画像表示方法
【目的】本発明はレンチキユラレンズを用いた画像表示方法において、立体画像の表示位置を明確にできると共に立体画像の奥行きを任意に設定できる画像表示方法を提案する。
【構成】n面の原画像の各画像を、レンチキユラレンズによる拡大方向に1/nに縮小し、縮小した画像をレンチキユラレンズのレンズピツチPの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割し、当該ストライプ画像をレンチキユラレンズの各単位レンズ下に順次振り分けるようにして合成画像を形成すると共に、この合成画像をレンチキユラレンズを通して所定の結像面上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズの倍率に基づいてレンチキユラレンズから所定の距離に配置することにより、立体画像の表示位置を明確にすることができると共にこのときn面の原画像間に所望のぶれを設ければ立体画像の奥行きを所望の値に設定できる。
【構成】n面の原画像の各画像を、レンチキユラレンズによる拡大方向に1/nに縮小し、縮小した画像をレンチキユラレンズのレンズピツチPの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割し、当該ストライプ画像をレンチキユラレンズの各単位レンズ下に順次振り分けるようにして合成画像を形成すると共に、この合成画像をレンチキユラレンズを通して所定の結像面上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズの倍率に基づいてレンチキユラレンズから所定の距離に配置することにより、立体画像の表示位置を明確にすることができると共にこのときn面の原画像間に所望のぶれを設ければ立体画像の奥行きを所望の値に設定できる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【目次】以下の順序で本発明を説明する。
産業上の利用分野従来の技術発明が解決しようとする課題課題を解決するための手段(図1、図10、図16、図1717及び図18)
作用(図12〜図18)
実施例(1)画像出力装置の全体構成(図1及び図2)
(2)画像の同一位置への結像(図3〜図15)
(3)奥行き感のある画像の形成(図16〜図18)
(4)立体モデルの立体表示(図19)
(5)実施例の動作(図1、図10、図11及び図16〜図18)
(6)実施例の効果(図12〜図17)
(7)他の実施例発明の効果
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は画像表示方法に関し、特にレンチキユラレンズを用いて画像を立体表示する画像表示方法に適用して好適なものである。
【0003】
【従来の技術】従来、立体画像視覚効果を得るための画像表示方法として、実物をカメラで撮影しこの画像に対して所定の画像処理を施して立体表示する方法が提案されている。
【0004】一方、人工的に形成された3次元モデルを視覚的に立体表示するVR(Vertual Reality )技術が、コンピユータグラフイツクスの発達に伴つて実現されいている。例えばHMD(Head Mounted Display)と呼ばれる装置においては、観察者がそれぞれ液晶表示装置でなる2つの画像モニタをゴーグルのように着用するようになされている。すなわちHMD装置においては、3次元モデルに対して所定の演算を施すことにより両眼視差のある2つの画像を形成し、当該2つの画像をそれぞれ液晶表示装置でなる2つの画像モニタ上に表示するようになされ、これにより観察者は人工的な臨場感を立体感覚をもつて体験することができるようになされている。
【0005】これに対して、多方向の視点から眼鏡なしで立体像が観察できる多眼式の3次元画像表示方法として、レンチキユラレンズ方式が提案されている。例えば米国特許第3,895,867 号においては、視差分だけ離れた複数像をカメラによつてフイルムに撮影し、そのネガをレンチキユラレンズを通して印画紙にプリントすることにより立体視覚効果のあるレンチキユラプリントを得ている。
【0006】またテレビジヨン装置にレンチキユラレンズを組み合わせて立体テレビを実現しようとする試みも行われ、例えば特開平3-97390 のように、レンチキユラレンズの背面にテレビジヨン画像を合成して出力する方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、HMD方式は特殊な装置が必要であるだけでなく、他の視界が見えなくなつたり、長時間着用することができなく、また不特定の人に見せることができない等の欠点がある。
【0008】一方レンチキユラレンズを用いたレンチキユラプリントにおいては、フイルムを用いてカメラによつて撮影するため、暗室処理が必要な上、実物を撮影しなければ立体表示画像が得られない問題がある。すなわちレンチキユラレンズ下に配置する像は、両眼の視差分だけ離したネガの像をレンチキユラレンズを介して結像し焼きつけたものであり、このとき同じレンチキユラレンズを通してこの焼きつけられた像を見た際、元の視差のある異なる画像が両眼に見えるという結像の相反性に委ねられており、レンチキユラレンズ下に置く像を直接生成する方法は提案されていない。
【0009】またテレビジヨン装置の表示画面位置にレンチキユラレンズを設ける方法においては、n個の異なる視点から撮像したテレビジヨンカメラの像を合成する際、レンチキユラレンズの1ピツチ内にそれぞれn個の異なるテレビジヨンカメラの画素を配列すると共にレンチキユラレンズの長手方向には同じ画素を配列するようになされている。
【0010】ところで、この方法においては、レンチキユラレンズの焦点面に拡散透過スクリーンを配置し、レンチキユラレンズの単位レンズ内に量子化した1画素を配置することにより、この画素を光源としてレンチキユラレンズによつて放射することにより透過スクリーン上に画像を投影するようになされている。この結果この方法においては、レンチキユラレンズの単位レンズ(1ピツチ)当り1画素分しか表示することができない問題がある。
【0011】また従来のレンチキユラレンズを用いた表示方法においては、立体像がどの位置に知覚されるかについての提案がなされていないことにより、所望の立体画像を表示する点で未だ不十分な問題がある。
【0012】本発明は以上の点を考慮してなされたもので、立体画像の表示位置を明確にすることができると共に立体画像の奥行きを任意に設定することができる画像表示方法を提案しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため本発明においては、レンチキユラレンズ2A下に配置された画像をレンチキユラレンズ2Aを通して表示することにより視点により異なる像を表示する画像表示方法、又は視点を両眼とし画像を両眼の視差だけ離れた位置から観察することにより立体視覚効果を得るようになされた画像表示方法において、n面の原画像40〜43から得られる合成画像50を、レンチキユラレンズ2Aを通して所定の結像面G上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズ2Aの倍率に基づいてレンチキユラレンズ2Aから所定の距離に配置するようにする。
【0014】また本発明においては、合成画像50は、n面の各原画像40〜43をレンチキユラレンズ2Aによる拡大方向に1/nに縮小し、縮小した画像44〜47をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像a1 、b1 、c1 、d1 、a2 、b2 、c2 、d2 、a3 、b3 、c3 、d3 、a4 、b4 、c4 、d4 に分割し、ストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 をレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるように形成するようにする。
【0015】さらに本発明においては、ストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像a1 とa2 、a2とa3 、a3 とa4 、b1 とb2 、b2 とb3 、b3 とb4 、……を、レンチキユラレンズ2Aの1ピツチPずつずらすようにレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにする。
【0016】さらに本発明においては、ほぼn倍に拡大して結像した各画像35〜38間の結像面Gにおけるずれを、次の式で与えられる値に設定するようにする。
【数2】
ここでδは結像面Gにおける各画像35〜38間のずれを表し、Aは人の眼幅を表し、Dは観察者34から結像面Gまでの観察距離を表し、hは結像面G上に結像される画像35〜38の奥行き感を表わす。
【0017】さらに本発明においては、ストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 を各画像毎に反転させてレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにする。
【0018】
【作用】n面の原画像40〜43の各画像40〜43を、レンチキユラレンズ2Aによる拡大方向に1/nに縮小し、縮小した画像44〜47をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像a1 、b1 、c1 、d1 、a2 、b2 、c2 、d2 、a3 、b3 、c3 、d3 、a4 、b4 、c4 、d4 に分割し、ストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4〜d4 をレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにして合成画像50を形成すると共に、この合成画像50をレンチキユラレンズ2Aを通して所定の結像面G上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズ2Aの倍率に基づいてレンチキユラレンズ2Aから所定の距離に配置すれば、連続的な画像(ストライプ画像)a1 〜d1 、a2〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 を最小単位として扱うことができると共に、全ての画像が同一の結像面G上に結像されるため画像の表示位置を明確にすることができる。
