説明

画像表示用微粒子及びその製造方法、電気泳動分散液、並びに、画像表示装置

【課題】優れた特性を有し、電気泳動に基づき黒色の画像を表示する画像表示用微粒子を提供する。
【解決手段】画像を表示する画像表示用微粒子は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散(懸濁)され、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、あるいは又、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示用微粒子及びその製造方法、電気泳動分散液、並びに、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙のように柔軟で読み易く、安価な電子ペーパーは、随時書き換えが可能であり、しかも、構成、構造に依っては、メモリ機能を有し、電力を必要とすることなく表示内容を保持することができる等の利点を有しており、研究開発が鋭意、進められている。このような電子ペーパーの1種として、電気泳動を応用した表示装置(以下、単に『表示装置』と呼ぶ)が知られている。この表示装置は、対向する一対の基板を備えている。そして、観察者側の第2基板には第2電極が設けられ、この第2基板と対向する第1基板には第1電極が設けられている。また、これらの基板の間には、例えば、帯電した多数の電気泳動粒子、及び、電気泳動粒子とは異なる色の分散媒が充填されている。更には、隔壁によって画素が区画され、電気泳動粒子の偏在を防止すると共に、一対の基板の間隙が規定されている。
【0003】
表示装置において、例えば、電気泳動粒子を正に帯電させておき、第1電極に正の電圧を印加し、第2電極に負の電圧を印加すると、正に帯電している電気泳動粒子は第2電極を覆うように泳動する。従って、表示装置を眺めると、電気泳動粒子と同じ色の表示が行われる。これとは逆に、第1電極に負の電圧を印加し、第2電極に正の電圧を印加すると、電気泳動粒子は第1電極を覆うように泳動する。従って、表示装置を眺めると、分散媒と同じ色の表示が行われる。そして、このような電極への印加を画素単位で行うことで、任意の画像を表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−224714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
黒色を表示するための電気泳動粒子をカーボンブラックから構成する技術が周知である(例えば、特開2008−224714参照)。しかしながら、市販のカーボンブラックを電気泳動粒子として用いた場合、本発明者らの検討の結果では、優れた特性を有する表示装置が得られないことが判明した。
【0006】
従って、本発明の目的は、優れた特性を有し、電気泳動に基づき黒色の画像を表示する画像表示用微粒子及びその製造方法、係る画像表示用微粒子から構成された電気泳動分散液、並びに、係る電気泳動分散液を備えた画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示用微粒子は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散(懸濁)され、画像を表示する画像表示用微粒子であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上、好ましくは0.2cm3/グラム以上、より好ましくは0.3cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る。
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示用微粒子は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散(懸濁)され、画像を表示する画像表示用微粒子であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成る。尚、10nm以下の範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合は、50nm以下の範囲内に細孔径を有する細孔の容積に対して、0.1以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3乃至0.99である。以下においても同様である。
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る画像表示用微粒子は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散(懸濁)され、画像を表示する画像表示用微粒子であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、平均粒径が1×10-8m以上、2×10-4m以下、好ましくは1×10-8m以上、2×10-6m以下、より好ましくは1×10-8m以上、5×10-7m以下である多孔質炭素材料から成る。
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る画像表示用微粒子は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散(懸濁)され、画像を表示する画像表示用微粒子であって、
ゼータ電位の絶対値が10ミリボルト以上、200ミリボルト以下である多孔質炭素材料から成る。
【0011】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示用微粒子の製造方法は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散(懸濁)され、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上、好ましくは0.2cm3/グラム以上、より好ましくは0.3cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、画像を表示する画像表示用微粒子の製造方法であって、
植物由来の材料を500゜C乃至1400゜Cにて炭素化する。尚、こうして得られた多孔質炭素材料を、便宜上、『多孔質炭素材料前駆体』あるいは『炭素質物質』と呼ぶ場合がある。以下においても同様である。
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示用微粒子の製造方法は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散(懸濁)され、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成り、画像を表示する画像表示用微粒子の製造方法であって、
植物由来の材料を500゜C乃至1400゜Cにて炭素化する。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る電気泳動分散液は、対向する2枚の基板間に封止され、画像を表示する電気泳動分散液であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上、好ましくは0.2cm3/グラム以上、より好ましくは0.3cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散(懸濁)させた分散液から構成されている。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る電気泳動分散液は、対向する2枚の基板間に封止され、画像を表示する電気泳動分散液であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散(懸濁)させた分散液から構成されている。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る電気泳動分散液は、対向する2枚の基板間に封止され、画像を表示する電気泳動分散液であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、平均粒径が1×10-8m以上、2×10-4m以下、好ましくは1×10-8m以上、2×10-6m以下、より好ましくは1×10-8m以上、5×10-7m以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散(懸濁)させた分散液から構成されている。
【0016】
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る電気泳動分散液は、対向する2枚の基板間に封止され、画像を表示する電気泳動分散液であって、
ゼータ電位の絶対値が10ミリボルト以上、200ミリボルト以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散(懸濁)させた分散液から構成されている。
【0017】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示装置は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液を有する画像表示装置であって、
電気泳動分散液は、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上、好ましくは0.2cm3/グラム以上、より好ましくは0.3cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散(懸濁)させた分散液から構成されている。
【0018】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示装置は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液を有する画像表示装置であって、
電気泳動分散液は、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散(懸濁)させた分散液から構成されている。
【0019】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る画像表示装置は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液を有する画像表示装置であって、
電気泳動分散液は、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、好ましくは400m2/グラム以上、平均粒径が1×10-8m以上、2×10-4m以下、好ましくは1×10-8m以上、2×10-6m以下、より好ましくは1×10-8m以上、5×10-7m以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散(懸濁)させた分散液から構成されている。
【0020】
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る画像表示装置は、対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液を有する画像表示装置であって、
電気泳動分散液は、ゼータ電位の絶対値が10ミリボルト以上、200ミリボルト以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散(懸濁)させた分散液から構成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明における画像表示用微粒子にあっては、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上であり、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である。あるいは又、窒素BET法による比表面積の値と非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布とが規定され、あるいは又、窒素BET法による比表面積の値と平均粒径とが規定され、あるいは又、ゼータ電位の値が規定されている。それ故、分散液(分散媒)への親和性が増加するし、画像表示用微粒子の比重が分散液(分散媒)と同じ、あるいは、略同じとなるが故に、分散液(分散媒)への相溶性が増大すると考えられる。そして、以上の結果、電気泳動分散液中における画像表示用微粒子の分散状態の改善を図ることができ、優れた特性を有する、黒色表示のための黒色顔料としての画像表示用微粒子を得ることができるし、長期保存時あるいは使用時の電気泳動分散液中における画像表示用微粒子の凝集の発生を減少させることができるが故に、画像表示装置の信頼性の向上、表示応答性の向上を図ることができる。
