説明

画像形成装置

【課題】前回の画像形成時に発生した紙粉の、今回の画像形成で用いるシートへの影響度に応じて、紙粉除去装置の紙粉除去能力を調整することで、紙粉除去装置の適正な作動を実現した画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置19は、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いをシートの種類に応じて前回紙粉発生情報として記憶する記憶部17を備えている。更に、前回紙粉発生情報に基づいて、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いが大きいほど、今回の画像形成での紙粉除去能力を高めるように調整するCPU16を備えている。よって、紙粉除去装置15による適正な紙粉除去動作を実現し、紙粉による画像問題の発生を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート上の紙粉(シート粉)等の付着物を除去する紙粉除去装置を備えた複写機、ファクシミリ、プリンタ、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、ファクシミリ、プリンタ、複合機等の画像形成装置では、普通紙、再生紙、OHP用樹脂シート、コート紙などの多様なシートが使用されており、これら多様なシートにおいても高品質な画像を形成することが要求される。
【0003】
ここで、普通紙を通紙する場合には、普通紙の表面や端部から紙粉(シート粉)が発生することから、従来はシート上の紙粉を除去するために、画像形成装置内に種々の方式の紙粉除去装置を配置している。しかし、シート上の紙粉を除去するために、例えば紙粉除去装置に粘着部材を用いた場合には、粘着力の低下による粘着部材の交換によるランニングコストの増大等の問題が生じる。又、正負帯電ブラシや正負帯電ローラ、超音波、エアー吸引、エアー吹付け、等を用いた紙粉除去装置では、消費電力の増大や騒音の増大、等の問題が生じる。
【0004】
そこで、シートに応じて、紙粉除去装置の紙粉除去能力を可変として、紙粉除去能力を調整できるようにして上述の種々の問題をできるだけ解決した紙粉除去装置が提案されている。
【0005】
特許文献1の紙粉除去装置は、シート搬送路に臨む紙粉除去部材と、紙粉除去部材にバイアス電圧を印加する紙粉除去電源とを備えるものである。紙粉の帯電極性と逆極性のバイアス電圧を紙粉除去部材に印加することで、シートの紙粉を紙粉除去部材に静電吸着して、紙粉を除去するものである。この紙粉除去部材に印加するバイアス電圧の絶対値を大きくすれば、静電吸着力を大きくして、紙粉除去能力を高めることができる。
【0006】
さらに、制御装置は、判定装置が判定したシートの状態に基づき、紙粉除去装置の紙粉除去能力を調整できる。例えば、判定装置がシートを粗悪紙であると判定した場合には、前記バイアス電圧の絶対値を大きくして、前記紙粉除去能力を大きくする。一方、シートが紙粉の比較的少ないコート紙やOHP用樹脂シートの場合には、前記バイアス電圧の絶対値を小さくして、前記紙粉除去能力を小さくする、又はバイアス電圧をOFFして、前記紙粉除去能力をOFFしても良い。
【0007】
これにより、シートを不必要に帯電させることを抑制して消費電力の増大を防止でき、さらに、シートが不要に帯電して発生する画像ノイズを抑制できる。
【0008】
このように、シートに応じて紙粉除去能力を調整することにより、前記粘着部材等の紙粉除去部材の交換頻度、消費電力、又は騒音等を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−335762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1記載の技術では次のような問題が生じる。紙粉が発生し易いシート、例えば再生紙(特許文献1では粗悪紙)において、バイアス電圧の絶対値を大きくして、紙粉除去能力を最大化して通紙した後、紙粉が発生しにくいシート(例えばコート紙やOHP用樹脂シート)では、バイアス電圧をOFFする。しかし、このようにバイアス電圧をOFFして、紙粉除去能力を最小化して通紙すると、コート紙やOHP用樹脂シートの画像は、紙粉によって白点や飛び散りという画像劣化(画像不良)を起こすという問題が発生した。
【0011】
これは、紙粉の多い再生紙等を通紙することにより、シート搬送経路に紙粉が付着している。そして、シート搬送経路に付着している紙粉がコート紙やOHP用樹脂シート上に転移する。これはコート紙やOHP用樹脂シートにおいては、バイアス電圧をOFFして紙粉除去能力を最小化しているので、シート搬送経路からコート紙やOHP用樹脂シート上に転移した紙粉を除去できないため、白点や画像飛び散りが発生してしまうためである。
【0012】
即ち、例えば、いま画像形成しようと操作者が印刷(画像形成)を開始したとき、この印刷を行う前(直前)の印刷時(直前の印刷時)に、紙粉発生量の多い低質シートが使用されていた場合には、その際に発生した紙粉が搬送路に残る。そして、その後の印刷時に搬送されるシートに付着して、白点や飛び散り等の画像劣化を生じる問題を引き起こしてしまう。
【0013】
そこで本発明は、前回(直前)の画像形成時に発生した紙粉の、今回の画像形成で用いるシートへの影響度を考慮して、紙粉除去能力を調整することで、紙粉除去装置の適正な作動を実現し、紙粉による画像劣化の無い画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の上流側のシート搬送路に配置され、シート上の紙粉を除去する紙粉除去能力を調整可能な紙粉除去装置と、を備える画像形成装置において、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いを、シートの種類に応じて前回紙粉発生情報として記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記前回紙粉発生情報に基づいて、今回の画像形成での前記紙粉除去能力を調整する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前回紙粉発生情報に基づいて、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いが大きいほど、今回の画像形成での紙粉除去能力を高めるように調整することにより、紙粉除去装置による適正な紙粉除去動作を実現することができる。このため、多様なシートにおける紙粉による白点や飛び散り等の画像劣化の無い、高品質な画像形成を実現することが可能になる。
【0016】
さらに、今回の画像形成において、紙粉による画像劣化が発生しにくい種類のシート種では、紙粉除去能力を小さくできる。よって、過大に又は過小に紙粉除去能力を行うことが無く、適正な紙粉除去能力で紙粉除去を行うことができるので、紙粉除去部材の交換頻度、又は消費電力や騒音等を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る第1乃至第3の実施形態における画像形成装置の一例を示す概略断面図。
【図2】本発明に係る第1乃至第3の実施形態における紙粉除去装置の一例を示す模式図。
【図3】本発明に係る第1乃至第3の実施形態における紙粉除去装置を作動させる画像形成の一例を示すフローチャート。
【図4】本発明に係る第3の実施形態におけるシート表面性検知部の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る第1の実施形態における画像形成装置について、図1乃至図3及び表1乃至表3を参照して説明する。なお、図1は複合機等の画像形成装置の一例の全体構成を模式的に示す概略断面図、図2は紙粉(シート粉)を除去する紙粉除去装置(シート粉除去装置)の一例を示す模式図、図3は紙粉除去装置を作動させる画像形成の一例を示すフローチャートである。これらの図では、同一部材には同一符号を付して、重複した説明は省略する。また、表1は紙粉が発生し易いシートと発生し難いシートの一例を示し、表2は紙粉による画像劣化が発生し易いシートと画像劣化が発生し難いシートの一例を示し、表3は紙粉除去能力決定処理の一例を示す。
【0019】
