説明

画像目視スコープ

【課題】本発明は、画像目視スコープに関するもので、小型化を図ることを目的とするものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、画像の表示手段2と、この表示手段2に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段3、4とを備え、前記第1、第2の光学手段3、4は、接眼レンズ3b、4bと、表示側に設けた対物レンズ3c、4cを有し、前記対物レンズ3c、4cは、輻輳角調整手段を連結した構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、視力回復訓練用や、医療用などに用いられる画像目視スコープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの画像目視スコープの構成は、以下のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、本体ケースの一端側に接眼用の覗き孔を設けるとともに、この本体ケースの内部には、左眼用と右眼用にそれぞれ可動自在となった表示部を設けている。そして、この表示部と訓練者の間には光学系がそれぞれ設けられ、前記表示部が訓練者に向かって前後に移動するとともに水平方向内側、水平方向外側にも同時に移動する。これにより、左眼と右眼の輻輳角を調整できるようになっている(例えば下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−243137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例における課題は、画像目視スコープ自体が大型化してしまうということであった。すなわち、この従来例においては、視力回復訓練において、左眼と右眼の輻輳角を調整するためには、本体ケース内において、表示部が左眼用と右眼用にそれぞれ必要であり、それぞれの表示部を覗き孔の近くから遠くまで可動させるとともに水平方向内側、水平外側にも同時に可動させなければならず、この表示部および、その可動機構の構成部品が多く、構成が複雑になることが結論として画像目視スコープを大型化させてしまうのであった。
【0006】
そこで本発明は、画像目視スコープの小型化を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明は、画像の表示手段と、この表示手段に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段とを備え、前記第1、第2の光学手段は、接眼レンズと、表示側に設けた対物レンズを有し、前記対物レンズは、輻輳角調整手段を連結し、これにより初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、画像の表示手段と、この表示手段に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段とを備え、前記第1、第2の光学手段は、接眼レンズと、表示側に設けた対物レンズを有し、前記対物レンズは、輻輳角調整手段を連結したものであるので、小型化を図ることができる。
【0009】
すなわち、本発明においては、表示手段を固定配置し、この表示手段と接眼レンズの間で対物レンズを輻輳角調整手段によって可動させ、これにより訓練者の輻輳角を変化させて表示手段に表示された表示が接近、または遠ざかるように移動する距離感を視覚認識させることができる。
【0010】
つまり、本発明においては、表示手段を、目の近くから遠方まで可動させる必要がないので、小型化を図ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の(実施の形態1)を示す斜視図
【図2】その一部切り欠き斜視図
【図3】その電気的な回路ブロック図
【図4】その表示手段と光学手段を示す断面図
【図5】その表示手段の正面図
【図6】その表示手段の正面図
【図7】その表示手段と光学手段を示す断面図
【図8】本発明の(実施の形態2)の表示手段と光学手段を示す断面図
【図9】本発明の(実施の形態3)を示す側面図
【図10】その水平方向の断面図
