説明

画像表示システム

【課題】鑑賞者にさらに幻想的な感覚を与える画像表示システムを提供する。
【解決手段】画像を表示する表示ユニットと、鑑賞者の鑑賞場所を挟む位置に相互に対向して設置され、前記表示ユニットに表示された画像を反射する第1の反射板及び第2の反射板と、前記表示ユニットに表示される画像が移動するように前記表示ユニットを制御する表示制御ユニットと、を備えることを特徴とする画像表示システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システムに関し、例えば、いわゆるアートセラピーに好適な画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示システムとして、映画等を上映するための映写システムやフライトシミュレータなどが知られている(特許文献1及び2参照)。このような画像表示システムは、鑑賞者に、幻想的な感覚を与えることができる。
【特許文献1】特開2005−25046号公報
【特許文献2】特開2002−229433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の画像表示システムは、主としてディスプレイに表示される画像により、鑑賞者に幻想的な感覚を与えていた。そのため、鑑賞者が感じる幻想的な感覚の程度は、比較的限定されたものであった。
【0004】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、鑑賞者にさらに幻想的な感覚を与える画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、第1の本発明によれば、画像を表示する表示ユニットと、鑑賞者の鑑賞場所を挟む位置に相互に対向して設置され、前記表示ユニットに表示された画像を反射する第1の反射板及び第2の反射板と、前記表示ユニットに表示される画像が移動するように前記表示ユニットを制御する表示制御ユニットと、を備えることを特徴とする画像表示システムが提供される。
【0006】
第1の本発明によれば、第1の反射板及び第2の反射板が合わせ鏡として機能し、第1の反射板及び第2の反射板に挟まれた空間の外側に続く仮想的な空間を形成する。表示ユニットに表示される画像は、第1の反射板及び第2の反射板によって繰り返し反射され、仮想的な空間全体に広がる。表示ユニットに表示される画像が表示制御ユニットによって移動させられ、それに伴って、第1の反射板及び第2の反射板によって繰り返し反射されて仮想的な空間全体に広がった画像も移動する。また、鑑賞者の像も第1の反射板及び第2の反射板に映し出されるため、鑑賞者は、自分が光の空間に包まれ、正確にはどの位置にいるか分からなくなるような感覚を味わうことができる。そのため、鑑賞者は、錯覚により、例えば宙に浮いているような幻想的な感覚を楽しむことができる。
【0007】
従って、第1の本発明に係る画像表示システムは、鑑賞者にさらに幻想的な感覚を与えることができる。
【0008】
第1の本発明に係る画像表示システムを用いた幻想的な感覚は、鑑賞者にエンターテイメント、リラックス、癒しなどの効果をもたらし得るため、いわゆるアートセラピーのために第1の本発明に係る画像表示システムを利用することができる。
【0009】
また、第2の本発明によれば、長尺方向に直線状に配列された複数の発光ダイオードを備える複数の棒状発光部材が、鑑賞者の鑑賞場所を取り囲むように所定の間隔で平行に配列された表示ユニットと、前記表示ユニットの上方と下方に、相互に対向して前記鑑賞者の鑑賞場所を挟むように設置され、前記表示ユニットに表示された画像を反射する第1の反射板及び第2の反射板と、前記表示ユニットに表示される画像が前記第1の反射板及び前記第2の反射板と平行に移動するように前記表示ユニットを制御する表示制御ユニットと、を備え、前記第1の反射板及び前記第2の反射板のうち一方が全反射ミラーであり、他方がハーフミラーであり、前記表示制御ユニットは、前記複数の棒状発光部材それぞれに表示するための棒状領域の画像を、所定の画像から所定の間隔で選択し、前記棒状領域の選択位置を移動させることにより、前記表示ユニットに前記所定の画像を表示させ、前記所定の画像は、前記第1の反射板が設置された側から前記第2の反射板が設置された側、又は、前記第2の反射板が設置された側から前記第1の反射板が設置された側への勾配を持つ線を少なくとも一部に含み、前記表示制御ユニットは、前記表示ユニットに表示する画像とその表示タイミングに関する情報を示す制御データを備え、該制御データに従って前記表示ユニットによる画像の表示を制御することを特徴とする画像表示システムが提供される。
【0010】
第2の本発明によれば、鑑賞者が表示ユニットに取り囲まれ、表示ユニットに表示される画像が前記第1の反射板及び前記第2の反射板と平行に移動する。表示ユニットに表示される画像は、第1の反射板が設置された側から第2の反射板が設置された側、又は、第2の反射板が設置された側から第1の反射板が設置された側への勾配を持つ線を少なくとも一部に含む。そのため、表示ユニットの特定の部分に注目すると、表示画像が上昇したり下降したりするように見える。また、2つの反射板のうちの一方がハーフミラーであるため、反射されて映し出される画像が徐々に減衰する。このとき、鑑賞者は発光していないため、鑑賞者の像は、表示ユニットに表示される画像よりも早く減衰し、典型的には、鑑賞者は自分の像を1つしか認識できない。そのため、本来1人しか存在しないはずの自分が何重にも重なって表示されるような不自然な状況が抑制される。これらの要因により、鑑賞者は、第1の本発明に係る画像表示システムを用いた場合よりもさらに強い錯覚を感じる。
【0011】
なお、その他の本発明の特徴は、添付図面及び以下の発明を実施するための最良の形態における記載によってさらに明らかになるものである。
【発明の効果】
【0012】
以上の構成により、本発明によれば、鑑賞者にさらに幻想的な感覚を与える画像表示システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。