【0019】またストライプ状の画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像a1 、a2 、a3 及びa4 、b1 、b2 、b3 及びb4 、c1 、c2 、c3 及びc4 、d1 、d2 、d3 及びd4 を、レンチキユラレンズ2Aの1レンズピツチPずつずらすようにレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにすれば、観察者が異なる視点から観察した場合においても互いに同一部分を表わすストライプ画像a1 、a2 、a3 及びa4 、b1 、b2 、b3 及びb4 、c1 、c2 、c3 及びc4 、d1 、d2 、d3 及びd4 がそれぞれ結像面G上の同一位置に結像され、かくして観察者が両眼によつてこの結像画像を観察した際観察者にあたかも結像面上に画像があるように感じさせることができる。
【0020】さらにほぼn倍に拡大して結像した各画像35〜38間の結像面Gにおけるずれを、(1)式で与えられる値に設定するようにすれば、観察者が所望の奥行き感をもつて観察できるような画像を形成することができる。
【0021】さらにストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 を各画像毎に反転させてレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにすれば、結像面G上に実像を結像することができる。
【0022】
【実施例】以下図面について、本発明の一実施例を詳述する。
【0023】(1)画像出力装置の全体構成図1において、1は全体として画像出力装置を示し、一面にレンチキユラレンズ2Aが貼着されたレンチキユラシート2にプリント部3により所定の画像を印画するようになされている。
【0024】すなわち画像出力装置1においては、n方向より撮像されたn面(例えば 4面)の画像をレンチキユラシート2にプリントするこにより、観察者がこのレンチキユラシート2上にプリントされた画像をレンチキユラレンズ2Aを通して観察できるようになされている。画像出力装置1は電子スチルカメラ4のICメモリカード5に記録された画像情報S1をインターフエース部6を介して画像メモリ7に送出するようになされている。また画像出力装置1においては、インターフエース部6に例えば外部のコンピユータからの画像情報SINを入力するようになされている。
【0025】ここで電子スチルカメラ4による被写体の撮像は、図2に示すように、ICメモリカード5に画像を記録する1台の電子スチルカメラ4を用い、この1台の電子スチルカメラ4により同一の被写体30を一定の適当な視差が得られるように矢印mで示す方向(例えば水平方向)に移動しながらn回撮像するように行う。これによりICメモリカード5には所定の視差を有するn面の画像が記録されるようになされている。
【0026】画像出力装置1は画像メモリ7に一旦保持された画像情報を、メモリコントローラ8によつてプリント出力の走査方向及び信号処理回路9による信号処理に必要な順に順次読み出して信号処理回路9に送出するようになされている。
【0027】またこのときメモリコントローラ8によつて読み出された画像情報はシステム制御部13からの制御信号S3に応じて演算部10に送出される。演算部10は入力した画像情報に対して後述する演算を施して所定の画像を形成し、この画像を再び画像メモリ7に送出する。すなわち画像メモリ7はインターフエース部6から送出される画像情報を保持すると共に、演算部10から送出される画像情報を演算部10による処理が終了するまで保持するようになされている。
【0028】信号処理回路9はメモリコントローラ8から出力された画像信号に対して、R(赤)、G(緑)及びB(青)の色信号をY(イエロ)、M(マゼンタ)及びC(シアン)の色信号に変換する色信号変換やγ補正等を施すようになされている。信号処理回路9の出力はデイジタルアナログ変換回路11を介してプリント部3の感熱ヘツド12に供給される。
【0029】ここで画像出力装置1においては、このような信号処理をシステム制御部13から送出される制御信号S2及びS3に基づいて実行するようになされている。またシステム制御部13はモータ駆動回路14に制御信号S4を送出する。モータ駆動回路14はこの制御信号S4に基づいて巻取リール用モータ15に制御信号S5を送出し、この結果巻取リール用モータ15が駆動されることにより送りリール16に巻回されたリボン17が感熱ヘツド12の両側においてガイド18及び19に支持されながら巻取リール20に巻き取られるようになされている。
【0030】さらにシステム制御部13はモータ駆動回路21に制御信号S6を送出し、モータ駆動回路21はこの制御信号S6に基づいてプラテン用モータ22に駆動信号S7を送出する。この結果プラテン用モータ22が駆動信号S7に基づいて駆動されることによりプラテン23が回転されるようになされている。
【0031】これにより画像出力装置1においては、プラテン23によつてレンチキユラシート2を所定量ずつ送ると共に、巻取リール20によつてリボン17を所定量ずつ巻き取り、このとき感熱ヘツド12によつてリボン17に熱を与えることによりレンチキユラシート2にリボン17に塗布された染料を熱転写するようになされている。
【0032】また画像出力装置1は位置検出部24を有し、この位置検出部24によつてレンチキユラシート2の位置を検出するようになされている。すなわち位置検出部24はレンチキユラシート2の裏面側(レンチキユラレンズ2Aが形成された面をレンチキユラシート2の表面とする)に設けられた光源25から発生した照射光の光束をスリツト26によつて狭めた後、この光束をレンズ27によつて並行な光束L1にしてレンチキユラシート2に照射する。
【0033】この照射光L1はレンチキユラレンズ2Aを透過することにより集光されてレンチキユラシート2の表面側に設けられたフオトセンサ28に入射する。このときフオトセンサ28に入射する透過光L2はフオトセンサ28の受光部の中心とレンチキユラレンズ2Aの単位レンズの中心とが一致したときに光量が最大となる。
【0034】この結果画像出力装置1においては、フオトセンサ28に入射する透過光L2の光量に基づいてレンチキユラシート2の位置を検出し得、フオトセンサ28は当該検出結果を検出信号S8としてシステム制御部13に送出するようになされている。システム制御部13は検出信号S8に基づいて信号処理部29、モータ駆動回路14及びモータ駆動回路21にそれぞれ制御信号S2、S4及びS6を送出する。
【0035】これにより画像出力装置1においては、検出信号S8に基づいて発生される制御信号S2、S4及びS6に基づいて感熱ヘツド12の出力及びレンチキユラシート2の送り量を制御することよりレンチキユラシート2の単位レンズ内に所望の画素を印画し得るようになされている。
【0036】(2)画像の同一位置への結像演算部10はメモリコントローラ8から送出された画像情報に所定の演算を施すことによりレンチキユラレンズ2A側に配置された結像面上に異なる視点から見た場合においても同一位置に結像されるような合成画像を形成し得るようになされている。
【0037】すなわち演算部10は、メモリコントローラ8から図3に示すような原画像31が入力されると、この原画像31を一点鎖線で示すレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの方向に1/nに縮小することにより、図4に示すような縮小画像32を形成するようになされている。
【0038】ここでnはレンチキユラレンズ2A下に配置する原画像の画像数を表し、ここでは説明を簡易化するため原画像31のみを用いてレンチキユラレンズ2A下に配置する合成画像を形成する場合について述べるが、電子スチルカメラのICカードから送出される複数枚(n枚)の画像を用いて合成画像を形成しても良い。
【0039】次に演算部10は、図5に示すように、縮小画像32(図4)をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの幅の1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割すると共に、このストライプ状の画像を各画像毎にレンズピツチPの方向に反転することによりストライプ状の反転画像a、b、cを形成する。この結果レンチキユラレンズ2A下の画像がレンチキユラレンズ2Aの焦点距離の外にある場合に、観察者がレンチキユラレンズ2Aを通してこの画像から実像を観察できるようになされている。(従つて虚像を観察する場合には画像を反転する必要ない)
【0040】演算部10は、図6に示すように、ストライプ画像a、b、cの各々をレンチキユラレンズ2Aを構成する各単位レンズL1、L2、L3、……内に振り分けるようになされている。ここで各単位レンズL1、L2、L3、……をレンズピツチPの方向にn等分し、このn等分された分割領域を左側から順にB1、B2、B3及びB4とすると、演算部10はストライプ画像a、b、cを先ず各単位レンズL1、L2、L3の左端の分割領域B1に振り分ける。
【0041】次に演算部10は、図7に示すように、ストライプ画像a、b、cを分割領域B2に振り分けて配置するようになされている。このとき演算部10はストライプ画像a、b、cをレンチキユラレンズ2Aの1レンズピツチP分だけ右側にずらして配置する。
