説明

画像表示素子、および画像表示装置

【課題】混色が少なく高品質な表示ができる画像表示素子、および該画像表示素子を備えた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】開口面を有し電気泳動液が内包されたセルと、前記電気泳動液に対して電位をそれぞれ独立に制御可能であり、並べて配置されてなる第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2と、該第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2に対向して配置されてなる透明な第3の電極3と、を備え、前記第1の駆動用電極1と、前記第2の駆動用電極2と、を異なる電圧に保持したときの電界分布が、前記セルの開口面内において、回転対称となることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動液を用いた画像表示素子及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の発達に伴い、書類作成等の情報の処理をコンピュータ上で行うようになり、文字、静止画、動画等を表示するCRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ等の表示用端末上で文章を読む機会が大幅に増えている。表示用端末は、デジタルデータを瞬時に表示し、書き換えることができるが、携帯することが困難である。また、自発光デバイスであるため、長時間の作業で眼が疲労すること、電源をオフにすると表示できないこと等の問題がある。
【0003】
一方、文字、静止画等を、配布したり、保存したりするときは、プリンターを用いて、紙媒体に記録される。紙媒体を用いると、多重散乱による反射を見ることになるので、自発光デバイスより視認性がよく、眼が疲労しにくい。また、紙媒体は、軽量であるため、携帯することができ、自由な姿勢で読むことができる。しかしながら、紙媒体は、使用後に廃棄されるという問題がある。このとき、一部の紙媒体は、リサイクルされるが、このためには、多くの労力と費用が必要となる。
【0004】
このような表示用端末と紙媒体の両方の長所を併せ持つ画像表示媒体としては、高分子分散型液晶、双安定性コレステリック液晶、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子等を用いた画像表示素子が知られている。これらの画像表示素子は、反射表示型で明るい表示ができ、メモリ性があることから注目されている。中でも、電気泳動素子を用いた画像表示素子は、表示品質、表示動作時の消費電力の点で優れている。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2009−9092号公報)では、カラー反射ディスプレイが提案されている。溶媒中に光学特性及び帯電特性が異なる3種類の分散粒子が分散した電気泳動液、詳しくは第1の分散粒子は電荷がなく、第2の分散粒子は電荷が正の電気泳動粒子であり、第3の分散粒子は電荷が負の電気泳動粒子である電気泳動液を内包したセルがあり、そのセルの表示面側に透明電極、表示面の反対側に2個の電極を配置している。第1および第2の色表示は、セルの表示面側の透明電極に第2の電気泳動粒子あるいは第3の電気泳動粒子を引き寄せ、それぞれの粒子の色を表示する。第3の色表示は、2個の電極に異なる極性の電圧を印可し、それぞれの電極に第2の正の電気泳動粒子、第3の負の電気泳動粒子を引き寄せ、電荷のない第1の分散粒子の色を表示する。
【0006】
次に、特許文献2(特表2006−520012号公報)のカラー反射ディスプレイにおいては、着色された非極性溶媒中に光学特性が白色の帯電粒子が分散している電気泳動液と、黒色に着色された底部の2電極により、白表示、黒表示、非極性溶媒の色表示を行っている。第1の色表示は、表示面側の透明電極に白色の粒子を引き寄せ白表示を行う。第2の色表示は、底部の2電極に白粒子を引き寄せ、白色粒子の散乱を利用して非極性溶媒の色表示を行う。第3の色表示は、底部の2電極の外側の電極に白粒子を引き寄せ、中心の黒色電極の吸収を利用して黒表示を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで特許文献1においては、表示面に対し反対側に配置された2個の電極間で粒子の移動を行っているが、特に第3の色表示を行うときに、2電極を異なる電位に保持し正および負帯電粒子をそれぞれの電極に引き寄せる必要がある。しかしながら、セルを2分割するように2個の電極が配置されているため、セルの開口面(色表示面)における電界の面内の分布が電極の分割方向に発生し、その電界の面内分布に沿って粒子の偏りが発生する。これにより、2電極に正および負帯電粒子が保持されずに、溶媒中へ粒子の拡散が発生し、正あるいは負帯電粒子の色が混色した第3の色表示となるという問題がある。
本発明は、上記の問題を解決し、混色が少なく高品質な表示ができる画像表示素子、および該画像表示素子を備えた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る画像表示素子、および画像表示装置は、具体的には下記(1)〜(8)に記載の技術的特徴を有する。
【0009】
(1):開口面を有し電気泳動液が内包されたセルと、前記電気泳動液に対して電位をそれぞれ独立に制御可能であり、並べて配置されてなる第1の駆動用電極および第2の駆動用電極と、該第1の駆動用電極および第2の駆動用電極に対向して配置されてなる透明な第3の電極と、を備え、前記第1の駆動用電極と、前記第2の駆動用電極と、を異なる電圧に保持したときの電界分布が、前記セルの開口面内において、回転対称となることを特徴とする画像表示素子である。
