説明

画像表示装置、画像表示方法

【課題】 1フレームを複数のフレームに分割したサブフレームを生成する際に生じる画質劣化を改善するための技術を提供すること。
【解決手段】 動きベクトルの確度が閾値以上の場合、補間画像を生成し、着目フレームの画像、補間画像の順にパネル104に対して出力すると共に、画像を出力するたびにバックライト102を点灯させる。確度が閾値よりも小さい場合、着目フレームの画像、該着目フレームの画像、をパネル104に対して出力すると共に、画像を出力するたびに、交互に第1の光量、該第1の光量よりも小さい第2の光量、となるようにバックライト102を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TVの受像機やPCの表示装置として液晶表示装置が使用されている。このような液晶表示装置は、薄型に形成できるため省スペースで、且つ省電力であるため幅広く用いられている。
【0003】
一方、液晶表示装置に代表されるホールド型表示装置において、動物体の追従視(動画表示において、動物体を視線で追いかける見方)を行なった場合、この液晶表示装置における光出力期間に応じた動きぼけが観測される。
【0004】
上記動きぼけを低減する為の技術として、液晶表示装置のバックライトを点滅し、1フレーム期間内に黒表示を行うことによりインパルス型の表示を行う手法が提案されている。
【0005】
特許文献1は、液晶表示パネルの走査に同期して、走査後にその画素に照射される光を強めることでその画素に照射する光の強度を強め、その後、光の強度を弱めるか、もしくは、その画素に光照射し、その後に光を消す光照射部を備えている。これにより、特許文献1では、動きぼけを低減することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−183622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、バックライトを液晶パネルの走査に同期して点滅する方式では、バックライトの点灯期間を短くし、1フレーム期間内の黒表示期間を短くすることで、動きぼけは改善するが、フリッカが視認されるという課題があった。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、1フレームを複数のフレームに分割したサブフレームを生成する際に生じる画質劣化を改善するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像表示装置は次のような構成を有することを特徴としている。即ち、バックライトを有する表示画面を備える画像表示装置であって、動画像を構成する各フレームの画像を入力し、フレーム間における動きベクトルを求める計算手段と、前記計算手段が着目フレームについて求めた動きベクトルの確度が閾値以上であれば、該動きベクトルを求めるために用いたそれぞれの画像から補間した画像を生成し、前記着目フレームの画像を前記表示画面に対して出力した後、該生成した画像を前記表示画面に対して出力する第1の出力手段と、前記第1の出力手段が画像を出力するたびに前記バックライトを点灯させる第1の制御手段と、前記計算手段が着目フレームについて求めた動きベクトルの確度が前記閾値よりも小さい場合、前記着目フレームの画像を前記表示画面に対して出力した後、更に該着目フレームの画像を前記表示画面に対して出力する第2の出力手段と、前記第2の出力手段が画像を出力するたびに、前記バックライトの光量が交互に第1の光量、該第1の光量よりも小さい第2の光量、となるように前記バックライトを制御する第2の制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、動画ぼやけなどの動画特性の改善を行なう場合においても、フリッカが視認されない高画質な表示を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像表示装置の機能構成例を示すブロック図。
【図2】従来の課題を説明する図。
【図3】第1の実施形態を説明する図。
【図4】第2の実施形態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載した構成の具体的な実施例の一つである。
【0013】
[第1の実施形態]
先ず、本実施形態に係る画像表示装置の機能構成例について、図1のブロック図を用いて説明する。動画像を構成する各フレームの画像は動き検出部100及びサブフレーム生成部103に入力される。この動画像は、受信したテレビ映像であってもよいし、予めメモリなどに格納しておいた動画像であってもよい。
【0014】
動き検出部100は、動画像が入力されると、フレーム間の差分検出やフレーム間の動きベクトル検出等を行う。動きベクトルの検出方法としては、画面を複数の領域に分割し、着目領域とその周辺領域との差分を求めることにより、差分が少ない領域の方向に動いたと判断する方法が知られている。例えば、所定の閾値より差分の少ない領域がN個の場合、N個の領域の中で最も少ない方向へ動いたと判断する。
【0015】
