説明

画像表示媒体及びこれを備えた画像表示装置

【課題】各基板間に表示画像粒子群が封入されるセルを画成する隔壁を設けた画像表示媒体において、曲げに対するフレキシブル性を高める。
【解決手段】対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板11,21と、当該基板の間隙に介装されて複数のセル8を画成する隔壁7と、各セル内にそれぞれ封入された所定の帯電極性を有する表示粒子群5とを備え、基板間に電界を印加して表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体10において、隔壁が、当該基板の少なくとも一方に対して相対移動可能な可動部位24を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板間に封入された表示粒子の移動により画像を表示する画像表示媒体及びこれを備えた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ペーパ等に適用される画像表示媒体に関し、色および帯電極性が異なる複数種類の表示粒子が、電界が印加される一対の基板間に封入されると共に、当該基板間を電界に応じて移動することにより画像を表示する構成が知られている(特許文献1参照)。また、この種の画像表示媒体では、電気・磁気を利用した書き込み方式として、基板間に充填した溶媒中に表示粒子を分散させた湿式の表示方式(電気泳動方式等)や、基板間の間隙(空気、窒素、アルゴン等の中)に表示粒子を分散させた乾式の表示方式(帯電トナー型表示方式および電子粉流体方式等)が開発されている。
【0003】
上記のような画像表示媒体では、基板間の間隙を安定的に保持する等の目的で当該基板間に隔壁を設けたものが存在する。例えば、少なくとも一方が透明な一対の基板間に格子状の隔壁を形成し、当該隔壁によって画成される複数のセル内に表示粒子を封入し、基板間に電界を印加して表示粒子を移動させることにより画像を表示する画像表示媒体が知られている(特許文献2,3参照)。このような隔壁は、例えば、フォトレジスト法によって、一方の基板上にドライフィルムを貼り付け、所定のパターンに露光し、現像し、洗浄した後、ドライ処理による洗浄を行うことにより形成することができる。或いは、UV硬化性樹脂を予め成膜してある基板をエンボスロールに通し、UV硬化性樹脂のうちエンボスロールに押し当てられている部分のみにUVを照射することにより形成することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−312225号公報
【特許文献2】特開2005−3892号公報
【特許文献3】特開2006−133663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような画像表示媒体が電子ペーパ等に適用される場合、曲げても品質を損なわずに画像表示を可能とするためのフレキシブル性が要求される。しかしながら、上記特許文献2,3に記載された従来の画像表示媒体では、曲げられた際に基板に接着等された隔壁が容易に剥離してしまうという問題があった。したがって、画像表示媒体を湾曲させた状態で被設置物(例えば、円柱形状を有する物)に取り付けて使用することは困難であった。
【0006】
また、フォトレジスト法等によって隔壁を形成する場合、溶剤を使用する現像工程等が必要となるため、生産工程が複雑となると共に、溶剤の処理工程が必要となるという問題もあった。さらに、隔壁の形成工程において使用する溶剤等が残留することにより、移動すべき表示粒子が隔壁に貼り付いて滞留するという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、各基板間に容易に隔壁を設けることができると共に、当該隔壁が少なくとも一方の基板と相対移動可能な部位(すなわち、固定されない部位)を有することにより、フレキシブル性を高めた画像表示媒体及びこれを備えた画像表示装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示媒体は、対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板の間隙に介装されて複数のセルを画成する隔壁と、前記各セル内にそれぞれ封入された所定の帯電極性を有する表示粒子群とを備え、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体であって、前記隔壁は、当該基板の少なくとも一方に対して相対移動可能な可動部位を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、基板間に接着によって容易に隔壁を設けることができると共に、当該隔壁が少なくとも一方の基板と相対移動可能な部位(固定されない部位)を有することにより、画像表示媒体のフレキシブル性が高まるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る画像表示装置の模式的な断面図
【図2】実施形態に係る画像表示媒体の模式的な平面図
【図3】画像表示媒体における隔壁の平面図
【図4】図3中のIV部の拡大図
【図5】ロール溶融混練機の要部を示す模式的な斜視図
【図6】ロール溶融混練機の要部を示す模式的な平面図
【図7】微細化粉砕処理装置の構成図
【図8】表面改質処理装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板の間隙に介装されて複数のセルを画成する隔壁と、前記各セル内にそれぞれ封入された所定の帯電極性を有する表示粒子群とを備え、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体であって、前記隔壁は、当該基板の少なくとも一方に対して相対移動可能な可動部位を有する構成とする。
【0012】
これによると、基板間に接着によって容易に隔壁を設けることができると共に、当該隔壁が少なくとも一方の基板と相対移動可能な部位(固定されない部位)を有することにより、画像表示媒体のフレキシブル性が高まる。
【0013】
また、第2の発明は、前記隔壁は、互いに交差する複数の間隙保持部材から構成され、前記可動部位は、前記間隙保持部材が交差する部位として形成される構成とすることができる。
【0014】
これによると、隔壁において、少なくとも一方の基板と相対移動可能な部位を容易に形成することができる。
【0015】
また、第3の発明は、前記間隙保持部材は、メッシュ状に配置されている構成とすることができる。
【0016】
これによると、隔壁を簡易な構成にできると共に、従来の熱硬化性樹脂等による隔壁と比べ、表示粒子が隔壁にへばりついて滞留することを効果的に抑制できる。
【0017】
また、第4の発明は、間隙保持部材は、織り網または編まれた網の構成を有する構成とすることができる。
【0018】
これによると、メッシュ状を呈する隔壁を容易に実現することが可能となる。
【0019】
また、第5の発明は、前記間隙保持部材の各々は、太さが30μm〜100μmであり、隣接する間隙保持部材同士の間隔が100μm〜2mmである構成とすることができる。
【0020】
これによると、隔壁の強度を適切に確保することができると共に、各セルを適切に画成することが可能となる。
【0021】
また、第6の発明は、前記表示粒子群を構成する各表示粒子は、少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子と、平均粒径が6nm〜50nmの微粒子とを含み、前記微粒子は、前記結着樹脂の軟化点よりも200℃〜300℃高い温度の熱風を用いた処理により前記着色樹脂粒子の表面に固着されている構成とすることができる。
【0022】
これによると、着色樹脂粒子に微粒子を結合させることが可能となり、画像表示媒体において繰り返し表示を行った場合でも、微粒子の離脱に起因する流動性や帯電性の変動を抑制し、画像表示動作を安定化させると共に高いコントラストを維持することが可能となる。
【0023】
また、第7の発明は、前記結着樹脂は軟化点が95℃〜150℃であり、前記微粒子は、軟化点が150℃〜250℃の熱可塑性樹脂からなる有機微粒子であり、当該軟化点よりも130℃〜200℃高い温度の熱風を用いた処理により、前記着色樹脂粒子の表面に固着されている構成とすることができる。
【0024】
これによると、有機微粒子の溶融を適切に進行させて着色樹脂粒子との固着をよりできると共に、有機微粒子同士や着色樹脂粒子同士の二次凝集の発生を抑制することができる。
【0025】
また、第8の発明は、前記表示粒子は、形状係数が125以下であり、当該形状係数の変動係数が15以下である構成とすることができる。
【0026】
これによると、着色樹脂粒子の形状を真球体に近づけることにより、繰り返しの表示特性の安定化を図ることが可能となる。
【0027】
また、第9の発明は、上記第1から第8の発明のいずれかに係る画像表示媒体と、当該画像表示媒体の基板間に電界を付与する電界付与手段とを備えた画像表示装置である。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
<画像表示媒体の構成>
図1は、本実施形態に係る画像表示装置の模式的な断面図である。図1に示すように、画像表示装置1は、所定の間隔をおいて対向配置された表面シート2と背面シート3との間の間隙4に色および帯電極性が互いに異なる2種類の表示粒子群5A,5B(以下、総称する場合には表示粒子群5という。)が封入された画像表示媒体10と、表面シート2と背面シート3との間に電界を印加する電源部(電界付与手段)6とにより主として構成されている。画像表示媒体10は、電子ペーパ等として用いられるものであり、公知の構成を有する電源部6により、表面シート2と背面シート3との間に電界を印加して表示粒子群5を両シート2,3に対して略垂直な方向に移動させることで、文字や図形等からなる画像表示を行なうと共に、当該画像表示を無電力で保持することができる。
【0030】
図2は、本実施形態に係る画像表示媒体の模式的な平面図である。図2にも示すように、表面シート2と背面シート3との間には、互いに直交するように配置された複数の間隙保持部材7aから構成された格子状の隔壁7が介装されており、これにより、両シート2,3間の間隙4の大きさが一定に保持されている。また、平面視における間隙4には隔壁7によって複数のセル8が画成されており、気体(空気、窒素、アルゴン等)が満たされた各セル内には2種類の表示粒子群5A,5Bが封入されている。ここで、表示粒子群5Aは、正に帯電した黒色の表示粒子(以下、黒色粒子という。)から構成され、表示粒子群5Bは、負に帯電した白色の表示粒子(以下、白色粒子という。)から構成されている。
【0031】
(表面シート)
表面シート2は、図1に示すように、透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成された表面基板11と、表面基板11の一方側(内側)に形成され、透明なITO(インジウム錫酸化物)からなる複数の帯状の列電極12と、これら列電極12を覆って保護すると共に表示粒子群5の帯電極性を安定化させるポリカーボネートから形成された誘電体膜13とが積層された構成を有している。
【0032】
表面基板11としては、例えば、上記PETの他に、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、アクリル等からなる透明樹脂フィルムまたは透明樹脂シートのように可撓性を有するシートを好適に用いることができる。また、表面基板11として、ガラスや石英などの無機材料からなる可撓性を有しないシートを用いてもよい。
【0033】
