説明

画像形成装置

【課題】加圧部材と加熱部材との温度差が大きい場合であっても、カールを低減することができるとともに、省スペース化を実現することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録紙Pに画像を形成する画像形成部70と、記録紙の画像が形成された面を加熱部材21で加熱するとともに、反対面を加圧部材31で加圧することにより、画像を記録紙に定着させる定着部20と、画像が定着された記録紙に張力を与え、複数の搬送ガイド203a、203bに沿って搬送する搬送ローラ202a、202bと、搬送ローラにより搬送される記録紙を加湿する加湿部200と、加圧部材の温度を検知する温度センサ260と、検知された温度が閾値未満であるか否かを判定し、閾値未満であると判定した場合に、搬送ローラにより搬送される記録紙の加熱部材により加熱された面の加湿を加湿部200に行わせる制御部230とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザプリンタや複写機などの画像形成装置において、トナー像を記録紙に定着させる際の熱定着により生じる記録紙のカールを除去する技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1では、用紙搬送ベルト上を搬送される熱定着直後の用紙に、水蒸気を噴射して加湿し、加湿されたカールの向きを検知し、検知した向きに応じたデカーラを選択してカールとは逆向きの湾曲を与え、最後に冷却ローラで用紙を冷却してカールを除去する技術が開示されている。
【0004】
また、カールの大きさは、熱定着の際に紙の表裏に与える熱量によって変化することが知られている。図8は、紙の表裏に与える熱量によって変化するカールの大きさの一例を説明するための図である。図8に示すように、裏面側(未定着のトナーを熱定着する面と反対側)が熱源をもたない加圧部材901である場合には、印刷当初の加圧部材901の温度は低く加熱部材902との温度差が大きくなるため、低温側(加圧部材901側)かつ記録紙P´のCD方向へのカールが大きくなる。なお、ここでは、記録紙の進行方向をMD、これと垂直方向をCDとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、カールを除去するためのデカーラ等を備える必要があるため、大型化を招いてしまい、小型の画像形成装置への適用が難しくなる。
【0006】
また、特許文献1に開示された技術では、カールの向きは考慮されているもののカールの大きさは考慮されていないため、上述のようなカールが大きくなる状況においては、適切にカールを除去できない可能性がある。
【0007】
なお、カールが大きくなることを防止するため、加圧部材が十分に暖められ、加熱部材との温度差が小さくなってから印刷を行う手法も考えられるが、この手法では、印刷開始までの待ち時間が非常に長くなってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、加圧部材と加熱部材との温度差が大きい場合であっても、カールを低減することができるとともに、省スペース化を実現することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる画像形成装置は、記録紙に画像を形成する画像形成手段と、前記記録紙の前記画像が形成された面を加熱部材で加熱するとともに、反対面を加圧部材で加圧することにより、前記画像を前記記録紙に定着させる定着手段と、前記画像が定着された前記記録紙に張力を与え、複数の搬送ガイドに沿って搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記記録紙を加湿する加湿手段と、前記加圧部材の温度を検知する検知手段と、検知された温度が閾値未満であるか否かを判定し、閾値未満であると判定した場合に、前記搬送手段により搬送される前記記録紙の前記加熱部材により加熱された面の加湿を前記加湿手段に行わせる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、定着直後の記録紙に張力を与えたまま、含水分が少なくなっている加熱面側を加湿できるため、加圧部材と加熱部材との温度差が大きい場合であっても、カールを低減することができるとともに、省スペース化を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施の形態の画像形成装置の構成の一例を示す縦断面図である。
【図2】図2は、本実施の形態の定着部及びカール除去部の構成の一例を示す正面図である。
【図3】図3は、本実施の形態のカール除去部の構成の一例を示す平面図である。
【図4】図4は、本実施の形態の加湿ノズルの構成の一例を示す縦断面図である。
【図5】図5は、本実施の形態の加湿部及び加湿部を制御する制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】図6は、加圧部材への温度計の配置例を示す図である。
【図7】図7は、本実施の形態の画像形成装置で行われる処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、紙の表裏に与える熱量によって変化するカールの大きさの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
なお本実施の形態では、画像形成装置としてタンデム型カラープリンタを例に取り説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電子写真方式を用いた複写機やプリンタ、あるいはコピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくともコピー機能又はプリンタ機能を有する複合機などにも適用することができる。
