説明

画像形成装置

【課題】両面画像形成のために、片面に画像形成後のシートを画像形成部へ再搬送する際に、シートの座屈や耳折れを抑制する。
【解決手段】片面に画像形成されたシート99は、反転機構により第1搬送路R1を経て、第2搬送路へ搬送され、シートの幅方向の一方の側縁の位置を規制部材69によって規制され、その後、画像形成部へ再び供給される。第1搬送路を形成するリブのうち、規制部材から遠い側のリブの先端面84A〜90Aは、近い側のリブの先端面80A〜83Aよりも、後方へ膨らむように湾曲している。シートが幅方向にずれ、あるいは斜行して搬送されてきたとき、シートは、傾斜した第1規制面71に当接する。このとき、先端面84A〜90Aで第1搬送路R1のスペースが広く確保されていることで、シートは幅方向に移動し、あるいはスペースで撓みやすくなり、座屈や耳折れをすることなく、規制部材に沿う位置へ移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、搬送されるシートに画像形成を行う画像形成部と、画像形成部により第1面に画像が形成されたシートの搬送方向を反転させる反転機構と、反転機構により反転されたシートを再び画像形成部に搬送する再搬送部とを備える。
【0003】
また、この画像形成装置において再搬送部は、反転機構から搬送されたシートの搬送方向を画像形成部に向け変更するように湾曲する第1搬送路と、第1搬送路に沿って搬送されたシートを画像形成部の搬送方向上流側に向けて搬送する第2搬送路とを有する。
【0004】
このような構成を備える従来の画像形成装置では、シートの搬送方向が反転され、再搬送部を搬送されるときに、シートの幅方向の一方の側縁を画像形成装置に対して一定位置に規制する必要がある。このため、第2搬送路にシートの側縁を案内するガイド部(規制部材)および第1搬送路から搬送されるシートをそのガイド部に誘導するための斜行ガイドが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−179411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の画像形成装置では、画像形成部や反転機構の製作上の誤差などから、シートを搬送中に幅方向の一方側に寄せる力が発生することがある。これが、斜行ガイドやガイド部(規制部材)を押すことになる。そして、この押圧力により、シートに座屈や耳折れが発生し易くなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、再搬送時におけるシートの座屈や耳折れを抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、搬送されるシートに画像形成を行う画像形成部と、前記画像形成部により第1面に画像が形成された前記シートの搬送方向を反転させる反転機構と、前記反転機構により搬送方向が反転された前記シートを、前記第1面とは反対側の第2面に画像を形成すべく再び前記画像形成部に搬送する再搬送機構と、を備え、前記再搬送機構は、前記反転機構から搬送された前記シートを受けさらに搬送方向下流側へ搬送する第1搬送路と、前記第1搬送路から搬送された前記シートを前記画像形成部の搬送方向上流側に向けて搬送する第2搬送路と、を有し、前記第2搬送路は、前記画像形成部を通るシートの搬送経路の部分とほぼ平行に延び、かつ前記シートの搬送方向と直交する幅方向の一方側を、前記シートのその一方側の側縁の位置を規制する規制部材で画定され、前記第1搬送路は、前記反転機構から前記第2搬送路の一端へシートを案内するように、前記画像形成部および前記第2搬送路から遠ざかる方向に膨らむように湾曲しており、かつ、前記第1搬送路の湾曲の外側を構成するガイド面のうち前記幅方向の一方側と反対側の他方側近傍の部分を、前記一方側近傍の部分よりも、前記画像形成部および前記第2搬送路から遠ざかる方向に膨らませていることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置では、第1面に画像が形成されたシートは、反転機構により搬送方向を反転して第1搬送路へ搬送され、第1搬送路において第2搬送路へ向け湾曲され、第2搬送路においてシートの一方の側縁の位置を規制部材により規制され、再び画像形成部に搬送される。第1搬送路においてその湾曲の外側を構成するガイド面のうち規制部材側と反対側近傍の部分を、規制部材側近傍の部分よりも、画像形成部および第2搬送路から遠ざかる方向に膨らませているので、第1搬送路における規制部材側から離れた側にスペースを確保することができる。このため、第1搬送路およびその上流側からシートが幅方向に寄って、あるいは斜行して搬送される等して、規制部材に当接することでその反力としてシートに押圧力が作用しても、幅方向の他方側に確保されたスペースでシートを容易に幅方向に移動させ、あるいはスペース内でシートを撓ませながら規制部材に沿う位置へシートを搬送させることができる。したがって、再搬送時におけるシートの座屈や耳折れを抑制できる。
【0010】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記規制部材が、シートの搬送方向に沿って直線状に延びるものであり、かつその前記第1搬送路側の端部に連続して第1規制面を有しており、その第1規制面は、前記規制部材側から前記第1搬送路側に向け、前記幅方向において前記第2搬送路に対し外側へずれるように傾斜していることが望ましい。この構成によれば、第1搬送路から搬送されるシートが第2搬送路に対し外側へずれていた場合、シートは傾斜している第1規制面に沿って内側へ搬送される。その際、上記のようにシートの幅方向の移動も容易に行われる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記ガイド面が、前記第1搬送路の搬送方向ほぼ中間部分を、前記画像形成部および前記第2搬送路から遠ざかる方向に膨らませ、前記第2搬送路に近い側の端部において、前記一方側近傍の部分と他方側近傍の部分とも、前記第2搬送路に近づくように湾曲していることが望ましい。