表面基板11の厚さは、1〜10000μmであり、好ましくは5〜5000μmである。表面基板11は、厚さが1μm未満では、表面シート2の強度や背面シート3との間の間隙4の均一性を保持し難くなり、一方、厚さが10000μmを越えると、その透明性が低下すると共に、重量が増大して隔壁7のサイズを大きくする必要が生じるか、或いは隔壁7の強度が不足するという不都合が生じる。
【0034】
各列電極12は、所定の方向に共に延在し、透明かつパターン形成可能な導電性材料で形成されている。導電性材料としては、上記ITOの他に、アルミニウム、金、銀、銅などの金属類や、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物系材料や、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類を用いることができる。
【0035】
各列電極12は、蒸着法、スパッタリング法または塗布法などにより導電膜として形成することができる。例えば、全面に電極材料(例えば、ITO)が塗布または蒸着された電極基板に対して、その塗布等された金属酸化物系導電膜を酸系エッチング材料でスクリーン印刷によりパターニングすることができる。
【0036】
また、各列電極12のパターン形成は、レーザエッチング法、スクリーン印刷法、マスクなどを利用した蒸着によるパターニング法、インクジェット法等を用いることができる。レーザエッチング法は、透明導電膜をレーザ加工によってパターニングする方法である。また、スクリーン印刷法は、印刷する基材の上に、開口パターンが形成されたスクリーン(例えば、200〜500メッシュ)を置き、その開口パターンを利用して、開口パターン部分だけに導電性高分子や無機透明導電粒子が分散したペースト材料(電極材料)を付着させて印刷することにより、パターニングする方法である。このようなスクリーン印刷法としては公知の技術を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、例えば、特開2004−287011号を参照されたい。
【0037】
各列電極12の幅は、好ましくは30〜5000μmであり、より好ましくは100〜2000μmである。各列電極12の幅が30μm未満では、断線等の可能性が高くなり、一方、5000μmを越えると、1画素のサイズが大きくなり表示が粗くなる。また、隣接する列電極間のスペースは好ましくは20〜500μmであり、より好ましくは40〜300μmである。電極間のスペースが20μm未満では製作精度のバラツキ等により隣の列電極とショートする可能性が生じ、一方、500μmを越えると画像を表示しない領域が大きくなって表示品質が低下する。
【0038】
列電極12の面抵抗は、好ましくは1000Ω/□以下であり、より好ましくは500Ω/□以下である。列電極12の面抵抗が1000Ω/□を越えると、画像表示の書換の際に波形なまりが発生し、書換速度が遅くなる。また、画像表示部の端部の電圧が低下することにより、表示品質が低下するという問題が生じる。
【0039】
誘電体膜13には、上記ポリカーボネートの他に、ポリエステル、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂等を用いることができる。
【0040】
(背面シート)
背面シート3は、図1に示すように、表面シート2と略同様に構成される。背面シート3は、透明なPETから形成された背面基板21と、背面基板21の内側に形成され、透明なITOからなる複数の帯状の行電極22と、行電極22を覆って保護すると共に表示粒子群5の帯電極性を安定化させるポリカーボネートから形成された誘電体膜23とが積層された構成を有している。各行電極22は、列電極12に直交する方向に延在し、互いに所定の間隔をおいて配置されている。
【0041】
背面基板21および誘電体膜23には、上述の表面シート2の表面基板11および誘電体膜13とそれぞれ同様の材料を用いることができる。また、行電極22の導電性材料としては、背面基板21側からは必ずしも画像を表示する必要がないことなどから、銅、アルミニウム、銀ペーストや、銀ペーストにカーボンを添加したものを用いることもできる。
【0042】
(隔壁)
【0043】
図3は、画像表示媒体における隔壁の平面図、図4は、図3中のIV部の拡大図である。図3に示すように、隔壁7には、メッシュ状を呈する網が使用される。より詳細には、隔壁7は、間隙保持部材7aとしての繊維を基板11,21間の間隙4に網目状に配置させた平織構造を有している。隔壁7は、図4の拡大図に示すように、繊維を平織りによりメッシュ網を形成している。間隙保持部材7aが交差する部位(以下、交差部位という。)24は、平織りされた網の繊維が上下に重なって交差する箇所であり、従来のようなフォトレジスト法等の方法により作成された隔壁とは異なり、交差する繊維同士は接着されずに相対移動可能である。すなわち、交差する繊維の各々は、いずれか一方の基板に接着された状態にあっても、いずれか他方の基板とは相対移動可能である。
【0044】
隔壁7に使用される網には、樹脂網、合成繊維網、メッシュクロス、スクリーンメッシュ、及びボルティングクロスなどと称されるものが含まれる。この種の網は、織り網または編まれた網として好適に用いることができる。また、織り網や編まれた網には、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、撚糸等を用いることができる。織物組織は、上述の平織の他、周知の構成を用いることができる。
【0045】
隔壁7の材質としては、ポリエステル樹脂系、ポリプロピレン系、ポリウレタン系、ナイロン(登録商標)、テフロン(登録商標)等を好適に用いることができ、特に、合成繊維からなる織り網が好ましい。
【0046】
網の糸の太さは30〜100μm、配置する網の糸同士の間隔は100〜2mmが好ましく、より好ましくは網の糸の太さは40〜80μm、配置する網の糸同士の間隔は100〜1mmであり、更に好ましくは網の糸の太さは40〜60μm、配置する網の糸同士の間隔は200〜0.5mmである。
【0047】
網としては、例えば、セミテック社のポリエステルメッシュクロスやポリエステル合繊網、ナイロンモノフィラメント(単繊維)で精密に織られた合成繊維網であるナイロンメッシュやナイロン網、ポリプロピレンメッシュクロスやポリプロピレン合繊網、NBC社のナイロンメッシュ、ポリエステルメッシュを好適に用いることができる。
【0048】
隔壁7は、対向する表面シート2と背面シート3との各々に上記のような網を接着する方法により形成することができる。本実施形態では、間隙保持部材7aの幅及び間隙保持部材7aの高さは、網の糸の太さに依存するものである。また、隔壁7によって画成されるセルの大きさは配置する網の糸同士の間隔によって定められる。1つのセルには複数の画素が含まれるが、1つのセルで1画素を構成してもよい。ここで、各画素は、各列電極12と行電極22とが交差する領域に形成される。
【0049】
各セルの形状は、それらを画成する隔壁7の形状に応じて、例えば、四角状、ライン状、円形状または六角状とすることができ、そのようなセルは、格子状、ハニカム状または網目状に配置することができる。表示面側(ここでは、表面シート2側)から見た隔壁7の断面部分に相当するセルの枠部の面積は、表示画像の鮮明度の向上を図るために、可能な限り小さくした方が良い。
【0050】
各セルへの表示粒子の充填は、黒色の表示粒子群5Aと、白色の表示粒子群5Bとを、例えば、重量比1:2〜1:1の割合で混合し、この混合粒子を所望の量だけスクリーンを通してセル内に振るい落とすこと等により実施することができる。このとき、隔壁7の頂上に載った表示粒子は、ゴムブレードで擦り切るようにして各セル内に落とされる。その後、表面基板11と背面基板21とを隔壁7を介して密接させ、両基板間を加圧保持して、隔壁7と両基板11,21とをそれぞれ接着する。各セルに対する表示粒子群5の充填率は、好ましくは20〜70%であり、より好ましくは30〜70%であり、更に好ましくは40〜60%である。
【0051】
本発明に係る画像表示媒体10は、網によってメッシュ状に形成された隔壁7を有するため、従来のような熱硬化性樹脂による隔壁と比べ、表示粒子が隔壁7にへばりついて滞留することを効果的に抑制できる。また、繰り返し表示動作時に過帯電してコントラストが低下するという現象が緩和される。さらに、このような画像形成媒体1は、折れや繰り返し曲げに対する耐性が向上するという利点もある。
【0052】
隔壁7は、基板11,21に網を接着するだけで形成することができるため、生産工程が簡易であり、従来の隔壁形成に必要な露光工程や現像工程等を省略できる。また、現像工程等で使用する溶剤が不要となるため、溶剤等の液体の残留によって表示粒子が隔壁にへばりついて動かなくなるという問題も回避でき、繰り返し表示動作時のコントラストの安定化を図れる。さらに、このようは隔壁7と、熱処理により着色樹脂粒子と微粒子が固着して球形化が進んだ表示粒子とを組み合わせて使用することにより、セル内での表示粒子の移動がスムーズになり、表示特性の低駆動電圧に寄与できるという利点もある。
【0053】
<表示粒子の構成>
表示粒子群5を構成する各表示粒子は、その基部を構成する着色樹脂粒子と、この着色樹脂粒子に外添加された無機微粒子および有機微粒子とから主として構成される。
【0054】
(着色樹脂粒子)
着色樹脂粒子は、バインダとしての結着樹脂と着色剤とを少なくとも含むように形成され、必要に応じて電荷制御剤等の添加剤を含む。
【0055】
(結着樹脂)
結着樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等を用いることができ、これら2種以上を混合して用いることもできる。
【0056】
本実施形態では、結着樹脂に好適な材料として、アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸エステルまたはカルボン酸無水物等のカルボン酸成分との重縮合によって得られるポリエステル樹脂を用いる。
【0057】
ここで、2価カルボン酸または低級アルキルエステルとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂肪族二塩基酸や、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの脂肪族不飽和二塩基酸や、無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族二塩基酸や、これらのメチルエステル、エチルエステル等を用いることができる。このうちコハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族二塩基酸及びそれらの低級アルキルエステルがより好ましい。また、コハク酸とテレフタル酸、またはフタル酸とテレフタル酸とを組合せた使用がより好ましい。
【0058】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜12)エステル等を用いることができる。
【0059】
2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物などのジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどのトリオール、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0060】
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等を用いることができる。重合には、公知の重縮合や溶液重縮合等を用いることができる。これにより、良好な白黒やカラーの色材の色を発現させることができる。
【0061】
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの使用割合については、カルボキシル基数に対する水酸基数の割合(OH/COOH)を0.8〜1.4とするのが一般的である。
