画像形成装置
【課題】薄紙のような腰の弱いシートを含む多種のマテリアルに対応し、シートに対する画像の位置精度が良く、生産性を向上させる。
【解決手段】シートを搬送しながら、シートの斜行を補正し、かつシートの幅方向の側端の位置決めを行い、画像形成部によりシートに画像を形成する。画像形成部のシート搬送方向上流には、搬送方向に沿って配置され、シートをシート搬送方向に対して任意の方向に斜送可能な2つのステアリング機構120a,120bが配置されている。また、2つのCIS100a,100bが各ステアリング機構120a,120bに対応してシート搬送方向に沿って配置されている。そして、各ステアリング機構120a,120bに対し、CIS100a,100bにより検知された側端位置とシートの側端の目標位置との差分値をそれぞれ求め、各差分値に応じて各ステアリング機構120a,120bの斜送角度及び斜送速度を変更する。
【解決手段】シートを搬送しながら、シートの斜行を補正し、かつシートの幅方向の側端の位置決めを行い、画像形成部によりシートに画像を形成する。画像形成部のシート搬送方向上流には、搬送方向に沿って配置され、シートをシート搬送方向に対して任意の方向に斜送可能な2つのステアリング機構120a,120bが配置されている。また、2つのCIS100a,100bが各ステアリング機構120a,120bに対応してシート搬送方向に沿って配置されている。そして、各ステアリング機構120a,120bに対し、CIS100a,100bにより検知された側端位置とシートの側端の目標位置との差分値をそれぞれ求め、各差分値に応じて各ステアリング機構120a,120bの斜送角度及び斜送速度を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特にシートを搬送しながら、シートの斜行を補正し、かつシートのシート搬送方向と直交する幅方向の側端の位置決めを行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式、オフセット印刷方式、インクジェット方式等の画像形成装置が知られている。電子写真方式を用いた画像形成装置では、感光体ドラムから直接シートにトナー像を転写する直接転写方式、一旦中間転写体に転写した後シートに転写する中間転写方式等、種々の方式が知られている。また、電子写真方式を用いたカラーの画像形成装置では、複数の画像形成部を並べて配置したタンデム方式、円筒状に配置したロータリー方式等が知られている。
【0003】
近年、電子写真方式等の画像形成装置においても、版を作らないメリットを生かし、小部数の印刷市場を狙った装置が提供されてきている。このような軽印刷市場で受け入られるためには、高速(高生産性)、高画質を多種のマテリアルにおいて達成しなければならず、シート搬送精度に対する要求も高くなってきている。特に要求の高いのは、シートに対する画像位置精度であり、両面画像を形成した際の表裏の画像位置ズレも含まれる。シートに対して画像位置を合わせる方法もあるが、画像に対してシートを合わせる方法が主流である。
【0004】
画像位置精度は、シートのシート搬送方向のレジストレーション、シートのシート搬送方向と直交する幅方向のレジストレーション、倍率、斜行で決定される。これらの中でシートの斜行については、電気的な制御で補正することは困難である。例えば、シートの斜行を検知して、これに合わせて傾いた画像を作成することでシートに対する画像位置を補正することは可能である。しかし、3色又は4色を重ね合わせるカラー画像の場合には、シートごとに画像を傾けると各色のドット形成のずれによりシートごとに色味が変わってしまう。また、画像を傾けるための計算に時間が掛かってしまうので生産性の著しい低下を招く。よって、シートの斜行についてはシートの搬送精度の性能によって決定されてしまう。
【0005】
一般的には、シートの斜行とレジストレーションはそれぞれ独立で制御しているが、近年、斜行補正とシートのシート搬送方向と直交する方向のレジストレーションを同時または同一駆動にて補正する方法が提案されている(特許文献1参照)。具体的には、シート搬送方向に並んだ2つのローラを各々独立にシート搬送方向に対して直交方向にスライドさせる2つの移動駆動モータを備え、シートの側端を検知する光センサをローラに対応してシート搬送方向に2つ並べて配置している。そして、シートの側端が各光センサに倣うように各ローラを幅方向にスライドさせる制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−310289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の方法では、ローラをシート搬送方向に対して直交方向にスライドさせてシートの斜行補正又はシートの幅方向の位置補正を行っているので、ローラスライド時にシートにストレスがかかる。特に、薄紙の場合は、2つのローラの間でシートが撓んでしまうため、正確なシートの斜行補正又はシートの幅方向の位置補正が困難である。
【0008】
また、上記従来の方法では、光センサのオンオフで移動駆動モータを正逆回転させているので、シートが幅方向にオーバーシュートして往復移動することとなり、シートの側端が目標位置に移動するのが遅くなる。したがって、シートに対する画像の位置精度を向上させようとすると、シートの搬送速度を高速化できず、生産性の向上が図れなかった。
【0009】
そこで、本発明は、薄紙のような腰の弱いシートを含む多種のマテリアルに対応することが可能で、シートに対する画像の位置精度が良く、生産性が向上する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シートを搬送しながら、シートの斜行を補正し、かつシートのシート搬送方向と直交する幅方向の側端の位置決めを行い、画像形成部によりシートに画像を形成する画像形成装置において、前記画像形成部のシート搬送方向上流に搬送方向に沿って配置され、シートをシート搬送方向に対して任意の方向に斜送可能な複数の搬送部と、前記各搬送部に対応してシート搬送方向に沿って配置され、シートの幅方向の側端位置をそれぞれ検知する複数の側端位置検知部と、前記各搬送部に対し、前記側端位置検知部により検知された側端位置とシートの側端の目標位置との差分値をそれぞれ求め、前記各差分値に応じて前記各搬送部の斜送角度及び斜送速度を変更する制御部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、求めた各差分値に応じて各搬送部によるシートの斜送角度及び斜送速度を変更するので、シートの撓みを抑制し、シートにストレスを与えるのを抑制してシートの斜行補正及びシートの側端の位置決めをすることができる。そして、薄紙等を含む多種のマテリアルに対しても、シートの正確な斜行補正及びシート側端の正確な位置決めが可能となる。また、差分値を求めて各搬送部の斜送角度及び斜送速度を変更しているので、シートの側端を目標位置に迅速に近づけることができる。したがって、シートに対する画像の位置精度を向上させることができ、シート搬送の高速対応が可能であり、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】レジストユニットの概略構成を示す図であり、(a)は、レジストユニットの正面図、(b)は、レジストユニットの斜視図である。
【図3】シート姿勢補正部の概略構成を示す図であり、(a)は、シート姿勢補正部の要部を示す斜視図、(b)は、ステアリング機構を示す説明図である。
【図4】画像形成装置のCPU及びCPUの制御対象を示すブロック図である。
【図5】CPUによるシートの姿勢制御のフローチャートである。
【図6】補正制御の計算概念を表した図である。
【図7】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートが目標位置に対して右側に寄っている場合を示す図であり、(b)は、シートが目標位置に対して左側に寄っている場合を示す図である。
【図8】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートが斜行している場合を示す図であり、(b)は、シートの姿勢制御を終了した状態を示す図である。
【図9】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートサイズによる搬送位置を示す図であり、(b)は、アライメント補正時の搬送位置を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態のシート姿勢補正部の概略構成を示す図であり、(a)は、シート姿勢補正部の要部を示す斜視図、(b)は、ボール搬送機構を示す説明図である。
【図11】ボール搬送機構の概略構成を示す図であり、(a)は、ボール搬送機構の要部の平面図、(b)は、ボール搬送機構の要部の説明図である。
【図12】画像形成装置のCPU及びCPUの制御対象を示すブロック図である。
【図13】ボール搬送機構の速度ベクトルを表す図である。
【図14】CPUによるシートの姿勢制御のフローチャートである。
【図15】補正制御の計算概念を表した図である。
【図16】補正制御の計算概念を表した図である。
【図17】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートが目標位置に対して右側に寄っている場合を示す図であり、(b)は、シートが目標位置に対して左側に寄っている場合を示す図である。
【図18】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートが斜行している場合を示す図であり、(b)は、シートの姿勢制御を終了した状態を示す図である。
【図19】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートサイズによる搬送位置を示す図であり、(b)は、アライメント補正時の搬送位置を示す図である。
【図20】ボール搬送機構の変形例を示す図であり、(a)は、ボール搬送機構の説明図、(b)は、従動ローラの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。図1において、1は画像形成装置、1Aは画像形成装置本体(以下、装置本体という)である。装置本体1Aは、シートSに画像を形成する画像形成部90と、シートSを給送するシート給送装置1Bと、シート給送装置1Bにより給送されたシートSを画像形成部90に搬送するシート搬送装置としてのレジストユニット30とを備えている。また、装置本体1Aの上面にはユーザが装置本体1Aに対して各種入力/設定を行うための操作部250が接続されている。
【0015】
画像形成部90は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の画像形成ユニット90A〜90D、並びに転写部1Cを有して構成されている。そして、これら画像形成ユニット90A〜90Dは、それぞれ感光体ドラム91、露光装置93、現像器92、一次転写ローラ45、感光体クリーナ95及び帯電器99等から構成されている。なお、各画像形成ユニット90A〜90Dが形成する色は、これら4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0016】
転写部1Cは、搬送されてきたシートSにトナー像を転写するものである。転写部1Cは、駆動ローラ42、テンションローラ41及び二次転写内ローラ43等のローラ類によって張架され、図中矢印Bの方向へと搬送駆動される中間転写ベルト40を備えている。ここで、この中間転写ベルト40は、一次転写ローラ45により与えられる所定の加圧力及び静電的負荷バイアスにより、感光体ドラム上に形成されたトナー像が転写されるものである。また、略対向する二次転写内ローラ43及び二次転写外ローラ44により形成される二次転写部において所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることでシートSへ未定着画像を吸着させるものである。
【0017】
シート給送装置1Bは、装置本体1Aに対して不図示のスライドレールにより引き出し可能に設けられているシート収納部10と、シート収納部10に収納されたシートSを送り出すシート給送部12とを備えている。シート収納部10には、積載されたシートSをシート給送部12へ押し付ける給紙リフター板11を備えている。なお、シート給送装置1Bとしては、シート給送部12によって最上位のシートをピックアップして下流に送り出す構成を採用しているが、エアによってシートを吸引して送るエア給紙を採用することも可能である。シート給送部12は、給紙ローラ13を備え、給紙ローラ13により最上シートSをピックアップし1枚ずつシートSを給送する。複数枚のシートSを同時にピックアップした際には、分離搬送ローラ対14にてシートを1枚ずつ分離し、搬送する。
【0018】
そして、このような構成の画像形成装置1において、画像を形成する際には、まず、予め帯電器99により感光体ドラム91の表面が一様に帯電される。この後、矢印方向に回転する感光体ドラム91に対し、送られてきた画像情報の信号に基づいて露光装置93が発光し、この光を反射手段94等を適宜経由して照射することにより感光体ドラム表面に潜像が形成される。なお、感光体ドラム91上に僅かに残った転写残トナーは感光体クリーナ95により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0019】
次に、このようにして感光体ドラム91上に形成された静電潜像に対して、現像装置92によるトナー現像が行われ、感光体ドラム上にトナー像が形成される。この後、一次転写ローラ45により所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが与えられることにより、中間転写ベルト40上に感光体ドラム上のトナー像が転写される。なお、画像形成部90のY、M、C及びBkの各画像形成ユニット90A〜90Dによる画像形成は、中間転写ベルト40上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。この結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト40上に形成される。
【0020】
また、シートSは、シート収納部10からシート給送部12により画像形成部90の画像形成タイミングに合わせて送り出され、この後、シートSは搬送ユニット20を通過して、レジストユニット30へと搬送される。そして、このレジストユニット30においてシートSの斜行補正やシートSの幅方向の側端の位置決めを行った後、略対向する二次転写内ローラ43及び二次転写外ローラ44により形成される二次転写部へと搬送される。この後、二次転写部において所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることでシートS上にフルカラーのトナー像が二次転写される。
【0021】
次に、トナー像が二次転写されたシートSは定着前搬送部51により定着装置50へと搬送される。そして、定着装置50において、略対向するローラもしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナーを溶融固着させる。
【0022】
次に、このようにして得られた定着画像を有するシートSは分岐搬送装置60により、そのまま排紙トレイ61上に排出される。なお、シートSの両面に画像を形成する場合には、切り換え可能な搬送パス切り換え部材63の切り換えにより、この後、分岐搬送装置71により再搬送部を構成する反転搬送装置80へと搬送される。
【0023】
このように反転搬送装置80へと搬送されると、この後、反転搬送装置80によってシートSは、シート給送装置1Bから搬送されてくる後続ジョブのシートとのタイミングを合わせて搬送ユニット20で合流し、二次転写部へと送られる。画像形成プロセスに関しては1面目と同様なので省略する。そして、この二次転写部においてシートSの裏面にトナー像が転写され、この後、トナー像が定着される。なお、このようにトナー像が定着された後、シートSは分岐搬送装置62により、装置本体1Aの外側に排出され排紙トレイ61に積載される。
【0024】
次に、レジストユニット30について詳細に説明する。レジストユニット30は、図2(a),(b)に示すように、シート搬送方向(以下、搬送方向という)上流から下流に向かって順次配設された搬送ローラ31,32,33,34を備えている。また、レジストユニット30は、搬送ローラ34に対して搬送方向下流に配設されたシート姿勢補正部300を備えている。これら搬送ローラ31,32,33,34は、不図示の駆動源にて回転駆動される。搬送ローラ31,32,33,34の上方には、各搬送ローラにそれぞれ対向するアイドラローラ31a,32a,33a,34aが配置されている。アイドラローラ32a,33a,34aには、各々圧解除モータ32m,33m,34mが不図示のリンクを介して接続されており、アイドラローラ32a,33a,34aが搬送ローラ32,33,34に対して接離可能に構成されている。
【0025】
シート姿勢補正部300と画像形成部90の転写部1Cのローラ対43,44との間には、シート検知部としてのシート検知センサ35と、レジストローラ対36a,36bと、シート検知センサ37とが順次配設されている。レジストローラ対36a,36bは、レジスト駆動ローラ36a及びレジスト従動ローラ36bで構成される。
【0026】
次に、シート姿勢補正部300について詳細に説明する。シート姿勢補正部300は、図3(a),(b)に示すように、2つの搬送部として2つのステアリング機構120a,120bを備えている。ステアリング機構120a,120bは、シートSを搬送方向に対して任意の方向に斜送可能に構成され、画像形成部90のシート搬送方向上流に搬送方向に沿って配置されている。ステアリング機構120aとステアリング機構120bとは、同様の部材で構成されている。
【0027】
シート姿勢補正部300は、シートの搬送方向と直交する幅方向の一方の側端位置をそれぞれ検知する2つの側端位置検知部としてのラインセンサであるコンタクトイメージセンサ(以下CISという)100a,100bを備えている。各CIS100a,100bは、各ステアリング機構120a,120bに対応して搬送方向に沿って配置されている。
【0028】
ステアリング機構120a,120bは、シートの搬送方向に対して水平面内で旋回可能に支持された搬送回転体としてのステアリングローラ103a,103bを備えている。また、ステアリング機構120a,120bは、ステアリングローラ103a,103bの上方に配置され、ステアリングローラ103a,103bに圧接して従動する従動回転体としての球形状に形成された従動ボール101a,101bを備えている。そして、ステアリングローラ103a,103bと従動ボール101a,101bとでシートSを挟持して搬送するように構成されている。