この構成によれば、第1搬送路のほぼ中間部分において、上記のようにスペースを確保して、幅方向の移動や撓みを容易にし、またシートの第1搬送路から第2搬送路への移動も円滑にすることができる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記ガイド面が、前記シートの幅方向に並んだ複数のリブの前記第1搬送路側の先端面で構成され、前記幅方向の他方側近傍のリブの先端面が、一方側近傍のリブの先端面よりも、前記画像形成部および前記第2搬送路から遠ざかる側に位置していることが望ましい。第1搬送路の湾曲の外側を構成するガイド面は、シートの幅方向に並んだ複数のリブの先端面で構成され、シートを抵抗少なくガイドすることができる。また、規制部材から遠い側の上記スペースをリブの設定で容易に確保することができる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記幅方向の一方側近傍の複数のリブが、ほぼ同じ高さに先端面を有し、前記他方側近傍のリブよりも、前記幅方向において狭い範囲に位置することが望ましい。この構成によれば、規制部材寄りのリブによってシートの同側を規制部材に対し案内することができ、また、規制部材から遠い側の上記スペースを大きく確保することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記複数のリブが、前記幅方向の一方側から他方側へむけ、順次先端面の高さを異にすることが望ましい。この構成によれば、規制部材寄りのリブによってシートの同側を規制部材に対し案内することができ、また、規制部材から遠い側の上記スペースを大きく確保することができる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記複数のリブは、前記幅方向の一方側から他方側へむけ、前記一方側近傍においてのみ順次先端面の高さを異にすることが望ましい。この構成によれば、規制部材寄りのリブによってシートの同側を規制部材に対し案内することができ、また、規制部材から遠い側の上記スペースを大きく確保することができる。
【0016】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記画像形成部、反転機構および再搬送機構を収容するハウジングをさらに備え、前記ガイド面が、前記ハウジングに開閉可能に設けられたカバーの前記画像形成部および前記第2搬送路側に設けられていることが望ましい。この構成によれば、カバーを開放することで、第1搬送路の紙詰まり等の処置をすることができる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記ガイド面が、前記カバー上に、前記シートの幅方向に並んで形成された複数のリブの前記第1搬送路側の先端面で構成されていることが望ましい。この構成によれば、カバーに形成された複数のリブで第1搬送路のガイド面を構成することで、上記カバーの開放で紙詰まり等の処置をすることを好適に実現することができる。
【0018】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記第2搬送路は、前記シートの幅方向に並んで形成された複数のリブの前記第2搬送路側の先端面で構成され、前記第1搬送路を構成するリブの前記第2搬送路側の端部と、前記第2搬送路を構成するリブの前記第1搬送路側の端部とは、前記シートの幅方向に見て重なり合って位置することが望ましい。この構成によれば、第1搬送路から第2搬送路へ搬送されるシートは、第2搬送路側のリブに引っ掛かることを防止され、円滑に搬送される。
【0019】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記第2搬送路が、前記画像形成部を通るシートの搬送経路の部分とほぼ平行に配置されたトレイ上に形成され、そのトレイが、前記ハウジングに対し着脱可能であることが望ましい。この構成によれば、トレイをハウジングから取り外すことで、第2搬送路の紙詰まり等の処置をすることができる。
【0020】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記第1搬送路と、前記画像形成部から前記反転機構に至る搬送経路の部分とが、前記画像形成部から前記反転機構へシートを案内する搬送ガイド部材によって分岐されていることが望ましい。この構成によれば、シートは、画像形成部から反転機構へ搬送ガイド部材によって案内され、さらに反転機構から第1搬送路へ案内される。
【0021】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記搬送ガイド部材が、前記ガイド面と間隔をおいて対向する搬送面を有し、その搬送面と前記ガイド面とが、その間に前記第1搬送路を形成していることが望ましい。この構成によれば、第1搬送路の湾曲の外側をガイド面で構成し、それと反対側を搬送経路と第1搬送路を分岐する搬送ガイド部材で構成することができる。
【0022】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記規制部材の前記第1搬送路側の端部に、前記第1規制面を有する案内部材を備え、前記案内部材が、前記幅方向において前記第1規制面から前記第2搬送路側へ延び、前記第1搬送路のガイド面から前記第2搬送路へシートを案内するように湾曲した形状をなす第2規制面を有することが望ましい。この構成によれば、シートが第1搬送路から第2搬送路に進入する際、第1規制面により、上記のようにシートを傾斜している第1規制面に沿って内側へ搬送できるとともに、第2規制面により、シートの搬送方向を緩やかに変えることができる。
【0023】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記第2搬送路は、前記シートの幅方向に並んで形成された複数のリブの前記第2搬送路側の先端面で構成され、前記第2規制面は、前記リブの先端面とほぼ同じ曲面上にあることが望ましい。この構成によれば、シートの幅方向全体においてその搬送方向を緩やかに変えることができる。
【0024】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記案内部材は、前記第2規制面と前記第2搬送路を挟んで対向し、かつ前記幅方向において前記第1規制面から前記第2搬送路側へ延びる第3規制面を有することが望ましい。この構成によれば、シートが第1搬送路から第2搬送路に進入する際、案内部材の第2規制面と第3規制面とによりシートが挟まれて案内されるので、シートの搬送方向を確実に変えることができる。