【0022】
また、本発明の第1の態様〜第2の態様に係る画像表示用微粒子の製造方法にあっては、植物由来の材料を炭素化することで多孔質炭素材料前駆体あるいは炭素質物質に変換する際、500゜C乃至1400゜Cといった温度範囲内での炭素化を行うことにより、例えば、植物由来の材料中に含まれるケイ素が、炭化ケイ素(SiC)とはならずに、二酸化ケイ素(SiOx)や酸化ケイ素、酸化ケイ素塩といったケイ素成分(ケイ素酸化物)となる。それ故、次の工程において酸又はアルカリ(塩基)で処理すれば、二酸化ケイ素や酸化ケイ素、酸化ケイ素塩といったケイ素成分(ケイ素酸化物)が除去される結果、大きな窒素BET法による比表面積の値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1の(A)、(B)及び(C)は、実施例1の画像表示装置の模式的な一部断面図及び電極等の模式的な部分的平面図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、実施例2の画像表示装置の模式的な一部断面図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、実施例2の変形例の画像表示装置の模式的な一部断面図である。
【図4】図4の(A)並びに(B)は、それぞれ、実施例1、並びに、実施例1B及び比較例1Bの画像表示用微粒子におけるBJH法に基づく細孔径分布を表すグラフである。
【図5】図5の(A)並びに(B)は、それぞれ、実施例1A及び比較例1Aの画像表示用微粒子におけるBJH法に基づく細孔径分布、並びに、実施例1の画像表示用微粒子におけるMP法に基づく細孔径分布を表すグラフである。
【図6】図6の(A)並びに(B)は、それぞれ、実施例1B及び比較例1Bの画像表示用微粒子におけるMP法に基づく細孔径分布、並びに、実施例1及び比較例1Aの画像表示用微粒子におけるMP法に基づく細孔径分布を表すグラフである。
【図7】図7の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1及び実施例1Bの画像表示用微粒子の非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果のグラフである。
【図8】図8は、実施例1の画像表示用微粒子における赤外スペクトルの分析結果を表すグラフである。
【図9】図9の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例2の画像表示装置及び比較例2Aの画像表示装置において得られた電圧−電流曲線である。
【図10】図10は、比較例2Bの画像表示装置において得られた電圧−電流曲線である。
【図11】図11の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例3及び実施例4の画像表示用微粒子の非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果のグラフである。
【図12】図12の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例3及び実施例4の画像表示用微粒子におけるTG−DTA曲線を示すグラフである。
【図13】図13の(A)及び(B)は、それぞれ、比較例1A及び比較例1Bの画像表示用微粒子の非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果のグラフである。
【図14】図14の(A)及び(B)は、それぞれ、比較例3及び比較例4の画像表示用微粒子の非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果のグラフである。
【図15】図15の(A)及び(B)は、それぞれ、比較例3及び比較例4の画像表示用微粒子におけるTG−DTA曲線を示すグラフである。
【図16】図16の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1における酸処理及び水蒸気賦活処理を行った画像表示用微粒子(硝酸処理は施していない)、及び、比較例1Aの画像表示用微粒子におけるTG−DTA曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示用微粒子、本発明の第1の態様〜第2の態様に係る画像表示用微粒子の製造方法、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る電気泳動分散液、並びに、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示装置、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示用微粒子、本発明の第1の態様〜第2の態様に係る画像表示用微粒子の製造方法、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る電気泳動分散液、並びに、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示装置)
3.実施例2(実施例1の画像表示装置の変形)
4.実施例3(実施例1の画像表示用微粒子、画像表示用微粒子の製造方法、電気泳動分散液の変形)
5.実施例4(実施例1の画像表示用微粒子、画像表示用微粒子の製造方法、電気泳動分散液の別の変形)、その他
【0025】
[本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示用微粒子、本発明の第1の態様〜第2の態様に係る画像表示用微粒子の製造方法、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る電気泳動分散液、並びに、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示装置、全般に関する説明]
本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示用微粒子(以下、これらの本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示用微粒子を、単に、『本発明の画像表示用微粒子』と呼ぶ場合がある)、本発明の第1の態様〜第2の態様に係る画像表示用微粒子の製造方法(以下、これらの本発明の第1の態様〜第2の態様に係る画像表示用微粒子の製造方法を、単に、『本発明の画像表示用微粒子の製造方法』と呼ぶ場合がある)、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る電気泳動分散液(以下、これらの本発明の第1の態様〜第4の態様に係る電気泳動分散液を、単に、『本発明の電気泳動分散液』と呼ぶ場合がある)、あるいは、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示装置(以下、これらの本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示装置を、単に、『本発明の画像表示装置』と呼ぶ場合がある)において、画像表示用微粒子は、植物由来の材料を原料としている形態とすることができ、より具体的には、例えば、ケイ素(Si)の含有率が5質量%以上である植物由来の材料を原料としている形態とすることができる。更には、このような好ましい形態を含む本発明の画像表示用微粒子、本発明の画像表示用微粒子の製造方法、本発明の電気泳動分散液、あるいは、本発明の画像表示装置にあっては、画像表示用微粒子には表面改質処理が施されている形態とすることができる。尚、本発明の画像表示用微粒子、本発明の画像表示用微粒子の製造方法における画像表示用微粒子、本発明の電気泳動分散液における画像表示用微粒子、あるいは、本発明の画像表示装置における画像表示用微粒子を、以下、総称して、『本発明における画像表示用微粒子』と呼ぶ場合がある。
【0026】
上記の好ましい形態を含む本発明の画像表示用微粒子の製造方法にあっては、炭素化の後、多孔質炭素材料前駆体あるいは炭素質物質に対して賦活処理を施す形態とすることができる。また、このような好ましい形態を含む本発明の画像表示用微粒子の製造方法にあっては、多孔質炭素材料前駆体あるいは炭素質物質に対して酸又はアルカリでの処理を行う形態とすることができる。尚、賦活処理を行う場合、酸又はアルカリでの処理は、賦活処理の前であってもよいし、後であってもよい。酸又はアルカリでの処理によって、炭素化後の植物由来の材料中の例えばケイ素成分を除去する形態とすることができる。ここで、ケイ素成分として、二酸化ケイ素や酸化ケイ素、酸化ケイ素塩といったケイ素酸化物を挙げることができる。このように、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去することで、高い比表面積を有する多孔質炭素材料を得ることができる。場合によっては、ドライエッチング法に基づき、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去してもよい。更には、これらの好ましい形態を含む本発明の画像表示用微粒子の製造方法にあっては、植物由来の材料におけるケイ素(Si)の含有率は5質量%以上である形態とすることができる。
【0027】
あるいは又、本発明の第1の態様に係る画像表示用微粒子、本発明の第1の態様に係る画像表示用微粒子の製造方法、本発明の第1の態様に係る電気泳動分散液、あるいは、本発明の第1の態様に係る画像表示装置において、多孔質炭素材料は、ケイ素の含有率が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であることが好ましい。また、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.2cm3/グラム以上であることが好ましい。
【0028】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む本発明の画像表示用微粒子、本発明の画像表示用微粒子の製造方法、本発明の電気泳動分散液、あるいは、本発明の画像表示装置(以下、これらを総称して、単に、『本発明』と呼ぶ)にあっては、限定するものではないが、画像表示用微粒子におけるマグネシウム(Mg)の含有率が0.01質量%以上、3質量%以下、カリウム(K)の含有率が0.01質量%以上、3質量%以下、カルシウム(Ca)の含有率が0.05質量%以上、3質量%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明の画像表示用微粒子の製造方法における『炭素化』とは、一般に、有機物質(本発明においては、植物由来の材料)を熱処理して炭素質物質に変換することを意味する(例えば、JIS M0104−1984参照)。尚、炭素化のための雰囲気として、酸素を遮断した雰囲気を挙げることができ、具体的には、真空雰囲気、窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガス雰囲気、植物由来の材料を一種の蒸し焼き状態とする雰囲気を挙げることができる。炭素化温度に至るまでの昇温速度として、限定するものではないが、係る雰囲気下、1゜C/分以上、好ましくは3゜C/分以上、より好ましくは5゜C/分以上を挙げることができる。また、炭素化時間の上限として、10時間、好ましくは7時間、より好ましくは5時間を挙げることができるが、これに限定するものではない。炭素化時間の下限は、植物由来の材料が確実に炭素化される時間とすればよい。植物由来の材料を、所望に応じて粉砕して所望の粒度としてもよいし、分級してもよい。植物由来の材料を予め洗浄してもよい。あるいは又、得られた多孔質炭素材料前駆体や多孔質炭素材料を、所望に応じて粉砕して所望の粒度としてもよいし、分級してもよい。あるいは又、賦活処理後の多孔質炭素材料を、所望に応じて粉砕して所望の粒度としてもよいし、分級してもよい。炭素化のために使用する炉の形式、構成、構造に制限はなく、連続炉とすることもできるし、回分炉(バッチ炉)とすることもできる。