【0029】
ステアリングローラ103a,103bは、ゴム製のローラであり、装置本体1Aの幅方向中央に配置される。なお、ステーリングローラ103a,103bを中央に配置しているが、シート搬送を行える位置であれば、中央でなくても良い。ステアリングローラ103a,103bは、搬送ガイド対107の下側の下搬送ガイド107Bの下方に設けられたステージ104a,104bに回転可能に支持されている。ステージ104a,104bは、ステアリングモータ106a,106b軸上に旋回可能に固定されている。このステージ104a,104bには、ステアリングローラ103a,103bを回転駆動する搬送モータ105a,105bが固定されている。したがって、ステアリングモータ106a,106bを回転させることにより、ステアリングローラ103a,103bが、ステージ104a,104b及び搬送モータ105a,105bと一体に旋回することとなる。ステージ104a,104bの近傍には、ステージホームポジションセンサ108a,108bが設けられている。ステージホームポジションセンサ108a,108bは、ステアリングローラ103a,103bが搬送方向と平行な状態(搬送方向を基準とする角度が0°である状態)を基準位置とし、ステージ104a,104bが基準位置に位置するのを検知するものである。
【0030】
従動ボール101a,101bは金属性の球体である。従動ボール101a,101bは、搬送ガイド対107の上側の上搬送ガイド107Aの上方に設けられたボールガイド102a,102bに上下方向に移動可能に支持されている。具体的には、従動ボール101a,101bは、ボールガイド102a,102bの穴に上下方向に移動可能に挿入されている。従動ボール101a,101bは、自重でステアリングローラ103a,103bに圧接する。従動ボール101a,101bは、球形状であるため、ステアリングローラ103a,103bの搬送ベクトルが変化しても追従して回転することができる。
【0031】
ステアリングモータ106a,106bの軸中心と、ステアリングローラ103a,103b及び従動ボール101a,101bのニップ中心とは、同軸上に設定されており、ステアリングローラ103a,103bはニップ中心で旋回可能となっている。CIS100a,100bは、搬送ガイド対107の上搬送ガイド107Aに設けられ、ステアリングローラ103a,103bと従動ボール101a,101bとの幅方向に延びるニップ中心線上に配置されている。なお、CIS100a,100bは、ニップ線上に配置するのが好ましいが、これに限定するものではない。搬送ガイド対107は、黒色メッキが施されており、CIS100a,100bは、シートSと搬送ガイド対107の明度差の境界を検知することで、シートSの側端位置を検知している。
【0032】
搬送モータ105a,105b及びステアリングモータ106a,106bは、ステッピングモータであり、ステアリングローラ103a,103bの回転速度や角度を任意に設定可能である。
【0033】
シート検知センサ35は、シートの有無を検知するセンサである。シート検知センサ35は、搬送方向最下流に配置されたステアリング機構120bと画像形成部90との間、より具体的には、ステアリング機構120bとレジストローラ対36a,36bとの間に配置されている。言い換えれば、シート検知センサ35は、レジストローラ対36a,36bの直前に配置されている。
【0034】
ここで、画像形成装置1は、図4に示すように、装置全体を制御する制御部としてのCPU500と、制御プログラムが格納されたROM501と、作業領域として使用されるRAM502と、を備えている。また、画像形成装置1は、ネットワーク503を介してコンピュータ504に接続されるI/O505を備えている。また、画像形成装置1は、上述した搬送モータ105a,105b、ステアリングモータ106a,106b、圧解除モータ32m,33m,34mのほか、レジスト駆動ローラ36aを回転駆動するレジローラ駆動モータ110を備えている。CPU500は、各センサの情報、操作部250による入力情報、コンピュータ504からI/O505を介して入力した情報等に基づき、ドライバ506に指令を出力して各モータを制御する。
【0035】
つまり、CPU500は、シートSを決定した斜送角度で斜送するように、ステアリングモータ106a,106bを動作させ、ステアリングローラ103a,103bを旋回させる。また、CPU500は、シートSを決定した斜送速度で斜送するように、搬送ローラ105a,105bを動作させ、ステアリングローラ103a,103bを回転させる。また、CPU500は、アイドラローラ32a,33a,34aの押圧又は押圧解除を選択し、圧解除モータ32m,33m,34mを動作させる。
【0036】
また、CPU500は、シートSの先端をシート検知センサ37が検知したタイミングに基づき、中間転写ベルト40上に形成された画像の位置とのタイミングのずれを補正すべく、レジローラ駆動モータ110の回転速度を調整する。この速度調整は、シートSの先端がガイド38(図2(a)参照)を通過する範囲内で行われる。この制御動作により、2次転写部において画像とシートSの位置とが正確に合わせられる。
【0037】
次に、シート姿勢補正部300のシーケンスについて、図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステアリング機構120a,120bの制御は同一であるので、一つのステアリング機構120aの動作について説明する。図6は、補正制御の計算概念を表した図である。
【0038】
CPU500は、装置本体1Aを起動させると、まず、搬送モータ105aの回転速度V1を基準値V0に設定する(S101)。基準値V0で回転する搬送モータ105aにより駆動されるステアリングローラ103aの周速度、つまりシートSの搬送速度は、画像形成部90の画像形成速度と同一速度である。次に、CPU500は、ステアリングモータ106aの旋回角度θを初期値0°に設定する(S102)。つまり、搬送方向に対するシートSの斜送角度が0°に設定される。具体的には、ステージ104aをステージホームポジションセンサ108aに検知される位置に旋回させることで、ステアリングモータ106aの旋回角度θが搬送方向に対して0°に設定される。これにより、ステアリングローラ103aが搬送方向と平行となる。S101,S102により、シートSは、搬送方向に画像形成速度と同一の一定速度で搬送される。ここで、ステアリングモータ106aの旋回角度θと、シートSの斜送角度は同一であり、ステアリングモータ106aの旋回角度θを変更することにより、シートの斜送角度が変更される。
【0039】
シートSが搬送方向上流側より送られてくると、CIS100aにてシートSの側端位置が検知されるので、CPU500は、シートSの先端が到達したと判断し、姿勢制御を開始する(S103)。なお、シートSの先端が到達したと判断するためのシート検知センサをCIS100aとは別個に配置してもよい。ここで、姿勢制御を行う際、搬送方向上流のローラがシートSを挟持していると抵抗となり、シートSの姿勢変更が困難になるので、圧解除モータ32m,33m,34mにより、アイドラローラ32a,33a,34aの圧を解除する。
【0040】
次に、CPU500は、レジスト駆動ローラ36aの直前に配置されたシート検知センサ35がシートを検知したか否かを判断する(S104)。シート検知センサ35がシートSを検知した場合は(S104:ON)、姿勢制御を終了し、検知されない場合は(S104:OFF)、補正制御を続行し続ける。
【0041】
シートSは、斜行した状態や幅方向の位置がずれた状態で搬送されてくるため、CPU500は、CIS100aで検知したシートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0を含む許容範囲D内であるか否かを判断する(S105)。ここで、シートの側端の目標位置P0は、ROM501或いはEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリ等に予め記憶されている値である。許容範囲D内であると判断した場合は(S105:Yes)、ステアリングモータ106aや搬送モータ105aを初期状態に戻す。つまり、CPU500は、搬送モータ105aの回転速度V1を基準値V0に設定し(S106)、ステアリングモータ106aの旋回角度θを初期値0°に設定する(S107)。これにより、シートSは、搬送方向に画像形成速度と同一の一定速度で搬送される。次に、CPU500は、S104の処理に移行する。つまり、一旦、シートSの側端Seが目標位置P0の許容範囲Dに入っても、許容範囲Dを越えた場合は補正制御を行う。
【0042】
CPU500は、S105において、許容範囲D内ではないと判断した場合(S105:No)、補正制御を実行する。この補正制御として、まず、CPU500は、CIS100aにより検知された側端Seの位置Pyと目標位置P0との差分値Lyを求める。そして、差分値Lyに応じてステアリング機構120aによるシートSの搬送方向に対する斜送角度及び斜送方向の斜送速度を変更する。
【0043】
つまり、CPU500は、ステアリングモータ106aの角度計算を行い(S108)、計算した角度にステアリングモータ106aの旋回角度θを変更する(S109)。また、CPU500は、搬送モータ105aの速度計算を行い(S110)、計算した速度に搬送モータ105aの回転速度V1を変更する(S111)。
【0044】
以下、具体的に説明すると、まず、S108では、CIS100aにより検知したシートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対してずれている距離、すなわち差分値Lyを算出する。
【0045】
ここで、本第1実施形態では、CPU500は、ステアリング機構120aによるシートSの斜送速度の搬送方向の速度成分を一定速度に維持する制御を行う。つまり、CPU500は、搬送モータ105aの回転速度V1の搬送方向の速度成分(ベクトル成分)が基準値V0となるように、搬送モータ105aの回転速度V1を設定する。
【0046】
ここで、シートSをズレ方向に対し反対方向に移動させたいので、搬送方向と直交する幅方向の速度成分(ベクトル成分)V2は、目標位置P0へ向かう方向に設定する必要がある。速度成分V2は、補正制御を収束させたい距離Lxによって決定される。
【0047】
シートSを補正する動作は、下流側のステアリングローラ103bとシート検知センサ35との間で収束させる必要がある。本第1実施形態では、少なくとも2回の補正が可能となるように、収束距離Lxをステアリングローラ103bとシート検知センサ35との距離の1/2とした。
【0048】
搬送モータ105aの搬送方向の速度成分を基準値V0とし、収束距離Lx内でシートSの側端Seの位置Pyを目標位置P0に移動させるには、搬送モータ105aの速度成分V2は、
V2=(Ly/Lx)×V0
の演算式で求められる。つまり、CPU500は、差分値Lyが大きいほどステアリング機構120aの斜送速度の幅方向の速度成分を大きくする。具体的に説明すると、CPU500は、差分値Lyが大きいほど、搬送モータ105aの幅方向の速度成分V2を大きくする。この速度成分V2を決定したことにより、S108で求められるステアリングモータ106aの旋回角度θは、
θ=tan−1(V2/V0)=tan−1(Ly/Lx)
で計算される。
【0049】
次に、S110で求められる搬送モータ105aの回転速度V1は、搬送方向の速度成分を基準値V0に維持するように決定されるので、
V1=V0/cosθ
の演算式で求められる。なお、搬送モータ105b及びステアリングモータ106bについても、同様の演算式により求められた速度及び角度に変更される。
【0050】
以上のシーケンスによるシートSの姿勢制御の状態を図7〜図9を用いて説明する。まず、図7(a)は、シートSが目標位置P0に対して右側に寄っている場合を示し、図7(b)は、シートSが目標位置P0に対して右側に寄っている場合を示している。いずれの場合も、ステアリングローラ103a,103bは、ステアリングモータ106a,106bにより旋回し、矢印方向に回転する。これにより、シートSは、側端Seの位置Pyが目標位置P0に近づく白抜き矢印方向に移動する。
【0051】
次に、図8(a)は、シートSが斜行している場合を示している。下流側のCIS100bでは、シートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対して右方向にずれているため、下流側のステアリングローラ103bは、ステアリングモータ106bにより左方向にシートSを寄せる方向に旋回する。これに対し、上流側のCIS100aでは、シートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対して左方向にずれているため、上流側のステアリングローラ103aは、ステアリングモータ106aにより右方向にシートSを寄せる方向に旋回する。これにより、下流側のステアリングローラ103bは、左側にシートSを寄せようとし、上流側のステアリングローラ103aは、右側にシートSを寄せようとする。この結果、シートSは白抜き矢印のように旋回する。搬送方向の速度成分を一定に維持し、幅方向の速度成分を変化させているので、シートSにストレスを与えず無理なく旋回させることができる。これにより、腰の弱い超薄紙でも撓むことがないので、精度のよい姿勢制御を行うことができる。
【0052】
図8(b)は、シートの姿勢制御を終了した状態を示しており、CPU500は、シート検知センサ35によりシートSが検知された場合、各ステアリング機構120a,120bの斜送角度を0°にしている。これにより、搬送に対して安定しているレジストローラ対36a,36bにシートSが挟持する直前まで姿勢補正制御を行うことが可能である。したがって、シートSの姿勢補正制御の精度に、ステアリングローラ103a,103bの搬送精度(ローラ外径やステアリングモータの角度精度等)が影響するのを低減することができる。なお、レジストローラ対36a,36bは、シートSが搬送されてくるときに停止動作しないので、突き当て動作による斜行が発生することはない。
【0053】
なお、本第1実施形態では、レジストローラ対36a,36bの加減速で画像とシートSの先端の位置を合わせているが、その機能をステアリング機構120a,120bに持たせて、レジストローラ対を省略することが可能である。この場合、シートSが画像形成部90で画像形成される直前まで姿勢補正制御を行うことが可能である。
【0054】
次に、本第1実施形態では、図9(a)に示すように、シートSを中央基準で搬送するが、サイズの異なるシートSを搬送する場合、CIS100a,100bを使用しているので、CPU500は、サイズごとに目標位置P0,P01,P02を設定している。シートサイズ情報は、操作部250、又はネットワーク503を介してパソコンよりCPU500に入力される。又は、シート給送装置1Bに設けられた不図示のシートサイズ検知手段によりシートサイズ情報がCPU500に入力される。
【0055】
ところで、画像形成部90側とレジストユニット30側のアライメントがずれている場合、姿勢制御が正しく行なわれても画像とシートの位置がずれてしまうことがある。レジストユニット30の位置自体を画像に合わせて調整する場合には、装置を停止する必要があり、作業が煩雑になってしまう。
【0056】
そこで、本第1実施形態では、図9(b)に示すように、目標位置を、各CIS100a,100bに対応してそれぞれ設定し、各CIS100a,100bに対応する目標位置P0a,P0bをそれぞれ個別に変更可能としている。そして、アライメントズレ分だけ上流側の目標位置P0aと下流側の目標位置P0bとをずらして設定することにより、シートSと画像Gとのズレを調整することが可能である。調整作業としては操作部250又はネットワーク503を介してコンピュータ504より、調整値を入力するようにしている。これにより、簡単に作業を行うことができる。また、調整手段を入れるためのコストを低く抑えることができるというメリットもある。或いは装置内に画像とシートのズレを検出する手段を設けることで、自動で調整することも可能である。
【0057】
また、厚いシートを搬送する際、上下流の目標位置P0a、P0bをずらして設定してもよい。これにより、シートは傾いて搬送されることとなり、シートの先端と2次転写部の二次転写内ローラ43及び二次転写外ローラ44とは平行でなくなる。したがって、転写ニップ噛み込み時の急激な負荷変動を抑えることができる、中間転写ベルト40の速度が変化し画像ムラを発生するのを抑制することができる。なお、転写される画像もシートに合わせて傾ける必要があるが、シート毎の傾き量は一定であるため、カラー画像のシート毎の各色のドット形成のずれによる色味の変化や、画像を傾けるための計算に時間が掛かることはなく、生産性の著しい低下を招くことはない。
【0058】
以上、本第1実施形態では、搬送モータ105a,105b及びステアリングモータ106a,106bは、上述した演算式により求めた速度及び角度に変更される。したがって、シートSの撓みを抑制し、シートSにストレスを与えるのを抑制してシートの斜行補正及びシートSの側端Seの位置決めをすることができる。そして、薄紙等を含む多種のマテリアルに対しても、シートSの正確な斜行補正及びシート側端Seの正確な位置決めが可能となる。また、各差分値Lyを求めて各ステアリング機構120a,120bの斜送角度及び斜送速度を変更しているので、シートSが幅方向にオーバーシュートする量が小さくなり、シートSの側端Seを目標位置P0に迅速に近づけることができる。したがって、シートSに対する画像の位置精度を向上させることができ、シート搬送の高速対応が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0059】
また、各搬送モータ105a,105bの搬送方向の速度成分を基準値V0に維持することにより、シートSの間隔がばらつくのを防止することができ、生産性を上げるためにシートSの間隔を詰めたい場合でも安定して搬送を行うことが可能である。また、両ステアリングローラ103a,103b間での引張り合いやシートSの撓みを効果的に防止でき、精度の高い姿勢制御が可能となる。また、差分値Lyが大きいほど速度成分V2を大きくしたので、シートSの側端Seを目標位置P0により迅速に近づけることができる。