【0025】
本発明の画像形成装置は、上記構成においてさらに、前記第2搬送路を搬送されるシートに対して、前記規制部材に向けおよび搬送方向下流側に向け搬送力を付与する搬送部材を備えることが望ましい。この構成によれば、第2搬送路を搬送中にシートを基準面と平行に当接させ、画像形成部に対して幅方向において位置決めすることができる。
【0026】
本発明の画像形成装置は、上記構成において前記搬送部材は、前記規制部材に向けおよび搬送方向下流側に向けて傾斜した軸線の周りに回転するローラを含むことが望ましい。この構成によれば、搬送中のシートをローラにより基準面と容易に当接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例の画像形成装置の概略断面図である。
【図2】実施例の画像形成装置に係り、リヤカバー及び再搬送トレイの相対位置関係を示す斜視図である。
【図3】実施例の画像形成装置に係り、リブが形成されたリヤカバーの斜視図である。
【図4】実施例の画像形成装置に係り、再搬送トレイの斜視図である。
【図5】実施例の画像形成装置に係り、案内部材の斜視図である。
【図6】実施例の画像形成装置に係り、シート、リブ、案内部材、規制部材及び従動ローラ等の相対位置関係を説明する模式図である。
【図7】実施例の画像形成装置に係り、(a)は図6のA−A断面を示し、(b)は図6のB−B断面を示し、(c)は図6のC−C断面を示す断面図である。
【図8】変形例の画像形成装置に係り、複数本のリブの先端面の相対位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0029】
(実施例)
図1に示すように、本発明の画像形成装置の一例である実施例のプリンタ1は、電子写真方式によりシート99(用紙やOHPシート等)に単色の画像を形成するモノクロレーザプリンタである。図1では、紙面右側を装置の前側と規定し、装置を前側から見た場合に左手に来る側(紙面手前側)を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1に基づいて、プリンタ1が備える各構成要素について説明する。
【0030】
<概略構成>
プリンタ1は、略箱状体であるハウジング2と、ハウジング2の内側に設けられた図示しないフレーム部材とを備えている。ハウジング2及びフレーム部材により、本発明の装置本体が構成されている。装置本体は、水平な設置面G1上に載置されている。フレーム部材には、給紙部20、画像形成部10、反転機構を兼ねる排出ローラ41、42及び再搬送機構50等が組み付けられている。
【0031】
ハウジング2の下方には、給紙カセット21が設けられている。給紙カセット21は、上方が開放されて、その内部にシート99を収容する略箱状体である。給紙カセット21は、プリンタ1の手前から後方に向かって押されてハウジング2内に挿入されることにより装置本体に装着され、その逆の動作により装置本体から引き出されるようになっている。なお、給紙カセット21は、引き出された状態で装置本体から完全に取り外すこともできる。
【0032】
ハウジング2の上面には、画像形成を終えたシート99が排出される排出トレイ2Cが設けられている。ハウジング2の前面には、フロントカバー2Fが開閉可能に設けられている。図示は省略するが、フロントカバー2Fを前方に展開して、周知の手差し給紙トレイとすることができる。ハウジング2の後面には、リヤカバー2Rが開閉可能に設けられている。リヤカバー2Rを後方に展開することにより、紙詰まりの復旧作業やメンテナンスを実施可能となる。ハウジング2内には、搬送経路Pと、第1搬送路R1と、第2搬送路R2と、第3搬送路R3とが設けられている。
【0033】
搬送経路Pは、給紙カセット21の前端部の上方に位置する給紙部20から画像形成部10及び排出ローラ41、42等を介して上方の排出トレイ2Cに到る側面視略「S」字状の経路である。第1搬送路R1は、排出ローラ41、42から、後方に膨らむように湾曲しつつ下方に延びる側面視略「C」字状の経路である。第2搬送路R2は、第1搬送路R1に続いて前方に略水平に延びる経路であり、給紙カセット21と画像形成部10との間に位置している。第3搬送路R3は、第2搬送路R2に続いて、前方に延びた後、略U字状に後方に転向して、搬送経路Pにおける画像形成部10より上流側に合流する経路である。第1搬送路R1、第2搬送路R2及び第3搬送路R3により、画像形成部10により画像が形成されたシート99を再び画像形成部10に搬送する再搬送機構50が構成されている。
【0034】
搬送経路Pにおいて定着器13から排出ローラ41、42に向かう部分と、第1搬送路R1とは、排出ローラ41、42近傍の部分を共用している。搬送ガイド部材79により、その共用部分よりも搬送経路Pでは定着器13寄りの部分と、第1搬送路R1では第2搬送路R2寄りの部分とは、分岐されている。
【0035】
<給紙部>
給紙部20は、給紙カセット21に収容されたシート99を給紙ローラ22、分離ローラ23及び分離パッド23Aにより1枚ずつ搬送経路Pに送り出す。そして、搬送経路Pの略U字状に後方に転向する部位に配設された搬送ローラ24、25及びレジストローラ26、27により、シート99を画像形成部10に向けて搬送する。
【0036】
<画像形成部>
画像形成部10は、プロセスカートリッジ7、転写ローラ12、スキャナ部9及び定着器13等により構成されている。
【0037】
プロセスカートリッジ7は、搬送経路Pにおける前方から後方に向かう略水平部分の上方に位置する感光体ドラム5を有する。感光体ドラム5は、樹脂製円筒体の最表層に正帯電性の感光層が形成されたものである。感光体ドラム5の上方には、感光体ドラム5の感光層に対向するように、周知の帯電器6が配設されている。
【0038】
また、プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム5に前方から対面する現像ローラ7Cと、現像ローラ7Cの前方に位置するトナー収容室7Aと、現像ローラ7Cとトナー収容室7Aとの間に位置して、現像ローラ7Cと対面する供給ローラ7B等を有する。そして、トナー収容室7A内のトナーは、供給ローラ7Bの回転によって現像ローラ7C側に供給されて、現像ローラ7Cの表面に担持され、層厚規制ブレード7Dにより所定の厚みに調整された後、感光体ドラム5の表面に供給される。
【0039】
