。ここで、後続の用紙P2が排出されると、用紙P2は羽根52bの基部上に載置される。
【0018】
3枚目の用紙P3が排出されるまでの間に、さらに、回転軸51が矢印B方向に90°正転される。この回転途中において、用紙P1は羽根52aでの支持が解除されて羽根52bで支持されている用紙P2上に重ねられる(図3(C)参照)。回転軸51が90°正転すると、羽根52bの屈曲部で支持された用紙P1,P2が排出口よりも高く持ち上げられた状態となる(図3(D)参照)。
【0019】
3枚目の用紙P3は羽根52cの基部上に載置され、その後、回転軸51の90°ずつの間欠的正転と用紙の排出が繰り返され、用紙は順次ページ順を揃えてページ揃えユニット50上に積載される。1ジョブが終了すると、即ち、所定ページ数の用紙が排出されると、回転軸51は矢印B’方向に180°逆転される。
【0020】
仮に、用紙P3が1ジョブでの最終ページであると、図3(D)に示した状態から、回転軸51が矢印B’方向に180°逆転される。この逆転途中において、図4(A)に示すように、用紙P3が羽根52cによる支持が解除されて排紙トレイ40上に落ち込む。次に、図4(B)に示すように、用紙P1,P2が羽根52bによる支持が解除されて用紙P3上に落ち込む。これにて、用紙P1,P2,P3がページ順にフェースアップした状態でトレイ40上に積載されることになる。
【0021】
(第2実施例、図5〜図8参照)
図5に、本発明の第2実施例である画像形成装置1Bの概略構成を示す。この画像形成装置1Bは、基本的には前記第1実施例と同様の構成からなり、異なるのは、いま一つのページ揃えユニット60を設けた点にある。なお、図5〜図8に示す第2実施例において、第1実施例と同じユニット、部材には図1〜図4と同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
ページ揃えユニット60は、図5に示すように、駆動軸61及び従動軸62に無端状に巻回したベルト63に六つの羽根64a〜64fを等間隔に取り付け、排紙ローラ36の排出方向の直後に、かつ、排出方向と直交する両側に設けられている。
【0023】
ページ揃えユニット60による用紙揃え動作は以下のとおりである。図7(A)に示すように、1枚目の用紙P1が排出されるとき、羽根64aが排出経路に水平に侵入した状態にセットされ、排紙ローラ36から送り出された用紙P1は羽根64a上に載置される。
【0024】
2枚目の用紙P2が排出されるまでの間に、ベルト63が矢印B方向に羽根64a〜64fの取付けピッチに対応する距離だけ(以下、1ピッチと称する)矢印B方向に正転される。これにて、1枚目の用紙P1は羽根64aで支持された状態で排紙ローラ36のニップ部36a(排出口)よりも高く持ち上げられる(図7(B)参照)。ここで、後続の用紙P2が排出されると、用紙P2は羽根64b上に載置される。
【0025】
3枚目の用紙P3が排出されるまでの間に、さらに、ベルト63が矢印B方向に1ピッチ正転される。この回転途中において、用紙P1は羽根64aでの支持が解除されて羽根64bで支持されている用紙P2上に重ねられる(図7(C)参照)。ベルト63が1ピッチ正転すると、羽根64bで支持された用紙P1,P2が排出口よりも高く持ち上げられた状態となる(図7(D)参照)。
【0026】
3枚目の用紙P3は羽根64c上に載置され、その後、ベルト63の1ピッチずつの間欠的正転と用紙の排出が繰り返され、用紙は順次ページ順を揃えてページ揃えユニット60上に積載される。1ジョブが終了すると、即ち、所定ページ数の用紙が排出されると、ベルト63は矢印B’方向に3ピッチ逆転される。
【0027】
仮に、用紙P3が1ジョブでの最終ページであると、図7(D)に示した状態から、ベルト63が矢印B’方向に3ピッチ逆転される。この逆転途中において、図8(A)に示すように、用紙P3が羽根64cによる支持が解除されて排紙トレイ40上に落ち込む。次に、図8(B)に示すように、用紙P1,P2が羽根64bによる支持が解除されて用紙P3上に落ち込む。これにて、用紙P1,P2,P3がページ順にフェースアップした状態でトレイ40上に積載されることになる。
【0028】
(他の実施例)
なお、本発明に係る画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0029】
例えば、画像形成装置は、第1及び第2実施例に示したイメージングユニットが略垂直方向に配置されたタンデム方式以外に、イメージングユニットが水平方向に配置されたタンデム方式、一つの感光体ドラム上に形成された画像を各色の現像器で現像する4サイクル方式であってもよい。また、モノクロの画像形成装置であってもよい。
【0030】
第1及び第2実施例において、排紙トレイは画像形成装置の正面に設置したが、いずれの面に設置されていてもよい。
【0031】
また、ページ揃えユニットは、排出通路の両側に設けた回転軸又はベルトが排出される用紙の幅方向の寸法に応じて移動する機構を備えていてもよい。第1実施例において、ページ揃えユニットの羽根は3枚以上であればよい。また、第2実施例において、ページ揃えユニットの羽根は4枚以上であればよい。
【0032】
さらに、ページ揃えユニットの羽根は平板材以外に針金など線状材で形成されていてもよい。駆動伝達機構としてもギヤ以外にベルトなどであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1実施例を示す概略構成図である。
【図2】第1実施例に搭載したページ揃えユニットを示す斜視図である。
【図3】第1実施例におけるページ揃え動作を示す説明図である。
【図4】図3に続くページ揃え動作を示す説明図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の第2実施例を示す概略構成図である。
【図6】第2実施例に搭載したページ揃えユニットを示す斜視図である。
【図7】第2実施例におけるページ揃え動作を示す説明図である。
【図8】図7に続くページ揃え動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1A,1B…画像形成装置
36…排紙ローラ
40…排紙トレイ
50,60…ページ揃えユニット
51…回転軸
52a〜52d,64a〜64f…羽根
53…モータ
63…ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成面を上方に向けてフェースアップ排紙する画像形成装置において、
画像形成済み用紙の排出口から排出された用紙を支持する第1支持部材及び第2支持部材と、
前記第1支持部材及び第2支持部材を用紙排出方向に対して垂直な方向に移動させる移動手段と、を備え、
第1支持部材にて先行する用紙を前記排出口よりも上方に移動させた状態で、後続の用紙を第2支持部材にて支持し、先行する用紙を後続の用紙上に移動させ、画像形成済み用紙のページ順を揃えること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記移動手段は回転軸又は回転ベルトであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
第1支持部材及び第2支持部材は前記回転軸又は回転ベルトに所定の間隔で設けられ、かつ、前記排出口の近傍に排出方向と直交する両側に配置されていることを、特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移動手段は、所定のページ数の用紙が排出されると、ページ順を揃えられた用紙束を排紙トレイ上に移動させること、を特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−62182(P2009−62182A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233310(P2007−233310)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】