説明

画像表示装置

【課題】 形成された三次元画像を板状部材に対して起立するように表示することができ、所定情報の視認性を向上させることができる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】 テーブル110と、テーブル110に収容されたユニット120とを備えるように画像表示装置100を構成する。テーブル110は、水平方向に延在する天面115と天面115に沿って設けられた凹部116及び凸部117とを有している。ユニット120は、凸部117の下方に設けられ、二次元画像を表示することにより表示された二次元画像に対応する表示光を出射するディスプレイ121と出射された表示光を結像することにより結像された表示光に対応する三次元画像を形成するマイクロレンズアレイ122とを有している。形成された三次元画像は、天面115に対して起立するとともに、凹部116の上方に位置するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報提示用の画像を表示する画像表示装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像表示装置の一例として、マイクロレンズアレイによって三次元画像を形成し、当該形成された三次元画像を前方空間に表示するように構成された画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−151645(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の画像表示装置は、形成された三次元画像を前方空間に表示するように構成されているために、形成された三次元画像とマイクロレンズアレイとの間に板状部材が設けられた場合に、形成された三次元画像を板状部材に対して起立するように表示することが困難であるという事情があった。
【0004】
そこで、本願は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その課題の一例として、形成された三次元画像を板状部材に対して起立するように表示することができ、所定情報の視認性を向上させることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の画像表示装置は、収容空間を隔離する収容体と、前記収容空間に収容された表示体とを備え、前記収容体は、所定方向に延在する天面と前記天面に沿って設けられた凹部及び凸部とを有し、前記表示体は、前記凸部の下方に設けられ、二次元画像を表示することにより前記表示された二次元画像に対応する表示光を出射する表示部材と前記出射された表示光を結像することにより前記結像された表示光に対応する三次元画像を形成する結像部材とを有し、前記形成された三次元画像は、前記天面に対して起立するとともに、前記凹部の上方に位置することを特徴とする構成を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本願を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下説明する実施形態は、本願に係る画像表示装置を、例えば、テーブルタイプの画像表示装置に適用した場合の実施形態を示している。
【0007】
具体的には、本実施形態における画像表示装置は、情報提示用の三次元画像を形成し、当該形成された三次元画像をテーブルに表示するように構成されている。
【0008】
まず、本実施形態における画像表示装置の構成について、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1は、本実施形態における画像表示装置を示す断面図であり、図2は、本実施形態における画像表示装置を示すブロック図である。
【0009】
本実施形態における画像表示装置100は、図1に示すように、収容空間111を隔離する収容体の一例としてのテーブル110と、収容空間111に収容された表示体の一例としてのユニット120と、下述する制御部130とを備え、制御部130は、下述する情報を提示するための二次元画像を生成するようになっている。
【0010】
テーブル110は、建物の一部、例えば、床部112に固定された側部113と、側部113に保持された天部114とを有し、側部113及び天部114は、上述した収容空間111を遮光及び密閉するようになっている。
【0011】
天部114は、所定方向、例えば、水平方向に延在する天面115と、天面115に沿って設けられた凹部116及び凸部117とを有し、天面115側から入射した光を天面115側に反射するとともに、天面115の裏面側から入射した光を天面115側に透過する、所謂、ハーフミラーによって構成されている。
【0012】
なお、本実施形態では、天部114は、ハーフミラーによって構成されているが、これに限らず、天面115の裏面側から入射した光を天面115側に透過するものであればよく、所謂、光透過性部材によって構成されていればよい。
【0013】
ユニット120は、表示部材の一例としてのディスプレイ121と、結像部材の一例としてのマイクロレンズアレイ122と、ディスプレイ121及びマイクロレンズアレイ122を連結するフレーム123とを有している。
【0014】
ディスプレイ121は、テーブル110の天部114に対向する表示面124を有し、生成された二次元画像を表示することにより、表示された二次元画像に対応する表示光を出射するようになっている。
【0015】
マイクロレンズアレイ122は、テーブル110の天部114とディスプレイ121との間に設けられ、出射された表示光を結像することにより、結像された表示光に対応する三次元画像125を形成するようになっている。
【0016】
ユニット120は、テーブル110の凸部117の下方に設けられ、形成された三次元画像125は、テーブル110の天面115に対して起立する(例えば、0°から90°に位置する)とともに、テーブル110の凹部116の上方に位置するようになっている。
【0017】
具体的には、形成された三次元画像125は、秘匿性を有する情報、例えば、遊技情報、会議情報、商品情報、美容情報などの情報を提示するようになっている。
【0018】
なお、本実施形態では、一つのユニット120がテーブル110の凸部117の下方に設けられているが、これに限らず、複数のユニット120がテーブル110の凸部117の下方に設けられてもよい。