スキャナ部9は、ハウジング2内の最上方に位置しており、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等を有する。そして、レーザ光源から発光されるレーザビームは、ポリゴンミラーで偏向されて、fθレンズを通過した後、反射鏡によって光路が下方に屈曲されることにより、感光体ドラム5の表面上に照射され、静電潜像を形成する。
【0040】
転写ローラ12は、感光体ドラム5に対して搬送経路Pを挟んで下方から対面するように設けられている。転写ローラ12は、転写電圧が印加されることにより負帯電した状態で、感光体ドラム5と同期して回転する。
【0041】
定着器13は、画像形成部10の後方に位置し、搬送経路Pを上下方向から挟むように対向する加熱ローラ13A及び加圧ローラ13Bを有する。加熱ローラ13Aは、シート99に転写されたトナーを加熱し、加圧ローラ13Bに加圧されながら回転する。これにより、定着器13は、シート99に転写されたトナーを加熱溶融させてシート99に定着させるとともに、シート99を搬送経路Pの下流側に搬送する。なお、搬送経路Pは、定着器13より下流側で、上方に略U字形状に湾曲している。そして、搬送経路Pの搬送方向の最も下流側には、排出ローラ41、42と、排出センサ43と、排出トレイ2Cとが位置している。排出ローラ41、42及び排出センサ43は、後述する反転機構40を兼ねている。
【0042】
<画像形成動作の概略>
シート99の第1面99Aに画像形成を行う場合、図示しない制御部が給紙部20、画像形成部10の制御を開始すると、給紙カセット21内のシート99が給紙部20により画像形成部10に搬送され、スキャナ部9、プロセスカートリッジ7等が上述した画像形成動作を実行する。これにより、回転する感光体ドラム5の表面が帯電器6により一様に正帯電された後、スキャナ部9から照射されるレーザビームにより露光されて、感光体ドラム5の表面に画像形成用データに対応する静電潜像が形成される。
【0043】
一方、現像ローラ7C上に担持され、かつ、正帯電されたトナーは、現像ローラ7Cが感光体ドラム5に対向して接触しつつ回転することにより、感光体ドラム5の表面上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム5の静電潜像は可視像化され、感光体ドラム5の表面には反転現像によるトナー像が担持される。
【0044】
シート99が給紙カセット21に収容されている状態では、シート99の第1面99Aは、下方を向いている。そして、シート99が搬送経路Pに沿って搬送されて画像形成部10を通過する際、第1面99Aは、上方を向いて感光体ドラム5と対面する。
【0045】
感光体ドラム5の表面上に担持されたトナー像は、転写ローラ12に印加される転写電圧によってシート99の第1面99Aに転写され、そのシート99が定着器13に搬送されると、加熱ローラ13A及び押圧ローラ13Bにより加熱加圧されて、トナー像がシート99の第1面99Aに定着される。最後に、排出ローラ41、42により、画像が形成されたシート99が排出トレイ2Cに排出されて、画像形成動作が終了する。
【0046】
また、このプリンタ1は、説明は簡略するが、フロントカバー2Fを展開して、シートを装置本体の前方から内部に向けて手差し給紙し、そのシートを周知の手差し給紙部20Bにより搬送経路Pに送って、上記画像形成動作を行わせることができる。
【0047】
さらに、このプリンタ1は、シート99の第1面99Aに対して上記画像形成動作を行った後、以下に詳述するように、反転機構40及び再搬送機構50により、再び画像形成部10にシート99を搬送して、第2面99Bに対しても上記画像形成動作を行うことができる。
【0048】
<反転機構>
反転機構40は、第1面99Aに画像が形成されたシート99の搬送方向を反転させるものであり、上述した排出ローラ41、42と、排出センサ43とを有して構成されている。
【0049】
排出ローラ41は、図示しない制御部に制御されて、正方向及び逆方向に回転の切り換えが可能とされている。一方、排出ローラ42は、シート99を排出ローラ41側に押圧しながら従動回転する。
【0050】
排出センサ43は、排出ローラ41、42に対して排出トレイ2C側に設けられている。排出センサ43は、シート99に当接して揺動するアクチュエータ43Aの変位をフォトインタラプタ等の光学式検知素子等により検出する周知のものである。
【0051】
<反転機構の動作>
反転機構40は、以下のようにして、第1面99Aに画像が形成されたシート99の搬送方向を反転させる。シート99は搬送経路Pに沿って搬送されて、画像形成部10を通過すると、搬送ガイド部材79により排出ローラ41、42に向け案内されて排出ローラ41、42にニップされ、排出トレイ2Cに向けて搬送される。そうすると、シート99がアクチュエータ43Aを押して揺動させるので、排出センサ43は、シート99を検知したことを制御部に伝達する。そうすると、制御部は、タイマ計測により、シート99の後端が搬送ガイド部材79を通過したタイミングで、排出ローラ41の回転を逆方向に切り換える。この際、シート99は、それ自体が有する剛性により、搬送ガイド部材79から外れて湾曲が弱まり、シート後端を第1搬送路R1側に向ける。その結果、シート99は、逆方向に回転する排出ローラ41により、第1搬送路R1に沿って搬送される。この際、シート99は、第2面99Bが後方を向く状態で後方に膨らむように湾曲しながら搬送される。
【0052】
<再搬送機構>
再搬送機構50は、第1搬送手段RAと第2搬送手段RBと第3搬送路手段RCとから構成され、反転機構40により搬送方向を反転されたシート99を再び画像形成部10に搬送するものである。
【0053】
第1搬送手段RAは、リアカバー2Rに形成された11本のリブ80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90と、リブ80〜90に対して前方から間隔を有して対向する搬送ガイド部材79の搬送面79Aとを備えている。各リブ80〜90と、搬送面79Aとは、その間に第1搬送路R1を形成するものである。第2搬送手段RBは、画像形成部10と給紙カセット21との間に位置する再搬送トレイ60を備え、そのトレイの上面に第2搬送路R2を有している。第3搬送手段RCは、再搬送トレイ60とプロセスカートリッジ7との間のフレーム部材を利用して構成され、再搬送トレイ60よりも前方に位置するフレーム部材を上下に貫通した第3搬送路R3を有している。第3搬送路R3は、前方に膨らむように湾曲しており、その前後を復帰搬送面76A、76Bにより画定されている。