【0014】
なお、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが、本発明に必須とは限らない。
【0015】
[第1の実施形態]
<画像表示システムの基本構成>
図1は、本発明の画像表示システムの一例である、画像表示システム100の構成を示す図である。図1(b)は、図1(a)の画像表示システム100を、Aで示される方向から見た様子を示す図である。
【0016】
画像表示システム100は、ディスプレイ101、反射板102、反射板103、PC(パーソナルコンピュータ)104、及び、通信ケーブル105を備える。
【0017】
鑑賞場所106は、画像表示システム100において画像を鑑賞者が鑑賞するのに適した領域(空間)の位置を示す。鑑賞場所106の範囲は、厳密に定められているわけではないが、概ね、反射板102と反射板103との間に挟まれており、かつ、ディスプレイ101が表示する画像を見ることのできる領域全体である。
【0018】
ディスプレイ101は、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイであり、画像を表示することができる。
【0019】
反射板102及び反射板103は、例えば、ミラーであり、ディスプレイ101が表示する画像や、画像の鑑賞者の像などを反射する。反射板102及び反射板103は、ディスプレイ101の上方と下方に、相互に対向して鑑賞場所106を挟むように設置される。ただし、反射板102及び反射板103は、ディスプレイ101に接している必要はない。
【0020】
このような配置により、反射板102及び反射板103は、いわゆる合わせ鏡として機能する。従って、鑑賞者は、反射板102及び反射板103の方向に、ほぼ永遠に続く空間が存在するかのように感じることができる。また、鑑賞者の姿も反射板102及び反射板103に映るため、ディスプレイ101が表示する画像とその反射画像や合わせ鏡の機能などと相俟って、鑑賞者は、自分が光の空間に包まれ、正確にはどの位置にいるか分からなくなるような感覚を味わうことができる。
【0021】
PC104は、ディスプレイ101による画像の表示を制御する。すなわち、PC104は、通信ケーブル105を介して画像データや制御信号などをディスプレイに送信することにより、ディスプレイに画像を表示させたり、表示された画像を移動させたりすることができる。ディスプレイ101による画像の表示を制御できる装置であれば、PC104に代えて、例えば、専用のコンピュータ装置などを画像表示システム100が備えていてもよい。
【0022】
通信ケーブル105は、例えば、イーサネット(登録商標)ケーブル、RS232Cケーブル、或いは、RS422Cケーブルなどであり、ディスプレイ101とPC104との間で送受信される画像データや制御信号などを伝送する。
【0023】
ディスプレイ101とPC104は、一体化されていても構わない。すなわち、ディスプレイ101自体が、画像の表示を制御する機能を備えていても構わない。この場合、画像表示システム100は、通信ケーブル105を備えなくてもよい。
【0024】
画像表示システム100において、鑑賞者は、鑑賞場所106内の任意の位置でディスプレイ101が表示する画像を鑑賞することができる。例えば、鑑賞者は、反射板102の上に立ち、ディスプレイ101の方向を見て画像を鑑賞してもよいし、反射板102の上に寝て、反射板103から反射されてくる画像を鑑賞してもよい。
【0025】
<PC104の構成>
図2は、PC104の機能ブロック図である。図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。図2に示すPC104の各構成要素は一例に過ぎず、これ以外にも必要に応じて、例えば、CD−ROMドライブなどを備えていてもよい。反対に、図示される構成要素の一部(例えば、ディスプレイ207)を備えなくても構わない。
【0026】
CPU201は、後述するHDD(ハードディスクドライブ)204に格納されているアプリケーションプログラム、オペレーティングシステム(OS)、制御プログラム等を実行して、PC104を制御する。
【0027】
ROM202は、基本I/Oプログラム等のプログラム、文書処理の際に使用するフォントデータ、テンプレート用データ等の各種データを記憶する。
【0028】
RAM203は各種データを一時記憶するためのメモリであり、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0029】
HDD204は、アプリケーションプログラム、OS、制御プログラム、ディスプレイ101に表示する画像データなどを格納する。
【0030】
通信I/F205は、イーサネット(登録商標)インタフェース、RS232Cインタフェース、或いは、RS422Cインタフェースなどの、外部の装置(例えば、ディスプレイ101)とデータを送受信するためのインタフェースであり、通信ケーブル105が接続されている。
【0031】
指示入力装置206は、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル等であり、指示入力装置106を用いて、オペレータは、PC104に対して種々の指示を与えることができる。
【0032】
ディスプレイ207は、指示入力装置106から入力されたコマンドや、それに対するPC104の応答出力等を表示したりするものである。
【0033】
システムバス208は、PC104内のデータの流れを司るものである。
【0034】
<表示制御プログラム>
本実施形態では、PC104がディスプレイ101による画像の表示を制御するためのプログラムを、表示制御プログラムと呼ぶ。表示制御プログラムは、HDD204に格納されており、CPU201によって実行される。
【0035】
また、前述のように、HDD204には、ディスプレイ101に表示する画像のデータが格納されている。
【0036】
