説明

画像表示装置、プログラム及び画像提供システム

【課題】複数の画像表示区分がある場合でも効率的な読影を可能とする。
【解決手段】画像提供サービスへログインする前に医用画像を取得するため、制御部は画像表示装置の起動時に、登録テーブルに記憶された画像表示区分に対応する医用画像を画像保存装置から取得し、画像記憶部に記憶させる(ステップS18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、プログラム及び画像提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関では、デジタル化した医用画像を画像保存装置に保存し、この保存された医用画像を画像表示装置に配信して読影に供することが行われている。このような画像提供サービスはPACS(Picture Archiving and Communication System)と呼ばれる画像提供システムにより実現されている。PACSでは医用画像が撮影された患者の一覧リストを作成し、このリストから患者を選択することにより読影対象の医用画像を選択できる構成となっている。
【0003】
実際には、画像表示装置が上記リストから選択された患者の医用画像を画像保存装置から取得することとなるが、選択がなされてから画像を取得していたのでは取得に時間を要するため、大量の医用画像を迅速に読影するというニーズに対応できない。従来はある患者分の画像を表示している間に、リストにおいて現在表示中の患者の次に位置する患者の医用画像を、画像保存装置から取得しておくことがなされていた(例えば、特許文献1参照)。次に読影されるであろう医用画像を予め取得しておくことにより、実際に次にその医用画像が選択された場合にはすぐに表示することができ、読影の効率化を図ることができる。
【特許文献1】特開2006−110202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記方法は1つのリストのみを想定したものである。1つのリスト内では上から順に読影することが多いため、次に読影する医用画像を予測しやすく有効であるが、画像表示装置で扱うリストは1つだけとは限らない。例えば、PACSでは本日の検査分のリスト、過去3日以内の検査分のリスト等、医用画像をある条件に応じた表示単位毎に分類してリストにすることが可能となっている。この表示単位を画像表示区分という。読影の用途等に応じて画像表示区分毎にリスト化することにより、医師はより医用画像を選択しやすくなる。
【0005】
そのため、複数の画像表示区分にわたって医用画像を選択する場合、例えば同じ患者の画像で本日と過去の画像を読影したい場合で、当該患者が本日の検査分のリストの1番目、過去3日分のリストの5番目に位置する場合には、リストをまたいで選択が行われることになる。すなわち、複数の画像表示区分がある場合には次に読影されるであろう画像を予測しづらく、従来の方法では読影業務の効率化を図ることができない。
【0006】
本発明の課題は、複数の画像表示区分がある場合でも効率的な読影を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、
画像提供サービスにログインし、画像保存装置に保存された医用画像の提供を受けて表示する画像表示装置において、
医用画像を受信する通信手段と、
医用画像を保存する画像記憶手段と、
前記画像提供サービスへのログインの前に、画像提供サービスで登録されている一又は複数の画像表示区分に対応する医用画像を、前記通信手段を介して前記画像保存装置から取得し、前記画像記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備える画像表示装置が提供される。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、
複数の画像表示区分が登録されている場合、各画像表示区分について医用画像を取得する優先度の情報を記憶する情報記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記記憶された優先度の情報に基づいて優先度の高い画像表示区分から順に当該画像表示区分に対応する医用画像を取得する請求項1に記載の画像表示装置が提供される。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、
前記情報記憶手段は、画像表示区分毎に当該画像表示区分に対応して取得した医用画像を削除する時期的条件の情報を記憶し、
前記制御手段は、前記記憶された時期的条件の情報に基づいて、前記画像記憶手段に記憶させた医用画像について削除する時期に至ったと判断すると、当該医用画像を前記画像記憶手段から削除する請求項2に記載の画像表示装置が提供される。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、