【0054】
図2及び図3に示すように、リブ80〜90は、左右方向に間隔をおいて平行に配置され、かつそれぞれ上下方向に平行な平板形状とされたものであり、リヤカバー2Rの内壁面から前方に向けて突出してリヤカバー2Rと一体成形されている。言い換えれば、リブ80〜90は、第1搬送路R1の湾曲の外側であって、第1搬送路R1に沿って搬送されるシート99の第2面99Bと対向する位置に設けられている。つまり、リブ80〜90の先端面すなわち前端面は、第1搬送路R1のためのガイド面を形成している。リブ80〜90の形状については、後に詳しく説明する。
【0055】
再搬送トレイ60は、図1に示すように、画像形成部10を通る搬送路Pの部分と略平行に延在する略平板形状とされている。再搬送トレイ60の上面には、図2及び図4に示すように、前後方向に延び、かつ左右方向に複数本並んだリブ64が凸設されている。リブ64の後端部64A(すなわち第1搬送路側)は、上方にせり上がって、各リブ80〜90の下端と重なる位置まで突出している。複数のリブ64の先端面すなわち上端面は、第2搬送路R2のためのガイド面を形成している。
【0056】
再搬送トレイ60の左側には、規制部材69が設けられている。規制部材69は、第2搬送路R2を搬送されるシート99の搬送方向、すなわち前後方向に延びる衝立形状とされており、シートの搬送方向と直交するほぼ直線状の基準面69A(図6参照)を有する。基準面69Aは、第2搬送路R2の左側の側縁の位置を画定している。再搬送トレイ60上には、基準面69Aの後方(すなわち第1搬送路側)であって、第1搬送路R1と第2搬送路R2との接続部分に案内部材70が設けられている。シート99の左側縁99Lが基準面69Aに対して傾斜することなく当接する場合、シート99は、斜行がなく、かつ左右方向の位置が、画像形成部10によりシートの第2面に画像形成するために正しく決められた状態となる。
【0057】
なお、後述する案内部材70の第1規制面71は、規制部材69の一部として、基準面69Aと第1規制面71とが連続した形状に構成することもできる。
【0058】
案内部材70は、図5に示すように、第1規制面71と、第2規制面72と、第3規制面73とを有する。第1規制面71は、その前端側が基準面69Aと連続する平面であり、その後端側が基準面69Aに対して左側にずれるように傾斜している。第2規制面72は、側面視した場合、上方にせり上がるリブ64の後端部64Aの上端面とほぼ同じ平面上にあるように湾曲する曲面形状とされている。第3規制面73は、側面視した場合、第2規制面72と対向する位置において第2規制面72に対して前方および上方に第2搬送路R2を挟んで離間しつつ湾曲する曲面形状とされている。第3規制面73の前端側(すなわち規制部材69側)と第2規制面72の同側との間隔は、第3規制面73の後端側(すなわち第1搬送路側)と第2規制面72の同側との間隔より狭くなっている。第2規制面72および第3規制面73は、第1規制面71から第2搬送路R2の幅方向内側へ延び、前面から見てほぼコ字形に一体に形成され、案内部材70は再搬送トレイ60上に固定されている。
【0059】
また、再搬送トレイ60には、搬送ローラ61、62及び従動ローラ63が設けられている。
【0060】
ここで、図6に示すように、搬送ローラ61は、基準面69Aの右側に位置し、搬送ローラ62は、基準面69Aから搬送方向の前方に外れて位置している。搬送ローラ61、62は、リブ64の上面に対して、わずかに上方に露出して、第2搬送路R2を搬送されるシート99の下面すなわち第2面99Bに当接可能とされている。搬送ローラ61、62は、複数のギヤ、伝達軸及び回転軸により構成される伝達手段65により、装置本体側の図示しない駆動源からの駆動力が伝達されて、左右方向を向く回転軸心周りに回転する。
【0061】
従動ローラ63は、搬送ローラ61の上方に位置している。再搬送トレイ60の左側には、搬送ローラ61及びリブ64に対して上方に第2搬送路R2を挟んで離間する支持部材63Aが設けられており、その支持部材63Aに、従動ローラ63が回転可能に支持されている。また、従動ローラ63は、図示しない付勢ばねにより、搬送ローラ61に押し付けられている。従動ローラ63の回転軸心は、搬送ローラ61の回転軸心に対して上から見て時計周り方向に傾斜している。
【0062】
搬送ローラ61、62が回転することにより、第2搬送路R2に沿ってシート99が搬送される。この際、従動ローラ63がシート99を挟んで搬送ローラ61に押し付けられて従動回転することにより、シート99が左側、すなわち、基準面69Aに向けて寄せられるように搬送される。
【0063】
再搬送トレイ60及び案内部材70は、プリンタ1の後面から後方に向かって引き出されることにより、装置本体から取り外され、その逆の動作により、装置本体に装着されるようになっている。この際、図6に示す伝達手段65は、装置本体側の図示しない駆動源と離間して、再搬送トレイ60と一体のまま、装置本体から取り外される。
【0064】
第3搬送路R3を形成する復帰搬送面76A、76Bは、画像形成部10及び再搬送トレイ60の前方において再搬送トレイ60とプロセスカートリッジ7との間のフレーム部材を上下に貫通した貫通路の前後の面である。復帰搬送面76A、76Bは、下方から上方に向けて延び、かつ、前方に向けて膨らむように湾曲している。このような復帰搬送面76A、76B間の第3搬送路R3により、シート99は、下方の再搬送トレイ60から上方の画像形成部10に向けて案内される。
【0065】
<リブの形状>
第1搬送路R1を構成するリブ80〜90について説明する。各リブ80〜90は、シート99の搬送方向である上下方向に延び、搬送されるシート99の第2面99Bと当接する先端面80A、81A、82A、83A、84A、85A、86A、87A、88A、89A、90Aを備えている。各先端面80A〜90Aは、左右方向から見た場合、上下方向真ん中付近が後方に向かって凹むように湾曲する形状を有することにより、搬送されてくるシート99を湾曲させながらシート99の搬送方向を前方すなわち第2搬送路R2へ向けて変更する。
【0066】
