説明

画像表示方法、画像表示装置および画像表示プログラム

【課題】色順次方式による画像表示において、過度にフレームレートを上げることなく、効率的に動体色づき現象(カラーブレイクアップ)を抑制する。
【解決手段】基準色の色画像を順次表示する画像表示方法において、物体の動きを予測し追尾する肉眼の性質を踏まえ、順次表示されるサブフレーム131から133およびサブフレーム141から143で、表示タイミングに合わせてそれぞれ異なった時間の画像を色順次方式で表示する。これにより、サブフレーム131から133およびサブフレーム141から143中の動体画像101から107は、時間の経過に伴って位置110の方向のそれぞれ異なった位置に表示されることとなり、物体の動きを予想して移動する視線120の位置と一致するため、動体の色づき現象が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示技術に関し、特に動画の色順次方式の画像表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像表示方法の1つに色順次方式と呼ばれるものがある。この方法は、1つの画像(フレーム)を複数の基準色成分に分解し、短期間に各基準色成分の画像(サブフレーム)を順次表示することで、所望の色画像表示を実現する方法である。この色順次方式では、各基準色の画像表示時間を短期間に制限することで、人間の肉眼の時間軸方向の解像度の限界から各基準色の画像が個別とは認識されず、人間の肉眼によって各基準色を重ね合わされ、合成されることを利用している。
【0003】
色順次方式は、一般に他のカラー画像表示方式と比較して、画像表示装置の構造がシンプルとなる為、装置の小型化に関して優位とされている。
ところで、色順次方式は、上述したとおり基準色の合成によって所望の色を表現する方法であるので、各基準色成分すべてが人間の肉眼で重ね合わされて初めて所望の色が表現されることになる。ところが、動画像を見る際に、人間の視線は物体の動きを予測し追尾するため、視線は1フレーム毎に一定箇所にとどまることなく、常に動き続ける。つまり、表示装置が1フレーム分の各基準色のサブフレームを順次表示している間も視線は動き続けることになる。図9はその様子を示したものである。従来の色順次方式の表示装置では、同一フレーム内では単一の画像情報を使用しており、人間の視線の動体追尾は考慮されていない。そのため、物体の動きの予測に基づいて人間が動体を見ている視線220の位置と、表示装置が各サブフレーム内で表示する動体201から207の表示位置にずれが生じる。これにより、合成して見られるべき1フレーム分の各基準色のサブフレームと、実際に人間の肉眼で合成した1フレーム分のサブフレームが一致しないこととなる。その結果、人間の肉眼で合成された画像では、所望の色と異なる色が認識される動体の色づき現象(カラーブレイクアップ)が現れ、画質が低下する一要因となっている。
【0004】
この現象を避けるため、特許文献1では、少なくともいずれかの1つの基準色がサブフレームを2つ以上持つことでサブフレームの数を増やし、基準色を色順次表示する間隔を短くする手法が提案されている。また、特許文献2から4では、サブフレームを発生させる周波数を少なくとも180Hzから300Hz以上とし、サブフレーム数を増やし、基準色を色順次表示する間隔を短くする手法が提案されている。いずれも、サブフレーム数を増やしフレームレートを上げることで、動体の色づき現象を抑えることができることが開示されている。
【特許文献1】米国特許第5448314号明細書
【特許文献2】米国特許第6972736号明細書
【特許文献3】米国特許第7012577号明細書
【特許文献4】米国特許第7224328号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サブフレーム数を増やし、フレームレートを上げることにより動体の色づき現象を抑える方法は有効であるが、使用される回路素子の応答性などによる処理速度の限界から現実的に利用可能なフレームレートが制限されるという技術的な課題がある。このため、同じフレームレートにおいて、動体の色づき現象を効率良く抑制する方法が必要とされている。
【0006】