先ず、図1を参照して、本発明に係る画像形成装置19について詳細に説明する。図1に示すように、画像形成装置19は、コピー機能時に原稿の画像情報を読み取るイメージスキャナ10を備えており、イメージスキャナ10からの画像情報に基づいた画像を、給紙カセット9,9a,9bから送り出されるシートP上に形成する。画像形成装置19の装置本体に備えられたイメージスキャナ10には、コピーボタン(不図示)等が配置された操作部18が配設されている。この操作部18は、今回の画像形成に際して今回シート情報(現画像形成時のシート情報)を設定入力する入力部を構成している。
【0020】
画像形成装置19は、不図示のパーソナルコンピュータ等の外部装置にて作成されたプリントデータを受信するプリンタ受信部11と、不図示の通信回線を介して送信されてきたファクシミリデータを受信するファクシミリ送受信部12とを備えている。更に、画像形成装置19は、シート上の紙粉を除去する紙粉除去能力を調整可能な紙粉除去装置(シート粉除去装置)15と、制御部としてのCPU16と、記憶部17とを備えている。
【0021】
記憶部17は、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いを、シートの種類に応じて前回紙粉発生情報(前回シート粉発生情報、前画像形成時のシート情報)として記憶する。記憶部17は更に、前回の画像形成後の今回の画像形成でのシートの種類に関する今回シート情報を記憶する。記憶部17は、今回の画像形成の直後の画像形成に際して今回シート情報が操作部18から入力された際に、記憶部17に先に記憶されている今回シート情報を前回紙粉発生情報として更新する。
【0022】
CPU16は、記憶部17に記憶された前回紙粉発生情報(前回シート粉発生情報)に基づいて、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いが大きいほど紙粉除去能力を高めるように調整することが可能である。本実施形態のCPU16は、記憶部17に記憶された前回紙粉発生情報と今回シート情報とに基づいて、今回の画像形成での紙粉除去能力を調整する機能を有する。つまり、本CPU16は、記憶部17に記憶された前回紙粉発生情報及び今回シート情報を参照し、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いと、今回の画像形成に対する影響度とに応じて、今回の画像形成での紙粉除去能力を調整する。
【0023】
画像形成装置19において、プリンタ機能時には、不図示の通信回線を介して、画像形成装置19がプリントデータを受信し、プリントデータからの画像情報に基づいた画像をシートP上に形成する。また、ファクシミリ機能時には、不図示の通信回線を介して、画像形成装置19がファクシミリデータを受信し、ファクシミリデータからの画像情報に基づいた画像をシートP上に形成する。
【0024】
次に、画像形成装置19における画像形成に関して説明する。画像形成装置19では、図1に示すように、感光体ドラム1が矢印A方向に回転し、感光体ドラム1の表面が、帯電ローラ等の帯電装置2により、例えばマイナスに一様均一に帯電される(例えば帯電電位:−400V)。そして、露光装置3が画像情報に応じた例えばレーザ光3aを感光体ドラム1表面に照射することにより、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される(例えば露光部電位:−50V)。
【0025】
感光体ドラム1上の静電潜像は、現像装置4のバイアスが印加されて回転する現像スリーブ4a(例えばDC:−250V、AC:1kVpp/2.5kHz)により、マイナスに帯電されたトナーTが現像される。これにより、感光体ドラム1上のレーザ光を照射した部位に、トナーT画像が形成される。感光体ドラム1上のトナーT画像は、転写ローラ等の転写装置5に印加されたプラス電圧(例えばDC:+2kV)により、給紙カセット9,9a,9bの何れかから送り出されたシートP上に静電的に転写される。このシートPは、搬送ローラ対13によってシート搬送路Bを通り、レジストローラ対14でタイミングを合わせられた後、転写装置5に搬送される。なお、感光体ドラム1、帯電装置2、現像装置4、転写装置5等により、シートPに画像を形成する画像形成部が構成されている。上記シート搬送路Bは、この画像形成部の上流側に配置されて、画像形成部にシートPを搬送するように設けられている。
【0026】
その後、トナーT画像を担持したシートPは、分離装置(例えば除電針)6に印加されたマイナス電圧(例えばDC:−1kV)により、シートPのプラス電荷が除電されることで、感光体ドラム1から分離される。そして、トナーT画像を担持したシートPは、定着装置7に搬送され、熱及び圧力を加えられて、トナーT画像がシートP上に定着される。定着工程終了後のシートPは、経路Cのフェイスアップ排紙、又は経路Dのフェイスダウン排紙を選択して、排紙される。
【0027】
一方、転写工程が終了した感光体ドラム1は、感光体ドラム1上の転写残トナーをクリーニング装置8で除去された後、再び帯電装置2によって一様均一に帯電され、次の画像形成に備える。
【0028】
次に、シート搬送路Bに配置されたシート上の紙粉を除去する紙粉除去装置15に関して説明する。
【0029】
シートP上に大紙粉が付着した状態で画像形成を行う場合、画像形成後に大紙粉がシートP上から剥離すると、その紙粉部分のみ画像が欠けて、白点となる画像不良が発生する。これに対し、シートP上に小紙粉が付着した状態で画像形成を行う際、画像形成後に小紙粉がシートP上から剥離すると、画像欠け部分は小さくて問題にならないレベルとなる。しかしその場合、小紙粉により紙粉周辺の画像が飛び散ってしまい、紙粉周辺の画像が濃くなるという問題が発生してしまう。これは、転写装置5による感光体ドラム1からシートPへのトナーTの転写工程で、小紙粉周辺部でシートPと感光体ドラム1とが密着せずに空隙が発生して、空隙でトナーTがシートP上に転写される際にトナーTが飛び散って転写されることで発生する。
【0030】
本紙粉除去装置15は、このような白点や画像飛び散りを防止するために、シートP上の紙粉を除去する。シートPからシート搬送路Bや搬送ローラ対13、レジストローラ対14に転移して付着した紙粉が、後続して画像形成されるシート上に再転移して付着することがあるため、紙粉除去装置15は転写装置5の直前(転写工程直前)の部位に配置されている。
【0031】
紙粉除去装置15としては、多様な方式を採用することができる。例えば、粘着ローラや正負帯電ブラシローラ、又は正負帯電ローラをシートP上に接触させて紙粉を除去する、シートPに非接触で静電的に紙粉を除去する、超音波で紙粉を浮かせてから空気を吹付け又は吸引して紙粉を除去する等の方式がある。
【0032】
ここで、本実施形態における紙粉除去装置15を、図2を参照して詳細に説明する。紙粉除去装置15は、シートPの背面(図2の下側面)と対向する部位に配置されて矢印F方向に回転するバックアップローラ21と、シートPの画像形成面側と対向する部位に配置されて矢印E方向に回転して接触するブラシローラ20とを有している。
【0033】
シートP上の紙粉は、ブラシローラ20により掻き取られる。シート上から浮遊した紙粉やブラシローラ20に付着した紙粉は、不図示のエアー吸引装置を用いて矢印G方向にエアー吸引されるダクト22により、不図示の紙粉パックにためられる。このように紙粉除去装置15は、構成的には、掃除機と同様の構成を備える。
【0034】
紙粉除去装置15は、大、中、小、オフ(OFF)の4段階の紙粉除去能力を備え、ブラシローラ20の回転スピードとエアー吸引風量とが夫々、大、中、小、オフの4段階で、図1のCPU16によって制御されることで可変調整(自動切換え)される。また、紙粉除去能力がOFFの場合には、ブラシローラ20がシートPに対して非接触となるように退避する構造となっている。
【0035】
ところで、常に紙粉除去装置15の紙粉除去能力を「大」で動作させることが、紙粉除去のみを目的とする場合には好適である。しかし、その場合、エアー吸引のためのモータ音が常に大きくなる騒音問題や、弾性のブラシローラ20が塑性変形して紙粉除去能力が早期に低下する短寿命の問題が発生する可能性がある。
【0036】