【0019】
また、画像表示装置100は、図2に示すように、生成手段及び変更手段の一例としての制御部130と、駆動手段の一例としての駆動部140と、操作信号を入力するための入力部150とを備えている。
【0020】
制御部130は、上述した情報を提示するための二次元画像を生成し、当該生成された二次元画像に対応する画像信号をディスプレイ121に出力するようになっている。そして、ディスプレイ121は、入力された画像信号に応じて二次元画像を表示するようになっている。
【0021】
駆動部140は、モータ、ギアなどの駆動機器によって構成され、形成された三次元画像125がテーブル110の天面115に対して移動するように、ユニット120を駆動するようになっている。そして、制御部130は、ユニット120の位置及び方向に応じて、表示された二次元画像の態様を変更するようになっている。
【0022】
具体的には、ユニット120は、テーブル110に対して回転するように駆動されてもよく、テーブル110に沿って移動するように駆動されてもよい。さらに、ディスプレイ121及びマイクロレンズアレイ122は、フレーム123に対して前後、左右及び上下に移動するように駆動されてもよい。
【0023】
なお、本実施形態では、ユニット120は、駆動部140によって駆動されるように構成されているが、これに限らず、利用者によって駆動されるように構成されてもよい。この場合に、ユニット120は、テーブル110の天部114に連動して駆動されるように構成されてもよい。
【0024】
入力部150は、タッチパネル、デジタイザなどの入力機器によって構成され、利用者によって操作されたときに操作信号を生成し、当該生成された操作信号を制御部130に出力するようになっている。そして、制御部130は、入力された操作信号に応じて二次元画像を生成するようになっている。
【0025】
具体的には、制御部130は、入力部150から操作信号が入力されないときには、案内情報を提示するための二次元画像、所謂、デモ画像を生成するとともに、入力部150から操作信号が入力されたときには、上述した情報を提示するための二次元画像を生成するようになっている。
【0026】
次に、本実施形態におけるディスプレイ及びマイクロレンズアレイの構成について、図3及び図4を用いて説明する。なお、図3は、本実施形態におけるディスプレイ及びマイクロレンズアレイを示す側面図であり、図4は、本実施形態におけるレンズを示す側面図である。
【0027】
ディスプレイ121は、図3に示すように、上述した情報を提示するための二次元画像を表示する表示面124を有し、表示面124から表示光を出射するようになっている。
【0028】
具体的には、ディスプレイ121は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどの表示機器によって構成されている。
【0029】
なお、本実施形態では、ディスプレイ121は、表示面124から表示光を出射する表示機器によって構成されているが、これに限らず、二次元画像が形成された部材、例えば、枚葉状のシート、ロール状のシートなどの部材を変動することにより二次元画像を表示する表示機器によって構成されてもよい。
【0030】
マイクロレンズアレイ122は、図3に示すように、出射された表示光を結像する結像面126を有し、結像面126に沿って三次元画像を形成するようになっている。
【0031】
具体的には、マイクロレンズアレイ122は、マトリクス状に配置された複数のレンズ127を有し、各レンズ127の結像距離に応じて、出射された表示光を結像するようになっている。
【0032】
また、マイクロレンズアレイ122は、図4に示すように、形成された三次元画像の視野角を、好ましくは、±30°、さらに好ましくは、±15°に制限するようになっている。
【0033】
次に、本実施形態における画像表示装置の動作について、図5を用いて説明する。なお、図5は、本実施形態における画像表示工程を示すフローチャートである。
【0034】
本実施形態における画像表示装置100は、図5に示すように、形成された三次元画像をテーブル110に表示する画像表示工程(ステップS101からステップS106)を実行する。
【0035】
まず、制御部130は、入力部150から操作信号が入力されたか否かを判別し(ステップS101)、入力部150から操作信号が入力されなかった場合には、案内情報を提示するための二次元画像、所謂、デモ画像をディスプレイ121に表示して(ステップS102)、上述した判別処理(ステップS101)を繰り返す。一方、入力部150から操作信号が入力された場合には、次の処理に移行する。
【0036】
次いで、制御部130は、入力部150からの操作信号に応じて、上述した情報を提示するための二次元画像をディスプレイ121に表示する(ステップS103)。このときに、マイクロレンズアレイ122は、出射された表示光を結像することにより、結像された表示光に対応する三次元画像を形成する(ステップS104)。
【0037】
次いで、制御部130は、入力部150から操作信号が入力されたか否かを判別し(ステップS105)、入力部150から操作信号が入力された場合には、上述した表示処理(ステップS103)及び形成処理(ステップS104)を繰り返す。一方、入力部150から操作信号が入力されなかった場合には、案内情報を提示するための二次元画像、所謂、デモ画像をディスプレイ121に表示して(ステップS106)、本工程を終了する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、画像表示装置100は、収容空間111を隔離するテーブル110と、収容空間111に収容されたユニット120とを備え、テーブル110は、水平方向に延在する天面115と天面115に沿って設けられた凹部116及び凸部117とを有し、ユニット120は、凸部117の下方に設けられ、二次元画像を表示することにより表示された二次元画像に対応する表示光を出射するディスプレイ121と出射された表示光を結像することにより結像された表示光に対応する三次元画像を形成するマイクロレンズアレイ122とを有し、形成された三次元画像は、天面115に対して起立するとともに、凹部116の上方に位置することを特徴とする構成を有している。
【0039】