本発明の目的は、必要以上にサブフレームの数を増やしてフレームレートを上げることなく、動体の色づき現象(カラーブレイクアップ)を効率的に抑制する画像表示技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、1フレームの画像をN色(Nは2以上の自然数)の基準色の各々に対応した複数のサブフレームに分けて、第1色から第N色の各々に対応した前記サブフレームを順次表示する色順次方式の画像表示方法であって、前記第1色の前記サブフレームに対して、後続の第i色(iは2以上の自然数)の前記サブフレームは、前記1フレームの表示時間のおよそ(i−1)/Nだけ時間的に進んでいる画像表示方法を提供する。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に記載の画像表示方法において、前記基準色は赤、緑、青の3色であり、第1色の前記サブフレームを投影した後、当該第1色の前記サブフレームから前記1フレームの前記表示時間の1/3だけ時間を進めて前記第2色の前記サブフレームを表示し、さらに前記第2色の前記サブフレームから前記1フレームの前記表示時間の1/3だけ時間を進めて前記第3色の前記サブフレームを表示する画像表示方法を提供する。
【0009】
本発明の第3の態様は、1フレームの画像をN色(Nは2以上の自然数)の基準色の各々に対応した複数のサブフレームに分けて、第1色から第N色の各々に対応した前記サブフレームを順次表示する色順次方式の画像表示方法であって、前記第1色から前記第N色のいずれか1色に対応する第i番目(iは2以上の自然数)に表示される前記サブフレームの生成では、先行の第(i−1)番目に表示される前記サブフレームよりも時間的に進んでいる前記サブフレームを生成する第1のステップと、前記第1のステップで生成された前記サブフレームを表示する第2のステップと、を含む画像表示方法を提供する。
【0010】
本発明の第4の態様は、前記第3の態様に記載の画像表示方法において、前記第1のステップで生成される前記第i番目に表示される前記サブフレームは、先行の前記第(i−1)番目に表示される前記サブフレームより、当該第(i−1)番目に表示される前記サブフレームの表示時間とほぼ等しいだけ時間的に進んでいる画像表示方法を提供する。
【0011】
本発明の第5の態様は、前記第3の態様または前記第4の態様に記載の画像表示方法において、前記第1のステップでは、前記1フレームの画像から、前記基準色の各々に対応した少なくとも2つの前記サブフレームを生成する画像表示方法を提供する。
【0012】
本発明の第6の態様は、前記第3の態様または前記第4の態様に記載の画像表示方法において、前記第1のステップで生成される前記サブフレームの前記基準色の各々に対応する前記サブフレームの数を、使用する光源から射出される照明光の色に関する特性を反映するように変化させる画像表示方法を提供する。
【0013】
本発明の第7の態様は、前記第3の態様または前記第4の態様に記載の画像表示方法において、前記第1のステップで生成される前記サブフレームの前記基準色毎の前記表示時間を、使用する光源から射出される照明光の色に関する特性を反映するように変化させる画像表示方法を提供する。
【0014】
本発明の第8の態様は、1フレームの画像をN色(Nは2以上の自然数)の基準色の各々に対応した複数のサブフレームに分けて、第1色から第N色の各々に対応した前記サブフレームを順次表示する色順次方式の画像表示装置であって、前記N色の前記基準色の光を順次出射する光源と、前記光源の発光を制御する光源制御手段と、前記光源から出射される照明光を変調する空間光変調器と、前記第1色から前記第N色のいずれか1色に対応
する第i番目(iは2以上の自然数)に表示される前記サブフレームの生成では、第(i−1)番目に表示される前記サブフレームよりも時間的に進んでいる前記サブフレームを生成するサブフレーム生成手段と、前記サブフレーム生成手段により生成された前記サブフレームに応じて前記空間光変調器の変調状態を制御する空間光変調器制御手段と、前記光源制御手段と前記空間光変調器制御手段を同期させるタイミング制御手段と、を含む画像表示装置を提供する。
【0015】
本発明の第9の態様は、前記第8の態様に記載の画像表示装置において、前記サブフレーム生成手段は、先行の前記第(i−1)番目に表示される前記サブフレームより、当該第(i−1)番目に表示される前記サブフレームの表示時間とほぼ等しいだけ時間的に進んでいる前記第i番目に表示される前記サブフレームを生成する画像表示装置を提供する。
【0016】
本発明の第10の態様は、1フレームの画像をN色(Nは2以上の自然数)の基準色の各々に対応した複数のサブフレームに分けて、第1色から第N色の各々に対応した前記サブフレームを順次表示する色順次方式の画像表示プログラムであって、前記第1色から前記第N色のいずれか1色に対応する第i番目(iは2以上の自然数)に表示される前記サブフレームの生成では、先行の第(i−1)番目に表示される前記サブフレームよりも時間的に進んでいる前記サブフレームを生成する第1のステップと、前記第1のステップで生成された前記サブフレームを表示する第2のステップと、を含む画像表示プログラムを提供する。
