説明

画像形成装置

【課題】本発明は、交換部品に取り付けられる部品情報記憶素子との間の非接触通信を小型で安価に行う画像形成装置に関する。
【解決手段】画像形成装置1は、搭載するトナーカートリッジ2K〜2Yのうち相隣接するトナーカートリッジ2Kとトナーカートリッジ2M及びトナーカートリッジ2Cとトナーカートリッジ2Yが相対向する面に、平面コイル11K〜11Yと部品情報を記憶するタグチップ12K〜12Yを搭載するRFIDタグ3K〜3Yが取り付けられ、RFIDタグ3KとRFIDタグ3Mの間及びRFIDタグ3CとRFIDタグ3Yの間に、アンテナ4a、4bが配設されて、RFID制御部30で、アンテナ4a、4bを駆動させて対向するRFIDタグ3K〜3Yと選択的に通信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳細には、交換部品に取り付けられる部品情報記憶素子との間の非接触通信を小型で安価に行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置、複写装置、複合装置等の画像形成装置においては、種々の消耗品等の所定時期に交換を必要とする交換部品が搭載されており、例えば、電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置においては、トナーを収納するトナーカートリッジ、あるいは、感光体や現像部等が一体となったプロセスカートリッジ、その他の交換部品を搭載して、必要に応じて適宜の時期に交換を行うようになっている。
【0003】
このような交換部品の交換時期の管理や故障等の管理に必要な部品情報を交換部品毎に適切に管理するために、従来から記憶素子及び非接触通信を行う非接触通信部を備えた部品管理タグを交換部品に取り付け、画像形成装置に部品管理タグの通信部と非接触通信を行って部品情報の授受を行う通信部と、通信部を制御する通信制御部と、部品情報に基づいて交換部品の管理を行う制御部と、を備えている。
【0004】
このような画像形成装置においては、従来から、部品管理タグとして、平面コイルとメモリ機能部(ICチップ)からなるRFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)タグが用いられ、画像形成装置側に、アンテナを備えた通信部を設けて、RFIDタグのコイルとの間で電磁波を利用して部品情報の送受信を行っている。
【0005】
ところが、従来の画像形成装置においては、RFIDタグと1対1でアンテナを設けて、RFIDタグ毎に該RFIDタグに対して設けられたアンテナを用いて非接触通信を行っていたため、RFIDタグの数だけアンテナを設ける必要があり、画像形成装置の小型化、低価格化を図る上で改良の必要があった。
【0006】
そこで、従来、画像形成装置本体内に装着された全ての画像形成用カートリッジに取り付けられている非接触通信ICタグとの間で通信可能にカバーする指向性を備えたループアンテナを設けた画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
すなわち、この従来技術は、例えば、図8に示すように、画像形成装置内に、交換部品として、複数(図8では、2つが示されている。)のトナーカートリッジ101a、101bが装着されている場合に、該トナーカートリッジ101a、101bの一方向の端部に、部品情報管理手段としてRFIDタグ102a、102bが取り付けられており、これらのトナーカートリッジ101a、101bの一方向端部に取り付けられたRFIDタグ102a、102bの全てに対向する領域に渡る大きさの本体側非接触通信手段としてのループアンテナ103が画像形成装置内に配設されている。
【0008】
この従来技術では、1つのループアンテナ103で2つのRFIDタグ102a、102bと通信することができる。したがって、特許文献1に記載されているように、トナーカートリッジが3つのときには、3つのトナーカートリッジに取り付けられているRFIDタグに全てに対向する領域に渡る大きさのループアンテナが設けられることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、複数のトナーカートリッジそれぞれの一方向端部にRFIDタグが取り付けられており、これらの全てのRFIDタグに対向する領域に渡る大きさのループアンテナが配設される構成となっているため、アンテナが大型化し、画像形成装置が大型化して、価格が高くつくという問題があった。