【0030】
上述した好ましい形態を含む本発明の画像表示用微粒子の製造方法においては、酸又はアルカリでの処理の前あるいは後に、賦活処理を施す形態とすることで、孔径が2nmよりも小さいマイクロ細孔(後述する)を増加させることができる。賦活処理の方法として、ガス賦活法、薬品賦活法を挙げることができる。ここで、ガス賦活法とは、賦活剤として酸素や水蒸気、炭酸ガス、空気等を用い、係るガス雰囲気下、700゜C乃至1400゜Cにて、好ましくは700゜C乃至1000゜Cにて、より好ましくは800゜C乃至950゜Cにて、数十分から数時間、多孔質炭素材料を加熱することにより、多孔質炭素材料中の揮発成分や炭素分子により微細構造を発達させる方法である。尚、加熱温度は、植物由来の材料の種類、ガスの種類や濃度等に基づき、適宜、選択すればよい。薬品賦活法とは、ガス賦活法で用いられる酸素や水蒸気の替わりに、塩化亜鉛、塩化鉄、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸等を用いて賦活させ、塩酸で洗浄、アルカリ性水溶液でpHを調整し、乾燥させる方法である。
【0031】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本発明の画像表示用微粒子の製造方法にあっては、使用する植物由来の材料にも依るが、植物由来の材料を炭素化する前に、炭素化のための温度よりも低い温度(例えば、400゜C〜700゜C)にて、酸素を遮断した状態で植物由来の材料に加熱処理(予備炭素化処理)を施してもよい。これによって、炭素化の過程において生成するであろうタール成分を抽出することが出来る結果、炭素化の過程において生成するであろうタール成分を減少あるいは除去することができる。尚、酸素を遮断した状態は、例えば、窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガス雰囲気とすることで、あるいは又、真空雰囲気とすることで、あるいは又、植物由来の材料を一種の蒸し焼き状態とすることで達成することができる。あるいは又、使用する植物由来の材料にも依るが、植物由来の材料中に含まれるミネラル成分や水分を減少させるために、また、炭素化の過程での異臭の発生を防止するために、植物由来の材料を炭素化する前に、植物由来の材料をアルコール(例えば、メチルアルコールやエチルアルコール、イソプロピルアルコール)に浸漬してもよい。尚、その後、予備炭素化処理を実行してもよい。不活性ガス中で加熱処理を施すことが好ましい材料として、例えば、木酢液(タールや軽質油分)を多く発生する植物を挙げることができる。アルコールによる前処理を施すことが好ましい材料として、例えば、ヨウ素や各種ミネラルを多く含む海藻類を挙げることができる。
【0032】
本発明において、植物由来の材料として、米(稲)、大麦、小麦、ライ麦、稗(ヒエ)、粟(アワ)等の籾殻や藁、珈琲豆、茶葉(例えば、緑茶や紅茶等の葉)、サトウキビ類(より具体的には、サトウキビ類の絞り滓)、トウモロコシ類(より具体的には、トウモロコシ類の芯)、果実の皮(例えば、ミカンやバナナの皮等)、あるいは又、葦、茎ワカメを挙げることができるが、これらに限定するものではなく、その他、例えば、陸上に植生する維管束植物、シダ植物、コケ植物、藻類、海草を挙げることができる。尚、原料として、これらの材料を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。植物由来の材料の形状や形態も特に限定はなく、例えば、籾殻や藁そのものでもよいし、あるいは乾燥処理品でもよい。更には、ビールや洋酒等の飲食品加工において、発酵処理、焙煎処理、抽出処理等の種々の処理を施されたものを使用することもできる。特に、産業廃棄物の資源化を図るという観点から、脱穀等の加工後の藁や籾殻を使用することが好ましい。これらの加工後の藁や籾殻は、例えば、農業協同組合や酒類製造会社、食品会社、食品加工会社から、大量、且つ、容易に入手することができる。
【0033】
画像表示用微粒子には、リン(P)あるいは硫黄(S)等の非金属元素や、遷移元素等の金属元素が含まれていてもよい。リン(P)の含有率として0.01質量%以上、3質量%以下、硫黄(S)の含有率として0.01質量%以上、3質量%以下を挙げることができる。尚、これらの元素や上述したマグネシウム(Mg)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)の含有率は、画像表示用微粒子への要求特性等によって異なるが、比表面積の値の増加といった観点からは、少ない方が好ましい。画像表示用微粒子には、上記した元素以外の元素を含んでいてもよく、上記した各種元素の含有率の範囲も、画像表示用微粒子への要求特性等によって変更し得ることは云うまでもない。本発明において、各種元素の分析は、例えば、エネルギー分散型X線分析装置(例えば、日本電子株式会社製のJED−2200F)を用い、エネルギー分散法(EDS)により行うことができる。ここで、測定条件を、例えば、走査電圧15kV、照射電流13μAとすればよい。
【0034】
本発明における画像表示用微粒子の表面改質処理として、化学処理又は分子修飾を挙げることができる。化学処理として、例えば、硝酸処理やぺルオキソ二硫酸塩処理により表面にカルボキシ基を生成させる処理を挙げることができる。また、水蒸気、酸素、アルカリ等による賦活処理と同様の処理を行うことにより、画像表示用微粒子の表面に水酸基、カルボキシ基、ケトン基、エステル基等、種々の官能基を生成させることもできる。分子修飾として、C、N、O、S、P等を合計3つ以上有する分子で共有結合やイオン結合を介して画像表示用微粒子の表面を修飾する方法を挙げることができる。具体的には、画像表示用微粒子の表面をシリカで被覆してシランカップリングでSi−Oを介して修飾する方法や、N≡N結合を介する方法、エステル結合やアミド結合等で修飾する方法を挙げることができる。表面を化学処理した後に分子修飾してもよい。修飾する分子は、分子量が大きいほど立体障害となり、分散性が向上する。また、アミノ基等の正電荷を有する分子で修飾することによって、画像表示用微粒子の正電荷保持量を増加させることができる。一方、水酸基、カルボキシ基、ケトン基、エステル基等、負の電荷を有する分子で修飾することによって、画像表示用微粒子の負電荷量を増加させることができる。
【0035】
本発明における画像表示用微粒子は、細孔(ポア)を多く有している。細孔として、孔径が2nm乃至50nmの『メソ細孔』、及び、孔径が2nmよりも小さい『マイクロ細孔』が含まれる。具体的には、メソ細孔として、例えば、20nm以下の孔径の細孔を多く含み、特に、10nm以下の孔径の細孔を多く含んでいる。また、マイクロ細孔として、例えば、孔径が1.9nm程度の細孔と、1.5nm程度の細孔と、0.8nm〜1nm程度の細孔とを多く含んでいる。本発明における画像表示用微粒子にあっては、例えば、BJH法及びMP法による細孔の容積は0.2cm3/グラム以上であることが好ましく、0.3cm3/グラム以上であることが一層好ましい。本発明における画像表示用微粒子において、窒素BET法による比表面積の値(以下、単に、『比表面積の値』と呼ぶ場合がある)は、より一層優れた特性を得るために、上述したとおり、好ましくは400m2/グラム以上であることが望ましい。
【0036】
窒素BET法とは、吸着剤(ここでは、画像表示用微粒子)に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより吸着等温線を測定し、測定したデータを式(1)で表されるBET式に基づき解析する方法であり、この方法に基づき比表面積や細孔容積等を算出することができる。具体的には、窒素BET法により比表面積の値を算出する場合、先ず、吸着剤(画像表示用微粒子)に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより、吸着等温線を求める。そして、得られた吸着等温線から、式(1)あるいは式(1)を変形した式(1’)に基づき[p/{Va(p0−p)}]を算出し、平衡相対圧(p/p0)に対してプロットする。そして、このプロットを直線と見なし、最小二乗法に基づき、傾きs(=[(C−1)/(C・Vm)])及び切片i(=[1/(C・Vm)])を算出する。そして、求められた傾きs及び切片iから式(2−1)、式(2−2)に基づき、Vm及びCを算出する。更には、Vmから、式(3)に基づき比表面積asBETを算出する(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第62頁〜第66頁参照)。尚、この窒素BET法は、JIS R 1626−1996「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準じた測定方法である。
【0037】
a=(Vm・C・p)/[(p0−p){1+(C−1)(p/p0)}] (1)
[p/{Va(p0−p)}]
=[(C−1)/(C・Vm)](p/p0)+[1/(C・Vm)] (1’)
m=1/(s+i) (2−1)
C =(s/i)+1 (2−2)
sBET=(Vm・L・σ)/22414 (3)
【0038】
但し、
a:吸着量
m:単分子層の吸着量
p :窒素の平衡時の圧力
0:窒素の飽和蒸気圧
L :アボガドロ数
σ :窒素の吸着断面積
である。
【0039】
窒素BET法により細孔容積Vpを算出する場合、例えば、求められた吸着等温線の吸着データを直線補間し、細孔容積算出相対圧で設定した相対圧での吸着量Vを求める。この吸着量Vから式(4)に基づき細孔容積Vpを算出することができる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第62頁〜第65頁参照)。尚、窒素BET法に基づく細孔容積を、以下、単に『細孔容積』と呼ぶ場合がある。
【0040】
p=(V/22414)×(Mg/ρg) (4)
【0041】
但し、
V :相対圧での吸着量
g:窒素の分子量
ρg:窒素の密度
である。
【0042】
メソ細孔の孔径は、例えば、BJH法に基づき、その孔径に対する細孔容積変化率から細孔の分布として算出することができる。BJH法は、細孔分布解析法として広く用いられている方法である。BJH法に基づき細孔分布解析をする場合、先ず、吸着剤(画像表示用微粒子)に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより、脱着等温線を求める。そして、求められた脱着等温線に基づき、細孔が吸着分子(例えば窒素)によって満たされた状態から吸着分子が段階的に着脱する際の吸着層の厚さ、及び、その際に生じた孔の内径(コア半径の2倍)を求め、式(5)に基づき細孔半径rpを算出し、式(6)に基づき細孔容積を算出する。そして、細孔半径及び細孔容積から細孔径(2rp)に対する細孔容積変化率(dVp/drp)をプロットすることにより細孔分布曲線が得られる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第85頁〜第88頁参照)。
【0043】
p=t+rk (5)
pn=Rn・dVn−Rn・dtn・c・ΣApj (6)
但し、
n=rpn2/(rkn−1+dtn2 (7)
【0044】
ここで、
p:細孔半径
k:細孔半径rpの細孔の内壁にその圧力において厚さtの吸着層が吸着した場合のコア半径(内径/2)
pn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔容積
dVn:そのときの変化量
dtn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの吸着層の厚さtnの変化量
kn:その時のコア半径
c:固定値
pn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔半径
である。また、ΣApjは、j=1からj=n−1までの細孔の壁面の面積の積算値を表す。
【0045】