【0017】
本発明の第11の態様は、前記第10の態様に記載の画像表示プログラムにおいて、前記第1のステップで生成された前記第i番目に表示される前記サブフレームは、先行の前記第(i−1)番目に表示される前記サブフレームより、当該第(i−1)番目に表示される前記サブフレームの表示時間とほぼ等しいだけ時間的に進んでいる画像表示プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、必要以上にサブフレームの数を増やすことなく、動体の色づき現象を抑制できる画像表示技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る動体画像の表示位置と視線位置の関係を示す図である。図2は、本実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態に係る画像表示装置の構成を示す概念図である。図4は、本実施形態に係るサブフレーム生成処理の流れを示すフローチャートである。図5は、本実施形態を示すサブフレームの例を示した模式図である。
【0020】
まず、図1を用いて本実施形態の動作原理の一例について説明する。動画を見る際、人間の視線は物体の動きを予測し追尾するため、1フレーム毎に一定箇所にとどまることなく、常に動き続ける。この肉眼の性質を踏まえ、本実施形態では、表示タイミングに合わせてそれぞれ異なる時刻のサブフレームを作ることで、物体のあるべき場所に物体を表示し、これにより動体の色づき現象を抑制する。図1では、本実施形態の一例として一定方向に運動している動体を表示した様子を例示している。連続するフレーム130およびフレーム140の各々から生成されて順次表示されるサブフレーム131、サブフレーム132、サブフレーム133、サブフレーム141、サブフレーム142、サブフレーム143は、表示タイミングに合わせてそれぞれ異なった時間の画像を色順次方式で表示する。つまり、サブフレーム131に続いて表示されるサブフレーム132では、サブフレー
ム131と同一の画像の異なる基準色成分を表示するのではなく、サブフレーム131より時間が進んだ画像であり、且つサブフレーム131と異なる基準色成分を表示する。これにより、サブフレーム131からサブフレーム133およびサブフレーム141からサブフレーム143中の動体画像101、動体画像102、動体画像103、動体画像104、動体画像105、動体画像106、動体画像107は、時間の経過に伴って位置110の方向のそれぞれ異なった位置に表示されることとなる。一方、視線120は物体の動きを予想して移動するので、サブフレーム131からサブフレーム133およびサブフレーム141からサブフレーム143でそれぞれ動体画像101から動体画像107を追尾しながら、適時動体が表示される場所を見ることになる。この結果、動体画像の表示位置と視線の位置が一致し、動体画像の各基準色成分が合成されることになるため、必要以上にサブフレームの数を増やすことなく、動体の色づき現象を抑制することができる。
【0021】
以下、上述の図1に例示した動作原理によるカラー画像表示を実現する画像表示装置の具体例について示す。
図2に例示されるように、画像表示装置300は、データ入力部310と、フレームデータ保持部320と、サブフレーム生成手段330と、サブフレームデータ保持部340と、タイミング制御手段350と、空間光変調器制御手段360と、光源制御手段370と、空間光変調器380と、色順次光源390を含む。また、データ入力部310と、フレームデータ保持部320と、サブフレーム生成手段330と、サブフレームデータ保持部340と、タイミング制御手段350と、空間光変調器制御手段360と、光源制御手段370は、全体で制御ユニット410として構成される。制御ユニット410は、専用の論理回路等のハードウェアで構成されてもよいし、マイクロプロセッサと専用のプログラム410aによって実現されてもよい。なお、画像表示装置300は、例えばプロジェクタであり、外部から入力される画像情報を変換し、図示しない画像表示面へ出力する機能を有する。
【0022】
さらに、図2を用いて各要素が実施する処理の一例について概要を説明する。
フレームデータ保持部320は、データ入力部310に接続された図示しない外部機器から入力される画像情報(フレーム)を、2フレーム分以上保持する。保持されたフレーム(フレーム130、140、...)は、1フレーム分の表示が終了する毎に、時々刻々、更新される。
