説明

画像用フレーム

【課題】画像表示手段の表示面に並列して掲載される画像以外の表示情報に影響を与えることなく、画像にのみ、「距離的な遠近感」と「視野的な遠近感」の2つの遠近感を発生させることができる画像用フレームを提供すること。
【解決手段】画像表示手段10の表示面11から前方に所定の距離で離間して配置された透明板状部材21に、画像表示手段10の表示面11に表示された画像15の位置や形状に対応して画枠としてのフレーム部22が描かれ、画像15の前方においてその画像15を見る者の眼の位置が移動する所定の範囲内では、フレーム部22の内縁によって画像15の周縁部15aが隠されてフレーム部22の内側空間22aには画像15以外が見えないように、フレーム部22の内縁の大きさが画像15よりも小さく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
写真、絵画、イラスト等の画像に額縁等のフレーム(画枠)を用いることは広く行われている。本発明は、これらの画像、さらには動画映像等に用いて、視覚的な空間的遠近感を発生させるとともに、画質をも向上させることが可能な画像用フレームに関する。
【0002】
また、本発明は、さまざまな画像表示手段(例えば、テレビ、パソコンモニタ、画像投影スクリーン、写真スタンド、ポスター、カレンダー等)の表示面に並列して掲載される文字情報その他、画像以外の表示情報に影響を与えることなく、画像のみにフレーム(画枠)を施すことが可能な画像用フレームに関する。
【0003】
画像に視覚的な空間的遠近感を発生させるためには、「距離的な遠近感」と「視野的な遠近感」の2つの遠近感が必要である。「距離的な遠近感」とは「画像の視覚的な奥行き」であり、「視野的な遠近感」とは「画像の視覚的な広がり」である。
【背景技術】
【0004】
これについて、本願発明者は、画面から所定の間隔をおいて該画面を臨む窓を形成すべく枠状に設けられ、前記画面を見る者が位置する所定の範囲内では前記窓内には前記画面以外が見えないように、前記窓の大きさが前記画面よりも小さく設けられていることを特徴とする画面用窓枠を先に提案してある(特許文献1参照)。
この画面用窓枠は、画面の全面を覆うものであり、窓を模した形態になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−187573号公報([0055]、図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像用フレームに関して解決しようとする問題点は、背景技術の画面用窓枠では、画像表示手段の表示面に並列して掲載される画像以外の表示情報に影響を与えることなく、画像にのみ遠近感を発生させることができないことにある。
そこで、本発明の目的は、画像表示手段の表示面に並列して掲載される画像以外の表示情報に影響を与えることなく、画像にのみ、「距離的な遠近感」と「視野的な遠近感」の2つの遠近感を発生させることができる画像用フレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる画像用フレームの一形態によれば、画像表示手段の表示面から前方に所定の距離で離間して配置された透明板状部材に、該画像表示手段の該表示面に表示された画像の位置や形状に対応して画枠としてのフレーム部が描かれ、前記画像の前方において該画像を見る者の眼の位置が移動する所定の範囲内では、前記フレーム部の内縁によって前記画像の周縁部が隠されて該フレーム部の内側空間には該画像以外が見えないように、前記フレーム部の内縁の大きさが前記画像よりも小さく設定されている。
【0008】
また、本発明にかかる画像用フレームの一形態によれば、前記透明板状部材が、前記フレーム部の内縁によって囲まれた範囲で、開口していることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる画像用フレームの一形態によれば、前記フレーム部がシート状の部材に描かれ、前記透明板状部材に貼付することを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかる画像用フレームの一形態によれば、前記フレーム部の裏側に画像を照明する照明手段を備えていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる画像用フレームの一形態によれば、前記フレーム部の内側空間に格子状、縦や横方向のさん状、又は網状の模様を描いたことを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明にかかる画像用フレームの一形態によれば、前記フレーム部が前記画像の表示面に対し、一定の曲率で前方または後方に湾曲していることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明にかかる画像用フレームの一形態によれば、前記フレーム部が前記画像表示手段の表示面に構成された複数の画像に対応するよう、前記透明板状部材に複数配されていることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明にかかる画像用フレームの一形態によれば、前記画像表示手段の表示面に対し、着脱自在に装着されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像用フレームによれば、画像表示手段の表示面に並列して掲載される画像以外の表示情報に影響を与えることなく、画像にのみ、「距離的な遠近感」と「視野的な遠近感」の2つの遠近感を発生させることができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像用フレームの形態例であって、両眼視差による距離的な遠近感(空間の視覚的な奥行き)の発生状況を示す説明図である。
【図2】本発明に係る画像用フレームの形態例であって、視点移動による視野的な遠近感(空間の視覚的な広がり)の発生状況を示す説明図である。
【図3】本発明に係る画像用フレームの他の形態例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る画像用フレームを画像表示手段に装着する形態例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像用フレームの形態例を、添付図面(図1〜4)に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る画像用フレーム20は、画像表示手段10の表示面11から前方に所定の距離で離間して配置された透明板状部材21に、画像表示手段10の表示面11に表示された画像15の位置や形状等に対応して画枠としてのフレーム部22が描かれ、画像15の前方において画像15を見る者の眼の位置が移動する所定の範囲内では、フレーム部22の内縁によって画像15の周縁部15aが隠されてフレーム部22の内側空間22aには画像15以外が見えないように、フレーム部22の内縁の大きさが画像15よりも所定の比率で小さく設定されている。
【0016】
上記構造のフレーム部(画枠)22が配された画像15からは、両眼視差による距離的な遠近感と、その視点移動による視野的な遠近感が発生する。図1は、両眼視差による距離的な遠近感(空間の視覚的な奥行き)の発生状況を示す平面図及び正面図である。図2は、視点移動による視野的な遠近感(空間の視覚的な広がり)の発生状況を示す平面図及び正面図である。図中の符号は、M:画像の大きさ(M1は横方向の長さ、M2は縦方向の長さになっている。)、m:フレーム部の内縁の大きさ(m1は横方向の長さ、m2は縦方向の長さになっている。)、h:画像との離間距離、θ1:左眼の視角、θ2:右眼の視角、θ3:左側へ視点が移動したときの視野角、θ4:右側へ視点が移動したときの視野角、をそれぞれ示しており、m<Mという関係に設けられている。
【0017】
また、フレーム部22を透明な板状部材21に描くことで、画像表示手段10の表示面11に掲載される画像15以外の文字情報その他の表示情報(文字情報等40)を隠すことなく、画像15にのみフレーム部22を施すことが可能である。
さらに、表示画像15を覆うようにフレーム部22を配することで、表示画像15が外光からシールドされて画質が向上し、明るい周囲環境下でも鮮明な画像を観ることができる。
また、描かれるフレーム部22は、印刷技術等を使用して構成できるため、低コストで大量生産できる。そして、フレーム部22の形状は、様々にデザインでき、需要者の要求に応えることができる。
【0018】
本発明に係る画像用フレーム20には以下のような実施態様がある。
1.フレーム部22が描かれた透明板状部材21が、描かれたフレーム部22の内縁によって囲まれた範囲で切り取られ、開口している画像用フレーム。
これによれば、開口された空間により表示画像15と描かれたフレーム部22との距離感がより鮮明となり空間的遠近感が向上する。
【0019】
2.シート状部材に描かれたフレーム部22を透明板状部材21に貼付することで構成される画像用フレーム。
これによれば、透明板状部材21とフレーム部22の識別がより明確化することで空間的遠近感が向上するとともに、透明板状部材21をそのままに、フレーム部22のデザインを適宜に変更することができる。
【0020】
3.フレーム部22の裏側に画像15を照明する照明手段を備えている画像用フレーム。
画像表示手段10としては、テレビやパソコンモニタ等のように自ら発光して画像表示するものと、ポスターやカレンダー等のように発光しないものがある。そのため自ら発光しない表示画像15に対しては、フレーム部22の裏側に照明手段を配し、表示画像15を明るく照明する。照明手段としては電気的照明の他、夜光材料や蛍光材料等を用いた照明も含まれる。また自ら発光する表示画像15においても工夫をこらした照明をすることで、発生する空間的遠近感に独特な視覚効果を与えることができる。