【0010】
上記(1)に記載の構成とすることで、粒子がセル内で対称的に移動することにより2電極(第1の駆動用電極および第2の駆動用電極)に正および負帯電粒子を保持することができる。
【0011】
(2):前記セルの開口面の形状が回転対称であり、前記第1の駆動用電極の形状は、前記セルの開口面の形状と同じ回転対称であり、前記セルの開口面の回転対称の中心と、前記第1の駆動用電極の回転対称の中心と、が一致し、前記第2の駆動用電極は、第1の駆動用電極を囲むように配置されてなると共に、幅が一定であることを特徴とする上記(1)に記載の画像表示素子である。
【0012】
上記(2)に記載の構成とすることで、第1の駆動用電極および第2の駆動用電極を異なる電圧に保持したときの電界分布が、電気泳動液が内包されたセルの開口面内において、回転対称とすることができる。
【0013】
(3):前記セルの開口面の形状が回転対称であり、前記第1の駆動用電極の形状は、回転対称であり、前記セルの開口面の回転対称の中心と、前記第1の駆動用電極の回転対称の中心と、が一致し、前記第2の駆動用電極は、前記第1の電極を挟むように対となって配置されてなると共に、幅が一定であることを特徴とする上記(1)に記載の画像表示素子である。
【0014】
上記(3)に記載の構成とすることで、第1の駆動用電極および第2の駆動用電極を異なる電圧に保持したときの電界分布が、電気泳動液が内包されたセルの開口面内において、回転対称とすることができる。
【0015】
(4):前記第1の駆動用電極の面積Aと、前記第2の駆動用電極の面積Aとは、A≦0.5Aの関係を満たすことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の画像表示素子である。
【0016】
上記(4)に記載の構成とすることで、2個の駆動用電極(第1の駆動用電極および第2の駆動用電極)を異なる電位に保持したとき、正および負帯電粒子をそれぞれの電極に集積することができる。
【0017】
(5):前記セル内に内包された電気泳動液は、非極性溶媒中に光学特性および帯電特性が異なる3種類の分散性粒子が分散されてなり、第1の分散性粒子は、電荷がなく、第2の分散性粒子は、電荷が正の電気泳動粒子であり、第3の分散性粒子は、電荷が負の電気泳動粒子であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の画像表示素子である。
【0018】
上記(5)に記載の構成とすることで、2個の駆動用電極(第1の駆動用電極および第2の駆動用電極)を異なる電位に保持したとき、第2の分散性粒子および第3の分散性粒子をそれぞれの電極に集積し、第1の分散性粒子の色を表示することができる。
【0019】
(6):前記セル内に内包された電気泳動液は、着色透明の非極性溶媒中に帯電特性が異なる3種類の分散性粒子が分散されてなり、第1の分散性粒子は、光学特性が白色で正または負の電荷の電気泳動粒子であり、第2の分散性粒子は、光学特性が黒色で前記第1の分散性粒子と逆電荷の電気泳動粒子であり、第3の分散性粒子は、光学特性が白色で電荷がない分散性粒子であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の画像表示素子である。
【0020】
上記(6)に記載の構成とすることで、2個の駆動用電極(第1の駆動用電極および第2の駆動用電極)を異なる電位に保持したとき、第1の分散性粒子および第2の分散性粒子をそれぞれの電極に集積し、着色透明な非極性溶媒の色を表示することができる。
【0021】
(7):前記セル内に内包された電気泳動液は、着色透明の非極性溶媒中に光学特性あるいは帯電特性が異なる3種類の分散性粒子がされてなり、第1の分散性粒子は、光学特性が白色で正または負の電荷の電気泳動粒子であり、第2の分散性粒子は、光学特性が可視光領域の特定波長領域の光を吸収する前記第1の分散性粒子とは逆極性の電荷の電気泳動粒子であり、第3の分散性粒子は、光学特性が白色で前記第2の分散性粒子と同極性の電荷の電気泳動粒子であり、前記着色透明の非極性溶媒の光学特性は、前記第2の分散性粒子が吸収する特定波長領域の光は透過し、それ以外の光は吸収する特性を有することを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の画像表示素子。
【0022】
上記(7)に記載の構成とすることで、2個の駆動用電極(第1の駆動用電極および第2の駆動用電極)を異なる電位に保持したとき、第1の分散性粒子、第2の分散性粒子および第3の分散性粒子がそれぞれ逆電位の電極に集積し、着色透明な非極性溶媒の色あるいは黒色を表示することができる。
【0023】
(8):上記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の画像表示素子を有することを特徴とする画像表示装置である。
【0024】
上記(8)に記載の構成とすることで、色の表示品質が良い画像表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、混色が少なく高品質な表示ができる画像表示素子、および該画像表示素子を備えた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第1の実施の形態の構成例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第2の実施の形態の構成例を示す概略図である。
【図3】本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第3の実施の形態の構成例を示す概略図である。