【0023】
サブフレーム生成手段330は、フレームデータ保持部320から必要なフレーム(フレーム130、140、...)を取得し、後述する処理によりサブフレーム(サブフレーム131〜133、サブフレーム141〜143、...)を生成して、サブフレームデータ保持部340へ出力する。
【0024】
タイミング制御手段350は、空間光変調器制御手段360と光源制御手段370を同期させる。この同期信号を受けて、空間光変調器制御手段360と光源制御手段370は、サブフレームデータ保持部340からサブフレーム(サブフレーム131〜133、サブフレーム141〜143、...)を取得し、それぞれ空間光変調器380、色順次光源390を制御して、サブフレーム(サブフレーム131〜133、サブフレーム141〜143、...)を割り当てられた期間だけ画像表示面へ表示する。
【0025】
図3に例示されるように、本実施形態における画像表示装置300は、1つの空間光変調器380、光源光学系400、制御ユニット410、TIR(内部全反射)プリズム420、投影光学系430を含む。
【0026】
図3に例示される画像表示装置300において、空間光変調器380および色順次光源390の制御により、所望の画像が画像表示面へ再現されるまでの処理の概要を説明する

【0027】
制御ユニット410の制御の元で色順次光源390から出射される照明光450は、色順次光源390と、照明光450を集束する集光レンズ391、ロッド系集光体392、集光レンズ393を含む光源光学系400を経由してTIRプリズム420へ入射する。
【0028】
TIRプリズム420は光源光学系400から入射する照明光450を入射光451として空間光変調器380に対して所定の角度で入射させるとともに、空間光変調器380で反射された反射光452を、投影光学系430に至るように透過させる。
【0029】
投影光学系430は、空間光変調器380とTIRプリズム420を経由して到来する反射光452を、投影光453として画像表示面440に投影し、所望の画像を得る。
以下、図4に例示されるフローチャートを参照して、サブフレーム生成処理の一例をフレーム130のサブフレーム生成部分に注目して詳細な説明を行う。
【0030】
サブフレーム生成処理は、フレームデータ保持部320に新たなフレーム(例えば、フレーム140)が入力されたことを検出して起動する。
まず、サブフレーム131、サブフレーム132、サブフレーム133を生成するにあたり、サブフレーム化するフレーム130(以下、対象フレームと称する)を含む必要なフレーム(例えば、フレーム130とフレーム140)を図2のフレームデータ保持部320より取得する(ステップS10)。
【0031】
次に、ステップS20では、サブフレーム131〜133で利用する基準色、1フレーム内に含まれるサブフレーム数M、基準色の発生順序、各サブフレームの表示時間Ti(iは対象フレーム内での表示順を示す番号で、1以上M以下の自然数。以下、iをサブフレーム番号と称する)を設定する。本実施形態では一例として、基準色は赤(R)・緑(G)・青(B)の3色、サブフレーム数Mは3、基準色の発生順序は赤(R)→緑(G)→青(B)の順、各サブフレームの表示時間T1、T2、T3は各々1/3フレーム間隔とする。
【0032】
ステップS30では、サブフレーム番号iを1に初期化する。さらに、対象フレーム130から生成するサブフレーム131〜133までの時間差を表すΔT(以下、ΔTを遅れ時間と称する)を0に初期化する。なお、本実施形態において対象フレーム130から生成するサブフレーム131〜133までの遅れ時間ΔTとは、対象フレーム130と後続のフレーム140の時間差を、対象フレーム130から生成されるサブフレーム131〜133の数に応じて按分した場合の時間差を意味する。従って、最初のサブフレーム131は、対象フレーム130の時刻と一致しているが、後続の2番目以降のサブフレーム132およびサブフレーム133の時刻は、ΔTだけ対象フレーム130から時間的に進んで表示される。
【0033】
ステップS40では、サブフレーム番号iがサブフレームの数M以下かどうかを判定する。本実施形態の一例では、Mは3であるため、3以下かどうかが判定される。
ステップS40の判定結果がNOの場合、すでに1フレーム内に含まれるサブフレーム131〜133はすべて作成済みとして、ステップS90へ遷移し、サブフレーム生成処理を終了する。
【0034】
ステップS40の判定結果がYESの場合、まだ1フレーム内に含まれるサブフレーム131〜133のすべては作成されていないとして、ステップS50へ遷移する。