各リブ80〜90は、上から見て第2搬送路R2の基準面69A寄りに位置する第1グループのリブ80〜83と、基準面69Aから遠い側に位置する第2グループのリブ84〜90に区分けされている。そして、各リブの先端面81A〜90Aの上下方向の中間部分(すなわち湾曲のうち後方へ凹んだ部分)において、図6に装置本体の設置面G1と平行な仮想面K1で切った断面で示すように、第1グループに属するリブ80〜83の先端面80A〜83Aは、第2グループに属するリブ84〜90の先端面84A〜90Aよりも、前方に配置されている。言い換えれば、リヤカバー2Rから先端面80A〜83Aが前方に突出する長さは、リヤカバー2Rから先端面84A〜90Aが前方に突出する長さよりも長い。なお、リブ84〜90群からなる第2グループの左右幅(シート幅方向の幅)は、リブ80〜83群からなる第1グループの左右幅よりも大きくされている。
【0067】
本実施例では、図7(a)に示すリブ80及び図7(b)に示すリブ81〜83と、図7(c)に示すリブ84〜90とを比較して明らかなように、各リブ80〜90の先端面は、上下方向の中間部分において、第1グループと第2グループとで後方への湾曲の大きさを異ならせているが、リブの上下端(反転機構40および第2搬送路R2側の端部)において、第2搬送路R2に近づくように湾曲し、左右方向(シート幅方向)から見たとき、ほぼ一致した位置にある。これにより、反転機構40から第1搬送路R1へ、また第1搬送路R1から第2搬送路R2へのシートの移動を円滑にしている。
【0068】
各リブ80〜90の下端は、後述する再搬送トレイ60のリブ64の後端部64Aに対して、側面視した場合に重なる位置まで延びている。これにより、リブ64の後端部64Aへのシート99の引っ掛かりを防止している。また、図7(a)に示すように、最も左側のリブ80の下端80Bは、リブ81〜83よりも僅かに前方に延びて、案内部材70の第2規制面72より前方に突出している。これにより、第2規制面72へのシート99の引っ掛かりを防止している。
【0069】
搬送面79Aは、各リブ80〜90に対して前方に第1搬送路R1を挟んで離間する状態で、搬送ガイド部材79の後面に形成されている。言い換えれば、搬送面79Aは、第1搬送路R1の湾曲の内側であって、第1搬送路R1に沿って搬送されるシート99の第1面99Aと対向する位置に設けられている。搬送面79Aは、シート99が第1搬送路R1に沿って搬送される方向に沿って上方から下方に向けて延び、かつ、後方に向けて膨らむように湾曲している。このような搬送面79Aが各リブ80〜90とともに第1搬送路R1を形成することにより、シート99を第1搬送路R1に沿って確実に案内できる。
【0070】
<再搬送機構の動作>
反転機構40により方向反転されたシート99は、排出ローラ41により第1搬送路R1に沿って湾曲しながら搬送され、第2搬送路R2に進入する。
【0071】
第2搬送路R2に進入したシート99は、案内部材70の第2規制面72およびリブ64のせり上がった後端部64Aに当接しながら、水平方向前方へ向けられる。この際、シート99の左側は、リブの先端面80A〜83Aにより、案内部材70へスムーズに案内される。なお、シート99が第1搬送路R1においてリブの先端面80A〜90Aから浮いてしまう、または、シート99が第2規制面72から浮いてしまったとしても、搬送面79Aおよび第3規制面73が第1面99Aと当接することで、シート99をスムーズに案内する。
【0072】
画像形成部のうち例えば定着器13、反転機構の排出ローラ41,42、搬送経路Pまたは第1搬送路R1を構成する面などの製作上の誤差等により、シート99が左方向に斜行あるいは幅方向にずれて搬送された場合、図6に二点鎖線で示すように、シート99の左角が第1規制面71に当接すると、シート99は第1規制面71に沿って、右側に案内される。
【0073】
ここで、シート99は、左角を第1規制面71に押し付け、その反力として押圧力F1を受けながら搬送されるので、シート99が押圧力F1に耐えられなくなり座屈や耳折れが発生してしまうおそれがある。これは、シート99が、第1搬送路R1、第2規制面72およびリブ64のせり上がった後端部64Aにより湾曲させられ、それらの面に押し付けられているため、押圧力F1方向の抵抗が大きく、シート99が座屈や耳折れしてしまうものと考えられる。しかし、右側の先端面84A〜90Aの方が、左側の先端面80A〜83Aよりも第1搬送路R1の湾曲の外側に配置されているので、第1搬送路R1における右側に、スペースS1を確保することができる。このため、シート99は、押圧力F1を受けてもスペースS1でのシート99の抵抗が少なくなり、幅方向(押圧力F1方向)に移動しやすくなり、またスペースS1内で撓みやすくなることにより、第1規制面71に沿って幅方向に移動しながら基準面69Aに沿う位置へ搬送される。このため座屈や耳折れが発生することが抑制される。このとき、シート99の左側は、リブの先端面80A〜83Aにより、あまり大きく撓むことなく基準面69Aへスムーズに案内される。
【0074】
なお、第1搬送路R1から搬送されたシート99が、その左角を第1規制面71に当接することなく、基準面69Aに直接当接する方向に斜行している場合も同様に、シート99は幅方向に移動しやすいから、座屈や耳折れすることなく基準面69Aに沿って搬送される。
【0075】
シート99が搬送ローラ61と従動ローラ63に狭持されると、搬送ローラ61と従動ローラ63によってシート99が搬送される。この際、搬送ローラ61及び従動ローラ63によりシート99が左側に寄せられ、シート99の左側縁99Lが規制部材69の基準面69Aに押し付けられる。その結果、シート99の斜行が補正されるとともに、シート99の左右方向の位置決めがなされる。
【0076】
そして、シート99は、第3搬送路R3を通過して、搬送経路Pに復帰し、再び画像形成部10に搬送される。その結果、第2面99Bが上方を向いて感光体ドラム5と対面するので、第2面99Bに対しても上記画像形成動作を行うことができる。
【0077】
<作用効果>
実施例のプリンタ1では、シート99が左側縁99Lが規制部材69に押し付けられ、位置決めされる。第1搬送路R1から搬送される際、シート99が左側へずれていると、シート99には、第1規制面71に当接した反力として押圧力F1が作用する。そして、仮に、この押圧力F1に対して何ら対策を施さない場合、シート99の湾曲する箇所99E等に座屈や耳折れが発生し易くなる。
【0078】