【0062】
また、熱可塑性の結着樹脂として、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する不飽和多価カルボン酸系単量体などの単独重合体、これらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物等を用いることができる。
【0063】
ここで、共重合体としては、スチレン/アクリル系共重合体が好適に使用される。特に、スチレン/ブチルアクリレート共重合体が好ましく、スチレンを75〜90重量%、ブチルアクリレートを10〜25重量%含有するものが好適に使用される。スチレン単量体としては、スチレン、O−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p―エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−nブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、P−クロルスチレンなどのスチレンのおよびその誘導体を用いることができ、特に、スチレンが好ましい。
【0064】
また、アクリル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル酸プロピル、α−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、γ−N,N−ジエチルアミノアクリル酸プロピル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、テトラエチレングリコールジメタクリル酸エステル等を用いることができる。
【0065】
結着樹脂は、GPC(Gel permeation Chromatography)による分子量において、重量平均分子量が1万〜30万であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が3〜100である。また、結着樹脂は、定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタによる1/2法による溶融温度(以下、軟化点という。)が90℃〜150℃、流出開始温度が80〜135℃、樹脂のガラス転移点が60〜85℃の範囲である。
【0066】
好ましくは、結着樹脂は、重量平均分子量が2万〜25万、重量平均分子量/数平均分子量が3〜50、軟化点が95〜140℃、流出開始温度が85〜125℃、ガラス転移点が65〜85℃の範囲である。より好ましくは、結着樹脂は、重量平均分子量が5万〜20万、重量平均分子量/数平均分子量が3〜15、軟化点が105〜140℃、流出開始温度が90〜125℃、ガラス転移点が68〜85℃の範囲である。
【0067】
結着樹脂の重量平均分子量が1万より小さく、重量平均分子量/数平均分子量が3より小さく、軟化点が90℃より小さく、流出開始温度が80℃より小さくなると、混練時の分散性が低下し、鮮明な色の発現性が低下する。これは表示粒子の耐久性の低下につながる。
【0068】
結着樹脂の重量平均分子量が30万より大きく、重量平均分子量/数平均分子量が100より大きく、軟化点が150℃より大きく、或いは流出開始温度が120℃より大きくなると、熱処理における着色樹脂粒子の球形化が困難となり、例えば、画像表示動作時の白色粒子と黒色粒子の入れ替わり性が悪化して、コントラストの低下につながる。
【0069】
また、結着樹脂の形成に際し、次のような2つ以上の熱特性の異なる樹脂(低軟化性または低分子量の樹脂粒子、高軟化性または高分子量の樹脂粒子)を混合させることも好ましい。
【0070】
低軟化性または低分子量の樹脂粒子では、重量平均分子量が1万〜6万、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5〜6、軟化点が90〜140℃、流出開始温度が80〜120℃、ガラス転移点が65〜90℃の範囲とする。好ましくは、重量平均分子量が2万〜5万、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜3.9、軟化点が95〜135℃、流出開始温度が85〜115℃、ガラス転移点が68〜88℃範囲とする。より好ましくは、重量平均分子量が2万〜4万5千、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜3、軟化点が100〜130℃、流出開始温度が90〜110℃、ガラス転移点が70〜88℃の範囲とする。
【0071】
低軟化性または低分子量の樹脂粒子の配合の目的は、着色樹脂粒子の真球化を確保するとともに、有機微粒子の溶融固定化を促進させることにある。重量平均分子量が1万よりも小さく、重量平均分子量/数平均分子量が1.5よりも小さく、軟化点が90℃よりも小さく、流出開始温度が80℃よりも小さく、ガラス転移点が65℃よりも小さいと、球形化のための熱処理において、二次凝集しやすくなり、粒径が大きくなりやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が6万よりも大きく、重量平均分子量/数平均分子量が6よりも大きく、軟化点が140℃よりも大きく、流出開始温度が120℃よりも大きく、ガラス転移点が90℃よりも大きいと、球形化のための熱処理において、球形化が進行し難い傾向となる。
【0072】
また、相対的に高軟化性または高分子量の樹脂粒子では、重量平均分子量が5万〜50万、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が2〜10、軟化点が140〜180℃、流出開始温度が110〜160℃、ガラス転移点が55〜85℃の範囲とする。好ましくは、重量平均分子量が8万〜48万、重量平均分子量/数平均分子量が2〜7、軟化点が145〜180℃、流出開始温度が115〜155℃、ガラス転移点が55〜80℃の範囲とする。より好ましくは、重量平均分子量が10万〜45万、重量平均分子量/数平均分子量が2〜5、軟化点が150〜180℃、流出開始温度が120〜150℃、ガラス転移点が55〜70℃の範囲とする。
【0073】
高軟化性または高分子量の樹脂粒子の配合の目的は、表示粒子の安定した繰り返し表示特性を維持するための耐久性を保持させることにある。すなわち、粒子同士や基板、隔壁との衝突に対する耐久性を高めるためである。また、溶融混練処理において添加剤の分散性を均一化させ、高い帯電性を安定化させるためでもある。
【0074】
重量平均分子量が5万よりも小さく、重量平均分子量/数平均分子量が2よりも小さく、軟化点が140℃よりも小さく、流出開始温度が110℃よりも小さく、或いはガラス転移点が55℃よりも小さいと、繰り返し表示特性を維持させる耐久性が低下しやすい傾向となる。
【0075】
重量平均分子量が50万よりも大きく、重量平均分子量/数平均分子量が10よりも大きく、軟化点が180℃よりも大きく、流出開始温度が160℃よりも大きく、或いはガラス転移点が85℃よりも大きいと、球形化のための熱処理において、球形化が進行し難い傾向となる。また、着色樹脂粒子表面の平滑性が劣り、表面に凹凸が残りやすい傾向となる。
【0076】
低軟化性または低分子量の樹脂粒子と、高軟化性または高分子量の樹脂粒子の配合比率は、5:5〜9:1の範囲とする。耐久性と球形化の進行をバランスよく確保するためである。好ましくは、6:4〜9:1の範囲とする。より好ましくは、7:3〜9:1の範囲とする。
【0077】
(着色剤)
着色剤としては、以下に示すような、有機または無機の種々の顔料および染料を使用可能である。
【0078】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、マンガンフェライトブラック、チタンブラック、磁性粉、オイルブラック等有機または無機系の染・顔料系の黒色顔料を含む粒子を用いることができる。
【0079】
ここで、カーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)は45〜70が好ましい。具体的には、例えば、三菱化学社製の#52(粒径27nm,DBP吸油量63ml/100g)、#50(同28nm,同65ml/100g)、#47(同23nm,同64ml/100g)、#45(同24nm,同53ml/100g)、#45L(同24nm,同45ml/100g)や、キャボット社製のREGAL250R(同35nm,同46ml/100g)、REGAL330R(同25nm,同65ml/100g)、MOGULL(同24nm,同60ml/100g)を用いることができる。より好ましくは、#45、#45L、REGAL250Rを用いると良い。DBP吸油量が比較的低いカーボンブラックを用いることで、高いコントラストを得る効果がある。これは、樹脂中の分散性、着色性による効果と考えられる。
【0080】
DBP吸油量は、粒子の鎖状集合状態(ストラクチャー)を定量的に表したもので、化学的結合による一次ストラクチャーと、ファンデルワールス力による物理的結合の2次的ストラクチャーから表される。
【0081】
DBP吸油量の測定(JISK6217)は、150℃±1℃で1時間乾燥した試料20g(Ag)をアブソープトメータ(Brabender社製、スプリング張力2.68kg/cm)の混合室に投入し、予めリミットスイッチを最大トルクの約70%に設定した後、混合機を回転させる。同時に自動ビューレットからDBP(比重1.045〜1.050g/cm)を4ml/minの割合で添加する。終点近くになるとトルクが急速に増加してリミットスイッチが切れる。それまでに添加したDBP量(Bml)と試料重量から試料100gあたりのDBP吸油量(=Bx100/A)(ml/100g)が求められる。
【0082】
なお、粒径にはSEM電子顕微鏡による算術平均径を用いている。カーボンブラックの粒子径は好ましくは20〜40nmであり、より好ましくは20〜35nmである。粒子径が好ましい範囲よりも大きいと着色力が低下する傾向となる。また、粒子径が好ましい範囲よりも小さいと、樹脂中での分散が困難になる傾向となる。
【0083】
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等を用いることができる。添加量は結着樹脂100重量部に対し、3〜12重量部が好ましい。
【0084】
赤色着色剤としては、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメント・レッド48,49:1,53:1,57,57:1,81,122,5等の赤色顔料、C.I.ソルベント・レッド49,52,58,8等の赤色染料を用いることができる。
【0085】
黄色着色剤としては、ナフトールイエローS、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、C.I.ピグメント・イエロー1,3,74,97又は98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12,13,14,17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ソルベンイエロー19,77,79又はC.I.ディスパース・イエロー164が配合され、特に好ましくはC.I.ピグメント・イエロー93,180,185のベンズイミダゾロン系顔料が好適である。
【0086】
白色着色剤としては、酸化亜鉛、酸化スズ、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、鉛白、硫化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム等の白色顔料を含む粒子を用いることができる。