ステップS50では、サブフレーム番号iのサブフレーム131〜133を生成する。生成するサブフレーム131〜133は、ステップS20で設定した発生順序のi番目に
該当する基準色で、且つ、対象フレーム130から遅れ時間ΔTだけ時間が進んだ時刻の画像となる。このサブフレーム131〜133の生成では、例えば、対象フレーム130と後続のフレーム140との間における画像の変化を遅れ時間ΔTに応じて補間することによって得られる。本実施形態の一例では、サブフレーム番号が1、遅れ時間ΔTが0である為、サブフレーム番号1のサブフレーム131は、赤色成分で、且つ、対象フレーム130と同時刻の画像となる。
【0035】
ステップS60では、ステップS50で生成したサブフレーム番号iのサブフレーム131〜133をサブフレームデータ保持部340へ出力する。
ステップS70では、遅れ時間ΔTにステップS20で設定したサブフレーム番号iのサブフレーム131〜133の表示時間Tiをインクリメントして更新する。
【0036】
ステップS80では、サブフレーム番号iを1だけインクリメントして更新し、ステップS40へ遷移する。
以降、ステップS40からステップS80をサブフレーム番号iがM+1となる場合まで繰り返す。サブフレーム番号がM+1となると、ステップS40の判定結果がNOとなり、ステップS90へ遷移してサブフレーム生成処理を終了する。本実施形態の一例では、iが4となった時点でサブフレーム生成処理が終了することになる。
【0037】
なお、本実施形態の一例では、上記繰り返しにより、サブフレーム番号2のサブフレーム132は、緑色成分で、且つ、対象フレーム130から1/3フレーム間隔だけ時間的に進んだ画像として生成される。同じく、サブフレーム番号3のサブフレーム133は、青色成分で、且つ、対象フレーム130から2/3フレーム間隔だけ時間的に進んだ画像として生成される。
【0038】
以上、図2から図4で例示した本実施形態により、図5に例示されるように、赤(R)成分のサブフレーム131の表示後、先行するサブフレーム131より、サブフレーム131の表示時間と同じ1/3フレーム間隔だけ時間的に進んだ緑(G)成分のサブフレーム132が表示される。続いて、先行するサブフレーム132より、サブフレーム132の表示時間と同じ1/3フレーム間隔だけ時間的に進んだ青(B)成分のサブフレーム133が表示される。さらに、先行するサブフレーム133より、サブフレーム133の表示時間と同じ1/3フレーム間隔だけ時間的に進んだ赤(R)成分のサブフレーム141が表示される。このように、赤(R)・緑(G)・青(B)の順にそれぞれ先行するサブフレームの表示時間と同じだけ時間的に進んだサブフレームが色順次表示される。
【0039】
これにより、図1に例示したように、視線120の位置と動体画像101から107の表示位置が一致することになり、必要以上にサブフレームの数を増やすことなく、動体の色づき現象を抑制することができる。また、必要以上にサブフレームの数を増やす必要がない為、比較的応答性が低い回路素子を用いて本実施形態の制御ユニット410等を実現できる。このため、比較的安価に本実施形態の画像表示装置300を提供することができる。
【0040】
以下、図6を参照して、1フレーム内で複数回同一の基準色のサブフレームを表示した変形例1をフレーム530のサブフレーム生成部分に注目して示す。
本変形例の一例として、図4に例示されるサブフレーム生成処理のステップS20で、サブフレーム数Mに基準色の数の2倍の値である6を設定し、各サブフレーム(サブフレーム531〜536)の表示時間Tiには各々1/6フレーム間隔を設定する。なお、本変形例では一例として、サブフレーム数Mは基準色数の2倍としたが、本変形例を構成する回路素子が対応できる範囲内で、さらにサブフレーム数を増やすことができる。
【0041】
これにより図6に例示されるように、赤(R)成分のサブフレーム531の表示後、先行するサブフレーム531より、サブフレーム531の表示時間と同じ1/6フレーム間隔だけ時間的に進んだ緑(G)成分のサブフレーム532が表示される。それ以降、同様に、それぞれ1/6フレーム間隔だけ時間的に進んだサブフレームが青(B)・赤(R)・緑(G)・青(B)と繰り返され、1フレーム内で各基準色それぞれ2回ずつ色順次表示されることになる。
【0042】
本変形例は、フレームレートが高くなるものの、より効率的に動体の色づき現象を抑制することができる。
以下、図7を参照して、1フレーム内における基準色毎のサブフレームの表示回数を変更した変形例2をフレーム630のサブフレーム生成部分に注目して示す。
【0043】