この点、実施例のプリンタ1では、第1搬送路R1に対し各リブの先端面80A〜90Aのうち、基準面69A寄りの先端面80A〜83Aの方が、基準面69Aから遠い側の先端面84A〜90Aよりも内側に配置されているので、第1搬送路R1における右側に、スペースS1を確保することができる。このため、シート99の左角が第1規制面71に当接することでシート99に押圧力F1が作用しても、シート99を右側に移動させやすく、また、スペースS1内でシート99を撓ませることができるので、シート99の座屈や耳折れを抑制しながら基準面69Aに沿う位置に搬送できる。
【0079】
また、第1搬送路R1から搬送されたシート99が、その左角を基準面69Aに直接当接した場合も同様に、シート99は幅方向に移動しやすいから、座屈や耳折れすることなく基準面69Aに沿って搬送される。
【0080】
さらに、このプリンタ1によれば、シート99が第1搬送路R1から第2搬送路R2に進入する際、案内部材70の第2規制面72と第3規制面73とによりシート99が挟まれて案内されるので、シート99の搬送方向を確実に変えることができる。その結果、再搬送時におけるシート99の座屈や耳折れを一層確実に抑制できる。
【0081】
また、このプリンタ1によれば、第2規制面72が第1規制面71より先にシート99を規制することにより、シート99の搬送方向を第2搬送路R2に沿うように変えてから、シート99を幅方向に規制するので、シート99の座屈を確実に抑制できる。
【0082】
また、このプリンタ1によれば、リブ84〜90群の第2グループの方が第1グループとしてのリブ80〜83群の第1グループよりもシート99の幅方向に広く、かつ、第2グループとしてのリブ84〜90の方が第1グループとしてのリブ80〜83よりも外側へ膨らむように湾曲しているので、第1搬送路R1における右側に、より広いスペースS1を確保することができる。その結果、シート99を右側へ移動させ、またスペース内で撓ませやすくできる。
【0083】
さらに、このプリンタ1によれば、第1搬送路R1を形成するリブ80〜90と、第2搬送路R2を形成する再搬送トレイ60とが別体とされているので、第1搬送路R1及び第2搬送路R2が一体とされている場合と比較して、高低差を有する複数本のリブ80〜90を形成する製造工程を簡略化し易い。
【0084】
また、このプリンタ1によれば、第1搬送路R1を形成するリブ80〜90を備えるリアカバー2Rが開閉可能で、また第2搬送路R2を形成する再搬送トレイ60と案内部材70とは、装置本体に対して着脱可能に構成されているので、第1搬送路R1および第2搬送路R2を搬送されるシート99が紙詰まりした場合の回復処理を行い易い。
【0085】
さらに、このプリンタ1によれば、第1搬送路R1が装置本体の後方に設けられ、第2搬送路R2が第1搬送路R1に沿って搬送されてきたシート99を装置本体の前方に向けて搬送するように設けられている構成を備えることにより、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【0086】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0087】
例えば、リヤカバー2Rに対して先端面80A〜90Aが前方に突出する長さを図8(a)又は(b)に示すように変更してもよい。
【0088】
図8(a)では、リヤカバー2Rに対して先端面80A〜90Aが前方に突出する長さは、左側の先端面80Aから右側の先端面90Aに向けて、次第に短くなっている。
【0089】
また、図8(b)では、リヤカバー2Rに対して先端面80A〜83Aが前方に突出する長さは、左側の先端面80Aから右側の先端面83Aに向けて、次第に短くなっている。そして、先端面84A〜90Aが前方に突出する長さは、等しくされている。
【0090】
上記実施例では、第1および第2搬送路R1,R2をリブ80〜90,64の先端面で形成したが、搬送方向および幅方向に連続した曲面で形成することもできる。例えば、平板状のガイド板を各搬送経路の形状に応じて湾曲加工等する。あるいは樹脂によりその湾曲状態のガイド板と同等のものを成形することができる。
【0091】
上記実施例では、規制部材69と第1規制面71とを別部材で製作したが、1つの部材で一体に製作することもできる。この場合、案内部材70の第2規制面72、第3規制面73を第1規制面71に対して組み付けることになる。
【0092】
上記実施例では、反転機構を兼ねる排出ローラ41,42により、第1搬送路R1から第2搬送路R2へシートを搬送したが、第1搬送路R1の上端近傍に搬送ローラを設けて、シートを第1搬送路R1から第2搬送路R2へ搬送するようにしてもよい。
【0093】
上記実施例では、画像形成部を電子写真方式のもので構成したが、インクジェット方式、感熱方式など各種の画像形成部を利用することができる。また、図1において図面手前側を装置の前面として構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、プリンタ単体、あるいは原稿読取装置を付加した複合機等におけるプリンタ部としての画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…画像形成装置(プリンタ)、10…画像形成部、40…反転機構、50…再搬送機構
99…シート、99A…シートの第1面、99B…シートの第2面
R1…第1搬送路、R2…第2搬送路、G1…設置面、K1…仮想面
80〜90…リブ、80A〜90A…先端面、79A…搬送面
69…規制部材、69A…基準面、99L…幅方向の一方側におけるシートの側縁
41,42…排出ローラ、63…従動ローラ
70…案内部材、71…第1規制面、72…第2規制面、73…第3規制面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートに画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部により第1面に画像が形成された前記シートの搬送方向を反転させる反転機構と、
前記反転機構により搬送方向が反転された前記シートを、前記第1面とは反対側の第2面に画像を形成すべく再び前記画像形成部に搬送する再搬送機構と、
を備え、
前記再搬送機構は、前記反転機構から搬送された前記シートを受けさらに搬送方向下流側へ搬送する第1搬送路と、前記第1搬送路から搬送された前記シートを前記画像形成部の搬送方向上流側に向けて搬送する第2搬送路と、を有し、