この場合、アンテナを小型化するために、アンテナからの出力を大きくすると、放出する電磁波のエネルギーが多くなり、各国で規制しているEMI(Electromagnetic Interference;電波雑音干渉)規格を満足できなくなるおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、本体側非接触通信手段の大きさ及び出力を抑制しつつ、少ない本体側非接触通信手段で安価にかつ適切に複数の交換部品に取り付けられている部品情報管理手段の非接触通信手段と非接触状態で通信する画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、上記目的を達成するために、搭載している交換部品のうち相隣接する複数の交換部品に、複数の該交換部品が対向する中心位置に対向する面に配置され非接触状態で通信する非接触通信手段と該交換部品に関する部品情報を記憶する不揮発性記憶手段とを搭載する部品情報管理手段が取り付けられており、複数の相隣接する前記交換部品に取り付けられている前記非接触通信手段に対向する前記中心位置に、複数の該非接触通信手段と非接触状態で通信する本体側非接触通信手段が配設され、通信制御手段で、該本体側非接触通信手段を駆動させて複数の対向する前記非接触通信手段と通信させることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、複数の相隣接する前記交換部品を、該交換部品に取り付けられている前記部品情報管理手段の前記非接触通信手段が前記中心位置に対向する状態で装着させる部品装着部を備えていることを特徴としてもよい。
【0013】
さらに、本発明の画像形成装置は、前記通信制御手段が、前記本体側非接触通信手段の駆動を制御して複数の対向する前記部品情報管理手段の前記非接触通信手段と選択的に通信させることを特徴としてもよい。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、同種の交換部品及び該交換部品が装着される部品装着部の双方に、該交換部品と該部品装着部を相互に特定する特定機構部が設けられていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置によれば、本体側非接触通信手段の大きさ及び出力を抑制しつつ、少ない本体側非接触通信手段で安価にかつ適切に複数の交換部品に取り付けられている部品情報管理手段の非接触通信手段と非接触状態で通信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例を適用した画像形成装置におけるトナーカートリッジ部分の上面図。
【図2】図1の画像形成装置におけるトナーカートリッジ部分の側面図。
【図3】図1の画像形成装置の要部回路構成図。
【図4】アンチコリジョン処理を伴う通信処理を示すフローチャート。
【図5】第1実施例の画像形成装置における他の例の要部回路構成図。
【図6】第1実施例の画像形成装置におけるさらに他の例の要部回路構成図。
【図7】第2実施例の画像形成装置の要部回路構成図。
【図8】従来の画像形成装置のトナーカートリッジに取り付けられたRFIDタグとアンテナの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0018】
図1〜図6は、本発明の画像形成装置の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成装置の第1実施例を適用した画像形成装置1の要部上面図である。
【0019】
図1において、画像形成装置1は、電子写真方式でカラー画像を形成するプリンタ装置、複写装置、複合装置等であり、タンデム型の画像形成装置であって、搬送ベルトに沿って、または、中間転写ベルトに沿って、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の各色の画像を形成する画像形成ユニットが配設されている。画像形成装置1は、各色の画像形成ユニットにおいて、その感光体に、各色の画像データにより変調されたレーザが書き込みユニットから照射されて静電潜像が形成され、各色の画像形成ユニットにおいて、静電潜像の形成された感光体に、それぞれの色のトナーを現像部から供給して、各色のトナー画像を形成する。画像形成装置1は、搬送ベルト上を搬送されてくる転写紙、または、中間転写ベルトに、各色の感光体上のトナー画像を順次重ね合わせて転写して、カラー画像を形成する。画像形成装置1は、中間転写ベルトに転写する方式の場合には、中間転写ベルト上のカラー画像を給紙部から搬送されてくる転写紙に転写ローラによって転写する。
【0020】
そして、画像形成装置1は、上記画像形成ユニットに各色用のトナーカートリッジ(交換部品)2K、2M、2C、2Yが、所定間隔を空けて列状に配設されており、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yは、それぞれ対応する色のトナーを収納して、対応する現像部にそれぞれトナーを供給する。