【図11】その水平方向の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施形態を視力回復訓練装置に適用したものを示し、この図1において、1は本体ケースで、この本体ケース1の内部には、図2に示すごとく、液晶を利用した表示手段2が配置されている。この表示手段2は、この図2に示すごとく、本体ケース1の内部の奥側に配置されたものである。
【0014】
また、この図2に示すように、本体ケース1の手前側には第1、第2の光学手段3、4が水平方向に並べて配置されている。これら第1、第2の光学手段3、4は、いずれも鏡筒3a、4a内に、接眼レンズ3b、4bと、対物レンズ3c、4cを所定間隔離した状態で配置した構成となっている。
【0015】
また、これら第1、第2の光学手段3、4の接眼レンズ3b、4bは、この図2からも明らかなように、本体ケース1外に配置され、対物レンズ3c、4cは、本体ケース1内に配置された構成となっている。
【0016】
つまり、訓練者は、本体ケース1外に突出した鏡筒3a、4aの手前側の開口3d、4dに目を押し当て、その状態で、接眼レンズ3b、4bおよび対物レンズ3c、4cを介して、表示手段2の表示を見ることになる。
【0017】
このとき、本体ケース1内に配置された対物レンズ3c、4cには、ロッド5を介して、リニアアクチュエータ6が連結されており、このリニアアクチュエータ6をモータ7で駆動することにより、対物レンズ3c、4cは、接眼レンズ3b、4bと表示手段2の間の鏡筒3a、4a内を可動することになる。
【0018】
図3は、電気的なブロック図を示し、制御回路8には、AC/DC電源ユニット9を介して、電源が供給される。
【0019】
AC/DC電源ユニット9と交流電源10との接続は、電源スイッチ11を介して行われる。
【0020】
さて、電源が供給された制御回路8は、スタートスイッチ12で制御をスタートさせ、駆動回路13を介して、表示手段2を駆動する。このとき、対物レンズ3c、4cも、表示手段2に表示された画像に連動して摺動される。
【0021】
具体的には、表示手段2に表示される画像も、対物レンズ3c、4cも近くにある物体が遠くに移動する様に動作され、この点は次に詳細に説明する。
【0022】
図4および図5は、表示手段2に表示される画像が、視覚的に訓練者の近傍にある状態を示している。
【0023】
訓練者14は、図4に示すごとく、左右の開口3d、4dに右目15、左目16を押し当て、この状態でスタートスイッチ12を押す。図示していないが、左右の鏡筒3a、4aの接眼レンズ3b、4bの開口3d、4d側には、シャッターが設けられており、このシャッターを開閉することにより、右目15、左目16の単独の訓練と、両方同時の訓練が行える状態となっているが、以下の説明は、右目15、左目16の両方を同時に訓練している状態を説明することとする(従って、以下の説明では、シャッターは両目とも開放状態となっており、よって、図示していない)。
【0024】
さて、図5は、右目15、左目16の訓練において、表示手段2に表示される画像が、近傍にある状態を示すものである。この図5において、円2aは、訓練者14から見える最外周を示している(つまり、両目で、双眼鏡で景色を見ている状態に似た状態となる)。
【0025】
この図5で、円2a内には、基準表示2bと、この基準表示2bに対して大きさが可変される可変表示2cとが表示されている。この内、基準表示2bは、可変表示2cが手前にあるか遠方にあるかを、訓練者14に強く視覚認識させるために設けたものであり、この図5に示すごとく、遠近法を利用し、中心の四角の枠Aと、その四角の枠Aの四隅に結んだ斜め線Bとを備えている。また、図示していないが、基準表示2bには四角の枠A近傍から円2aに向かって訓練者14に明暗を視覚認識させるような白黒または色つきの濃淡をつけても良い。これにより遠近感をさらに訓練者14に視覚認識させることができる。
【0026】
一方、図6は、可変表示2cが、遠方にある状態を示しているが、この可変表示2cが、近くにある状態では、図5のごとく、訓練者14には、この可変表示2cは大きく視覚認識されるものである。
【0027】
このように、可変表示2cが、近くにある状態と視覚認識させるために、図4に示すごとく、対物レンズ3c、4cを最も接眼レンズ3b、4b側へと移動させ、また図5に示すごとく、表示手段2においては、可変表示2cと表示した大きさで表示を行うこととする。
【0028】