ここで、紙粉とシートPとの関係について説明する。即ち、紙粉が発生し易いシートは、上質紙、普通紙、再生紙等の一般的な「紙」であり、多種多様なシートがあるため、紙粉量も多様である。再生紙の紙粉量は多いといわれているが、再生紙よりも紙粉量の発生が多い普通紙もある。逆に、紙粉が発生し難いシートは、上質紙をベースとして塗工層を設けた両面コート紙、OHP樹脂シート等のように、シートの表面が「紙」以外の材質である。
【0037】
ここで、紙粉が発生し易いシートと紙粉が発生し難いシートに関して、表1に例示する。
【0038】
【表1】

【0039】
表1におけるコート紙において、シートの両面に塗工層を設けた両面コート紙は、紙粉が発生し難いシートに分類されるが、シートの片面に塗工層を設けた片面コート紙は、片側が一般的な「紙」であるため、紙粉が発生し易いシートに分類されている。
【0040】
また、紙粉による画像への影響度が大きいシート、即ちシート上の紙粉によって画像劣化を発生し易いシートは、シート表面が平滑なグロスコート紙、OHP樹脂シートのように、一般的な「紙」よりも表面が平滑なシートである。さらに、特に厚みの大きい(坪量の大きい)グロスコート紙は、紙粉による画像劣化が発生し易い傾向にある。
【0041】
逆に、紙粉による画像への影響度が小さいシート、即ちシート上の紙粉によって画像劣化を発生し難いシートは、シート表面が粗く、凹凸している一般的な「紙」であり、「紙」の中でも紙表面の平滑性が低い普通紙、再生紙である。更に、コート紙でも表面が粗く、凹凸が大きいマットコート紙やシルクコート紙もシート上の紙粉による画像劣化を発生し難い。これは、シート上に小紙粉がある場合、表面が平滑なシートにおいては、感光体ドラム1とシートPとの密着部と、小紙粉周辺の空隙部での画像飛び散りレベルの差が大きいため、小紙粉周辺の画像飛び散りが非常に目立ち易いからである。
【0042】
一方、表面が粗く、凹凸の大きいシートでは、感光体ドラム1とシートPとの密着部と、小紙粉周辺の空隙部での画像飛び散りレベルの差が小さいため、小紙粉周辺の画像飛び散りが目立ち難いためである。また、平滑なシートにおいて、特に厚みの大きい(坪量の大きい)シートは、剛性が大きく、紙粉周辺の空隙が大きく、かつ広範囲となるため、紙粉周辺の画像飛び散りが大きくなる。
【0043】
ここで、紙粉による画像劣化が発生し易いシートと紙粉による画像劣化が発生し難いシートに関して、表2に例示する。
【0044】
【表2】

【0045】
紙粉による画像劣化に関して、大紙粉の場合には、画像が欠けて白点となる画像不良が発生し、小紙粉の場合には、紙粉周辺の画像飛び散りが発生することを前述した。
【0046】
大紙粉はシートとの付着力が小さいため、紙粉除去装置15によりシート上から除去し易いが、小紙粉はシートとの付着力が大きいため、紙粉除去装置15によりシート上から除去し難い。従って、白点となる画像不良が発生するような大紙粉は、その殆どが紙粉除去装置15の能力が小さくても除去されるが、小紙粉は除去し難く、紙粉除去装置15の能力を高める必要がある。このため、特に、小紙粉による紙粉周辺の画像飛び散りが問題となる。
【0047】
次に、前回の画像形成時(前画像形成時)のシートによる紙粉の影響に関して説明する。即ち、紙粉が発生し易いシート、例えば普通紙を大量に通紙した後、紙粉による画像への影響度が大きいシート、例えば両面グロスコート紙を通紙すると、両面グロスコート紙は紙粉を発生し難いにも拘わらず、紙粉による画像飛び散りが発生し易いことが判明した。
【0048】
これは、紙粉の発生し易い普通紙を通紙した際に、シート搬送路B、搬送ローラ対13等に紙粉が付着した後、紙粉の発生し難い両面グロスコート紙を通紙すると、両面グロスコート紙にシート搬送路B等から紙粉が転移し付着するためである。
【0049】
従って、従来は、紙粉が発生し易いシート(例えば再生紙)にて、紙粉除去装置の能力を最大化して通紙した後、紙粉が発生し難いシート(例えば両面グロスコート紙)にて、紙粉除去装置を最小化又はOFFして通紙すると、以下の問題が発生した。つまり、シート搬送路に付着した微小な紙粉が両面グロスコート紙表面上に転移して、両面グロスコート紙の画像が飛び散ってしまうという問題である。
【0050】
よって、紙粉が発生し難いシートでも、紙粉による画像への影響度が大きいシートについては、紙粉除去装置15の能力を高くする必要がある場合が発生することが判明した。
【0051】
本画像形成装置19に配置された記憶部17は、前回の画像形成時のシート情報である前回紙粉発生情報を記憶(格納)しており、今回の画像形成時(現画像形成時)のシート情報である今回シート情報を記憶する。
【0052】
制御部であるCPU16は、記憶部17に記憶された前回紙粉発生情報と今回シート情報とを参照して、紙粉除去能力を決定する紙粉除去能力決定処理を行う。つまり、CPU16は、記憶部17に格納された情報を参照し、画像形成部に搬送されて画像形成されるシートPに関連する前回紙粉発生情報及び今回シート情報を判別する。更にCPU16は、前回(直前)の画像形成での前回紙粉発生情報と、今回の画像形成での今回シート情報とに基づいて、今回の画像形成における紙粉除去装置15による紙粉除去能力を調整するように制御する。
【0053】
次に、本実施形態における作用について、図3のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS1において、画像形成が開始される。するとCPU16は、前回の画像形成時に操作部18から設定入力された前回紙粉発生情報と、これから行う画像形成に際して操作部18から入力された今回シート情報とに基づき、今回の画像形成での紙粉除去装置15の紙粉除去能力を決定する(S2)。
【0054】
ステップS2では、CPU16が、記憶部17に記憶された前回紙粉発生情報(前画像形成時のシート情報)と、今回シート情報(現画像形成時のシート情報)とを参照し、例えば、表3に従って紙粉除去能力を決定する処理を行う。
【0055】
【表3】

【0056】
ここで、表3における、ステップS2における紙粉除去能力決定処理について説明する。例えば、前回紙粉発生情報に基づき、前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)であり、今回シート情報に基づき、今回の画像形成時のシートがグロスコート紙(画像影響度:大)である(1)の場合には、次のように判定する。つまり、前回の画像形成時の普通紙によって、シート搬送路B、搬送ローラ対13、レジストローラ対14等に紙粉が大量に付着し、今回の画像形成時のグロスコート紙では、紙粉による画像劣化が発生し易いと判定する。従ってこの場合、CPU16は、紙粉除去能力を「大」に切換え調整して、グロスコート紙上の大紙粉及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のグロスコート紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させる。
【0057】
また、前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)であり、今回の画像形成時のシートが普通紙(画像影響度:小)である表3の(2)の場合には、次のように判定する。つまり、前回の画像形成時の普通紙によって、シート搬送路B等に紙粉が大量に付着しても、今回の画像形成時の普通紙では小紙粉による画像飛び散りが発生し難い。従ってこの場合、CPU16は、紙粉除去能力を「小」に切換え調整して、普通紙上の主に大紙粉を除去することにより、今回の画像形成時の普通紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させる。
【0058】
前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)であり、今回の画像形成時のシートがグロスコート紙(画像影響度:大)である表3の(3)の場合には、次のように判定する。つまり、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、シート搬送路B等に紙粉が付着することは無いため、紙粉は少ないが、今回の画像形成時のグロスコート紙では紙粉による画像劣化が発生し易い。従ってこの場合、CPU16は、紙粉除去能力を「中」に切換えて、グロスコート紙上の大紙分及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のグロスコート紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させる。