【0060】
なお、上述した説明では、搬送モータ105aの速度を変更し、次いで、ステアリングモータ106aの角度を変更するように、順を追って説明したが、ステアリングモータ106aの角度変更と搬送モータ105aの速度変更はほぼ同時に行っている。
【0061】
なお、本第1実施形態では、ステアリングローラ103a,103bの角度は、ステアリングモータ106a,106bにより細かく制御できるようになっているが、収束距離Lxと最大ズレ量から最も大きな制御角1パターンだけを使用することもできる。その場合、搬送モータ105aの速度も基準値V0とその角度に合わせた1パターンで済むので比較的安価に構成できる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態である画像形成装置のシート搬送装置のシート姿勢補正部301ついて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
図10(a)に示すように、シート姿勢補正部301は、2つの搬送部として2つのボール搬送機構121a,121bを備えている。ボール搬送機構121a,121bは、シートSを搬送方向に対して任意の方向に斜送可能に構成され、画像形成部90の搬送方向上流に搬送方向に沿って配置されている。ボール搬送機構121aとボール搬送機構121bとは同様の部材で構成されている。
【0064】
また、シート姿勢補正部301は、シートの搬送方向と直交する幅方向の一方の側端位置をそれぞれ検知する2つの側端位置検知部としてのCIS100a,100bを備えている。各CIS100a,100bは、各ボール搬送機構121a,121bに対応して搬送方向に沿って配置されている。
【0065】
ボール搬送機構121a,121bは、図10(b)に示すように、任意の方向に回転可能な球形状の搬送回転体としての搬送ボール201a,201bを備えている。また、ボール搬送機構121a,121bは、搬送ボール201a,201bの上方に配置され、搬送ボール201a,201bの上部に圧接して従動する従動回転体として球形状に形成された従動ボール101a,101bを備えている。そして、搬送ボール201a,201bと従動ボール101a,101bとでシートSを挟持して搬送するように構成されている。
【0066】
搬送ボール201a,201bは、ゴム製の球体であり、装置本体1Aの幅方向中央に配置される。なお、搬送ボール201a,201bを中央に配置しているが、シート搬送を行える位置であれば、中央でなくても良い。従動ボール101a,101bは金属性の球体である。従動ボール101a,101bは、搬送ガイド対107の上側の上搬送ガイド107Aの上方に設けられたボールガイド102a,102bに上下方向に移動可能に支持されている。具体的には、従動ボール101a,101bは、ボールガイド102a,102bの穴に上下方向に移動可能に挿入されている。従動ボール101a,101bは、自重で搬送ボール201a,201bに圧接する。従動ボール101a,101bは、球形状であるため、搬送ボール201a,201bの搬送ベクトルが変化しても追従して回転することができる。
【0067】
CIS100a,100bは、搬送ガイド対107の上搬送ガイド107Aに設けられ、搬送ボール201a,201bと従動ボール101a,101bとの幅方向に延びるニップ中心線上に配置されている。なお、CIS100a,100bは、ニップ線上に配置するのが好ましいが、これに限定するものではない。搬送ガイド対107は、黒色メッキが施されており、CIS100a,100bは、シートSと搬送ガイド対107の明度差の境界を検知することで、シートSの側端位置を検知している。
【0068】
ボール搬送機構121aは、図11(a)に示すように、搬送ボール201aの下方に配置され、搬送ボール201aの下部に圧接して搬送ボール201aを回転駆動する2つの駆動ローラ202fa,202raを備えている。また、ボール搬送機構121aは、搬送ボール201aの下部に圧接して従動する従動コロ206aを備えている。搬送ボール201aは、2つの駆動ローラ202fa,202ra及び従動コロ206aにより下方から3点支持される。同様に、ボール搬送機構121bは、2つの駆動ローラ202fb,202rb及び従動コロ206bを備え、これらで搬送ボール201bが下方から3点支持されている。なお、図10(b)において、シートSは矢印方向に搬送されるが、その時、駆動ローラ202ra,202rbは時計方向、搬送ボール201a,201bは反時計方向に回転している。ここで、駆動ローラ202fa,202fbは断面のため不図示であるが、正面から見て同様に時計方向に回転している。
【0069】
また、ボール搬送機構121a,121bは、従動コロ206a,206bを回転可能に支持する従動コロ支持台207a,207bと、従動コロ支持台207a,207bを支持する基台209a,209bと、を備えている。基台209a,209bは、従動コロ206a,206bが搬送ボール201a,201bの回転方向に追従するように、従動コロ支持台207a,207bを搬送ボール201a,201bの中心に向かう軸線Qの回りに回動可能に支持している。具体的に説明すると、従動コロ206a,206bは、軸210a,210bに回転自在に支持され、軸210a,210bは従動コロ支持台207a,207bに支持されている。従動コロ支持台207a,207bには、搬送ボール201a,201b中心に向かう軸線Qと平行な軸208a,208bが固定されている。軸208a,208bは基台209a,209bに回動可能に支持されることにより、従動コロ206a,206bは搬送ボール201a,201bを中心に首振り可能となっている。また、軸208a,208bには捻りばね212a,212bの一端が固定され、捻りばね212a,212bの他端は基台209a,209bに固定されており、初期状態では従動コロ206a,206bの回転方向が搬送方向と平行に設定されている。
【0070】
駆動ローラ202fa,202ra及び駆動ローラ202fb,202rbは、周面がゴムで形成されている。従動コロ206a,206bは、摺動性の良い樹脂製のコロである。搬送ボール201aは、自重及び従動ボール101aの加重により、下方に押圧され、2つの駆動ローラ202fa,202ra及び従動コロ206aに圧接する。したがって、駆動ローラ202fa,202raの回転力が搬送ボール201aに摩擦力にて伝達され、搬送ボール201aが回転駆動される。同様に、搬送ボール201bは、自重及び従動ボール101bの加重により、下方に押圧され、2つの駆動ローラ202fb,202rb及び従動コロ206bに圧接する。したがって、駆動ローラ202fb,202rbの回転力が搬送ボール201bに摩擦力にて伝達され、搬送ボール201bが回転駆動される。
【0071】
このように、搬送ボール201a(201b)を下方から3点支持したことにより、搬送ボール201a(102b)を、2つの駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)に効果的に圧接することができる。したがって、駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)の回転力を搬送ボール201a(201b)に効果的に伝達することができ、搬送ボール201a(201b)を安定して回転させることができる。また、2つの駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)及び従動コロ206a(206b)に対する搬送ボール201a(201b)の加重は、ほとんど変動しない。したがって、2つの駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)及び従動コロ206a(206b)と搬送ボール201a(201b)との摩擦力の変動を低減することができる。以上により、搬送ボール201a(201b)の回転速度及び回転方向が安定し、シートを所望の方向及び所望の搬送速度で安定して搬送することができる。したがって、シートの姿勢を精度良く補正することができる。また、駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)を搬送ボール201a(201b)に圧接させるために、別途、モータを必要としないので、構造が簡単であり、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【0072】
駆動ローラ202fa,202raは、図11(a)に示すように、搬送ボール201aに対して搬送方向下流に配置され、従動コロ206aは、搬送ボール201aに対して搬送方向上流に配置されている。具体的に説明すると、2つの駆動ローラ202fa,202raは、搬送ボール201aを中心に搬送方向に対して幅方向に左右対称に配置されている。本実施形態では、駆動ローラ202fa,202raは、搬送ボール201aの搬送方向下流であって、搬送ボール201aの中心から搬送方向に対して45°の角度で対称配置されている。また、従動コロ206aは、搬送ボール201aの搬送方向上流であって、搬送ボール201aの中心から搬送方向に延びる軸線上に配置されている。同様に、駆動ローラ202fb,202rbは、搬送ボール201bの搬送方向下流であって、搬送ボール201bの中心から搬送方向に対して45°の角度で対称配置されている。また、従動コロ206bは、搬送ボール201bの搬送方向上流であって、搬送ボール201bの中心から搬送方向に延びる軸線上に配置されている。なお、本実施形態では、搬送方向に対し駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)は搬送ボール201a(201b)の下流に45°で対称に配置しているが、45°である必要はない。搬送直交方向に移動させる最大必要速度に応じて駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)の配置角度を決定すればよく、3点支持する関係上、30°〜60°の範囲で設定すればよい。
【0073】
このように、駆動ローラ202fa,202raを搬送ボール201aの下流に配置したことにより、駆動ローラ202fa,202raを回転駆動すると搬送ボール201aは下方(図10(b)中矢印Z方向)に力が与えられる。これにより、搬送ボール201aは、駆動ローラ202fa,202ra及び従動コロ206aに圧接する方向に力が付与される。したがって、搬送ボール201aの浮き上がりが防止され、駆動ローラ202fa,202ra及び従動コロ206aと搬送ボール201aとがより密着するので、搬送ボール201aの回転が安定する。搬送ボール201bについても同様に、駆動ローラ202fb,202rb及び従動コロ206bに圧接する方向に力が付与される。したがって、搬送ボール201bの浮き上がりが防止され、駆動ローラ202fb,202rb及び従動コロ206bと搬送ボール201bとがより密着するので、搬送ボール201bの回転が安定する。
【0074】
ボール搬送機構121aは、各駆動ローラ202fa,202raをそれぞれ回転駆動する2つの駆動部としての2つのボール駆動モータ204fa,204ra(図10(a))を備えている。また、ボール搬送機構121bは、各駆動ローラ202fb,202rbをそれぞれ回転駆動する2つの駆動部としての2つのボール駆動モータ204fb,204rb(図10(a))を備えている。駆動ローラ202fa,202raは、それぞれ軸211f,211rを介してボール駆動モータ204fa,204raに連結されており、軸211f,211rは軸受け113に回転可能に支持されている。同様に、駆動ローラ202fb,202rbは、それぞれ軸211f,211rを介してボール駆動モータ204fb,204rbに連結されており、軸211f,211rは軸受け113に回転可能に支持されている。ボール駆動モータ204fa,204ra,204fb,204rbはステッピングモータであり、速度を任意に設定可能である。
【0075】
図11(b)には、従動コロ206a(206b)及び搬送ボール201a(201b)を軸線Q方向に見た図が示されているが、搬送ボール201a(201b)の回転方向は不定である。例えばY−Y’軸中心に赤道が1点鎖線矢印D方向に回転するときに、従動コロ206a(206b)上の軌道は2点鎖線で示す矢印D’方向となる。本実施形態では、従動コロ206a(206b)は、軸208a(208b)を中心に傾くことが可能なので、搬送ボール201a(201b)の回転方向に追従して矢印R方向に傾き、搬送ボール201a(201b)の回転抵抗にならない。
【0076】
ところで、搬送ボール201a(201b)は、駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)と従動コロ206a(206b)により3点支持されているので、各々の位置や径の公差によって、搬送ボール201aの高さがばらつく。
【0077】
したがって、本実施形態では、図10(b)に示すように、2つの駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)に対して接離する方向に従動コロ206a(206b)の位置を調整可能としている。具体的には、基台209a(209b)を搬送方向と平行な矢印X方向に調整可能としている。この基台209a(209b)の位置を調整し、従動コロ206a(206b)の位置を調整することにより、搬送ボール201a(201b)の高さ調整を行う。また、従動ボール101a(101b)との中心位置合わせはボールガイド102a(102b)の位置を調整して行っている。
【0078】
ここで、画像形成装置1は、図12に示すように、装置全体を制御する制御部としてのCPU500と、制御プログラムが格納されたROM501と、作業領域として使用されるRAM502と、を備えている。また、画像形成装置1は、ネットワーク503を介してコンピュータ504に接続されるI/O505を備えている。また、画像形成装置1は、上述したボール駆動モータ204fa,204fb,204ra,204rb、圧解除モータ32m,33m,34mのほか、レジスト駆動ローラ36aを回転駆動するレジローラ駆動モータ110を備えている。CPU500は、各センサの情報、操作部250による入力情報、コンピュータ504からI/O505を介して入力した情報等に基づき、ドライバ506に指令を出力して各モータを制御する。つまり、CPU500は、シートSを決定した斜送角度、斜送速度で斜送するように、ボール駆動モータ204fa,204fb,204ra,204rbを動作させ、搬送ボール201a,201bを回転させる。
【0079】
次に、シート姿勢補正部301のボール搬送機構121a,121bの動作について説明するが、ボール搬送機構121a,121bの動作は同一であるので、一つのボール搬送機構121aの動作について説明する。図11(a)において、駆動ローラ202fa、202raは搬送方向に対称に配置されている。シートSを白抜き矢印で示す搬送方向とするとき、搬送ボール201の搬送速度のベクトルをVとすると、駆動ローラ202faの駆動による速度Vfと駆動ローラ202raの駆動による速度Vrとの速度差によってシート搬送速度ベクトルが変化する。図11(a)では、Vf=Vrとしているので、シートSは、画像形成部90へ向かう搬送方向に搬送される。次に、シートSを斜送する場合、例えば図13に示すようにシートSを手前側に寄せる場合、V’に搬送速度ベクトルを設定するために、Vf>Vrとなるように駆動ローラ202fa,202raの速度設定を行う。このように、各ボール駆動モータ204fa,204raによる各駆動ローラ202fa,202raの回転速度を調整して、搬送ボール201aの回転方向及び回転速度を設定している。例えばVr=0(ボール駆動モータ204raを停止)のときに最大45°で矢印Vf側に搬送可能となっている。なお、駆動ローラ202fa,202raは特に対称に配置する必要もなく、シートを片側のみに寄せる場合は、駆動ローラの1つを搬送方向と平行に配置してもよい。
【0080】
次に、シート姿勢補正部300のシーケンスについて、図14のフローチャートに基づいて説明する。なお、ボール搬送機構121a,121bの制御は同一であるので、一つのボール搬送機構121aについて説明する。図15,図16は、補正制御の計算概念を表した図である。
【0081】
CPU500は、装置本体1Aを起動させると、まず、搬送ボール201aの回転速度を基準値V0に設定するため、ボール駆動モータ204fa,204raにより駆動ローラ202fa,202raを、回転速度Vf0,Vr0で回転開始させる(S201)。つまり、Vf0=Vr0で駆動ローラ202fa,202raを回転させる。ここで本実施形態では、搬送方向に対し、駆動ローラ202fa,202raが対称に45°傾いて配置されているので、基準値V0を画像形成速度と同一速度にするため、
Vf0=V0/cos45°
Vr0=V0/cos45°
とする。これにより、基準値V0で回転する搬送ボール201aの周速度、つまりシートSの搬送速度は、画像形成部90の画像形成速度と同一速度である。
【0082】
シートSが搬送方向上流側より送られてくると、CIS100aにてシートSの側端位置が検知されるので、CPU500は、シートSの先端が到達したと判断し、姿勢制御を開始する(S202)。なお、シートSの先端が到達したと判断するためのシート検知センサをCIS100aとは別個に配置してもよい。ここで、姿勢制御を行う際、搬送方向上流のローラがシートSを挟持していると抵抗となり、シートSの姿勢変更が困難になるので、圧解除モータ32m,33m,34mにより、アイドラローラ32a,33a,34aの圧を解除する。
【0083】
次に、CPU500は、レジスト駆動ローラ36aの直前に配置されたシート検知センサ35がシートを検知したか否かを判断する(S203)。シート検知センサ35がシートSを検知した場合は(S203:ON)、姿勢制御を終了し、検知されない場合は(S203:OFF)、補正制御を続行し続ける。
【0084】
