説明

画像形成装置

【課題】精度よく回収容器内の廃トナーの蓄積量を算出し予測することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光ドラム上に残留したトナーを除去するクリーニングブレードと、除去されたトナーを回収する回収容器と、を備えるクリーニング装置を有する画像形成装置において、トナー容器に存在するトナー量を測定する測定装置と、トナー容器内から現像スリーブに供給されるトナー量を算出する第1の算出手段と、記録媒体又は前記中間転写体に転写されたトナー量を算出する第2の算出手段と、を有し、第1の算出手段によって算出された現像剤量と、第2の算出手段によって算出されたトナー量とに基づいて回収容器内に蓄積したトナーの量に関する情報信号を発信する制御部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に残留した現像剤を回収する回収容器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、現像装置と、感光ドラム(像担持体)上に形成されたトナー像(現像剤像)を紙等の記録媒体に転写する転写装置と、転写後の感光ドラム上に残留したトナーを除去するクリーニング装置と、を有する画像形成装置が知られている。一般的に、現像装置は、トナー(現像剤)を収容するトナー容器(現像剤容器)と、トナー容器内のトナーを感光ドラム上に供給する現像スリーブ(現像剤担持体)を備える。また、クリーニング装置は、感光ドラムに当接することで残留トナーを掻き取り除去するクリーニングブレードと、クリーニングブレードによって除去されたトナー(以下、廃トナーという)を回収する回収容器とを備える。回収容器の容量よりも多くの廃トナーが発生した場合、廃トナーが、回収容器から溢れてしまうことがある。そして、回収容器から溢れたトナーにより、画像不良が生じてしまうおそれがある。
そこで、特許文献1において、消費トナー量と、転写効率から廃トナー量を算出する画像形成装置が開示されている。廃トナー量を算出することにより、回収容器が廃トナーで満杯になったことをユーザに警告等し、廃トナーが回収容器から溢れることを防止することができる。ここで、特許文献1において、消費トナー量とは、トナー容器から感光ドラム上の静電潜像が形成された領域(以下、像露光部)に転移するトナーの量である。また、転写効率とは、感光ドラム上の像露光部に供給されたトナーのうち、紙等への転写されたトナーの割合をいう。すなわち、特許文献1において、像露光部に供給された消費トナー量と、その像露光部において転写されたトナー量との差を求めることにより、感光ドラム上に残留する転写残トナー量を算出することができる。その結果、回収容器に回収される廃トナー量を算出することができる、とのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−316224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回収容器に回収される廃トナーとは、転写残トナーのみでない。消費トナーのうち、感光ドラムの静電潜像が形成される領域以外の領域(以下、非像露光部という)に付着し、画像形成に使用されることないトナー(以下、カブリトナーという)も回収容器に回収される廃トナーに含まれるものである。このカブリトナーは、正規の帯電極性を有していない反転極性を有するトナーが発生し、そのトナーが像露光されていない領域に付着することにより生じるものである。
特許文献1においては、このカブリトナーについては考慮していない。低印字率の画像を出力する場合において、像露光部よりも、非像露光部の面積の方が大きくなる。このような場合、非像露光部に付着したカブリトナーの量は多くなる。すなわち、廃トナー量を算出する上でカブリトナー量は無視できない量となる。このカブリトナーを加味せず、転写残トナー量のみを算出したのでは、実際に回収容器に回収されるトナー量とのずれが大きくなり、適切に回収容器が満杯になったことの予測ができない。
【0005】
そこで、本発明は、像担持体の非像露光部上に付着した現像剤についても考慮することで、クリーニング部材に除去され、回収容器内に蓄積する現像剤の量を精度よく算出する
ことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、像担持体と、露光により前記像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、現像剤を収容する現像剤容器と、前記現像剤容器に収容された現像剤を前記像担持体上に供給することにより、前記静電潜像を可視化し、前記像担持体上に現像剤像を形成する現像剤担持体と、を備える現像装置と、前記現像剤像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写装置と、転写後に前記像担持体上に残留した現像剤を除去するクリーニング部材と、除去された現像剤を回収する回収容器と、を備えるクリーニング装置と、を有する画像形成装置において、前記現像剤容器内に存在する現像剤量を測定する測定装置と、前記現像剤容器内から前記像担持体に供給される現像剤量を算出する第1の算出手段と、前記記録媒体又は前記中間転写体に転写された現像剤量を算出する第2の算出手段と、前記第1の算出手段によって算出された現像剤量と、前記第2の算出手段によって算出された現像剤量とに基づいて前記回収容器内に蓄積した現像剤の量に関する情報信号を発信する制御部と、を備え、前記第1の算出手段は、画像形成後に前記測定装置により測定される現像剤量と、前記現像剤容器に初めから存在した現像剤量とから、前記現像剤容器内から前記像担持体に供給される現像剤量を算出し、前記制御部は、前記第1の算出手段によって算出された現像剤量と、前記第2の算出手段によって算出された現像剤量とに基づいて前記回収容器内に蓄積した現像剤の量に関する情報信号を発信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クリーニング部材によって除去され、回収容器内に蓄積した現像剤量を精度よく算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の概略断面図
【図2】実施例1に係る画像形成装置が備えるプロセスカートリッジの拡大断面図
【図3】実施例1におけるトナー容器内の残トナー量の検知方法について説明する図
【図4】トナー容器内の残トナー量と検知回路における出力電圧との関係を示す図
【図5】初期トナー量から分枝するトナー量を説明する分枝図
【図6】消費トナー量と画像形成トナー量の推移を示す図
【図7】実施例2におけるトナー容器内の残トナー量の検知方法について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施例1)
まず、図1、図2を用いて、実施例1に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図1は、実施例1に係る画像形成装置の概略断面図である。図2は、実施例1に係る画像形成装置が備えるプロセスカートリッジの拡大断面図である。実施例1に係る画像形成装置の一例として、画像形成装置本体AにプロセスカートリッジBを着脱可能に備えたものについて説明する。しかし、この限りではなく、各構成部材が画像形成装置本体Aと一体的になっているものについて本発明の特徴を適用することもできる。
【0010】
実施例1に係る画像形成装置は、像担持体としての感光ドラム1と、帯電装置2と、露光装置3と、現像装置4と、転写装置5と、クリーニング装置6と、定着装置7とを備えている。感光ドラム1は、図1中の矢印E方向に回転する。帯電装置2は、所定の帯電バイアスが印加されており、感光ドラム1に接触して従動回転する。露光装置3は、画像信号に応じて変調されたレーザ光を発射する。現像装置4は、現像剤担持体としての現像スリーブ41と、現像ブレード42と、攪拌搬送部材43を備える現像剤容器としてのトナー容器44と、を有する。現像スリーブ41は、現像装置4の開口部に配置されており、
開口部から露出する部分において、感光ドラム1に当接する。現像スリーブ41は、表面にトナーを担持し、感光ドラム1と順方向に所定の周速比をもって回転する。攪拌搬送部材43は、トナー容器44内(現像剤容器内)に収容されるトナーを攪拌し、現像スリーブ41へ搬送する。クリーニング装置6は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード61と、回収容器62とを有する。
【0011】
図2に示すように、画像形成装置本体Aに着脱可能に設けられるプロセスカートリッジBは、感光ドラム1と、帯電装置2と、現像装置4と、クリーニング装置6とを一体的に構成して成る。このプロセスカートリッジBには、不揮発性のメモリm(不図示)が設けられており、メモリmには、印字枚数や回転数などのプロセスカートリッジBの使用状態に関する情報が記憶されている。そして、画像形成装置本体Aが備えるメモリ通信手段(不図示)を介して、プロセスカートリッジBの使用状態の読み書きを行う。
【0012】