このように設定した場合、まずは、図5に示す円2aは、図4に示すごとく、最も手前画に移動した対物レンズ3c、4cが凹レンズであることから、この対物レンズ3c、4cに入射したことで、外側に広がった傾斜を持ち、この傾斜による光が、次に、接眼レンズ3b、4bを介して右目15、左目16に入射されることとなる。
【0029】
接眼レンズ3b、4bは、凸レンズであるので、対物レンズ3c、4cからの光を右目15、左目16に焦点を結ぶごとく絞り込んだ光を作る。
【0030】
そして、この接眼レンズ3b、4bから、右目15、左目16に入る光の角度が広ければ、可変表示2cは、近くにあると視覚認識し、逆に、この接眼レンズ3b、4bから、右目15、左目16に入る光の角度が狭ければ、可変表示2cは、遠くにあると視覚認識する。
【0031】
つまり、接眼レンズ3b、4bの内側に対物レンズ3c、4cからの光が入射すれば、可変表示2cは、近くにあると視覚認識し、逆に、接眼レンズ3b、4bの外側に対物レンズ3c、4cからの光が入射すれば、可変表示2cは、遠くにあると視覚認識する。
【0032】
図5において、円2aの近傍にまで、大きく可変表示2cを表示させた状態が図4に示すように訓練者14に視覚認識させるものであって、このとき、開口3d、4dに右目15、左目16を押し当てた訓練者14には、虚像位置部分(図示せず)に、可変表示2cが存在しているものと視覚認識されている。
【0033】
一方、図6および図7は、可変表示2cが、遠方に移動した状態を、訓練者14に視覚認識させる状態を示すものである。
【0034】
このとき、対物レンズ3c、4cは、図7に示すごとく、鏡筒3a、4a内を、接眼レンズ3b、4bから、表示手段2側に最も離れた位置へと移動させられている。
【0035】
また、このとき、図6からも理解されるように、可変表示2cは、小さく表示され、この小さく表示された可変表示2cが、対物レンズ3c、4cで広げられた後に、接眼レンズ3b、4bに到達することになるのであるが、図7においては、接眼レンズ3b、4bの光として、接眼レンズ3b、4bに到達する部分は、この接眼レンズ3b、4bの中心より外側に入射することになる。
【0036】
そして、この位置から、接眼レンズ3b、4bにより、絞られて、右目15、左目16に到達する光の角度は狭く、よって、訓練者14にとっては、図7の遠方に可変表示2cが移動したように視覚認識され、つまり、訓練者14には、図6の状態が視覚認識されるものである。
【0037】
この訓練は、図5に示す様に、可変表示2cが、近傍にある状態から、図6に示す遠方にある状態まで、この可変表示2cが、徐々に移動することを繰り返すことによって、訓練者14に近くから遠方まで、画像を見ようとする訓練を行い、これによって、視力回復訓練を行おうとしている。
【0038】
本実施形態における特徴点の1つとして、接眼レンズ3b、4bを固定し、対物レンズ3c、4cを移動させるとともに、表示手段2の基準表示2bと可変表示2cを適切に調整することで、可変表示2cが、手前から遠方へと移動するときに、訓練者14の右目15、左目16の焦点ズレを抑制できることが上げられる。
【0039】
ここで、本発明の最大の特徴である訓練者14の輻輳角を調整する輻輳角調整手段について図4、図7を用いて詳細に説明する。
【0040】
図4に示すように対物レンズ3c、4cはそれぞれホルダ3e、4eに収納されており、このホルダ3e、4eは鉛直下方に向けて円柱状の棒状突起3f、4fが設けられている。
【0041】
そして、第1、第2の光学手段3、4には案内溝3g、4gが設けられ、棒状突起3f、4fが摺動可能に保持されている。
【0042】
この案内溝3g、4gは棒状突起3f、4fの円柱部側面が摺動する平行な側壁部分を有する長孔もしくは凹部で、表示手段2の表示部における焦点位置と接眼レンズ3b、4bの中心を結ぶ光軸の角度θをなす直線に対して所定の角度で形成される。
【0043】
ここで、光軸の角度θは表示手段2の表示部の焦点位置と、訓練者14の左目15、右目16を結ぶ直線がなす角度に等しい。
【0044】
案内溝3g、4gの長手方向の角度は、所望の近点と遠点のそれぞれの位置と左目15、右目16の距離である眼幅によって決定される輻輳角と、上述した焦点ズレを抑制できるように決定された接眼レンズ3b、4bと対物レンズ3c、4cのそれぞれの焦点距離、および両レンズ間の相対距離によって決定されるものである。
【0045】