【0087】
上記の顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができる。黒色顔料としてはカーボンブラックが、白色顔料としては酸化チタンが特に好ましい。
【0088】
(電荷制御剤)
負電荷制御剤としては、例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(例えば、ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体、アクリルスルホン酸系の重合体(スチレン系モノマーと極性基としてスルホン酸基を有するアクリル酸系モノマーとのビニル共重合体で、特に好ましくはアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体)等を用いることができる。
【0089】
サリチル酸金属錯体において、ベンゼン環に結合する官能基は、それぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分子鎖状の炭素数1〜10のアルキル基またはアルル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を用いることができる。また、金属としては、亜鉛、ニッケル、コバルト、銅、クロムを用いることができ、特に亜鉛、クロムが好ましい。
【0090】
ベンジル酸誘導体の金属塩としては、アルカリ金属としてリチウム、ナトリウムまたはカリウム等を用いることができ、特にカリウムが好ましい。
【0091】
一方、正電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等を用いることができる。
【0092】
電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対し、0.5〜8重量部とし、好ましくは1〜6重量部であり、より好ましくは2〜5重量部である。電荷制御剤の添加量が0.5重量部未満では帯電作用効果が無くなり、一方、8重量部を越えると帯電量が過度に高くなり、過帯電になりやすい傾向となる。
【0093】
(無機微粒子)
表示粒子に使用される無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、フェライト又はマグネタイト等の金属酸化物微粉末や、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩や、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムまたはジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩や、これらの混合物を用いることができる。
【0094】
無機微粒子は必要に応じて疎水化処理される。シリコーンオイル系の材料として、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル及びクロルフェニル変成シリコーンオイルからなるシリコーンオイル系の材料のうちの少なくとも1種類以上で処理される外添剤が好適に使用される。例えば、東レダウコーニングシリコーン社のSH200、SH510、SF230、SH203、BY16―823又はBY16―855B等を用いることができる。
【0095】
疎水化処理には、無機微粒子とシリコーンオイル系の材料とをヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)などの混合機により混合する方法や、無機微粒子へシリコーンオイル系の材料を噴霧する方法、溶剤にシリコーンオイル系の材料を溶解或いは分散させた後に無機微粒子と混合した後、溶剤を除去して作成する方法等を用いることができる。シリコーンオイル系の材料は、無機微粒子100重量部に対して1〜20重量部配合されることが好ましい。
【0096】
また、無機微粒子は、シランカップリング処理した後にシリコーンオイル系の材料で処理することが好ましい。シランカップリング剤としては、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルクロルシラン又はジメチルビニルクロルシラン等を好適に用いることができる。シランカップリング処理は、無機微粒子を攪拌等によりクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理、又は無機微粒子を溶媒中に分散させたシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法等により行なうことができる。
【0097】
正帯電極性の無機微粒子は、アミノシラン、アミノ変性シリコーンオイルまたはエポキシ変性シリコーンオイルで処理される。また、疎水性処理を高めるため、ヘキサメチルジシラザンやジメチルジクロロシラン、他のシリコーンオイルによる処理の併用も好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル又はアルキル変性シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理することが好ましい。
【0098】
また、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸及び脂肪酸金属塩の群より選ばれた1種または2種以上(以下、脂肪酸等という。)により外添剤の表面を処理することも好ましい。この場合、表面処理したシリカ又は酸化チタン微粉末がより好ましい。
【0099】
脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、若しくは脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、又は脂肪酸トリメチロールプロパンエステル等が好ましい。
【0100】
脂肪酸アミドとしては、例えば、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、アラキジン酸アミド、エイコセン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド又はリグリノセリン酸アミド等の炭素数16〜24を有する飽和または1価の不飽和の脂肪族アミドが好ましい。
【0101】
脂肪酸又は脂肪酸金属塩としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、ミスチリン酸、パリミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ラクセル酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸又はリノール酸等を用いることができる。中でも炭素数12〜22の脂肪酸が好ましい。
【0102】
また、脂肪酸金属塩を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、鉛又はバリウムが挙げられ、中でもアルミニウム、亜鉛又はナトリウムが好ましい。より好ましくは、ジステアリン酸アルミニウム(Al(OH)(C1735COO))、又はモノステアリン酸アルミニウム(Al(OH)(C1735COO))、等のジ脂肪酸アルミニウム、モノ脂肪酸アルミニウムが挙げられる。OH基を有することで、過帯電を防止し、転写不良を抑えることができる。また、無機微粒子との処理性も向上する。
【0103】
さらに、表面処理には、ヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル等の材料が好ましく、これらを1種類又は2種類以上組合せての使用も可能である。
【0104】
表面処理の好ましい形態として、処理される無機微粒子の表面をカツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイル等のポリシロキサンにて処理を施した後に、脂肪酸等により処理を施すことも可能である。これにより、単に親水性シリカの脂肪酸を処理する場合よりも均一な処理が可能となり、表示粒子の高帯電化を図れ、流動性が向上する。また、カツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイルとともに脂肪酸等を処理する構成でも同様の効果を奏する。
【0105】
表面処理は、脂肪酸等をトルエン、キシレン又はヘキサン等の炭化水素系有機溶剤に溶解し、それとシリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子とを分散機にかけ湿式混合して処理剤を無機微粒子の表面に付着させることにより実施する。その後、溶剤を溜去して乾燥処理を行なうことにより表面処理した無機微粒子が生成される。
【0106】
この場合、ポリシロキサンと脂肪酸等との混合割合が1:2〜20:1であることが好ましい。また、脂肪酸等を表面処理した無機微粒子の強熱減量は、好ましくは1.5〜25重量%であり、より好ましくは5〜25重量%であり、更に好ましくは8〜20重量%である。
【0107】
また、無機微粒子は、平均粒径を6〜50nmとし、着色樹脂粒子100重量部に対し0.5〜6重量部が添加される。無機微粒子の平均粒径は、好ましくは6〜40nmであり、より好ましくは6〜20nmである。無機微粒子の平均粒子径が6nm未満では、その解砕が困難になる。一方、平均粒子径が50nmを越えると、表示粒子の粉体流動性が向上し難くなる。また、無機微粒子の添加量が0.5重量部未満では流動性が向上し難くなる。一方、添加量が6重量部を越えると無機微粒子の浮遊粒子が生じ易くなる。
【0108】
平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)にて拡大写真をとり、約100個の粒子の長軸と短軸の平均値を求めた値である。
【0109】
強熱減量は、予め乾燥、放冷、精秤した磁性ルツボに試料約1gを取り、精秤する。500℃に設定した電気炉中で2時間強熱する。デシケータ中で1時間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
強熱減量(重量%)=[強熱による減量(g)/試料量(g)]×100
【0110】
また、処理された外添剤の水分吸着量が1重量%以下であることが好ましい。好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下である。水分吸着量が1重量%より多いと、帯電性や耐フィルミング性が低下する。水分吸着量は、連続蒸気吸着装置(BELSORP18:日本ベル株式会社)にて測定した。
【0111】
疎水化度の測定は、メタノール滴定により測定し、250mlのビーカー中に装入した蒸留水50mlに試験すべき生成物0.2gを秤取する。先端に、液体中に浸漬しているビュレットからメタノールを外添剤の総量が濡れるまで滴下する。その際、不断に電磁攪拌機でゆっくりと攪拌する。完全に濡らすために必須なメタノール量a(ml)から次式により疎水化度が算出される。
疎水化度=(a/(50+a))×100(%)
【0112】
(有機微粒子)
表示粒子に使用される有機微粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系微粒子、スチレンアクリル樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子又はシリコーン樹脂微粒子を好適に使用できる。また、有機微粒子としては、フッ化または3フッ化樹脂微粒子、メラミン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリアセタール微粒子等の低動摩擦係数の微粒子も好ましい。有機微粒子は0.3以下の動摩擦係数を有する微粒子であり、動摩擦係数はJIS K 7125により測定できる。