表示制御プログラムは、ディスプレイ101に表示する画像を制御するための、複数の制御モードを持ち、オペレータの指示に従って選択された制御モードに従って動作する。オペレータは、例えば、ディスプレイ101による画像の表示と並行してリアルタイムに制御モードを選択してもよいし、HDD204に事前に制御モードの選択パターンを記憶させてもよい。制御モードの選択パターンに関する情報と、どのタイミングでどの画像データをHDD204から取得してディスプレイ101に表示するかに関する情報とを併せて、プレゼンテーションデータと呼ぶ(詳細は、図11を参照して後述)。プレゼンテーションデータは、これ以外にも、画像の表示を終了するタイミングに関する情報や、ディスプレイ101において画像を右又は左にスクロール表示させることに関する情報などを含んでいてもよい。
【0037】
本実施形態では、表示制御プログラムは、上昇モード、下降モード、水平モードの3つの制御モードを持つものとする。上昇モードは、ディスプレイ101に表示される画像(以下、「表示画像」と呼ぶ)を、下から上へ(すなわち、反射板102が設置された側から反射板103が設置された側へ)向かうように移動させるモードである。下降モードは、表示画像を、上から下へ(すなわち、反射板103が設置された側から反射板102が設置された側へ)向かうように移動させるモードである。水平モードは、表示画像を、上へも下へも移動させず、所定の高さに保つモードである。
【0038】
また、いずれの制御モードにおいても、表示制御プログラムは、表示画像を左右いずれかの方向に移動(スクロール)させても構わない。
【0039】
ここで、制御モードは、ディスプレイ101において画像が表示される位置の移動に関するものであり、画像そのものの変化とは無関係である。例えば、画像がロケットの打ち上げを示す動画像である場合を考える。この場合、画像が表示される位置を移動させなくても、ロケットは下から上へ移動するが、制御モードは、上昇モードではなく水平モードである。もちろん、この動画像を上昇モードで表示してもよく、この場合、ロケットは、打ち上げによる上昇速度よりも高速に上に移動する。
【0040】
画像が表示される位置を移動させると、画像の一部がディスプレイ101からはみ出したり、ディスプレイ101の一部に表示すべき画像が存在しなくなったりする場合もある。この場合、表示制御プログラムは、以下に例示的に列挙する任意の制御を行うことができる。(1)はみ出した部分は表示しない。(2)表示すべき画像が存在しない部分には何も表示しない。(3)表示すべき画像が存在しない部分には、他の画像を表示する。
【0041】
また、表示制御プログラムは、1つの画像から所定の領域を選択してディスプレイ101に表示し、選択する領域を移動させることにより、画像の移動を実現してもよい。すなわち、図3に示す画像300において、ディスプレイ101に表示する領域を領域301、領域302、領域303の順に移動させれば、上昇モードが実現する。
【0042】
<プレゼンテーションデータの例>
図11は、プレゼンテーションデータの一例を示す図である。プレゼンテーションデータは、複数のエントリ(図11では、エントリ1101〜1106)を含み、各エントリは、開始時刻1111、終了時刻1112、ファイル名1113、オプション1114を含む。開始時刻1111及び終了時刻1112は、画像表示システム100が動作を開始したときの時刻を「00:00:00」(0時0分0秒)とした場合の、相対的な時刻である。ただし、開始時刻1111及び終了時刻1112は、相対的な時刻ではなく、実際の時刻であってもよい。また、日付の情報を含んでもよい。
【0043】
各エントリは、開始時刻1111から終了時刻1112までの間、ファイル名1113の画像ファイルに含まれる画像がディスプレイ101に表示されることを示す。オプション1114は、表示制御プログラムの制御モードや、図示しないが、BGMや効果音の種類などの付加的な情報を示す。
【0044】
例えば、エントリ1101は、時刻「00:00:00」から時刻「00:00:30」までの30秒間、ファイル1に含まれる画像が上昇モードでディスプレイ101に表示されることを示す。また、エントリ1103とエントリ1104の間には、5秒間の空白が存在するが、この間はディスプレイ101には何も表示されない。さらに、エントリ1105とエントリ1106のファイル名1113は共に「ファイル5」であるが、オプション1114が異なるため、制御モードが変化することを示す。
【0045】
プレゼンテーションデータの構造は、図11に示すものに限られず、表示制御プログラムが、どのタイミングでどの画像データをHDD204から取得してディスプレイ101に表示するかなどを理解できるものであれば、いかなる構造であってもよい。
【0046】
<PC104によるディスプレイ101の制御例>
図4は、PC104が表示制御プログラムを用いてディスプレイ101に表示される画像を制御する処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、複数の画像データがHDD204に格納されているものとする。また、前述のプレゼンテーションデータ(表示する画像の順序に関する情報や、どのタイミングでどの制御モードを使用するかに関する情報など)が、オペレータによって事前にHDD204に格納されているものとする。
【0047】
ステップS401で、CPU201は、HDD204からプレゼンテーションデータを取得してRAM203に格納する。
【0048】
ステップS402で、CPU201は、プレゼンテーションデータから最初のエントリ(例えば、図11のエントリ1101)を読み込む。
【0049】
ステップS403で、CPU201は、ステップS402で読み込んだエントリの開始時刻1111を参照し、現在の時刻(画像表示システム100が動作を開始したときからの相対時刻)が開始時刻になるまで待つ。
【0050】
ステップS404で、CPU201は、ステップS402で読み込んだエントリのファイル名1113及びオプション1114を参照し、表示画像及び制御モードをRAM203に格納する。また、必要に応じて、表示画像の画像データをHDD204から取得してRAM203に格納する。
【0051】