前記情報記憶手段は、画像表示区分毎に当該画像表示区分に対応して取得する医用画像のデータサイズの上限の情報を記憶し、
前記制御手段は、前記記憶された上限の情報に基づいて、前記画像表示区分に対応して画像保存装置から取得する医用画像のデータサイズが上限に至ったと判断すると、当該医用画像の取得を停止する請求項2又は3に記載の画像表示装置が提供される。
【0011】
請求項5に記載の発明によれば、
コンピュータを、
請求項1〜4の何れか一項に記載の画像表示装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0012】
請求項6に記載の発明によれば、
医用画像を保存する画像保存装置と、画像提供サービスにログインし、前記画像保存装置に保存された医用画像の提供を受けて表示する画像表示装置と、を含む画像提供システムにおいて、
前記画像表示装置は、
医用画像を受信する通信手段と、
医用画像を保存する画像記憶手段と、
前記画像提供サービスへのログインの前に、画像提供サービスで登録されている一又は複数の画像表示区分に対応する医用画像を、前記通信手段を介して前記画像保存装置から取得し、前記画像記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備える画像提供システムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、5、6に記載の発明によれば、予め読影対象となる医用画像を保持しておくことができるので、画像提供サービスにログインして読影を開始した際には選択された医用画像をすぐに表示させることができる。取得は画像表示区分単位で行うので、複数の画像表示区分にわたって医用画像の読影が行われる場合でも、選択された医用画像をすぐに表示させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、読影する順番に合わせて医用画像を事前取得する順番を調整することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、積極的に医用画像を削除することにより、画像保存装置以外に医用画像が保存されることを回避することができ、セキュリティ上好ましい構成とすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、許容量を超えて医用画像を取得することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における画像提供システム1のシステム構成を示す。
画像提供システム1は、図1に示すように画像表示装置10、画像管理サーバ20、画像保存装置30から構成され、各装置10〜30はネットワークを介して接続されている。画像提供システム1は、画像保存装置30に保存された医用画像を、画像管理サーバ20が管理し、これを画像表示装置10に提供する画像提供サービスを実現するものである。
【0018】
画像管理サーバ20は、画像保存装置30への医用画像の保存、読み出しを制御する。すなわち、図示しない撮影システムにおいて生成された医用画像を取得し、これをデータベース化して画像保存装置30へ保存させる。一方、これらの医用画像を読影に供するため、画像保存装置30から医用画像を読み出して各画像表示装置10に配信する。
画像管理サーバ20としては、制御部、操作部、表示部、通信部、記憶部等を備えた一般的なコンピュータ装置が適用可能である。
【0019】
なお、画像提供システム1による画像提供サービスは、予め登録されたユーザのみ受けることができ、このユーザの登録情報を画像管理サーバ20が記憶、管理している
ユーザの登録情報は、例えばユーザのID、パスワード等の画像提供サービスへのログイン時に必要な情報の他、ユーザ毎の画像表示区分の情報が挙げられる。画像表示区分とは、表示する医用画像のリストを表示する際の表示単位をいい、画像表示区分の情報とはその表示単位で表示する医用画像の条件(撮影時期、撮影装置等の条件)、画像表示区分の名称等の情報をいう。
【0020】
具体的には、図2(a)に示すように「本日分」、「3日間」、「昨日のCR」等の表示単位をいう。「本日分」の画像表示区分によるリストは当日撮影された医用画像の一覧であり、「3日間」の画像表示区分は当日を含めて過去3日間の間に撮影された医用画像の一覧を示す。また、「昨日のCR」の画像表示区分は昨日撮影された医用画像のうち、CR(Computed Radiography)装置によって撮影された医用画像の一覧を示す。このように、画像表示区分は、医用画像の撮影時期、撮影を行った撮影装置(モダリティ)、撮影された患者等、表示する医用画像の条件に従って、あるひとまとまりの単位毎に医用画像を表示する区分である。
【0021】