【0113】
有機微粒子は、軟化点が150℃〜250℃である熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、ガラス転移点は85〜120℃であることが好ましい。より好ましくは、有機微粒子の軟化点が170〜220℃、ガラス転移点が90〜115℃であり、更に好ましくは軟化点が185〜200℃、ガラス転移点が95〜110℃である。
【0114】
有機微粒子は、平均粒径を0.08〜5μmとし、着色樹脂粒子100重量部に対し0.5〜6重量部が添加される。平均粒径は、好ましくは0.1〜3μmであり、より好ましくは0.2〜1μmである。有機微粒子の平均粒子径が0.08μmよりも小さいと、白色粒子と黒色粒子の入れ替わりがスムーズに進みコントラストが向上するという効果を得難くなる。一方、平均粒子径が5μmよりも大きくなると、表示粒子の粉体流動性が向上し難くなる。また、有機微粒子の添加量が0.5重量部よりも少ないと、白色粒子と黒色粒子の入れ替わりがスムーズに進みコントラストが向上するという効果を得難くなる。一方、添加量が6重量部よりも多いと有機微粒子の浮遊粒子が生じ易くなる。
【0115】
(表示粒子の物性特性)
表示粒子は、体積平均粒径が3〜15μm、体積基準の変動係数が10〜20%にあることが好ましい。表示粒子は、より好ましくは、体積平均粒径が5〜10μm、体積基準の変動係数が10〜18%であり、更に好ましくは、体積平均粒径が6〜9μm、体積基準の変動係数が10〜16%である。
【0116】
ここで、変動係数は、表示粒子の粒度分布における標準偏差を平均粒径で割ったものであり、粒度分布の広がり具合を表したものである。粒子径はコールターカウンタ(コールター社)を使用して測定した。体積粒径分布の変動係数が10%未満であると生産が困難となり、コストアップの要因となる。一方、体積粒径分布の変動係数が20%を越えると、粒度分布がブロードとなり、コントラストの改善が見込めない傾向となる。
【0117】
また、着色樹脂粒子の形状係数(SF)は125以下であり、形状係数の変動係数は15%以下であることが好ましい。
【0118】
これは、着色樹脂粒子を球形またはより球形に近い形状に処理することで、繰り返しの表示特性の安定化を図るとともに、着色樹脂粒子の表面に曲率半径の小さい有機微粒子を付着させることで、表示粒子のBET比表面積が大きくなり、隔壁にへばりついて動作しなくなる粒子の存在を低減させることが目的である。
【0119】
この場合、形状係数を125以下とすることで、着色樹脂粒子の形状がより球状に近づくことになり、繰り返しの表示特性の安定化を図ることができる。形状係数は、キーエンス社製のリアルサーフェイスビュー顕微鏡(VE7800)を使用し、1000倍に拡大したトナー母体粒子100個程度を取込み、最大長及び投影面積を測定し、次の(式1)にて求めた(d:着色樹脂粒子の最大の長軸長、A:着色樹脂粒子の投影面積)。
【0120】
形状係数(SF)=π×d/(4×A)×100・・・(式1)
【0121】
また、表示粒子の実測したBET比表面積をBTr、表示粒子の粒度分布から算出した比表面積値をBSrとすると、BTr/BSrは2.5〜10であることが好ましい。
【0122】
比表面積比(BTr/BSr)を特定することで、有機微粒子の着色樹脂粒子の表面への付着の状態を定量化できる。比表面積比が2.5未満では、表示粒子と隔壁との接触においていわゆる点接触から面接触の支配が強くなり、隔壁にへばりつきやすくなる。また、帯電維持性も低下する。一方、比表面積比が10を越えると、微粒子の着色樹脂粒子の表面への付着が進んでいないこと、または表示粒子の表面が粗すぎることが想定され、表示特性におけるコントラストが低下しやすくなる。
【0123】
比表面積測定値(BTr)は、島津製作所製フローソーブII2300を使用して測定した。比表面積計算値(BSr)は、BSr=6/(ρ・r)から算出した。ここで、ρは表示粒子の真比重、rは表示粒子の体積粒子径である。
【0124】
つまり、次の(式2)および(式3)の関係満たすことにより、より好ましくは、(式4)および(式5)の関係満たすことにより、更に好ましくは、(式6)および(式7)の関係満たすことにより、前述した特性の両立を再現性良く実現することができる。
【0125】
100≦SF≦125・・・・・・・(式2)
2.5≦BTr/BSr≦10・・・(式3)
【0126】
100≦SF≦122・・・・・・・(式4)
3≦BTr/BSr≦8・・・・・・(式5)
【0127】
100≦SF≦118・・・・・・・(式6)
5≦BTr/BSr≦8・・・・・・(式7)
【0128】
着色樹脂粒子の粒度分布は、コールターカウンタTA−II型(コールターカウンタ社)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続して測定する。この粒度分布の測定には公知の方法を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2005−284269号を参照されたい。
【0129】
表示粒子の粒度分布を狭くし、形状をより球形化することで粉体流動性は高くなる。また、外添剤の粒径や添加量を適切にすることも流動性を決める要因となる。例えば、外添剤の粒径が小さい場合は、圧縮度が小さくなり粉体流動性は高くなる。圧縮度は5〜40%が好ましい。より好ましくは、10〜30%である。静嵩密度と動嵩密度の測定はホソカワミクロン社のパウダーテスタを使用することがよく知られている。ここで、圧縮度は、表示粒子の流動性の指標の1つであり、静嵩密度と動嵩密度から算出される。
【0130】
樹脂の分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。測定する装置は東ソー社製HLC8120GPCシリーズ、カラムはTSKgel superHM−H H4000/H3000/H2000(6.0mmI.D.−150mm×3)、溶離液THF(テトラヒドロフラン)、流量0.6mL/min、試料濃度0.1%、注入量20μL、検出器RI、測定温度40℃である。また、測定前処理として、試料をTHFに溶解後一晩放置後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、シリカ等の添加剤を除去した樹脂成分を測定する。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。
【0131】
結着樹脂及び有機微粒子の軟化点は、島津製作所の定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタ(CFT500)により測定する。この軟化点の測定には公知の方法を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2009−075564号を参照されたい。この公知の方法における流動曲線から、後述する流出開始温度(Tfb)や1/2法における溶融温度(軟化点Tm℃)が定義される。
【0132】
結着樹脂及び有機微粒子のガラス転移点は、示差走査熱量計(TAインスツルメンツ社製、Q100型(冷却には純正の電気冷凍機を使用))により測定する。このガラス転移点の測定には公知の方法を用いることができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2009−075564号を参照されたい。
【0133】
<表示粒子の製造方法>
着色樹脂粒子の作製では、結着樹脂および着色剤と、必要に応じて帯電制御剤等の添加剤とを、撹拌羽根が具備されたミキサなどにより均一混合分散する。ミキサとしては、スーパーミキサ(川田製作所製)、ヘンシェルミキサ(三井三池工業製)、PSミキサ(神鋼パンテック製)、レーディゲミキサ等の公知のミキサを使用できる。
【0134】
(溶融混練処理)
次に、溶融混練処理において、上記混合物中の結着樹脂を加熱作用又はせん断力作用により溶融させ、結着樹脂中に添加剤を分散させる。溶融混練処理には、シリンダと混練軸が複数のセグメントに分割された分割セグメント方式の二軸混練押出機等を好適に使用できる。例えば、池貝社製の混練押出機(商品名PCM30)が挙げられる。
【0135】
また、溶融混練処理には、2本の回転するロール間で材料を溶融混練処理する2本ロール混練機も好適に使用できる。例えば、三井鉱山社製2本ロール混練機(商品名KNEADEX140−800)が挙げられる。この2本ロール混練機を用いた溶融混練処理は、公知のトナー溶融混練処理と同様に実施することができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2004−013049号を参照されたい。
【0136】
なお、2本ロール混練機を用いた溶融混練処理においては、加熱するロールの表面温度は結着樹脂の軟化点よりも低く設定する。より詳細には、ロールの表面温度を結着樹脂の軟化点よりも10℃以上低くすることが必要である。材料投入時に樹脂を早急に溶融させてロールに巻き付けさせるために温度を高くする(すなわち、樹脂軟化点とロール表面温度との差が10℃未満となる)と、混練中にせん断力がかからず不均一分散となるためである。一方、温度差が70℃を越えると樹脂が溶けきれないまま搬送されることになり、これも分散性の低下を招く。また、2本のロール間の温度差を樹脂のガラス転移点の1/2の温度以上とすることにより、混練時の超高分子量の分子切断が適当な状態で混練分散することができ、コントラストの改善と繰り返し性の向上とを両立させることができる。さらに、一方のロールを前半部と後半部で温度勾配を設け、その温度差を樹脂のガラス転移点よりも40℃低い温度以上に設定することで表示特性の向上に効果が得られる。
【0137】
(粉砕処理)
溶融混練処理され冷却して得られた混練塊を、カッターミルなどで粗粉砕し、その後、ジェットミル粉砕(例えば、商品名IDS粉砕機、日本ニューマティック工業)、または固定したステータに対して回転するローラとの微小な空隙に被粉砕物を投入して粉砕する回転ロータ式粉砕(例えば、商品名クリプトロン粉砕機、川崎重工業)などで細かく粉砕し、更に、必要に応じて気流式分級機(例えば、商品名エルボージェット分級機、日鉄鉱業社製)により、所望の粒度分布の着色樹脂粒子を得ることができる。
(乳化凝集法)
【0138】
また、着色樹脂粒子の作製では、好適な別法として乳化凝集法を用いることができる。乳化凝集法では、まず、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液を調製し、その後重合開始剤や連鎖移動剤を使用して、乳化重合を行い、微細な粒径の樹脂粒子分散液を作成する。また、極性を有する界面活性剤を添加した水中に着色剤粒子を添加し、公知の分散手段を用いて分散させることにより着色剤粒子分散液を調製する。。
【0139】
そして水系媒体中で、少なくとも、前述した樹脂粒子を分散せしめた樹脂粒子分散液と着色剤粒子を分散せしめた着色剤粒子分散液とを混合し、水系媒体のpHを一定の値(例えば、pHは8〜13)に調整し、無機塩の存在下で、水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移点以上に一定時間(1時間から5時間)加熱することで着色樹脂粒子を生成することができる。
【0140】
また、イオン性界面活性剤を含有する樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液を調製し、それらを混合し、前記イオン性界面活性剤とは反対の極性を有するイオン性界面活性剤により凝集を生じさせることにより凝集粒子を形成させ、その後、樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して凝集粒子を融合して、洗浄、乾燥する方法により着色樹脂粒子を作製することもできる。