【0059】
また、前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)であり、今回の画像形成時のシートが普通紙(画像影響度:小)である表3の(4)の場合には、次のように判定する。つまり、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、シート搬送路B等に紙粉が付着することは無いため、紙粉は少なく、今回の画像形成時の普通紙では小紙粉による画像飛び散りが発生し難い。従って、紙粉除去能力をOFFにしても、今回の画像形成時の普通紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像不良を発生することは極めて少なく、実用上問題の無いレベルにすることができる。
【0060】
今回のシート種類(今回シート情報)が操作部18から画像形成装置19に入力されると、CPU16は、紙粉の発生し易いシート、紙粉による画像への影響度が大きいシートであるか、等を判別する。例えば、紙粉が発生し易いシートとして普通紙、紙粉が発生し難いシートとしてOHP樹脂シート、紙粉による画像への影響度が大きいシートとしてグロスコート紙、紙粉による画像への影響度が小さいシートとして普通紙等のシート種類が挙げられる。これらシート種類を、操作者が、図1における給紙カセット9,9a,9b毎に操作部18から予め設定しておく。
【0061】
具体的には、給紙カセット9,9a,9b毎に、操作部18の画面で「普通紙」、「OHP用紙」、「グロスコート紙」等のシート種類ボタンを選択して、設定入力する。そして、前回の画像形成時のシートがどの給紙カセットから給送されたか、今回の画像形成時のシートがどの給紙カセットから給送されるかを記憶部17に記憶し、その情報に基づいてCPU16が紙粉(シート粉)除去能力決定処理を行う。
【0062】
上記ステップS2において紙粉除去能力を決定した後、ステップS3において、今回の画像形成用のシートPの搬送(給送)を開始させ、ステップS4において、ステップS2で決定した紙粉除去能力で紙粉除去装置15の動作を開始させる。
【0063】
更に、ステップS5において、感光体ドラム1、帯電装置2、現像装置4及び転写装置5等からなる画像形成部によってシート上に画像を形成する。そして、ステップS6において、画像形成終了と同時に紙粉除去装置15をOFFとし、シート上に紙粉による画像劣化のない画像を形成して、画像形成を終了する。
【0064】
[比較例1]
紙粉が発生し易いシートに対応して紙粉除去能力を「大」、紙粉が発生し難いシートに対応して紙粉除去能力を「小(又はOFF)」とする構成と比較すると、本実施形態では、以下のようになった。つまり、本実施形態では、紙粉が発生し難く、かつ紙粉による画像劣化が発生し易いグロスコート紙やOHP樹脂シートにおいて、紙粉による白点及び画像飛び散りの発生を減少させることができた。
【0065】
[比較例2]
紙粉除去装置15を常に、紙粉除去能力を「大」とする構成と比較すると、本実施形態では、以下のようになった。つまり、本実施形態では、紙粉による画像劣化は同等レベルであり、また使用頻度の高い普通紙においては紙粉除去能力を小さく設定することによって、ブラシローラ20を低回転、かつエアー吸引モータを低回転で動作させる。これにより、低騒音化、ブラシローラ20等、紙粉除去装置15の構成部品の高寿命化、紙粉除去装置15及び画像形成装置19の省エネルギー化を図ることができた。
【0066】
以上のように、前回紙粉発生情報と今回シート情報とに応じて、これから行う今回の画像形成時の紙粉除去装置15の紙粉除去能力を調整することで、適正な紙粉除去処理を行うことができる。なお、紙粉除去装置15は、本実施形態で用いた構成以外でも、紙粉除去能力を可変にできる構成であれば、同等の効果を得ることができる。
【0067】
また、シート種類に対する紙粉発生量や画像への影響度の大小は、画像形成装置に応じて、任意に設定することができる。つまり、紙粉が発生し易いシートと紙粉が発生し難いシートを表1に例示し、紙粉による画像劣化が発生し易いシートと紙粉による画像劣化が発生し難いシートを表2に例示したが、画像形成装置に応じて、シート種類のカテゴリを任意に設定して良い。
【0068】
なお、本実施形態では、普通紙等の紙粉の発生し易いシート、紙粉の画像への影響度が大きいシート、として「シート種類」を選択することで分類したが、「シート名称(紙の名称)」を選択することで分類しても良い。
【0069】
シート名称で分類する方式は、シート種類で分類する方式と比較して、シートの物性(紙粉の発生し易さ、表面の平滑性等)をより詳細に画像形成装置が把握できるため、より適正な紙粉除去処理を行うことができる利点を持つ。しかしながら、膨大なシート名称と、シート名称に対応した物性値とを画像形成装置が記憶しておく必要がある。
【0070】
又、シート名称の入力方法は、操作部18の画面から、シート名称一覧(メディアリスト)で、シート名称を選択すると良い。
【0071】
以上のように本実施形態では、CPU16が、前回紙粉発生情報に基づいて、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いが大きいほど、今回の画像形成での紙粉除去能力を高めるように調整することができる。このため、紙粉除去装置15による適正な紙粉除去動作の実現が可能になる。そして、紙粉除去装置15の構成部品の高寿命化、省エネルギー化、低騒音化等を図りつつ、多様なシートにおける紙粉による白点や飛び散り等の画像劣化の無い、高品質な画像を提供することが可能になる。
【0072】
更に、本実施形態では、CPU16が、前回紙粉発生情報と今回シート情報とに基づいて、今回の画像形成での紙粉除去能力を調整することができる。つまり、CPU16が、前回紙粉発生情報及び今回シート情報を参照し、前回の画像形成での紙粉発生量の今回の画像形成に対する影響度に応じて、今回の画像形成での紙粉除去能力を調整することができる。このため、紙粉除去装置15による適正な紙粉除去動作を実現できる。更に、紙粉除去装置15の構成部材の劣化及び短寿命化、消費電力の増大、騒音等の問題の発生を回避し、紙粉除去装置15の高寿命化、省エネルギー化、低騒音化を図ることができる。これにより、多様なシートにおいても紙粉による白点や飛び散り等の画像劣化の無い、高品質な画像を提供することができる。
【0073】
<第2の実施形態>
次に、図1乃至図3及び表4を参照して、本発明に係る第2の実施形態について説明する。なお、表4は、本実施形態における紙粉除去能力決定処理の一例を示す。
【0074】
前述した第1の実施形態では、平滑なシートにおいて小紙粉周辺の画像飛び散りが発生し易いことに関して説明した。更に、平滑なシートで、シート厚みの大きい(坪量の大きい)シートは、剛性が大きく、転写工程において紙粉周辺の空隙が大きく、かつ空隙が広範囲となるため、小紙粉周辺の画像飛び散りが大きくなることが判明した。
【0075】
そこで本実施形態では、紙粉除去能力決定処理において、第1の実施形態におけるシート情報としてのシート種類(前回紙粉発生情報、今回シート情報)に加えて、今回の画像形成に用いるシートの坪量を追加し、紙粉除去能力を細分化して制御する。
【0076】
その実現のため、本実施形態では、記憶部17が更に、今回の画像形成に使用するシートの坪量をシート坪量情報として記憶している。CPU16は、記憶部17に記憶された前回紙粉発生情報、今回シート情報及びシート坪量情報を参照し、前回の画像形成での紙粉発生量の今回の画像形成に対する影響度に応じて、今回の画像形成での紙粉除去能力を調整する。
【0077】
紙粉除去装置15の紙粉除去能力は、OFF及び1〜5の6段階を備え(1:紙粉除去能力小、5:紙粉除去能力大)、ブラシローラ20の回転スピードとエアー吸引風量が夫々OFF、1〜5の6段階で、CPU16の制御により切換え調整される。また、本実施形態では、紙粉除去能力がOFFの場合には、ブラシローラ20をシートPから非接触となるように退避させる構造とされる。