次に、実施例1に係る画像形成装置の画像形成の動作の概略について説明する。まず、帯電装置2が、感光ドラム1の表面を所定の電位となるように一様に帯電する。そして、露光装置3が、帯電された感光ドラム1上(像担持体上)にレーザ光を照射することにより、静電潜像を形成する。また、トナー容器44内に収容されるトナーが、攪拌搬送部材43によって、トナー容器44内から現像スリーブ41へ搬送される。そして、現像ブレード42によって、現像スリーブ41上のトナーの層厚が規制される。この際、現像スリーブ41と現像ブレード42の間で、トナーは摩擦帯電される。実施例1においては、現像及び転写において正極性側にトナーが転移するため、トナーは、負極性に帯電される。そして、搬送されたトナーを担持する現像スリーブ41が、感光ドラム1上にトナーを供給することによって、静電潜像を可視化する。そして、転写装置5が、可視化された現像剤像としてのトナー像を紙等の記録媒体又は中間転写体としての中間転写ベルト上に転写する。トナー像が中間転写ベルト上に転写される場合においては、その後、中間転写ベルトから紙等の記録媒体にトナー像が転写されることとなる。さらに、定着装置7が、転写されたトナー像を加熱・加圧することにより、トナー像は紙等に定着される。ここで、紙等にトナー像を転写した後に感光ドラム1上に残留する転写残トナー及びカブリトナーは、クリーニングブレード61により除去され、廃トナーとして回収容器62に回収されることとなる。転写残トナーとは、トナー容器44から感光ドラム1上の静電潜像が形成される領域(以下、像露光部という)に転移し、画像形成後に紙等に転写されずに像露光部に残留したトナーのことをいう。また、カブリトナーとは、トナー容器44から感光ドラム1上の静電潜像が形成される領域以外の領域(以下、非像露光部という)に転移し付着したトナーをいう。このカブリトナーは、現像ブレード42によってトナーの層厚が規制され、摩擦帯電される際に、正規の帯電極性を有しない反転極性のトナーが生じる場合があるため、生じるものである。カブリトナーは、転写時においても反転極性を持つため、紙等に転写されることなく感光ドラム1上に残留する。
【0013】
次に、実施例1に係る画像形成装置の特徴である廃トナー量の算出の概要について説明する。ここで、廃トナー量とは、クリーニングブレード61によって感光ドラム1上から除去され、回収容器62に回収されたトナー量(現像剤量)をいう。すなわち、実施例1において、廃トナー量は、転写残トナー量とカブリトナー量の合計量をいう。転写残トナー量とは、画像形成後に紙等に転写されずに像露光部に残留したトナーの量である。カブリトナー量とは、トナー容器44から感光ドラム1上の非像露光部に転移し付着したトナーの量である。ここで、トナー容器44から感光ドラム1へ転移したトナーの量を消費トナー量とする。また、トナー容器44から感光ドラム1の像露光部へ転移したトナーの量を現像トナー量とする。つまり、消費トナー量は、現像トナー量とカブリトナー量の和で表すことができる。そして、現像トナー量のうち感光ドラム1の像露光部で画像形成に用いられるトナーの量、すなわち、紙等に転写されるトナーの量を画像形成トナー量とし、画像形成後に紙等に転写されず像露光部に残留したトナーの量を転写残トナー量とする。
すなわち、廃トナー量は、消費トナー量と画像形成トナー量との差を求めることによる算出することができる。実施例1に係る画像形成装置は、この消費トナー量を算出する第1の算出手段と、画像形成トナー量を算出する第2の算出手段と、を備えている。さらに、実施例1に係る画像形成装置は、演算手段を備えており、この演算手段が、第1及び第2の算出手段により算出されたトナー量に基づいて廃トナー量を求める。本実施例では第1の算出手段、第2の算出手段、演算手段は制御部であるCPU9である。
【0014】
消費トナー量を導出するためにトナー容器44内に存在するトナー量(以下、残トナー量という)を求める。本実施例では、トナー容器44内に存在するトナー量を測定する測定装置として、アンテナ電極45と検知回路82を備えるアンテナ残留検知装置を備えている。図3を用いて、残トナー量の検知方法としてのアンテナ残留検知について説明する。図3は、実施例1におけるトナー容器内の残トナー量の検知方法を説明する図である。図3に示すように、現像スリーブ41とトナー容器44との間には、アンテナ電極45が配置されている。現像スリーブ41と、アンテナ電極45との間に存在するトナーと空気の構成比率によって、各電極間の静電容量は変化する。現像スリーブ41に印加する交流バイアス81によりアンテナ電極45に誘起される電流変化を、現像装置4に設置した検知回路82において、電圧変化として検知する。これによって、トナー容器44内のトナー量をほぼ連続的に検知することが出来る。また、トナー容器44内にトナーが存在しない場合の現像スリーブ41とアンテナ電極45の間の静電容量をリファレンス容量として備える検知回路(不図示)を予め設ける。そして、この検知回路で出力された出力電圧と、検知回路82で出力された出力電圧を比較することで、トナー容器44に存在するトナー量の検知を行っている。