マイクロ細孔の孔径は、例えば、MP法に基づき、その孔径に対する細孔容積変化率から細孔の分布として算出することができる。MP法により細孔分布解析を行う場合、先ず、吸着剤(画像表示用微粒子)に窒素を吸着させることにより、吸着等温線を求める。そして、この吸着等温線を吸着層の厚さtに対する細孔容積に変換する(tプロットする)。そして、このプロットの曲率(吸着層の厚さtの変化量に対する細孔容積の変化量)に基づき細孔分布曲線を得ることができる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第72頁〜第73頁、第82頁参照)。
【0046】
JIS Z8831−2:2010 「粉体(固体)の細孔径分布及び細孔特性−第2部:ガス吸着によるメソ細孔及びマクロ細孔の測定方法」、及び、JIS Z8831−3:2010 「粉体(固体)の細孔径分布及び細孔特性−第3部:ガス吸着によるミクロ細孔の測定方法」に規定された非局在化密度汎関数法(NLDFT法,Non Localized Density Functional Theory 法)にあっては、解析ソフトウェアとして、日本ベル株式会社製自動比表面積/細孔分布測定装置「BELSORP−MAX」に付属するソフトウェアを用いる。前提条件としてモデルをシリンダ形状としてカーボンブラック(CB)を仮定し、細孔分布パラメータの分布関数を「no−assumption」とし、得られた分布データにはスムージングを10回施す。
【0047】
多孔質炭素材料前駆体を酸又はアルカリで処理する場合、具体的な処理方法として、例えば、酸あるいはアルカリの水溶液に多孔質炭素材料前駆体を浸漬する方法や、多孔質炭素材料前駆体と酸又はアルカリとを気相で反応させる方法を挙げることができる。より具体的には、酸によって処理する場合、酸として、例えば、フッ化水素、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム等の酸性を示すフッ素化合物を挙げることができる。フッ素化合物を用いる場合、多孔質炭素材料前駆体に含まれるケイ素成分におけるケイ素元素に対してフッ素元素が4倍量となればよく、フッ素化合物水溶液の濃度は10質量%以上であることが好ましい。フッ化水素酸によって、多孔質炭素材料前駆体に含まれるケイ素成分(例えば、二酸化ケイ素)を除去する場合、二酸化ケイ素は、化学式(A)又は化学式(B)に示すようにフッ化水素酸と反応し、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)あるいは四フッ化ケイ素(SiF4)として除去され、画像表示用微粒子を得ることができる。そして、その後、洗浄、乾燥を行えばよい。
【0048】
SiO2+6HF → H2SiF6+2H2O (A)
SiO2+4HF → SiF4+2H2O (B)
【0049】
アルカリ(塩基)によって処理する場合、アルカリとして、例えば、水酸化ナトリウムを挙げることができる。アルカリの水溶液を用いる場合、水溶液のpHは11以上であればよい。水酸化ナトリウム水溶液によって、多孔質炭素材料前駆体に含まれるケイ素成分(例えば、二酸化ケイ素)を除去する場合、水酸化ナトリウム水溶液を熱することにより、二酸化ケイ素は、化学式(C)に示すように反応し、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)として除去され、画像表示用微粒子を得ることができる。また、水酸化ナトリウムを気相で反応させて処理する場合、水酸化ナトリウムの固体を熱することにより、化学式(C)に示すように反応し、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)として除去され、画像表示用微粒子を得ることができる。そして、その後、洗浄、乾燥を行えばよい。
【0050】
SiO2+2NaOH → Na2SiO3+H2O (C)
【0051】
対向する2枚の基板の内、画像観察者に対応する側の基板を、便宜上、『第2基板』と呼び、第2基板と対向する基板を、便宜上、『第1基板』と呼ぶ。また、必要に応じて第1基板に設けられた電極を、便宜上、『第1電極』と呼び、必要に応じて第2基板に設けられた電極を、便宜上、『第2電極』と呼ぶ。ここで、第2基板として、透明なガラス基板やプラスチック基板等の絶縁部材を挙げることができる。第1基板は、任意の絶縁部材から構成することができ、例えば、ガラス基板やプラスチック基板を挙げることができる。具体的には、石英、サファイア、ガラス等の透明無機基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、テトラアセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルフォン類、ポリオレフィン類等の透明プラスチック基板を挙げることができる。基板の厚さとして2μm乃至5mm、好ましくは5μm乃至1mmを例示することができる。基板が薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ち難くなる。一方、基板が厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパーの用途にあっては可撓性に欠ける場合が生じる。
【0052】
基板に電極を設けない場合、基板の外側表面に静電潜像を与え、静電潜像に応じて発生した電界によって画像表示用微粒子を基板に引き寄せ、あるいは、反発させることにより、静電潜像に対応して配列された画像表示用微粒子を透明な第2基板を通して視認することができる。尚、静電潜像の形成は、電子写真感光体を用いた通常の電子写真システムで行われる静電潜像の形成方法を適用すればよい。あるいは又、イオンフローに基づき静電潜像を基板上に直接形成してもよい。一方、基板に電極を設ける場合、電極への直流あるいは交流の電圧の印加により生じた電界に基づき、所望の特性に帯電した画像表示用微粒子を電極に引き寄せ、あるいは、電極から反発させることにより、画像表示用微粒子を透明な第2基板を通して視認することができる。電極への電圧の印加を制御するために、第1基板にスイッチングデバイス(例えば薄膜トランジスタ(TFT))を設けることが好ましい。
【0053】
第2電極として、所謂透明電極を挙げることができ、具体的には、インジウム−スズ複合酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn23、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)、フッ素ドープSnO2(FTO)、IFO(FドープのIn23)、アンチモンドープSnO2(ATO)、SnO2、ZnO(AlドープのZnOやBドープのZnOを含む)、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)、スピネル型酸化物、YbFe24構造を有する酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、これらを2種類以上組み合わせて用いることもできる。第1電極は、透明電極を構成する材料だけでなく、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、あるいは、合金から構成することができるし、黒色の電極材料層(具体的には、例えば、炭化チタン層や黒色化処理したクロム層、黒色層を表面に形成したアルミニウム層、チタンブラック層)から構成することもできる。電極は、真空蒸着法やスパッタリング法等の物理的気相成長法(PVD法)、各種化学的気相成長法(CVD法)、各種塗布等に基づき形成することができる。電極のパターニングは、エッチング法、リフトオフ法、各種マスクを用いる方法等、任意の方法で行うことができる。
【0054】
必要に応じて、電極の上に絶縁層を形成する。係る絶縁層を構成する材料として、例えば、無色透明な絶縁性樹脂を挙げることができ、具体的には、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂等を挙げることができる。また、光を散乱させるための微粒子、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン等を、絶縁層を構成する無色透明の絶縁性樹脂に添加してもよい。
【0055】
画像表示装置において、画素(表示セル)は隔壁で区切られていることが好ましい。リブ状の隔壁は、例えば、感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィー法によって作製することができるし、各種成形法によって作製することもできる。隔壁を一方の基板と一体に作製してもよいし、隔壁を各基板のそれぞれと一体に作製して、隔壁同士を後で接着してもよいし、隔壁を基板と別に作製しておき、隔壁を基板に接着してもよい。隔壁の形状は、画像表示用微粒子のサイズ等に基づき、適宜、設定すればよく、また、隔壁の幅として、1×10-6m乃至1×10-3m、好ましくは3×10-6m乃至5×10-4mを例示することができるし、隔壁の高さとして、1×10-5m乃至5mm、好ましくは1×10-5m乃至0.5mmを例示することができる。隔壁によって囲まれた画素(表示セル)の平面形状として、四角形、三角形、円形、六角形(ハニカム構造)等を例示することができるし、ライン状とすることもできる。隔壁によって囲まれた画素(表示セル)の大きさは、画像表示装置に要求される仕様に基づき決定すればよく、例えば一辺の長さとして、1×10-5m乃至5mm、好ましくは3×10-5m乃至0.5mmを例示することができる。隔壁によって囲まれた画素(表示セル)の体積を「1」としたとき、隔壁によって囲まれた画素(表示セル)を占める画像表示用微粒子の体積割合として、0.1乃至0.8、好ましくは0.1乃至0.7を例示することができる。電気泳動分散液の充填方法は、特に限定されず、例えば、インクジェット方式を採用することができる。
【0056】
電気泳動分散液における分散液(分散媒)に対する画像表示用微粒子の割合として、分散液(分散媒)100質量部に対して、画像表示用微粒子、0.1質量部乃至15質量部、好ましくは、1質量部乃至10質量部を例示することができる。画像表示用微粒子を分散させる分散液(分散媒)として、高絶縁性を有し、無色透明な液体、具体的には非極性分散媒、より具体的には、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、シリコーンオイル等を挙げることができる。ここで、脂肪族炭化水素として、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、リグロイン、ソルベントナフサ、ケロシン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等を挙げることができる。また、芳香族炭化水素として、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン等を挙げることができる。シリコーンオイルとして、変成シリコーンオイルを含む各種ジメチルポリシロキサンを挙げることができる。より具体的には、エクソンモービル有限会社社製のアイソパーG、H、L、M、エクソールD30、D40、D80、D110、D130、出光石油化学株式会社製のIPソルベント1620、2028、2835、シェルケミカルズジャパン株式会社製のシェルゾール70、71、72、A、AB、日本石油株式会社製のナフテゾルL、M、H等を挙げることができる。尚、これらを単独、又は、2種以上を混合して用いることができる。分散媒を着色するには油溶染料を用いればよく、具体的には、例えば、アゾ化合物から成る黄色系染料や橙色系染料、茶色系染料、赤色系染料、アンスラキノン類から成る青色系染料や緑色系染料、紫色系染料を挙げることができる。これら染料は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。染料の濃度は、分散媒100質量部に対して、0.1質量部乃至3.5質量部とすることが好ましいが、これに限定するものではない。
【0057】