【0078】
本実施形態において、シート坪量は、小紙粉周辺の画像飛び散りレベルから、例えば105g/mで紙粉除去能力を分岐させた。105g/m以下のシートは画像飛び散りレベルが良いため、紙粉除去能力を小さくし、106g/m以上のシートは画像飛び散りレベルが大きいため、紙粉除去能力を大きくした。
【0079】
本実施形態では、先の実施形態で参照した図3のフローチャートを共通に使用するが、ステップS2における紙粉除去能力決定処理には表4を用いる。
【0080】
【表4】

【0081】
ここで、ステップS2における紙粉除去能力決定処理について、表4を参照して説明する。即ち、ステップS2における今回の画像形成時のシート情報には、表4に示すように、シートの種類と坪量を用いた。
【0082】
例えば、前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)、今回の画像形成時のシートがグロスコート紙(画像影響度:大)、今回の画像形成時のグロスコート紙坪量が106g/m以上の表4における(1)の場合には、次のようになる。つまり、前回の画像形成時の普通紙によって、シート搬送路B等に大量に紙粉が付着する。これにより、今回の画像形成時のグロスコート紙ではシート種類から小紙粉による画像劣化が発生し易く、かつグロスコート紙の坪量が大きいため、画像飛び散りレベルが大きい。従って、紙粉除去能力を最大の「5」とし、グロスコート紙上の大紙粉及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のグロスコート紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0083】
また、前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)、今回の画像形成時のシートがグロスコート紙(画像影響度:大)、今回の画像形成時のグロスコート紙坪量が105g/m以下の表4における(2)の場合には、次のようになる。つまり、前回の画像形成時の普通紙によって、シート搬送路B等に大量に紙粉が付着する。これにより、今回の画像形成時のグロスコート紙ではシート種類から小紙粉による画像劣化が発生し易いが、グロスコート紙の坪量が小さいため、画像飛び散りレベルが若干良い。従って、紙粉除去能力を最大より1段階低い「4」とし、グロスコート紙上の大紙粉及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のグロスコート紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0084】
前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)、今回の画像形成時のシートが普通紙(画像影響度:小)、今回の画像形成時の普通紙坪量が106g/m以上の表4における(3)の場合には、次のようになる。つまり、前回の画像形成時の普通紙によって、シート搬送路B等に紙粉が大量に付着しても、今回の画像形成時の普通紙ではシート種類から小紙粉による画像飛び散りが発生し難いが、普通紙の坪量が大きいため画像飛び散りレベルが若干大きい。従って、紙粉除去能力を「2」として、普通紙上の主に大紙粉を除去することにより、今回の画像形成時の普通紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0085】
また、前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)、今回の画像形成時のシートが普通紙(画像影響度:小)、今回の画像形成時の普通紙坪量が105g/m以下の表4における(4)の場合には、次のようになる。つまり、前回の画像形成時の普通紙によって、上記シート搬送路B等に大量に紙粉が付着しても、今回の画像形成時の普通紙ではシート種類から小紙粉による画像飛び散りが発生し難く、普通紙の坪量が小さいため画像飛び散りレベルが良い。従って、紙粉除去能力を「1」として、普通紙上の主に大紙粉を除去することにより、今回の画像形成時の普通紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0086】
前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)、今回の画像形成時のシートがグロスコート紙(画像影響度:大)、今回の画像形成時のグロスコート紙坪量が106g/m以上の表4における(5)の場合には、次のようになる。つまり、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、上記シート搬送路B等に紙粉が付着することは無い。このため、紙粉は少ないが、今回の画像形成時のグロスコート紙ではシート種類から小紙粉による画像飛び散りが発生し易く、グロスコート紙の坪量が大きいため画像飛び散りレベルが良くない。従って、紙粉除去能力を「4」として、グロスコート紙上の大紙分及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のグロスコート紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0087】
また、前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)、今回の画像形成時のシートがグロスコート紙(画像影響度:大)、今回の画像形成時のグロスコート紙坪量が105g/m以下の表4における(6)の場合には、次のようになる。つまり、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、シート搬送路Bや搬送ローラ対13、レジストローラ対14に紙粉が付着することは無い。このため、紙粉は少なく、今回の画像形成時のグロスコート紙ではシート種類から小紙粉による画像飛び散りが発生し易いが、グロスコート紙の坪量が小さいため画像飛び散りレベルが若干良い。従って、紙粉除去能力を「3」として、グロスコート紙上の大紙分及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のグロスコート紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0088】
前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)、今回の画像形成時のシートが普通紙(画像影響度:小)、今回の画像形成時の普通紙坪量が106g/m以上の表4における(7)の場合には、次のようになる。つまり、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、上記シート搬送路B等に紙粉が付着することは無い。このため、紙粉は少なく、今回の画像形成時の普通紙ではシート種類から小紙粉による画像飛び散りが発生し難いが、普通紙の坪量が大きいため画像飛び散りレベルが若干大きい。従って、紙粉除去能力を「1」として、普通紙上の主に大紙粉を除去することにより、今回の画像形成時の普通紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0089】
また、前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)、今回の画像形成時のシートが普通紙(画像影響度:小)、今回の画像形成時の普通紙坪量が105g/m以下の表4における(8)の場合には、次のようになる。つまり、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、上記シート搬送路B等に紙粉が付着することは無い。このため、紙粉は少なく、今回の画像形成時の普通紙ではシート種類から小紙粉による画像飛び散りが発生し難く、普通紙の坪量が小さいため画像飛び散りレベルが良い。従って、紙粉除去能力を「OFF」としても、今回の画像形成時の普通紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像不良を発生することは極めて少なく、実用上問題無いレベルにすることができる。
【0090】