ステップS405で、CPU201は、通信I/F205を介して、RAM203に設定されている表示画像及び制御モードに基づく制御信号をディスプレイ101に送信し、ディスプレイ101に画像を表示する。制御信号には、表示すべき画像データの一部又は全部が含まれてもよい。
【0052】
ステップS406で、CPU201は、ステップS402で読み込んだエントリの終了時刻1112を参照し、現在の時刻が終了時刻になるまで、ステップS405における処理を繰り返す。
【0053】
ステップS407で、CPU201は、プレゼンテーションデータに次のエントリが存在するか否かを判定する。存在すればステップS402に戻り、次のエントリを読み込んで、同様の処理を繰り返す。存在しなければ、処理を終了する。
【0054】
以上の処理により、ディスプレイ101に画像が表示される。また、オプション1114にBGMに関する情報などが含まれていた場合は、CPU201は、BGMの開始や終了などの必要な処理も行う。
【0055】
また、図4に示す処理は、プレゼンテーションデータの構造に応じて、適宜変更され得るものである。
【0056】
<画像表示システム100の使用形態の例と効果の例>
図5は、本実施形態に係る画像表示システム100の使用形態の例と効果の例を説明する図である。図5において、図1と同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0057】
図5の例では、鑑賞者は、鑑賞場所106に含まれる位置501に立ち、視野502が示すように斜め前方を見上げる。PC104は、ディスプレイ101に上昇モードで画像を表示する。従って、表示画像は、矢印503に示す方向に移動する。
【0058】
また、ディスプレイ101に表示される画像は、反射板103によって反射され、反射された画像(以下、「反射画像」と呼ぶ)も鑑賞者によって鑑賞される。反射画像は、表示画像の移動に伴い、矢印504に示す方向に移動する。従って、鑑賞者は、表示画像と反射画像が角505の方向へ吸い込まれていく様子を観察できる。
【0059】
さらに、反射板102及び反射板103が合わせ鏡として機能するため、鑑賞者は、反射板102の下方、及び、反射板103の上方に延々と続く広い空間に反射画像が連なるように感じられる。
【0060】
表示画像が上(矢印503の方向)に移動することにより、鑑賞者は、自分が下に落ち、自分の上方で空間が広がるような感覚を味わうことができる。そして、反射画像が矢印504の方向に移動し、表示画像と反射画像が角505の方向に吸い込まれることにより、鑑賞者は、画像の移動をより強く認識することができる。従って、自分の上方で空間が広がるような感覚が強化される。
【0061】
反射板103には、鑑賞者自身の像も映し出されるため、鑑賞者が宙に浮いているような感覚は、さらに強化される。
【0062】
次に、PC104が下降モードでディスプレイ101に画像を表示すると、表示画像と反射画像はそれぞれ、矢印503と矢印504の反対方向に移動し、角505から湧き出してくるように見える。
【0063】
表示画像が下(矢印503の逆方向)に移動することにより、鑑賞者は、自分が上に昇り、自分の上方の空間が狭まったり、上方から何かが落ちてきたりするような感覚を味わうことができる。上昇モードの場合と同様、反射板102と反射板103の合わせ鏡としての機能により、鑑賞者は、上下により広い空間を感じ、広い空間の中で中に浮いているような感覚が強化される。
【0064】
PC104が上昇モードと下降モードを切り替えながらディスプレイ101に画像を表示することにより、鑑賞者は、自分が空中に浮遊しながら下降と上昇を繰り返すように錯覚する。水平モードを加えれば、鑑賞者は、自分が空中に浮遊しながら下降、上昇、静止状態での浮遊を繰り返すように錯覚する。また、例えば表示画像が星や月などであり、周囲が暗い場合など、表示画像の種類や、周囲の明るさによっては、鑑賞者は、宇宙に浮かんでいるように錯覚する場合もある。
【0065】
このように、鑑賞者は、画像表示システム100を用いて、空中遊泳や宇宙遊泳の感覚を楽しむことができる。従って、画像表示システム100は、鑑賞者にエンターテイメントを提供したり、リラックスさせたり、癒しの効果をもたらしたりすることができる。そのため、画像表示システム100を、いわゆるアートセラピーのために使用することができる。鑑賞者にもたらされる効果の性質は、プレゼンテーションデータの構成や周囲の明るさなど(より具体的には、表示画像種類や上昇/下降のタイミング及び速度など)に応じて、変化し得る。
【0066】
以上説明した画像表示システム100の使用形態は、一例に過ぎず、例えば、鑑賞者は視野506に示す方向を見てもよい。この場合、上昇モードでは表示画像と反射画像はそれぞれ矢印507と矢印508の方向へ移動し、角509から湧き出してくるように見える。そのため、鑑賞者は、自分が反射板102の方向へ吸い寄せられて下に落ちるような感覚を味わうことができる。同様に、下降モードの場合、鑑賞者は、自分が上に昇っているような感覚を味わうことができる。鑑賞者が視野502の方向を見る場合と同様、反射板102と反射板103の間で画像が反射されたり、反射板102に鑑賞者の像が映し出されたりする。このようにして、視野502の方向を見た場合と同様、鑑賞者は、空中遊泳や宇宙遊泳の感覚を楽しむことができる。
【0067】
また、鑑賞者は、反射板102の上に寝て反射板103の方向を眺めても構わない。さらに、画像表示システム100全体の角度は、任意である。例えば、図5を時計回りに90度回転し、ディスプレイ101が鑑賞者の上方にくるように配置してもよい。また、椅子やベルトなどの固定装置を利用して、鑑賞者が鑑賞場所106の中央付近で画像を鑑賞できるようにしてもよい。
【0068】
ここで、鑑賞者は、実際には反射板103の存在を意識しない(或いは、反射板103の存在に気付かない)ということに注意していただきたい。すなわち、鑑賞者は、反射板103は存在せず、実際には存在しない反射板103Aが存在するように感じる。従って、上昇モードにおいては、反射画像も、矢印504ではなく、矢印504Aの方向に移動するように見える。図示しないが、反射板103及び反射板102が合わせ鏡として機能するため、反射板103Aのさらに上には、反射板102に相当する像が映る。このようにして、鑑賞者は、上方に無限に空間が続くように錯覚する。このことは、図示しないが、鑑賞者が視野506の方向を見る場合も同様である。