シートSは、斜行した状態や幅方向の位置がずれた状態で搬送されてくるため、CPU500は、CIS100aで検知したシートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0を含む許容範囲D内であるか否かを判断する(S204)。ここで、シートの側端の目標位置P0は、ROM501或いはEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリ等に予め記憶されている値である。許容範囲D内であると判断した場合は(S204:Yes)、ボール駆動モータ204fa,204raを初期状態に戻す。つまり、CPU500は、図15に示すように、ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度をVf0,Vr0に設定し、搬送ボール201aの回転速度を基準値V0に設定する(S205)。これにより、シートSは、搬送方向に画像形成速度と同一の一定速度で搬送される。次に、CPU500は、S203の処理に移行する。つまり、一旦、シートSの側端Seが目標位置P0の許容範囲Dに入っても、許容範囲Dを越えた場合は補正制御を行う。
【0085】
CPU500は、S204において、許容範囲D内ではないと判断した場合(S204:No)、補正制御を実行する。この補正制御として、まず、CPU500は、CIS100aにより検知された側端Seの位置Pyと目標位置P0との差分値Lyを求める。そして、差分値Lyに応じてボール搬送機構121aによるシートSの搬送方向に対する斜送角度及び斜送方向の斜送速度を変更する。
【0086】
つまり、CPU500は、ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度の計算を行い(S206)、計算した回転速度に補正値を乗算して(S207)、ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度を変更する(S208)。
【0087】
以下、図16を参照しながら具体的に説明すると、まず、S206では、CIS100aにより検知したシートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対してずれている距離、すなわち差分値Lyを算出する。
【0088】
ここで、本第2実施形態では、CPU500は、ボール搬送機構121aによるシートSの斜送速度の搬送方向の速度成分を一定速度に維持する制御を行う。つまり、CPU500は、搬送ボール201aの回転速度の搬送方向の速度成分が基準値V0となるように、ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度Vf1,Vr1を設定する。
【0089】
ここで、シートSをズレ方向に対し反対方向に移動させたいので、搬送方向と直交する幅方向の速度成分(ベクトル成分)V2は、目標位置P0へ向かう方向に設定する必要がある。速度成分V2は、補正制御を収束させたい距離Lxによって決定される。
【0090】
シートSを補正する動作は、下流側の搬送ボール201bとシート検知センサ35との間で収束させる必要がある。本第2実施形態では、少なくとも2回の補正が可能となるように、収束距離Lxを搬送ボール201bとシート検知センサ35との距離の1/2とした。
【0091】
搬送ボール201aの搬送方向の速度成分を基準値V0とし、収束距離Lx内でシートSの側端Seの位置Pyを目標位置P0に移動させるには、搬送ボール201aの速度成分V2は、
V2=(Ly/Lx)×V0
の演算式で求められる。つまり、CPU500は、差分値Lyが大きいほどステアリング機構120aの斜送速度の幅方向の速度成分を大きくする。具体的に説明すると、CPU500は、差分値Lyが大きいほど、搬送ボール201aの幅方向の速度成分V2を大きくする。この速度成分V2を決定したことにより、搬送ボール201aの斜送角度θは、
θ=tan−1(V2/V0)=tan−1(Ly/Lx)
で決定される。
【0092】
次に、搬送ボール201aの回転速度V1は、搬送方向の速度成分を基準値V0に維持するように決定されるので、
V1=V0/cosθ
の演算式で求められる。ここで、ボール駆動モータ204fa,204raの速度差によって搬送ボール201aの搬送方向が決定されるため、ボール駆動モータ204faの回転速度Vf1は回転速度Vf0に対して搬送直交速度成分V2分の速度Vf’を減じる必要がある。即ち、
Vf1=Vf0−Vf’
=Vf0−V2/cos45°
=Vf0−(Ly/Lx)×V0/cos45°
となる。また、ボール駆動モータ204raの回転速度Vr1は回転速度Vr0に対して搬送直交速度成分V2分の速度Vr’を加える必要がある。即ち、
Vr1=Vr0+Vr’
=Vr0+V2/cos45°
=Vr0+(Ly/Lx)×V0/cos45°
となる。なお、シートSが図16とは反対方向にずれている場合には、ボール駆動モータ204faの回転速度Vf1は回転速度Vf0に対して搬送直交速度成分V2分の速度Vf’を加える必要がある。また、ボール駆動モータ204raの回転速度Vr1は回転速度Vr0に対して搬送直交速度成分V2分の速度Vr’を減じる必要がある。このように、CPU500は、差分値Lyに基づいて各ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度Vf1,Vr1を求めている。
【0093】
ここで、搬送ボール201aの速度ベクトルと駆動ローラ202fa,202raの速度ベクトルは異なっているので、そのズレ分は搬送ボール201aと駆動ローラ202fa,202raの間で滑りながら回転駆動を行っている。よって、駆動効率が落ちることがあるため、S207では、CPU500は、求めた各ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度Vf1,Vr1を駆動ローラ202fa,202raと搬送ボール201aとの滑りに対応した補正値で補正している。具体的には、求めたボール駆動モータ204fa,204raの回転速度Vf1,Vr1に補正値を乗算している。これにより、シートSの斜送速度及び斜送角度が目標とする値に近づけられている。なお、駆動効率は搬送ボール201aと駆動ローラ202fa,202raとの摩擦係数や従動ボール101aの重量(搬送ボール201aと駆動ローラ202fa,202raの接触圧)、駆動ローラ202fa,202raの配置によっても影響を受ける。したがって、補正値は実験値を用いて設定している。また、駆動ローラ202fa,202raの摩擦係数の微小な差や外径公差を補正するために、ボール駆動モータ204fa,204raは独立で補正値を持っても良い。以上により計算されたボール駆動モータ204fa,204raの速度を各々設定する。
【0094】
以上のシーケンスによるシートSの姿勢制御の状態を図17〜19により説明する。図17(a)は、目標位置P0に対し、シートSが右側に寄っていた場合を示している。この場合、搬送ボール201a,201bの速度ベクトルをV1にするため、ボール駆動モータ204fa,204fbの速度Vf1をボール駆動モータ204ra,204rbの速度Vr1より速くすることで、シートSは白抜き矢印方向に移動する。これにより、シートSは、側端Seの位置Pyが目標位置P0に近づく白抜き矢印方向に移動する。
【0095】
図17(b)は、目標位置P0に対し、シートSが左側に寄っていた場合を示している。この場合、ボール駆動モータ204fa,204fbの速度Vf1を、ボール駆動モータ204ra,204rbの速度Vr1より遅くし、上記と逆方向にシートSを移動させている。これにより、シートSは、側端Seの位置Pyが目標位置P0に近づく白抜き矢印方向に移動する。
【0096】
次に、図18(a)は、シートSが斜行していた場合を示している。下流側のCIS100bでは、シートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対して右方向にずれているため、下流側のボール駆動モータ204fbの速度Vf1はボール駆動モータ204rbの速度Vr1より速く設定される。これに対し、上流側のCIS100aでは、シートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対して左方向にずれているため、上流側のボール駆動モータ204faの速度Vf1はボール駆動モータ204raの速度Vr1より遅く設定される。これにより、下流側の搬送ボール201bは、左側にシートSを寄せようとし、上流側の搬送ボール201aは、右側にシートSを寄せようとする。この結果、シートSは白抜き矢印のように旋回する。搬送方向の速度成分を一定に維持し、幅方向の速度成分を変化させているので、シートSにストレスを与えず無理なく旋回させることができる。これにより、腰の弱い超薄紙でも撓むことがないので、精度のよい姿勢制御を行うことができる。
【0097】
図18(b)は、シートの姿勢制御を終了した状態を示しており、CPU500は、シート検知センサ35によりシートSが検知された場合、各ボール搬送機構121a,121bの斜送角度を0°にしている。これにより、搬送に対して安定しているレジストローラ対36a,36bにシートSが挟持する直前まで姿勢補正制御を行うことが可能である。したがって、シートSの姿勢補正制御の精度に、搬送ボール201a,201bの搬送の精度が影響するのを低減することができる。なお、レジストローラ対36a,36bは、シートSが搬送されてくるときに停止動作しないので、突き当て動作による斜行が発生することはない。
【0098】
なお、本第2実施形態では、レジストローラ対36a,36bの加減速で画像とシートSの先端の位置を合わせているが、その機能を各ボール搬送機構121a,121bに持たせて、レジストローラ対を省略することが可能である。この場合、シートSが画像形成部90で画像形成される直前まで姿勢補正制御を行うことが可能である。
【0099】
次に、本第2実施形態では、図19(a)に示すように、シートSを中央基準で搬送するが、サイズの異なるシートSを搬送する場合、CIS100a,100bを使用しているので、CPU500は、サイズごとに目標位置P0,P01,P02を設定している。シートサイズ情報は、操作部250、又はネットワーク503を介してパソコンよりCPU500に入力される。又は、シート給送装置1Bに設けられた不図示のシートサイズ検知手段によりシートサイズ情報がCPU500に入力される。
【0100】
ところで、画像形成部90側とレジストユニット30側のアライメントがずれている場合、姿勢制御が正しく行なわれても画像とシートの位置がずれてしまうことがある。レジストユニット30の位置自体を画像に合わせて調整する場合には、装置を停止する必要があり、作業が煩雑になってしまう。
【0101】
そこで、本第2実施形態では、図19(b)に示すように、目標位置を、各CIS100a,100bに対応してそれぞれ設定し、各CIS100a,100bに対応する目標位置P0a,P0bをそれぞれ個別に変更可能としている。そして、アライメントズレ分だけ上流側の目標位置P0aと下流側の目標位置P0bとをずらして設定することにより、シートSと画像Gとのズレを調整することが可能である。調整作業としては操作部250又はネットワーク503を介してコンピュータ504より、調整値を入力するようにしている。これにより、簡単に作業を行うことができる。また、調整手段を入れるためのコストを低く抑えることができるというメリットもある。或いは装置内に画像とシートのズレを検出する手段を設けることで、自動で調整することも可能である。
【0102】
また、厚いシートを搬送する際、上下流の目標位置P0a、P0bをずらして設定してもよい。これにより、シートは傾いて搬送されることとなり、シートの先端と2次転写部の二次転写内ローラ43及び二次転写外ローラ44とは平行でなくなる。したがって、転写ニップ噛み込み時の急激な負荷変動を抑えることができる、中間転写ベルト40の速度が変化し画像ムラを発生するのを抑制することができる。なお、転写される画像もシートに合わせて傾ける必要があるが、シート毎の傾き量は一定であるため、カラー画像のシート毎の各色のドット形成のずれによる色味の変化や、画像を傾けるための計算に時間が掛かることはなく、生産性の著しい低下を招くことはない。
【0103】
以上、本第2実施形態では、搬送ボール201a,201bは、上述した演算式により求めた速度及び角度に変更される。したがって、シートSの撓みを抑制し、シートSにストレスを与えるのを抑制してシートの斜行補正及びシートSの側端Seの位置決めをすることができる。そして、薄紙等を含む多種のマテリアルに対しても、シートSの正確な斜行補正及びシート側端Seの正確な位置決めが可能となる。また、差分値Lyを求めて各ボール搬送機構121a,121bの斜送角度及び斜送速度を変更しているので、シートSが幅方向にオーバーシュートする量が小さくなり、シートSの側端Seを目標位置P0に迅速に近づけることができる。したがって、シートSに対する画像の位置精度を向上させることができ、シート搬送の高速対応が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0104】
また、各搬送ボール201a,201bの搬送方向の速度成分を基準値V0に維持することにより、シートSの間隔がばらつくのを防止することができ、生産性を上げるためにシートSの間隔を詰めたい場合でも安定して搬送を行うことが可能である。また、両ボール搬送機構121a,121b間での引張り合いやシートSの撓みを効果的に防止でき、精度の高い姿勢制御が可能となる。また、差分値Lyが大きいほど速度成分V2を大きくしたので、シートSの側端Seを目標位置P0により迅速に近づけることができる。
【0105】
なお、上記実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0106】
上記第2実施形態では、各ボール搬送機構の従動回転体が従動ボールである場合について説明したが、これに限定するものではない。図20(a)に上流側のボール搬送機構を示すが、この図20(a)に示すように、ボール搬送機構の従動回転体が従動ローラ401aであってもよい。従動ローラ401aはローラ軸402aに回転可能に支持されている。ローラ軸402aはホルダ403aに支持されている。加圧ばね404aにより従動ローラ401aは搬送ボール201aに付勢されている。従動ローラ401aは、ホルダ403aに固着した軸405aを中心に、図20(b)に示すように、首振り可能に支持されている。なお、図20では、上流側のボール搬送機構について説明したが、下流側のボール搬送機構についても、同様の構成とすればよい。また、上記第1実施形態では、ステアリング機構の従動回転体が従動ボールである場合について説明したが、これに限定するものではない。図示は省略するが、従動回転体を、図20と同様の従動ローラの構成としてもよい。
【0107】
また、上記第1及び第2実施形態では、シートサイズが同じであればシートSの側端Seの目標位置P0を一定にする場合について説明したが、これに限るものではない。CPU500が画像形成を行うジョブ毎に目標位置P0を変更するようにしてもよい。これにより、排出後のシートSが積載された際にジョブの境目を視認し易くなる。一般には排紙ローラまたは排紙トレイを搬送方向と直交する幅方向にずらす例が知られているが、このような機構を付加しなくとも、同様の効果を得ることができる。この場合、目標位置P0の移動量に合わせて画像形成書き込み位置をずらす制御が必要であるが、シートサイズごとに書き込み位置は変えているので、容易に対応することができる。また、このようにシートSをジョブ毎に変更することで、定着ローラ等のローラ類や中間転写ベルトに、同サイズのシートばかりを搬送する場合に、シートの側端で削れて表面粗さが低下してしまうことを抑制することができる。つまり、各シート毎に目標位置P0を徐々に移動することでローラ類へのシート側端の接触位置が変わるので、ローラ等の削れに対する耐久性を向上することができる。そして、ローラ等の削れに対する耐久性が向上するので、画像形成されるシートに筋が形成されるのを抑制することができる。特に、主に小さいサイズのシートが使用されているときに、これよりも大きなサイズのシートを出力した場合に、大きなサイズのシートに筋が形成されるのを効果的に抑制することができる。
【0108】
また上記第1及び第2実施形態では、電子写真方式を用いた画像形成装置のレジストユニットに対して本発明を適用した例について説明したが、その他の搬送部に本発明を適応してもよい。また、インクジェット方式や熱転写方式等その他の画像形成装置について、本発明を適用してもよい。
【0109】
また、上記第1,第2実施形態では、画像形成装置が2つの搬送部(ステアリング機構又はボール搬送機構)を備える場合について説明したが、搬送部の数はこれに限定するものではない。本発明は、画像形成装置が2つ以上の搬送部を備える場合について適用可能である。この場合、側端位置検知部(コンタクトイメージセンサ)は、各搬送部に対応して設けられ、搬送部の数と同数となる。
【符号の説明】
【0110】
1…画像形成装置、90…画像形成部、100a,100b…コンタクトイメージセンサ(側端位置検知部)、120a,120b…ステアリング機構(搬送部)、121a,121b…ボール搬送機構(搬送部)、500…CPU(制御部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特にシートを搬送しながら、シートの斜行を補正し、かつシートのシート搬送方向と直交する幅方向の側端の位置決めを行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式、オフセット印刷方式、インクジェット方式等の画像形成装置が知られている。電子写真方式を用いた画像形成装置では、感光体ドラムから直接シートにトナー像を転写する直接転写方式、一旦中間転写体に転写した後シートに転写する中間転写方式等、種々の方式が知られている。また、電子写真方式を用いたカラーの画像形成装置では、複数の画像形成部を並べて配置したタンデム方式、円筒状に配置したロータリー方式等が知られている。
【0003】
近年、電子写真方式等の画像形成装置においても、版を作らないメリットを生かし、小部数の印刷市場を狙った装置が提供されてきている。このような軽印刷市場で受け入られるためには、高速(高生産性)、高画質を多種のマテリアルにおいて達成しなければならず、シート搬送精度に対する要求も高くなってきている。特に要求の高いのは、シートに対する画像位置精度であり、両面画像を形成した際の表裏の画像位置ズレも含まれる。シートに対して画像位置を合わせる方法もあるが、画像に対してシートを合わせる方法が主流である。
【0004】
画像位置精度は、シートのシート搬送方向のレジストレーション、シートのシート搬送方向と直交する幅方向のレジストレーション、倍率、斜行で決定される。これらの中でシートの斜行については、電気的な制御で補正することは困難である。例えば、シートの斜行を検知して、これに合わせて傾いた画像を作成することでシートに対する画像位置を補正することは可能である。しかし、3色又は4色を重ね合わせるカラー画像の場合には、シートごとに画像を傾けると各色のドット形成のずれによりシートごとに色味が変わってしまう。また、画像を傾けるための計算に時間が掛かってしまうので生産性の著しい低下を招く。よって、シートの斜行についてはシートの搬送精度の性能によって決定されてしまう。