【0014】
まず、本実施の形態の画像形成装置の構成について説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態の画像形成装置1の構成の一例を示す縦断面図である。
【0016】
画像形成装置1では、画像形成装置本体10の上方にボトルを収容するボトル収容部101が位置し、画像形成装置本体10の下方に記録紙Pを給送する給紙部12が位置し、ボトル収容部101と給紙部12との間に記録紙Pに画像を形成する画像形成部70が位置する。また、画像形成装置本体10の右上方に画像を記録紙Pに定着させる定着部20が位置し、定着部20の上方に記録紙Pのカールを除去するカール除去部25が位置する。
【0017】
ボトル収容部101には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色それぞれに対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。
【0018】
画像形成部70には、中間転写ベルト78、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、及び中間転写クリーニング部80などで構成される中間転写ユニット85が配設されている。そして、中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色それぞれに対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
【0019】
作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設され、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ帯電部75、現像部76、クリーニング部77、及び除電部(図示省略)などが配設されている。
【0020】
そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)が行われることにより、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像が形成される。
【0021】
帯電工程では、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、駆動モータ(図示省略)によりそれぞれ時計回りに回転駆動され、帯電部75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される。
【0022】
続いて、露光工程では、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光の照射位置に達し、この位置での露光走査によって感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色に対応した静電潜像が形成される。
【0023】
続いて、現像工程では、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像部76との対向位置に達し、この位置で静電潜像が現像され、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色のトナー像が形成される。
【0024】
続いて、1次転写工程では、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達し、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される。但し、トナー像の転写後においても、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0025】
続いて、クリーニング工程では、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング部77との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収される。
【0026】
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
【0027】
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0028】
また、中間転写ベルト78上で行われる転写プロセスにより、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト78上に重ねて転写され、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成される。
【0029】
中間転写ベルト78は、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、及びテンションローラ84によって張架・支持されている。
【0030】
1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に中間転写ベルト78を挟み込むことにより、1次転写ニップを形成する。同様に、2次転写バックアップローラ82は、2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込むことにより、2次転写ニップを形成する。なお、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kには、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
【0031】
そして、中間転写ベルト78は、2次転写バックアップローラ82の回転駆動によって矢印87の方向に無端移動され、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