ここで、動きベクトルの確度は、所定の閾値より差分の少ない領域が少ない方が、動きベクトルの方向・量が特定できる可能性が高いため、確度が高いと判断する。動きベクトルの算出方法や確度の求め方は、本例に限らず別の方法でもよい。
【0016】
サブフレーム生成部103は、動き検出部100が着目フレームについて求めた(計算した)動きベクトルの確度が閾値以上であれば、この動きベクトルを求めるために用いた画像から補間した画像(補間)を生成する。例えば、動き検出部100が、着目フレームの画像と、着目フレームより1フレーム過去のフレームにおける画像と、を用いて着目フレームにおける動きベクトルを求めた場合、サブフレーム生成部103は、これら2枚の画像を用いて補間画像を生成する。そしてサブフレーム生成部103は、着目フレームの画像を表示画面としてのパネル104に出力した後、この補間画像をパネル104に出力する(第1の出力)。もちろん、着目フレームの画像、補間画像の出力順は逆でもよい。また、補間画像の生成方法はこれに限るものではなく、フレーム間に表示するような画像であれば、如何なる画像であってもよい。一般に、フレーム間に表示する画像を生成するような技術は周知であり、本実施形態では、如何なる方法を用いてフレーム間に表示する画像を生成してもよい。
【0017】
このとき、バックライト制御部101は、第1の出力が行われるたびに、パネル104が有するバックライト102を点灯させる(第1の制御)。このとき、第1の出力で出力する画像において規定長以上の動きベクトルが検出された領域に対する点灯期間の長さ及び光量のそれぞれを、該画像における該領域以外の領域に対する点灯期間の長さ及び光量のそれぞれよりも、より短く、より大きく、する。
【0018】
一方、サブフレーム生成部103は、動き検出部100が着目フレームについて求めた動きベクトルの確度が閾値よりも小さい場合、着目フレームの画像をパネル104に出力した後、更に該着目フレームの画像をパネル104に出力する(第2の出力)。
【0019】
このとき、バックライト制御部101は、第2の出力が行われるたびに、バックライト102の光量が交互に第1の光量、該第1の光量よりも小さい第2の光量、となるように、バックライト102を制御する(第2の制御)。これは、同じ画像を2回繰り返して表示すると、エッジがぶれた2重像の映像として表示されるという問題に対処するためである。なお、第1の光量、第2の光量に関しては、第1の光量>第2の光量を満たせばよい。
【0020】
ここで従来の課題を図2を用いて説明する。画像201,202,203はそれぞれ、60Hzのフレームレートで入力された画像である。画像204,205,206はそれぞれ、画像201,202,203に対して様々な信号処理を施し、60Hzのフレームレートで表示パネルに表示される画像である。そして画像204,205,206はそれぞれこの順で表示されるものとする。207,208,209はそれぞれ、画像204,205,206のそれぞれの表示時にバックライトを点灯させている(BL ON)ことを示すパルスである。なお、図2では、信号処理等に要する時間による遅延や表示パネルでの走査の時間は考慮していない。
【0021】
このように、これらの画像204,205,206の表示タイミングで(60Hzで)バックライトを点灯させると、上記の動画ぼやけは改善されるが、フリッカが視認されてしまう。特に、70Hz以下のフレームレートではフリッカが顕著に視認される。
【0022】
次に、本実施形態に係る画像表示装置が行う処理について、図3を用いて説明する。画像301,302,303はそれぞれ、60Hzのフレームレートで動き検出部100及びサブフレーム生成部103に入力された画像である。ここで、動き検出部100が画像301,302,303のそれぞれについて求めた動きベクトルの確度が閾値よりも小さかったとする。この場合、サブフレーム生成部103は、画像301と同じ画像304,305、画像302と同じ画像306,307、画像303と同じ画像308,309、をこの順で出力する。これにより、サブフレーム生成部103からは120Hzのフレームレートで画像が出力されることになる。このとき、バックライト制御部101は、画像304〜309のそれぞれが出力されるたびに、バックライト102の光量が交互に第1の光量、該第1の光量よりも小さい第2の光量、となるように、バックライト102を制御する。
【0023】
一方、動き検出部100が、画像301,302,303のそれぞれについて求めた動きベクトルの確度が閾値以上であれば、補間画像を生成する。例えば、画像301と同じ画像310と画像302と同じ画像312とから画像311を補間により生成する。同様に、画像302と同じ画像312と画像303と同じ画像314とから画像313を補間により生成する。そしてサブフレーム生成部103は、画像310,311,312,313,314をこの順でパネル104に対して出力する。このとき、バックライト制御部101は、画像310,311,312,313,314のそれぞれが出力されるたびに、パネル104が有するバックライト102を点灯させる(BL ON)。
【0024】
このように本実施形態では、バックライトの点滅による黒挿入により動画ぼやけを改善し、更に入力フレームを複数のフレームに分割して生成されたサブフレームに同期してバックライトを点滅させることで、フリッカの視認されない高画質の表示を可能にした。これにより、動画ぼやけおよびフリッカが改善される。