前記第2搬送路は、前記画像形成部を通るシートの搬送経路の部分とほぼ平行に延び、かつ前記シートの搬送方向と直交する幅方向の一方側を、前記シートのその一方側の側縁の位置を規制する規制部材で画定され、
前記第1搬送路は、前記反転機構から前記第2搬送路の一端へシートを案内するように、前記画像形成部および前記第2搬送路から遠ざかる方向に膨らむように湾曲しており、かつ、前記第1搬送路の湾曲の外側を構成するガイド面のうち前記幅方向の一方側と反対側の他方側近傍の部分を、前記一方側近傍の部分よりも、前記画像形成部および前記第2搬送路から遠ざかる方向に膨らませていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制部材は、シートの搬送方向に沿って直線状に延びるものであり、かつその前記第1搬送路側の端部に連続して第1規制面を有しており、
その第1規制面は、前記規制部材側から前記第1搬送路側に向け、前記幅方向において前記第2搬送路に対し外側へずれるように傾斜している請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド面は、前記第1搬送路の搬送方向ほぼ中間部分を、前記画像形成部および前記第2搬送路から遠ざかる方向に膨らませ、前記第2搬送路に近い側の端部において、前記一方側近傍の部分と他方側近傍の部分とも、前記第2搬送路に近づくように湾曲している請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド面は、前記シートの幅方向に並んだ複数のリブの前記第1搬送路側の先端面で構成され、前記幅方向の他方側近傍のリブの先端面は、一方側近傍のリブの先端面よりも、前記画像形成部および前記第2搬送路から遠ざかる側に位置している請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記幅方向の一方側近傍の複数のリブは、ほぼ同じ高さに先端面を有し、前記他方側近傍のリブよりも、前記幅方向において狭い範囲に位置する請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数のリブは、前記幅方向の一方側から他方側へむけ、順次先端面の高さを異にする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数のリブは、前記幅方向の一方側から他方側へむけ、前記一方側近傍においてのみ順次先端面の高さを異にする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部、反転機構および再搬送機構を収容するハウジングをさらに備え、前記ガイド面は、前記ハウジングに開閉可能に設けられたカバーの前記画像形成部および前記第2搬送路側に設けられている請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ガイド面は、前記カバー上に、前記シートの幅方向に並んで形成された複数のリブの前記第1搬送路側の先端面で構成されている請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2搬送路は、前記シートの幅方向に並んで形成された複数のリブの前記第2搬送路側の先端面で構成され、
前記第1搬送路を構成するリブの前記第2搬送路側の端部と、前記第2搬送路を構成するリブの前記第1搬送路側の端部とは、前記シートの幅方向に見て重なり合って位置する請求項4乃至7、請求項9のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2搬送路は、前記画像形成部を通るシートの搬送経路の部分とほぼ平行に配置されたトレイ上に形成され、そのトレイは、前記ハウジングに対し着脱可能である請求項9記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1搬送路と、前記画像形成部から前記反転機構に至る搬送経路の部分とは、前記画像形成部から前記反転機構へシートを案内する搬送ガイド部材によって分岐されている請求項1乃至11のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記搬送ガイド部材は、前記ガイド面と間隔をおいて対向する搬送面を有し、
その搬送面と前記ガイド面とは、その間に前記第1搬送路を形成している請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記規制部材の前記第1搬送路側の端部に、前記第1規制面を有する案内部材を備え、
前記案内部材は、前記幅方向において前記第1規制面から前記第2搬送路側へ延び、前記第1搬送路のガイド面から前記第2搬送路へシートを案内するように湾曲した形状をなす第2規制面を有する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第2搬送路は、前記シートの幅方向に並んで形成された複数のリブの前記第2搬送路側の先端面で構成され、
前記第2規制面は、前記リブの先端面とほぼ同じ曲面上にある請求項14記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記案内部材は、前記第2規制面と前記第2搬送路を挟んで対向し、かつ前記幅方向において前記第1規制面から前記第2搬送路側へ延びる第3規制面を有する請求項14記載の画像形成装置。
【請求項17】
さらに、前記第2搬送路を搬送されるシートに対して、前記規制部材に向けおよび搬送方向下流側に向け搬送力を付与する搬送部材を備える請求項1乃至16のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記搬送部材は、前記規制部材に向けおよび搬送方向下流側に向けて傾斜した軸線の周りに回転するローラを含む請求項17記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−50698(P2013−50698A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115276(P2012−115276)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】