【0005】
一般的には、シートの斜行とレジストレーションはそれぞれ独立で制御しているが、近年、斜行補正とシートのシート搬送方向と直交する方向のレジストレーションを同時または同一駆動にて補正する方法が提案されている(特許文献1参照)。具体的には、シート搬送方向に並んだ2つのローラを各々独立にシート搬送方向に対して直交方向にスライドさせる2つの移動駆動モータを備え、シートの側端を検知する光センサをローラに対応してシート搬送方向に2つ並べて配置している。そして、シートの側端が各光センサに倣うように各ローラを幅方向にスライドさせる制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−310289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の方法では、ローラをシート搬送方向に対して直交方向にスライドさせてシートの斜行補正又はシートの幅方向の位置補正を行っているので、ローラスライド時にシートにストレスがかかる。特に、薄紙の場合は、2つのローラの間でシートが撓んでしまうため、正確なシートの斜行補正又はシートの幅方向の位置補正が困難である。
【0008】
また、上記従来の方法では、光センサのオンオフで移動駆動モータを正逆回転させているので、シートが幅方向にオーバーシュートして往復移動することとなり、シートの側端が目標位置に移動するのが遅くなる。したがって、シートに対する画像の位置精度を向上させようとすると、シートの搬送速度を高速化できず、生産性の向上が図れなかった。
【0009】
そこで、本発明は、薄紙のような腰の弱いシートを含む多種のマテリアルに対応することが可能で、シートに対する画像の位置精度が良く、生産性が向上する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シートを搬送しながら、シートの斜行を補正し、かつシートのシート搬送方向と直交する幅方向の側端の位置決めを行い、画像形成部によりシートに画像を形成する画像形成装置において、前記画像形成部のシート搬送方向上流に搬送方向に沿って配置され、シートをシート搬送方向に対して任意の方向に斜送可能な複数の搬送部と、前記各搬送部に対応してシート搬送方向に沿って配置され、シートの幅方向の側端位置をそれぞれ検知する複数の側端位置検知部と、前記各搬送部に対し、前記側端位置検知部により検知された側端位置とシートの側端の目標位置との差分値をそれぞれ求め、前記各差分値に応じて前記各搬送部の斜送角度及び斜送速度を変更する制御部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、求めた各差分値に応じて各搬送部によるシートの斜送角度及び斜送速度を変更するので、シートの撓みを抑制し、シートにストレスを与えるのを抑制してシートの斜行補正及びシートの側端の位置決めをすることができる。そして、薄紙等を含む多種のマテリアルに対しても、シートの正確な斜行補正及びシート側端の正確な位置決めが可能となる。また、差分値を求めて各搬送部の斜送角度及び斜送速度を変更しているので、シートの側端を目標位置に迅速に近づけることができる。したがって、シートに対する画像の位置精度を向上させることができ、シート搬送の高速対応が可能であり、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】レジストユニットの概略構成を示す図であり、(a)は、レジストユニットの正面図、(b)は、レジストユニットの斜視図である。
【図3】シート姿勢補正部の概略構成を示す図であり、(a)は、シート姿勢補正部の要部を示す斜視図、(b)は、ステアリング機構を示す説明図である。
【図4】画像形成装置のCPU及びCPUの制御対象を示すブロック図である。
【図5】CPUによるシートの姿勢制御のフローチャートである。
【図6】補正制御の計算概念を表した図である。
【図7】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートが目標位置に対して右側に寄っている場合を示す図であり、(b)は、シートが目標位置に対して左側に寄っている場合を示す図である。
【図8】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートが斜行している場合を示す図であり、(b)は、シートの姿勢制御を終了した状態を示す図である。
【図9】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートサイズによる搬送位置を示す図であり、(b)は、アライメント補正時の搬送位置を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態のシート姿勢補正部の概略構成を示す図であり、(a)は、シート姿勢補正部の要部を示す斜視図、(b)は、ボール搬送機構を示す説明図である。
【図11】ボール搬送機構の概略構成を示す図であり、(a)は、ボール搬送機構の要部の平面図、(b)は、ボール搬送機構の要部の説明図である。
【図12】画像形成装置のCPU及びCPUの制御対象を示すブロック図である。
【図13】ボール搬送機構の速度ベクトルを表す図である。
【図14】CPUによるシートの姿勢制御のフローチャートである。
【図15】補正制御の計算概念を表した図である。
【図16】補正制御の計算概念を表した図である。
【図17】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートが目標位置に対して右側に寄っている場合を示す図であり、(b)は、シートが目標位置に対して左側に寄っている場合を示す図である。
【図18】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートが斜行している場合を示す図であり、(b)は、シートの姿勢制御を終了した状態を示す図である。
【図19】シート姿勢補正部のシート姿勢制御時の状態を示す平面図であり、(a)は、シートサイズによる搬送位置を示す図であり、(b)は、アライメント補正時の搬送位置を示す図である。
【図20】ボール搬送機構の変形例を示す図であり、(a)は、ボール搬送機構の説明図、(b)は、従動ローラの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。図1において、1は画像形成装置、1Aは画像形成装置本体(以下、装置本体という)である。装置本体1Aは、シートSに画像を形成する画像形成部90と、シートSを給送するシート給送装置1Bと、シート給送装置1Bにより給送されたシートSを画像形成部90に搬送するシート搬送装置としてのレジストユニット30とを備えている。また、装置本体1Aの上面にはユーザが装置本体1Aに対して各種入力/設定を行うための操作部250が接続されている。
【0015】
画像形成部90は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の画像形成ユニット90A〜90D、並びに転写部1Cを有して構成されている。そして、これら画像形成ユニット90A〜90Dは、それぞれ感光体ドラム91、露光装置93、現像器92、一次転写ローラ45、感光体クリーナ95及び帯電器99等から構成されている。なお、各画像形成ユニット90A〜90Dが形成する色は、これら4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。
【0016】
転写部1Cは、搬送されてきたシートSにトナー像を転写するものである。転写部1Cは、駆動ローラ42、テンションローラ41及び二次転写内ローラ43等のローラ類によって張架され、図中矢印Bの方向へと搬送駆動される中間転写ベルト40を備えている。ここで、この中間転写ベルト40は、一次転写ローラ45により与えられる所定の加圧力及び静電的負荷バイアスにより、感光体ドラム上に形成されたトナー像が転写されるものである。また、略対向する二次転写内ローラ43及び二次転写外ローラ44により形成される二次転写部において所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることでシートSへ未定着画像を吸着させるものである。
【0017】
シート給送装置1Bは、装置本体1Aに対して不図示のスライドレールにより引き出し可能に設けられているシート収納部10と、シート収納部10に収納されたシートSを送り出すシート給送部12とを備えている。シート収納部10には、積載されたシートSをシート給送部12へ押し付ける給紙リフター板11を備えている。なお、シート給送装置1Bとしては、シート給送部12によって最上位のシートをピックアップして下流に送り出す構成を採用しているが、エアによってシートを吸引して送るエア給紙を採用することも可能である。シート給送部12は、給紙ローラ13を備え、給紙ローラ13により最上シートSをピックアップし1枚ずつシートSを給送する。複数枚のシートSを同時にピックアップした際には、分離搬送ローラ対14にてシートを1枚ずつ分離し、搬送する。
【0018】
そして、このような構成の画像形成装置1において、画像を形成する際には、まず、予め帯電器99により感光体ドラム91の表面が一様に帯電される。この後、矢印方向に回転する感光体ドラム91に対し、送られてきた画像情報の信号に基づいて露光装置93が発光し、この光を反射手段94等を適宜経由して照射することにより感光体ドラム表面に潜像が形成される。なお、感光体ドラム91上に僅かに残った転写残トナーは感光体クリーナ95により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0019】
次に、このようにして感光体ドラム91上に形成された静電潜像に対して、現像装置92によるトナー現像が行われ、感光体ドラム上にトナー像が形成される。この後、一次転写ローラ45により所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが与えられることにより、中間転写ベルト40上に感光体ドラム上のトナー像が転写される。なお、画像形成部90のY、M、C及びBkの各画像形成ユニット90A〜90Dによる画像形成は、中間転写ベルト40上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。この結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト40上に形成される。
【0020】
また、シートSは、シート収納部10からシート給送部12により画像形成部90の画像形成タイミングに合わせて送り出され、この後、シートSは搬送ユニット20を通過して、レジストユニット30へと搬送される。そして、このレジストユニット30においてシートSの斜行補正やシートSの幅方向の側端の位置決めを行った後、略対向する二次転写内ローラ43及び二次転写外ローラ44により形成される二次転写部へと搬送される。この後、二次転写部において所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることでシートS上にフルカラーのトナー像が二次転写される。
【0021】
次に、トナー像が二次転写されたシートSは定着前搬送部51により定着装置50へと搬送される。そして、定着装置50において、略対向するローラもしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナーを溶融固着させる。
【0022】
次に、このようにして得られた定着画像を有するシートSは分岐搬送装置60により、そのまま排紙トレイ61上に排出される。なお、シートSの両面に画像を形成する場合には、切り換え可能な搬送パス切り換え部材63の切り換えにより、この後、分岐搬送装置71により再搬送部を構成する反転搬送装置80へと搬送される。
【0023】
このように反転搬送装置80へと搬送されると、この後、反転搬送装置80によってシートSは、シート給送装置1Bから搬送されてくる後続ジョブのシートとのタイミングを合わせて搬送ユニット20で合流し、二次転写部へと送られる。画像形成プロセスに関しては1面目と同様なので省略する。そして、この二次転写部においてシートSの裏面にトナー像が転写され、この後、トナー像が定着される。なお、このようにトナー像が定着された後、シートSは分岐搬送装置62により、装置本体1Aの外側に排出され排紙トレイ61に積載される。
【0024】
次に、レジストユニット30について詳細に説明する。レジストユニット30は、図2(a),(b)に示すように、シート搬送方向(以下、搬送方向という)上流から下流に向かって順次配設された搬送ローラ31,32,33,34を備えている。また、レジストユニット30は、搬送ローラ34に対して搬送方向下流に配設されたシート姿勢補正部300を備えている。これら搬送ローラ31,32,33,34は、不図示の駆動源にて回転駆動される。搬送ローラ31,32,33,34の上方には、各搬送ローラにそれぞれ対向するアイドラローラ31a,32a,33a,34aが配置されている。アイドラローラ32a,33a,34aには、各々圧解除モータ32m,33m,34mが不図示のリンクを介して接続されており、アイドラローラ32a,33a,34aが搬送ローラ32,33,34に対して接離可能に構成されている。
【0025】
シート姿勢補正部300と画像形成部90の転写部1Cのローラ対43,44との間には、シート検知部としてのシート検知センサ35と、レジストローラ対36a,36bと、シート検知センサ37とが順次配設されている。レジストローラ対36a,36bは、レジスト駆動ローラ36a及びレジスト従動ローラ36bで構成される。
【0026】
次に、シート姿勢補正部300について詳細に説明する。シート姿勢補正部300は、図3(a),(b)に示すように、2つの搬送部として2つのステアリング機構120a,120bを備えている。ステアリング機構120a,120bは、シートSを搬送方向に対して任意の方向に斜送可能に構成され、画像形成部90のシート搬送方向上流に搬送方向に沿って配置されている。ステアリング機構120aとステアリング機構120bとは、同様の部材で構成されている。
【0027】
シート姿勢補正部300は、シートの搬送方向と直交する幅方向の一方の側端位置をそれぞれ検知する2つの側端位置検知部としてのラインセンサであるコンタクトイメージセンサ(以下CISという)100a,100bを備えている。各CIS100a,100bは、各ステアリング機構120a,120bに対応して搬送方向に沿って配置されている。
【0028】
ステアリング機構120a,120bは、シートの搬送方向に対して水平面内で旋回可能に支持された搬送回転体としてのステアリングローラ103a,103bを備えている。また、ステアリング機構120a,120bは、ステアリングローラ103a,103bの上方に配置され、ステアリングローラ103a,103bに圧接して従動する従動回転体としての球形状に形成された従動ボール101a,101bを備えている。そして、ステアリングローラ103a,103bと従動ボール101a,101bとでシートSを挟持して搬送するように構成されている。
【0029】
ステアリングローラ103a,103bは、ゴム製のローラであり、装置本体1Aの幅方向中央に配置される。なお、ステーリングローラ103a,103bを中央に配置しているが、シート搬送を行える位置であれば、中央でなくても良い。ステアリングローラ103a,103bは、搬送ガイド対107の下側の下搬送ガイド107Bの下方に設けられたステージ104a,104bに回転可能に支持されている。ステージ104a,104bは、ステアリングモータ106a,106b軸上に旋回可能に固定されている。このステージ104a,104bには、ステアリングローラ103a,103bを回転駆動する搬送モータ105a,105bが固定されている。したがって、ステアリングモータ106a,106bを回転させることにより、ステアリングローラ103a,103bが、ステージ104a,104b及び搬送モータ105a,105bと一体に旋回することとなる。ステージ104a,104bの近傍には、ステージホームポジションセンサ108a,108bが設けられている。ステージホームポジションセンサ108a,108bは、ステアリングローラ103a,103bが搬送方向と平行な状態(搬送方向を基準とする角度が0°である状態)を基準位置とし、ステージ104a,104bが基準位置に位置するのを検知するものである。
【0030】
従動ボール101a,101bは金属性の球体である。従動ボール101a,101bは、搬送ガイド対107の上側の上搬送ガイド107Aの上方に設けられたボールガイド102a,102bに上下方向に移動可能に支持されている。具体的には、従動ボール101a,101bは、ボールガイド102a,102bの穴に上下方向に移動可能に挿入されている。従動ボール101a,101bは、自重でステアリングローラ103a,103bに圧接する。従動ボール101a,101bは、球形状であるため、ステアリングローラ103a,103bの搬送ベクトルが変化しても追従して回転することができる。
【0031】
ステアリングモータ106a,106bの軸中心と、ステアリングローラ103a,103b及び従動ボール101a,101bのニップ中心とは、同軸上に設定されており、ステアリングローラ103a,103bはニップ中心で旋回可能となっている。CIS100a,100bは、搬送ガイド対107の上搬送ガイド107Aに設けられ、ステアリングローラ103a,103bと従動ボール101a,101bとの幅方向に延びるニップ中心線上に配置されている。なお、CIS100a,100bは、ニップ線上に配置するのが好ましいが、これに限定するものではない。搬送ガイド対107は、黒色メッキが施されており、CIS100a,100bは、シートSと搬送ガイド対107の明度差の境界を検知することで、シートSの側端位置を検知している。
【0032】
搬送モータ105a,105b及びステアリングモータ106a,106bは、ステッピングモータであり、ステアリングローラ103a,103bの回転速度や角度を任意に設定可能である。
【0033】
シート検知センサ35は、シートの有無を検知するセンサである。シート検知センサ35は、搬送方向最下流に配置されたステアリング機構120bと画像形成部90との間、より具体的には、ステアリング機構120bとレジストローラ対36a,36bとの間に配置されている。言い換えれば、シート検知センサ35は、レジストローラ対36a,36bの直前に配置されている。