画像管理サーバ20では、このような画像表示区分の情報を、ユーザの用途、目的等に応じてユーザ毎に記憶し、画像表示装置10を介して画像提供サービスへログインしたユーザに対応する画像表示区分の医用画像を画像保存装置30から検索してその一覧リストを作成して画像表示装置10に配信する。
例えば、医師Aについては「本日分」、「3日間」、「昨日のCR」の3つの画像表示区分の情報を記憶し、医師BについてはCT(Computed Tomography)装置により撮影されたことを条件とする「CT」の画像表示区分と、CR装置により撮影されたことを条件とする「CR」の画像表示区分の情報を記憶している場合、医師Aがログインすれば図2(a)に示すように3つの画像表示区分のリストを配信するし、医師Bがログインすれば図2(b)に示すように2つの画像表示区分のリストを配信する。
【0022】
画像表示装置10側では、画像表示区分に応じたリストを表示することとなる。なお、リストでは直接的に医用画像が表示されるのではなく、図2(a)に示すように患者ID、患者氏名等の医用画像が撮影された患者の情報とともに、撮影が行われた検査ID、撮影装置の情報が選択的に表示されることとなる。すなわち、読影したい医用画像の患者を選択させることで、当該医用画像を選択可能に構成されている。
また、リストは画像表示区分毎に切替可能に表示される。例えば、図2(a)では「本日分」の一覧が表示されているが、「本日分」の一覧ではなく「昨日のCR」の一覧が見たい場合、そのタブを選択操作することにより、「昨日のCR」の一覧が表示されることとなる。医師(ユーザ)は読影したい画像表示区分に切り替えてそのリスト中に含まれる医用画像を選択する。例えば、「本日分」の画像表示区分が選択されている場合、図2(a)に示すように当該「本日分」に対応する医用画像の一覧が表示される。画像表示装置10は、このリストから選択された医用画像を画像保存装置30から取得することとなる。
【0023】
画像保存装置30は大容量のメモリからなり、医用画像を保存する。
【0024】
画像表示装置10は、画像提供サービスにログインし、画像保存装置30に保存された医用画像の提供を受けてこれを表示する。また、画像表示装置10は画像提供サービスへログインする前に、提供を受ける医用画像を予め取得するダウンロードサービスを提供する。
図3に、画像表示装置10の機能的構成を示す。
画像表示装置10は、図3に示すように制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、情報記憶部15、画像記憶部16を備えて構成されている。
【0025】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等からなり、情報記憶部15に記憶されているプログラムとの協働によって各種演算を行い、各部の動作を集中制御する。例えば、制御部11は、画像提供サービス、ダウンロードサービスに係る処理プログラムとの協働により、これらサービスの提供に必要な処理を実行する。
【0026】
操作部12は、キーボード、マウス等を備えてこれらの操作に対応する操作信号を生成し、制御部11に出力する。
表示部13は、ディスプレイを備え、制御部11の制御に従って操作画面や医用画像等を表示する。
【0027】
通信部14は、通信用のインターフェイスを備え、ネットワーク上の画像管理サーバ20、画像保存装置30に接続し、情報通信を行う。
【0028】
情報記憶部15は、制御プログラム、画像提供サービスに係る処理プログラム、ダウンロードサービスに係る処理プログラムの他、ダウンロードサービスの登録ユーザに関する登録テーブル151を記憶する。
図4に、その登録テーブル例を示す。
図4に示すように、登録テーブル151にはユーザ名(例えば、「dokuei1」)、医用画像を取得する時間間隔(例えば、「5(秒)」)、取得した医用画像の保存先(画像記憶部16におけるアドレスで示す。例えば「C:\temp」)、画像記憶部16に保存した医用画像を削除する時期的条件(例えば、「OS(Operating System)起動時」)、医用画像を取得する際のデータサイズの上限(例えば「10,000バイト」)、取得する医用画像の画像表示区分の情報(名称、医用画像の条件、優先度を含む)の登録情報が含まれる。なお、データサイズの上限については、上限の指定がない場合には登録情報は記憶されない。
【0029】
画像記憶部16は大容量メモリから構成され、医用画像を記憶する。
【0030】
次に、動作について説明する。
画像表示装置10においてダウンロードサービスを受けるためには、画像提供サービスのユーザ登録とは別個にダウンロードサービスのユーザ登録を行う必要がある。