【0042】すなわち、最初に単位レンズL1の分割領域B1に配置したストライプ画像aを単位レンズL2の分割領域B2に配置し、単位レンズL2の分割領域B1に配置したストライプ画像bを単位レンズL3の分割領域B2に配置し、単位レンズL3の分割領域B1に配置したストライプ画像cを単位レンズL4の分割領域B2に配置する。
【0043】これと同様に、演算部10は分割領域B3に各ストライプ画像a、b及びcを振り分けることにより図8に示すような画像を形成し、さらに分割領域B4に各ストライプ画像a、b及びcを振り分けることにより図9に示すような合成画像33を形成するようになされている。これにより画像出力装置1においては、異なる視点から見た場合においても結像面上の同一位置に結像されるような合成画像33を形成し得るようになされている。画像出力装置1は合成画像33をサーマルヘツド12によつてレンチキユラシート2に印画するようになされている。
【0044】ここで図10に示すように、合成画像33の配置面Kは、レンチキユラレンズ2Aのレンズの中心R1から合成画像33の配置面Kまでの距離をS1とし、レンチキユラレンズ2Aの中心R1から結像面Gまでの距離をS2とすると、S1とS2との関係がS1:S2=1:n(実施例の場合n=4であることによりS1:S2=1:4)となるような位置に選定されている。これにより合成画像33は結像面G上にn倍だけ拡大されて結像されるようになされている。
【0045】また実施例の場合、レンチキユラレンズ2Aの焦点距離をfとすると、レンチキユラレンズ2Aのレンズの中心R1から合成画像33の配置面Kまでの距離は1.25fとなるように選定されている。従つて結像面G上の結像領域AR1にはn倍に拡大された分割領域B1の画像、結像領域AR2にはn倍に拡大された分割領域B2の画像、結像領域AR3にはn倍に拡大された分割領域B3の画像、結像領域AR4にはn倍に拡大された分割領域B4の画像がそれぞれ結像される。またこのとき、合成画像33はレンチキユラレンズ2Aの焦点距離fの外側に配置されていることにより、合成画像33はレンチキユラレンズ2Aを通して結像面Gに実像として結像される。
【0046】このようにして得られたレンチキユラレンズ2A下の合成画像33は、図11に示すような原理によつて観察される。すなわち、観察者34の両眼のうち右眼には分割領域B3に配置された画像が入ると共に左眼には分割領域B2に配置された画像が入る。このように観察者34の両眼には互いに隣合つた分割領域B1とB2、B2とB3、B3とB4が入り、この結果この隣合つた分割領域B1とB2、B2とB3、B3とB4に視差のある画像を配置すれば、観察者34はレンチキユラレンズ2Aを通して立体画像を観察することができる。
【0047】ここで合成画像33が実際にレンチキユラレンズ2Aを通して視覚される様子を図12〜図15に沿つて説明する。すなわち1つの視点からは1つの分割領域B1、B2、B3又はB4の画像だけを見ることができることにより、図12に示すような視点から見た場合には、結像面G上に分割領域B1の画像のみが視覚され、このとき分割領域B1の画像はレンチキユラレンズ2Aによりレンズピツチ方向にn倍に拡大されかつ反転されることにより結像面G上には原画像31と同様の結像画像35が視覚される。
【0048】同様に、図13に示すような視点から見た場合には、結像面G上にレンチキユラレンズ2Aによりレンズピツチ方向にn倍に拡大されかつ反転された分割領域B2の結像画像36が視覚され、図14に示すような視点から見た場合には、結像面G上にレンチキユラレンズ2Aによりレンズピツチ方向にn倍に拡大されかつ反転された分割領域B3の結像画像37が視覚され、図1515に示すような視点から見た場合には、レンチキユラレンズ2Aによりレンズピツチ方向にn倍に拡大されかつ反転された分割領域B4の結像画像38が視覚される。
【0049】このとき図12〜図15からも明らかなように、観察者は視点を換えた場合においても結像面G上の同一位置に結像された結像画像35〜38を観察することができる。これにより観察者はどの位置からも結像面G上の同じ位置に結像された結像画像35〜38を見ることができ、かくして画像出力装置1においては、あたかも結像面Gに画像があるかのような画像を表示することができる。またこれにより画像出力装置1においては、レンチキユラレンズ2Aを通して得られる画像の表示位置を明確にすることができる。
【0050】(3)奥行き感のある画像の形成また画像出力装置1においは、演算部10によつて後述する演算を施すことにより結像面G上に奥行き感のある画像(いわゆる立体画像)を形成し得るようになされている。
【0051】すなわち、立体的な奥行き感のある画像の原理を示す図16において、観察者34の眼幅をAとし、観察者34の結像面Gまでの観察距離をDとしたとき、結像面Gにおける像のぶれδ(視差)を、次式、
【数3】
を満足するように設定すれば、観察者34は結像面G上に結像された画像をh分の奥行き感のある画像として視覚することができる。
【0052】従つて画像出力装置1においては、観察者が両眼により結像面上の画像を観察した際に、右眼及び左眼により視覚される結像画像間に(2)式で示すδ分のぶれを設けるようになされ、これにより奥行き感hのある画像を形成し得るようになされている。すなわち、画像出力装置1においては、図12に示す結像画像35と図13に示す結像画像36、図13に示す結像画像36と図14に示す結像画像37、…………間に(2)式に示す視差δ分のぶれを形成するようになされている。
【0053】すなわち演算部10は、インターフエース部6に外部のコンピユータから画像情報SINが入力されるとこの画像情報SINから、先ず図17に示すように、それぞれ視差δ分だけずれた複数の原画像40、41、42及び43を形成する。因に、演算部10は、インターフエース部6に電子スチルカメラ4のICカード5から予め視差δのある画像情報S1が入力された場合には、この視差のある画像に基づいて以下の処理を施すようになされている。
【0054】演算部10は原画像40〜43をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチP方向に1/nに縮小することにより、図18(A)に示すように、原画像40〜43の縮小画像44〜46を形成する。
【0055】次に演算部10は、図18(B)に示すように、縮小画像44〜47の各ストライプ画像a1 、b1 、c1 、d1 、a2 、b2 、c2 、d2 、a3 、b3 、c3 、d3 、a4 、b4 、c4 、d4 をレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に振り分ける。
【0056】すなわち演算部10は単位レンズL1、L2、L3、……の分割領域B1にストライプ画像a1 、b1 、c1 、d1 をレンズピツチ方向に反転させるようにして順次振り分けると共に、単位レンズL2、L3、L4、……の分割領域B2に縮小画像45のストライプ画像a2 、b2 、c2 、d2 をレンズピツチ方向に反転させるようにして順次振り分ける。
【0057】同様に演算部10は単位レンズL3、L4、L5、……の分割領域B3にストライプ画像a3 、b3 、c3 、d3 をレンズピツチ方向に反転させるようにして順次振り分けると共に、単位レンズL4、L5、L6、……の分割領域B4に縮小画像47のストライプ画像a4 、b4 、c4 、d4 をレンズピツチ方向に反転させるようにして順次振り分ける。
【0058】このようにして得られた合成画像50は、図10について上述したようにな配置面Kに印画される。これにより画像出力装置1においては、レンチキユラレンズ2Aを通して結像面上で視差δ分のぶれをもつて観察される結像画像を形成し得え、観察者はこの結像画像をh分の奥行き感のある画像として観察することができる。
【0059】(4)立体モデルの立体表示さらに演算部10は、インターフエース部6に外部のコンピユータから人工的な立体モデルを表わす画像情報SINが入力された場合に、この画像情報SINに基づいて結像面G上に立体的な奥行き感のある画像を形成し得るようになされている。すなわち、上述した奥行き感のある画像の形成方法においては、結像画像全体に亘つて奥行きが同じに観察される結像画像を形成する場合について述べたが、これに加えて画像出力装置1においては、三次元の立体モデルを立体的に表示し得るようになされている。
【0060】ここで図19に示すように、立体モデル51をxyz座標系に置き、このときのz軸方向を立体モデル51の奥行き方向とする。ここで立体モデル51上で一番注目する箇所がレンチキユラレンズ2Aの結像面G上に結像されることが望ましいことを考慮して、この注目箇所を含むようにz=0平面を設定する。
【0061】このとき立体モデルのz=0の面内の座標を(x、y)とすると、レンチキユラレンズ2A下に配置する画像の座標(X、Y)(レンチキユラレンズの円筒方向をYとする)は座標変換により、次式、
【数4】
と表わすことができる。
【0062】立体モデルでこのz=0上の点からz分奥行きのある位置を、レンチキユラレンズによつてhの奥行き感をもたせて表示する際の縮尺を1/M とすると、(2)式におけるhにz/m を代入した結果だけ(3)式のX方向にずらせばよい。すなわち演算部10は、立体モデル上の座標(x、y、z)に対して、次式、
【数5】
で表わされる演算をすることにより、原画像の座標(X、Y)を求めることができる。
【0063】次に、(4)式のDを 2×dとすることにより、(4)式で求めた原画像に対して所定の視差を有する次の原画像を求めることができ、このように立体モデルに基づいた原画像を順次求めることができる。
【0064】演算部10はこのようにして求めた複数の原画像に対して上述した画像縮小処理、ストライプ画像振り分け処理を順次施す。画像出力装置1はこの処理結果をレンチキユラシート2に印画する。これにより画像出力装置1においては、入力された立体モデル51をレンチキユラレンズ2Aを通して立体的に表示し得るような合成画像を形成し得るようになされている。