【0015】
次に、図4を用いて、残トナー量と検知回路における出力電圧との関係について説明する。図4は、トナー容器内の残トナー量と検知回路における出力電圧との関係を示すグラフである。図4に示すように、検知回路の出力電圧が減少するに従い、トナー容器44内に存在するトナー量も徐々に減少している。実施例1においては、図4に示すように、新品時の検知回路における出力電圧をVfとする。トナー容器44から感光ドラム1にトナーを転移することによって、トナー容器44内のトナーは次第に減少していく。その後、出力電圧がリファレンス容量の出力であるVeになった時に、トナー容器内にトナーがなくなったと判断することができる。実施例1においては、アンテナ電極を合計4つ備えており、新品の状態からトナーか無くなるまでをほぼ連続的に検知できるようになっている。
【0016】
次に、実施例1に係る画像形成装置におけるハーフトーン濃度調整について説明する。ユーザからの画像出力要求に対して、実施例1に係る画像形成装置が備える画像処理部において、画像データから各画素の濃度データiを得ることができる。そして、画像形成装置が備える制御部9が、濃度データiに応じた露光パターンを作成し、画像形成動作時に露光装置3の制御を行う。しかし、感光ドラム1の受光感度や誘電層の膜厚などの個体バラつきや、トナーに添加してある外添剤の埋め込みや遊離などによる帯電性や流動性の変化によって、同じ露光パターンに対しても記録媒体上に形成されるハーフトーン濃度が変化する。そこで、同じハーフトーン濃度を再現するために定期的にハーフトーン濃度の調整を行っている。
【0017】
ハーフトーン濃度調整において、まず、所定の印字枚数毎に予め定めた複数の露光パターンを用いて記録媒体上に画像を形成する。そして、発光素子と、受光素子と、検知回路からなる濃度測定装置8を用いて、テスト画像の各々の濃度を検知する。濃度測定装置は、発光素子による光をテスト画像へ照射し、その反射光を受光素子において受光し、発生した電荷量を検知回路で電圧に変換して演算手段に出力する。演算手段において、予め用意してある変換テーブルを用いて検知回路からの電圧値を濃度へ変換する。受光素子で検
出された電荷量はテスト画像の濃度に応じて変化するため、露光パターンと画像形成されたテスト画像の濃度の相関を得ることができる。テスト画像を露光、現像、転写し、転写後のトナー像の濃度を受光素子によって検出し、濃度データiに対して、濃度データiを再現するために必要な転写効率X(i)、現像効率Y(i)、露光面積率Z(i)の相関を得ることができる。ここで、露光面積率Z(i)は、任意の画素において濃度データiを再現するための1画素中の像露光部の面積をいう。現像効率Y(i)は、濃度データiを再現するための露光面積率Z(i)に対して供給されるトナー量をいう。転写効率X(i)は、転写装置において、濃度データiの時の感光ドラム1上のトナーが紙等に転写されるトナーの割合をいう。
【0018】
実施例1においては、露光面積率で9階調のテスト画像を形成している。露光面積率Z(i)において出力される濃度を測定することで、転写効率と現像効率の積X(i)×Y(i)を検知して、プロセスカートリッジBに設けられるメモリmに備えられる第1の記憶手段に記憶している。そして、画像形成動作時において、出力画像の濃度データiに対して、第1の記憶手段に記憶されるX(i)×Y(i)を参照し、感光ドラム1上に露光する露光面積率Z(i)を導出し、露光装置3の制御を行う。
【0019】
次に、図5を用いて、消費トナー量、現像トナー量、画像形成トナー量、カブリトナー量、転写残トナー量、廃トナー量の各トナー量の導出について説明する。図5は、トナー容器内に初めに存在するトナーの量(以下、初期トナー量T0)から分枝するトナー量を説明する分枝図である。
【0020】
まず、消費トナー量について説明する。消費トナー量ΔTは、前述したようにアンテナ残留検知によってトナー容器44内に存在する残トナー量Tnを測定し、プロセスカートリッジBが備えるメモリmに記録してある初期トナー量T0を参照することによって算出する。具体的には、消費トナー量ΔTは、初期トナー量T0とトナー容器44内に存在する残トナー量Tnとの差であるので、ΔT=T0−Tnで算出することができる(S1)。
【0021】
現像トナー量は、現像効率Y(i)と露光面積率Z(i)の積の総和であるため、Σ{Y(i)×Z(i)}で表すことができる(S2)。
【0022】
カブリトナー量は、現像トナー量Σ{Y(i)×Z(i)}と、消費トナー量ΔTとの差であるため、ΔT−Σ{Y(i)×Z(i)}で表すことができる(S3)。