【図4】本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第4の実施の形態の構成例を示す概略図である。
【図5】本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第5の実施の形態の構成例を示す概略図である。
【図6】本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第6の実施の形態の構成例を示す概略図である。
【図7】本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第7の実施の形態の構成例を示す概略図である。
【図8】本発明に係る画像表示装置の一実施の形態における構成例を示す概略図である。
【図9】本発明に係る画像表示素子の実施の形態Aにおける構成例を示す概略図である。
【図10】比較例の画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の構成を示す概略図である。
【図11】本発明に係る画像表示素子の実施の形態Bにおける構成例を示す概略図である。
【図12】本発明に係る画像表示素子の実施の形態Cにおける構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
《表示素子》
本発明に係る画像表示素子は、開口面を有し電気泳動液が内包されたセルと、前記電気泳動液に対して電位をそれぞれ独立に制御可能であり、並べて配置されてなる第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2と、該第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2に対向して配置されてなる透明な第3の電極3と、を備え、前記第1の駆動用電極1と、前記第2の駆動用電極2と、を異なる電圧に保持したときの電界分布が、前記セルの開口面内において、回転対称となることを特徴とする。
【0028】
ここで、本発明における回転対称について補足説明する。
nを2以上の整数とし、ある中心(2次元図形の場合)または軸(3次元図形の場合)の周りを(360/n)°回転させると自らと重なる性質を、n回対称、またはn相対称、(360/n)度対称といい、そのような対称性を回転対称と一般的に呼んでいる。ただし、nが1のとき、360度して自らと重なるのは自明なので、1回対称は対称性とはみなさない。
【0029】
なお、本発明に係る画像表示素子を構成する材料について以下に例示するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲において種々の公知の材料を用いることができる。
透明導電性材料(第3の電極)としては、ITO、SnO、ZnO/Al等が挙げられる。
電極材料(第1の駆動用電極、第2の駆動用電極)としては、ITO、SnO、ZnO/Al、Au、Ag、Al、Cr等が挙げられる。
セル隔壁材料としては、ポリメタクリル酸メチル、ノボラック樹脂、ポリスチレン等が挙げられる。
電気泳動液が注入されたセルの開口を封止するためのフィルム材料としては、PET、PEN、PES等が挙げられる。また、その際に用いられる封止接着材料としては、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素−ポリウレタン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン等が挙げられる。
【0030】
次に、本発明に係る画像表示素子についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0031】
〔第1の実施の形態〕
本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第1の実施の形態の構成例を図1に示す。
本実施の形態では、電気泳動液を内包するためのセル(隔壁により区画された空間)の開口形状(開口面の形状)が長方形である。このセルが面内に整列されて画像表示素子を構成するが、図1においては1個のセルを示す。図1のセルの開口面は2回対称であり、第1の駆動用電極1も2回対称の長方形であり、それぞれの中心が一致している。その第1の駆動用電極1を囲むように第2の駆動用電極2が4個並べて配置されている。第2の駆動用電極2の幅は全て同じである。このような第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の構成により、それぞれに異なる電位を保持したときのセル開口面での電界分布が、横方向および縦方向において対称となり、2回対称となる。また、駆動用電極の面積は、第2の駆動用電極の面積よりも第1の駆動用電極1の面積を大きくしている。このような面積の関係にすることで、正および負帯電の電気泳動粒子をそれぞれの駆動用電極へ保持しやすくなる。
なお、不図示の透明な第3の電極3は、第1の駆動用電極1及び第2の駆動用電極2に対向して設けられる。(以下に示す実施の形態においても同様である。)
【0032】
〔第2の実施の形態〕
本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第2の実施の形態の構成例を図2に示す。