【0065】(5)実施例の動作以上の構成において、画像出力装置1は電子スチルカメラ4のICカード5に記録された所定の視差を有する複数の画像を入力すると、各画像毎にレンチキユラレンズ2Aによる拡大方向に1/nに縮小する。これに対して画像出力装置1はインターフエース部6にコンピユータからの画像を入力すると、この画像からそれぞれ所望の視差を有するn面の画像を生成した後、各画像毎にレンチキユラレンズ2Aによる拡大方向に1/nに縮小する。
【0066】次に画像出力装置1は各縮小画像をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの幅の1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割する。画像出力装置1はこのストライプ画像を順次レンチキユラレンズ2Aの単位レンズL1、L2、L3、……内に振り分けるようにして印画する。このとき画像出力装置1はストライプ画像のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像を、レンチキユラレンズの1レンズピツチずつずらすように単位レンズ内L1、L2、L3、……に振り分けて印画する。
【0067】またこのときレンチキユラシート2に印画された合成画像の印画面Kからレンチキユラレンズの中心R1までの距離とレンチキユラレンズの中心R1から結像面Kまでの距離とが所定の値に選定されている。
【0068】このようにしてレンチキユラシート2上に印画された合成画像50はレンチキユラレンズ2Aを通して結像面G上に結像された際、観察者の一方の眼には例えば分割領域B1に振り分けられたストライプ画像が拡大及び反転されて視覚されると共にこのとき他方の眼には分割領域B2に振り分けられたストライプ画像が拡大及び反転されて視覚される。このとき両眼によつて視覚されるそれぞれの画像間にはδ分のずれがあることにより、観察者はこの画像を奥行きhを有する画像として視覚することができる。かくして画像出力装置1においては、表示画像の奥行き感を任意に設定することができる。
【0069】(6)実施例の効果以上の構成によれば、レンチキユラレンズ2Aの倍率に基づいてレンチキユラレンズ2Aを通してn倍に拡大されるような位置に画像の配置面Kを選定すると共に、n面の原画像40〜43をレンチキユラレンズ2AのピツチP方向に1/nに縮小し、それぞれの画像44〜47をストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2、a3 〜d3 、a4 〜d4 に分割してその各々をレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……に振り分けるようにして合成画像50を形成するようにしたことにより、連続画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4〜d4 を最小単位として画像を表示することができ、高画質の表示画像を得ることができる。
【0070】またこれにより全ての画像35〜38を同一の結像面G上に結像することができ、画像の表示位置を明確にすることができる。さらに結像面Gにおける画像35〜38間のぶれが(2)式で表わされるような合成画像50を形成したことにより、所望の奥行き感のある表示画像を得ることができる。
【0071】(7)他の実施例なお上述の実施例においては、本発明を、一面にレンチキユラレンズ2Aが形成されたレンチキユラシート2上に画像を印画する画像出力装置1に用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばレンチキユラレンズを通して立体画像を表示する立体テレビジヨン装置等に用いた場合にも上述の場合と同様の効果を得ることができ、レンチキユラレンズを用いて立体表示する種々の表示装置に適用することができる。
【0072】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、n面の原画像から得られる合成画像を、レンチキユラレンズを通して所定の結像面上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズの倍率に基づいてレンチキユラレンズから所定の距離に配置すると共に、n面の各原画像の各画像をレンチキユラレンズによる拡大方向に1/nに縮小し、縮小した画像をレンチキユラレンズのレンズピツチPの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割し、ストライプ画像をレンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるようにして合成画像を形成するようにしたことにより、連続的な画像(ストライプ画像)を最小単位として扱うことができると共に、合成画像を同一の結像面上に結像させることができ画像の表示位置を明確にすることができる。
【0073】またストライプ画像のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像を、レンチキユラレンズの1レンズピツチずつずらすようにレンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるようにしたことにより、互いに同一部分を表わす画像を結像面上の同一位置に表示することができ、観察者が両眼によつてこの結像画像を観察した際観察者にあたかも結像面上に画像があるように感じさせることができる。
【0074】さらにn面の原画像から得られる合成画像を、レンチキユラレンズを通して所定の結像面上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズの倍率に基づいてレンチキユラレンズから所定の距離に配置し、このとき結像面上に結像される各画像間のずれを(2)式となるように設定したことにより、観察者が所望の奥行き感をもつて観察できるような画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による演算部が設けられた画像出力装置の全体構成を示すブロツク図である。
【図2】視差のある画像の撮像の説明に供する略線図である。
【図3】原画像を示す略線図である。
【図4】原画像の縮小の説明に供する略線図である。
【図5】反転画像の生成の説明に供する略線図である。
【図6】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図7】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図8】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図9】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図10】合成画像の配置位置の説明に供する略線図である。
【図11】レンチキユラレンズ下に配置された画像の視覚される様子を示す略線図である。
【図12】ストライプ画像の結像した状態を示す略線図である。
【図13】ストライプ画像の結像した状態を示す略線図である。
【図14】ストライプ画像の結像した状態を示す略線図である。
【図15】ストライプ画像の結像した状態を示す略線図である。
【図16】奥行き感のある画像の原理を示す略線図である。
【図17】ぶれのある画像の形成の説明に供する略線図である。
【図18】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図19】立体モデルの座標の設定の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
1……画像出力装置、2……レンチキユラシート、2A……レンチキユラレンズ、4……電子スチルカメラ、10……演算部、31、40〜43……原画像、32、44〜47……縮小画像、33、50……合成画像、34……観察者、35〜38……結像画像、51……立体モデル、L1〜L6……単位レンズ、B1〜B4……分割領域、K……画像配置面、G……結像面、δ……視差、D……観察距離、h……奥行き。
【0001】
【目次】以下の順序で本発明を説明する。
産業上の利用分野従来の技術発明が解決しようとする課題課題を解決するための手段(図1、図10、図16、図1717及び図18)
作用(図12〜図18)
実施例(1)画像出力装置の全体構成(図1及び図2)
(2)画像の同一位置への結像(図3〜図15)
(3)奥行き感のある画像の形成(図16〜図18)
(4)立体モデルの立体表示(図19)
(5)実施例の動作(図1、図10、図11及び図16〜図18)
(6)実施例の効果(図12〜図17)
(7)他の実施例発明の効果
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は画像表示方法に関し、特にレンチキユラレンズを用いて画像を立体表示する画像表示方法に適用して好適なものである。
【0003】
【従来の技術】従来、立体画像視覚効果を得るための画像表示方法として、実物をカメラで撮影しこの画像に対して所定の画像処理を施して立体表示する方法が提案されている。
【0004】一方、人工的に形成された3次元モデルを視覚的に立体表示するVR(Vertual Reality )技術が、コンピユータグラフイツクスの発達に伴つて実現されいている。例えばHMD(Head Mounted Display)と呼ばれる装置においては、観察者がそれぞれ液晶表示装置でなる2つの画像モニタをゴーグルのように着用するようになされている。すなわちHMD装置においては、3次元モデルに対して所定の演算を施すことにより両眼視差のある2つの画像を形成し、当該2つの画像をそれぞれ液晶表示装置でなる2つの画像モニタ上に表示するようになされ、これにより観察者は人工的な臨場感を立体感覚をもつて体験することができるようになされている。