【0069】
また、鑑賞者が表示画像又は反射画像のどの部分に注目するかによって、自分が空中で上と下のどちらへ移動しているように感じるかが、変化し得る。例えば、上昇モードにおいて、鑑賞者が矢印503付近の表示画像に注目すれば、上述のように、自分が下降しているように感じる。しかし、矢印504A付近の反射画像に注目すれば、自分が上昇しているように感じる。
【0070】
<第1の実施形態のまとめ>
以上説明したように、本実施形態によれば、画像表示システム100は、ディスプレイ101、反射板102、反射板103、PC104、及び、通信ケーブル105を備える。反射板102及び反射板103は、ディスプレイ101の上方と下方に、相互に対向して鑑賞場所106を挟むように設置される。PC104は、プレゼンテーションデータに従い、種々の制御モードを切り替えて種々の画像をディスプレイ101に表示する。
【0071】
これにより、例えば制御モードとして、上昇モード、下降モード、水平モードを切り替えると、鑑賞者に空中遊泳や宇宙遊泳の感覚を楽しませることができる。そして、プレゼンテーションデータの構成や周囲の明るさなどに応じて、鑑賞者に、エンターテイメントやリラックス効果、癒しの効果などをもたらすことができる。
【0072】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、画像表示システム100の基本的な構成例と、使用形態の例、及び、効果の例を説明した。第2の実施形態では、画像表示システム100の効果(特に、エンターテイメント、リラックス、癒しの効果など)を高めるための、種々の変形例を説明する。以下に説明する複数の変形例は、排他的なものではなく、任意に組み合わせて画像表示システム100を構成することができる。
【0073】
以下に説明する各変形例は、特に断らなければ、第1の実施形態に係る画像表示システム100の構成と併せた複合的な要因により、鑑賞者が感じる錯覚を強めることを特徴とする。第1の実施形態で説明した通り、鑑賞者は、錯覚により、空中遊泳や宇宙遊泳の感覚を楽しむことができる。以下の変形例により鑑賞者がより強い錯覚状態(錯覚を感じている状態)に導かれると、空中遊泳や宇宙遊泳の感覚をより強く楽しむことができ、エンターテイメント、リラックス、癒しの効果などが高まる。
【0074】
<変形例1:反射板102及び反射板103の特性>
変形例1では、反射板102及び反射板103のうち少なくとも一方はハーフミラーである。そのため、反射板102と反射板103の配置により実現される合わせ鏡の機能が弱められる。このとき、ディスプレイ101が発光しているため、反射画像は、ハーフミラーによって弱められながらも繰り返し反射され、鑑賞者は、反射板102と反射板103の奥に延々と広がる空間を依然として感じることができる。一方、鑑賞者は発光していないため、鑑賞者の像はすぐに減衰する。したがって、第1の実施形態では、鑑賞者は、自分の像が何重にも連なる様子を観察できたが、変形例1では、反射板103に自分の像が映っている様子は観察できるが、さらに奥に自分の像が映っている様子は、はっきりとは観察できない。
【0075】
自分の像がいくつも観察できる場合、鑑賞者は違和感を覚える場合もあるかもしれないが、変形例1では、反射板103に1度映し出されるだけであるため、自分が合わせ鏡の中にいることに気付きにくい。そして、鑑賞者は、反射板103に映し出された自分の像の背後(すなわち、反射板103の奥)に延々と続く空間を感じることができるため、自分が広い空間の中で浮いている感覚をより一層強く感じることができる。
【0076】
これにより、画像表示システム100が提供する画像全体が、より幻想的な雰囲気となり、鑑賞者はより強い錯覚状態に導かれる。
【0077】
<変形例2:ディスプレイ101の構成>
変形例2では、図6に示すように、所定の間隔で平行に配列された複数の棒状発光部材601がディスプレイ101を構成する。所定の間隔は、必ずしも等間隔である必要はない。
【0078】
棒状発光部材601は、例えば、棒状のLCDパネルや、直線状に配列された複数の発光ダイオード(LED)など、棒状の画像を表示できるものであればいかなるものでもよい。本実施形態では、図7に示すように、棒状発光部材601は、金属製の角柱棒の一面にR(赤)G(緑)青(B)3色のLEDが敷き詰められているものとする。そして、RGB各色の光量が調整されることにより、例えば8色の光を生成可能であり、ディザリングによりさらに多くの中間色を持つ画像を表示可能である。
【0079】
図6に示すように、変形例2のディスプレイ101に楕円形の画像602を表示しても、棒状発光部材601の隙間(点線で示される部分)は表示されない。そこで、PC104は、画像602を右方向又は左方向にスクロールさせる。すると、目の錯覚により、棒状発光部材601の隙間(点線で示される部分)が埋められ、鑑賞者は、あたかも楕円形の画像602全体がディスプレイ101に表示されているように感じる。
【0080】
変形例2には、主として、2つの利点がある。
【0081】
第1に、棒状発光部材601の隙間が鑑賞者の錯覚により埋められることで、鑑賞者はより強い錯覚状態に導かれる。
【0082】
第2に、棒状発光部材601がLEDにより画像を表示する場合、ディスプレイ101の消費電力が低減される。
【0083】
<変形例3:ディスプレイ101の形状>
変形例3では、ディスプレイ101は、例えば円筒や楕円筒の形状であり、鑑賞場所106の周囲を取り囲む。図8は、変形例2と変形例3を組み合わせたディスプレイ101を、上から見た様子と、斜め上から見た様子を示す図である。図示しないが、ディスプレイ101の下方と上方にはそれぞれ反射板102と反射板103が設置されている。
【0084】