【0034】
ここで、画像形成装置1は、図4に示すように、装置全体を制御する制御部としてのCPU500と、制御プログラムが格納されたROM501と、作業領域として使用されるRAM502と、を備えている。また、画像形成装置1は、ネットワーク503を介してコンピュータ504に接続されるI/O505を備えている。また、画像形成装置1は、上述した搬送モータ105a,105b、ステアリングモータ106a,106b、圧解除モータ32m,33m,34mのほか、レジスト駆動ローラ36aを回転駆動するレジローラ駆動モータ110を備えている。CPU500は、各センサの情報、操作部250による入力情報、コンピュータ504からI/O505を介して入力した情報等に基づき、ドライバ506に指令を出力して各モータを制御する。
【0035】
つまり、CPU500は、シートSを決定した斜送角度で斜送するように、ステアリングモータ106a,106bを動作させ、ステアリングローラ103a,103bを旋回させる。また、CPU500は、シートSを決定した斜送速度で斜送するように、搬送ローラ105a,105bを動作させ、ステアリングローラ103a,103bを回転させる。また、CPU500は、アイドラローラ32a,33a,34aの押圧又は押圧解除を選択し、圧解除モータ32m,33m,34mを動作させる。
【0036】
また、CPU500は、シートSの先端をシート検知センサ37が検知したタイミングに基づき、中間転写ベルト40上に形成された画像の位置とのタイミングのずれを補正すべく、レジローラ駆動モータ110の回転速度を調整する。この速度調整は、シートSの先端がガイド38(図2(a)参照)を通過する範囲内で行われる。この制御動作により、2次転写部において画像とシートSの位置とが正確に合わせられる。
【0037】
次に、シート姿勢補正部300のシーケンスについて、図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、ステアリング機構120a,120bの制御は同一であるので、一つのステアリング機構120aの動作について説明する。図6は、補正制御の計算概念を表した図である。
【0038】
CPU500は、装置本体1Aを起動させると、まず、搬送モータ105aの回転速度V1を基準値V0に設定する(S101)。基準値V0で回転する搬送モータ105aにより駆動されるステアリングローラ103aの周速度、つまりシートSの搬送速度は、画像形成部90の画像形成速度と同一速度である。次に、CPU500は、ステアリングモータ106aの旋回角度θを初期値0°に設定する(S102)。つまり、搬送方向に対するシートSの斜送角度が0°に設定される。具体的には、ステージ104aをステージホームポジションセンサ108aに検知される位置に旋回させることで、ステアリングモータ106aの旋回角度θが搬送方向に対して0°に設定される。これにより、ステアリングローラ103aが搬送方向と平行となる。S101,S102により、シートSは、搬送方向に画像形成速度と同一の一定速度で搬送される。ここで、ステアリングモータ106aの旋回角度θと、シートSの斜送角度は同一であり、ステアリングモータ106aの旋回角度θを変更することにより、シートの斜送角度が変更される。
【0039】
シートSが搬送方向上流側より送られてくると、CIS100aにてシートSの側端位置が検知されるので、CPU500は、シートSの先端が到達したと判断し、姿勢制御を開始する(S103)。なお、シートSの先端が到達したと判断するためのシート検知センサをCIS100aとは別個に配置してもよい。ここで、姿勢制御を行う際、搬送方向上流のローラがシートSを挟持していると抵抗となり、シートSの姿勢変更が困難になるので、圧解除モータ32m,33m,34mにより、アイドラローラ32a,33a,34aの圧を解除する。
【0040】
次に、CPU500は、レジスト駆動ローラ36aの直前に配置されたシート検知センサ35がシートを検知したか否かを判断する(S104)。シート検知センサ35がシートSを検知した場合は(S104:ON)、姿勢制御を終了し、検知されない場合は(S104:OFF)、補正制御を続行し続ける。
【0041】
シートSは、斜行した状態や幅方向の位置がずれた状態で搬送されてくるため、CPU500は、CIS100aで検知したシートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0を含む許容範囲D内であるか否かを判断する(S105)。ここで、シートの側端の目標位置P0は、ROM501或いはEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリ等に予め記憶されている値である。許容範囲D内であると判断した場合は(S105:Yes)、ステアリングモータ106aや搬送モータ105aを初期状態に戻す。つまり、CPU500は、搬送モータ105aの回転速度V1を基準値V0に設定し(S106)、ステアリングモータ106aの旋回角度θを初期値0°に設定する(S107)。これにより、シートSは、搬送方向に画像形成速度と同一の一定速度で搬送される。次に、CPU500は、S104の処理に移行する。つまり、一旦、シートSの側端Seが目標位置P0の許容範囲Dに入っても、許容範囲Dを越えた場合は補正制御を行う。
【0042】
CPU500は、S105において、許容範囲D内ではないと判断した場合(S105:No)、補正制御を実行する。この補正制御として、まず、CPU500は、CIS100aにより検知された側端Seの位置Pyと目標位置P0との差分値Lyを求める。そして、差分値Lyに応じてステアリング機構120aによるシートSの搬送方向に対する斜送角度及び斜送方向の斜送速度を変更する。
【0043】
つまり、CPU500は、ステアリングモータ106aの角度計算を行い(S108)、計算した角度にステアリングモータ106aの旋回角度θを変更する(S109)。また、CPU500は、搬送モータ105aの速度計算を行い(S110)、計算した速度に搬送モータ105aの回転速度V1を変更する(S111)。
【0044】
以下、具体的に説明すると、まず、S108では、CIS100aにより検知したシートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対してずれている距離、すなわち差分値Lyを算出する。
【0045】
ここで、本第1実施形態では、CPU500は、ステアリング機構120aによるシートSの斜送速度の搬送方向の速度成分を一定速度に維持する制御を行う。つまり、CPU500は、搬送モータ105aの回転速度V1の搬送方向の速度成分(ベクトル成分)が基準値V0となるように、搬送モータ105aの回転速度V1を設定する。
【0046】
ここで、シートSをズレ方向に対し反対方向に移動させたいので、搬送方向と直交する幅方向の速度成分(ベクトル成分)V2は、目標位置P0へ向かう方向に設定する必要がある。速度成分V2は、補正制御を収束させたい距離Lxによって決定される。
【0047】
シートSを補正する動作は、下流側のステアリングローラ103bとシート検知センサ35との間で収束させる必要がある。本第1実施形態では、少なくとも2回の補正が可能となるように、収束距離Lxをステアリングローラ103bとシート検知センサ35との距離の1/2とした。
【0048】
搬送モータ105aの搬送方向の速度成分を基準値V0とし、収束距離Lx内でシートSの側端Seの位置Pyを目標位置P0に移動させるには、搬送モータ105aの速度成分V2は、
V2=(Ly/Lx)×V0
の演算式で求められる。つまり、CPU500は、差分値Lyが大きいほどステアリング機構120aの斜送速度の幅方向の速度成分を大きくする。具体的に説明すると、CPU500は、差分値Lyが大きいほど、搬送モータ105aの幅方向の速度成分V2を大きくする。この速度成分V2を決定したことにより、S108で求められるステアリングモータ106aの旋回角度θは、
θ=tan−1(V2/V0)=tan−1(Ly/Lx)
で計算される。
【0049】
次に、S110で求められる搬送モータ105aの回転速度V1は、搬送方向の速度成分を基準値V0に維持するように決定されるので、
V1=V0/cosθ
の演算式で求められる。なお、搬送モータ105b及びステアリングモータ106bについても、同様の演算式により求められた速度及び角度に変更される。
【0050】
以上のシーケンスによるシートSの姿勢制御の状態を図7〜図9を用いて説明する。まず、図7(a)は、シートSが目標位置P0に対して右側に寄っている場合を示し、図7(b)は、シートSが目標位置P0に対して右側に寄っている場合を示している。いずれの場合も、ステアリングローラ103a,103bは、ステアリングモータ106a,106bにより旋回し、矢印方向に回転する。これにより、シートSは、側端Seの位置Pyが目標位置P0に近づく白抜き矢印方向に移動する。
【0051】
次に、図8(a)は、シートSが斜行している場合を示している。下流側のCIS100bでは、シートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対して右方向にずれているため、下流側のステアリングローラ103bは、ステアリングモータ106bにより左方向にシートSを寄せる方向に旋回する。これに対し、上流側のCIS100aでは、シートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対して左方向にずれているため、上流側のステアリングローラ103aは、ステアリングモータ106aにより右方向にシートSを寄せる方向に旋回する。これにより、下流側のステアリングローラ103bは、左側にシートSを寄せようとし、上流側のステアリングローラ103aは、右側にシートSを寄せようとする。この結果、シートSは白抜き矢印のように旋回する。搬送方向の速度成分を一定に維持し、幅方向の速度成分を変化させているので、シートSにストレスを与えず無理なく旋回させることができる。これにより、腰の弱い超薄紙でも撓むことがないので、精度のよい姿勢制御を行うことができる。
【0052】
図8(b)は、シートの姿勢制御を終了した状態を示しており、CPU500は、シート検知センサ35によりシートSが検知された場合、各ステアリング機構120a,120bの斜送角度を0°にしている。これにより、搬送に対して安定しているレジストローラ対36a,36bにシートSが挟持する直前まで姿勢補正制御を行うことが可能である。したがって、シートSの姿勢補正制御の精度に、ステアリングローラ103a,103bの搬送精度(ローラ外径やステアリングモータの角度精度等)が影響するのを低減することができる。なお、レジストローラ対36a,36bは、シートSが搬送されてくるときに停止動作しないので、突き当て動作による斜行が発生することはない。
【0053】
なお、本第1実施形態では、レジストローラ対36a,36bの加減速で画像とシートSの先端の位置を合わせているが、その機能をステアリング機構120a,120bに持たせて、レジストローラ対を省略することが可能である。この場合、シートSが画像形成部90で画像形成される直前まで姿勢補正制御を行うことが可能である。
【0054】
次に、本第1実施形態では、図9(a)に示すように、シートSを中央基準で搬送するが、サイズの異なるシートSを搬送する場合、CIS100a,100bを使用しているので、CPU500は、サイズごとに目標位置P0,P01,P02を設定している。シートサイズ情報は、操作部250、又はネットワーク503を介してパソコンよりCPU500に入力される。又は、シート給送装置1Bに設けられた不図示のシートサイズ検知手段によりシートサイズ情報がCPU500に入力される。
【0055】
ところで、画像形成部90側とレジストユニット30側のアライメントがずれている場合、姿勢制御が正しく行なわれても画像とシートの位置がずれてしまうことがある。レジストユニット30の位置自体を画像に合わせて調整する場合には、装置を停止する必要があり、作業が煩雑になってしまう。
【0056】
そこで、本第1実施形態では、図9(b)に示すように、目標位置を、各CIS100a,100bに対応してそれぞれ設定し、各CIS100a,100bに対応する目標位置P0a,P0bをそれぞれ個別に変更可能としている。そして、アライメントズレ分だけ上流側の目標位置P0aと下流側の目標位置P0bとをずらして設定することにより、シートSと画像Gとのズレを調整することが可能である。調整作業としては操作部250又はネットワーク503を介してコンピュータ504より、調整値を入力するようにしている。これにより、簡単に作業を行うことができる。また、調整手段を入れるためのコストを低く抑えることができるというメリットもある。或いは装置内に画像とシートのズレを検出する手段を設けることで、自動で調整することも可能である。
【0057】
また、厚いシートを搬送する際、上下流の目標位置P0a、P0bをずらして設定してもよい。これにより、シートは傾いて搬送されることとなり、シートの先端と2次転写部の二次転写内ローラ43及び二次転写外ローラ44とは平行でなくなる。したがって、転写ニップ噛み込み時の急激な負荷変動を抑えることができる、中間転写ベルト40の速度が変化し画像ムラを発生するのを抑制することができる。なお、転写される画像もシートに合わせて傾ける必要があるが、シート毎の傾き量は一定であるため、カラー画像のシート毎の各色のドット形成のずれによる色味の変化や、画像を傾けるための計算に時間が掛かることはなく、生産性の著しい低下を招くことはない。
【0058】
以上、本第1実施形態では、搬送モータ105a,105b及びステアリングモータ106a,106bは、上述した演算式により求めた速度及び角度に変更される。したがって、シートSの撓みを抑制し、シートSにストレスを与えるのを抑制してシートの斜行補正及びシートSの側端Seの位置決めをすることができる。そして、薄紙等を含む多種のマテリアルに対しても、シートSの正確な斜行補正及びシート側端Seの正確な位置決めが可能となる。また、各差分値Lyを求めて各ステアリング機構120a,120bの斜送角度及び斜送速度を変更しているので、シートSが幅方向にオーバーシュートする量が小さくなり、シートSの側端Seを目標位置P0に迅速に近づけることができる。したがって、シートSに対する画像の位置精度を向上させることができ、シート搬送の高速対応が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0059】
また、各搬送モータ105a,105bの搬送方向の速度成分を基準値V0に維持することにより、シートSの間隔がばらつくのを防止することができ、生産性を上げるためにシートSの間隔を詰めたい場合でも安定して搬送を行うことが可能である。また、両ステアリングローラ103a,103b間での引張り合いやシートSの撓みを効果的に防止でき、精度の高い姿勢制御が可能となる。また、差分値Lyが大きいほど速度成分V2を大きくしたので、シートSの側端Seを目標位置P0により迅速に近づけることができる。
【0060】
なお、上述した説明では、搬送モータ105aの速度を変更し、次いで、ステアリングモータ106aの角度を変更するように、順を追って説明したが、ステアリングモータ106aの角度変更と搬送モータ105aの速度変更はほぼ同時に行っている。
【0061】
なお、本第1実施形態では、ステアリングローラ103a,103bの角度は、ステアリングモータ106a,106bにより細かく制御できるようになっているが、収束距離Lxと最大ズレ量から最も大きな制御角1パターンだけを使用することもできる。その場合、搬送モータ105aの速度も基準値V0とその角度に合わせた1パターンで済むので比較的安価に構成できる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態である画像形成装置のシート搬送装置のシート姿勢補正部301ついて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
図10(a)に示すように、シート姿勢補正部301は、2つの搬送部として2つのボール搬送機構121a,121bを備えている。ボール搬送機構121a,121bは、シートSを搬送方向に対して任意の方向に斜送可能に構成され、画像形成部90の搬送方向上流に搬送方向に沿って配置されている。ボール搬送機構121aとボール搬送機構121bとは同様の部材で構成されている。
【0064】
また、シート姿勢補正部301は、シートの搬送方向と直交する幅方向の一方の側端位置をそれぞれ検知する2つの側端位置検知部としてのCIS100a,100bを備えている。各CIS100a,100bは、各ボール搬送機構121a,121bに対応して搬送方向に沿って配置されている。
【0065】
ボール搬送機構121a,121bは、図10(b)に示すように、任意の方向に回転可能な球形状の搬送回転体としての搬送ボール201a,201bを備えている。また、ボール搬送機構121a,121bは、搬送ボール201a,201bの上方に配置され、搬送ボール201a,201bの上部に圧接して従動する従動回転体として球形状に形成された従動ボール101a,101bを備えている。そして、搬送ボール201a,201bと従動ボール101a,101bとでシートSを挟持して搬送するように構成されている。
【0066】
搬送ボール201a,201bは、ゴム製の球体であり、装置本体1Aの幅方向中央に配置される。なお、搬送ボール201a,201bを中央に配置しているが、シート搬送を行える位置であれば、中央でなくても良い。従動ボール101a,101bは金属性の球体である。従動ボール101a,101bは、搬送ガイド対107の上側の上搬送ガイド107Aの上方に設けられたボールガイド102a,102bに上下方向に移動可能に支持されている。具体的には、従動ボール101a,101bは、ボールガイド102a,102bの穴に上下方向に移動可能に挿入されている。従動ボール101a,101bは、自重で搬送ボール201a,201bに圧接する。従動ボール101a,101bは、球形状であるため、搬送ボール201a,201bの搬送ベクトルが変化しても追従して回転することができる。
【0067】
CIS100a,100bは、搬送ガイド対107の上搬送ガイド107Aに設けられ、搬送ボール201a,201bと従動ボール101a,101bとの幅方向に延びるニップ中心線上に配置されている。なお、CIS100a,100bは、ニップ線上に配置するのが好ましいが、これに限定するものではない。搬送ガイド対107は、黒色メッキが施されており、CIS100a,100bは、シートSと搬送ガイド対107の明度差の境界を検知することで、シートSの側端位置を検知している。