【0023】
画像形成トナー量は、現像トナー量Σ{Y(i)×Z(i)}と転写効率X(i)との積であるため、Σ{X(i)×Y(i)×Z(i)}で表すことができる(S4)。
【0024】
転写残トナー量は、現像トナー量Σ{Y(i)×Z(i)}と画像形成トナー量Σ{X(i)×Y(i)×Z(i)}との差であるため、Σ[Y(i)×Z(i)×{1−X(i)}]で表すことができる(S5)。
【0025】
次に、実施例1に係る画像形成装置の特徴である廃トナーの算出方法について説明する。濃度データiの時の廃トナー量は、カブリトナー量ΔT−Σ{Y(i)×Z(i)}と、転写残トナー量Σ[Y(i)×Z(i)×{1−X(i)}]との和であるため、ΔT−Σ{X(i)×Y(i)×Z(i)}で表すことができる(S6)。すなわち、廃トナー量は、消費トナー量ΔTと、画像形成トナー量Σ{X(i)×Y(i)×Z(i)}との差を演算することによって、算出することができる。
【0026】
さらに、画像形成動作毎にメモリmに記憶してある転写効率と現像効率の積X(i)×
Y(i)と露光面積率Z(i)を用いて、画像形成トナー量Σ{X(i)×Y(i)×Z(i)}を算出し、逐次メモリmに加算していき積算画像形成トナー量として記録する。実施例1においては、廃トナー量を算出する手段として、アンテナ残留検知による消費トナー量ΔTと、メモリmに記録される積算画像形成トナー量Δtを比較する。消費トナー量ΔTと積算画像形成トナー量Δtが同じ場合は、トナー容器44内から消費されたトナーが全て画像形成に用いられたことを意味する。消費トナー量ΔTが積算画像形成トナー量Δtより多い場合は、画像形成に用いられ画像形成装置の外へ排出された積算画像形成トナー量よりもトナー容器44内から消費された消費トナー量の方が多く、廃トナーとして回収容器内にトナーが存在することを示す。以上のように、消費トナー量ΔTと積算画像形成トナー量Δtの差を算出することで、回収容器内に回収した廃トナー量を算出することができる。
【0027】
次に、図6(a)を用いて、実施例1に係る画像形成装置における消費トナー量と積算画像形成トナー量の推移について説明する。図6(a)は、実施例1に係る画像形成装置における消費トナー量と積算画像形成トナー量の推移を示すグラフである。図6(a)に示すように、印字枚数が多くなるに従い、消費トナー量ΔTと積算画像形成トナー量Δtの差の広がりが大きくなっている。画像形成動作によってトナーに塗布してある外添剤がトナー母体に対して埋め込みや遊離することによるトナー劣化などによって、転写残トナーやカブリトナーの量が増加するため、消費トナー量ΔTが積算画像形成トナー量Δtよりも多くなるためである。
【0028】
図6(b)を用いて、実施例1に係る画像形成装置における廃トナー量の測定値と算出値の推移について説明する。図6(b)は、実施例1に係る画像形成装置における廃トナー量の測定値と算出値の推移を示すグラフである。実施例1においては、閾値Pに達した時に廃トナーが回収容器62に満杯になったと判断し、画像形成装置の表示部10等により、廃トナーが満杯になった旨の警告をユーザに報知する。即ち、CPU9は、第1の算出手段によって算出された現像剤量と、第2の算出手段によって算出された現像剤量とに基づいて情報信号を発信し、画像形成装置に設けられた表示部10に警告情報を表示させる。図6(b)に示すように、実施例1の廃トナー量の算出値は、実測値である廃トナー量の測定値と同様の推移を示し、算出値が廃トナー量に達した時でも廃トナーが容器からあふれ出ることはなかった。一方、従来のカブリトナー量を廃トナー量に加味しない場合の予測値では、印刷枚数の増加に従い測定値とのズレが大きくなり、算出値が廃トナー量に達した時は、回収容器62から漏れる現像が起こってしまった。なお、閾値Pは、実際に、廃トナーが満杯となり回収容器62からトナーがあふれ出る廃トナー量よりもやや少なく設定してある。
【0029】
以上のように、実施例1においては、転写残トナー量にカブリトナー量を加味した廃トナー量を算出することができる。これにより、精度良く回収容器が廃トナーで満杯になる時期を予測できる。そして、未然に回収容器の満杯を警告することができ、廃トナーが回収容器を溢れることによる画像形成の不良を抑制することができる。
【0030】
(実施例2)
次に、図7を用いて、実施例2に係る画像形成装置について説明する。実施例2では、トナー容器44内に存在するトナー量を測定する測定装置として、現像剤容器内を通過する光を検知してトナー量を測定する、光学式の残量検知装置を備えている点が実施例1と異なる点である。図7は、実施例2に係る画像形成装置における残トナー量の検知方法について説明する図である。実施例2においては、残トナー量が連続的に検知できないことにより、廃トナー量を連続的に算出できない場合において、廃トナーが回収容器62に満杯になる時期を予測する手段について説明する。実施例2においても、実施例1と同様に、濃度データiに対して、濃度データiを再現する転写効率X(i)、現像効率Y(i)