本実施形態では、入力部である操作部18は、今回シート情報(現画像形成時のシート情報)と共にシート坪量情報を設定入力することができる。例えば、以下に挙げるシートのシート種類及び坪量を、図1の給紙カセット9,9a,9b毎に、操作部18から予め設定入力しておく。つまり、紙粉が発生し易いシートとして、普通紙105g/m以下及び普通紙106g/m以上のシートが挙げられ、紙粉が発生し難いシートとして、OHP樹脂シートが挙げられる。また、紙粉による画像への影響度が大きいシートとして、グロスコート紙105g/m以下及びグロスコート紙106g/m以上のシートが挙げられる。紙粉による画像への影響度が小さいシートとして、普通紙105g/m以下及び普通紙106g/m以上のシートが挙げられる。
【0091】
具体的には、給紙カセット9,9a,9b毎に、操作部18の画面で、シート種類及び坪量に対応するボタンを選択して設定入力する。このシート種類として、「普通紙105g/m以下」、「普通紙106g/m以上」、「OHP樹脂シート」、「グロスコート紙105g/m以下」、「グロスコート紙106g/m以上」、等が挙げられる。そして、前回の画像形成時のシートがどの給紙カセットから給送されたか、今回の画像形成時のシートがどの給紙カセットから給送されるかを記憶部17に記憶し、それらの情報に基づいて、CPU16が紙粉除去能力を決定する処理を行う。
【0092】
前述した第1の実施形態では、入力したシート情報としてのシート種類(普通紙、コート紙等)に応じて、紙粉除去装置15の紙粉除去能力を可変としたが、本実施形態では、更にシート坪量も含めたシート情報に基づき、紙粉除去能力を可変としている。本実施形態のCPU16は、記憶部17に記憶された前回紙粉発生情報、今回シート情報及びシート坪量情報を参照し、前回の画像形成での紙粉発生量の今回の画像形成に対する影響度に応じて、今回の画像形成での紙粉除去能力を調整する。これにより、画像形成するシートに対し、より的確な紙粉除去を行うことができる。そして、多様なシートにおいても紙粉による白点や飛び散り等の画像劣化の無い、より高品質な画像を提供できると共に、紙粉除去装置15の劣化及び短寿命化や、消費電力の増大、騒音等の問題を防止することができる。
【0093】
なお、本実施形態では一例として坪量:105g/mで分岐したが、例えば、普通紙と両面コート紙とで、同じ坪量でも厚みが大きく異なる(同じ坪量でも剛性が大きく異なる)際には、シート種類に応じて坪量の分岐値を可変とすると、より好適である。
【0094】
また、本実施形態では、シートの剛性に対してシートの坪量を代用して紙粉除去能力決定処理に用いる構成について説明した。しかし、例えば、画像形成装置19にシート厚み検知部(不図示)を設けることによってシートの厚みを検知し、シートの剛性に関してシート厚みを代用して、紙粉除去能力決定処理に用いる構成としても良い。
【0095】
<第3の実施形態>
次に、図1、図2、図4、及び表5を参照して、本発明に係る第3の実施形態について説明する。なお、図4はシート表面性検知部30の構成例を示し、表5は紙粉除去能力決定処理の他の一例を示している。
【0096】
シートの表面が平滑なほど、紙粉による画像への影響度が大きいため、即ち紙粉による画像劣化が発生し易いため、先の第1及び第2の実施形態では、紙粉による画像への影響度に対するシート情報として、シート種類及び坪量を用いて判別していた。
【0097】
しかし、グロスコート紙は、ほぼ全ての種類で、紙粉による画像への影響度が大きいシートに入るが、例えば、マットコート紙は、多様な凹凸レベルのマットコート紙がある。そのため、同じ坪量でも、紙粉による画像への影響度が大きい平滑なマットコート紙と、紙粉による画像への影響度が小さい凹凸の大きい(粗い)マットコート紙があることが判明した。
【0098】
そこで、本実施形態では、画像形成装置19にシートPの平滑度を測定するシート表面性検知部30(図1参照)を配置して、シートPの平滑度を測定し、紙粉による影響度を判別することで、より正確にシートの紙粉による影響度を検知する。
【0099】
その実現のため、本実施形態では、シート搬送路Bを搬送されてくるシートの平滑度を検出するシート表面性検知部30を備えている。また、本実施形態の記憶部17は、前回紙粉発生情報及び今回シート情報に加えて、今回の画像形成に使用するシートの坪量をシート坪量情報として記憶すると共に、シート表面性検知部30によるシート平滑度の検出結果をシート平滑度情報として記憶する。
【0100】
本実施形態のCPU(制御部)16は、記憶部17に記憶された前回紙粉発生情報、今回シート情報、シート坪量情報及びシート平滑度情報を参照する。そして、前回の画像形成での紙粉発生量の今回の画像形成に対する影響度に応じて、今回の画像形成での紙粉除去装置15の紙粉除去能力を調整する。
【0101】
シート表面性検知部30は、図1に示すように、レジストローラ対14と搬送ローラ対13との間、つまり、シート搬送路Bにおける搬送ローラ対13の下流側で且つレジストローラ対14の直上流部に配置されている。シート表面性検知部30は、シート搬送路Bを搬送されてくるシートPの表面の平滑度を検知し、その検知結果を、紙粉除去装置15の紙粉除去能力に反映させるために、上記のように、紙粉除去装置15のシート搬送方向の上流部に配置されている。このようにシート表面性検知部30を配置することで、より適正な紙粉除去能力で紙粉除去装置15を動作させて、紙粉による画像劣化を防止し、紙粉除去装置15の高寿命化、省エネルギー化、低騒音化を図ることができる。
【0102】
シート表面性検知部30は、図4に示すように、シートPを平坦性に保つためのバックアップ部材31と、上下方向に延びる支持部材34,34に夫々支持された光出力素子32、光入力素子33とから構成されている。
【0103】
バックアップ部材31は、シート表面性検知部30による薄紙の表面性検知時に、薄紙の透過光がバックアップ部材31で反射しないように黒色塗装することが好ましい。また、光出力素子32及び光入力素子33とシートPとの距離が変化すると、光入力素子33での受光強度が振れてしまうため、正確な反射光を測定できない。よって、その距離を一定に維持するため、支持部材34,34の下部分にはローラ35が夫々設けられている。ローラ35をシートPに転がり接触させる支持部材34で支持された光出力素子32及び光入力素子33は、シートP方向に所定圧力で弾性的に加圧されており、多様な厚みのシートPにおいても、その距離が一定に維持される構成とされている。
【0104】
シート表面性検知部30による検知は、シートPの搬送中に検知するように構成しても良いし、レジストローラ対14でシートPの搬送が一時停止されたときに検知するように構成しても良い。ただし、シートPの搬送スピードが非常に速い場合には、平滑度に対する出力電圧の傾きが小さくなるので、シートPが静止時に測定するように構成するのが良い。本実施形態では、レジストローラ対14によって、シートPの搬送が一時停止する際に測定する構成とした。
【0105】
シートPの表面性検知は、次のように行う。即ち、光出力素子32から出力された光がシートPで反射されると、その反射光を光入力素子33が受光し、受光強度を電圧に変換して出力する。受光強度に基づくシート表面性検知部30によるシート平滑度の測定結果は、記憶部17に記憶され、CPU16による紙粉除去能力決定処理に使用される。
【0106】
平滑度が「大」、即ち平滑なシートPでは、シートPでの散乱光が少ないため、光入力素子33の受光強度が大きく、逆に、平滑度が「小」、即ち粗く凹凸の大きいシートPでは、シートPでの散乱光が多いため、光入力素子33の受光強度が小さくなる。
【0107】
ここで、平滑度の指標として、ベック平滑度(単位:sec)が知られている。ベック平滑度は、普通紙で約30〜200、グロスコート紙で約200〜2000、マットコート紙及びシルクコート紙で約80〜500程度である。
【0108】
本実施形態では、検討結果から、ベック平滑度で200を分岐値としている。つまり、ベック平滑度:200未満は、シート表面の平滑度が低いので、紙粉の画像への影響度が「小」であり、ベック平滑度:200以上は、シート表面の平滑度が高いので、紙粉の画像への影響度が「大」とした。
【0109】