電気泳動分散液をマイクロカプセルに閉じ込める構造を採用してもよい。マイクロカプセルは、界面重合法、その場重合法(in−situ重合法)、コアセルベーション法等の周知の方法で得ることができる。マイクロカプセルを構成する材料には光を十分に透過させる特性が要求され、具体的には、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ゼラチン、あるいは、これらの共重合体等を例示することができる。マイクロカプセルを基板上に配置する方法は、特に制限されず、例えば、インクジェット方式を挙げることができる。尚、基板上に配置されたマイクロカプセルの位置ずれを防止する目的で、マイクロカプセルを光透過性の樹脂バインダーを用いて基板上に固定してもよい。光透過性の樹脂バインダーとして、水溶性のポリマー、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0058】
画像表示用微粒子を正に帯電させるために正帯電制御剤を用いる場合、正帯電制御剤として、例えば、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業社製)等のニグロシン系染料、P−51(オリエント化学工業株式会社製)、コピーチャージPX VP435(ヘキストジャパン株式会社製)等の第4級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、PLZ1001(四国化成工業株式会社製)等のイミダゾール化合物、透明又は白色のオニウム化合物等を挙げることができる。尚、オニウム化合物としては、第1級から第4級まで、自由に選択可能であり、アンモニウム化合物、スルホニウム化合物、ホスホニウム化合物より選ばれ、例えば、窒素、硫黄あるいはリン原子に結合している置換基は、アルキル基又はアリール基であり、塩としては、塩素に代表されるハロゲン系元素やヒドロキシ基、カルボン酸基等がカウンターイオンとして好適であるが、これらに限定されるものでない。中でも第1級から第3級アミン塩や第4級アンモニウム塩が特に好ましい。画像表示用微粒子を負に帯電させるために負帯電制御剤を用いる場合、負帯電制御剤として、例えば、ボントロンS−22、ボントロンS−34、ボントロンE−81、ボントロンE−84(以上、オリエント化学工業株式会社製)、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業株式会社製)等の金属錯体、チオインジゴ系顔料、コピーチャージNXVP434(ヘキストジャパン株式会社製)等の第4級アンモニウム塩、ボントロンE−89(オリエント化学工業株式会社製)等のカリックスアレーン化合物、LR147(日本カーリット株式会社製)等のホウ素化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カーボン等のフッ素化合物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸アルミニウム、ラウリン酸バリウム、オレイン酸ソーダ、オクチル酸ジルコニウム、ナフテン酸コバルト等の公知の金属石鹸や、アジン化合物のサリチル酸系金属錯体及びフェノール系縮合物を挙げることができる。
【0059】
電気泳動分散液として、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等);ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレート等);ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等);脂肪族ジエタノールアミド系等のノニオン系界面活性剤を用いることができる。高分子系分散剤として、例えば、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン、ウレタン系高分子化合物BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製)、ウレタン系分散剤EFKA−47、LP−4050(EFKA社製)、ポリエステル系高分子化合物ソルスパース24000(ゼネカ社製)、脂肪族ジエタノールアミド系高分子化合物ソルスパース17000(ゼネカ社製)等を挙げることができる。また、その他の高分子系分散剤として、分散媒に溶媒和する部分を形成することが可能なラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等のモノマー、分散媒に溶媒和し難い部分を形成することが可能なメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン等のモノマー及び極性の官能基を有するモノマーのランダム共重合体、特開平3−188469号公報に開示されているグラフト共重合体等を挙げることができる。極性の官能基を有するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸等の酸性の官能基を有するモノマー;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピペリジン、ビニルラクタム等の塩基性の官能基を有するモノマー;これらの塩;スチレン−ブタジエン共重合体、特開昭60−10263号公報に開示されているスチレンと長鎖アルキルメタクリレートのブロック共重合体等を挙げることができる。また、特開平3−188469号公報に開示されているグラフト共重合体といった分散剤を添加してもよい。画像表示用微粒子の電気泳動を一層効果的に生じさせるために、イオン性界面活性剤を添加してもよい。アニオン界面活性剤の具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等を挙げることができる。カチオン界面活性剤の具体例として、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。トリフルオロスルホニルイミド塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロ硫酸塩等のような、非極性分散媒に可溶なイオン性添加剤を添加してもよい。
【0060】
本発明の電気泳動分散液にあっては、多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子に加えて、更に必要に応じて、色及び帯電極性が異なる少なくとも1種の粒子を分散(懸濁)させてもよい。
【0061】
本発明の画像表示装置には、その他、例えば、金属反射板、光拡散板や光拡散層、反射防止層等を配置、配設してもよい。また、画像表示装置は、駆動回路、演算回路、内部メモリ、電源等を備えている。尚、本発明の画像表示装置は、液晶表示装置のように配向膜や偏光板等が不要であるし、構造が単純であり、温度変化に対しても安定であり、低温から高温まで使用可能である。加えて、大面積の画像表示装置を安価に提供することができるし、視野角がなく、高反射率、反射型であるが故に、明るい場所でも画像を視認し易く、低消費電力である。
【0062】
本発明の画像表示装置は、所謂デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、ノートブック型のパーソナルコンピュータ、モバイル型のパーソナルコンピュータ、PDA(パーソナル・デジタル・アシスト)、携帯電話、ゲーム機、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、コピー機、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、電卓、家電製品の表示部、ポイントカード等のカード表示部、電子広告、電子POP等の各種画像表示装置に適用することができる。あるいは又、電気泳動表示デバイス、トナーディスプレイ、磁気表示装置等に適用することができる。
【実施例1】
【0063】
実施例1は、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示用微粒子、本発明の画像表示用微粒子の製造方法、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る電気泳動分散液、並びに、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示装置に関する。実施例1の画像表示装置の模式的な一部断面図を図1の(A)及び(C)に示し、電極等の模式的な平面図を図1の(B)に示す。尚、図1の(A)及び(C)は、図1の(B)の矢印A−Aに沿った模式的な一部断面図である。
【0064】
実施例1の画像表示装置10は、対向する2枚の基板20,30間に封止された電気泳動分散液50を有する画像表示装置である。具体的には、第2基板30、並びに、第1電極21及び第2電極31が設けられた第1基板20とが、封止部材40を介して所定の間隔で対向して配置されている。尚、画像観察者に対応する側の基板は第2基板30である。第1電極21及び第2電極31上には絶縁層22が形成されている。第1電極21及び第2電極31は、所謂櫛形電極を構成する。そして、対向する2枚の基板20,30の間に、具体的には、第1基板20、第2基板30及び封止部材40により仕切られた画素(表示セル)に、電気泳動分散液(電気泳動粒子分散液)50が封入されている。ここで、電気泳動分散液50は、少なくとも、画像表示用微粒子(電気泳動粒子)51と、画像表示用微粒子を分散(懸濁)させた分散液(電気泳動粒子分散媒)52から構成されている。画像表示用微粒子(電気泳動粒子)51は、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、また、ケイ素の含有率が1質量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.2cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る。あるいは又、画像表示用微粒子(電気泳動粒子)51は、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成る。尚、10nm以下の範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合は、50nm以下の範囲内に細孔径を有する細孔の容積に対して0.1以上である。あるいは又、画像表示用微粒子(電気泳動粒子)51は、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、具体的には1080m2/グラム、平均粒径が1×10-8m以上、2×10-4m以下、具体的には0.5μmである多孔質炭素材料から成る。あるいは又、画像表示用微粒子(電気泳動粒子)51は、ゼータ電位の絶対値が10ミリボルト以上、200ミリボルト以下、具体的には、−58.20ミリボルト(移動度:0.1582×10-4cm2/V・秒)である多孔質炭素材料から成る。ここで、画像表示用微粒子(電気泳動粒子)51の平均ゼータ電位及び平均粒径は、大塚電子株式会社製ELSZ−2を用いて求めることができる。
【0065】
尚、実施例1において、画像表示用微粒子は、植物由来の材料を原料としており、具体的には、ケイ素(Si)の含有率が5質量%以上である植物由来の材料を原料としている。また、画像表示用微粒子には表面改質処理が施されている。表面改質処理は、具体的には、硝酸処理により表面にカルボキシ基を生成させる化学処理である。そして、硝酸処理により表面にカルボキシ基を生成させるが故に、画像表示用微粒子(電気泳動粒子)51は、分散剤とより一層、結合し易くなり、画像表示用微粒子(電気泳動粒子)51の分散性の向上を図ることができる結果、長期保存時あるいは使用時の電気泳動分散液中における画像表示用微粒子の凝集の発生を減少させることができ、画像表示装置の信頼性の向上、表示応答性の向上を図ることができる。
【0066】
第1基板20及び第2基板30は、厚さ0.7mmのソーダガラスから成る。第1電極21及び第2電極31は、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)から構成された透明電極から成り、スパッタリング法といったPVD法とリフトオフ法との組合せに基づき形成されている。更には、絶縁層22は、無色透明な絶縁性樹脂、具体的には、アクリル樹脂から構成されている。画素(表示セル)は、櫛形電極が占める領域から構成されている。1本の櫛形電極の幅を10μm、櫛形電極と櫛形電極との間のギャップを10μm、第1基板20と第2基板30の間の間隔を10μmとした。
【0067】