本変形例の一例として、図4に例示されるサブフレーム生成処理のステップS20で、サブフレーム数Mを4、各サブフレーム(サブフレーム631〜634)の表示時間Tiを各々1/4フレーム間隔、基準色の発生順序を赤(R)→赤(R)→緑(G)→青(B)と設定する。本変形例の一例では、例えば、高圧水銀ランプなど赤色成分が比較的弱くでる光源を想定し、赤色成分を強調して各色のバランスを均一にすべく赤(R)・緑(G)・青(B)の合計表示時間の比率を2:1:1としたものである。なお、本変形例の一例としては、各基準色の合計表示時間の比率を2:1:1としたが、これに限られるものではない。光源の特性や、肉眼の色に対する感度特性などによって比率を変更することができるため、光源の特性に影響されることなく、一定の階調表現を実現することができる。
【0044】
これにより図7に例示されるように、フレーム630中の第1番目の赤(R)成分のサブフレーム631の表示後、先行するサブフレーム631より、サブフレーム631の表示時間と同じ1/4フレーム間隔だけ時間的に進んだ第2番目の赤(R)成分のサブフレーム632が表示される。続いて、先行するサブフレーム632より、サブフレーム632の表示時間と同じ1/4フレーム間隔だけ時間的に進んだ緑(G)成分のサブフレーム633が表示される。さらに、先行するサブフレーム633より、サブフレーム633の表示時間と同じ1/4フレーム間隔だけ時間的に進んだ青(B)成分のサブフレーム634が表示される。このように、赤(R)・赤(R)・緑(G)・青(B)の順にそれぞれ先行するサブフレームの表示時間と同じだけ時間が進んだサブフレームが色順次表示される。
【0045】
本変形例は、1フレーム内における基準色毎のサブフレームの表示回数を変更することで、表示されるサブフレームの基準色毎の合計表示時間の比率を調整することができ、これにより、光源から射出される照明光の色に関する特性や肉眼の色に対する感度特性などを反映した画像表示を実現でき、その結果、光源の特性に影響されることなく、一定の階調表現を実現することができる。
【0046】
なお、本変形例は、例えば、1フレーム中に赤(R)・赤(R)・緑(G)・青(B)の順にサブフレームを2回ずつ表示させるなど、変形例1と合わせ利用することも可能である。これにより変形例1による効果も合わせて享受することができる。
【0047】
以下、図8を参照して、1フレーム内で基準色毎にサブフレームの表示時間を変更した変形例3をフレーム730のサブフレーム生成部分に注目して示す。
本変形例の一例として、図4に例示されるサブフレーム生成処理のステップS20で、サブフレーム数Mは3、基準色の発生順序を赤(R)→緑(G)→青(B)のままにした上で、各サブフレーム(サブフレーム731〜733)の表示時間T1、T2、T3をそれぞれ1/2、1/4、1/4フレーム間隔と設定する。これは、例えば、高圧水銀ラン
プなど赤色成分が比較的弱くでる光源を想定し、赤色成分を強調して各色のバランスを均一にすべく、赤(R)・緑(G)・青(B)の表示時間の比率を2:1:1としたものである。なお、本実施形態では、各基準色の合計表示時間の比率を2:1:1としたが、これに限られるものではなく、光源の性質や肉眼の色に対する感度特性等によって比率を変更することができるため、光源の特性に影響されることなく、一定の階調表現を実現することができる。
【0048】
これにより図8に例示されるように、赤(R)成分のサブフレーム731の表示後、先行するサブフレーム731より、サブフレーム731の表示時間と同じ1/2フレーム間隔だけ時間的に進んだ緑(G)成分のサブフレーム732が表示される。続いて、先行するサブフレーム732より、サブフレーム732の表示時間と同じ1/4フレーム間隔だけ時間的に進んだ青(B)成分のサブフレーム733が表示される。さらに、先行するサブフレーム733より、先行するサブフレーム733の表示時間と同じ1/4フレーム間隔だけ時間的に進んだ赤(R)成分のサブフレーム741が表示される。このように、赤(R)・緑(G)・青(B)の順にそれぞれ先行するサブフレームの表示時間と同じだけ時間が進んだサブフレームが色順次表示される。
【0049】
本変形例は、1フレーム内における基準色毎のサブフレームに対する表示時間の割り当てを変更することで、表示されるサブフレームの基準色毎の合計表示時間の比率を調整することができ、これにより、光源から射出される照明光の色に関する特性や肉眼の色に対する感度特性などを反映した画像表示を実現でき、その結果、光源の特性に影響されることなく、一定の階調表現を実現することができる。
【0050】