本実施の形態では、電気泳動液を内包するためのセルの開口形状が長方形である。図2のセルの開口面は2回対称であり、第1の駆動用電極1も2回対称の長方形であり、それぞれの中心が一致している。その第1の駆動用電極1を囲むように第2の駆動用電極2が配置されている。第2の駆動用電極2は中心部分が抜けている長方形の形状をしていて、セルの開口面や第1の駆動用電極1と同様に2回対称であり、回転対称の中心が一致している。この第2の駆動用電極2の幅も一定である。このような第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の構成により、それぞれに異なる電位を保持したときのセル開口面での電界分布が、横方向および縦方向において対称となり、2回対称となる。また、駆動用電極の面積は、第2の駆動用電極の面積よりも第1の駆動用電極1の面積を大きくしている。このような面積の関係にすることで、正および負帯電の電気泳動粒子をそれぞれの駆動用電極へ保持しやすくなる。
【0033】
本発明において第2の駆動用電極2は、図1と図2に示すように、分割されていても、あるいは一体となっていても、どちらであっても良い。
【0034】
〔第3〜5の実施の形態〕
本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第3〜5の実施の形態の構成例を図3、図4、および図5に示す。
図3は3回対称、図4は4回対称、図5は6回対称の例である。これらにおいて、第2の駆動用電極2は一体としているが、図1に示す第1の実施の形態のように分割していても構わない。7回以上の回転対称の場合セルが正七角形以上となり、セルを平面状に配置することが不可能であるので、7回対称以上の例は存在しない。ただし、n=∞回対称の円の場合については本発明の範囲に属するものである。
【0035】
〔第6の実施の形態〕
本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第6の実施の形態の構成例を図6に示す。
本実施の形態では、電気泳動液を内包するためのセルの開口形状が長方形である。図2のセルの開口面は2回対称であり、第1の駆動用電極1も2回対称の長方形であり、それぞれの中心が一致している。その第1の駆動用電極1の図6における左右両側に第2の駆動用電極2が配置されている。このとき、第1の駆動用電極1の図6における上下両側には第2の駆動用電極2は配置されていない。また、第2の駆動用電極2の幅は一定である。このような第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の構成により、それぞれに異なる電位を保持したときのセル開口面での電界分布が、横方向および縦方向において対称となり、2回対称となる。また、駆動用電極の面積は、第2の駆動用電極の面積よりも第1の駆動用電極1の面積を大きくしている。このような面積の関係にすることで、正および負帯電の電気泳動粒子をそれぞれの駆動用電極へ保持しやすくなる。
【0036】
〔第7の実施の形態〕
本発明に係る画像表示素子における一部を構成する第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の第7の実施の形態の構成例を図7に示す。
図6においては、セルの対称性の次数と第1の駆動用電極1の対称性の次数が一致していたが、必ずしも一致しなくても良い。そのような例が図7である。
本実施の形態では、電気泳動液を内包するためのセルの開口形状が正6角形であり、6回対称である。これに対し、第1の駆動用電極1は長方形であり、2回対称である。ただし、それぞれの対称の中心は一致している。その第1の駆動用電極1の図7における左右両側に第2の駆動用電極2が配置されている。このとき、第1の駆動用電極1の図7における上下両側には第2の駆動用電極2は配置されていない。換言すると、第2の駆動用電極2は一対の電極からなり、第1の電極1を所定の一の方向において挟むように対となって配置されてなる。
また、第2の駆動用電極2の幅は一定である。このような第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2の構成により、それぞれに異なる電位を保持したときのセル開口面での電界分布が、横方向および縦方向において対称となり、2回対称となる。
さらに、駆動用電極の面積は、第2の駆動用電極の面積よりも第1の電極の面積を大きくしている。このような面積の関係にすることで、正および負帯電の電気泳動粒子をそれぞれの駆動用電極へ保持しやすくなる。
【0037】
なお、本発明に係る画像表示素子において、第1の駆動用電極の面積Aと、第2の駆動用電極の面積Aとは、A≦0.5Aの関係を満たすことで、第1の駆動用電極と第2の駆動用電極とを異なる電位に保持したとき、正および負帯電粒子をそれぞれの電極に集積することができるため好ましい。
【0038】
《画像表示装置》
図8に、本発明に係る画像表示装置の一実施の形態における構成例を示す。
図8の画像表示装置100は、画像表示媒体としての画像表示素子11、画像表示媒体に画像情報を入力する情報入力手段12、筺体13、駆動回路(不図示)、演算回路(不図示)、内部メモリ(不図示)、画像表示媒体11及び情報入力手段12に電力を供給する電力供給手段(不図示)等を備えている。画像表示素子11には、上述した本発明の画像表示素子のいずれかを用いる。
画像表示装置100は、画像表示媒体11の指定のピクセルを発色させることにより、画像を表示する。電力供給手段としては、電池等の内部電力を備えていてもよいし、外部の電源から受電するコンセント等の受電装置を備えていてもよい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例および比較例により、さらに具体的に説明する。なお、本発明は以下に示す例に何ら限定されるものではない。
【0040】
〔実施例1〕
図9に、本発明に係る画像表示素子の実施の形態Aにおける構成例を示す。画像表示素子は複数のセルから構成され、その中の1セルの断面図が図9となる。