例えば、ダウンロードサービスプログラムが予めスタートアップに登録されている場合、画像表示装置10の起動に伴って、ダウンロードサービスプログラムも起動する。このとき、画面のツールバーにダウンロードサービスに係るアイコンを表示させる。操作部12を介してユーザによりこのアイコンが操作されると、制御部11の制御により表示部13上に図5に示す登録画面d1を表示する。なお、ダウンロードサービスのユーザ登録がなされていない場合には特に操作がなくても自動的に登録画面を表示させる。制御部11は、登録画面d1上に医用画像を取得する時間間隔、取得した医用画像の保存先、取得する医用画像のデータサイズの上限の指定の有無及び指定する場合にはその上限、取得した医用画像を削除する時期的条件の各項目について入力領域d11〜d15を設ける。
【0031】
また、医用画像の取得は画像表示区分毎に行うので、制御部11は画像提供サービスで登録されているユーザ及び画像表示区分の情報を画像管理サーバ20から取得し、登録ユーザのうちの何れかのユーザを選択するための入力領域d16を選択的に表示させる。
【0032】
例えば、画像提供サービスの登録ユーザが複数いる場合、図5に示すようにそのユーザ名「Admin」、「root」、「dokuei1」等を選択的に表示させる。ユーザはこれらユーザ名の中からユーザ自身が画像提供サービスで登録しているユーザ名を選択し、その入力領域d16において選択入力すればよい。ユーザ名が選択されると、制御部11は当該ユーザ名で画像提供サービスにおいて登録されている画像表示区分を表示し(符号d17で示す表示)、各画像表示区分の優先度の入力領域d18を表示させる。
上記登録画面d1において、ユーザが操作部12を介してそれぞれの入力領域d11〜d16、d18に必要事項の情報を入力すると、制御部11は、操作部12を介して入力された情報を登録情報として情報記憶部15の登録テーブル151に記憶させる。
【0033】
次に、図6及び図7を参照して、ダウンロードサービス時に画像表示装置10において実行される処理について説明する。なお、この処理は、制御部11が情報記憶部15に記憶されているダウンロードサービスの処理プログラムを読み込むことにより行われるものである。以下の説明では、画像提供サービスへのログイン前にダウンロードサービスの処理を開始するため、画像表示装置10の起動(画像表示装置10の電源ON又はOS起動をいう)と同時に処理を開始する例を説明する。
【0034】
画像表示装置10が起動すると、ダウンロードサービスプログラムが起動し、図6に示すように制御部11が情報記憶部15に記憶されている登録テーブル151を読み込む(ステップS1)。このとき、登録テーブル151において、取得した医用画像を削除する時期的条件が「OS起動時」と登録されている場合、制御部11は画像記憶部16内の医用画像を全て削除する。次いで、制御部11は現在の日付及び時刻の情報を、基準日付及び基準時刻として取得する(ステップS2)。日付及び時刻の情報は、制御部11の内部クロックにより制御部11が演算して取得することとする。その後、現在の時刻の情報を改めて取得し、基準時刻から1秒以上経過したか否かを判別する(ステップS3)。
【0035】
1秒経過した場合(ステップ3;Y)、制御部11は現在の日付の情報を改めて取得し、基準日付から日付は変わったかを判別する(ステップS4)。日付が変わっている場合(ステップS4;Y)、前回のダウンロードサービス利用時の処理によって取得され、画像記憶部16に保存されている医用画像は不要となる。画像表示区分において当日分等、日付の条件が含まれる場合、画像記憶部16に保存されている医用画像が画像表示区分の日付の条件に応じているとは限らないからである。よって、画像記憶部16内の空き領域を確保するためにも制御部11は画像記憶部16の医用画像を一旦全て削除する(ステップS5)。
【0036】
一方、日付が変わっていない場合(ステップS4;N)、医用画像が持つ日数差の条件は変わらないので、医用画像の削除は行わずにステップS6の処理に移行する。
ステップS6では、制御部11は現在時刻を改めて取得し、基準時刻から5秒以上経過したか否かを判別する(ステップS6)。5秒以上経過すると(ステップS6;Y)、ダウンロードサービスで登録されているユーザ及びその画像表示区分は、前回画像提供サービスにログインしたユーザ及びその画像表示区分と同一であるか否かを判別する(ステップS7)。なお、前回の画像提供サービスへのログインに関する履歴情報(ログインしたユーザ名、用いた画像表示区分等)は、制御部11が情報記憶部15に記憶しており、前回画像提供サービスにログインしたユーザ等を判別する際にはこの履歴情報を参照して行う。
【0037】
最初にユーザ及びその画像表示区分が同一ではない場合(ステップS7;N)について説明する。この場合、画像提供サービス側で登録されているユーザが削除されたか、或いはユーザ登録がなされているがこのユーザとは異なるユーザが前回画像提供サービスにログインしていることが考えられる。何れにしろ、前回の画像提供サービスへのログインにより取得した医用画像が、ダウンロードサービスの登録ユーザに対応しているかどうか不明であるので、制御部11は画像記憶部16に記憶している医用画像を全て削除する(ステップS8)。次いで、制御部11はダウンロードサービスの登録ユーザが、画像提供サービスの登録ユーザに含まれているか否かを判別する(ステップS9)。