具体的には、近点25cm、遠点70cm、眼幅6cmと設定し、視度を遠点での屈折度数が−1.43D(ディオプタ)、近点での屈折度数が−4Dとした場合には光軸からの対物レンズの光軸と直交する方向の対物レンズ3c、4cの中心のズレ量が、遠点の位置においては光軸の外側方向に3mm、近点の位置においては光軸の内側方向に3mmとなっている。
【0046】
これらの値は装置の大きさやレンズの材料、大きさなど所望の設計条件によって、それぞれ適宜設定されるものであって、上記の値に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0047】
そして、この近点と遠点において対物レンズ3c、4cの中心の位置をそれぞれ結ぶ線が、案内溝3g、4gが光軸の角度θをなす直線に対して所定の角度で形成される。
【0048】
ここで、光軸の角度θをなす直線は表示手段2の表示部における焦点位置と、接眼レンズ3b、4bの中心および訓練者14の左目15、右目16を結ぶ直線である。
【0049】
さらに、図4に示すごとく、第1、第2の光学手段3、4には案内溝3g、4gと平行にホルダ保持部3h、4hが設けられており、ホルダ3e、4eの保持部3h、4h側の外壁はこの保持部3h、4hに沿う形状となっている。そして、この案内溝3g、4gと、ホルダ保持部3h、4hに沿って、ホルダ3e、4eが移動し、これとともに対物レンズ3c、4cも案内溝3g、4gの角度に沿って移動する構成としている。
【0050】
これにより輻輳角は、近点では図4に示すようにΦ1、遠点では図7に示すようにΦ2となり、輻輳角を適宜所望の角度に調整することができる。
【0051】
したがって、表示手段2を固定した状態で、この表示手段2と接眼レンズ3b、4bの間で対物レンズ3e,4eを案内溝3g、4gに沿って可動させ、これにより訓練者14の輻輳角を調整して、訓練者14に対して表示手段2に表示された表示が近くから遠ざかるように移動する距離感を視覚認識させることができる。
【0052】
つまり、本実施形態においては、表示手段2を訓練者14の近くから遠方まで可動させるとともに水平方向内側、水平方向外側にも同時に可動させる必要がないので、装置の構成が簡略化されるとともに、小型化を図ることができるのである。さらに、電気部品などにより構成される表示手段2を固定できるので、機器の信頼性が向上するという効果を奏する。
【0053】
ここで、本実施の形態では、ホルダ保持部3h、4hに沿ってホルダ3e、4eが移動する例を説明したが、これに限定されるものではない。案内溝3g、4gのみでホルダ3e、4eを保持して移動するように、棒状突起3f、4fを案内溝3g、4gの長手方向に伸びた略長方形の形状にしたり、棒状突起3f、4fと同様の円柱状の棒状突起をホルダ3e、4eの棒状突起3f、4fを設けている他端側にも設けるなどしたりしても良い。
【0054】
また、第1、第2の光学手段3、4に案内溝3g、4gに平行な案内溝をそれぞれさらに設け、これにホルダ3e、4eから円柱状の棒状突起をホルダ3e、4eが可動可能に挿入することによって、ホルダ3e、4eをガイドして移動させてもよい。
【0055】
また、前記対物レンズ3c、4cと前記ホルダ3e、4eは一体で形成してもよく、この場合には対物レンズ3c、4cとホルダ3e、4eの組み合わせによるズレをなくし、また個々の部材の加工ばらつきの蓄積を低減することができるので、第1、第2の光学手段3、4における対物レンズ3c、4cの位置精度を高めることができ、さらに、視力訓練回復装置の性能を高めることができるとともに、構成も簡素化できるという効果も奏する。
【0056】
また、本実施形態では、この訓練は、図5に示す様に、可変表示2cが、近傍にある状態から、図6に示す遠方にある状態まで、この可変表示2cが、徐々に移動することを繰り返すことによって、訓練者14に近くから遠方まで、画像を見ようとする訓練を行い、これによって、視力回復訓練を行おうとしているとして説明したがこれに限定されるものではない。
【0057】
図6に示す様に、可変表示2cが、遠方にある状態から、図5に示す近傍にある状態まで、この可変表示2cが、徐々に移動することを繰り返すことによって、訓練者14に遠方から近くまで、画像を見ようとする訓練を行い、これによって、視力回復訓練を行おうとしてもよい。この場合は遠視や老眼に対して視力回復訓練を行うことができる。