透明な第3の電極3が形成された透明基板4と、第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2が所定の間隔を隔てて形成された薄膜トランジスタ基板5とが、電気泳動液および隔壁7を介して、対向して配置されている。
セル内に内包された電気泳動液が、非極性溶媒6中に光学特性および帯電特性が異なる3種類の分散性粒子(8,9,10)が分散した電気泳動液である。第1の分散性粒子8は電荷がなく、白色である。第2の分散性粒子9は電荷が正の電気泳動粒子であり、黒色である。第3の分散性粒子10は電荷が負の電気泳動粒子であり、マゼンタ色である。ただし、各分散粒子の色は他の色でも良く、本発明は実施例1の態様に限定されるものではない。
【0041】
第1の分散性粒子8として白色のポリビニルナフタレン粒子、第2の正帯電分散粒子9として黒色のカーボンブラック、第3の負帯電分散性粒子10として赤色のディスパースレッド粒子を用いた。ポリビニルナフタレン粒子は、2−ビニルナフタレンをIsoparG(商品名:エクソンモービル製、イソパラフィン系炭化水素)中で、シリコンマクロモノマーを分散剤に用いて分散重合を行い、微粒子を生成した。カーボンブラックは、表面にアミノ基含有ポリマーをヘテロ凝集させ、表面改質を行った。なおアミノ基含有ポリマーは、メタクリル酸ジメチルアミノエチルとシリコンマクロマーを共重合させたポリマーなどを用いることができる。ディスパースレッド粒子は、予めIsoparG、ラウリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート、メタクリル酸、過酸化物系重合開始剤を攪拌した溶液中とディスパースレッド粒子とを混合し、ボールミルで分散を行ない、表面処理を行った。
【0042】
作製したポリビニルナフタレン粒子、カーボンブラック、ディスパースレッド粒子を用いて電気泳動液を作製した。電荷制御剤としてSolsperse17000(商品名:アビシア社製)、分散制御のための界面活性剤としてソルビタントリオレエートを用いた。溶媒は、非極性溶媒のIsoparG(商品名:エクソンモービル製、イソパラフィン系炭化水素)を用い無色溶媒とした。電気泳動液の配合比を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
図4に示す構成の電気泳動液を内包するためのセルを作製した。TFT回路が形成された基板上に第1の駆動用電極1の辺の長さが200μm、第2の駆動用電極2の内側の辺の長さが230μm、外側の辺の長さが270μmとなる電極をAgで形成した。この基板上にセルをSU−8(商品名:化薬マイクロケム製)を用いて、フォトレジストプロセスで作製した。セルのサイズは、開口部が275×275μm、隔壁7の厚みが25μm、高さが70μmとなるように作製した。このとき、第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2との面積の比は約2:1となる。
【0045】
作製したセル内に予め作製しておいた上記表1の電気泳動液を注液し、第3の透明電極3としてのITO膜が形成されたPETフィルムで封止を行った。封止は、予めITO膜面上に紫外線硬化接着剤を塗布しておき、電気泳動液が注液されたセル上に被せ、紫外線を照射して接着を行った。
作製した画像表示素子は、セルが正方格子に配列し、セル間のピッチが300μm、表示部のサイズが約1×1cmとした。
【0046】
作製した画像表示素子の1セルの動作について説明する。
図9(a)に黒表示の模式図を示す。第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2とに+15Vの電圧をかける。正帯電の第2の分散性粒子9が表示面側の第3の透明電極3へ移動し、黒表示となる。同様にして、赤表示は第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2とに−15Vの電圧をかけ、負帯電の第3の分散性粒子10が表示面側の第3の透明電極3へ移動し、赤表示となる。
【0047】
次に、第1の分散性粒子8の色を表示する方法について説明する。
図9(a)の黒表示の状態から、第1の駆動用電極1を+15Vから0Vにし、第3の分散性粒子10を第2の駆動用電極2へ移動させる。このとき、第2の分散性粒子9は第3の透明電極3から離れた状態となる。(図9(b)参照。)さらに、第2の駆動用電極2の電圧を+15Vから+10Vにし、第1の駆動用電極1を0Vから−10Vにし、第2の分散性粒子9を第1の駆動用電極1へ移動させる。第1の分散性粒子8が白色で光が散乱するので、白色の表示となる。(図9(c)参照。)
【0048】
〔比較例〕
実施例1の電気泳動液を以下に示すセルを用いたときの白表示を実施例1と比較する。
図10に示す構成の電気泳動液を内包するためのセルを作製した。TFT回路が形成された基板上に第1の駆動用電極1が270×125μm、第2の駆動用電極2も270×125μmとなる電極をAgで形成した。この基板上にセルをSU−8(商品名:化薬マイクロケム製)を用いて、フォトレジストプロセスで作製した。セルのサイズは、開口部が275×275μm、隔壁7の厚みが25μm、高さが70μmとなるように作製した。
【0049】
作製したセル内に予め作製しておいた表1の電気泳動液を注液し、第3の透明電極3としてITO膜が形成されたPETフィルムで封止を行った。封止は、予めITO膜面上に紫外線硬化接着剤を塗布しておき、電気泳動液が注液されたセル上に被せ、紫外線を照射して接着を行った。
【0050】
作製した画像表示素子は、セルが正方格子に配列し、セル間のピッチが300μm、表示部のサイズが約1×1cmとした。
【0051】
実施例1の白表示と同様な手順で白表示を行った。黒表示の状態から、第1の駆動用電極1を+15Vから0Vにし、第3の分散性粒子10を第2の駆動用電極2へ移動させる。次に、第2の駆動用電極2の電圧を+15Vから+10Vにし、第1の駆動用電極1を0Vから−10Vにし、第2の分散性粒子9を第1の駆動用電極1へ移動させる。
【0052】
比較例においては、白表示のとき表示面内の方向の電界に非対称が発生する。セルを顕微鏡で観察したところ、第2の分散性粒子9および第3の分散性粒子10が第1の駆動用電極1および第2の駆動用電極2に安定して保持されず、セル内で分散性粒子の対流が確認された。この対流のため、黒および赤が混色した白表示となる。1×1cmの表示部内の全てのセルを白表示としたときの白反射率が約30〜35%となる。
これに対し、実施例1では比較例で発生している電気泳動液の対流は観察されず、白色表示時に黒あるいは赤の混色は減少している。1×1cmの表示部内の全てのセルを白表示としたときの白反射率が約40〜45%となる。
【0053】
〔実施例2〕
図11に、本発明に係る画像表示素子の実施の形態Bにおける構成例を示す。画像表示素子は複数のセルから構成され、その中の1セルの断面図が図11となる。
透明な第3の電極3が形成された透明基板4と、第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2とが所定の間隔を隔てて形成された薄膜トランジスタ基板5が、電気泳動液および隔壁7を介して、対向して配置されている。
【0054】
セル内に内包された電気泳動液が、着色透明の非極性溶媒6中に帯電特性が異なる3種類の分散性粒子(8,9,10)が分散した電気泳動液である。第1の分散性粒子8は光学特性が白色で、負電荷の電気泳動粒子である。第2の分散性粒子9は光学特性が黒色で、正電荷の電気泳動粒子である。第3の分散性粒子10は光学特性が白色で、電荷がない分散性粒子である。更に非極性溶媒6は、青色に染料で着色されている。ただし、染料の色は他の色でも良く、本発明は実施例2の態様に限定されるものではない。
【0055】
第1の負帯電分散性粒子8として酸化チタン粒子、第2の正帯電分散性粒子9としてカーボンブラック、第3の分散性粒子10として白色のポリビニルナフタレン粒子を用いた。酸化チタン粒子は、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルで表面処理後、メタクリル酸ラウリルを酸化チタン粒子表面にグラフト重合処理を行った。カーボンブラックは、表面にアミノ基含有ポリマーをヘテロ凝集させ、表面改質を行った。アミノ基含有ポリマーは、メタクリル酸ジメチルアミノエチルとシリコンマクロマーを共重合させたポリマーなどを用いた。ポリビニルナフタレン粒子は、2−ビニルナフタレンをIsoparG(商品名:エクソンモービル製、イソパラフィン系炭化水素)中で、シリコンマクロモノマーを分散剤に用いて分散重合を行い、微粒子を生成した。
【0056】
作製したポリビニルナフタレン粒子、カーボンブラック、酸化チタン粒子を用いて電気泳動液を作製した。電荷制御剤としてSolsperse17000(商品名:アビシア社製)、分散制御のための界面活性剤としてソルビタントリオレエートを用いた。溶媒は、非極性溶媒のIsoparG(商品名:エクソンモービル製、イソパラフィン系炭化水素)を用い、オイルブルーNで青色に着色して青色着色溶媒(6)とした。電気泳動液の配合比を下記表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
図4に示す構成の電気泳動液を内包するためのセルを作製した。TFT回路が形成された基板上に第1の駆動用電極1の辺の長さが200μm、第2の駆動用電極2の内側の辺の長さが230μm、外側の辺の長さが270μmとなる電極をAgで形成した。この基板上にセルをSU−8(商品名:化薬マイクロケム製)を用いて、フォトレジストプロセスで作製した。セルのサイズは、開口部が275×275μm、隔壁の厚みが25μm、高さが70μmとなるように作製した。このとき、第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2との面積の比は約2:1となる。
【0059】
作製したセル内に予め作製しておいた上記表2の電気泳動液を注液し、第3の透明電極3としてのITO膜が形成されたPETフィルムで封止を行った。封止は、予めITO膜面上に紫外線硬化接着剤を塗布しておき、電気泳動液が注液されたセル上に被せ、紫外線を照射して接着を行った。
作製した画像表示素子は、セルが正方格子に配列し、セル間のピッチが300μm、表示部のサイズが約1×1cmとした。
【0060】
作製した画像表示素子の1セルの動作について説明する。
図11(a)に黒表示の模式図を示す。第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2とに+15Vの電圧をかける。正帯電の第2の分散性粒子9が表示面側の第3の透明電極3へ移動し、黒表示となる。同様にして、白表示は第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2とに−15Vの電圧をかけ、負帯電の第1の分散性粒子8が表示面側の第3の透明電極3へ移動し、白表示となる。
【0061】
次に、青色に着色した非極性溶媒6の色を表示する方法について説明する。