この構成により、本実施形態では、テーブル110の凸部117の下方にユニット120が設けられているので、形成された三次元画像をテーブル110の天面115に対して起立するように表示することができ、所定情報の視認性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、画像表示装置100は、形成された三次元画像が天面115に対して移動するように、ユニット120を駆動する駆動部140を更に備えることを特徴とする構成を有している。
【0041】
この構成により、本実施形態では、テーブル110の天面115に対して三次元画像が移動するようにユニット120を駆動するので、三次元画像の表示位置を調整することができるとともに、三次元画像の表示態様を演出することができる。特に、マイクロレンズアレイ122を駆動する場合には、ディスプレイ121を駆動する場合に比較して、三次元画像の移動量が2倍になり、さらに効果的である。
【0042】
また、本実施形態では、画像表示装置100は、ユニット120の位置及び方向に応じて、表示された二次元画像の態様を変更する制御部130を更に備えることを特徴とする構成を有している。
【0043】
この構成により、本実施形態では、ユニット120の位置及び方向に応じて二次元画像の態様を変更するので、多位置、多方向に三次元画像を表示することができ、複数の利用者に所定情報を提示することができる。
【0044】
また、本実施形態では、結像部材は、複数のレンズ127を有するマイクロレンズアレイ122によって構成されたことを特徴とする構成を有している。
【0045】
この構成により、本実施形態では、マイクロレンズアレイ122によって結像部材が構成されているので、結像部材を簡易に製造することができ、製造コストを低減することができる。
【0046】
また、本実施形態では、マイクロレンズアレイ122は、形成された三次元画像の視野角を制限することを特徴とする構成を有している。
【0047】
この構成により、本実施形態では、三次元画像の視野角を制限するので、一の利用者に提示された情報を他の利用者が視認すること、所謂、盗視を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態では、形成された三次元画像は、秘匿性を有する情報を提示することを特徴とする構成を有している。
【0049】
この構成により、本実施形態では、秘匿性を有する情報を提示するので、例えば、遊技情報、会議情報、商品情報、美容情報などの情報を提示することができる。
【0050】
なお、本実施形態の変形例として、図6に示すように、上述したテーブル110が、建物の一部、例えば、床部112に埋め込まれるように構成されてもよい。
【0051】
また、本実施形態の変形例として、図7に示すように、テーブル110の内周に凹部116が設けられるとともに、テーブル110の外周に凸部117が設けられるように構成されてもよい。
【0052】
また、本実施形態の変形例として、図8に示すように、上述したテーブル110が、建物の一部、例えば、床部112に埋め込まれるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本願の一実施形態における画像表示装置を示す断面図である。
【図2】本願の一実施形態における画像表示装置を示すブロック図である。
【図3】本願の一実施形態におけるディスプレイ及びマイクロレンズアレイを示す側面図である。
【図4】本願の一実施形態におけるレンズを示す側面図である。
【図5】本願の一実施形態における画像表示工程を示すフローチャートである。
【図6】本願の一実施形態における画像表示装置を示す断面図である。
【図7】本願の一実施形態における画像表示装置を示す断面図である。
【図8】本願の一実施形態における画像表示装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
100 画像表示装置
110 テーブル
111 収容空間
112 床部
113 側部
114 天部
115 天面
116 凹部
117 凸部
120 ユニット
121 ディスプレイ
122 マイクロレンズアレイ
123 フレーム
124 表示面
125 三次元画像
126 結像面
127 レンズ
130 制御部
140 駆動部
150 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を隔離する収容体と、前記収容空間に収容された表示体とを備え、
前記収容体は、所定方向に延在する天面と前記天面に沿って設けられた凹部及び凸部とを有し、
前記表示体は、前記凸部の下方に設けられ、二次元画像を表示することにより前記表示された二次元画像に対応する表示光を出射する表示部材と前記出射された表示光を結像することにより前記結像された表示光に対応する三次元画像を形成する結像部材とを有し、
前記形成された三次元画像は、前記天面に対して起立するとともに、前記凹部の上方に位置することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記形成された三次元画像が前記天面に対して移動するように、前記表示体を駆動する駆動手段を更に備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置において、
前記表示体の位置及び方向に応じて、前記表示された二次元画像の態様を変更する変更手段を更に備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の画像表示装置において、
前記結像部材は、複数のレンズを有するマイクロレンズアレイによって構成されたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の画像表示装置において、
前記結像部材は、前記形成された三次元画像の視野角を制限することを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の画像表示装置において、
前記形成された三次元画像は、秘匿性を有する情報を提示することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−171042(P2006−171042A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359347(P2004−359347)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(591043569)パイオニア精密株式会社 (16)