【0021】
各トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yは、それぞれRFIDタグ(部品情報管理手段)3K、3M、3C、3Yが取り付けられている。トナーカートリッジ2Kに取り付けられているRFIDタグ3Kとトナーカートリッジ2Mに取り付けられているRFIDタグ3Mは、トナーカートリッジ2Kとトナーカートリッジ2Mとが相対向する面に、RFIDタグ3KとRFIDタグ3Mが相対向する状態で取り付けられており、トナーカートリッジ2Cに取り付けられているRFIDタグ3Cとトナーカートリッジ2Yに取り付けられているRFIDタグ3Yは、トナーカートリッジ2Cとトナーカートリッジ2Yとが相対向する面に、RFIDタグ3CとRFIDタグ3Yが相対向する状態で取り付けられている。
【0022】
画像形成装置1は、RFIDタグ3KとRFIDタグ3Mとの間には、RFIDタグ3KとRFIDタグ3Mのそれぞれと通信するためのアンテナ(本体側非接触通信手段)4aが画像形成装置1のフレーム等に取り付ける等の方法で配設されており、RFIDタグ3CとRFIDタグ3Yとの間には、RFIDタグ3CとRFIDタグ3Yのそれぞれと通信するためのアンテナ(本体側非接触通信手段)4bが画像形成装置1のフレーム等に取り付ける等の方法で配設されている。
【0023】
そして、RFIDタグ3K、3M、3C、3Yは、図2に示すように、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yを構成する部材のうち、回転することがない取り付け部材5K、5M、5C、5Yに取り付けられており、また、各トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yには、画像形成装置1に装着する際に、それぞれの装着位置及び装着方向に確実に装着されて、他のトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yの装着位置及び装着方向への誤装着を防止するメカキー6K、6M、6C、6Yがそれぞれ設けられている。本実施例のトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yは、このメカキー6K、6M、6C、6Yが、取り付け部材5K、5M、5C、5Yに設けられており、画像形成装置1には、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yが装着される際に、取り付け部材5K、5M、5C、5Yの装着される部品装着部(図示略)が配設されている。部品装着部には、図示しないが、メカキー6K、6M、6C、6Yと相互に相手を特定するメーカキー(特定機構部)が設けられている。すなわち、部品装着部には、装着を許可するトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yのメカキー6K、6M、6C、6Yとのみ噛み合うメカキー(図示略)が形成されている。また、このメカキー6K、6M、6C、6Yと部品装着部のメカキーは、RFIDタグ3KとRFIDタグ3M及びRFIDタグ3CとRFIDタグ3Yが相互に相対向する状態でのみ、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yを画像形成装置1の部品装着部に装着させる機構となっている。
【0024】
画像形成装置1は、上記各RFIDタグ3K、3M、3C、3Yが、図3に示すように、それぞれ平面コイル11K、11M、11C、11Y及びタグチップ12K、12M、12C、12Yを搭載しており、タグチップ12K、12M、12C、12Yは、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yの管理に必要な部品情報、例えば、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2YのID、寿命、利用履歴情報等の部品情報を記憶する不揮発性メモリ(不揮発性記憶手段)を有している。アンテナ4a、4bは、それぞれアナログ回路21a、21bとともにアンテナ部20a、20bに形成されている。アナログ回路部21a、21bは、画像形成装置1の制御部(図示略)側に設けられているRFID制御部30にデジタルラインDLa、DLbによって接続されており、RFID制御部30は画像形成装置1の制御部の制御下で動作して、アンテナ部20a、20bのアナログ回路21a、21bとデジタルラインDLa、DLbを通してデジタル信号の授受を行ってアンテナ部20a、20bの動作制御及び部品情報の授受を行う。
【0025】