【0032】
続いて、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89との対向位置に達し、この位置で中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録紙P上に転写される。但し、トナー像の転写後においても、中間転写ベルト78には、記録紙Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0033】
続いて、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達し、この位置で中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
【0034】
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0035】
なお、2次転写ニップの位置に搬送された記録紙Pは、給紙部12から、給紙ローラ97やレジストローラ対98等を経由して搬送されるものである。
【0036】
給紙部12には、転写紙等の記録紙Pが複数枚重ねて収納されおり、給紙ローラ97が反時計回りに回転駆動すると、最上部の記録紙Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
【0037】
レジストローラ対98に搬送された記録紙Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対98のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対98が回転駆動され、記録紙Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0038】
続いて、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録紙Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、記録紙Pのカラー画像が転写(形成)された面を加熱部材21で加熱するとともに、反対面を加圧部材31で加圧することにより、カラー画像を記録紙P上に定着させる。
【0039】
その後、記録紙Pは、カール除去部25でカールが除去され、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された記録紙Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
【0040】
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0041】
図2は、本実施の形態の定着部及びカール除去部の構成の一例を示す正面図であり、図3は、図2に示すカール除去部の構成の一例を示す平面図である。
【0042】
図2及び図3に示すように、カール除去部25は、記録紙Pをガイドする搬送ガイド203a、203bと、記録紙Pを搬送する搬送ローラ202a、202b(搬送手段の一例)と、記録紙Pを加湿する加湿部200とを備える。
【0043】
搬送ガイド203a、203bは、図2に示すように、定着部20の記録紙排出口にそれぞれ対向して配置されており、記録紙Pをその間にガイド(案内)し、通過させるようになっている。なお、搬送ガイド203a、203bは、図3に示すように、板状であり、それぞれ搬送ローラ軸207a、207bに沿ってそれぞれ複数配置されている。
【0044】
搬送ローラ202a、202bは、図2に示すように、搬送ガイド203a、203bの終端にそれぞれ対向して配置されており、いずれか一方が図示せぬ駆動系により回転駆動されることで、記録紙Pを挟持しながら搬送ガイド203a、203bに沿って搬送できるようになっている。なお、搬送ローラ202a、202bは、図3に示すように、それぞれ搬送ローラ軸207a、207bに複数軸支されており、搬送ローラ軸207の中心軸まわりを回転可能になっている。
【0045】
また、複数の搬送ローラ202a、202bは、加熱部材21及び加圧部材31により記録紙Pが搬送される速度よりも10%以上速くなるように周速度が設定されており、記録紙Pを挟持する力は、加熱部材21及び加圧部材31の挟持力よりも1/10以下になるように設定されている。
【0046】
このため、記録紙Pがカールしている場合でもその先端部を除き、加熱部材21及び加圧部材31のニップ部から搬送ローラ202a及び202bのニップ間で、記録紙Pに張力を与えた状態で搬送する事ができる。なお、この際に、搬送ローラ202a、202bにて大きなスリップが発生するため、記録紙Pには所定以上の張力は発生せず、記録紙Pが破れてしまうことを防止している。
【0047】
加湿部200の加湿ノズル201a、201bは、図2に示すように、それぞれ搬送ガイド203a、203bが記録紙Pをガイドする側の反対側に配置されており、それぞれ加湿ホース204a、204bから供給される水蒸気を記録紙Pに噴霧する。このため、加湿ノズル201a、201bから噴霧される水蒸気は、それぞれ搬送ガイド203a、及び203bの間を通って記録紙Pを加湿する構造となっている。
【0048】
図4は、図2に示す加湿ノズル201aの構成の一例を示す縦断面図である。加湿ノズル201aの搬送ガイド203aへの対向部には、加湿ノズル口205aがあり、加湿ホース204aから供給された水蒸気が噴霧可能となっている。なお、加湿ノズル201bについても同様の構造となっている。
【0049】