図11(a)の黒表示の状態から、第1の駆動用電極1を+15Vから0Vにし、第1の分散性粒子8を第2の駆動用電極2へ移動させる。このとき、第2の分散性粒子9は第3の透明電極3から離れた状態となる。(図11(b)参照。)さらに、第2の駆動用電極2の電圧を+15Vから+10Vにし、第1の駆動用電極1を0Vから−10Vにし、第2の分散性粒子9を第1の駆動用電極1へ移動させる。第3の分散性粒子10が白色で可視光(400〜700nm)を散乱し、青色に着色した非極性溶媒が500〜700nmの光を吸収するので、青色の表示となる。(図11(c)参照。)
【0062】
〔実施例3〕
図12に、本発明に係る画像表示素子の実施の形態Cにおける構成例を示す。画像表示素子は複数のセルから構成され、その中の1セルの断面図が図12となる。
透明な第3の電極3が形成された透明基板4と、第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2とが所定の間隔を隔てて形成された薄膜トランジスタ基板5が、電気泳動液および隔壁7を介して、対向して配置されている。
【0063】
セル内に内包された電気泳動液が、着色透明の非極性溶媒6中に光学特性あるいは帯電特性が異なる3種類の分散性粒子(8,9,10)が分散した電気泳動液である。第1の分散性粒子8は光学特性が白色で、負電荷の電気泳動粒子である。第2の分散性粒子9は光学特性がシアンで、正電荷の電気泳動粒子である。第3の分散性粒子10は光学特性が白色で、正電荷の電気泳動粒子である。更に非極性溶媒6は、赤色に染料で着色されている。ただし、第2の分散性粒子9の色および染料の色は他の色でも良く、本発明は実施例3の態様に限定されるものではない。
【0064】
第1の負帯電分散性粒子8として酸化チタン粒子、第2の正帯電分散性粒子9としてフタロシアニン顔料、第3の正帯電分散性粒子10として酸化チタン粒子を用いた。負帯電の酸化チタン粒子は、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルで表面処理後、メタクリル酸ラウリルを酸化チタン粒子表面にグラフト重合処理を行った。正帯電のフタロシアニン顔料は、4−ビニルアニリンで表面処理後、2−エチルヘキシルメタクリレートをフタロシアニン顔料表面にグラフト重合処理を行った。正帯電の酸化チタン粒子は、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルで表面処理後、2−エチルヘキシルメタクリレートを酸化チタン粒子表面にグラフト重合処理を行った。
【0065】
作製した負帯電酸化チタン粒子、正帯電フタロシアニン粒子、正帯電酸化チタン粒子を用いて電気泳動液を作製した。電荷制御剤としてSolsperse17000(商品名:アビシア社製)、分散制御のための界面活性剤としてソルビタントリオレエートを用いた。溶媒は、非極性溶媒のIsoparG(商品名:エクソンモービル製、イソパラフィン系炭化水素)を用い、スーダンレッド7Bとオイルレッド5Bで赤色に着色して赤色着色溶媒(6)とした。電気泳動液の配合比を下記表3に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
図6に示す構成の電気泳動液を内包するためのセルを作製した。TFT回路が形成された基板上に第1の駆動用電極1が220×235μm、第2の駆動用電極2が220×25μmとなる電極をAgで形成した。この基板上にセルをSU−8(商品名:化薬マイクロケム製)を用いて、フォトレジストプロセスで作製した。セルのサイズは、開口部が225×325μm、隔壁の厚みが25μm、高さが70μmとなるように作製した。このとき、第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2との面積の比は約4.5:1となる。
【0068】
作製したセル内に予め作製しておいた上記表3の電気泳動液を注液し、第3の透明電極3としてのITO膜が形成されたPETフィルムで封止を行った。封止は、予めITO膜面上に紫外線硬化接着剤を塗布しておき、電気泳動液が注液されたセル上に被せ、紫外線を照射して接着を行った。
作製した画像表示素子は、セルが格子状に配列し、セル間の横ピッチが350μm、縦ピッチが250μm、表示部のサイズが約1×1cmとした。
【0069】
作製した画像表示素子の1セルの動作について説明する。
図12(a)にシアン表示の模式図を示す。第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2とに+15Vの電圧をかける。正帯電の第2の分散性粒子9および第3の分散性粒子10が表示面側の第3の透明電極3へ移動する。このとき、第3の分散性粒子10が白色で可視光(400〜700nm)を散乱し、第2の分散性粒子9が600〜700nmの光を吸収するので、シアン表示となる。
【0070】
図12(b)に白表示の模式図を示す。第1の駆動用電極1と第2の駆動用電極2とに−15Vの電圧をかけ、負帯電の第1の分散性粒子8が表示面側の第3の透明電極3へ移動し、白表示となる。
【0071】
図12(c)に黒表示の模式図を示す。図12(a)のシアン表示の状態から、第1の駆動用電極1を+15Vから0Vにし、第1の分散性粒子8を第2の駆動用電極2へ移動させる。このとき、第2の分散性粒子9および第3の分散性粒子10は第3の透明電極3から離れた状態となる。次に、第2の駆動用電極2の電圧を+15Vから+10Vにし、第1の駆動用電極1を0Vから−10Vにし、第2の分散性粒子9および第3の分散性粒子10を第1の駆動用電極1へ移動させる。第2の分散性粒子9が600〜700nmの光を吸収し、赤色に着色した非極性溶媒が400〜600nmの光を吸収するので、黒色の表示となる。このとき、第1の駆動用電極1の面積が第2の駆動用電極2の面積よりも大きいので、第1の駆動用電極1に保持されている第2の分散性粒子9および第3の分散性粒子10の光学特性がセルの色表示を決定する。