【0058】
(実施の形態2)
さらに、図8に示すように前記第1、第2の光学手段3、4において、訓練者14と接眼レンズ3b、4bの間にプリズム17、18を設けても良い。
【0059】
すなわち、この場合には表示手段2から対物レンズ3c、4cおよび接眼レンズ3b、4bを通過してきた光が訓練者14と接眼レンズ3b、4bの間に設けられたプリズム17、18によって図8に示すごとく訓練者14の左目15、右目16に向かって集光するようにそれぞれ屈折させられる。このとき、図8のごとく遠点の位置を示す状態においては輻輳角がΦ2となる。
【0060】
この場合においては、表示手段2の表示部における焦点位置と接眼レンズ3b、4bの中心を結ぶ光軸がなす角度θaを、上述したプリズム17、18がない状態の光軸の角度θよりも大きくすることができ、表示手段2と鏡筒3a,4aの先端部との距離L1を上述したプリズム17、18がない状態の距離よりも小さくできる。
【0061】
また、この光軸がなす角度θaを大きくすることによって第1、第2の光学手段3、4の全体の長さも小さくすることができる。
【0062】
したがって、第1、第2の光学手段3、4において、訓練者14と接眼レンズ3b、4bの間にプリズム17、18を設けることで、さらに小型化を図ることができるのである。
【0063】
ここで、本実施の形態では、プリズム17、18を訓練者14と接眼レンズ3b、4bの間に設けるものとして説明したが、これに限定されるものではない。
【0064】
プリズム17、18を表示手段2と対物レンズ3c、4cの間に設けて表示手段2からの光を対物レンズ3c、4cに向けて屈折させても、表示手段2と鏡筒3a,4aの先端部との距離L1を上述したプリズム17、18がない状態の距離よりも小さくでき、また、プリズム17、18を対物レンズ3c、4cと接眼レンズ3b、4bの間に設けて、対物レンズ3c、4cを通過した光を接眼レンズ3b、4bに向けて屈折させても表示手段2と鏡筒3a,4aの先端部との距離L1を上述したプリズム17、18がない状態の距離よりも小さくできるとともに、第1、第2の光学手段3、4の全体の長さも小さくすることができる。
【0065】
(実施の形態3)
図9から図11は、本発明の一実施形態を医療用に適用したものを示し、この図9から図11において、19は顔面装着用フレームで、その両側には、図9に示すごとく、医療従事者20の耳21に装着するための蔓22が装着具の一例として、設けられている。
【0066】
また、顔面装着用フレーム19の医療従事者20側には、鼻当て23が設けられ、この鼻当て23が医療従事者20の鼻24に掛けられ、蔓22が耳21に掛けられた状態で使用される。
【0067】
顔面装着用フレーム19の鼻当て21の両側には、それぞれ光学手段として、医療従事者20側から、接眼レンズ25、対物レンズ26、表示手段27が順番に並べられている。また、接眼レンズ25と医療従事者20の目28の間には、保護板29が設けられている。
【0068】
さて、接眼レンズ25は、図10に示すとおり凸レンズとなっており、これは、顔面装着用フレーム19に固定された状態となっている。また、対物レンズ26は凹レンズとなっているが、これには、その内周には、駆動ピン30を介してラック31が一体化され、さらにこのラック31には、ピニオンとなるネジ32が螺合させられている。ネジ32のネジ頭32aは、図10に示すごとく、顔面装着用フレーム19の前面中央部に露出している。つまり、左右の対物レンズ26は、ネジ頭32aを調整することで、それに対応して接眼レンズ25に対する水平方向の位置を調整することができるようになっている。
【0069】
また、左右の対物レンズ26の前方には、それぞれ、表示手段27が設けられているが、この表示手段27には、それぞれ別のカメラ(図示せず)からの画像が表示されるようになっている。つまり、この図9、図10では、図示していないが、医療従事者20の上方左右には、それぞれカメラが、この医療従事者20に非接触状態で配置されており、このカメラは、手術場所に焦点が当てられている。
【0070】
そして、左右別々のカメラからの画像は、それぞれ左右の表示手段27に別々に表示されるようになっている。このように医療用として活用する場合には、左右の表示手段27に表示される画像の大きさは、基本的には一定の大きさとなる。つまり、上述したごとく、カメラは医療従事者20とは独立した状態で固定配置された状態となっており、また患者もほぼ定位置で保持されることから、カメラによって得られる画像の大きさは、上述したごとく、左右の表示手段27それぞれにおいて、ほぼ一定の大きさになるのである。