【0141】
(懸濁重合法)
さらに、着色樹脂粒子の作製では、好適な別法として懸濁重合法を用いることができる。この懸濁重合法は、公知の小粒径トナーの作成方法と同様に実施することができる。より詳細な説明が必要ならば、特開2004−191598号を参照されたい。
【0142】
(微粒子の固着)
所望の粒度分布に形成した着色樹脂粒子と、少なくとも、平均粒径6〜50nmの無機微粒子および平均粒径0.08〜5μmの有機微粒子とを混合して、無機微粒子と有機微粒子とを着色樹脂粒子表面に付着させる。その後、微粒子が付着した着色樹脂粒子を熱風中に投入することで、表面が熱により溶融した着色樹脂粒子に微粒子を固着させる。着色樹脂粒子の平均粒径は3〜15μmが好ましい。また、有機微粒子の平均粒径は、着色樹脂粒子の平均粒径よりも半分以下の大きさが好ましい。
【0143】
着色樹脂粒子と微粒子との混合は、前述したヘンシェルミキサ、スーパーミキサなどの公知のミキサが使用される。着色樹脂粒子と微粒子を混合する際には、無機微粒子、有機微粒子及び着色樹脂粒子を同時にミキサーに投入添加して混合し、その後、微粒子が付着した着色樹脂粒子を熱風中に投入するのが好ましい。或いは、有機微粒子と着色樹脂粒子とを同時に添加して混合し、その後に有機微粒子が付着した着色樹脂粒子を熱風中に投入する。そして有機微粒子が固着した着色樹脂粒子と無機微粒子とを混合する方法も好ましい。
【0144】
無機微粒子は、有機微粒子よりも粒径の小さい疎水性シリカ、酸化チタン又はアルミナ等の金属酸化物微粉末であることが好ましい。これにより、長期使用時の表示粒子の過帯電を防止でき、帯電性の保持とともに、流動性を改善向上する効果が得られる。
【0145】
熱風を用いた表面処理は、結着樹脂の軟化点(℃)よりも200℃〜300℃高い温度の熱風によって実施することが好ましい(すなわち、290〜450℃の範囲)。より好ましくは結着樹脂の軟化点よりも220〜300℃高い温度、更に好ましくは結着樹脂の軟化点よりも250〜300℃高い温度である。有機微粒子が付着した着色樹脂粒子が熱風と接触する時間は数ミリ秒であり、結着樹脂の軟化点よりも200℃以上の高い温度で処理することで、着色樹脂粒子と有機微粒子との溶融固定化を十分に行なうことができ、また、球形化を進行させることができる。一方、結着樹脂の軟化点から300℃の範囲を越える高い温度で処理すると、着色樹脂粒子の二次凝集が多く発生するようになり、粒子が粗大化し、粒度分布も広がる傾向となる。
【0146】
また、熱風を用いた表面処理は、有機微粒子の軟化点(℃)よりも130℃〜200℃高い温度の熱風によって実施することが好ましい。より好ましくは有機微粒子の軟化点よりも150〜200℃高い温度、更に好ましくは有機微粒子の軟化点よりも180〜200℃高い温度である。これにより、有機微粒子及び着色樹脂粒子の双方の表面を溶融させ、有機微粒子を着色樹脂粒子に対してより強固に付着させて固定化することができる。有機微粒子の軟化点よりも130℃以上の高い温度で処理することで、有機微粒子の溶融を進行させ、着色樹脂粒子との固着をより強固なものとすることができる。一方、有機微粒子の軟化点から200℃の範囲を越える高い温度で処理すると、有機微粒子同士や、着色樹脂粒子同士の二次凝集が発生しやすくなる傾向にあり、粒子が肥大化する傾向となる。
【0147】
結着樹脂は、定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタによる1/2法による溶融温度(軟化点と定義する)が90℃〜150℃の範囲であることが好ましい。また、樹脂のガラス転移点は60〜85℃の範囲であることが好ましい。これにより、着色樹脂粒子の表面を急速に溶融することで、表面張力により球形化を進めるとともに、溶融した着色樹脂粒子の表面に微粒子を固着(固定化)を促進させることができる。また、着色樹脂粒子と有機微粒子との固着を十分に行なえ、有機微粒子同士の二次凝集の発生を抑制することができる。
【0148】
有機微粒子の軟化点は、結着樹脂の軟化点よりも60〜150℃高いことが好ましい。有機微粒子は着色樹脂粒子よりも粒径が小さいため、有機微粒子の軟化点が結着樹脂の軟化点よりも低いと有機微粒子の溶融が急速に進み、例えば、白と黒を交互に反転させる画像表示を繰り返し行なう際に、黒色粒子と白色粒子との入れ替わりをスムーズにしてコントラストの低下を抑えるという効果が減殺される。有機微粒子の軟化点が、結着樹脂の軟化点から150℃の範囲を越えると、有機微粒子の溶融が進まず、着色樹脂粒子と有機微粒子との溶融固定化が不十分となり、有機微粒子が着色樹脂粒子から離脱、遊離しやすくなる傾向となる。
【0149】
(表示粒子の作用)
上記のように製造された表示粒子は、表示動作を繰り返し行なう過程で、微粒子が着色樹脂粒子から離脱、遊離することが抑制される。また、有機微粒子が曲率半径の大きい着色樹脂粒子表面に固着される(すなわち、曲率半径の小さい有機微粒子が着色樹脂粒子表面に存在する)ことで、例えば白と黒を交互に反転させる画像表示を繰り返し行なう際に、表示粒子同士の接触が点接触に近い形になり、黒色粒子と白色粒子との入れ替わりがスムーズに進み、コントラストの低下を抑える効果がある。また、このような表示粒子は、ポリエステルメッシュクロスやポリエステル合繊網、ポリプロピレンメッシュクロスやポリプロピレン合繊網等のメッシュ隔壁との離型性が良いため、隔壁に接触しても隔壁から離れやすく、セル内の四隅に表示粒子が表示動作せずに、滞留したままの状態になることを防ぐ効果がある。
<画像表示媒体の動作>
【0150】
上記構成の画像表示媒体10は、画像表示装置1によって駆動されることにより画像表示を行なう。画像表示装置1は、図1に示した列電極12および行電極22に電圧を印加する電源部6の他に、この電源部6の動作を制御する制御部と、画像表示媒体10に表示する画像を記憶する画像記憶部(ともに図示せず)とを有している。
【0151】
画像表示媒体10では、図1に示したように、光学的反射率および帯電極性が互いに異なる少なくとも2種以上の表示粒子群5(ここでは、表示粒子群5Aおよび表示粒子群5B)が封入された各セルにおいて、表面シート2に設けた列電極12と背面シート3に設けた行電極22との間に電圧を印加する。これにより発生する電界に応じて各表示粒子群5A,5Bを表面シート2と背面シート3との間で移動させて白色又は黒色の画像を表示させることができる。ここで、各表示粒子群5A,5Bはそれぞれ1種類の表示粒子から構成されているが、2種以上の表示粒子からそれぞれ構成してもよい。
【0152】
画像表示の際には、表面シート2と背面シート3との電極間に、交番電圧を予め印加することが好ましい。交番電圧は、周波数を100〜400Hz、波形のpeakとpeak間の電圧を±150〜300Vとして、所定の時間(例えば、0.1〜1s程度)印加する。交番電圧の波形としては正弦波が好ましいが、表示粒子の特性に応じて矩形波や三角波などを印加してもよい。
【0153】
このように、交番電圧を印加して表面シート2と背面シート3との間で表示粒子を急速に移動させることにより、帯電を安定化させ、表示粒子群5A,5Bの間での凝集を緩和させることができる。
【0154】
交番電圧の印加後、画像表示を行なう場合には、画像記憶部に記憶された画像表示パターンに応じて直流電圧を印加する。黒色粒子および白色粒子はそれぞれ正帯電極性および負帯電極性であるため、行電極22と列電極12の単純マトリクス構成の場合は、まず、全ての行電極22に負電位(例えば−50V)、全ての列電極12に正電位(例えば+50V)を印加して全画面を一旦白色表示することが好ましい。
【0155】
その後、電圧印加部の直流電圧発生回路から白色から黒色への表示切替を行なう行電極にのみ正の選択電圧(例えば、+50V)を印加して行選択を行なう(表示切替を行なわない他の行電極は0V)。
【0156】
さらに、選択した行電極に直交する各列電極に対し、白色から黒色への表示切替を行なう場合は負の画像電圧(例えば、−50V)、切替を行なわない場合は0Vを印加する。
【0157】
これらの動作を全ての行電極および列電極に対して順次行なうことにより画像が表示される。それぞれの電圧印加時間を表示粒子の応答速度より長い時間(例えば、30ms)に設定することにより、十分なコントラストを得ることができる。なお、各電極に印加する電圧は、電界の大きさと向きが同じであればどのような値に設定してもよい。
【0158】
以上のような画像表示動作を行なうことにより、列電極12に正の電圧が印加された基板間の領域(画素)では、負帯電極性の白色粒子は正の電圧が印加された列電極12側に移動して表面シート2の内面に付着し、正帯電極性の黒色粒子はこれとは逆の行電極22側に移動して背面シート3の内面に付着する。
【0159】
一方、列電極12に負の電圧が印加された領域では、正帯電極性の黒色粒子は負の電圧が印加された列電極12側に移動して表面シート2の内面に付着し、負帯電極性の白色粒子はこれとは逆の行電極22側に移動して背面シート3の内面に付着する。このようにして白黒画像が表面シート2を通して表示される。
【0160】
一旦表示された画像は、電極間への電圧の印加を停止しても、表示粒子と誘電体膜13,23との間の静電付着力が維持されるため、表示粒子は基板の内面に付着したまま保持され、白黒画像が表示された状態を長時間に渡って保持することができる。なお、白色と黒色との反転順序を逆にする場合は、それぞれの電界の向きを逆転すればよい。また、表示粒子の駆動電圧値が異なる場合は、駆動電圧値に応じて電界の大きさを調整すればよい。
【実施例】
【0161】
以下、本発明に係る画像表示媒体および表示粒子についてより具体的な実施例を挙げて説明する。
【0162】
<画像表示媒体の構成>
画像表示媒体10の構成は図1に示したものと同様である。ここで、表面基板11および背面基板21は、ともに厚さ175μmの透明PETからなる。間隙4の大きさに相当する間隙保持部材7aの高さHは50μmとし、間隙保持部材7aの幅Wは約50μmとした。また、隣接する間隙保持部材7a間の間隔Dは1000μmとした。
<画像表示媒体の製造方法>
【0163】
表面シート2の作製では、まず、厚さ50nmのITOを全面に蒸着した厚さ175μmのA4サイズの透明PETフィルム(すなわち、表面基板11)を準備する。次に、レーザエッチング法により、各電極の幅が900μmで各電極間スペースが100μmの列電極12を表面基板11上に形成した。列電極12の抵抗は150Ω/□であった。次に、その列電極12上に、THF溶液中に10%の重量比率でポリカーボネートを溶解させた溶液中で、引き上げディップ法により厚さ12μmの塗工膜を形成し、その後、乾燥炉にて80℃で5分間乾燥することにより、厚さ3μmの誘電体膜13を積層形成した。
【0164】
また、背面シート3の作製には、厚さ175μmのA4サイズのPETフィルム(すなわち、背面基板21)上に、厚さ18μmの銅箔を貼った銅箔付きフィルムを用いた。
【0165】
ラミネート工程において、ドライフィルムラミネータにて、銅箔付きPETフィルムにアクリル系の厚さ20μmの紫外線硬化型樹脂ドライフィルムを密着して貼り合わせた。このとき、ロール温度は110℃、送り速度は0.4m/分とした。
【0166】
次に、各電極の幅が900μm、スペースが1mmとなる露光マスクを作製した。続く露光工程において、銅箔付きPETフィルムに紫外線硬化型の樹脂ドライフィルムを貼り合わせたものに露光マスクを置き、100mJ/cmの露光量で露光を行った。
【0167】
さらに、続く現像工程において、露光を終えた紫外線硬化型樹脂ドライフィルムを、炭酸ナトリウム1%の現像液を用いたアルカリ現像機により、送り速度0.6m/分、液温35℃、シャワー圧0.15MPaの条件で現像を行った。この現像で除去されずに残った紫外線硬化型樹脂ドライフィルムにより、電極部のパターンが形成された。その後、塩化第2鉄液を用いたエッチング装置を用いて、送り速度0.5m/分、液温45℃、シャワー圧0.13MPaの条件で銅のエッチング現像を行った。これにより、各電極間のスペースに相当する不要な部分の銅箔を除去した。