【0005】これに対して、多方向の視点から眼鏡なしで立体像が観察できる多眼式の3次元画像表示方法として、レンチキユラレンズ方式が提案されている。例えば米国特許第3,895,867 号においては、視差分だけ離れた複数像をカメラによつてフイルムに撮影し、そのネガをレンチキユラレンズを通して印画紙にプリントすることにより立体視覚効果のあるレンチキユラプリントを得ている。
【0006】またテレビジヨン装置にレンチキユラレンズを組み合わせて立体テレビを実現しようとする試みも行われ、例えば特開平3-97390 のように、レンチキユラレンズの背面にテレビジヨン画像を合成して出力する方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、HMD方式は特殊な装置が必要であるだけでなく、他の視界が見えなくなつたり、長時間着用することができなく、また不特定の人に見せることができない等の欠点がある。
【0008】一方レンチキユラレンズを用いたレンチキユラプリントにおいては、フイルムを用いてカメラによつて撮影するため、暗室処理が必要な上、実物を撮影しなければ立体表示画像が得られない問題がある。すなわちレンチキユラレンズ下に配置する像は、両眼の視差分だけ離したネガの像をレンチキユラレンズを介して結像し焼きつけたものであり、このとき同じレンチキユラレンズを通してこの焼きつけられた像を見た際、元の視差のある異なる画像が両眼に見えるという結像の相反性に委ねられており、レンチキユラレンズ下に置く像を直接生成する方法は提案されていない。
【0009】またテレビジヨン装置の表示画面位置にレンチキユラレンズを設ける方法においては、n個の異なる視点から撮像したテレビジヨンカメラの像を合成する際、レンチキユラレンズの1ピツチ内にそれぞれn個の異なるテレビジヨンカメラの画素を配列すると共にレンチキユラレンズの長手方向には同じ画素を配列するようになされている。
【0010】ところで、この方法においては、レンチキユラレンズの焦点面に拡散透過スクリーンを配置し、レンチキユラレンズの単位レンズ内に量子化した1画素を配置することにより、この画素を光源としてレンチキユラレンズによつて放射することにより透過スクリーン上に画像を投影するようになされている。この結果この方法においては、レンチキユラレンズの単位レンズ(1ピツチ)当り1画素分しか表示することができない問題がある。
【0011】また従来のレンチキユラレンズを用いた表示方法においては、立体像がどの位置に知覚されるかについての提案がなされていないことにより、所望の立体画像を表示する点で未だ不十分な問題がある。
【0012】本発明は以上の点を考慮してなされたもので、立体画像の表示位置を明確にすることができると共に立体画像の奥行きを任意に設定することができる画像表示方法を提案しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため本発明においては、レンチキユラレンズ2A下に配置された画像をレンチキユラレンズ2Aを通して表示することにより視点により異なる像を表示する画像表示方法、又は視点を両眼とし画像を両眼の視差だけ離れた位置から観察することにより立体視覚効果を得るようになされた画像表示方法において、n面の原画像40〜43から得られる合成画像50を、レンチキユラレンズ2Aを通して所定の結像面G上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズ2Aの倍率に基づいてレンチキユラレンズ2Aから所定の距離に配置するようにする。
【0014】また本発明においては、合成画像50は、n面の各原画像40〜43をレンチキユラレンズ2Aによる拡大方向に1/nに縮小し、縮小した画像44〜47をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像a1 、b1 、c1 、d1 、a2 、b2 、c2 、d2 、a3 、b3 、c3 、d3 、a4 、b4 、c4 、d4 に分割し、ストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 をレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるように形成するようにする。
【0015】さらに本発明においては、ストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像a1 とa2 、a2とa3 、a3 とa4 、b1 とb2 、b2 とb3 、b3 とb4 、……を、レンチキユラレンズ2Aの1ピツチPずつずらすようにレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにする。
【0016】さらに本発明においては、ほぼn倍に拡大して結像した各画像35〜38間の結像面Gにおけるずれを、次の式で与えられる値に設定するようにする。
【数2】
ここでδは結像面Gにおける各画像35〜38間のずれを表し、Aは人の眼幅を表し、Dは観察者34から結像面Gまでの観察距離を表し、hは結像面G上に結像される画像35〜38の奥行き感を表わす。
【0017】さらに本発明においては、ストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 を各画像毎に反転させてレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにする。
【0018】
【作用】n面の原画像40〜43の各画像40〜43を、レンチキユラレンズ2Aによる拡大方向に1/nに縮小し、縮小した画像44〜47をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像a1 、b1 、c1 、d1 、a2 、b2 、c2 、d2 、a3 、b3 、c3 、d3 、a4 、b4 、c4 、d4 に分割し、ストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4〜d4 をレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにして合成画像50を形成すると共に、この合成画像50をレンチキユラレンズ2Aを通して所定の結像面G上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズ2Aの倍率に基づいてレンチキユラレンズ2Aから所定の距離に配置すれば、連続的な画像(ストライプ画像)a1 〜d1 、a2〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 を最小単位として扱うことができると共に、全ての画像が同一の結像面G上に結像されるため画像の表示位置を明確にすることができる。
【0019】またストライプ状の画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像a1 、a2 、a3 及びa4 、b1 、b2 、b3 及びb4 、c1 、c2 、c3 及びc4 、d1 、d2 、d3 及びd4 を、レンチキユラレンズ2Aの1レンズピツチPずつずらすようにレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにすれば、観察者が異なる視点から観察した場合においても互いに同一部分を表わすストライプ画像a1 、a2 、a3 及びa4 、b1 、b2 、b3 及びb4 、c1 、c2 、c3 及びc4 、d1 、d2 、d3 及びd4 がそれぞれ結像面G上の同一位置に結像され、かくして観察者が両眼によつてこの結像画像を観察した際観察者にあたかも結像面上に画像があるように感じさせることができる。
【0020】さらにほぼn倍に拡大して結像した各画像35〜38間の結像面Gにおけるずれを、(1)式で与えられる値に設定するようにすれば、観察者が所望の奥行き感をもつて観察できるような画像を形成することができる。
【0021】さらにストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4 〜d4 を各画像毎に反転させてレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に順次振り分けるようにすれば、結像面G上に実像を結像することができる。
【0022】
【実施例】以下図面について、本発明の一実施例を詳述する。
【0023】(1)画像出力装置の全体構成図1において、1は全体として画像出力装置を示し、一面にレンチキユラレンズ2Aが貼着されたレンチキユラシート2にプリント部3により所定の画像を印画するようになされている。
【0024】すなわち画像出力装置1においては、n方向より撮像されたn面(例えば 4面)の画像をレンチキユラシート2にプリントするこにより、観察者がこのレンチキユラシート2上にプリントされた画像をレンチキユラレンズ2Aを通して観察できるようになされている。画像出力装置1は電子スチルカメラ4のICメモリカード5に記録された画像情報S1をインターフエース部6を介して画像メモリ7に送出するようになされている。また画像出力装置1においては、インターフエース部6に例えば外部のコンピユータからの画像情報SINを入力するようになされている。
【0025】ここで電子スチルカメラ4による被写体の撮像は、図2に示すように、ICメモリカード5に画像を記録する1台の電子スチルカメラ4を用い、この1台の電子スチルカメラ4により同一の被写体30を一定の適当な視差が得られるように矢印mで示す方向(例えば水平方向)に移動しながらn回撮像するように行う。これによりICメモリカード5には所定の視差を有するn面の画像が記録されるようになされている。
【0026】画像出力装置1は画像メモリ7に一旦保持された画像情報を、メモリコントローラ8によつてプリント出力の走査方向及び信号処理回路9による信号処理に必要な順に順次読み出して信号処理回路9に送出するようになされている。