鑑賞場所106がディスプレイ101に取り囲まれているため、鑑賞者は、どの方向を眺めても、表示画像及び反射画像の移動を観察することができる。すなわち、どの方向を眺めても、鑑賞者は、平凡な壁などではなく、画像表示システム100の表示画像や反射画像が目に入るため、より強い錯覚状態に導かれる。
【0085】
また、表示画像を右方向又は左方向にスクロールさせつつ、上昇モード又は下降モードにより移動させると、鑑賞者は、あたかも螺旋階段を昇降するかのような感覚を楽しむことができる。螺旋階段を昇降するかのような感覚は、空中遊泳や宇宙遊泳の感覚を強める。
【0086】
図9に示すように、円筒状のディスプレイ101の中央付近に観察者が寝て画像を観察することを考える。個人差はあるが、人間の視野は、一般的に、視野901として示されるように、かなり広いものである。そのため、鑑賞者は、自分を取り囲む空間全体が移動しているように感じるため、空中遊泳や宇宙遊泳の感覚をより強く楽しむことができる。
【0087】
<変形例4:ディスプレイ101の付加機能>
変形例4では、ディスプレイ101は、駆動制御装置(例えば、PC104)の指示に従い、例えば、振動したり、移動(変形例3の場合は回転)したりすることができる。振動や移動のタイミングに関する情報は、例えば、プレゼンテーションデータに含まれる。振動や回転は、例えば、ディスプレイ101にモーターや車輪を備えるなど、当業者が理解できる任意の方法で実現することができる。
【0088】
ディスプレイ101を振動させたり移動させたりすることにより、鑑賞者が感じる錯覚を強めたり、鑑賞者をより興奮させて楽しませたりすることができる。
【0089】
<変形例5:音響装置>
変形例5では、画像表示システム100は、スピーカなどを含む音響装置をさらに備える。音響装置は、音響制御装置(例えば、PC104)の指示に従い、鑑賞者に様々なBGMや効果音などを提供する。また、音響装置は、音響制御装置の指示に従い、BGMや効果音などのボリュームやテンポなどを変化させることができる。提供するBGMや効果音の種類や、ボリューム、テンポなどの情報は、例えば、プレゼンテーションデータに含まれる。
【0090】
鑑賞者に、ボリュームやテンポが変化するBGMや効果音を提供することにより、鑑賞者が感じる錯覚を強めたり、鑑賞者をより興奮させて楽しませたり、鑑賞者をよりリラックスさせたりすることができる。
【0091】
<変形例6:送風装置>
変形例6では、画像表示システム100は、鑑賞場所106に送風するための送風装置をさらに備える。送風装置は、送風制御装置(例えば、PC104)の指示に従い、送風を行う。送風のリズムや強さなどに関する情報は、例えば、プレゼンテーションデータに含まれる。
【0092】
鑑賞者に、リズムや強さが変化する風を送ることにより、鑑賞者が感じる錯覚を強めたり、鑑賞者をより興奮させて楽しませたり、鑑賞者をよりリラックスさせたりすることができる。
【0093】
<変形例7:画像表示システム100の設置場所>
変形例7では、画像表示システム100を、内部の明るさを調整できる建物の中に設置する。これにより、建物内部の明るさに応じて、鑑賞者に種々の異なる印象を与えることができる。例えば、建物内部を暗くすれば、鑑賞者はより幻想的な気分を味わうことができ、錯覚状態が強まる。
【0094】
<変形例8:表示制御プログラムと表示画像>
変形例8では、表示制御プログラムは、上昇モードや下降モードなどの制御モードを持たず、表示画像を常に左右いずれかの方向へスクロールさせる。表示画像が上下に移動しなくても、表示画像の種類によっては、鑑賞者は依然として、空中に浮遊しながら下降、上昇、静止状態での浮遊を繰り返すように錯覚することができる。
【0095】
図12は、変形例8において、ディスプレイ101に表示される画像が右にスクロールする様子を示す図である。図12の例において、表示画像は、下り勾配の直線、水平な直線、上り勾配の直線の、3本の直線を含む。
【0096】
領域1201に注目すると、図12(a)から図12(b)にかけて、線が下へ移動したように見える。また、図12(c)から図12(d)にかけては、線は上下いずれにも移動しない。さらに、図示しないが、下り勾配の直線が領域1201にくると、線が上へ移動するように見える。
【0097】
したがって、表示制御プログラムは上昇モードや下降モードなどの制御モードを備えないが、鑑賞者にとっては、下降モード、水平モード、上昇モードの順に切り替わる画像表示が行われているように見える。
【0098】
また、直線の勾配を変化させることで、鑑賞者が感じる上昇や下降の速度を変化させることもできる。表示画像に曲線が含まれる場合、鑑賞者は、上昇や下降の速度が徐々に加速したり減速したりする感覚を味わうこともできる。
【0099】
表示画像が図12に示すような特徴的な直線である場合は、鑑賞者は表示画像が上昇したり下降したりする感覚を特に強く感じるが、部分的にでも斜線や曲線を含む画像であれば、いかなる画像であっても構わない。例えば、表示画像が図6に示すような楕円である場合でも、鑑賞者は、楕円の上又は下の一方に注目すれば、表示画像が上昇したり下降したりする感覚を味わうことができる。あるいは、表示画像がサインカーブであれば、鑑賞者は、加速と減速を繰り返しながら上昇と下降を交互に繰り返しているように感じ、空中遊泳や宇宙遊泳の感覚をより強く楽しむことができる。さらに、表示画像が斜線や曲線を全く含まなかったとしても、鑑賞者は、上昇及び下降の感覚を味わうことはできないが、空中に浮いている感覚を味わうことはできる。
【0100】
変形例8によれば、PC104は、複雑な制御プログラムを備える必要が無く、ディスプレイ101も、複雑な制御を受け付ける必要が無い。したがって、画像表示システム100を簡略化できるという効果がある。この効果は、変形例2(図6及び図7参照)と組み合わせた場合に、さらに顕著になる。
【0101】
例えば、図6の棒状発行部材601を隣接するもの同士接続し、各々の棒状発行部材601が、左の棒状発行部材601から制御信号を受信し、右の棒状発行部材601へ出力するように、棒状発行部材601を構成する。この場合、PC104が左端の棒状発行部材601に表示画像を表示させるための制御信号を送信すると、制御信号は順次右側の棒状発行部材601へ送られ、結果として、表示画像の右方向へのスクロールが行われる。