【0038】
含まれている場合(ステップS9;Y)、画像提供サービスにおいて、ダウンロードサービスの登録ユーザと同一ユーザ名により画像表示区分が登録されているはずである。よって、その画像提供サービスで登録されているユーザ名及び画像表示区分でダウンロードサービスのユーザ登録を新たに行う。制御部11は上述したような登録画面d1(図5参照)を表示部13に表示させる。このとき、ユーザ名及び画像表示区分については、画像提供サービスでそのユーザに対して登録されている画像表示区分の情報を取得し、登録画面d1の入力領域d16、d17に表示させておく(ステップS10)。すなわち、ユーザ名と画像表示区分については登録内容が決まっているので、画像表示区分毎の優先度等の残りの項目についてユーザに情報入力させる。そして、操作部12を介してユーザにより入力された優先度等の情報を登録情報として、登録テーブル151に記憶させる(ステップS12)。
【0039】
一方、ダウンロードサービスの登録ユーザが、画像提供サービスの登録ユーザに含まれていない場合(ステップS9;N)、このとき考えられるのは、画像提供サービス側でユーザの登録が削除された場合、或いはダウンロードサービスの登録ユーザが画像提供サービスに登録されていないユーザである場合である。よって、制御部11はダウンロードサービスにおける新規登録を行うべく、図5に示した登録画面d1を表示部13に表示させる(ステップS11)。ここでの登録は、上記の場合と異なり、画像提供サービスにおける登録ユーザの情報は利用できないので、全ての項目(登録画面d1の入力領域d11〜d18の全て)についてユーザが入力する必要がある。制御部11は、この登録画面d1において入力された情報を登録情報として登録テーブル151に記憶させる(ステップS12)。
登録情報を記憶させた後は、ステップS1の処理に戻り上述した処理を繰り返す。
【0040】
次に、ステップS7において、ダウンロードサービスで登録されているユーザ及びその画像表示区分は、前回画像提供サービスにログインしたユーザ及びその画像表示区分と同一であると判断された場合について説明する。
この場合(ステップS7;Y)、制御部11は画像記憶部16に保存されている医用画像の一覧を作成する(ステップS13)。前回のログイン時から日付が変わっていなければ、そのログイン時に取得した医用画像が画像記憶部16に残っているはずであるので、当該医用画像の一覧が作成される。一方、日付が変わっていればステップS5で医用画像は全て削除され、OSの起動時を条件に医用画像を削除する登録内容になっているのであればOS起動時に削除されているはずであるので、作成した一覧には医用画像の情報は何も含まれないはずである。
また、制御部11は画像管理サーバ20に問い合わせて画像保存装置30に保存されている医用画像の一覧を作成する(ステップS14)。
【0041】
次いで、図7に示すように作成した各一覧を比較し、差異があるか否かを判断する(ステップS15)。差異が無い場合(ステップS15;N)、ダウンロードサービスの登録ユーザの画像表示区分に対応する医用画像は全て画像記憶部16に保存されていることになるので、特に医用画像の取得を行わずにステップS1の処理に戻る。
【0042】
一方、差異がある場合(ステップS15;Y)、制御部11は優先度を示すパラメータnをn=1に設定し(ステップS16)、登録ユーザの優先度nの画像表示区分に対応する医用画像であって、画像記憶部16に有りかつ画像保存装置30に無い医用画像を判別し、これを画像記憶部16から削除する(ステップS17)。当該医用画像は、既に画像保存装置30に無いため、読影自体不要だからである。
【0043】
次いで、制御部11は同じく登録ユーザの優先度nの画像表示区分に対応する医用画像であって、画像記憶部16に無くかつ画像保存装置30に有る医用画像を判別し、これを画像保存装置30から複写して取得する(ステップS18)。画像表示区分に対応する医用画像とは、画像表示区分で定められている医用画像の条件に一致する医用画像である。
【0044】
次に、制御部11は現時点で医用画像の取得データサイズが、登録ユーザについて登録されている上限を超えているか否かを判断する(ステップS19)。超えている場合(ステップS19;Y)、制御部11は医用画像の取得を停止し、ステップS1の処理に戻る。一方、超えていない場合(ステップS19;N)、或いはデータサイズの上限が指定されていない場合、パラメータnを+1インクリメントし(ステップS20)、インクリメントした後の優先度nの画像表示区分についてステップS17以降の処理を繰り返す。すなわち、データサイズが上限となるまで優先度の高い順に画像表示区分単位で医用画像の取得を続けることとなる。
【0045】