、露光面積率Z(i)をハーフトーン濃度調整によって算出する。そして、画像形成動作毎に画像形成トナー量を算出し、画像形成トナー量をメモリmに加算し、積算画像形成トナー量Δsとして記録する。なお、以下の説明において、上述した実施例1と同様の部分については、その説明を省略する。
【0031】
図7に示すように、実施例2に係る画像形成装置は、トナー容器44内に入射窓46と出射窓47を備える。トナー容器44の側面に設けた光学ガイド(不図示)に発光素子(不図示)の検知光を照射し、トナー容器44内部へ入射窓46から検知光を入射する。さらに、トナー容器44には、入射窓46の直線上の対向の位置に出射窓47が備えられている。出射窓47から放出された検知光は受光素子(不図示)で受光される。トナーTが積載する面Hが、入射窓46と出射窓47を繋ぐ直線よりも高い状態においては、トナーによる検知光の散乱によって遮光され、受光素子において検知光は検知されない。この状態においては、画像形成に十分なトナーがトナー容器44に存在すると判断される。一方、トナーTが積載する面Hが、入射窓46と出射窓47を繋ぐ直線より低い状態では、攪拌搬送部材43の回転周期でトナーによる検知光の散乱が起こらない状態が発生するため、受光素子によって検知光が検出される。この状態においては、トナー容器44内のトナーが少ない(以下、この状態をトナーLOWという)と判断される。このように、検知光を用いた測定装置においては、連続的に残トナー量を検知することはできない。
【0032】
次に、実施例2に係る画像形成装置における廃トナーの満杯予測方法について説明する。前述の検知光を用いた測定装置によって、トナーLOWを検出した場合、トナーカートリッジBのメモリmに記録してある積算画像形成トナー量Δsを読み込む。また、初期トナー量T0と、トナーLOW時のトナー容器44内のトナー量Tnの差である消費トナー量ΔSをプロセスカートリッジBの備えられるメモリmに予め記録しておく。そして、トナーLOW時の消費トナー量ΔSと積載画像形成トナー量Δsの差を算出すことで廃トナー量を算出する。さらに、メモリmに備えられる第2の記憶手段に記憶してあるトナーLOWまでの印字枚数を読み込み、廃トナー量と印字枚数から1枚当たりの回収容器62の廃トナー蓄積量(以下、廃トナー蓄積速度という)を算出する。予め設定されている回収容器62に回収可能な廃トナー量に対し、算出された廃トナー量から継続して回収可能な廃トナー量を見積もる。見積もられた回収可能な廃トナー量を廃トナー蓄積速度(画像形成毎に回収容器62に蓄積されるトナーの蓄積量の平均値)で除算することにより、残り何枚の印字が可能であるか予測しユーザに報知する。
【0033】
【表1】

5g分の廃トナーを回収可能な回収容器62を備える画像形成装置におけるトナーLOW時の廃トナー量と、回収容器62が廃トナーで満杯になる予測印字枚数を、表1に示す。この実験において廃トナー量を変えるため、通常用いている現像バイアスではなく、意図的にカブリトナーを増やす設定で実験をおこなった。トナーLOW時に3gの廃トナーが回収容器62に蓄積している場合には、回収容器62には、2g分の空き容積がある。表1に示すように、トナーLOWまでの廃トナー蓄積速度からトナーLOW以降も同様の蓄積速度であると仮定して、回収容器62に空き容量が無くなる時期を印刷枚数6000枚と予想することができる。そして、ユーザに対して残り2000枚の印字が可能と報知する。また、表1に示すように、トナーLOW時に廃トナー容器内に廃トナー量が5g蓄積している場合には、廃トナーの満杯による画像不良が発生する可能性が高いため、ユー
ザにプロセスカートリッジBの交換を促す。また、実施例2において、印字枚数を記憶することで廃トナー蓄積速度を算出し予測を行ったが、印字枚数の代わりに感光ドラム1や現像スリーブ41の回転時間など、使用状態を示す他のパラメータを用いて同様に廃トナーの満杯の予測を行うこともできる。
【0034】
以上のように、実施例2に係る画像形成装置においては、転写残トナー量にカブリトナー量を加味した廃トナー量を算出することができる。これにより、精度良く回収容器が廃トナーで満杯になる時期を予測できる。また、残トナー量が連続的に検知できないことにより、廃トナー量を連続的に測定できない場合においても、廃トナーが、トナー容器に満杯になる時期を未然に予測することができる。そして、未然に回収容器の満杯を警告することができ、廃トナーが回収容器を溢れることによる画像形成の不良を抑制することができる。