アンテナ4aは、RFIDタグ3Kの平面コイル11KとRFIDタグ3Mの平面コイル11Mとの間で、電磁波を利用した非接触通信(無線通信)によって選択的に通信して部品情報の授受を行い、アンテナ4bは、RFIDタグ3Cの平面コイル11CとRFIDタグ3Yの平面コイル11Yとの間で、電磁波を利用した非接触通信(無線通信)によって選択的に通信して部品情報の授受を行う。
【0026】
アナログ回路(変換手段)21a、21bは、信号の変復調を行ってアンテナ4a、4bとRFIDタグ3K、3M、3C、3Yとの非接触通信を行うとともに、アンテナ4a、4bの受信したアナログの部品情報のデジタル変換及びRFID制御部30から受け取った部品情報のアナログ変換を行う。すなわち、アナログ回路21a、21bは、アンテナ4a、4bとの間でアナログ信号の授受を行い、RFID制御部30との間でデジタル信号の授受を行う。
【0027】
RFIDタグ3K、3M、3C、3Yは、アンテナ部20a、20bからの電波をエネルギー源として動作するパッシブタイプのタグであってもよいし、電池を内蔵して自ら電波を発するアクティブタイプのタグであってもよい。また、RFIDタグ3K、3M、3C、3Yとアンテナ部20a、20bとの間の電磁波の伝達方式としては、RFIDタグ3K、3M、3C、3Yのコイル11K、11M、11C、11Yとアンテナ部20a、20bのアンテナ4a、4bを磁束結合させて、エネルギーと信号を伝達する電磁誘導方式であってもよいし、RFIDタグ3K、3M、3C、3Yのコイル11K、11M、11C、11Yとアンテナ部20a、20bのアンテナ4a、4bで電磁波をやりとりしてエネルギーと信号を伝達する電波方式であってもよいし、他の方法であってもよい。
【0028】
そして、アンテナ4aは、相対向するRFIDタグ3KとRFIDタグ3Mの間に配設されて選択的に非接触通信し、アンテナ4bは、RFIDタグ3CとRFIDタグ3Yの間に配設されて選択的に非接触通信する。したがって、アンテナ4a、4bは、小型かつ出力が小さく、安価なものを用いることができる。
【0029】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、2つの小型で安価なアンテナ4a、4bがそれぞれ2つのRFIDタグ3KとRFIDタグ3M及びRFIDタグ3CとRFIDタグ3Yと選択的に通信して部品情報を授受する。
【0030】
すなわち、画像形成装置1は、4つのトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yが交換可能に装着されており、各トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yは、非回転部材である取り付け部材5K、5M、5C、5Yに設けられたメカキー6K、6M、6C、6Yと本体側の部品装着部のメカキーによって位置決めされて画像形成装置1に装着される。トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yの取り付け部材5K、5M、5C、5Yが、対となるトナーカートリッジ2Kとトナーカートリッジ2M及びトナーカートリッジ2Cとトナーカートリッジ2Yのそれぞれの取り付け部材5Kと取り付け部材5M及び取り付け部材5Cと取り付け部材5Yが相対向する状態で画像形成装置1に装着されている。この相対向する取り付け部材5Kと取り付け部材5Mに、相対向する状態でそれぞれRFIDタグ3KとRFIDタグ3Mが取り付けられ、また、相対向する取り付け部材5Cと取り付け部材5Yに、相対向する状態でそれぞれRFIDタグ3CとRFIDタグ3Yが取り付けられている。
【0031】
相対向するRFIDタグ3KとRFIDタグ3Mの中間の位置に、アンテナ4aが配設され、相対向するRFIDタグ3CとRFIDタグ3Yの中間の位置に、アンテナ4bが配設されている。
【0032】
そして、画像形成装置1は、RFID制御部30が、制御部の制御下で動作して、アンテナ部20a、20bのアナログ回路21a、21bとデジタルラインDLa、DLbを通してデジタル信号の授受を行って、アンテナ部20a、20bの動作制御及び部品情報の授受を行う。アンテナ4aは、アナログ回路21aによって信号の変復調が行われて、RFIDタグ3Kの平面コイル11KとRFIDタグ3Mの平面コイル11Mとの間で、非接触通信によって選択的に通信して部品情報の授受を行い、アンテナ4bは、RFIDタグ3Cの平面コイル11CとRFIDタグ3Yの平面コイル11Yとの間で、非接触通信によって選択的に通信して部品情報の授受を行う。
【0033】