その後、画像提供サービスへのログイン操作が操作部12を介してなされると、制御部11はログイン時の入力情報(ユーザ名、パスワード等の情報)を、通信部14を介して画像管理サーバ20に送信する。画像管理サーバ20ではログイン認証を行い、送信された情報から登録ユーザであると判断されると、当該登録ユーザについて登録されている画像表示区分のリストを作成して画像表示装置10に送信する。画像表示装置10では、制御部11が当該リストを表示部13上に表示させ、ユーザによりリストから選択された医用画像を画像記憶部16から取得する。その後、取得した医用画像を表示させ、読影に供する。
【0046】
なお、フローチャートには示していないが、登録テーブル151において取得した医用画像を削除する時期的条件が「OS終了時」であった場合、制御部11は画像表示装置10のOS終了時に画像記憶部16内の医用画像を全て削除した後、OSを終了する。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、画像表示装置10の起動時に、ダウンロードサービスの登録ユーザの画像表示区分に対応する医用画像を画像保存装置30から取得し、画像記憶部16に記憶させる。これにより、予め読影対象となる医用画像を画像表示装置10において保持しておくことができるので、画像提供サービスにログインして読影を開始した際には、読影の指示がなされた医用画像をすぐに表示させることができる。取得は画像表示区分単位で行うので、複数の画像表示区分のリストにわたって読影する医用画像が選択された場合でも、選択された医用画像をすぐに表示させることができる。従って、複数の画像表示区分がある場合であっても読影の効率化を図ることができる。
【0048】
また、画像表示装置10の起動時に医用画像の取得に係る処理を行うので、画像提供サービスへログインする前に、つまり読影を開始する前に医用画像の取得を開始することができ、事前に確保しておく医用画像数をなるべく多くして何れの医用画像が選択されても迅速に表示できるよう図ることができる。
【0049】
また、画像表示区分毎に医用画像を取得する優先度を登録でき、この優先度の高い画像表示区分の順に医用画像を取得する。よって、例えば読影する順番に合わせて医用画像を事前取得する順番を調整することができる。
【0050】
また、事前取得した医用画像を削除する時期的条件を登録でき、削除の時期に至った場合には当該医用画像を削除する。これは、マスタである画像保存装置30以外の装置に、医用画像のコピーが常時保存されているのはセキュリティ上好ましくないからである。よって、積極的に削除することによりセキュリティの向上を図ることができる。また、画像表示装置10の起動時又は終了時に取得した医用画像を削除しておくことにより、図6のステップS5やステップS8等において医用画像を削除する時間を短縮化することができ、処理効率が良い。
また、削除の結果、画像表示装置10において医用画像を記憶する容量を増やすことができる。さらに、ユーザが特に操作することなく、不要な医用画像を画像表示装置10から自動的に消去されるので、利便性が良い。
【0051】
また、事前取得する医用画像のデータサイズの上限を登録でき、データサイズの上限に至った場合には医用画像の取得を停止する。よって、画像表示装置10で保存できる許容量を超えて医用画像を取得することを防止することができる。
【0052】
また、ダウンロードサービスの登録ユーザ及び画像表示区分を、画像提供サービスの登録ユーザ及び画像表示区分と同一にすることができる。これにより、ユーザ登録時の手間を省くことができるとともに、読影時に表示される画像表示区分に一致した医用画像を事前取得することができ、画像提供サービスに応じた運用とすることができる。
【0053】
なお、上述した実施形態は本発明を適用した好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、上記実施形態では画像提供サービスで既に登録している画像表示区分を、ダウンロードサービスに用いることとしたが、ダウンロードサービス独自の画像表示区分を登録できることとしてもよい。この場合、登録画面d1(図5参照)において、操作部12を介して登録操作されたユーザ名及び画像表示区分の情報を登録テーブル151に記憶させる。
【0054】
また、上記実施形態では、画像表示装置10の起動と同時にダウンロードサービスに係る処理を開始する例を説明したが、画像提供サービスへのログインの前に医用画像を取得できる構成であるならばよく、例えば起動と同時でなくとも、起動後所定時間経過後にダウンロードサービスに係る処理を開始することとしてもよい。また、画像提供サービスへのログイン前にユーザがダウンロードサービスに係る処理の実行の開始を指示できる構成としてもよい。例えば、画像表示装置10の起動後、ダウンロードサービスの開始を指示するアイコンを表示部13上に表示させておく。この構成によれば、ユーザは今すぐにはログインしないが後で画像提供サービスへログインする予定がある場合、とりあえずこのアイコンを操作してダウンロードプログラムを実行させ、医用画像を事前に取得しておく、という調整が可能となる。