【0071】
さて、医療従事者20が手術を行うに際し、図10は、医療従事者20が患者との間隔を適当に離したイメージで手術を行おうとしている状態を示している。すなわち、この時には、ネジ頭32aを、左に回すことで、左右の対物レンズ26を接眼レンズ25の外方へと移動させている。つまり、左右の対物レンズ26は、この図10に示すごとく顔面装着用フレーム19内の案内溝33に沿って、それぞれに対応する接眼レンズ25の中心の内外方に移動可能な状態となっており、ネジ頭32aを左に回せばラック31が、図10のごとくネジ頭32a側へと移動する。
【0072】
ラック31には、上述のごとく駆動ピン30を設けており、これらの駆動ピン30は連結体34の傾斜溝34a内に係合させている。したがって、ネジ頭32aを左に回せばラック31が、図10のごとくネジ頭32a側へと移動し、これにより駆動ピン30もネジ頭32a側へと移動し、この結果、この駆動ピン30と傾斜溝34aの係合により、この図10にしめすごとく、対物レンズ26の中心は接眼レンズ25の中心よりも外方に移動する。
【0073】
また、医療従事者20が手術を行うに際し、図11は、医療従事者20が患者との間隔を接近させたイメージで手術を行おうとしている状態を示している。すなわち、この時には、ネジ頭32aを、右に回すことで、左右の対物レンズ26を接眼レンズ25の内方へと移動させている。つまり、左右の対物レンズ26は、この図11に示すごとく顔面装着用フレーム19内の案内溝33に沿って、ネジ頭32aを右に回せばラック31が、図10のごとく鼻当て23側へと移動する。
【0074】
この結果、この駆動ピン30と傾斜溝34aの係合により、この図11にしめすごとく、対物レンズ26の中心は接眼レンズ25の中心よりも内方に移動する。
【0075】
もちろん、ネジ頭32aの回動量を調整することで、その医療従事者20にとって最も好ましい位置を設定する。
【0076】
さて、このように対物レンズ26の中心が接眼レンズ25の中心よりも外方に移動すると、図10に示す表示27aの情報は、情報線27bのごとく接眼レンズ25の中心よりも外方を通って目28に到達することになる。
【0077】
すなわち、この時には、対物レンズ26の中心よりも内方を通り、つぎに、接眼レンズ25の中心よりも外方を通り、目28に向かう情報線27bは、接眼レンズ25の中心よりも外方を通って目28に到達するので、表示27aが図10のごとく、情報線27cの延長線上の遠方に表示27dとして存在すると、医療従事者20が脳内で判断することになる。つまり、医療従事者20が患者との距離を適切に保った状態で手術することが、自分の手の動きとの感覚と一致する状態であるときに、この図10の状態を設定する。
【0078】
これに対して、図11は、医療従事者20が患者に接近したイメージで手術を行おうとするときの状態を示している。この時には、ネジ頭32aを右に回動させて、ラック31を鼻当て23側に移動させる。
【0079】
すると、図11に示すごとく、表示27aからの情報線27bは、対物レンズ26の中心よりも外方を通り、つぎに、接眼レンズ25の中心よりも内方を通り目28に到達する。
【0080】
この時には、接眼レンズ25の中心よりも内側を通って、情報線27bが目28に到達するので、表示27aが図11のごとく、情報線27cの延長線上の近傍に表示27dとして存在すると、医療従事者20が脳内で判断することになる。つまり、医療従事者20が患者に接近した状態で手術することが、自分の手の動きとの感覚と一致する状態であるときに、この図11の状態を設定する。
【0081】
もちろん、図10、図11の間の距離感は、ネジ頭32aを調整することで自由に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように本発明は、画像の表示手段と、この表示手段に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段とを備え、前記第1、第2の光学手段は、接眼レンズと、表示側に設けた対物レンズを有し、前記対物レンズは、輻輳角調整手段を連結したものであるので、小型化を図ることができる。
【0083】