【0027】またこのときメモリコントローラ8によつて読み出された画像情報はシステム制御部13からの制御信号S3に応じて演算部10に送出される。演算部10は入力した画像情報に対して後述する演算を施して所定の画像を形成し、この画像を再び画像メモリ7に送出する。すなわち画像メモリ7はインターフエース部6から送出される画像情報を保持すると共に、演算部10から送出される画像情報を演算部10による処理が終了するまで保持するようになされている。
【0028】信号処理回路9はメモリコントローラ8から出力された画像信号に対して、R(赤)、G(緑)及びB(青)の色信号をY(イエロ)、M(マゼンタ)及びC(シアン)の色信号に変換する色信号変換やγ補正等を施すようになされている。信号処理回路9の出力はデイジタルアナログ変換回路11を介してプリント部3の感熱ヘツド12に供給される。
【0029】ここで画像出力装置1においては、このような信号処理をシステム制御部13から送出される制御信号S2及びS3に基づいて実行するようになされている。またシステム制御部13はモータ駆動回路14に制御信号S4を送出する。モータ駆動回路14はこの制御信号S4に基づいて巻取リール用モータ15に制御信号S5を送出し、この結果巻取リール用モータ15が駆動されることにより送りリール16に巻回されたリボン17が感熱ヘツド12の両側においてガイド18及び19に支持されながら巻取リール20に巻き取られるようになされている。
【0030】さらにシステム制御部13はモータ駆動回路21に制御信号S6を送出し、モータ駆動回路21はこの制御信号S6に基づいてプラテン用モータ22に駆動信号S7を送出する。この結果プラテン用モータ22が駆動信号S7に基づいて駆動されることによりプラテン23が回転されるようになされている。
【0031】これにより画像出力装置1においては、プラテン23によつてレンチキユラシート2を所定量ずつ送ると共に、巻取リール20によつてリボン17を所定量ずつ巻き取り、このとき感熱ヘツド12によつてリボン17に熱を与えることによりレンチキユラシート2にリボン17に塗布された染料を熱転写するようになされている。
【0032】また画像出力装置1は位置検出部24を有し、この位置検出部24によつてレンチキユラシート2の位置を検出するようになされている。すなわち位置検出部24はレンチキユラシート2の裏面側(レンチキユラレンズ2Aが形成された面をレンチキユラシート2の表面とする)に設けられた光源25から発生した照射光の光束をスリツト26によつて狭めた後、この光束をレンズ27によつて並行な光束L1にしてレンチキユラシート2に照射する。
【0033】この照射光L1はレンチキユラレンズ2Aを透過することにより集光されてレンチキユラシート2の表面側に設けられたフオトセンサ28に入射する。このときフオトセンサ28に入射する透過光L2はフオトセンサ28の受光部の中心とレンチキユラレンズ2Aの単位レンズの中心とが一致したときに光量が最大となる。
【0034】この結果画像出力装置1においては、フオトセンサ28に入射する透過光L2の光量に基づいてレンチキユラシート2の位置を検出し得、フオトセンサ28は当該検出結果を検出信号S8としてシステム制御部13に送出するようになされている。システム制御部13は検出信号S8に基づいて信号処理部29、モータ駆動回路14及びモータ駆動回路21にそれぞれ制御信号S2、S4及びS6を送出する。
【0035】これにより画像出力装置1においては、検出信号S8に基づいて発生される制御信号S2、S4及びS6に基づいて感熱ヘツド12の出力及びレンチキユラシート2の送り量を制御することよりレンチキユラシート2の単位レンズ内に所望の画素を印画し得るようになされている。
【0036】(2)画像の同一位置への結像演算部10はメモリコントローラ8から送出された画像情報に所定の演算を施すことによりレンチキユラレンズ2A側に配置された結像面上に異なる視点から見た場合においても同一位置に結像されるような合成画像を形成し得るようになされている。
【0037】すなわち演算部10は、メモリコントローラ8から図3に示すような原画像31が入力されると、この原画像31を一点鎖線で示すレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの方向に1/nに縮小することにより、図4に示すような縮小画像32を形成するようになされている。
【0038】ここでnはレンチキユラレンズ2A下に配置する原画像の画像数を表し、ここでは説明を簡易化するため原画像31のみを用いてレンチキユラレンズ2A下に配置する合成画像を形成する場合について述べるが、電子スチルカメラのICカードから送出される複数枚(n枚)の画像を用いて合成画像を形成しても良い。
【0039】次に演算部10は、図5に示すように、縮小画像32(図4)をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの幅の1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割すると共に、このストライプ状の画像を各画像毎にレンズピツチPの方向に反転することによりストライプ状の反転画像a、b、cを形成する。この結果レンチキユラレンズ2A下の画像がレンチキユラレンズ2Aの焦点距離の外にある場合に、観察者がレンチキユラレンズ2Aを通してこの画像から実像を観察できるようになされている。(従つて虚像を観察する場合には画像を反転する必要ない)
【0040】演算部10は、図6に示すように、ストライプ画像a、b、cの各々をレンチキユラレンズ2Aを構成する各単位レンズL1、L2、L3、……内に振り分けるようになされている。ここで各単位レンズL1、L2、L3、……をレンズピツチPの方向にn等分し、このn等分された分割領域を左側から順にB1、B2、B3及びB4とすると、演算部10はストライプ画像a、b、cを先ず各単位レンズL1、L2、L3の左端の分割領域B1に振り分ける。
【0041】次に演算部10は、図7に示すように、ストライプ画像a、b、cを分割領域B2に振り分けて配置するようになされている。このとき演算部10はストライプ画像a、b、cをレンチキユラレンズ2Aの1レンズピツチP分だけ右側にずらして配置する。
【0042】すなわち、最初に単位レンズL1の分割領域B1に配置したストライプ画像aを単位レンズL2の分割領域B2に配置し、単位レンズL2の分割領域B1に配置したストライプ画像bを単位レンズL3の分割領域B2に配置し、単位レンズL3の分割領域B1に配置したストライプ画像cを単位レンズL4の分割領域B2に配置する。
【0043】これと同様に、演算部10は分割領域B3に各ストライプ画像a、b及びcを振り分けることにより図8に示すような画像を形成し、さらに分割領域B4に各ストライプ画像a、b及びcを振り分けることにより図9に示すような合成画像33を形成するようになされている。これにより画像出力装置1においては、異なる視点から見た場合においても結像面上の同一位置に結像されるような合成画像33を形成し得るようになされている。画像出力装置1は合成画像33をサーマルヘツド12によつてレンチキユラシート2に印画するようになされている。
【0044】ここで図10に示すように、合成画像33の配置面Kは、レンチキユラレンズ2Aのレンズの中心R1から合成画像33の配置面Kまでの距離をS1とし、レンチキユラレンズ2Aの中心R1から結像面Gまでの距離をS2とすると、S1とS2との関係がS1:S2=1:n(実施例の場合n=4であることによりS1:S2=1:4)となるような位置に選定されている。これにより合成画像33は結像面G上にn倍だけ拡大されて結像されるようになされている。
【0045】また実施例の場合、レンチキユラレンズ2Aの焦点距離をfとすると、レンチキユラレンズ2Aのレンズの中心R1から合成画像33の配置面Kまでの距離は1.25fとなるように選定されている。従つて結像面G上の結像領域AR1にはn倍に拡大された分割領域B1の画像、結像領域AR2にはn倍に拡大された分割領域B2の画像、結像領域AR3にはn倍に拡大された分割領域B3の画像、結像領域AR4にはn倍に拡大された分割領域B4の画像がそれぞれ結像される。またこのとき、合成画像33はレンチキユラレンズ2Aの焦点距離fの外側に配置されていることにより、合成画像33はレンチキユラレンズ2Aを通して結像面Gに実像として結像される。
【0046】このようにして得られたレンチキユラレンズ2A下の合成画像33は、図11に示すような原理によつて観察される。すなわち、観察者34の両眼のうち右眼には分割領域B3に配置された画像が入ると共に左眼には分割領域B2に配置された画像が入る。このように観察者34の両眼には互いに隣合つた分割領域B1とB2、B2とB3、B3とB4が入り、この結果この隣合つた分割領域B1とB2、B2とB3、B3とB4に視差のある画像を配置すれば、観察者34はレンチキユラレンズ2Aを通して立体画像を観察することができる。
【0047】ここで合成画像33が実際にレンチキユラレンズ2Aを通して視覚される様子を図12〜図15に沿つて説明する。すなわち1つの視点からは1つの分割領域B1、B2、B3又はB4の画像だけを見ることができることにより、図12に示すような視点から見た場合には、結像面G上に分割領域B1の画像のみが視覚され、このとき分割領域B1の画像はレンチキユラレンズ2Aによりレンズピツチ方向にn倍に拡大されかつ反転されることにより結像面G上には原画像31と同様の結像画像35が視覚される。
【0048】同様に、図13に示すような視点から見た場合には、結像面G上にレンチキユラレンズ2Aによりレンズピツチ方向にn倍に拡大されかつ反転された分割領域B2の結像画像36が視覚され、図14に示すような視点から見た場合には、結像面G上にレンチキユラレンズ2Aによりレンズピツチ方向にn倍に拡大されかつ反転された分割領域B3の結像画像37が視覚され、図1515に示すような視点から見た場合には、レンチキユラレンズ2Aによりレンズピツチ方向にn倍に拡大されかつ反転された分割領域B4の結像画像38が視覚される。