【0168】
続いて、水酸化ナトリウム3%水溶液を用いたアルカリ現像機により、送り速度0.6m/分、液温45℃、シャワー圧0.12MPaの条件で電極部に残った紫外線硬化型樹脂ドライフィルムの剥離を行った。これにより、不要な部分が除去できたことが確認された。最後にイオン交換水で十分に洗浄を行い、その後、直ちにエアーブローによる水切りを実施した。
【0169】
以上の工程により、各電極の幅が895μm、スペースが105μm、ピッチが1mmの行電極22が形成されたことを確認した。各行電極22は列電極12と同様の幅およびスペースで形成されると共に、所定の間隔で各列電極12に直交するように配置され、いわゆるパッシブマトリクス構成となっている。
【0170】
その行電極22上に、THF溶液中に10%の重量比率でポリカーボネートを溶解させた溶液中で、引き上げディップ法により厚さ12μmの塗工膜を形成し、その後、乾燥炉にて80℃で5分間乾燥することにより、厚さ3μmの誘電体膜23を積層形成した。
【0171】
次に、複数のセルの形成と表面基板と背面基板との間の間隙を保持する目的の隔壁の具体例を示す。隔壁としてメッシュ網A〜Dを用いて画像表示媒体を作製した。
【0172】
(メッシュ網A)
NBC社製ポリエステル製メッシュ(120S,線径45μm、厚さ73μm、オープニング(線間距離)167μm)であるメッシュ網Aを使用し、背面基板上にアクリルゴム系接着剤にて接着した。
【0173】
次に、表示粒子の充填工程において、色と帯電極性の異なる2種類の表示粒子(白色粒子HW40gと黒色粒子HB20g)の充填配置量の比率を2:1とし、その混合した表示粒子を、粉体スプレー中に充填した。
【0174】
次に、メッシュ網Aの隔壁を設けた背面基板を、ガラス板の上にテープで固定した後に、粉体スプレーを用いて表示粒子を吹き付けた。セル内への投入は、体積占有率が約30%となるように調整して封入した。その後、弱い接着剤が塗布されたロールをその上に転がし、メッシュ隔壁頂上にある粒子の除去を行った。
【0175】
次に、粒子が充填された表面基板に対し、隔壁を介して背面基板を重ね合わせて接着剤にて接着およびシールして画像表示媒体を作製した。このとき、隔壁を介して互いに密着させた両基板間をダブルクリップで加圧保持した。
【0176】
(メッシュ網B)
直径50μmの無色の1本単独繊維のポリエステル製の長繊維を用い、編み機を使用して、まず縦糸を1mmピッチに設定した。次に、横糸を1mmピッチで編むことによってメッシュ網Bを形成した。その後、カレンダーにて圧着し、厚さが90μm、オープニングエリアが91%となった。以下、メッシュ網Aの場合と同様の方法で画像形成媒体を作成した。
【0177】
(メッシュ網C)
直径60μmの無色の1本単独繊維のテフロン(ポリテトラフルオロエチレン樹脂、デュポン社の登録商標)製の長繊維を用い、編み機を使用して、まず縦糸を1mmピッチに設定した。次に、横糸を1mmピッチで編むことによってメッシュ網Cを形成した。その後、カレンダーにて圧着し、厚さが108μm、オープニングエリアが85%となった。以下、メッシュ網Aの場合と同様の方法で画像形成媒体を作成した。
【0178】
(メッシュ網D)
直径70μmの無色の1本単独繊維のナイロン(ポリアミド系樹脂繊維、インビスタ社(旧デュポン・テキスタイル・アンド・インテリア社)の商品名)製の長繊維を用い、編み機を使用して、まず縦糸を1mmピッチに設定した。次に、横糸を1mmピッチで編むことによってメッシュ網Dを形成した。その後、カレンダーにて圧着し、厚さが108μm、オープニングエリアが85%となった。以下、メッシュ網Aの場合と同様の方法で画像形成媒体を作成した。
【0179】
なお、メッシュの目開き・オープニング(μm)とは、メッシュの目の大きさ(繊維である糸と糸の間の隙間の大きさ)のミクロン数をいい、繊維の糸の太さ・糸径(μm)とは糸の太さをいい、メッシュ(per inch)とは、1インチ(2.54cm)間の糸の本数を表現する。
【0180】
<表示粒子の構成>
(結着樹脂)
表1には実施例で使用した結着樹脂の特性を示す。結着樹脂は、ビスフェノールAプロピルオキシド付加物のアルコールと、テレフタル酸、コハク酸若しくはフマル酸の2価のカルボン酸、又はトリメリット酸の3価のカルボン酸とを主成分としたポリエステル樹脂を使用し、配合比、重合条件により熱特性を変えた樹脂を使用した。
【0181】
【表1】

【0182】
表1において、Mnfは結着樹脂の数平均分子量、Mwfは結着樹脂の重量平均分子量、Mzfは結着樹脂のZ平均分子量、Wmfは重量平均分子量Mwfと数平均分子量Mnfとの比Mwf/Mnf、Wzfは結着樹脂のZ平均分子量Mzfと数平均分子量Mnfの比Mzf/Mnf、Tm(℃)は軟化点、Tfb(℃)は流出開始温度、Tg(℃)はガラス転移点を示す。
【0183】
(顔料)
表2には実施例で使用した顔料の構成を示す。
【0184】
【表2】

【0185】
表2において、酸化チタン(SJR−405S)は、シリコーンオイルを表面に処理した平均粒径0.21nmのルチル形の酸化チタンである。カーボンブラックは、粒径が24nmであり、DBP吸油量は53ml/100gと低DBP吸油量を有する顔料である。粒径はSEM電子顕微鏡による約100個の算術平均径を取っている。
【0186】
(電荷制御剤)
表3には実施例で使用した電荷制御剤の構成を示す。
【0187】
【表3】

【0188】
(着色樹脂粒子)
表4には実施例で使用した着色樹脂粒子の組成を示す。なお、括弧内は結着樹脂100重量部に対する配合重量部を示す。
【0189】
【表4】

【0190】
(有機微粒子)
表5には実施例で使用した有機微粒子の構成および特性を示す。なお、一部のPMMA軟化点は400℃以上、シリコーン樹脂粒子の軟化点は800℃以上であった。
【0191】
【表5】

【0192】
(無機微粒子)
表6には実施例で使用した無機微粒子の構成および特性を示す。
【0193】
【表6】

【0194】
<表示粒子の製造方法>
(着色樹脂粒子の作製)
着色樹脂粒子の作製にあたり、まず、結着樹脂、着色剤及び電荷制御剤を、撹拌羽根を具備したヘンシェルミキサFM20B(三井三池工業製)を使用して約4kg、回転数800min−1、時間5minの条件で羽根Z0S0にて混合した。
【0195】
図5は、ロール溶融混練機の要部を示す模式的な斜視図、図6は、ロール溶融混練機の要部を示す模式的な平面図である。結着樹脂、着色剤及び電荷制御剤の混合に続いて、2本ロール溶融混練機にて混練処理を行った。混練処理では、図5に示すように、定量供給機50から第1のロール51の端部に向けて投入された着色樹脂粒子の原料は、第1のロール51上に巻きついて着色樹脂粒子の溶融膜53が形成される。ここで、第1のロール51および第2のロール52は、図6に示すように、それぞれ破線部を境界とする前半部51A,52Aおよび後半部51B,52Bで構成されている。より詳細には、原料は、第1のロール51の熱と第2のロール52との圧縮せん断力により樹脂が溶融することにより、第1のロール51の前半部51Aに巻付く。その後、溶融した原料は、第1のロール51の後半部51Bの端部にまで広がり、第1のロール51の前半部51Aよりも低い温度で加熱された第2のロール52の後半部52Bから剥離される。
【0196】
ここで、第1のロール51および第2のロール52の直径は共に140mm、長さは800mmである。また、第1のロール51の回転数は75min−1、第2のロール52の回転数は55min−1である。第1のロール51の前半部51Aを加熱する熱媒体の温度は140℃、第1のロール51の後半部51Bを加熱する熱媒体の温度は70℃である。また、第2のロール52は15℃である。さらに、第1のロール51と第2のロール52とのクリアランスは0.1mmであり、原料供給量は5kg/hである。
【0197】
このように混練処理された後に冷却して得られた混練塊をカッターミルで粗粉砕した。
【0198】
図7は、微細化粉砕処理装置の構成図である。続いて、図7に示す微細化粉砕装置60によって平均粒径8μm程度にまで微細化した。微細化粉砕装置60は、表面に凹凸を有し高速回転する円筒状の回転体61と、回転体61の外側に0.5mm〜40mmの間隙を存して嵌装され、回転体と中心軸を共有する表面に凹凸を有する円筒状の固定体62とから構成される粉砕処理部63を備える。
【0199】
微細化粉砕装置60による微細化処理では、混練物を粗粉砕によりメッシュ径約5mmをパスした被粉砕物71が、定量供給機72から投入され、その後、冷却器73から供給される冷却エアー74により粉砕処理部63の供給口75に送られる。被粉砕物71は、粉砕処理部63において、回転体61と固定体62との間隙に搬送され、高速回転する回転体61と固定体62の間に発生する高速気流の流動に伴って、相互に強い衝突を繰り返すことにより粉砕される。得られた粉砕物80は、粉砕処理部63の排出口76から排出され、粗粉分級機81を経てサイクロン82に送られ、最終的に補集容器83に回収される。粗粉分級機81においては、粗い粒子が再処理経路84を経由して、冷却エアー74により再び粉砕処理部63の供給口75に送られる。
【0200】
上記粉砕処理は、回転体61の周速は130m/s、回転体61と固定体62の間隙は1.5mm、原料供給量は3kg/h、冷却エアー74の温度は0.5℃、排出部温度は40℃の条件で実施した。
【0201】
(着色樹脂粒子と微粒子との混合方法)
着色樹脂粒子と微粒子を混合する外添処理は、ヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)を使用し、攪拌羽根Z0S0型、回転数2200min−1、処理時間4min、投入量1kgの条件で実施した。
【0202】
(表面改質処理)
図8は、表面改質処理装置の構成図である。上記外添処理により微粒子が付着した着色樹脂粒子に対し、図8に示す表面改質処理装置90を用いて熱風による表面改質処理を実施した。表面改質処理では、微粒子が付着した着色樹脂粒子91は、定量供給機92から投入され、圧縮空気93により粒子の分散手段である分散ノズル94に送られる。分散ノズル94は、左右対称の位置に4個配置されている。着色樹脂粒子91は、熱風発生装置95から放出される熱風96に向けて、それら複数の分散ノズル94から水平面に対して約45度の角度をもって下方に噴射される。着色樹脂粒子91は、熱風96中を分散しながら通過し、これにより、表面改質処理され、付着した微粒子が強固に固着される。これにより、表面改質された表示粒子はフード97内に取り込まれ、サイクロン98に送られた後に回収ボックス99に補集回収される。
【0203】
上記表面改質処理では、多段階の処理を行った。すなわち、熱風風量が1.0Nm/min(風圧5×10Pa)、分散ノズル94の原料供給分散風量が0.5Nm/min(風圧3×10Pa)、供給量が1kg/hの条件で第1段階の熱処理を実施し、続いて、熱風温度を上げて、熱風風量が1.0Nm/min(風圧5×10Pa)、原料供給分散風量が0.5Nm/min(風圧3×10Pa)、供給量が1kg/hの条件で第2段階の熱処理を行った。第1段階の熱処理は、外添剤の一部の固定化と着色樹脂粒子の角を取る球形化を行なうことを目的とし、第2段階の熱処理は、着色樹脂粒子の球形化を更に促進させることを目的とする。第1段階では、軟化点よりも140〜270℃高い温度の熱風を用い、第2段階では結着樹脂の軟化点よりも200℃〜300℃高い温度の熱風を用いた。
【0204】