【0035】
なお、回収容器62を小型化した場合においては、回収容器62が廃トナーで満杯になるまでの期間が短いため、より精度よく満杯時期を予測することが望まれる。したがって、本発明の特徴は、回収容器62を小型化した場合に適用するとより効果的である。
【0036】
(その他)
なお、本実施例では、CPU9は検知信号に基づいて画像形成装置に設けられた表示部に警告を報知しているがこれ以外の形態にも適用可能である。例えば、検知信号に基づいてネットワークでつながった端末に警告を表示させたり、検知信号に基づいて画像形成の動作を停止させたりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…感光ドラム、5…転写装置、6…クリーニング装置、41…現像スリーブ、44…トナー容器、62…回収容器、A…画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、露光により前記像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、
現像剤を収容する現像剤容器と、前記現像剤容器に収容された現像剤を前記像担持体上に供給することにより、前記静電潜像を可視化し、前記像担持体上に現像剤像を形成する現像剤担持体と、を備える現像装置と、
前記現像剤像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写装置と、
転写後に前記像担持体上に残留した現像剤を除去するクリーニング部材と、除去された現像剤を回収する回収容器と、を備えるクリーニング装置と、
を有する画像形成装置において、
前記現像剤容器に存在する現像剤量を測定する測定装置と、
前記現像剤容器から前記像担持体に供給される現像剤量を算出する第1の算出手段と、
前記記録媒体又は前記中間転写体に転写された現像剤量を算出する第2の算出手段と、
前記第1の算出手段によって算出された現像剤量と、前記第2の算出手段によって算出された現像剤量とに基づいて前記回収容器内に蓄積した現像剤の量に関する情報信号を発信する制御部と、を備え、
前記第1の算出手段は、画像形成後に前記測定装置により測定される現像剤量と、前記現像剤容器に初めから存在した現像剤量とから、前記現像剤容器内から前記像担持体に供給される現像剤量を算出し、
前記制御部は、前記第1の算出手段によって算出された現像剤量と、前記第2の算出手段によって算出された現像剤量とに基づいて前記回収容器内に蓄積した現像剤の量に関する情報信号を発信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記測定装置は、前記現像剤容器に電極を備え、前記電極の間の静電容量を測定することにより前記現像剤容器内に存在する現像剤量を測定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記測定装置は、前記現像剤容器内を通過する光を検知することで、前記現像剤容器内に存在する現像剤量を測定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
所定の濃度を再現するための1画素中における前記静電潜像が形成される領域の面積と、前記所定の濃度を再現するための1画素中における前記静電潜像が形成される領域に対して供給される現像剤量と前記転写される現像剤の割合との積と、が予め記憶される第1の記憶手段を有し、
前記第2の算出手段は、前記面積と、前記積との積の総和を演算することにより前記転写された現像剤量を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置の使用状態を記憶する第2の記憶手段を有し、
前記使用状態に基づいて、画像形成毎に前記回収容器に蓄積する現像剤の蓄積量の平均値を算出し、
前記平均値と、前記使用状態における前記回収容器の空き容積に基づいて、前記回収容器が現像剤で満杯になるまで、残り何枚の記録媒体に画像形成が可能か予測することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
情報を表示するための表示部を備え、前記情報信号に基づいて前記表示部に警告を表示する請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記情報信号に基づいて前記画像形成装置の画像形成の動作を停止させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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