実施例1にあっては、分散液(電気泳動粒子分散媒)52として、イソパラフィン系溶剤(エクソンモービル有限会社社製のアイソパーG)を用いた。
【0068】
また、多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子(電気泳動粒子)51を、植物由来の材料を500゜C乃至1400゜Cにて炭素化して多孔質炭素材料(多孔質炭素材料前駆体あるいは炭素質物質)を得る。そして、その後、この多孔質炭素材料前駆体あるいは炭素質物質を酸又はアルカリ(実施例1にあっては酸)で処理する。ここで、酸での処理によって、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去する。尚、植物由来の材料におけるケイ素(Si)の含有率は5質量%以上である。
【0069】
具体的には、実施例1にあっては、画像表示用微粒子の原料である植物由来の材料を米(稲)の籾殻とした。そして、実施例1における画像表示用微粒子は、原料としての籾殻を炭素化して炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に変換し、次いで、酸処理及び硝酸処理を施すことで得られる。尚、実施例1あるいは後述する実施例2にあっては、酸処理後、水蒸気賦活処理及び硝酸処理を施した。
【0070】
実施例1の画像表示用微粒子の製造においては、先ず、粉砕した籾殻(鹿児島県産、イセヒカリの籾殻)に対して、不活性ガス中で加熱処理(予備炭素化処理)を施す。具体的には、籾殻を、窒素気流中において500゜C、5時間、加熱することにより炭化させ、炭化物(多孔質炭素材料前駆体)を得た。次に、この多孔質炭素材料前駆体を46容積%のフッ化水素酸水溶液に一晩浸漬することで酸処理を行った後、水及びエチルアルコールを用いてpH7になるまで洗浄し乾燥させた。そして、粉砕後、この炭化物の10グラムをアルミナ製の坩堝に入れ、窒素気流中(10リットル/分)において5゜C/分の昇温速度で900゜Cまで昇温させた。そして、900゜Cで3時間、水蒸気賦活を施した後、室温まで冷却した。最後に乾燥させることにより、実施例1における画像表示用微粒子(『実施例1Aの画像表示用微粒子』と呼ぶ)を得ることができた。
【0071】
そして、硝酸処理を行う。具体的には、30ミリリットルの濃硝酸に実施例1Aの画像表示用微粒子1.5グラムを加え、スタラーで3日間、攪拌した。その後、300ミリリットルの水に、画像表示用微粒子が加えられた画像表示用微粒子/濃硝酸溶液を徐々に加え、攪拌した。そして、遠心分離機を用いて、この溶液から画像表示用微粒子を遠心分離した。次いで、残留硝酸を除去するため、水を加えて分散させ、遠心分離するといった作業を10回繰り返した。更に、アセトンを加えて画像表示用微粒子を分散させ、遠心分離するといった操作を3回繰り返した後、50゜Cの真空オーブンで一晩乾燥させた。
【0072】
そして、このように硝酸処理を行った画像表示用微粒子(実施例1の画像表示用微粒子)の0.1グラムに、1質量%の分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製:ソルスパース17000)を含むアイソパーG液を9.9グラム加え、ビーズミルを用いて分散させ、黒色の電気泳動分散液を得た。尚、画像表示用微粒子(電気泳動粒子)は負(マイナス)に帯電している。
【0073】
実施例1の画像表示用微粒子について、比表面積、細孔容積、MP法による細孔の容積測定結果、及び、BJH法による細孔の容積を測定したところ、以下の表1に示す結果が得られた。尚、表1中、「比表面積」及び「全細孔容積」は、窒素BET法による比表面積及び全細孔容積の値を指し、単位はm2/グラム及びcm3/グラムである。また、「MP法」、「BJH法」は、MP法による細孔の容積測定結果、BJH法による細孔の容積測定結果を示し、単位はcm3/グラムである。窒素BET法による測定にあっては、また、非局在化密度汎関数法(NLDFT法)に基づく測定にあっては、前処理として、窒素ガスの流量を5リットル/分として、400゜C1時間、乾燥させ、画像表示用微粒子表面の修飾分子を取り外した。更には、実施例1、実施例1A、後述する実施例1B、比較例1A、比較例1Bの画像表示用微粒子について、BJH法及びMP法に基づきメソ細孔及びマイクロ細孔の細孔径の分布を測定した結果を、図4の(A)、(B)、図5の(A)、(B)、図6の(A)、(B)に示す。尚、図4の(A)並びに(B)は、それぞれ、実施例1、並びに、実施例1B及び比較例1Bの画像表示用微粒子におけるBJH法に基づく細孔径分布を表すグラフである。また、図5の(A)並びに(B)は、それぞれ、実施例1A及び比較例1Aの画像表示用微粒子におけるBJH法に基づく細孔径分布、並びに、実施例1の画像表示用微粒子におけるMP法に基づく細孔径分布を表すグラフである。更には、図6の(A)並びに(B)は、それぞれ、実施例1B及び比較例1Bの画像表示用微粒子におけるMP法に基づく細孔径分布、並びに、実施例1及び比較例1Aの画像表示用微粒子におけるMP法に基づく細孔径分布を表すグラフである。また、図7の(A)に、実施例1における多孔質炭素材料の非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果のグラフを示し、実施例1の画像表示用微粒子における赤外スペクトルの分析結果を図8のグラフに示す。
【0074】
[表1]
比表面積 全細孔容積 MP法 BJH法
実施例1 1020 0.96 0.42 0.59
実施例1A 1304 1.23 0.58 0.79
実施例1B 1158 1.07 0.49 0.67
比較例1A 117 1.21 0.00 1.20
比較例1B 125 1.01 0.00 1.11
実施例3 749 0.63 0.47 0.34
比較例3 190 1.10 0.00 1.25
実施例4 789 1.04 0.35 0.78
比較例4 175 1.00 0.00 1.38
【0075】
尚、比表面積及び細孔容積を求めるための測定機器として、BELSORP−mini(日本ベル株式会社製)を用い、窒素吸脱着試験を行った。測定条件として、測定平衡相対圧(p/p0)を0.01〜0.99とした。そして、BELSORP解析ソフトウェアに基づき、比表面積及び細孔容積を算出した。また、メソ細孔及びマイクロ細孔の細孔径分布は、上述した測定機器を用いた窒素吸脱着試験を行い、BELSORP解析ソフトウェアによりBJH法及びMP法に基づき算出した。更には、非局在化密度汎関数法(NLDFT法)に基づく測定にあっては、日本ベル株式会社製自動比表面積/細孔分布測定装置「BELSORP−MAX」を使用し、
解析前提条件 :なし
細孔形状前提条件:シリンダー型
スムージング回数:10回
とした。
【0076】
図7の(A)から、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、実施例1の多孔質炭素材料は、10nm以下に少なくとも1つのピークを有していることが判る。以下の表2に、各種実施例及び比較例における非局在化密度汎関数法によって求められた全細孔容積(単位:cm3/グラム)、及び、50nm以下の範囲内に細孔径を有する細孔の容積に対する10nm以下の範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合(細孔容積割合)を示す。
【0077】
[表2]
全細孔容積 細孔容積割合
実施例1 1.269 0.709
実施例1A 1.657 0.794
実施例1B 1.439 0.572
比較例1A 1.108 0.190×10-5
比較例1B 1.120 0.600×10-4
実施例3 1.438 0.709
比較例3 1.453 0.650×10-3
実施例4 1.747 0.779
比較例4 1.296 0.122×10-3
【0078】
実施例1の画像表示用微粒子について元素分析を行った。尚、元素分析の測定機器としてエネルギー分散型X線分析装置(日本電子株式会社製のJED−2200F)を用い、エネルギー分散法(EDS)により各元素を定量した後、含有率を質量比(質量%)として算出した。測定条件を、走査電圧15kV、照射電流13μAとした。酸処理及び硝酸処理を行った実施例1の画像表示用微粒子においては、ケイ素(Si)、酸素(O)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)及びナトリウム(Na)の含有率が減少していた。中でも、ケイ素(Si)及び酸素(O)の含有率が、著しく減少し、1質量%以下となっていた。そして、籾殻を原料として500゜C〜1400゜Cにて炭素化した後、酸での処理を行うことにより製造された画像表示用微粒子にあっては、ケイ素(Si)の含有率が1質量%以下、マグネシウム(Mg)の含有率が0.01質量%以上、3質量%以下、カリウム(K)の含有率が0.01質量%以上、3質量%以下、カルシウム(Ca)の含有率が0.05質量%以上、3質量%以下となることが確認された。また、リン(P)の含有率が0.01質量%以上、3質量%以下、硫黄(S)の含有率が0.01質量%以上、3質量%以下となることも確認された。尚、その他の元素として、炭素(C)が最も多く、その他の元素の内の90%以上が炭素(C)であった。ここで、ケイ素はアモルファスシリカ成分として籾殻に含まれており、原料である籾殻中のケイ素の含有率は、9.4質量%であった。
【0079】
実施例1の画像表示用微粒子は、ケイ素(Si)及び酸素(O)の含有率が著しく減少していたことから、二酸化ケイ素が炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に多く含まれていたことが示唆された。そして、多孔質炭素材料前駆体を酸で処理することにより、含まれる二酸化ケイ素といったケイ素成分が除去され、比表面積の値の増加に寄与することが示唆された。更には、酸での処理によって、メソ細孔及びマイクロ細孔が増加することが確認された。後述する実施例においても同様である。また、フッ化水素酸水溶液の代わりに、水酸化ナトリウム水溶液といったアルカリ(塩基)にて処理して得られた画像表示用微粒子においても、同様の結果が得られた。
【0080】
実施例1の電気泳動分散液50を用いた画像表示装置にあっては、画像表示部は、電気泳動分散液50の色を反映して黒色であった(図1の(A)の模式的な一部断面図参照)。そして、第1電極21と第2電極31との間に10ボルトの電圧を印加したところ、櫛形電極と櫛形電極との間のギャップの部分及び一方の電極の上方の部分が透明となり、黒色を呈する画像表示用微粒子51が泳動したことが確認できた(図1の(C)の模式的な一部断面図参照)。また、電圧の印加を中止し、暫くすると、画像表示部は黒色となった。更に、再度電圧を印加すると櫛形電極と櫛形電極との間のギャップの部分及び一方の電極の上方の部分が透明となり、画像表示用微粒子51の泳動は可逆的であることが確認された。
【0081】
上述した多孔質炭素材料前駆体に酸処理、水蒸気賦活処理を施した材料を、画像表示用微粒子の製造のための出発物質とした。そして、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム142.8グラムを水300ミリリットルに溶かし、出発物質を0.6グラム加えて、12時間、撹拌した後、濾過し、1リットルの純水で洗浄して得られた画像表示用微粒子(実施例1Bの画像表示用微粒子と呼ぶ)を、濃度が0.005質量%となるように純水で希釈し、ゼータ電位を測定した。その結果、−86.7ミリボルトであった。尚、得られた画像表示用微粒子の平均粒径は164.6nmであった。実施例1Bの画像表示用微粒子の比表面積、全細孔容積、MP法による細孔の容積測定結果、BJH法による細孔の容積測定結果を、表1に示す。また、図7の(B)に、実施例1Bにおける多孔質炭素材料の非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果のグラフを示す。
【0082】
市販の汎用カーボンブラック(三菱化学株式会社製:#20)を比較例1Aとして、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果のグラフを図13の(A)に示す。また、比較例1Aの材料を出発物質として、実施例1Bと同様の操作を行うことで、比較例1Bの画像表示用微粒子を得た。比較例1Bにおいて、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果のグラフを図13の(B)に示す。比較例1A、比較例1Bの比表面積等の測定結果を表1に示す。更には、実施例1Bと同様の方法で、比較例1Bのゼータ電位を測定した結果、+0.71ミリボルトであった。