なお、本変形例は、例えば、1フレーム中の赤(R)・緑(G)・青(B)成分のサブフレームをそれぞれ1/4、1/8、1/8フレーム間隔としそれぞれ2回ずつ表示させるなど、変形例1と合わせ利用することも可能である。これにより変形例1と同じ効果も合わせて享受することができる。
【0051】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
(付記1)
画像をN個のPrime Colorに分けて、第1色から第N色の画像表示を順次表示する色順次方式で表示する画像表示装置において、
第1の色画像に対して第i番目の色画像については、1フレームのおよそ(i-1)/Nだけの時間だけ時間が進んでいるサブフレームを表示することを特徴とする画像表示装置。
(付記2)
付記1の画像表示装置において、
Prime Colorは赤、緑、青の3原色であり、
第1色の画像情報を投影した後、第1色の画像表示時点から1フレームの1/3だけ時間を進めた第2色の画像情報を表示し、さらに第2色の画像表示時点から1フレームの1/3だけ時間を進めた第3色の画像情報を表示することを特徴とする画像表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態における動体画像の表示位置と視線位置の関係を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の構成を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るサブフレーム生成処理の流れを示すフロー図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すサブフレームの例を示した模式図である。
【図6】本発明の一実施形態の変形例1を示すサブフレームの例を示した模式図である。
【図7】本発明の一実施形態の変形例2を示すサブフレームの例を示した模式図である。
【図8】本発明の一実施形態の変形例3を示すサブフレームの例を示した模式図である。
【図9】従来技術における動体画像の表示位置と視線位置の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
100 時間
101 動体画像
102 動体画像
103 動体画像
104 動体画像
105 動体画像
106 動体画像
107 動体画像
110 動体の位置
120 視線
130 フレーム
140 フレーム
200 時間
201 動体画像
202 動体画像
203 動体画像
204 動体画像
205 動体画像
206 動体画像
207 動体画像
210 動体の位置
220 視線
230 フレーム
240 フレーム
300 画像表示装置
310 データ入力部
320 フレームデータ保持部
325 動体検出手段
330 サブフレーム生成手段
340 サブフレームデータ保持部
350 タイミング制御手段
360 空間光変調器制御手段
370 光源制御手段
380 空間光変調器
390 色順次光源
391 集光レンズ
392 ロッド系集光体
393 集光レンズ
400 光源光学系
410 制御ユニット
410a プログラム
420 TIR(内部全反射)プリズム
430 投影光学系
440 画像表示面
450 照明光
451 入射光
452 反射光
453 投影光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1フレームの画像をN色(Nは2以上の自然数)の基準色の各々に対応した複数のサブフレームに分けて、第1色から第N色の各々に対応した前記サブフレームを順次表示する色順次方式の画像表示方法であって、
前記第1色の前記サブフレームに対して、後続の第i色(iは2以上の自然数)の前記サブフレームは、前記1フレームの表示時間のおよそ(i−1)/Nだけ時間的に進んでいることを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示方法において、
前記基準色は赤、緑、青の3色であり、
前記第1色の前記サブフレームを投影した後、前記第1色の前記サブフレームから前記1フレームの前記表示時間の1/3だけ時間を進めて前記第2色の前記サブフレームを表示し、さらに前記第2色の前記サブフレームから前記1フレームの前記表示時間の1/3だけ時間を進めて前記第3色の前記サブフレームを表示することを特徴とする画像表示方法。
【請求項3】
1フレームの画像をN色(Nは2以上の自然数)の基準色の各々に対応した複数のサブフレームに分けて、第1色から第N色の各々に対応した前記サブフレームを順次表示する色順次方式の画像表示方法であって、