このとき、RFID制御部30は、図4に示すように、アナログ回路21a、21bの動作を制御して、アンテナ4a、4bに、RFIDタグ3KとRFIDタグ3M及びRFIDタグ3CとRFIDタグ3Yとの間で、アンチコリジョン(anti-collision:衝突防止)処理を伴う通信処理を行わせて、部品情報の授受を行う。すなわち、RFID制御部30は、アンテナ部20a、20bとRFIDタグ3K、3M、3C、3Yとの間での非接触通信の開始する際に、まず、RFIDタグ3K、3M、3C、3Yと衝突を防止しつつ多重通信を行うためのタイムスロットデータ(例えば、RFIDタグ3K、3M、3C、3YのID等)を指定し(ステップS101)、アンテナ4a、4bによってRFIDタグ3K、3M、3C、3Yと通信を行わせて、各アンテナ4a、4bに対して応答したRFIDタグ3K、3M、3C、3Yが1つかチェックする(ステップS102)。すなわち、RFIDタグ3K、3M、3C、3Yは、アンテナ部20a、20bからのタイムスロットデータが、自己に対応する場合のみ返信する。
【0034】
ステップS102で、応答したRFIDタグ3K、3M、3C、3Yが1つでないときには、RFID制御部30は、衝突を検知したものと判断して(ステップS103)、別のデータをタイムスロットデータに指定し(ステップS104)、アンテナ4a、4bによってRFIDタグ3K、3M、3C、3Yと通信を行わせて、各アンテナ4a、4bに対して応答したRFIDタグ3K、3M、3C、3Yが1つかチェックする(ステップS102)。ステップS102で、応答したRFIDタグ3K、3M、3C、3Yが1つでないときには、RFID制御部30は、別のデータをタイムスロットデータに設定してRFIDタグ3K、3M、3C、3Yと通信する処理を、1つのRFIDタグ3K、3M、3C、3Yのみが応答するまで同様の処理を繰り返し行う(ステップS102〜S104)。
【0035】
ステップS102で、1つのRFIDタグ3K、3M、3C、3Yのみが応答すると、RFID制御部30は、応答したRFIDタグ3K、3M、3C、3Y以外の全てのRFIDタグ3K、3M、3C、3Yに対して順次スリープ処理を行い(ステップS105)、スリープ処理を行っていない1つのRFIDタグ3K、3M、3C、3Yに対して部品情報の授受(データの送受信)を行う(ステップS106)。
【0036】
RFID制御部30は、その後、他のRFIDタグ3K、3M、3C、3Yに対して順次1つずつ個別にウェイクさせ、残りのRFIDタグ3K、3M、3C、3Yをスリープさせる処理を行って、ウェイクさせたRFIDタグ3K、3M、3C、3Yとのみ順次部品情報の授受(データの送受信)を行う(ステップS107)。RFID制御部30は、全てのRFIDタグ3K、3M、3C、3Yとの部品情報の授受(データ送受信)を終了すると、全てのRFIDタグ3K、3M、3C、3Yのスリープ状態を解除して処理を終了する(ステップS108)。
【0037】
このように、本実施例の画像形成装置1は、搭載している交換部品であるトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yのうち相隣接するトナーカートリッジ2Kとトナーカートリッジ2M及びトナーカートリッジ2Cとトナーカートリッジ2Yに、相隣接する複数のトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Y、すなわち、トナーカートリッジ2Kとトナーカートリッジ2M及びトナーカートリッジ2Cとトナーカートリッジ2Yが対向する中心位置に対向する面(本実施例の場合、相対向する面)に配置され非接触状態で通信する非接触通信手段である平面コイル11K、11M、11C、11Yとトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yに関する部品情報を記憶する不揮発性記憶手段であるタグチップ12K、12M、12C、12Yとを搭載する部品情報管理手段であるRFIDタグ3K、3M、3C、3Yが取り付けられており、複数の相隣接するトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yに取り付けられている平面コイル11K、11M、11C、11Yに対向する中心位置に、複数の該平面コイル11K、11M、11C、11Yと非接触状態で通信する本体側非接触通信手段であるアンテナ4a、4bが配設され、RFID制御部30で、アンテナ4a、4bを駆動させて複数の対向する平面コイル11K、11M、11C、11Yと通信させている。
【0038】
したがって、アンテナ4a、4bの大きさ及び出力を抑制しつつ、少ないアンテナ4a、4bで安価にかつ適切に複数のトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yに取り付けられているRFIDタグ3K、3M、3C、3Yの平面コイル11K、11M、11C、11Yと非接触状態で通信することができる。また、アンテナ4a、4bの出力を抑制することができ、適切にEMIに対応することができる。