【0025】
[第2の実施形態]
第1の実施形態で説明した第2の光量は、消灯状態を示す光量であってもよい。その場合、バックライト102の制御は、図4に示す如く制御となる。画像401〜414はそれぞれ、図3の画像301〜314と同じである。
【0026】
動き検出部100が画像401,402,403のそれぞれについて求めた動きベクトルの確度が閾値よりも小さかったとする。この場合、サブフレーム生成部103は、画像401と同じ画像404,405、画像402と同じ画像406,407、画像403と同じ画像408,409、をこの順で出力する。このとき、バックライト制御部101は、画像404,406,408が出力されるたびに、バックライト102の光量を第1の光量とし、画像405,407,409が出力されるたびに、バックライト102を消灯させている。
【0027】
動き検出部100が画像401,402,403のそれぞれについて求めた動きベクトルの確度が閾値以上である場合は、第1の実施形態と同じである。なお、図4において、画像410〜414はそれぞれ、図3の画像310〜314と同じである。
【0028】
[第3の実施形態]
図1に示した各部は何れもハードウェアで構成してもよいが、動き検出部100やサブフレーム生成部103についてはソフトウェア(コンピュータプログラム)で構成し、このソフトウェアをメモリに格納するようにしてもよい。この場合、このソフトウェアは、画像表示装置が有するCPU等の制御部が実行し、これにより動き検出部100やサブフレーム生成部103の機能が実現されることになる。
【0029】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトを有する表示画面を備える画像表示装置であって、
動画像を構成する各フレームの画像を入力し、フレーム間における動きベクトルを求める計算手段と、
前記計算手段が着目フレームについて求めた動きベクトルの確度が閾値以上であれば、該動きベクトルを求めるために用いたそれぞれの画像から補間した画像を生成し、前記着目フレームの画像を前記表示画面に対して出力した後、該生成した画像を前記表示画面に対して出力する第1の出力手段と、
前記第1の出力手段が画像を出力するたびに前記バックライトを点灯させる第1の制御手段と、
前記計算手段が着目フレームについて求めた動きベクトルの確度が前記閾値よりも小さい場合、前記着目フレームの画像を前記表示画面に対して出力した後、更に該着目フレームの画像を前記表示画面に対して出力する第2の出力手段と、
前記第2の出力手段が画像を出力するたびに、前記バックライトの光量が交互に第1の光量、該第1の光量よりも小さい第2の光量、となるように前記バックライトを制御する第2の制御手段と
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の制御手段は、前記第1の出力手段が出力する画像において規定長以上の動きベクトルが検出された領域に対する点灯期間の長さ及び光量のそれぞれを、該画像における該領域以外の領域に対する点灯期間の長さ及び光量のそれぞれよりも、より短く、より大きく、することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第2の光量は消灯状態を示す光量であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
バックライトを有する表示画面を備える画像表示装置が行う画像表示方法であって、
前記画像表示装置の計算手段が、動画像を構成する各フレームの画像を入力し、フレーム間における動きベクトルを求める計算工程と、
前記画像表示装置の第1の出力手段が、前記計算工程で着目フレームについて求めた動きベクトルの確度が閾値以上であれば、該動きベクトルを求めるために用いたそれぞれの画像から補間した画像を生成し、前記着目フレームの画像を前記表示画面に対して出力した後、該生成した画像を前記表示画面に対して出力する第1の出力工程と、
前記画像表示装置の第1の制御手段が、前記第1の出力工程で画像を出力するたびに前記バックライトを点灯させる第1の制御工程と、
前記画像表示装置の第2の出力手段が、前記計算工程で着目フレームについて求めた動きベクトルの確度が前記閾値よりも小さい場合、前記着目フレームの画像を前記表示画面に対して出力した後、更に該着目フレームの画像を前記表示画面に対して出力する第2の出力工程と、
前記画像表示装置の第2の制御手段が、前記第2の出力工程で画像を出力するたびに、前記バックライトの光量が交互に第1の光量、該第1の光量よりも小さい第2の光量、となるように前記バックライトを制御する第2の制御工程と
を備えることを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−37083(P2013−37083A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171319(P2011−171319)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】