前記第1色から前記第N色のいずれか1色に対応する第i番目(iは2以上の自然数)に表示される前記サブフレームの生成では、先行の第(i−1)番目に表示される前記サブフレームよりも時間的に進んでいる前記サブフレームを生成する第1のステップと、
前記第1のステップで生成された前記サブフレームを表示する第2のステップと、
を含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項4】
請求項3に記載の画像表示方法において、
前記第1のステップで生成される前記第i番目に表示される前記サブフレームは、先行の前記第(i−1)番目に表示される前記サブフレームより、当該第(i−1)番目に表示される前記サブフレームの表示時間とほぼ等しいだけ時間的に進んでいることを特徴とする画像表示方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の画像表示方法において、
前記第1のステップでは、前記1フレームの画像から、前記基準色の各々に対応した少なくとも2つの前記サブフレームを生成することを特徴とする画像表示方法。
【請求項6】
請求項3または4に記載の画像表示方法において、
前記第1のステップで生成される前記サブフレームの前記基準色の各々に対応する前記サブフレームの数を、使用する光源から射出される照明光の色に関する特性を反映するように変化させることを特徴とする画像表示方法。
【請求項7】
請求項3または4に記載の画像表示方法において、
前記第1のステップで生成される前記サブフレームの前記基準色毎の前記表示時間を、使用する光源から射出される照明光の色に関する特性を反映するように変化させることを特徴とする画像表示方法。
【請求項8】
1フレームの画像をN色(Nは2以上の自然数)の基準色の各々に対応した複数のサブフレームに分けて、第1色から第N色の各々に対応した前記サブフレームを順次表示する色順次方式の画像表示装置であって、
前記N色の前記基準色の光を順次出射する光源と、
前記光源の発光を制御する光源制御手段と、
前記光源から出射される照明光を変調する空間光変調器と、
前記第1色から前記第N色のいずれか1色に対応する第i番目(iは2以上の自然数)に表示される前記サブフレームの生成では、第(i−1)番目に表示される前記サブフレームよりも時間的に進んでいる前記サブフレームを生成するサブフレーム生成手段と、
前記サブフレーム生成手段により生成された前記サブフレームに応じて前記空間光変調器の変調状態を制御する空間光変調器制御手段と、
前記光源制御手段と前記空間光変調器制御手段を同期させるタイミング制御手段と、
を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像表示装置において、
前記サブレーム生成手段は、先行の前記第(i−1)番目に表示される前記サブフレームより、当該第(i−1)番目に表示される前記サブフレームの表示時間とほぼ等しいだけ時間的に進んでいる前記第i番目に表示される前記サブフレームを生成することを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
1フレームの画像をN色(Nは2以上の自然数)の基準色の各々に対応した複数のサブフレームに分けて、第1色から第N色の各々に対応した前記サブフレームを順次表示する色順次方式の画像表示プログラムであって、
前記第1色から前記第N色のいずれか1色に対応する第i番目(iは2以上の自然数)に表示される前記サブフレームの生成では、先行の第(i−1)番目に表示される前記サブフレームよりも時間的に進んでいる前記サブフレームを生成する第1のステップと、
前記第1のステップで生成された前記サブフレームを表示する第2のステップと、
を含むことを特徴とする画像表示プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像表示プログラムにおいて、
前記第1のステップで生成された前記第i番目に表示される前記サブフレームは、先行の前記第(i−1)番目に表示される前記サブフレームより、当該第(i−1)番目に表示される前記サブフレームの表示時間とほぼ等しいだけ時間的に進んでいることを特徴とする画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−96932(P2010−96932A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266978(P2008−266978)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】