また、図3に示すように、加湿ノズル201aの内部は、2枚の仕切り板206aによりフロント加湿ノズル201af、中央加湿ノズル201am、リア加湿ノズル201arの3つに区切られており、区切られた加湿ノズル201aそれぞれに、加湿ホース204af、204am、204arから水蒸気が供給される。同様に、加湿ノズル201bの内部は、2枚の仕切り板206bによりフロント加湿ノズル201bf、中央加湿ノズル201bm、リア加湿ノズル201brの3つに区切られており、区切られた加湿ノズル201bそれぞれに、加湿ホース204bf、204bm、204brから水蒸気が供給される。
【0050】
図5は、本実施の形態の加湿部及び加湿部を制御する制御部の構成の一例を示す図である。
【0051】
図5に示すように、加湿部200は、水蒸気生成部220と、加湿ホース204a、204bと、加湿弁210a、210bと、加湿ノズル201a、201bとを備える。
【0052】
水蒸気生成部220は、水蒸気を生成する。具体的には、水蒸気生成部220は、給水ホース250を介して供給される給水ボトル240に貯水されている給水用の水を用いて、超音波振動により水蒸気を生成する。
【0053】
加湿ホース204a、204bは、それぞれ水蒸気生成部220により生成された水蒸気を加湿弁210a、210bを介して、加湿ノズル201a、201bに供給する。
【0054】
加湿弁210a、210bは、電磁式で開閉可能な弁であり、水蒸気生成部220により生成された水蒸気の供給を調整する。具体的には、加湿弁210a、210bが開いている場合に、加湿ホース204a、204bは、水蒸気生成部220により生成された水蒸気を加湿ノズル201a、201bに供給することができる。
【0055】
制御部230は、加湿弁制御線211a、211bを通じて、加湿弁210a、210bの開閉(On/Off)を電気的に制御する。なお、制御部230は、加湿装置制御線221を通じて、水蒸気生成部220のOn/Offも電気的に制御できる。
【0056】
また制御部230は、温度センサ信号線261で、定着部20の加圧部材31に配置されている温度センサ260(検知手段の一例)と電気的に接続されており、温度センサ260により検知された加圧部材31の温度を取得できる。
【0057】
また制御部230は、搬送駆動信号線271を介して、画像形成装置本体10の搬送駆動系を制御する搬送駆動系制御部270と接続されており、搬送駆動系制御部270から、制御のイベントとして例えばレジストローラ対98を駆動開始したタイミングで、制御部230に信号が伝送されるようになっている。
【0058】
図6は、加圧部材31への温度センサ260の配置例を示す図である。
【0059】
図6に示す例では、加圧部材31には、温度センサ260が3つ配置されている。具体的には、加圧部材31のローラ軸を概ね軸方向に3分割した時のフロント、中央、リアの温度を計測可能なように、3つの温度センサ260f、260m、260rが加圧部材31にそれぞれ設置されており、それぞれ温度センサ信号線261f、261m、261rを通じて制御部230と接続されている。
【0060】
次に、本実施の形態の画像形成装置の動作について説明する。
【0061】
図7は、本実施の形態の画像形成装置で行われる処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
まず、制御部230は、記録紙Pの印刷が開始されると、水蒸気生成部220をOnにし、水蒸気生成部220は、水蒸気の生成を開始する(ステップS10)。
【0063】
続いて、制御部230は、搬送駆動系制御部270からレジストローラ対98の駆動開始信号を受け取るための割り込み待ち状態に入る(ステップS20でNo)。
【0064】
続いて、制御部230は、搬送駆動系制御部270から駆動開始信号を受信し、割り込みが発生すると(ステップS20でYes)、タイマーを用いて時間のカウントを開始し、カウント値が所定の値になるまで待機する(ステップS30)。
【0065】
ここで、「所定の値」とは、記録紙Pがカール除去部25に到達したことを示す値であり、本実施の形態では、レジストローラ対98から定着部20までの記録紙Pの搬送速度は、一定値となるように制御されているため、以下の数式(1)により求められる。
【0066】
【数1】

【0067】
続いて、制御部230は、カウント値が所定の値に達すると、温度センサ260f、260m、260rにより検知された加圧部材31の温度を取得し(ステップS40)、取得した温度が全て閾値未満であるか否かを判定する(ステップS50)。
【0068】
そして、制御部230は、加圧部材31の温度が閾値未満であると判定した場合には(ステップS50でYes)、加湿弁210aを開き、加湿ノズル201aに水蒸気を噴霧させ、搬送ローラ202a、202bにより搬送されている記録紙Pの加熱部材21により加熱された面を加湿する(ステップS60)。
【0069】
一方、制御部230は、加圧部材31の温度が閾値未満でないと判定した場合には(ステップS50でNo)、加湿弁210aを閉じ、記録紙Pへの加湿を終了する(ステップS70)。
【0070】
制御部230は、記録紙Pの印刷が終了までの間、ステップS30〜ステップS70の処理を繰り返す(ステップS80でNo)。そして、制御部230は、記録紙Pの印刷が終了した場合には(ステップS80でYes)、加湿弁210aを閉じ(ステップS90)、水蒸気生成部220をOffにする(ステップS95)。
【0071】
このように本実施の形態では、含水分が少なくなっている加熱面側を加湿できるため、加圧部材と加熱部材との温度差が大きい場合であっても、カールを低減することができる。
【0072】
また本実施の形態では、定着直後の記録紙に張力を与えたまま加湿を行うため、デカーラ等を備える必要がなく、省スペース化を実現することができる。
【0073】
また本実施の形態では、加湿ノズルは、搬送ガイドが記録紙をガイドする側の反対側に配置されており、搬送ガイドの間から記録紙を加湿しているため、より省スペース化することができる。