【0049】このとき図12〜図15からも明らかなように、観察者は視点を換えた場合においても結像面G上の同一位置に結像された結像画像35〜38を観察することができる。これにより観察者はどの位置からも結像面G上の同じ位置に結像された結像画像35〜38を見ることができ、かくして画像出力装置1においては、あたかも結像面Gに画像があるかのような画像を表示することができる。またこれにより画像出力装置1においては、レンチキユラレンズ2Aを通して得られる画像の表示位置を明確にすることができる。
【0050】(3)奥行き感のある画像の形成また画像出力装置1においは、演算部10によつて後述する演算を施すことにより結像面G上に奥行き感のある画像(いわゆる立体画像)を形成し得るようになされている。
【0051】すなわち、立体的な奥行き感のある画像の原理を示す図16において、観察者34の眼幅をAとし、観察者34の結像面Gまでの観察距離をDとしたとき、結像面Gにおける像のぶれδ(視差)を、次式、
【数3】
を満足するように設定すれば、観察者34は結像面G上に結像された画像をh分の奥行き感のある画像として視覚することができる。
【0052】従つて画像出力装置1においては、観察者が両眼により結像面上の画像を観察した際に、右眼及び左眼により視覚される結像画像間に(2)式で示すδ分のぶれを設けるようになされ、これにより奥行き感hのある画像を形成し得るようになされている。すなわち、画像出力装置1においては、図12に示す結像画像35と図13に示す結像画像36、図13に示す結像画像36と図14に示す結像画像37、…………間に(2)式に示す視差δ分のぶれを形成するようになされている。
【0053】すなわち演算部10は、インターフエース部6に外部のコンピユータから画像情報SINが入力されるとこの画像情報SINから、先ず図17に示すように、それぞれ視差δ分だけずれた複数の原画像40、41、42及び43を形成する。因に、演算部10は、インターフエース部6に電子スチルカメラ4のICカード5から予め視差δのある画像情報S1が入力された場合には、この視差のある画像に基づいて以下の処理を施すようになされている。
【0054】演算部10は原画像40〜43をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチP方向に1/nに縮小することにより、図18(A)に示すように、原画像40〜43の縮小画像44〜46を形成する。
【0055】次に演算部10は、図18(B)に示すように、縮小画像44〜47の各ストライプ画像a1 、b1 、c1 、d1 、a2 、b2 、c2 、d2 、a3 、b3 、c3 、d3 、a4 、b4 、c4 、d4 をレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……内に振り分ける。
【0056】すなわち演算部10は単位レンズL1、L2、L3、……の分割領域B1にストライプ画像a1 、b1 、c1 、d1 をレンズピツチ方向に反転させるようにして順次振り分けると共に、単位レンズL2、L3、L4、……の分割領域B2に縮小画像45のストライプ画像a2 、b2 、c2 、d2 をレンズピツチ方向に反転させるようにして順次振り分ける。
【0057】同様に演算部10は単位レンズL3、L4、L5、……の分割領域B3にストライプ画像a3 、b3 、c3 、d3 をレンズピツチ方向に反転させるようにして順次振り分けると共に、単位レンズL4、L5、L6、……の分割領域B4に縮小画像47のストライプ画像a4 、b4 、c4 、d4 をレンズピツチ方向に反転させるようにして順次振り分ける。
【0058】このようにして得られた合成画像50は、図10について上述したようにな配置面Kに印画される。これにより画像出力装置1においては、レンチキユラレンズ2Aを通して結像面上で視差δ分のぶれをもつて観察される結像画像を形成し得え、観察者はこの結像画像をh分の奥行き感のある画像として観察することができる。
【0059】(4)立体モデルの立体表示さらに演算部10は、インターフエース部6に外部のコンピユータから人工的な立体モデルを表わす画像情報SINが入力された場合に、この画像情報SINに基づいて結像面G上に立体的な奥行き感のある画像を形成し得るようになされている。すなわち、上述した奥行き感のある画像の形成方法においては、結像画像全体に亘つて奥行きが同じに観察される結像画像を形成する場合について述べたが、これに加えて画像出力装置1においては、三次元の立体モデルを立体的に表示し得るようになされている。
【0060】ここで図19に示すように、立体モデル51をxyz座標系に置き、このときのz軸方向を立体モデル51の奥行き方向とする。ここで立体モデル51上で一番注目する箇所がレンチキユラレンズ2Aの結像面G上に結像されることが望ましいことを考慮して、この注目箇所を含むようにz=0平面を設定する。
【0061】このとき立体モデルのz=0の面内の座標を(x、y)とすると、レンチキユラレンズ2A下に配置する画像の座標(X、Y)(レンチキユラレンズの円筒方向をYとする)は座標変換により、次式、
【数4】
と表わすことができる。
【0062】立体モデルでこのz=0上の点からz分奥行きのある位置を、レンチキユラレンズによつてhの奥行き感をもたせて表示する際の縮尺を1/M とすると、(2)式におけるhにz/m を代入した結果だけ(3)式のX方向にずらせばよい。すなわち演算部10は、立体モデル上の座標(x、y、z)に対して、次式、
【数5】
で表わされる演算をすることにより、原画像の座標(X、Y)を求めることができる。
【0063】次に、(4)式のDを 2×dとすることにより、(4)式で求めた原画像に対して所定の視差を有する次の原画像を求めることができ、このように立体モデルに基づいた原画像を順次求めることができる。
【0064】演算部10はこのようにして求めた複数の原画像に対して上述した画像縮小処理、ストライプ画像振り分け処理を順次施す。画像出力装置1はこの処理結果をレンチキユラシート2に印画する。これにより画像出力装置1においては、入力された立体モデル51をレンチキユラレンズ2Aを通して立体的に表示し得るような合成画像を形成し得るようになされている。
【0065】(5)実施例の動作以上の構成において、画像出力装置1は電子スチルカメラ4のICカード5に記録された所定の視差を有する複数の画像を入力すると、各画像毎にレンチキユラレンズ2Aによる拡大方向に1/nに縮小する。これに対して画像出力装置1はインターフエース部6にコンピユータからの画像を入力すると、この画像からそれぞれ所望の視差を有するn面の画像を生成した後、各画像毎にレンチキユラレンズ2Aによる拡大方向に1/nに縮小する。
【0066】次に画像出力装置1は各縮小画像をレンチキユラレンズ2AのレンズピツチPの幅の1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割する。画像出力装置1はこのストライプ画像を順次レンチキユラレンズ2Aの単位レンズL1、L2、L3、……内に振り分けるようにして印画する。このとき画像出力装置1はストライプ画像のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像を、レンチキユラレンズの1レンズピツチずつずらすように単位レンズ内L1、L2、L3、……に振り分けて印画する。
【0067】またこのときレンチキユラシート2に印画された合成画像の印画面Kからレンチキユラレンズの中心R1までの距離とレンチキユラレンズの中心R1から結像面Kまでの距離とが所定の値に選定されている。
【0068】このようにしてレンチキユラシート2上に印画された合成画像50はレンチキユラレンズ2Aを通して結像面G上に結像された際、観察者の一方の眼には例えば分割領域B1に振り分けられたストライプ画像が拡大及び反転されて視覚されると共にこのとき他方の眼には分割領域B2に振り分けられたストライプ画像が拡大及び反転されて視覚される。このとき両眼によつて視覚されるそれぞれの画像間にはδ分のずれがあることにより、観察者はこの画像を奥行きhを有する画像として視覚することができる。かくして画像出力装置1においては、表示画像の奥行き感を任意に設定することができる。
【0069】(6)実施例の効果以上の構成によれば、レンチキユラレンズ2Aの倍率に基づいてレンチキユラレンズ2Aを通してn倍に拡大されるような位置に画像の配置面Kを選定すると共に、n面の原画像40〜43をレンチキユラレンズ2AのピツチP方向に1/nに縮小し、それぞれの画像44〜47をストライプ画像a1 〜d1 、a2 〜d2、a3 〜d3 、a4 〜d4 に分割してその各々をレンチキユラレンズ2Aの各単位レンズL1、L2、L3、……に振り分けるようにして合成画像50を形成するようにしたことにより、連続画像a1 〜d1 、a2 〜d2 、a3 〜d3 、a4〜d4 を最小単位として画像を表示することができ、高画質の表示画像を得ることができる。
【0070】またこれにより全ての画像35〜38を同一の結像面G上に結像することができ、画像の表示位置を明確にすることができる。さらに結像面Gにおける画像35〜38間のぶれが(2)式で表わされるような合成画像50を形成したことにより、所望の奥行き感のある表示画像を得ることができる。
【0071】(7)他の実施例なお上述の実施例においては、本発明を、一面にレンチキユラレンズ2Aが形成されたレンチキユラシート2上に画像を印画する画像出力装置1に用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばレンチキユラレンズを通して立体画像を表示する立体テレビジヨン装置等に用いた場合にも上述の場合と同様の効果を得ることができ、レンチキユラレンズを用いて立体表示する種々の表示装置に適用することができる。