【0039】
また、本実施例の画像形成装置1は、複数の相隣接するトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yを、該トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yに取り付けられているRFIDタグ3K、3M、3C、3Yの平面コイル11K、11M、11C、11Yが対向する状態で装着させる部品装着部を備えている。
【0040】
したがって、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2YのRFIDタグ3K、3M、3C、3Yから部品情報を読み取る際に、RFIDタグ3K、3M、3C、3Yの平面コイル11K、11M、11C、11Yがアンテナ4a、4b方向に対向する位置に初期動作させる必要がなく、より一層安価で簡単な構成とすることができる。
【0041】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、RFID制御部30が、アンテナ4a、4bの駆動を制御して、アンテナ4a、4bと複数の対向するRFIDタグ3K、3M、3C、3Yの平面コイル11K、11M、11C、11Yとの非接触通信におけるアンチコリジョンを適切に行って選択的に通信させている。
【0042】
したがって、複数のRFIDタグ3K、3M、3C、3Yを同時に認識した場合であっても、誤動作や部品情報の読み取りエラーが発生するのを適切に防止することができ、情報管理を高精度に行うことができる。
【0043】
また、本実施例の画像形成装置1は、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Y及びトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yの装着される部品装着部の双方に、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yと該部品装着部を相互に特定する特定機構部であるトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yのメカキー6K、6M、6C、6Yと部品装着部のメカキーが設けられている。
【0044】
したがって、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yを装着する際に、誤って他のトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yの装着位置に装着したり、装着方向が誤った方向となることを確実に防止することができ、また、トナーカートリッジ2K、2M、2C、2YのRFIDタグ3K、3M、3C、3Yから部品情報を読み取る際に、RFIDタグ3K、3M、3C、3Yの平面コイル11K、11M、11C、11Yがアンテナ4a、4b方向に対向する位置に初期動作させる必要がなく、より一層安価で簡単な構成とすることができる。
【0045】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、アンテナ4a、4bの近くに、信号をデジタル−アナログ変換するアナログ回路21a、21bを設け、アナログ回路21a、21bが、アンテナ4a、4bとの間でアナログ信号の授受を行い、RFID制御部30との間でデジタル信号の授受を行っている。
【0046】
したがって、アンテナ4a、4bとアナログ回路21a、21bが一体となった既存の部品を利用することができ、より一層安価なものとすることができる。
【0047】
なお、本実施例の画像形成装置1は、図5に示すように、RFID制御部30が、画像形成装置1の画像形成部の動作を制御するエンジン制御部40の制御下で動作してもよい。この場合、RFID制御部30が、RFID制御用CPU(Central Processing Unit )31を備え、エンジン制御部40がエンジン制御用CPU41を備えていて、エンジン制御用CPU41とRFID制御用CPU31とが、デジタルラインDLcによって接続されている。エンジン制御用CPU41は、画像形成部の動作を制御し、RFID制御用CPU31が、エンジン制御用CPU41の制御下でアンテナ部20a、20bの動作を制御して、アンテナ4a、4bに、RFIDタグ3KとRFIDタグ3M及びRFIDタグ3CとRFIDタグ3Yとの間で、アンチコリジョン(衝突防止)処理を伴う通信処理を行わせて、部品情報の授受を行う。
【0048】