ベック平滑度:200のシートを、図4のシート表面性検知部30で測定したとき、光入力素子33の出力電圧が3V(最大出力電圧:5V)となるように設定した。この出力電圧が3V未満のときは、ベック平滑度:200未満でシートの平滑度が「小」、出力電圧が3V以上のときは、ベック平滑度:200以上でシートの平滑度が「大」とした。
【0110】
本実施形態のフローチャートは図3と同様であり、ステップS2における紙粉除去能力決定処理として、表5を用いた。
【0111】
【表5】

【0112】
ここで、表5におけるステップS2での紙粉除去能力決定処理について説明する。ステップS2における今回の画像形成時のシート情報は、表5に示すように、シート表面性検知部30によって測定されるシート平滑度及びシート坪量を用いた。
【0113】
例えば、次のA1〜A3の条件、即ち表5の(1)の場合には、前回の画像形成時の普通紙によって、シート搬送路Bや搬送ローラ対13等に大量に紙粉が付着し、今回の画像形成時のマットコートM1紙では、平滑度から小紙粉による画像飛び散りが発生し易い。そして、マットコートM1紙の坪量が大きいため、画像飛び散りレベルが大きい。
A1.前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)、
A2.今回の画像形成時のシートがマットコートM1紙でシート表面性検知部30の検知結果が平滑度:大(光入力素子33の出力電圧が3V以上)、
A3.今回の画像形成時のマットコートM1紙の坪量が106g/m以上
従って、紙粉除去能力:5の最大能力で、マットコートM1紙上の大紙粉及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のマットコートM1紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0114】
次のB1〜B3の条件、即ち表5の(2)の場合には、前回の画像形成時の普通紙によって、シート搬送路Bや搬送ローラ対13等に大量に紙粉が付着して、今回の画像形成時のマットコートM2紙では、平滑度から小紙粉による画像飛び散りが発生し易い。そして、マットコートM2紙の坪量が小さいため、画像飛び散りレベルが若干良い。
B1.前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)、
B2.今回の画像形成時のシートがマットコートM2紙で平滑度:大、
B3.今回の画像形成時のマットコートM2紙の坪量が105g/m以下
従って、紙粉除去能力:4で、最大能力より1段階低い紙粉除去能力で、マットコートM2紙上の大紙粉及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のマットコートM2紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0115】
次のC1〜C3の条件、即ち表5の(3)の場合には、前回の画像形成時の普通紙によって、シート搬送路Bや搬送ローラ対13等に大量に紙粉が付着しても、今回の画像形成時のマットコートM3紙では平滑度から小紙粉による画像飛び散りが発生し難い。しかし、マットコートM3紙の坪量が大きいため、画像飛び散りレベルが若干大きい。
C1.前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)、
C2.今回の画像形成時のシートがマットコートM3紙で平滑度:小(光入力素子33の出力電圧が3V未満)、
C3.今回の画像形成時のマットコートM3紙の坪量が106g/m以上
従って、紙粉除去能力:2で、マットコートM3紙上の主に大紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のマットコートM3紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0116】
次のD1〜D3の条件、即ち表5の(4)の場合には、前回の画像形成時の普通紙によって、シート搬送路Bや搬送ローラ対13等に大量に紙粉が付着しても、今回の画像形成時のマットコートM4紙では平滑度から小紙粉による画像飛び散りが発生し難い。そして、マットコートM4紙の坪量が小さいため、画像飛び散りレベルが良い。
D1.前回の画像形成時のシートが普通紙(紙粉発生量:大)、
D2.今回の画像形成時のシートがマットコートM4紙で平滑度:小、
D3.今回の画像形成時のマットコートM4紙の坪量が105g/m以下
従って、紙粉除去能力:1で、マットコートM4紙上の主に大紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のマットコートM4紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0117】
次のE1〜E2の条件、即ち表5の(5)の場合には、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、シート搬送路Bや搬送ローラ対13等に紙粉が付着することは無い。このため、紙粉は少ないが、今回の画像形成時のマットコートM1紙では平滑度から小紙粉による画像飛び散りが発生し易く、かつマットコートM1紙の坪量が大きいため、画像飛び散りレベルが大きい。
E1.前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)、
E2.今回の画像形成時のシートがマットコートM1紙で平滑度:大、
E3.今回の画像形成時のマットコートA紙坪量が106g/m以上
従って、紙粉除去能力:4で、マットコートM1紙上の大紙粉及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のマットコートM1紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0118】
次のF1〜F2の条件、即ち表5の(6)の場合には、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、シート搬送路Bや搬送ローラ対13等に紙粉が付着することは無い。このため、紙粉は少ないが、今回の画像形成時のマットコートM2紙では平滑度から小紙粉による画像飛び散りが発生し易いが、マットコートM2紙の坪量が小さいため、画像飛び散りレベルが若干良い。
F1.前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)、
F2.今回の画像形成時のシートがマットコートM2紙で平滑度:大、
F3.今回の画像形成時のマットコートM2紙の坪量が105g/m以下
従って、紙粉除去能力:3で、マットコートM2紙上の大紙分及び小紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のマットコートM2紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0119】
次のG1〜G2の条件、即ち表5の(7)の場合には、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、シート搬送路Bや搬送ローラ対13等に紙粉が付着することは無い。そのため、紙粉は少なく、今回の画像形成時のマットコートM3紙では平滑度から小紙粉による画像飛び散りが発生し難いが、マットコートM3紙の坪量が大きいため画像飛び散りレベルが若干大きい。
G1.前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)、
G2.今回の画像形成時のシートがマットコートM3紙で平滑度:小、
G3.今回の画像形成時のマットコートM3紙の坪量が106g/m以上
従って、紙粉除去能力:1で、マットコートM3紙上の主に大紙粉を除去することにより、今回の画像形成時のマットコートM3紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像劣化を減少させることができる。
【0120】
次のH1〜H2の条件、即ち表5の(8)の場合には、前回の画像形成時のOHP樹脂シートによって、シート搬送路Bや搬送ローラ対13等に紙粉が付着することは無い。そのため、紙粉は少なく、今回の画像形成時のマットコートM4紙では平滑度から小紙粉による画像飛び散りが発生し難く、マットコートM4紙の坪量が小さいため画像飛び散りレベルが良い。