【0102】
<変形例の組み合わせの例>
第1の実施形態に、第2の実施形態で示したいくつかの変形例を組み合わせた画像表示システム100の一例を説明する。
【0103】
ディスプレイ101は円筒形状であり(変形例3参照)、金属製の角柱棒の一面にRGB3色のLEDが敷き詰められている棒状発光部材601により構成される(変形例2参照)ものとする。また、反射板102は円形のハーフミラーであり、反射板103は円形の全反射ミラーであるものとする(変形例1参照)。さらに、画像表示システム100は、音響装置及び音響制御装置を備えるものとする(変形例5参照)。また、画像表示システム100は、内部の明るさを調整可能なテントの中に設置されており、内部はやや暗いものとする(変形例7参照)。さらに、制御プログラムは、上昇モードや下降モードなどの制御モードを備えず、表示画像は、例えば図12に示すような斜線などを含むものとする(変形例8)。
【0104】
図13は、このような画像表示システム100において、図9に示すように中央付近に鑑賞者が寝て上方を見上げた様子を示す図である。図13において、図1と同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0105】
反射板102’は、反射板102が反射板103に映ったものである。反射板103’は、反射板103が反射板102に映ったものがさらに反射板103に映ったものである。このようにして、反射によって形成された仮想的な反射板が延々と続く。
【0106】
図5を参照して説明したように、鑑賞者は、反射板103の存在を意識せず、反射板103を示す円と反射板102’を示す円で囲まれた領域を、図5の仮想的な反射板103Aとして認識する。
【0107】
棒状発光部材1310に注目すると、符号1301Aで示す部分が発光している。これは、反射板103の、符号1301Bで示す部分に映る。表示画像が矢印1320で示す方向にスクロールしている場合、符号1302Aで示す部分の光が、符号1303Aで示す部分に移動することにより、鑑賞者は、符号1301Aで示す部分の光が符号1303Aで示す部分に移動した(すなわち、下降した)ように感じる。このとき、反射板103においては、符号1302Bで示す部分の光が符号1303Bで示す部分に移動することにより、鑑賞者は、符号1301Bで示す部分の光が符号1303Bで示す部分に移動した(すなわち、上昇した)ように感じる。従って、鑑賞者が図5の仮想的な反射板103Aに相当する部分に注目すると、光が上昇するため、相対的に、自分が下降しているように感じる。
【0108】
人物1330は、反射板103に映った鑑賞者の像である。そのため、鑑賞者は、自分が反射板102の上に寝ているのか(図9参照)、それとも、人物1330の位置に浮いているのか分からないような錯覚状態に導かれる。人物1330の奥(上方)には、合わせ鏡の機能によって延々と空間が続き、テントの内部が暗いため、鑑賞者は、広い宇宙空間で浮遊しているような感覚を楽しむことができる。
【0109】
ここで、反射板102’にも、人物1331が映るが、前述のように、反射板102と反射板103の一方がハーフミラーであるため、人物1331は、それほどはっきりとは映らない。そのため、自分の像が何重にも映るような不自然さが抑制される。
【0110】
また、鑑賞者は、この変形例に係る画像表示システム100の表示画像と反射画像を、ディスプレイ101の外部から見てもよい(図10参照)。ディスプレイ101は、複数の棒状発光部材601によって構成され、それぞれの棒状発光部材601の間には隙間があるため、鑑賞者は、ディスプレイ101の外部からでもディスプレイ101内部の様子を観察することができる。
【0111】
ディスプレイ101には、画像1001が表示されており、反射板102と反射板103にはそれぞれ反射画像1002と反射画像1003が映し出されている。
【0112】
そのため、ディスプレイ101の内部にそれほど多くの鑑賞者が入れない場合に、ディスプレイ101の外部で順番町をしている鑑賞者も、表示画像の鑑賞を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の画像表示システムの一例である、画像表示システム100の構成を示す図である。
【図2】PC104の機能ブロック図である。
【図3】ディスプレイ101に表示される画像を移動させる方法の一例を示す図である。
【図4】PC104が表示制御プログラムを用いてディスプレイ101に表示される画像を制御する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る画像表示システム100の使用形態の例と効果の例を説明する図である。
【図6】第2の実施形態の変形例2に係るディスプレイ101の一例を示す図である。
【図7】第2の実施形態の変形例2に係る棒状発光部材601の一例を示す図である。
【図8】第2の実施形態の変形例2と変形例3の組み合わせに係るディスプレイ101を、上から見た様子と、横から見た様子を示す図である。
【図9】第2の実施形態の変形例3において、円筒状のディスプレイ101の中央付近に観察者が寝て画像を観察する様子を示す図である。
【図10】第2の実施形態におけるいくつかの変形例の組み合わせに係る画像表示システム100の表示画像と反射画像を、ディスプレイ101の外部から見た様子を示す図である。
【図11】プレゼンテーションデータの一例を示す図である。
【図12】変形例8において、ディスプレイ101に表示される画像が右にスクロールする様子を示す図である。
【図13】第2の実施形態におけるいくつかの変形例の組み合わせに係る画像表示システム100において、図9に示すように中央付近に鑑賞者が寝て上方を見上げた様子を示す図である。
【符号の説明】
【0114】
100 画像表示システム
101 ディスプレイ
102 反射板
103 反射板
104 PC
105 通信ケーブル