すなわち、本発明においては、表示手段を固定配置し、この表示手段と接眼レンズの間で対物レンズを輻輳角調整手段によって可動させ、これにより訓練者の輻輳角を変化させて表示手段に表示された表示が接近、または遠ざかるように移動する距離感を視覚認識させることができる。
【0084】
つまり、本発明においては、表示手段を、目の近くから遠方まで可動させる必要がないので、小型化を図ることができるのである。
【0085】
このため、視力回復訓練用として活用する場合には、訓練用のスペースが小さくてすみ、また、医療用として活用する場合には、医療従事者の距離感に適用させることができるので、スムーズで、かつ疲労感の少ない医療業務を実行することが出来る。
【0086】
したがって、各分野において広く活用が期待される。
【符号の説明】
【0087】
1 本体ケース
2 表示手段
3 第1の光学手段
3a、4a 鏡筒
3b、4b 接眼レンズ
3c、4c 対物レンズ
3d、4d 開口
3e、4e ホルダ
3f、4f 棒状突起
3g、4g 案内溝
4 第2の光学手段
5 ロッド
6 リニアアクチュエータ
7 モータ
8 制御回路
9 AC/DC電源ユニット
10 交流電源
11 電源スイッチ
12 スタートスイッチ
13 駆動回路
14 訓練者
15 右目
16 左目
17、18 プリズム
19 顔面装着用フレーム
20 医療従事者
21 耳
22 蔓
23 鼻当て
24 鼻
25 接眼レンズ
26 対物レンズ
27 表示手段
27a 表示
27b 情報線
27c 情報線
27d 表示
28 目
29 保護板
30 駆動ピン
31 ラック
32 ネジ
32a ネジ頭
33 案内溝
34 連結体
34a傾斜溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の表示手段と、この表示手段に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段とを備え、前記第1、第2の光学手段は、接眼レンズと、表示側に設けた対物レンズを有し、前記対物レンズは、輻輳角調整手段を連結した画像目視スコープ。
【請求項2】
前記輻輳角調整手段は、前記表示手段に向けて水平方向外側に広がる方向に前記対物レンズを移動させる手段である請求項1に記載の画像目視スコープ。
【請求項3】
前記輻輳角調整手段は、案内溝を有する請求項2に記載の画像目視スコープ。
【請求項4】
前記表示手段は、表示する画像の大きさを可変する構成とした請求項4に記載の画像目視スコープ。
【請求項5】
前記対物レンズを、前記接眼レンズと前記表示手段間で可動させるとともに、前記表示手段は、表示する画像の大きさを可変する構成とした請求項3に記載の画像目視スコープ。
【請求項6】
前記表示手段は、基準表示と、この基準表示に対して大きさが可変される可変表示とを表示する構成とした請求項1から5のいずれか一つに記載の画像目視スコープ。
【請求項7】
前記第1、第2の光学手段は、一つの前記表示手段に向けて配置した、請求項1から6のいずれか1つに記載の画像目視スコープ。
【請求項8】
前記第1、第2の光学手段に設けた、それぞれの前記対物レンズは、1つの前記可動手段により可動させる構成とした請求項1から7のいずれか一つに記載の画像目視スコープ。
【請求項9】
前記第1、第2の光学手段は、前記訓練者と前記表示手段の間にプリズムを備えている請求項1から8のいずれか一つに記載の画像目視スコープ。
【請求項10】
前記第1、第2の光学手段は、前記訓練者と前記対物レンズの間に前記プリズムを備えている請求項9に記載の画像目視スコープ。
【請求項11】
表示手段は、表示する画像の大きさを、ほぼ一定とする構成とした、請求項1から3のいずれか一つに記載の画像目視スコープ。
【請求項12】
顔面装着用フレームの左右に光学手段を設けるとともに、この顔面装着用フレームには、顔面装着用の装着具を設けた、請求項11に記載の画像目視スコープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−88869(P2010−88869A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166549(P2009−166549)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)