H1.前回の画像形成時のシートがOHP樹脂シート(紙粉発生量:小)、
H2.今回の画像形成時のシートがマットコートM4紙で平滑度:小、
H3.今回の画像形成時のマットコートM4紙の坪量が105g/m以下
従って、紙粉除去能力:OFFとしても、今回の画像形成時のマットコートM4紙で、紙粉による白点及び画像飛び散りの画像不良が発生することは非常に少なく、実用上問題無いレベルにすることができる。
【0121】
ここで、本実施形態では、シート情報判別部として操作部18を用いた。シート情報としてのシート種類と坪量の判別は、例えば、図1における画像形成装置19のコピーボタン(不図示)等が配置されている操作部18から、シートの種類と坪量を画像形成装置に入力することによって行う。
【0122】
シート種類としての紙種と坪量を、図1における給紙カセット9,9a,9b毎に、操作部18から予め設定しておく。このシート種類には、例えば、紙粉が発生し易いシートとして普通紙105g/m以下、普通紙106g/m以上、紙粉が発生し難いシートとしてOHP樹脂シートや、グロスコート紙105g/m以下、グロスコート紙106g/m等が挙げられる。具体的には給紙カセット毎に操作部18画面で「普通紙105g/m以下」、「普通紙106g/m以上」、「OHP用紙」、「グロスコート紙105g/m以下」、「グロスコート紙106g/m以上」等のシート種類と坪量ボタンを選択して設定する。そして、前回の画像形成時のシートがどの給紙カセットから給送されたか、今回の画像形成時のシートがどの給紙カセットから給送するかを記憶部17に記憶して、その情報に基づいてCPU16が紙粉除去能力決定処理を行う。
【0123】
更に、シート情報判別部としてシート表面性検知部30を用いた。シート情報としてのシート平滑度の判別は、例えば、前述したように、シート表面性検知部30で検知した平滑度を記憶部17に記憶して、そのシート情報からCPU16が紙粉除去能力決定処理を行う。図1における給紙カセット9,9a,9b毎にシート平滑度を記憶部17に記憶すると、給紙カセットの開閉時の1枚目のみをシート表面性検知部30で平滑度を測定するだけで良いため、毎画像形成時にシート平滑度を測定する必要が無いので、好適である。
【0124】
第2の実施形態では、画像形成装置19に入力したシート情報として、シート種類(普通紙、コート紙等)とシート坪量とで紙粉除去装置15の紙粉除去能力を調整した。しかし、本実施形態では、シート表面性検知部30で検知したシート平滑度も含めたシート情報により、紙粉除去装置15の紙粉除去能力を調整した。よって、画像形成するシートに対して、より適正な紙粉除去を行うことができるので、紙粉による白点や画像飛び散りの画像劣化を、より正確に防止し、同時に、紙粉除去装置15の劣化及び短寿命化、消費電力の増大、騒音等の問題を防止することができる。
【0125】
なお、本実施形態では、一例としてベック平滑度(sec):200で分岐した。しかし、画像形成装置の転写装置構成、例えば転写ローラ(接触タイプ)とコロナ転写(非接触タイプ)や、転写ローラでも転写ローラの径や硬度、転写ローラの加圧力等により、紙粉による画像飛び散りレベルが異なる。従って、転写装置構成に応じて、平滑度の分岐値を任意に設定して良い。
【0126】
また、本実施形態では、シート表面性検知部30として、シートPの反射光強度を測定する方式によって平滑度を検知する構成を用いて説明したが、他のシート表面性検知部を用いても良い。
【0127】
また、特に、普通紙等の紙粉の発生し易いシートを大量に通紙後、グロスコート紙等の紙粉の画像への影響度が大きいシートを通紙したときに、紙粉による画像劣化が発生し易い。よって、前回の画像形成時のシートの種類に追加して、前回の画像形成時のシートの通紙枚数を、シート情報として記憶部17に記憶する。そして、前回の画像形成時の紙粉の発生し易いシートの通紙枚数に応じて、例えば50枚以上の場合には、紙粉除去能力を1ランクUPさせる等の微調整を行うと、より好適である。
【0128】
以上、本発明の実施形態に関して説明したが、本発明に係る第1〜第3の実施形態における諸数値や模式図は、実施形態の説明を簡略化するための一例であって、画像形成装置の構成及び設定等に応じて任意に定めることができる。また、本発明は、実施形態で説明した画像形成装置に限定されるものではなく、各実施形態を任意に組み合わせる等、他の形態の画像形成装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0129】
1,2,4,5…画像形成部(感光体ドラム,帯電装置,現像装置,転写装置)、15…紙粉除去装置、16…制御部(CPU)、17…記憶部、18…入力部(操作部)、19…画像形成装置、30…シート表面性検知部、B…シート搬送路、P…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の上流側のシート搬送路に配置され、シート上の紙粉を除去する紙粉除去能力を調整可能な紙粉除去装置と、を備える画像形成装置において、
前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いを、シートの種類に応じて前回紙粉発生情報として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記前回紙粉発生情報に基づいて、今回の画像形成での前記紙粉除去能力を調整する制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶部は更に、前回の画像形成後の今回の画像形成でのシートの種類に関する今回シート情報を記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記前回紙粉発生情報と前記今回シート情報とに基づいて、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いから今回の画像形成に対する影響度に応じて、今回の画像形成での前記紙粉除去能力を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶部は更に、今回の画像形成に使用するシートの坪量をシート坪量情報として記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記前回紙粉発生情報、前記今回シート情報、及び前記シート坪量情報を参照し、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いから今回の画像形成に対する影響度に応じて、今回の画像形成での前記紙粉除去能力を調整する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート搬送路を搬送されるシートの平滑度を検出するシート表面性検知部を備え、
前記記憶部は更に、今回の画像形成に使用するシートの坪量をシート坪量情報として記憶すると共に、前記シート表面性検知部によるシート平滑度の検出結果をシート平滑度情報として記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記前回紙粉発生情報、前記今回シート情報、前記シート坪量情報、及び前記シート平滑度情報を参照し、前回の画像形成での紙粉の発生し易さの度合いから今回の画像形成に対する影響度に応じて、今回の画像形成での前記紙粉除去能力を調整する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
今回の画像形成に際して前記今回シート情報を設定入力する入力部を装置本体に備え、
前記記憶部は、今回の画像形成の直後の画像形成に際して前記今回シート情報が前記入力部から入力された際に、前記記憶部に先に記憶されている前記今回シート情報を前記前回紙粉発生情報として更新する、ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−6744(P2012−6744A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146194(P2010−146194)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】