このようにすると、RFIDユニットとしてCPUを備えた既存のRFIDユニットを用いて、価格をより一層安価なものとすることができるとともに、画像形成部の動作を制御するエンジン制御部40のエンジン制御用CPU31にかかる負担を軽減することができ、動作の安定化、処理速度の高速化をより一層安価に図ることができる。
【0049】
また、本実施例の画像形成装置1は、図6に示すように、アンテナ部20a、20bがデジタルラインDLa、DLbによってエンジン制御部40のエンジン制御用CPU41に接続されており、エンジン制御用CPU41がアンテナ部20a、20bの動作を制御してもよい。
【0050】
このようにすると、RFIDユニットとしてCPUを備えていない既存のRFIDユニットを用いて、価格をより一層安価なものとすることができるとともに、回路構成を簡略化することができ、より一層小型で安価なものとすることができる。
【実施例2】
【0051】
図7は、本発明の画像形成装置の第2実施例を適用した画像形成装置50の要部回路構成図である。
【0052】
なお、本実施例は、第1実施例の画像形成装置1と同様の画像形成装置に適用したものであり、本実施例の説明においては、第1実施例の画像形成装置1と同様の構成部分には、同一の符号を付してその詳細な説明を省略するとともに、図示しない部分についても、同様の構成部分については、必要に応じて第1実施例で用いた符号をそのまま用いて説明する。
【0053】
図7において、画像形成装置50は、アンテナ部51a、51bがアンテナ(本体側非接触通信手段)4a、4bのみを有し、制御側のRFID制御基板60にRFID制御部61とアナログ回路62が搭載されている。アンテナ部51a、51bとRFID制御基板60とは、アナログラインALa、ALbによって接続されており、アナログラインALaとアンテナ部51a及びアナログラインALbとアンテナ部51bは、それぞれ接続部CPa、CPbで接続されている。接続部CPa、CPbは、半田付けまたは特殊コネクタ等によって取り外しが困難な状態でアナログラインALaとアンテナ部51a及びアナログラインALbとアンテナ部51bを接続している。また、アナログラインALa及びアナログラインALbとRFID制御基板60は、接続部CPcで接続されており、接続部CPcは、半田付けまたは特殊コネクタ等によって取り外しが困難な状態でアナログラインALa及びアナログラインALbとRFID制御基板60を接続している。
【0054】
RFID制御基板60のアナログ回路62は、RFID制御部61の制御下で、信号の変復調を行ってアンテナ部51aのアンテナ4a及びアンテナ部51bのアンテナ4bとRFIDタグ3K、3M、3C、3Yとの非接触通信を行うとともに、アンテナ4a、4bが受信してアナログラインALa、ALbを通して送られてくるアナログの部品情報のデジタル変換及びRFID制御部30から受け取ったデジタルの部品情報のアナログ変換を行う。
【0055】
RFID制御部61は、画像形成装置50の制御部の制御下で動作して、アナログ回路62とデジタル信号の授受を行ってアナログ回路62及びアンテナ部51a、51bの動作制御及び部品情報の授受を行う。
【0056】
そして、画像形成装置50は、上記第1実施例の画像形成装置1と同様に、アンテナ部51aが、相対向するトナーカートリッジ2KのRFIDタグ3Kとトナーカートリッジ2MのRFIDタグ3Mの中間位置に配設され、アンテナ部51bは、相対向するトナーカートリッジ2CのRFIDタグ3Cとトナーカートリッジ2YのRFIDタグ3Yの中間位置に配設されている。
【0057】
そして、本実施例の画像形成装置50は、第1実施例の画像形成装置1と同様に、RFID制御部61が、図4に示したように、アナログ回路62の動作を制御して、アンテナ4a、4bに、RFIDタグ3KとRFIDタグ3M及びRFIDタグ3CとRFIDタグ3Yとの間で、アンチコリジョン処理を伴う通信処理を行わせて、部品情報の授受を行う。
【0058】
このように、本実施例の画像形成装置50は、アンテナ部51a、51bがアンテナ4a、4bのみを備えたものとしているので、アンテナ部としてアンテナのみをしなえた既存のアンテナ部を交換部品として用いることができ、より一層安価なものとすることができる。
【0059】
また、本実施例の画像形成装置50は、接続部CPa、CPb及び接続部CPcを、半田付けまたは特殊コネクタ等によって取り外しが困難な状態で接続している。
【0060】
したがって、アンテナ部51a、51bが不用意に交換されることを防止することができ、部品管理を適切なものとすることができる。
【0061】
なお、本実施例においても、アナログ回路62の制御を、本体側の制御部の制御下で、RFID回路部61によって行うだけでなく、図5に示したように、エンジン制御部の制御下でRFID回路部61がアナログ回路62の制御を行ってもよいし、図6に示したように、エンジン制御部が、アナログ回路部62の制御を行ってもよい。