【実施例2】
【0083】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の画像表示装置の模式的な一部断面図を図2の(A)及び(B)に示す。
【0084】
実施例2の縦電界セル・タイプの画像表示装置510は、対向する2枚の基板520,530間に封止された電気泳動分散液50を有する画像表示装置である。具体的には、第1電極521が設けられた第1基板520、及び、第2電極531が設けられた第2基板530とが、隔壁541を介して所定の間隔で対向して配置されている。尚、画像観察者に対応する側の基板は第2基板530である。第1電極521上には第1絶縁層522が形成され、第2電極531上には第2絶縁層532が形成されている。そして、対向する2枚の基板520,530の間に、具体的には、第1基板520、第2基板530及び隔壁541により仕切られた画素(表示セル)に、電気泳動分散液50が封入されている。尚、参照番号540は封止部材を示す。第2電極531は、複数の画素(表示セル)に対して共通に設けられた共通電極である。一方、第1電極521は、各画素(表示セル)毎に設けられた電極であり、第1基板521に設けられた図示しないスイッチングデバイス(具体的には、薄膜トランジスタ(TFT))によって第1電極521への電圧の印加が制御される。薄膜トランジスタのオン/オフ制御は図示しない駆動回路に基づいて行われ、駆動回路から、行毎に選択信号が印加され、各列に制御信号出力が印加される。このような駆動を画素単位で行うことにより、多数の画素によって任意の画像や文字を表示することができる。ここで、電気泳動分散液50は、実施例1にて説明した電気泳動分散液50から構成されている。尚、画像表示用微粒子について、比表面積及び細孔容積を測定したところ、表3に示す結果が得られた。
【0085】
第1基板520及び第2基板530は、厚さ0.7mmのソーダガラスから成る。また、第2電極531は、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)から構成された透明電極から成り、第1電極521は、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)から成り、スパッタリング法や真空蒸着法といったPVD法とリフトオフ法との組合せに基づき形成されている。更には、第1絶縁層522、第2絶縁層532は、無色透明な絶縁性樹脂、具体的には、アクリル樹脂から構成されている。画素(表示セル)は、感光性樹脂から成る隔壁541で区切られており、隔壁541は、フォトリソグラフィー法によって第1基板520上に形成されており、隔壁541の頂面は、接着剤(図示せず)によって第2基板530に接着されている。隔壁541の高さを50μmとした。画素(表示セル)への電気泳動分散液の充填は、例えば、インクジェット方式によって行う。
【0086】
例えば、第2電極531を接地し、第1電極521に電圧を印加していないときの状態を図2の(A)に示す。また、第1電極521に適切な電圧を印加したとき、1つの画素内において、電気泳動分散液中の画像表示用微粒子51が泳動し、第1電極521に向かって集まり、あるいは、第2電極531に向かって集まる状態を図2の(B)に示す。尚、図2の(B)において、左側2つの画素(表示セル)における第1電極521への印加電圧の極性と、右側2つの画素(表示セル)における第1電極521への印加電圧の極性とは、逆の極性である。これによって、左側2つの画素(表示セル)にあっては、主に、分散液52の色が視認される。一方、右側2つの画素(表示セル)にあっては、画像表示用微粒子51の色である黒色が視認される。
【0087】
以上の点を除き、実施例2の画像表示装置は、実施例1にて説明した画像表示装置と同様の構成とすることができるので詳細な説明は省略する。
【0088】
試験のために、実施例1の電気泳動分散液を等量のアイソパーG液で希釈した電気泳動分散液を用い、第1基板と第2基板の間隔が50μm、電極、全体の面積が1.0cm2の画像表示装置において、電極521,531に1Hz、±100ボルトの三角波の電圧を印加したところ、図9の(A)に示すような電圧−電流曲線が得られた。尚、図9の(A)、あるいは又、後述する図9の(B)、図10における横軸は第1電極への印加電圧(単位:ボルト)であり、第2電極は接地されている。また、縦軸は第1電極と第2電極との間に流れる電流(単位:×10-6アンペア)である。この測定を10回、繰り返したが同じ結果が得られた。この結果は、画像表示用微粒子51が電極に向かって泳動していること、しかも、泳動は可逆的であることを示している。
【0089】
比較例2Aとして、市販の酸化カーボンブラック(三菱化学株式会社製:MA220)の0.1グラムに、1質量%の分散剤(ソルスパース17000)を含むアイソパーG液を9.9グラム加え、ビーズミルを用いて分散させ、黒色の電気泳動分散液を得た。この電気泳動分散液を用い、実施例2と同様の画像表示装置において、電極521,531に1Hz、±80ボルトの三角波の電圧を印加したところ、図9の(B)に示すような電圧−電流曲線が得られた。この測定を10回、繰り返したところ、測定毎に異なる電圧−電流曲線が得られ、ついには、酸化カーボンブラックの凝集に起因した電極間の短絡が発生した。このような現象は、実施例2における画像表示用微粒子51と比較して、酸化カーボンブラックにおけるBJH法及びMP法による細孔の容積の値の相違、酸化カーボンブラックの表面状態の相違に起因していると考えられる。
【0090】
また、比較例2Bとして、比較例1Aとして使用した市販の汎用カーボンブラック(三菱化学株式会社製:#20)に対して、実施例1と同様に硝酸処理を行い、このカーボンブラックの0.1グラムに、1質量%の分散剤(ソルスパース17000)を含むアイソパーG液を9.9グラム加え、ビーズミルを用いて分散させ、黒色の電気泳動分散液を得た。この電気泳動分散液を用い、実施例2と同様の画像表示装置において、電極521,531に1Hz、±80ボルトの三角波の電圧を印加したところ、図10に示すような電圧−電流曲線が得られた。即ち、電圧−電流曲線はほぼ図10のY軸と重なっており、1回目の測定で短絡が生じてしまった。このことは、比較例2Bにおいては、カーボンブラックの分散性が不良であるか、又は、1回の電気泳動でカーボンブラックが凝集してしまったことを示している。また、比較例2Bにて得られた黒色の電気泳動分散液を用いて実施例1にて説明した画像表示装置を作製し、第1電極521と第2電極531との間に10ボルトの電圧を印加したところ、櫛形電極と櫛形電極との間のギャップの部分が透明とはならなかった。
【0091】
[表3]
比表面積 平均粒径
実施例2 1012 0.5μm
比較例2A 74 55nm
比較例2B 115 50nm
【0092】
尚、実施例2の画像表示装置を、横電界タイプとすることもできる。このような実施例2の画像表示装置の変形例510Aの模式的な一部断面図を図3の(A)及び(B)に示す。
【0093】
この実施例2の画像表示装置の変形例510Aにあっては、第2基板530、並びに、第1電極521及び第2電極531が設けられた第1基板520とが、隔壁541を介して所定の間隔で対向して配置されている。第1基板520上に、第2電極531、第2絶縁層532、第1電極521、第1絶縁層522が、順次、形成されている。尚、図示しないが、第1基板520上に、第1電極521、第1絶縁層522、第2電極531、第2絶縁層532が、順次、形成された構成としてもよい。そして、対向する2枚の基板520,530の間に、具体的には、第1基板520、第2基板530及び隔壁541により仕切られた画素(表示セル)に、電気泳動分散液50が封入されている。
【0094】
例えば、第2電極531を接地し、第1電極521に電圧を印加していないときの状態を図3の(A)に示す。また、第1電極521に適切な電圧を印加したとき、1つの画素内において、電気泳動分散液中の画像表示用微粒子51が泳動し、第1電極521に向かって集まり、あるいは、第2電極531に向かって集まる状態を図3の(B)に示す。尚、図3の(B)において、左側2つの画素(表示セル)における第1電極521への印加電圧の極性と、右側2つの画素(表示セル)における第1電極521への印加電圧の極性とは、逆の極性である。これによって、左側2つの画素(表示セル)と右側2つの画素(表示セル)とにおける画像表示用微粒子51の配列パターンが異なり、画像として認識することができる。尚、この例にあっては、分散液52の色は透明である。
【0095】
あるいは又、電気泳動分散液をマイクロカプセルに閉じ込める構造を採用してもよい。係る構造、それ自体は周知であるので説明は省略する。
【実施例3】
【0096】
実施例3にあっては、正電荷を有する画像表示用微粒子を製造した。具体的には、実施例1において説明した多孔質炭素材料前駆体に酸処理、水蒸気賦活処理を施した材料を、画像表示用微粒子の製造のための出発物質とした。そして、この出発物質0.3グラムをケイ酸ナトリウム1%溶液100グラムに加え、超音波処理を30分間施した。そして、得られた混合物を温度90゜C乃至95゜Cまで加熱し、2時間かけて、0.22モル/リットルの硫酸15ミリリットルを加えた。その後、4モルの硫酸4ミリリットルを加えて1時間、撹拌した後、遠心分離を行い、水:エタノール=1:10を用いた分散及び遠心分離を2度行った。そして、得られた固形物に、水:エタノール=1:10溶液300ミリリットルを加え、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N’−(4−ビニルベンジル)エチレンジアミン塩酸塩4グラムを加えて、7分間、撹拌した。その後、溶液の遠心分離を行い、得られた固形物にエタノールを加えて分散させ、再び遠心分離を行うという作業を2度繰り返した。続いて、固形物を減圧下で室温24時間、70゜Cで2時間、乾燥させた。こうして得られた材料を300ミリリットルの酢酸エチルに溶解し、メタクリル酸2−エチルへキシル4グラムを加えて、50゜Cまで加熱し、1時間、撹拌した。その後、AIBN[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)]を0.1グラム加えて、65゜Cまで加熱し、7時間撹拌した。そして、得られた溶液の遠心分離を行い、酢酸エチルを用いた分散及び遠心分離を2度繰り返し、固形物を減圧下で室温、24時間、70゜Cで2時間、乾燥させ、実施例3の画像表示用微粒子を得た。比較例1Aとして使用した市販の汎用カーボンブラック(三菱化学株式会社製:#20)を出発物質として、実施例3と同様の工程を経て得られた画像表示用微粒子を比較例3とした。
【0097】
実施例3、比較例3の画像表示用微粒子の比表面積、全細孔容積、MP法による細孔の容積測定結果、BJH法による細孔の容積測定結果を表1に示す。また、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果を図11の(A)に示し、TG−DTA曲線を図12の(A)に示す。尚、比較例3及び後述する比較例4の画像表示用微粒子における非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果を図14の(A)及び(B)に示し、更には、比較例3及び後述する比較例4の画像表示用微粒子におけるTG−DTA曲線を、それぞれ、図15の(A)及び(B)に示し、参考までに、実施例1における酸処理及び水蒸気賦活処理を行った画像表示用微粒子(硝酸処理は施していない)、及び、比較例1Aの画像表示用微粒子におけるTG−DTA曲線を、それぞれ、図16の(A)及び(B)に示す。
【0098】
大気雰囲気下でTG−DTA曲線を求め、TG−DTA曲線における各質量減少率を以下のとおりとするとき、多孔質炭素材料等に対する有機分子修飾率を以下の式から求めた。実施例3の画像表示用微粒子における有機分子修飾率は32.0%であり、比較例3は6.2%であった。
【0099】
有機分子修飾率=MR21/MR22−MR11/MR12
MR21:表面改質処理後の試料での100゜Cから470゜Cまでにおける質量減少率)