【0074】
また本実施の形態では、超音波振動により水蒸気を生成しているため、生成される水蒸気の温度は低く、加湿とともに冷却効果が得られるため、冷却装置などを備える必要がなく、より省スペース化することができる。
【0075】
また本実施の形態では、加圧部材31の温度を検知し、加圧部材と加熱部材との温度差が大きい場合のみ、加熱面側を加湿できるため、加圧部材と加熱部材との温度差が小さい場合にも加熱面側を加湿してしまい、逆カールが発生してしまうという事態を防止できる。
【0076】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0077】
上記実施の形態では、加熱部材により加熱された面のみを加湿したが、加熱部材により加熱された面の加湿を多くして、両面から加湿するようにしてもよい。この場合、加湿ノズルからの水蒸気の噴霧量は、加湿弁の開閉量を異ならせたり、水蒸気の供給量を異ならせることで異ならせることができる。このように、加熱部材により加熱された面の加湿を多くして記録紙の両面加湿を行うと、より効果的に冷却効果が得られる。
【0078】
また上記実施の形態では、加圧部材へ温度センサを複数配置したが、加圧部材に配置する温度センサは1つであってもよい。また上記実施の形態では、加湿弁は1つずつ用意されているが、仕切り板で区切られた加湿ノズル、加湿ホース、及び温度センサと同数用意し、それぞれの加湿弁を開閉制御するようにしてもよい。このようにすると、記録紙Pへの加湿を細かに制御することができる。
【0079】
また、サービスマンなどの画像形成装置の管理者が、画像形成装置が設置されている環境に合わせて閾値を変更できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置
3 露光部
4Y、4M、4C、4K 作像部
5Y、5M、5C、5K 感光体ドラム
10 画像形成装置本体
12 給紙部
20 定着部
21 加熱部材
25 カール除去部
31 加圧部材
70 画像形成部
75 帯電部
76 現像部
77 クリーニング部
78 中間転写ベルト
79Y、79M、79C、79K 1次転写バイアスローラ
80 中間転写クリーニング部
82 2次転写バックアップローラ
83 クリーニングバックアップローラ
84 テンションローラ
85 中間転写ユニット
87 矢印
97 給紙ローラ
98 レジストローラ対
99 排紙ローラ対
100 スタック部
101 ボトル収容部
102Y、102M、102C、102K トナーボトル
200 加湿部
201a、201b 加湿ノズル
202a、202b 搬送ローラ
203a、203b 搬送ガイド
204a、204b 加湿ホース
205a 加湿ノズル口
206a、206b 仕切り板
207a、207b 搬送ローラ軸
210a、210b 加湿弁
211a、211b 加湿弁制御線
220 水蒸気生成部
221 加湿装置制御線
230 制御部
240 給水ボトル
250 給水ホース
260 温度センサ
261 温度センサ信号線
270 搬送駆動系制御部
271 搬送駆動信号線
901 加圧部材
902 加熱部材
P、P´ 記録紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2007−119109号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に画像を形成する画像形成手段と、
前記記録紙の前記画像が形成された面を加熱部材で加熱するとともに、反対面を加圧部材で加圧することにより、前記画像を前記記録紙に定着させる定着手段と、
前記画像が定着された前記記録紙に張力を与え、複数の搬送ガイドに沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記記録紙を加湿する加湿手段と、
前記加圧部材の温度を検知する検知手段と、
検知された温度が閾値未満であるか否かを判定し、閾値未満であると判定した場合に、前記搬送手段により搬送される前記記録紙の前記加熱部材により加熱された面の加湿を前記加湿手段に行わせる制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記加湿手段は、
水蒸気を生成する水蒸気生成手段と、
生成された水蒸気を供給する加湿ホースと、
生成された水蒸気の供給を調整する加湿弁と、
前記搬送ガイドが前記記録紙をガイドする側の反対側に配置され、供給された水蒸気を噴霧する加湿ノズルと、を備え、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された温度が閾値未満であると判定した場合に、前記加湿弁を開き、
前記加湿ノズルは、前記加湿弁が開かれた場合に水蒸気を噴霧し、複数の前記搬送ガイドの間から前記記録紙の前記加熱部材により加熱された面を加湿することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記水蒸気生成手段は、超音波振動により水から水蒸気を生成することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段、前記加湿ホース、前記加湿弁、及び前記加湿ノズルを複数備え、
前記制御手段は、複数の前記検知手段により検知された温度が閾値未満であるか否かをそれぞれ判定し、判定結果に応じて、複数の前記加湿弁の開閉を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−215362(P2010−215362A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64397(P2009−64397)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】