熱風風量は、風圧3〜5×10Paで0.35〜1.0Nm/minが好適な範囲であり、また、原料供給分散風量は、風圧1〜3×10Paで、0.05〜0.5Nm/minが好適な範囲である。また、熱風風量と原料供給分散風量の比は10:1〜4:1の範囲が好ましい。原料供給分散風量に対する熱風96の風量が大き過ぎると被処理粒子がはじかれて均一な処理が困難となる。また、熱風風量に対する原料供給分散風量が大き過ぎると被処理粒子が熱風中を横切り均一な処理が困難となる。
【0205】
上記表面改質処理では、フード97内に取り込まれた表面改質された表示粒子に対し、冷却器101から発生される冷却空気102により冷却処理を施すことが好ましい。この冷却空気102による急速冷却により処理の状態を安定化させることができる。冷却空気102の風量は処理量に応じて適宜設定することができる。表示粒子が熱風で処理される位置から冷却空気が当てられる地点までの距離は、処理量により定められるが、一般に10〜100cm、好ましくは20〜80cmである。冷却空気102の温度は、特に限定されないが、10℃以下が好ましい。また、別法として、水冷による方法、配管の周囲に冷却された固体物(ドライアイス等)を配置する方法等を用いることもできる。
【0206】
なお、上記表面改質処理では、着色樹脂粒子91は左右対称の位置に配置された複数の分散ノズル94から噴射されるため、均一に処理される。熱風発生装置95としては、プロパンガス等により加熱されるヒータを使用したが、これに限らず、熱風を発生できるものであればよい。
【0207】
<画像表示媒体の評価>
(初期特性)
【0208】
上記構成の画像表示媒体に対し、駆動電圧(白色粒子と黒色粒子を入れ替えて白黒表示を行なう際に、電極間に印加する電圧)特性の評価(駆動電圧とコントラストの関係の評価)を行った。
【0209】
評価を行なう前に、表面基板と背面基板との電極間に交番電圧を予め印加して画像表示媒体の初期化を行なった。交番電圧は、波形が矩形波であり、周波数は100Hz、波形のpeakとpeak間の電圧は200V、印加時間は500msとした。その後、表面基板と背面基板との電極間に一定の直流電圧を印加し、その電圧値において極性を反転させた際の黒色/白色表示時の反射画像濃度を測定することにより駆動電圧特性の評価を行った。
【0210】
具体的には、表面基板側の列電極の電位を0Vとすると共に、背面基板側の行電極の電位を+250Vとして黒色を表示させ、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度を測定する。次に、列電極の電位は0Vのまま行電極の電位を−250Vとして白色を表示させ、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度を測定する。
【0211】
次に、行電極の電位を+225Vとして黒色を表示した場合と、行電極の電位を−225Vとして白色を表示した場合との反射画像濃度をそれぞれ測定する。
【0212】
その後は、同様に25Vステップで電圧値を低減しながら反射画像濃度測定を行い、黒色/白色の反転表示を行なわなくなるまでこれらの測定を継続する。
【0213】
以上の測定により画像表示媒体の駆動電圧特性を把握した上で、行電極に±100Vを印加して黒色または白色表示した場合の反射画像濃度IDb、IDwを用いて、次の(式8)で表される駆動電圧100VにおけるコントラストCを算出する。
【0214】
C=10(−IDw) /10(−IDb)・・・(式8)
【0215】
(繰り返し表示特性)
上記構成の画像表示媒体に対し、繰返し表示試験を実施した。繰返し表示試験では、表面基板側の列電極の電位を0V、背面基板側の行電極の電位を+100Vとして黒色表示を行い、次に、列電極の電位を0Vのまま行電極の電位を−100Vとして白色表示を行なう。
【0216】
このような表示切替動作を200,000回繰り返した後、駆動電圧100Vにて黒色、白色表示した場合の反射画像濃度IDb、IDwを測定し、コントラストCを評価した。200,000回の繰返し表示は、行電極に周波数10Hz、波形のpeakとpeak間の電圧200Vの矩形波交番電界を340分印加することにより行った。
【0217】
<表示粒子の評価>
表7〜表9には上述の表面改質処理を行った表示粒子のサンプルの特性を示す。ここで、括弧内は着色樹脂粒子100重量部に対する無機微粒子および有機微粒子の配合重量部を示す。また、Tmrは結着樹脂の軟化点(℃)、Tmpは結着樹脂の軟化点(℃)、SFは着色樹脂粒子の形状係数、BTr/BSrは比表面積比を示す。
【0218】
【表7】

【0219】
【表8】

【0220】
【表9】

【0221】
表10には、上記サンプルを画像表示媒体に封入して前述した方法で画像表示特性を評価した結果を示す。340分間におけるコントラストCの推移を観察した。
【0222】
【表10】

【0223】
メッシュCの隔壁を使用し、白色粒子HW1と黒色粒子HB10とを2:1の重合比率で封入した画像形成媒体HWB1と、メッシュCの隔壁を使用し、白色粒子HW3と黒色粒子HB10とを2:1の重合比率で封入した画像形成媒体HWB3との画像表示特性を評価した。テフロンを使用しているメッシュCでは、過帯電を抑えるために、黒色粒子HB10の電荷制御剤の量を少し抑え、白色粒子HW1またはHW3の電荷制御剤の量を少し大目にしている。双方とも隔壁周辺部への付着残が少なく、コントラストは9以上を維持し、低下が少なく良好な特性を示した。
【0224】
メッシュDの隔壁を使用し、白色粒子HW2と黒色粒子HB11とを2:1の重合比率で封入した画像形成媒体HWB2と、メッシュDの隔壁を使用し、白色粒子HW6と黒色粒子HB11とを2:1の重合比率で封入した画像形成媒体HWB6との画像表示特性を評価した。ナイロンを使用しているメッシュDでは、過帯電を抑えるために、白色粒子HW2またはHW6の電荷制御剤の量を少し抑え、黒色粒子HB11の電荷制御剤の量を少し大目にしている。双方とも隔壁周辺部への付着残が少なく、コントラストは9以上を維持し、低下が少なく良好な特性を示した。
【0225】
メッシュAの隔壁を使用し、白色粒子HW4と黒色粒子HB10を2:1の重合比率で封入した画像形成媒体HWB4と、メッシュBの隔壁を使用し、白色粒子HW5と黒色粒子HB9を2:1の重合比率で封入した画像形成媒体HWB5との画像表示特性を評価した。双方とも隔壁周辺部への付着残が少なく、コントラストは9以上を維持し、低下が少なく良好な特性を示した。
【0226】
従来のフォトリソ法で作成した隔壁を使用し、白色粒子HW5と黒色粒子HB9を2:1の重合比率で封入した画像形成媒体HWB7の画像表示特性を評価した。隔壁周辺部への付着残が見られ、白色粒子と黒色粒子の移動がスムーズではなく、コントラストは9以下に低下した。
【0227】
また、画像形成媒体の曲げ性を評価した。メッシュ隔壁を使用したHWB1、HWB2、HWB3、HWB4、HWB5またはHWB6の画像形成媒体では、曲率半径2cmまで曲げても正常に動作して画像表示を行い、コントラストC9以上の特性を維持した。従来のフォトリソ法で作成した隔壁を使用した画像形成媒体HWB7では、曲率半径4cm程度において、画像表示に一部欠陥が現れ、また隔壁と基板とに剥がれが生じる箇所が現れた。
【0228】
本発明について実施例を含む特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。上記実施形態に示した本発明に係る画像表示媒体及びこれを備えた画像表示装置の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて選択的に用いることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0229】
本発明に係る画像表示媒体及びこれを備えた画像表示装置は、各基板間に容易に隔壁を設けることができると共に、当該隔壁が少なくとも一方の基板と相対移動可能な部位(固定されない部位)を有することにより、フレキシブル性を高めることを可能とし、基板間に封入された表示粒子の移動により画像を表示する画像表示媒体及びこれを備えた画像表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0230】
1 画像表示装置
2 表面シート
3 背面シート
4 間隙
5 表示粒子群
6 電源部(電界付与手段)
7a 間隙保持部材
7 隔壁
8 セル
10 画像表示媒体
11 表面基板
12 列電極
13 誘電体膜
21 背面基板
22 行電極
23 誘電体膜
24 交差部位(可動部位)
50 定量供給機
51 第1のロール
52 第2のロール
60 微細化粉砕装置
63 粉砕処理部
81 粗粉分級機
90 表面改質処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板の間隙に介装されて複数のセルを画成する隔壁と、前記各セル内にそれぞれ封入された所定の帯電極性を有する表示粒子群とを備え、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体であって、
前記隔壁は、当該基板の少なくとも一方に対して相対移動可能な可動部位を有することを特徴とする画像形成媒体。
【請求項2】
前記隔壁は、互いに交差する複数の間隙保持部材から構成され、
前記可動部位は、前記間隙保持部材が交差する部位として形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成媒体。
【請求項3】
前記間隙保持部材は、メッシュ状に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成媒体。
【請求項4】
前記間隙保持部材は、織り網または編まれた網の構成を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成媒体。
【請求項5】
前記間隙保持部材の各々は、太さが30〜100μmであり、隣接する間隙保持部材同士の間隔が100μm〜2mmであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の画像形成媒体。
【請求項6】
前記表示粒子群を構成する各表示粒子は、少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子と、平均粒径が6nm〜50nmの微粒子とを含み、
前記微粒子は、前記結着樹脂の軟化点よりも200℃〜300℃高い温度の熱風を用いた処理により前記着色樹脂粒子の表面に固着されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成媒体。
【請求項7】
前記結着樹脂は、軟化点が95℃〜150℃であり、
前記微粒子は、軟化点が150℃〜250℃の熱可塑性樹脂からなる有機微粒子であり、当該軟化点よりも130℃〜200℃高い温度の熱風を用いた処理により、前記着色樹脂粒子の表面に固着されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成媒体。
【請求項8】
前記表示粒子は、形状係数が125以下であり、当該形状係数の変動係数が15以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成媒体。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像表示媒体と、当該画像表示媒体の基板間に電界を付与する電界付与手段とを備えた画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−158782(P2011−158782A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21575(P2010−21575)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】