106 観賞場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示ユニットと、
鑑賞者の鑑賞場所を挟む位置に相互に対向して設置され、前記表示ユニットに表示された画像を反射する第1の反射板及び第2の反射板と、
前記表示ユニットに表示される画像が移動するように前記表示ユニットを制御する表示制御ユニットと、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記表示制御ユニットは、前記表示ユニットに表示される画像が、前記第1の反射板が設置された側から前記第2の反射板が設置された側へ移動するように前記表示ユニットを制御する第1の制御モード、又は、前記第2の反射板が設置された側から前記第1の反射板が設置された側へ移動するように前記表示ユニットを制御する第2の制御モードに従って、前記表示ユニットを制御することを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記表示制御ユニットは、前記表示ユニットに表示する画像とその表示タイミングに関する情報と、前記第1の制御モード又は前記第2の制御モードとを示す制御データを備え、該制御データに従って前記表示ユニットによる画像の表示を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記表示ユニットに表示される画像は、前記第1の反射板が設置された側から前記第2の反射板が設置された側、又は、前記第2の反射板が設置された側から前記第1の反射板が設置された側への勾配を持つ線を少なくとも一部に含み、
前記表示制御ユニットは、前記表示ユニットに表示される画像が前記第1の反射板及び前記第2の反射板と平行に移動するように前記表示ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記表示制御ユニットは、前記表示ユニットに表示する画像とその表示タイミングに関する情報を備え、該制御データに従って前記表示ユニットによる画像の表示を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記第1の反射板及び前記第2の反射板のうち少なくとも一方はハーフミラーであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記表示ユニットは、所定の間隔で平行に配列された複数の棒状発光部材により構成され、
前記表示制御ユニットは、前記複数の棒状発光部材それぞれに表示するための棒状領域の画像を、所定の画像から所定の間隔で選択し、前記棒状領域の選択位置を移動させることにより、前記表示ユニットに前記所定の画像を表示させる
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項8】
前記棒状発光部材は、長尺方向に直線状に配列された複数の発光ダイオードを備え、前記表示制御ユニットが送信した制御信号に従って前記複数の発光ダイオードを発光させることにより、前記棒状領域の画像を表示することを特徴とする請求項7に記載の画像表示システム。
【請求項9】
前記表示制御ユニットによる制御に従って前記表示ユニットを振動又は移動させる、駆動制御ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項10】
前記表示ユニットは、前記鑑賞者の鑑賞場所を取り囲むように設置されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項11】
前記鑑賞者にBGM又は効果音のうち少なくとも一方を提供する音響ユニットと、
前記表示制御ユニットによる制御に従って前記音響ユニットを制御する音響制御ユニットと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項12】
前記鑑賞者に対して送風を行う送風ユニットと、
前記画像制御ユニットによる制御に従って前記送風ユニットを制御する送風制御ユニットと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項13】
長尺方向に直線状に配列された複数の発光ダイオードを備える複数の棒状発光部材が、鑑賞者の鑑賞場所を取り囲むように所定の間隔で平行に配列された表示ユニットと、
前記表示ユニットの上方と下方に、相互に対向して前記鑑賞者の鑑賞場所を挟むように設置され、前記表示ユニットに表示された画像を反射する第1の反射板及び第2の反射板と、
前記表示ユニットに表示される画像が前記第1の反射板及び前記第2の反射板と平行に移動するように前記表示ユニットを制御する表示制御ユニットと、
を備え、
前記第1の反射板及び前記第2の反射板のうち一方が全反射ミラーであり、他方がハーフミラーであり、
前記表示制御ユニットは、前記複数の棒状発光部材それぞれに表示するための棒状領域の画像を、所定の画像から所定の間隔で選択し、前記棒状領域の選択位置を移動させることにより、前記表示ユニットに前記所定の画像を表示させ、
前記所定の画像は、前記第1の反射板が設置された側から前記第2の反射板が設置された側、又は、前記第2の反射板が設置された側から前記第1の反射板が設置された側への勾配を持つ線を少なくとも一部に含み、
前記表示制御ユニットは、前記表示ユニットに表示する画像とその表示タイミングに関する情報を示す制御データを備え、該制御データに従って前記表示ユニットによる画像の表示を制御する
ことを特徴とする画像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−26737(P2008−26737A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201192(P2006−201192)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(393030626)株式会社新日本科学 (5)
【出願人】(506252727)有限会社七色廣場 (1)
【Fターム(参考)】