【0062】
また、上記各実施例においては、画像形成装置1、50の交換部品がトナーカートリッジ2K、2M、2C、2Yである場合に適用したが、交換部品としては、トナーカートリッジに限るものではなく、その他の適宜の交換部品であって、複数の交換部品が相隣接する部品に適用することができる。この場合、相隣接する交換部品は、同じ種類の交換部品、例えば、トナーカートリッジ同士に限るものではなく、例えば、トナーカートリッジと他の交換部品が相隣接している場合にも同様に適用することができる。
【0063】
さらに、カートリッジとしては、トナーカートリッジに限るものではなく、現像部、トナー収納部及び感光体等を一体化したプロセスカートリッジであってもよい。
【0064】
また、上記各実施例においては、部品情報管理手段として、RFIDによるRFIDタグに適用した場合について説明したが、部品情報管理手段としては、RFIDタグに限るものではない。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、非接触通信によって交換部品に取り付けられたRFIDタグ等との間で部品情報を授受するプリンタ装置、複写装置、複合装置等の画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
2K、2M、2C、2Y トナーカートリッジ
3K、3M、3C、3Y RFIDタグ
4a、4b アンテナ
5K、5M、5C、5Y 取り付け部材
6K、6M、6C、6Y メカキー
11K、11M、11C、11Y 平面コイル
12K、12M、12C、12Y タグチップ
20a、20b アンテナ部
21a、21b アナログ回路
DLa、DLb、DLc デジタルライン
30 RFID制御部
31 RFID制御用CPU
40 エンジン制御部
41 エンジン制御用CPU
50 画像形成装置
51a、51b アンテナ部
60 RFID制御基板
61 RFID制御部
62 アナログ回路
ALa、ALb アナログライン
CPa、CPb、CPc 接続部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2001−22230号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の交換部品を搭載して画像形成する画像形成装置において、
前記交換部品のうち相隣接する複数の交換部品は、複数の該交換部品が対向する中心位置に対向する面に配置され非接触状態で通信する非接触通信手段と該交換部品に関する部品情報を記憶する不揮発性記憶手段とを搭載する部品情報管理手段が取り付けられており、
複数の相隣接する前記交換部品に取り付けられている前記非接触通信手段に対向する前記中心位置に配設され複数の該非接触通信手段と非接触状態で通信する本体側非接触通信手段と、
前記本体側非接触通信手段を駆動させて複数の対向する前記非接触通信手段と通信させる通信制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、複数の相隣接する前記交換部品を、該交換部品に取り付けられている前記部品情報管理手段の前記非接触通信手段が前記中心位置に対向する状態で装着させる部品装着部を備えていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記通信制御手段は、前記本体側非接触通信手段の駆動を制御して複数の対向する前記部品情報管理手段の前記非接触通信手段と選択的に通信させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記交換部品は、同種の交換部品であり、該交換部品及び該交換部品が装着される部品装着部の双方に、該交換部品と該部品装着部を相互に特定する特定機構部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記本体側非接触通信手段の近くに配設され信号をデジタル−アナログ変換する変換手段を備え、
前記変換手段は、前記本体側非接触通信手段との間でアナログ信号の授受を行い、前記通信制御手段との間でデジタル信号の授受を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−211071(P2010−211071A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58732(P2009−58732)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】