【0068】
ボール搬送機構121aは、図11(a)に示すように、搬送ボール201aの下方に配置され、搬送ボール201aの下部に圧接して搬送ボール201aを回転駆動する2つの駆動ローラ202fa,202raを備えている。また、ボール搬送機構121aは、搬送ボール201aの下部に圧接して従動する従動コロ206aを備えている。搬送ボール201aは、2つの駆動ローラ202fa,202ra及び従動コロ206aにより下方から3点支持される。同様に、ボール搬送機構121bは、2つの駆動ローラ202fb,202rb及び従動コロ206bを備え、これらで搬送ボール201bが下方から3点支持されている。なお、図10(b)において、シートSは矢印方向に搬送されるが、その時、駆動ローラ202ra,202rbは時計方向、搬送ボール201a,201bは反時計方向に回転している。ここで、駆動ローラ202fa,202fbは断面のため不図示であるが、正面から見て同様に時計方向に回転している。
【0069】
また、ボール搬送機構121a,121bは、従動コロ206a,206bを回転可能に支持する従動コロ支持台207a,207bと、従動コロ支持台207a,207bを支持する基台209a,209bと、を備えている。基台209a,209bは、従動コロ206a,206bが搬送ボール201a,201bの回転方向に追従するように、従動コロ支持台207a,207bを搬送ボール201a,201bの中心に向かう軸線Qの回りに回動可能に支持している。具体的に説明すると、従動コロ206a,206bは、軸210a,210bに回転自在に支持され、軸210a,210bは従動コロ支持台207a,207bに支持されている。従動コロ支持台207a,207bには、搬送ボール201a,201b中心に向かう軸線Qと平行な軸208a,208bが固定されている。軸208a,208bは基台209a,209bに回動可能に支持されることにより、従動コロ206a,206bは搬送ボール201a,201bを中心に首振り可能となっている。また、軸208a,208bには捻りばね212a,212bの一端が固定され、捻りばね212a,212bの他端は基台209a,209bに固定されており、初期状態では従動コロ206a,206bの回転方向が搬送方向と平行に設定されている。
【0070】
駆動ローラ202fa,202ra及び駆動ローラ202fb,202rbは、周面がゴムで形成されている。従動コロ206a,206bは、摺動性の良い樹脂製のコロである。搬送ボール201aは、自重及び従動ボール101aの加重により、下方に押圧され、2つの駆動ローラ202fa,202ra及び従動コロ206aに圧接する。したがって、駆動ローラ202fa,202raの回転力が搬送ボール201aに摩擦力にて伝達され、搬送ボール201aが回転駆動される。同様に、搬送ボール201bは、自重及び従動ボール101bの加重により、下方に押圧され、2つの駆動ローラ202fb,202rb及び従動コロ206bに圧接する。したがって、駆動ローラ202fb,202rbの回転力が搬送ボール201bに摩擦力にて伝達され、搬送ボール201bが回転駆動される。
【0071】
このように、搬送ボール201a(201b)を下方から3点支持したことにより、搬送ボール201a(102b)を、2つの駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)に効果的に圧接することができる。したがって、駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)の回転力を搬送ボール201a(201b)に効果的に伝達することができ、搬送ボール201a(201b)を安定して回転させることができる。また、2つの駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)及び従動コロ206a(206b)に対する搬送ボール201a(201b)の加重は、ほとんど変動しない。したがって、2つの駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)及び従動コロ206a(206b)と搬送ボール201a(201b)との摩擦力の変動を低減することができる。以上により、搬送ボール201a(201b)の回転速度及び回転方向が安定し、シートを所望の方向及び所望の搬送速度で安定して搬送することができる。したがって、シートの姿勢を精度良く補正することができる。また、駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)を搬送ボール201a(201b)に圧接させるために、別途、モータを必要としないので、構造が簡単であり、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【0072】
駆動ローラ202fa,202raは、図11(a)に示すように、搬送ボール201aに対して搬送方向下流に配置され、従動コロ206aは、搬送ボール201aに対して搬送方向上流に配置されている。具体的に説明すると、2つの駆動ローラ202fa,202raは、搬送ボール201aを中心に搬送方向に対して幅方向に左右対称に配置されている。本実施形態では、駆動ローラ202fa,202raは、搬送ボール201aの搬送方向下流であって、搬送ボール201aの中心から搬送方向に対して45°の角度で対称配置されている。また、従動コロ206aは、搬送ボール201aの搬送方向上流であって、搬送ボール201aの中心から搬送方向に延びる軸線上に配置されている。同様に、駆動ローラ202fb,202rbは、搬送ボール201bの搬送方向下流であって、搬送ボール201bの中心から搬送方向に対して45°の角度で対称配置されている。また、従動コロ206bは、搬送ボール201bの搬送方向上流であって、搬送ボール201bの中心から搬送方向に延びる軸線上に配置されている。なお、本実施形態では、搬送方向に対し駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)は搬送ボール201a(201b)の下流に45°で対称に配置しているが、45°である必要はない。搬送直交方向に移動させる最大必要速度に応じて駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)の配置角度を決定すればよく、3点支持する関係上、30°〜60°の範囲で設定すればよい。
【0073】
このように、駆動ローラ202fa,202raを搬送ボール201aの下流に配置したことにより、駆動ローラ202fa,202raを回転駆動すると搬送ボール201aは下方(図10(b)中矢印Z方向)に力が与えられる。これにより、搬送ボール201aは、駆動ローラ202fa,202ra及び従動コロ206aに圧接する方向に力が付与される。したがって、搬送ボール201aの浮き上がりが防止され、駆動ローラ202fa,202ra及び従動コロ206aと搬送ボール201aとがより密着するので、搬送ボール201aの回転が安定する。搬送ボール201bについても同様に、駆動ローラ202fb,202rb及び従動コロ206bに圧接する方向に力が付与される。したがって、搬送ボール201bの浮き上がりが防止され、駆動ローラ202fb,202rb及び従動コロ206bと搬送ボール201bとがより密着するので、搬送ボール201bの回転が安定する。
【0074】
ボール搬送機構121aは、各駆動ローラ202fa,202raをそれぞれ回転駆動する2つの駆動部としての2つのボール駆動モータ204fa,204ra(図10(a))を備えている。また、ボール搬送機構121bは、各駆動ローラ202fb,202rbをそれぞれ回転駆動する2つの駆動部としての2つのボール駆動モータ204fb,204rb(図10(a))を備えている。駆動ローラ202fa,202raは、それぞれ軸211f,211rを介してボール駆動モータ204fa,204raに連結されており、軸211f,211rは軸受け113に回転可能に支持されている。同様に、駆動ローラ202fb,202rbは、それぞれ軸211f,211rを介してボール駆動モータ204fb,204rbに連結されており、軸211f,211rは軸受け113に回転可能に支持されている。ボール駆動モータ204fa,204ra,204fb,204rbはステッピングモータであり、速度を任意に設定可能である。
【0075】
図11(b)には、従動コロ206a(206b)及び搬送ボール201a(201b)を軸線Q方向に見た図が示されているが、搬送ボール201a(201b)の回転方向は不定である。例えばY−Y’軸中心に赤道が1点鎖線矢印D方向に回転するときに、従動コロ206a(206b)上の軌道は2点鎖線で示す矢印D’方向となる。本実施形態では、従動コロ206a(206b)は、軸208a(208b)を中心に傾くことが可能なので、搬送ボール201a(201b)の回転方向に追従して矢印R方向に傾き、搬送ボール201a(201b)の回転抵抗にならない。
【0076】
ところで、搬送ボール201a(201b)は、駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)と従動コロ206a(206b)により3点支持されているので、各々の位置や径の公差によって、搬送ボール201aの高さがばらつく。
【0077】
したがって、本実施形態では、図10(b)に示すように、2つの駆動ローラ202fa,202ra(202fb,202rb)に対して接離する方向に従動コロ206a(206b)の位置を調整可能としている。具体的には、基台209a(209b)を搬送方向と平行な矢印X方向に調整可能としている。この基台209a(209b)の位置を調整し、従動コロ206a(206b)の位置を調整することにより、搬送ボール201a(201b)の高さ調整を行う。また、従動ボール101a(101b)との中心位置合わせはボールガイド102a(102b)の位置を調整して行っている。
【0078】
ここで、画像形成装置1は、図12に示すように、装置全体を制御する制御部としてのCPU500と、制御プログラムが格納されたROM501と、作業領域として使用されるRAM502と、を備えている。また、画像形成装置1は、ネットワーク503を介してコンピュータ504に接続されるI/O505を備えている。また、画像形成装置1は、上述したボール駆動モータ204fa,204fb,204ra,204rb、圧解除モータ32m,33m,34mのほか、レジスト駆動ローラ36aを回転駆動するレジローラ駆動モータ110を備えている。CPU500は、各センサの情報、操作部250による入力情報、コンピュータ504からI/O505を介して入力した情報等に基づき、ドライバ506に指令を出力して各モータを制御する。つまり、CPU500は、シートSを決定した斜送角度、斜送速度で斜送するように、ボール駆動モータ204fa,204fb,204ra,204rbを動作させ、搬送ボール201a,201bを回転させる。
【0079】
次に、シート姿勢補正部301のボール搬送機構121a,121bの動作について説明するが、ボール搬送機構121a,121bの動作は同一であるので、一つのボール搬送機構121aの動作について説明する。図11(a)において、駆動ローラ202fa、202raは搬送方向に対称に配置されている。シートSを白抜き矢印で示す搬送方向とするとき、搬送ボール201の搬送速度のベクトルをVとすると、駆動ローラ202faの駆動による速度Vfと駆動ローラ202raの駆動による速度Vrとの速度差によってシート搬送速度ベクトルが変化する。図11(a)では、Vf=Vrとしているので、シートSは、画像形成部90へ向かう搬送方向に搬送される。次に、シートSを斜送する場合、例えば図13に示すようにシートSを手前側に寄せる場合、V’に搬送速度ベクトルを設定するために、Vf>Vrとなるように駆動ローラ202fa,202raの速度設定を行う。このように、各ボール駆動モータ204fa,204raによる各駆動ローラ202fa,202raの回転速度を調整して、搬送ボール201aの回転方向及び回転速度を設定している。例えばVr=0(ボール駆動モータ204raを停止)のときに最大45°で矢印Vf側に搬送可能となっている。なお、駆動ローラ202fa,202raは特に対称に配置する必要もなく、シートを片側のみに寄せる場合は、駆動ローラの1つを搬送方向と平行に配置してもよい。
【0080】
次に、シート姿勢補正部300のシーケンスについて、図14のフローチャートに基づいて説明する。なお、ボール搬送機構121a,121bの制御は同一であるので、一つのボール搬送機構121aについて説明する。図15,図16は、補正制御の計算概念を表した図である。
【0081】
CPU500は、装置本体1Aを起動させると、まず、搬送ボール201aの回転速度を基準値V0に設定するため、ボール駆動モータ204fa,204raにより駆動ローラ202fa,202raを、回転速度Vf0,Vr0で回転開始させる(S201)。つまり、Vf0=Vr0で駆動ローラ202fa,202raを回転させる。ここで本実施形態では、搬送方向に対し、駆動ローラ202fa,202raが対称に45°傾いて配置されているので、基準値V0を画像形成速度と同一速度にするため、
Vf0=V0/cos45°
Vr0=V0/cos45°
とする。これにより、基準値V0で回転する搬送ボール201aの周速度、つまりシートSの搬送速度は、画像形成部90の画像形成速度と同一速度である。
【0082】
シートSが搬送方向上流側より送られてくると、CIS100aにてシートSの側端位置が検知されるので、CPU500は、シートSの先端が到達したと判断し、姿勢制御を開始する(S202)。なお、シートSの先端が到達したと判断するためのシート検知センサをCIS100aとは別個に配置してもよい。ここで、姿勢制御を行う際、搬送方向上流のローラがシートSを挟持していると抵抗となり、シートSの姿勢変更が困難になるので、圧解除モータ32m,33m,34mにより、アイドラローラ32a,33a,34aの圧を解除する。
【0083】
次に、CPU500は、レジスト駆動ローラ36aの直前に配置されたシート検知センサ35がシートを検知したか否かを判断する(S203)。シート検知センサ35がシートSを検知した場合は(S203:ON)、姿勢制御を終了し、検知されない場合は(S203:OFF)、補正制御を続行し続ける。
【0084】
シートSは、斜行した状態や幅方向の位置がずれた状態で搬送されてくるため、CPU500は、CIS100aで検知したシートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0を含む許容範囲D内であるか否かを判断する(S204)。ここで、シートの側端の目標位置P0は、ROM501或いはEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリ等に予め記憶されている値である。許容範囲D内であると判断した場合は(S204:Yes)、ボール駆動モータ204fa,204raを初期状態に戻す。つまり、CPU500は、図15に示すように、ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度をVf0,Vr0に設定し、搬送ボール201aの回転速度を基準値V0に設定する(S205)。これにより、シートSは、搬送方向に画像形成速度と同一の一定速度で搬送される。次に、CPU500は、S203の処理に移行する。つまり、一旦、シートSの側端Seが目標位置P0の許容範囲Dに入っても、許容範囲Dを越えた場合は補正制御を行う。
【0085】
CPU500は、S204において、許容範囲D内ではないと判断した場合(S204:No)、補正制御を実行する。この補正制御として、まず、CPU500は、CIS100aにより検知された側端Seの位置Pyと目標位置P0との差分値Lyを求める。そして、差分値Lyに応じてボール搬送機構121aによるシートSの搬送方向に対する斜送角度及び斜送方向の斜送速度を変更する。
【0086】
つまり、CPU500は、ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度の計算を行い(S206)、計算した回転速度に補正値を乗算して(S207)、ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度を変更する(S208)。
【0087】
以下、図16を参照しながら具体的に説明すると、まず、S206では、CIS100aにより検知したシートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対してずれている距離、すなわち差分値Lyを算出する。
【0088】
ここで、本第2実施形態では、CPU500は、ボール搬送機構121aによるシートSの斜送速度の搬送方向の速度成分を一定速度に維持する制御を行う。つまり、CPU500は、搬送ボール201aの回転速度の搬送方向の速度成分が基準値V0となるように、ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度Vf1,Vr1を設定する。
【0089】
ここで、シートSをズレ方向に対し反対方向に移動させたいので、搬送方向と直交する幅方向の速度成分(ベクトル成分)V2は、目標位置P0へ向かう方向に設定する必要がある。速度成分V2は、補正制御を収束させたい距離Lxによって決定される。
【0090】
シートSを補正する動作は、下流側の搬送ボール201bとシート検知センサ35との間で収束させる必要がある。本第2実施形態では、少なくとも2回の補正が可能となるように、収束距離Lxを搬送ボール201bとシート検知センサ35との距離の1/2とした。
【0091】
搬送ボール201aの搬送方向の速度成分を基準値V0とし、収束距離Lx内でシートSの側端Seの位置Pyを目標位置P0に移動させるには、搬送ボール201aの速度成分V2は、
V2=(Ly/Lx)×V0
の演算式で求められる。つまり、CPU500は、差分値Lyが大きいほどステアリング機構120aの斜送速度の幅方向の速度成分を大きくする。具体的に説明すると、CPU500は、差分値Lyが大きいほど、搬送ボール201aの幅方向の速度成分V2を大きくする。この速度成分V2を決定したことにより、搬送ボール201aの斜送角度θは、
θ=tan−1(V2/V0)=tan−1(Ly/Lx)
で決定される。
【0092】
次に、搬送ボール201aの回転速度V1は、搬送方向の速度成分を基準値V0に維持するように決定されるので、
V1=V0/cosθ