MR22:表面改質処理後の試料での470゜Cから800゜Cまでにおける質量減少率
MR11:表面改質処理前の試料での100゜Cから470゜Cまでにおける質量減少率
MR12:表面改質処理前の試料での470゜Cから800゜Cまでにおける質量減少率
【0100】
ソルスパース17000が25質量%、実施例3の画像表示用微粒子が2質量%となるようにアイソパーG液を調製し、ホモジナイザーで2時間攪拌した後、遠心分離を行い、上澄み液(電気泳動分散液)を回収した。そして、上澄み液を1000分の1に希釈してゼータ電位を測定したところ、+47.87ミリボルトであった。また、比較例3の画像表示用微粒子に対してゼータ電位を測定したところ、−9.27ミリボルトであった。
【実施例4】
【0101】
実施例4にあっては、実施例3と同じ出発物質を用いて、以下に説明する方法で画像表示用微粒子を調製した。即ち、純水150ミリリットルに、出発物質0.6グラム、4−ビニルアニリン0.15グラム、2モルのHCl0.9ミリリットルを添加し、撹拌しながら40゜Cまで加熱した。続いて、純水10ミリリットルに0.087グラムの亜硝酸ナトリウムを溶解した溶液を加えて、16時間、撹拌した。そして、反応が終了した溶液の遠心分離を行い、アセトンを用いた固形物の分散及び遠心分離による沈殿という作業を2度繰り返した。その後、固形物を減圧下で室温24時間、70゜Cで2時間、乾燥させた。こうして得られた材料を300ミリリットルの酢酸エチルに溶かし、メタクリル酸2−エチルへキシル4グラムを加えて50゜Cまで加熱し、1時間、撹拌した。次いで、AIBNを0.1グラム添加し、65゜Cまで加熱して、7時間、撹拌した。その後、得られた溶液の遠心分離を行い、酢酸エチルを用いた分散及び遠心分離を2度繰り返した。次いで、得られた固形物を減圧下で室温24時間、70゜Cで2時間、乾燥させることで、実施例4の画像表示用微粒子を得た。また、比較例1Aとして使用した市販の汎用カーボンブラック(三菱化学株式会社製:#20)を出発物質として、実施例4と同様の工程を経て得られた画像表示用微粒子を比較例4とした。実施例4の画像表示用微粒子における有機分子修飾率は14.0%であり、比較例4は3.2%であった。
【0102】
実施例4の画像表示用微粒子が2質量%、ソルスパース17000が10質量%、トリデジルアミンが5質量%となるようにアイソパーG液を調製し、ホモジナイザーで4時間、撹拌し、遠心分離を行い、上澄み液(電気泳動分散液)を回収した。得られた上澄み液(電気泳動分散液)のゼータ電位を測定したところ、+36.26ミリボルトであった。実施例4の画像表示用微粒子の比表面積、全細孔容積、MP法による細孔の容積測定結果、BJH法による細孔の容積測定結果は、実施例3の画像表示用微粒子における測定結果を同じであった。非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布の測定結果を図11の(B)に示し、TG−DTA曲線を図12の(B)に示す。また、比較例4の画像表示用微粒子に対してゼータ電位を測定したところ、−5.14ミリボルトであった。
【0103】
以上、好ましい実施例に基づき本発明を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。実施例にあっては、画像表示用微粒子の原料として、籾殻、藁、葦あるいは茎ワカメを用いる場合について説明したが、他の植物を原料として用いてもよい。ここで、他の植物として、例えば、陸上に植生する維管束植物、シダ植物、コケ植物、藻類及び海草等を挙げることができ、これらを、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。また、実施例において説明した画像表示用微粒子の構成、構造、画像表示用微粒子の製造方法、電気泳動分散液、画像表示装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【0104】
また、本発明における画像表示用微粒子に関して、窒素BET法に基づく比表面積や種々の元素の含有率等について適切な範囲を説明したが、その説明は、比表面積の値や種々の元素の含有率等が上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。即ち、上記の適切な範囲は、あくまでも本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲であり、本発明の効果が得られるのであれば、比表面積の値等が上記の範囲から多少外れてもよい。画像表示用微粒子、電気泳動分散液、画像表示装置における画像表示用微粒子の出発物質は、植物由来の材料に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0105】
10,510,510A・・・画像表示装置、20,521・・・第1基板、21,522・・・第1電極、22,522,532・・・絶縁層、30,530・・・第2基板、31,531・・・第2電極、40,540・・・封止部材、541・・・隔壁、50・・・電気泳動分散液(電気泳動粒子分散液)、51・・・画像表示用微粒子(電気泳動粒子)、52・・・分散液(電気泳動粒子分散媒)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散され、画像を表示する画像表示用微粒子であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子。
【請求項2】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散され、画像を表示する画像表示用微粒子であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子。
【請求項3】
植物由来の材料を原料としている請求項1又は請求項2に記載の画像表示用微粒子。
【請求項4】
表面改質処理が施されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像表示用微粒子。
【請求項5】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散され、画像を表示する画像表示用微粒子であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、平均粒径が1×10-8m以上、2×10-4m以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子。
【請求項6】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散され、画像を表示する画像表示用微粒子であって、
ゼータ電位の絶対値が10ミリボルト以上、200ミリボルト以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子。
【請求項7】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散され、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、画像を表示する画像表示用微粒子の製造方法であって、
植物由来の材料を500゜C乃至1400゜Cにて炭素化する画像表示用微粒子の製造方法。
【請求項8】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液中に分散され、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成り、画像を表示する画像表示用微粒子の製造方法であって、
植物由来の材料を500゜C乃至1400゜Cにて炭素化する画像表示用微粒子の製造方法。
【請求項9】
炭素化の後、賦活処理を施す請求項7又は請求項8に記載の画像表示用微粒子の製造方法。
【請求項10】
画像表示用微粒子は植物由来の材料を原料としている請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の画像表示用微粒子の製造方法。
【請求項11】
対向する2枚の基板間に封止され、画像を表示する電気泳動分散液であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散させた分散液から構成された電気泳動分散液。
【請求項12】
対向する2枚の基板間に封止され、画像を表示する電気泳動分散液であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散させた分散液から構成された電気泳動分散液。
【請求項13】
画像表示用微粒子は植物由来の材料を原料としている請求項11又は請求項12に記載の電気泳動分散液。
【請求項14】
画像表示用微粒子には表面改質処理が施されている請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の電気泳動分散液。
【請求項15】
対向する2枚の基板間に封止され、画像を表示する電気泳動分散液であって、
窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、平均粒径が1×10-8m以上、2×10-4m以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散させた分散液から構成された電気泳動分散液。
【請求項16】
対向する2枚の基板間に封止され、画像を表示する電気泳動分散液であって、
ゼータ電位の絶対値が10ミリボルト以上、200ミリボルト以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散させた分散液から構成された電気泳動分散液。
【請求項17】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液を有する画像表示装置であって、
電気泳動分散液は、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、MP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散させた分散液から構成されている画像表示装置。
【請求項18】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液を有する画像表示装置であって、
電気泳動分散液は、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、10nm以下に少なくとも1つのピークを有する多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散させた分散液から構成されている画像表示装置。
【請求項19】
画像表示用微粒子は植物由来の材料を原料としている請求項17又は請求項18に記載の画像表示装置。
【請求項20】
画像表示用微粒子には表面改質処理が施されている請求項17乃至請求項19のいずれかに1項に記載の画像表示装置。
【請求項21】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液を有する画像表示装置であって、
電気泳動分散液は、窒素BET法による比表面積の値が100m2/グラム以上、平均粒径が1×10-8m以上、2×10-4m以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散させた分散液から構成されている画像表示装置。
【請求項22】
対向する2枚の基板間に封止された電気泳動分散液を有する画像表示装置であって、
電気泳動分散液は、ゼータ電位の絶対値が10ミリボルト以上、200ミリボルト以下である多孔質炭素材料から成る画像表示用微粒子、並びに、画像表示用微粒子を分散させた分散液から構成されている画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−22295(P2012−22295A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82692(P2011−82692)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】