【0072】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、n面の原画像から得られる合成画像を、レンチキユラレンズを通して所定の結像面上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズの倍率に基づいてレンチキユラレンズから所定の距離に配置すると共に、n面の各原画像の各画像をレンチキユラレンズによる拡大方向に1/nに縮小し、縮小した画像をレンチキユラレンズのレンズピツチPの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割し、ストライプ画像をレンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるようにして合成画像を形成するようにしたことにより、連続的な画像(ストライプ画像)を最小単位として扱うことができると共に、合成画像を同一の結像面上に結像させることができ画像の表示位置を明確にすることができる。
【0073】またストライプ画像のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像を、レンチキユラレンズの1レンズピツチずつずらすようにレンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるようにしたことにより、互いに同一部分を表わす画像を結像面上の同一位置に表示することができ、観察者が両眼によつてこの結像画像を観察した際観察者にあたかも結像面上に画像があるように感じさせることができる。
【0074】さらにn面の原画像から得られる合成画像を、レンチキユラレンズを通して所定の結像面上にほぼn倍に拡大されて結像されるようにレンチキユラレンズの倍率に基づいてレンチキユラレンズから所定の距離に配置し、このとき結像面上に結像される各画像間のずれを(2)式となるように設定したことにより、観察者が所望の奥行き感をもつて観察できるような画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による演算部が設けられた画像出力装置の全体構成を示すブロツク図である。
【図2】視差のある画像の撮像の説明に供する略線図である。
【図3】原画像を示す略線図である。
【図4】原画像の縮小の説明に供する略線図である。
【図5】反転画像の生成の説明に供する略線図である。
【図6】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図7】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図8】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図9】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図10】合成画像の配置位置の説明に供する略線図である。
【図11】レンチキユラレンズ下に配置された画像の視覚される様子を示す略線図である。
【図12】ストライプ画像の結像した状態を示す略線図である。
【図13】ストライプ画像の結像した状態を示す略線図である。
【図14】ストライプ画像の結像した状態を示す略線図である。
【図15】ストライプ画像の結像した状態を示す略線図である。
【図16】奥行き感のある画像の原理を示す略線図である。
【図17】ぶれのある画像の形成の説明に供する略線図である。
【図18】ストライプ画像のレンチキユラレンズ下への振り分けの説明に供する略線図である。
【図19】立体モデルの座標の設定の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
1……画像出力装置、2……レンチキユラシート、2A……レンチキユラレンズ、4……電子スチルカメラ、10……演算部、31、40〜43……原画像、32、44〜47……縮小画像、33、50……合成画像、34……観察者、35〜38……結像画像、51……立体モデル、L1〜L6……単位レンズ、B1〜B4……分割領域、K……画像配置面、G……結像面、δ……視差、D……観察距離、h……奥行き。
【特許請求の範囲】
【請求項1】レンチキユラレンズ下に配置された画像を上記レンチキユラレンズを通して表示することにより視点により異なる像を表示する画像表示方法、又は上記視点を両眼とし上記画像を両眼の視差だけ離れた位置から観察することにより立体視覚効果を得るようになされた画像表示方法において、n面の原画像から得られる合成画像を、上記レンチキユラレンズを通して所定の結像面上にほぼn倍に拡大されて結像されるように上記レンチキユラレンズの倍率に基づいて上記レンチキユラレンズから所定の距離に配置するようにしたことを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】上記合成画像は、上記n面の各原画像を上記レンチキユラレンズによる拡大方向に1/nに縮小し、当該縮小した画像を上記レンチキユラレンズのレンズピツチの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割し、当該ストライプ画像を上記レンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるように形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【請求項3】上記ストライプ画像のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像を、上記レンチキユラレンズの1ピツチずつずらすように上記レンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の画像表示方法。
【請求項4】上記ほぼn倍に拡大して結像した各画像間の結像面におけるずれを、次の式で与えられる値に設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【数1】
ここでδは結像面における各画像間のずれを表し、Aは人の眼幅を表し、Dは観察者から結像面までの観察距離を表し、hは結像面上に結像される画像の奥行き感を表わす。
【請求項5】上記ストライプ画像を各画像毎に反転させて上記レンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の画像表示方法。
【請求項1】レンチキユラレンズ下に配置された画像を上記レンチキユラレンズを通して表示することにより視点により異なる像を表示する画像表示方法、又は上記視点を両眼とし上記画像を両眼の視差だけ離れた位置から観察することにより立体視覚効果を得るようになされた画像表示方法において、n面の原画像から得られる合成画像を、上記レンチキユラレンズを通して所定の結像面上にほぼn倍に拡大されて結像されるように上記レンチキユラレンズの倍率に基づいて上記レンチキユラレンズから所定の距離に配置するようにしたことを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】上記合成画像は、上記n面の各原画像を上記レンチキユラレンズによる拡大方向に1/nに縮小し、当該縮小した画像を上記レンチキユラレンズのレンズピツチの幅のほぼ1/nの幅でなるストライプ状の画像に分割し、当該ストライプ画像を上記レンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるように形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【請求項3】上記ストライプ画像のうち互いに同一部分を表わすストライプ画像を、上記レンチキユラレンズの1ピツチずつずらすように上記レンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の画像表示方法。
【請求項4】上記ほぼn倍に拡大して結像した各画像間の結像面におけるずれを、次の式で与えられる値に設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【数1】
ここでδは結像面における各画像間のずれを表し、Aは人の眼幅を表し、Dは観察者から結像面までの観察距離を表し、hは結像面上に結像される画像の奥行き感を表わす。
【請求項5】上記ストライプ画像を各画像毎に反転させて上記レンチキユラレンズの各単位レンズ内に順次振り分けるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の画像表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図16】
【図10】
【図11】
【図17】
【図19】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図16】
【図10】
【図11】
【図17】
【図19】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【公開番号】特開平7−49466
【公開日】平成7年(1995)2月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−212281
【出願日】平成5年(1993)8月4日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【公開日】平成7年(1995)2月21日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)8月4日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
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