【0072】
図12(d)に赤色に着色した非極性溶媒6の色表示の模式図を示す。
図12(b)の白表示の状態から、第1の駆動用電極1を−15Vから0Vにし、第2および第3の分散性粒子10を第2の駆動用電極2へ移動させる。このとき、第1の分散性粒子8は第3の透明電極3から離れた状態となる。次に、第2の駆動用電極2の電圧を−15Vから−10Vにし、第1の駆動用電極1を0Vから+10Vにし、第1の分散性粒子8を第1の駆動用電極1へ移動させる。第1の分散性粒子8が白色で可視光(400〜700nm)を散乱し、赤色に着色した非極性溶媒6が400〜600nmの光を吸収するので、赤色の表示となる。このとき、第1の駆動用電極1の面積が第2の駆動用電極2の面積よりも大きいので、第1の駆動用電極1に保持されている第1分散性粒子の光学特性がセルの色表示を決定する。
【0073】
以上説明した実施例1〜3および比較例によれば、本発明によって混色が少なく高品質な表示ができる画像表示素子、および該画像表示素子を備えた画像表示装置が得られることが確認された。
【符号の説明】
【0074】
1 第1の駆動用電極
2 第2の駆動用電極
3 第3の透明電極
4 透明基板
5 薄膜トランジスタ基板
6 非極性溶媒
7 隔壁
8 第1の分散性粒子
9 第2の分散性粒子
10 第3の分散性粒子
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2009−9092号公報
【特許文献2】特表2006−520012号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口面を有し電気泳動液が内包されたセルと、
前記電気泳動液に対して電位をそれぞれ独立に制御可能であり、並べて配置されてなる第1の駆動用電極および第2の駆動用電極と、
該第1の駆動用電極および第2の駆動用電極に対向して配置されてなる透明な第3の電極と、を備え、
前記第1の駆動用電極と、前記第2の駆動用電極と、を異なる電圧に保持したときの電界分布が、前記セルの開口面内において、回転対称となることを特徴とする画像表示素子。
【請求項2】
前記セルの開口面の形状が回転対称であり、
前記第1の駆動用電極の形状は、前記セルの開口面の形状と同じ回転対称であり、
前記セルの開口面の回転対称の中心と、前記第1の駆動用電極の回転対称の中心と、が一致し、
前記第2の駆動用電極は、第1の駆動用電極を囲むように配置されてなると共に、幅が一定であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示素子。
【請求項3】
前記セルの開口面の形状が回転対称であり、
前記第1の駆動用電極の形状は、回転対称であり、
前記セルの開口面の回転対称の中心と、前記第1の駆動用電極の回転対称の中心と、が一致し、
前記第2の駆動用電極は、前記第1の電極を挟むように対となって配置されてなると共に、幅が一定であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示素子。
【請求項4】
前記第1の駆動用電極の面積Aと、前記第2の駆動用電極の面積Aとは、A≦0.5Aの関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示素子。
【請求項5】
前記セル内に内包された電気泳動液は、非極性溶媒中に光学特性および帯電特性が異なる3種類の分散性粒子が分散されてなり、
第1の分散性粒子は、電荷がなく、
第2の分散性粒子は、電荷が正の電気泳動粒子であり、
第3の分散性粒子は、電荷が負の電気泳動粒子である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示素子。
【請求項6】
前記セル内に内包された電気泳動液は、着色透明の非極性溶媒中に帯電特性が異なる3種類の分散性粒子が分散されてなり、
第1の分散性粒子は、光学特性が白色で正または負の電荷の電気泳動粒子であり、
第2の分散性粒子は、光学特性が黒色で前記第1の分散性粒子と逆電荷の電気泳動粒子であり、
第3の分散性粒子は、光学特性が白色で電荷がない分散性粒子である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示素子。
【請求項7】
前記セル内に内包された電気泳動液は、着色透明の非極性溶媒中に光学特性あるいは帯電特性が異なる3種類の分散性粒子がされてなり、
第1の分散性粒子は、光学特性が白色で正または負の電荷の電気泳動粒子であり、
第2の分散性粒子は、光学特性が可視光領域の特定波長領域の光を吸収する前記第1の分散性粒子とは逆極性の電荷の電気泳動粒子であり、
第3の分散性粒子は、光学特性が白色で前記第2の分散性粒子と同極性の電荷の電気泳動粒子であり、
前記着色透明の非極性溶媒の光学特性は、前記第2の分散性粒子が吸収する特定波長領域の光は透過し、それ以外の光は吸収する特性を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示素子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示素子を有することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−48227(P2012−48227A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164455(P2011−164455)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】