【0021】
4.フレーム部22の内側空間22aに格子等を描いた画像用フレーム。
フレーム部22の内側空間22aに格子等を描くことで、表示画像15とフレーム部22との距離感が鮮明となるとともに、両眼視差が各所で発生することで空間的遠近感が向上する。ここで言う格子とは、縦および/または横方向に描かれたさんや、網状等のものを含む。
【0022】
5.フレーム部22が、表示画像15の表示面11に対し、一定の曲率で前方または後方に湾曲している画像用フレーム。
表示される画像15の内容に応じてフレーム部22を画像表示面11に対して、一定の曲率で湾曲させることで、表示画像15とフレーム部22との離間距離を、表示画像15上の各位置に応じて変化させることで、視覚的な空間的遠近感をさらに効果的に向上させることができる。
【0023】
6.フレーム部22が、画像表示手段10の表示面11に構成された複数の画像15に対応するように、透明板状部材21に複数配されている画像用フレーム。
図3に、二個の表示画像15A、15Bに適用させた画像用フレーム20の状況を示す。透明板状部材21にフレーム部22A、22Bが描かれることで構成されるため、接近して配された表示画像15A、15Bにおいても、容易にそれぞれの表示画像15A、15Bにフレーム部22A、22Bを適用させることが可能である。
【0024】
7.画像表示手段10の表示面11にワンタッチで着脱できる構造を備えた画像用フレーム。
画像表示手段10本来の使用に支障をきたさぬよう、画像用フレーム20はワンタッチで画像表示手段10の表示面11に着脱可能な構造を備えている。
例えば図4に示すように、パソコンモニタ10Aに画像用フレーム20を装着する場合は、モニタ10Aの上縁に掛けるフック部25と、モニタ10Aの表示画像15との間隔を保持する間隔保持部26を設ければよい。
【0025】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0026】
10 画像表示手段
10A モニタ
11 表示面
15 画像
15A 画像
15B 画像
15a 周縁部
20 画像用フレーム
21 透明板状部材
22 フレーム部
22A フレーム部
22B フレーム部
22a 内側空間
40 文字情報等

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示手段の表示面から前方に所定の距離で離間して配置された透明板状部材に、該画像表示手段の該表示面に表示された画像の位置や形状に対応して画枠としてのフレーム部が描かれ、前記画像の前方において該画像を見る者の眼の位置が移動する所定の範囲内では、前記フレーム部の内縁によって前記画像の周縁部が隠されて該フレーム部の内側空間には該画像以外が見えないように、前記フレーム部の内縁の大きさが前記画像よりも小さく設定されていることを特徴とする画像用フレーム。
【請求項2】
前記透明板状部材が、前記フレーム部の内縁によって囲まれた範囲で、開口していることを特徴とする請求項1記載の画像用フレーム。
【請求項3】
前記フレーム部が、シート状の部材に描かれ、前記透明板状部材に貼付されて設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像用フレーム。
【請求項4】
前記フレーム部の裏側に画像を照明する照明手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像用フレーム。
【請求項5】
前記フレーム部の内側空間に格子状、縦や横方向のさん状、又は網状の模様を描いたことを特徴とする請求項1、3又は4記載の画像用フレーム。
【請求項6】
前記フレーム部が、前記画像の表示面に対し、一定の曲率で前方または後方に湾曲していることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の画像用フレーム。
【請求項7】
前記フレーム部が、前記画像表示手段の表示面に構成された複数の画像に対応するよう、前記透明板状部材に複数配されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の画像用フレーム。
【請求項8】
前記画像表示手段の表示面に対し、着脱自在に装着されていることを特徴とする1、2、3、4、5、6又は7記載の画像用フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−228759(P2011−228759A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93668(P2010−93668)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(501192613)
【Fターム(参考)】