【0055】
また、上記実施形態では、ダウンロードサービスと画像提供サービスのプログラムが別々に準備され、ダウンロードサービスの処理がOSの起動と同時に実行するようにしたが、画像提供サービスのプログラムに、ダウンロードサービスのプログラムを組み込むこととしてもよい。この場合、画像提供サービスプログラムを起動したと同時にダウンロードサービスに係る上記処理を実行することとなる。医用画像の読影と並行して医用画像の取得の処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態における画像提供システムの構成を示す図である。
【図2】画像表示区分毎の医用画像のリスト例を示す図である。
【図3】図1の画像表示装置の機能的構成を示す図である。
【図4】ユーザ登録に係る登録テーブル例を示す図である。
【図5】ダウンロードサービスにおけるユーザ登録の登録画面例を示す図である。
【図6】ダウンロードサービス時に画像表示装置により実行される処理の流れを示す図である。
【図7】ダウンロードサービス時に画像表示装置により実行される処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 画像提供システム
10 画像表示装置
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 通信部
15 情報記憶部
151 登録テーブル
16 画像記憶部
20 画像管理サーバ
30 画像保存装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像提供サービスにログインし、画像保存装置に保存された医用画像の提供を受けて表示する画像表示装置において、
医用画像を受信する通信手段と、
医用画像を保存する画像記憶手段と、
前記画像提供サービスへのログインの前に、画像提供サービスで登録されている一又は複数の画像表示区分に対応する医用画像を、前記通信手段を介して前記画像保存装置から取得し、前記画像記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備える画像表示装置。
【請求項2】
複数の画像表示区分が登録されている場合、各画像表示区分について医用画像を取得する優先度の情報を記憶する情報記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記記憶された優先度の情報に基づいて優先度の高い画像表示区分から順に当該画像表示区分に対応する医用画像を取得する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記情報記憶手段は、画像表示区分毎に当該画像表示区分に対応して取得した医用画像を削除する時期的条件の情報を記憶し、
前記制御手段は、前記記憶された時期的条件の情報に基づいて、前記画像記憶手段に記憶させた医用画像について削除する時期に至ったと判断すると、当該医用画像を前記画像記憶手段から削除する請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記情報記憶手段は、画像表示区分毎に当該画像表示区分に対応して取得する医用画像のデータサイズの上限の情報を記憶し、
前記制御手段は、前記記憶された上限の情報に基づいて、前記画像表示区分に対応して画像保存装置から取得する医用画像のデータサイズが上限に至ったと判断すると、当該医用画像の取得を停止する請求項2又は3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
コンピュータを、
請求項1〜4の何れか一項に記載の画像表示装置として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
医用画像を保存する画像保存装置と、画像提供サービスにログインし、前記画像保存装置に保存された医用画像の提供を受けて表示する画像表示装置と、を含む画像提供システムにおいて、
前記画像表示装置は、
医用画像を受信する通信手段と、
医用画像を保存する画像記憶手段と、
前記画像提供サービスへのログインの前に、画像提供サービスで登録されている一又は複数の画像表示区分に対応する医用画像を、前記通信手段を介して前記画像保存装置から取得し、前記画像記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備える画像提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−43142(P2009−43142A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209367(P2007−209367)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】