の演算式で求められる。ここで、ボール駆動モータ204fa,204raの速度差によって搬送ボール201aの搬送方向が決定されるため、ボール駆動モータ204faの回転速度Vf1は回転速度Vf0に対して搬送直交速度成分V2分の速度Vf’を減じる必要がある。即ち、
Vf1=Vf0−Vf’
=Vf0−V2/cos45°
=Vf0−(Ly/Lx)×V0/cos45°
となる。また、ボール駆動モータ204raの回転速度Vr1は回転速度Vr0に対して搬送直交速度成分V2分の速度Vr’を加える必要がある。即ち、
Vr1=Vr0+Vr’
=Vr0+V2/cos45°
=Vr0+(Ly/Lx)×V0/cos45°
となる。なお、シートSが図16とは反対方向にずれている場合には、ボール駆動モータ204faの回転速度Vf1は回転速度Vf0に対して搬送直交速度成分V2分の速度Vf’を加える必要がある。また、ボール駆動モータ204raの回転速度Vr1は回転速度Vr0に対して搬送直交速度成分V2分の速度Vr’を減じる必要がある。このように、CPU500は、差分値Lyに基づいて各ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度Vf1,Vr1を求めている。
【0093】
ここで、搬送ボール201aの速度ベクトルと駆動ローラ202fa,202raの速度ベクトルは異なっているので、そのズレ分は搬送ボール201aと駆動ローラ202fa,202raの間で滑りながら回転駆動を行っている。よって、駆動効率が落ちることがあるため、S207では、CPU500は、求めた各ボール駆動モータ204fa,204raの回転速度Vf1,Vr1を駆動ローラ202fa,202raと搬送ボール201aとの滑りに対応した補正値で補正している。具体的には、求めたボール駆動モータ204fa,204raの回転速度Vf1,Vr1に補正値を乗算している。これにより、シートSの斜送速度及び斜送角度が目標とする値に近づけられている。なお、駆動効率は搬送ボール201aと駆動ローラ202fa,202raとの摩擦係数や従動ボール101aの重量(搬送ボール201aと駆動ローラ202fa,202raの接触圧)、駆動ローラ202fa,202raの配置によっても影響を受ける。したがって、補正値は実験値を用いて設定している。また、駆動ローラ202fa,202raの摩擦係数の微小な差や外径公差を補正するために、ボール駆動モータ204fa,204raは独立で補正値を持っても良い。以上により計算されたボール駆動モータ204fa,204raの速度を各々設定する。
【0094】
以上のシーケンスによるシートSの姿勢制御の状態を図17〜19により説明する。図17(a)は、目標位置P0に対し、シートSが右側に寄っていた場合を示している。この場合、搬送ボール201a,201bの速度ベクトルをV1にするため、ボール駆動モータ204fa,204fbの速度Vf1をボール駆動モータ204ra,204rbの速度Vr1より速くすることで、シートSは白抜き矢印方向に移動する。これにより、シートSは、側端Seの位置Pyが目標位置P0に近づく白抜き矢印方向に移動する。
【0095】
図17(b)は、目標位置P0に対し、シートSが左側に寄っていた場合を示している。この場合、ボール駆動モータ204fa,204fbの速度Vf1を、ボール駆動モータ204ra,204rbの速度Vr1より遅くし、上記と逆方向にシートSを移動させている。これにより、シートSは、側端Seの位置Pyが目標位置P0に近づく白抜き矢印方向に移動する。
【0096】
次に、図18(a)は、シートSが斜行していた場合を示している。下流側のCIS100bでは、シートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対して右方向にずれているため、下流側のボール駆動モータ204fbの速度Vf1はボール駆動モータ204rbの速度Vr1より速く設定される。これに対し、上流側のCIS100aでは、シートSの側端Seの位置Pyが目標位置P0に対して左方向にずれているため、上流側のボール駆動モータ204faの速度Vf1はボール駆動モータ204raの速度Vr1より遅く設定される。これにより、下流側の搬送ボール201bは、左側にシートSを寄せようとし、上流側の搬送ボール201aは、右側にシートSを寄せようとする。この結果、シートSは白抜き矢印のように旋回する。搬送方向の速度成分を一定に維持し、幅方向の速度成分を変化させているので、シートSにストレスを与えず無理なく旋回させることができる。これにより、腰の弱い超薄紙でも撓むことがないので、精度のよい姿勢制御を行うことができる。
【0097】
図18(b)は、シートの姿勢制御を終了した状態を示しており、CPU500は、シート検知センサ35によりシートSが検知された場合、各ボール搬送機構121a,121bの斜送角度を0°にしている。これにより、搬送に対して安定しているレジストローラ対36a,36bにシートSが挟持する直前まで姿勢補正制御を行うことが可能である。したがって、シートSの姿勢補正制御の精度に、搬送ボール201a,201bの搬送の精度が影響するのを低減することができる。なお、レジストローラ対36a,36bは、シートSが搬送されてくるときに停止動作しないので、突き当て動作による斜行が発生することはない。
【0098】
なお、本第2実施形態では、レジストローラ対36a,36bの加減速で画像とシートSの先端の位置を合わせているが、その機能を各ボール搬送機構121a,121bに持たせて、レジストローラ対を省略することが可能である。この場合、シートSが画像形成部90で画像形成される直前まで姿勢補正制御を行うことが可能である。
【0099】
次に、本第2実施形態では、図19(a)に示すように、シートSを中央基準で搬送するが、サイズの異なるシートSを搬送する場合、CIS100a,100bを使用しているので、CPU500は、サイズごとに目標位置P0,P01,P02を設定している。シートサイズ情報は、操作部250、又はネットワーク503を介してパソコンよりCPU500に入力される。又は、シート給送装置1Bに設けられた不図示のシートサイズ検知手段によりシートサイズ情報がCPU500に入力される。
【0100】
ところで、画像形成部90側とレジストユニット30側のアライメントがずれている場合、姿勢制御が正しく行なわれても画像とシートの位置がずれてしまうことがある。レジストユニット30の位置自体を画像に合わせて調整する場合には、装置を停止する必要があり、作業が煩雑になってしまう。
【0101】
そこで、本第2実施形態では、図19(b)に示すように、目標位置を、各CIS100a,100bに対応してそれぞれ設定し、各CIS100a,100bに対応する目標位置P0a,P0bをそれぞれ個別に変更可能としている。そして、アライメントズレ分だけ上流側の目標位置P0aと下流側の目標位置P0bとをずらして設定することにより、シートSと画像Gとのズレを調整することが可能である。調整作業としては操作部250又はネットワーク503を介してコンピュータ504より、調整値を入力するようにしている。これにより、簡単に作業を行うことができる。また、調整手段を入れるためのコストを低く抑えることができるというメリットもある。或いは装置内に画像とシートのズレを検出する手段を設けることで、自動で調整することも可能である。
【0102】
また、厚いシートを搬送する際、上下流の目標位置P0a、P0bをずらして設定してもよい。これにより、シートは傾いて搬送されることとなり、シートの先端と2次転写部の二次転写内ローラ43及び二次転写外ローラ44とは平行でなくなる。したがって、転写ニップ噛み込み時の急激な負荷変動を抑えることができる、中間転写ベルト40の速度が変化し画像ムラを発生するのを抑制することができる。なお、転写される画像もシートに合わせて傾ける必要があるが、シート毎の傾き量は一定であるため、カラー画像のシート毎の各色のドット形成のずれによる色味の変化や、画像を傾けるための計算に時間が掛かることはなく、生産性の著しい低下を招くことはない。
【0103】
以上、本第2実施形態では、搬送ボール201a,201bは、上述した演算式により求めた速度及び角度に変更される。したがって、シートSの撓みを抑制し、シートSにストレスを与えるのを抑制してシートの斜行補正及びシートSの側端Seの位置決めをすることができる。そして、薄紙等を含む多種のマテリアルに対しても、シートSの正確な斜行補正及びシート側端Seの正確な位置決めが可能となる。また、差分値Lyを求めて各ボール搬送機構121a,121bの斜送角度及び斜送速度を変更しているので、シートSが幅方向にオーバーシュートする量が小さくなり、シートSの側端Seを目標位置P0に迅速に近づけることができる。したがって、シートSに対する画像の位置精度を向上させることができ、シート搬送の高速対応が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0104】
また、各搬送ボール201a,201bの搬送方向の速度成分を基準値V0に維持することにより、シートSの間隔がばらつくのを防止することができ、生産性を上げるためにシートSの間隔を詰めたい場合でも安定して搬送を行うことが可能である。また、両ボール搬送機構121a,121b間での引張り合いやシートSの撓みを効果的に防止でき、精度の高い姿勢制御が可能となる。また、差分値Lyが大きいほど速度成分V2を大きくしたので、シートSの側端Seを目標位置P0により迅速に近づけることができる。
【0105】
なお、上記実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0106】
上記第2実施形態では、各ボール搬送機構の従動回転体が従動ボールである場合について説明したが、これに限定するものではない。図20(a)に上流側のボール搬送機構を示すが、この図20(a)に示すように、ボール搬送機構の従動回転体が従動ローラ401aであってもよい。従動ローラ401aはローラ軸402aに回転可能に支持されている。ローラ軸402aはホルダ403aに支持されている。加圧ばね404aにより従動ローラ401aは搬送ボール201aに付勢されている。従動ローラ401aは、ホルダ403aに固着した軸405aを中心に、図20(b)に示すように、首振り可能に支持されている。なお、図20では、上流側のボール搬送機構について説明したが、下流側のボール搬送機構についても、同様の構成とすればよい。また、上記第1実施形態では、ステアリング機構の従動回転体が従動ボールである場合について説明したが、これに限定するものではない。図示は省略するが、従動回転体を、図20と同様の従動ローラの構成としてもよい。
【0107】
また、上記第1及び第2実施形態では、シートサイズが同じであればシートSの側端Seの目標位置P0を一定にする場合について説明したが、これに限るものではない。CPU500が画像形成を行うジョブ毎に目標位置P0を変更するようにしてもよい。これにより、排出後のシートSが積載された際にジョブの境目を視認し易くなる。一般には排紙ローラまたは排紙トレイを搬送方向と直交する幅方向にずらす例が知られているが、このような機構を付加しなくとも、同様の効果を得ることができる。この場合、目標位置P0の移動量に合わせて画像形成書き込み位置をずらす制御が必要であるが、シートサイズごとに書き込み位置は変えているので、容易に対応することができる。また、このようにシートSをジョブ毎に変更することで、定着ローラ等のローラ類や中間転写ベルトに、同サイズのシートばかりを搬送する場合に、シートの側端で削れて表面粗さが低下してしまうことを抑制することができる。つまり、各シート毎に目標位置P0を徐々に移動することでローラ類へのシート側端の接触位置が変わるので、ローラ等の削れに対する耐久性を向上することができる。そして、ローラ等の削れに対する耐久性が向上するので、画像形成されるシートに筋が形成されるのを抑制することができる。特に、主に小さいサイズのシートが使用されているときに、これよりも大きなサイズのシートを出力した場合に、大きなサイズのシートに筋が形成されるのを効果的に抑制することができる。
【0108】
また上記第1及び第2実施形態では、電子写真方式を用いた画像形成装置のレジストユニットに対して本発明を適用した例について説明したが、その他の搬送部に本発明を適応してもよい。また、インクジェット方式や熱転写方式等その他の画像形成装置について、本発明を適用してもよい。
【0109】
また、上記第1,第2実施形態では、画像形成装置が2つの搬送部(ステアリング機構又はボール搬送機構)を備える場合について説明したが、搬送部の数はこれに限定するものではない。本発明は、画像形成装置が2つ以上の搬送部を備える場合について適用可能である。この場合、側端位置検知部(コンタクトイメージセンサ)は、各搬送部に対応して設けられ、搬送部の数と同数となる。
【符号の説明】
【0110】
1…画像形成装置、90…画像形成部、100a,100b…コンタクトイメージセンサ(側端位置検知部)、120a,120b…ステアリング機構(搬送部)、121a,121b…ボール搬送機構(搬送部)、500…CPU(制御部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送しながら、シートの斜行を補正し、かつシートのシート搬送方向と直交する幅方向の側端の位置決めを行い、画像形成部によりシートに画像を形成する画像形成装置において、
前記画像形成部のシート搬送方向上流に搬送方向に沿って配置され、シートをシート搬送方向に対して任意の方向に斜送可能な複数の搬送部と、
前記各搬送部に対応してシート搬送方向に沿って配置され、シートの幅方向の側端位置をそれぞれ検知する複数の側端位置検知部と、
前記各搬送部に対し、前記側端位置検知部により検知された側端位置とシートの側端の目標位置との差分値をそれぞれ求め、前記各差分値に応じて前記各搬送部の斜送角度及び斜送速度を変更する制御部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送部の斜送速度のシート搬送方向の速度成分を一定速度に維持した状態で、前記差分値が大きいほど前記搬送部の斜送速度の幅方向の速度成分を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、入力したシートサイズ情報に応じて、前記目標位置を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記目標位置は、前記各側端位置検知部に対応してそれぞれ設定され、
前記各側端位置検知部に対応する前記目標位置をそれぞれ個別に変更可能としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
シート搬送方向の最下流に配置された前記搬送部と前記画像形成部との間に配置され、シートを検知するシート検知部を備え、
前記制御部は、前記シート検知部によりシートが検知された場合、前記各搬送部の斜送角度を0°にすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送部は、任意の方向に回転可能な球形状の搬送回転体と、前記搬送回転体に圧接して従動する従動回転体と、前記搬送回転体に圧接して前記搬送回転体を回転させる2つの駆動ローラと、前記各駆動ローラを回転駆動する2つの駆動部とを有し、前記搬送回転体と前記従動回転体とで挟持しているシートを、前記2つの駆動ローラにより前記搬送回転体を回転させて搬送し、
前記制御部は、前記差分値に基づいて前記各駆動部の回転速度を求め、求めた前記各駆動部の回転速度を前記駆動ローラと前記搬送回転体との滑りに対応した補正値で補正することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
シートを搬送しながら、シートの斜行を補正し、かつシートのシート搬送方向と直交する幅方向の側端の位置決めを行い、画像形成部によりシートに画像を形成する画像形成装置において、
前記画像形成部のシート搬送方向上流に搬送方向に沿って配置され、シートをシート搬送方向に対して任意の方向に斜送可能な複数の搬送部と、
前記各搬送部に対応してシート搬送方向に沿って配置され、シートの幅方向の側端位置をそれぞれ検知する複数の側端位置検知部と、
前記各搬送部に対し、前記側端位置検知部により検知された側端位置とシートの側端の目標位置との差分値をそれぞれ求め、前記各差分値に応じて前記各搬送部の斜送角度及び斜送速度を変更する制御部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送部の斜送速度のシート搬送方向の速度成分を一定速度に維持した状態で、前記差分値が大きいほど前記搬送部の斜送速度の幅方向の速度成分を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、入力したシートサイズ情報に応じて、前記目標位置を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記目標位置は、前記各側端位置検知部に対応してそれぞれ設定され、
前記各側端位置検知部に対応する前記目標位置をそれぞれ個別に変更可能としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
シート搬送方向の最下流に配置された前記搬送部と前記画像形成部との間に配置され、シートを検知するシート検知部を備え、
前記制御部は、前記シート検知部によりシートが検知された場合、前記各搬送部の斜送角度を0°にすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送部は、任意の方向に回転可能な球形状の搬送回転体と、前記搬送回転体に圧接して従動する従動回転体と、前記搬送回転体に圧接して前記搬送回転体を回転させる2つの駆動ローラと、前記各駆動ローラを回転駆動する2つの駆動部とを有し、前記搬送回転体と前記従動回転体とで挟持しているシートを、前記2つの駆動ローラにより前記搬送回転体を回転させて搬送し、
前記制御部は、前記差分値に基づいて前記各駆動部の回転速度を求め、求めた前記各駆動部の回転速度を前記駆動ローラと前記搬送回転体との滑りに対応した補正値で補正することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−136812(P2011−136812A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298431(P2009−298431)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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